平成28年度生ごみ水切りモニター事業結果
富士市役所 環境部廃棄物対策課
1.目的 当課では、可燃ごみ焼却量の目標値1人1日当たり640グラム達成に向けて、分別品目の増加や分別徹底の 周知を行ってきた。また、可燃ごみの4~5割を占める生ごみを削減するため、ぼかし用バケツ無料配布による 堆肥化、電気式・手動式生ごみ処理機器購入費補助、オリジナルダンボールコンポストの開発と販売などの生ご み自家処理を推進してきた。 しかし、近年の単身世帯の増加やマンション等の集合住宅の増加により、生ごみを自家処理することが困難な 世帯も多いため、自家処理の推進と併せて、誰でも手軽にできる生ごみの水切りについて普及の啓発を推進して いく。 このたび、生ごみの水切りを啓発していくにあたりモニター調査を実施し、それぞれの水切り器の特徴や水切 り効率などについて検証した。 2.モニター事業内容 家庭から出る生ごみについて、三種類の水切り器を使って各10回ずつ水切りを実践する。 水切り前後の重さを量り、各種水切り器の使用感などについてのアンケートに回答する。 モニター事業で使用した水切り器 紙製水切り袋 生ごみを穴の開いた紙袋に入れ、押し付けて水を切る。 1 枚10円程度。 使い捨て。 クード 生ごみをプラスチックの板で挟んで水を切る。 本体価格1,000円程度。 分解して洗うことができる。 水切りダイエット 生ごみをじょうご型のプラスチックで押し付けて水を切る。 本体価格200円程度。 洗って使いまわすことができる。 図1 図2 図33.モニター応募者に関する基礎データ モニター登録数 27人 (実施数 25人) 3.1 モニター構成 モニターは、25人中21人が女性だった。年代別では60代が多かった。また、家族構成では「夫婦と子 供のみ」が、世帯人数では2人が、居住形態は一戸建てが多かった。 図4 性別 図5 年代 図6 家族構成 図7 世帯人数 図8 居住形態 21 4 女性 男性 1 2 4 5 9 4 0 2 4 6 8 10 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 人数 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 10 9 12 3 夫婦と子供のみ (核家族) 夫婦のみ 一人暮らし 親子二世帯 その他 1 10 6 5 3 1人 2人 3人 4人 5人以上 21 4 一戸建て 集合住宅
3.2 モニター参加前に実施していた生ごみの水切りについて 今回のモニター事業に参加する前に生ごみの水切りを行っていた人は21人、行っていなかった人は4人だ った(図9)。 生ごみの水切りを行っていた人では、水切りの方法として水切りネットによる水切りを行っていることが多 かった(図10)。その他では、手絞りを行っている人が多かった。 生ごみの水切りを行っていなかった人は、自家処理を行っていた(図11)。 図9 今回のモニターに参加前の水切実施 図10 モニター前に行っていた水切りの方法 図11 水切りを行っていなかった理由 4.モニター事業の結果 4.1 水切りの結果 調査は、「紙製水切り袋」「クード」「水きりダイエット」各種器具を使用し、生ごみの水切り前後の重量差か ら生ごみの水切り率を計算した。 生ごみの平均水切り率が最も高かったのは、「水切りダイエット」8.6%、次いで「クード」8.5%、 「紙製水切り袋」7.7%だった。(図12) 図12 各種水切り器の平均減量率 21 4 行っていた 行っていなかった 10 3 2 14 0 5 10 15 その他 乾燥 水切り器 水きりネット 件数 2 2 0 0 0 0 2 4 6 8 10 その他 自家処理をしている 水切りのメリットがわからない 水きり効果があると思わない 面倒 件数 7.7 8.5 8.6 0 2 4 6 8 10 紙製水切り袋 クード 水切りダイエット 水きり率 [%]
器具全体の平均水切り率から、生ごみの水切りにより約8%の減量効果があることが示された。この数値を 基に、富士市内の全世帯が生ごみの水切りを実施したと仮定すると、年間約1,413トン※の可燃ごみの減量 となる。 ※平成27 年度家庭系可燃ごみ量(44,171t)×生ごみの割合(0.4)×水切り率(0.08) 4.2 アンケート結果 Q 水切りを行った感想を教えてください。(※複数回答可) 「ごみの減量に関心を持った」、「生ごみの量が減った」という感想が多かった。その他では、思ったより減 量ができなかった、水切り器を使うより普段行っている水切り方法のほうが良いなどの感想があった。 図13 水切りを行った感想 Q 生ごみ水切り器を使ってみて、よかったところは何ですか。(※複数回答可) 「より多くの水が切れる」という感想が多かった。手絞りで十分という人もいたため、「特にない」という回 答もあった。その他では、万が一尖った生ごみがあったときに怪我をしない、生ごみがわずかでも水分を切れ るという回答があった。 図14 生ごみ水切り器を使ってみてよかったところ 4 4 5 7 14 0 2 4 6 8 10 12 14 16 その他 生ごみのにおいが減った 燃えるごみが軽くなり、 ごみ出しが楽になった 生ごみの量が減った ごみの減量に関心を持った 件数 2 7 8 11 0 2 4 6 8 10 12 その他 特にない 手を汚さずに水切りができる より多くの水が切れる 件数
2.3 3.4 2.6 2.2 水切り性能 衛生面 使いやすさ 価格 Q 生ごみ水切り器で水を切る際に工夫したことは何ですか。(※複数回答可) 絞り方の工夫が多かった。その他では、生ごみの種類によって水切り器の種類を変える、クードは口を閉じ てからゆっくり絞る、生ごみを絞る位置を変えるなどの工夫があった。 図15 生ごみ水切り器で水を切る際に工夫したこと Q 水切りに適していると感じた生ごみの種類、適さないと感じた生ごみの種類をそれぞれお答えください。 回答の多かったものについて表1に示す。水切りに適する生ごみとして最も回答が多かったものは茶殻で、 水切りに適さない生ごみとして最も回答が多かったのは硬い、大きい、水分が少ない果物・野菜くずだった。 表1 水切りに適すると感じた生ごみと適さないと感じた生ごみの種類 水切りに適する生ごみ 水切りに適さない生ごみ 茶殻・コーヒーかす 調理くず(排水溝に溜まったもの・煮物くず) 残飯 果物・野菜くず(水分が多く軟らかい) 例:トマト・ブドウ・キュウリの種の部分 細かくしたスイカ 貝殻やエビの殻 タマゴの殻 ヌルヌルしているもの 果物・野菜くず(硬い、大きい、水分が少ない) 例:キャベツの芯・バナナの皮・キノコ類 パイナップルやスイカの皮 Q 使いやすさや価格などから、それぞれの水切り器を評価し、数字に○を付けてください。 また、それぞれの水切り器について自由にコメントしてください。 コメントについては、抜粋したものを示す。 紙製水切り袋 水切り性能:2.3 衛生面:3.4 使いやすさ:2.6 価格:2.2 生ごみを入れやすい。 使い捨てで手軽。 紙袋が水を吸ってしまう。 紙がふやけると破れやすい。 水分の多い生ごみを入れた後、すぐに水を切るとよい。 6 10 13 14 0 2 4 6 8 10 12 14 16 その他 細かくするなどの前処理・分別など 水切り器に入れる量の工夫 しぼり方 件数 図16
2.8 2.7 2.5 1.6 水切り性能 衛生面 使いやすさ 価格 3.2 3.2 3.1 3.4 水切り性能 衛生面 使いやすさ 価格 クード 水切り性能:2.8 衛生面:2.7 使いやすさ:2.5 価格:1.6 少量(握りこぶし 1 つ分程度)の水切りに適している。 手が汚れにくい。 分解して洗えて良い。 価格が少し高い。 少し多めの生ごみを入れるとあふれる。 しっかり水を切るために力が必要。 生ごみを入れたクードを、大きなクリップで挟んでしばらく放置 して水を切るとよい。 斜めにして絞ると水が切れやすい。 水切りダイエット 水切り性能:3.2 衛生面:3.2 使いやすさ:3.1 価格:3.4 今回のモニターで使用した3種類の中では使いやすい。 手が汚れにくい。 手入れが楽。 力が入れやすい。 しっかり水を切るために力が必要。 シンクに押し付けると底に水が溜まってしまうので、押し付ける 場所をずらしながら数回押し付けるとしっかり水が切れる。 生ごみの量が水切り袋に7~8分目だと水切りしやすい。 Q 人に勧めるとしたらどの水切り器ですか。 今回使用した三種類の中では使いやすいということで、水切りダイエットと回答する人が多かった。素手で 絞ることに抵抗がない人は、水切り器を使うよりも手絞りのほうが良いというご意見もあり、お勧めする水切 り器がないという回答もあった。 図19 人に勧めようと思った水切り器 12 6 2 4 水切りダイエット 紙製水切り袋 クード 無し 図17 図18
5 生ごみ減量アイディア モニターの方々からいただいた生ごみ減量アイディアを紹介する。 水切りに関するアイディア 水切りしやすいものだけ水切り 水切りしにくい生ごみと一緒に水切りをすると、水切りの効果が少なくなってしまう。水切りしやすいもの だけを水切りすることで、無駄なく水切りをすることができる。 手絞り 水切りネットに生ごみを入れ、手でギュッと絞る。ネットの代わりに、角を切ったビニール袋を使用するア イディアもある。水切り器を使うより手軽でよい、減量効果が高いという意見が多数あった。 水切り器を使った後、さらに手絞りをすることでより減量効果があったという報告があった。 ■:水切り後 ■:手絞り後 ■:水切り後 ■:手絞り後 図20 モニターAさんの結果 図21 モニターBさんの結果 乾燥に関するアイディア 自然乾燥 生ごみを三角コーナーに放置して自然乾燥させる。 冷蔵庫で乾燥 野菜くずなど、食品の食べなかった部分を細かく切り、タッパーに入れて蓋をせずに冷蔵庫に保管する。低 温で乾燥させるため臭いや虫の発生がほとんどない。細かくすることがポイント。 天日干しで乾燥 生ごみを天日干しで乾燥させる。硬い野菜くずはクードや水切りダイエットでの水切りに不向きだが、天日 干しで減量することができる。輪切りにしたダイコン1,000g を5日間天日干ししたところ、121g にな ったという報告があった。 7.7 8.8 19.2 15.3 0 5 10 15 20 25 クード 水切りダイエット 平均水切り率 [%] 8.7 8.7 18.0 19.2 0 5 10 15 20 25 クード 水切りダイエット 平均水切り率 [%] 11.5% UP 6.4% UP 9.3% UP 10.4% UP
図22 モニターCさんの結果 その他のアイディア 生ごみを濡らさない 野菜の皮を剥いてから洗い、剥いた皮はチラシで作った箱などに入れておく。生ごみをシンクに置かないよ うにして、濡らさないように気をつける。 新聞紙の使用 三角コーナーやごみ袋の底に、折りたたんだ新聞紙を敷く。新聞紙が余分な水分を吸収する。新聞紙の水分 はごみ箱に捨てても意外と乾く。 お茶パックの使用 お茶葉をお茶パックに入れて使う。捨てるときに手で絞るだけで簡単に水切りができ、お茶葉が急須の中で 散らかることもない。 遠心分離 遠心分離機を使って生ごみを回転させ、遠心力で水を切る。 6 総括 今回のモニター事業で、生ごみの水切りにより約8%の減量効果があることが示された。この数値を基に、 富士市内の全世帯が生ごみの水切りを実施したと仮定すると、年間約1,413トンの可燃ごみの減量ができ ることがわかった。ただし、今回参加していただいたモニターの方々は、ごみ減量意識の高い人が多く、モニ ター用の水切り器を使用する前に各自の方法で水切りを行っていた例もあった。このことから、普段から水切 りを行っていない家庭で水切りを行うようになれば、さらに減量効果が見込めると思われる。 今回のモニター事業では、水切り器は「水きりダイエット」が比較的使用しやすいことが分かった。また、 素手で絞ることに抵抗がない人は水切り器を使用するよりも手絞りが効果的であること、水切りの減量効果は 生ごみの種類に大きく左右されることが分かった。 当課では、今回のモニター調査の結果をもとに、マスメディアやごみ減量情報誌、ウエブサイトを活用し て、水切りグッズやモニターからいただいたアイディアを紹介し、更なる生ごみの排出削減を目指して取り組 んでいきます。 1000 121 0 200 400 600 800 1000 1200 天日干し前 天日干し後 重量 [g] 87.9 %減 量