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(別添)
千葉大学医学部附属病院
公的医療機関等2025プラン
【全体版】
平成29年 9月 策定
2 【千葉大学医学部附属病院の基本情報】 医療機関名:千葉大学医学部附属病院 開設主体:国立大学法人千葉大学 所在地:千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1 許可病床数:850床 (病床の種別) 一般病床800床、精神病床45床、感染症病床5床 (うち ICU18床、CCU4床、NICU9床、GCU18床、MFICU6床) (病床機能別) 高度急性期 775床、急性期25床(その他:精神科45床、感染病棟5床) 稼働病床数: (病床の種別) 一般病床800床、精神病床45床、感染症病床5床 (病床機能別) 診療科目:内科、外科、産婦人科、呼吸器科、心療内科、リハビリテーション科、精神科、 神経内科、循環器科、アレルギー科、小児科、整形外科、形成外科、脳神経外 科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉 科、放射線科、麻酔科、救急科、病理診断科、歯科、歯科口腔外科 職員数: ・ 医師/歯科医師 776人 ・ 看護師等 1,144人 ・ 医療技術職員 318人 ・ 教員、事務職員等 463人
3 【1.現状と課題】 ① 構想区域の現状 <人口推移> 千葉区域の総人口は、平成32年までは増加するものの、その後は減少傾向が見込まれる。 64歳以下の人口が一貫して減少する一方で、65歳以上の人口は増加する。特に、75歳以上 人口は、99千人(2015年)から184千人へと85千人(86%)の増加が見込まれる。 千葉区域の人口推移 平成28年3月 千葉県保健医療計画・地域医療構想より <医療需要の推移> 高齢者人口の増加とともに、一般病床および療養病床への入院患者数は、平成42年まで増 加が予測される。 後期高齢者の人口の増加に伴い区域内の住民の入院患者数(一般病床および療養病床)は、 2013年度5,323人/日だったものが2025年度にかけて27%(1440人/日)2030年度にかけて 35%(1,854人/日)増加すると見込まれている。 千葉区域の入院患者数の推移と変化率 平成28年3月 千葉県保健医療計画・地域医療構想より
4 <医療提供体制> 千葉保健医療圏の人的及び物的な医療資源の状況は、県内では比較的充実している。 千葉区域には、当院を含め複数の急性期病院があり、千葉区域だけではなく、県内全域か らの入院需要に対応している。 千葉保健医療圏の住民の8割が圏域内の医療機関に入院する一方で、圏域内の医療機関の 入院患者の4割が他圏域の住民であり、流入超過となっている。平成37年の病床機能ごと の必要病床数に対して、平成26年の病床機能報告では、高度急性期および急性期病床が過 剰の状態となっている。 一方、急性期治療後の受け皿となる回復期や慢性期病床が不足している。療養病床数(病 院)は、県平均168.5床(人口10万対)に対し、区域内では、130.9床と少ない状況になっ ている。 4機能別の医療提供体制 平成28年3月 千葉県保健医療計画・地域医療構想より
5 ② 構想区域の課題 千葉県の資料によれば、2025年の必要病床数は8,484床であり、平成28年7月1日時点の病 床機能報告では7,999床が存在しているので、不足は485床ということになる。病床機能別 の不足数は、高度急性期110床、回復期1,627床、慢性期139床である。一方で急性期は 1,352床の過剰となっている。今後病床の整備も予定されているが、これを加味しても必 要病床数に対する不足は345床である。そこで、各医療機関が病床機能や人員配置を見直 し、重複する機能を調整するとともに、役割分担と連携を促進して、区域内の4機能の医 療提供体制を構築していくことが必要と思われる。 区域内には、当院を含め急性期病院が多く、今後も急性期医療を求めて県内の他区域から 流入する入院患者に対応していくものと考えられる。高度急性期医療後に患者がそれぞれ の地域へ戻り、回復期へと治療を継続していくためには、千葉区域内だけでなく、周辺区 域の医療機関とも連携していく必要がある。 新しいシステムの導入によって改善しているようであるが、従来から救急搬送時間が他地 域と比較して長いこと、また軽症の症例が多いことが課題となっている。
6 ③ 自施設の現状 <理念と方針> 下記の理念と方針のもと、千葉市および千葉県の急性期医療の最終的な受け入れ施設とし て、高度な医療の提供と、次世代の医療人の育成機関としての役割を担っている。 理念 人間の尊厳と先進医療の調和を目指し、臨床医学の発展と次世代を担う医療人の育成 に努める。 基本方針 -患者さんの意思を尊重した安心・安全な医療を提供します。 -先進医療の開発と実践を目指します。 -社会・地域医療へ貢献します。 -人間性豊かな優れた医療人を育成します。 <診療実績> 当院は特定機能病院として、千葉市および千葉県全域から、地域医療機関との連携のもと 患者を受け入れ、高度医療サービスを提供している。 届け出入院基本料: 特定機能病院 一般病棟 7対1入院基本料 特定機能病院 精神病棟 7対1入院基本料 平成28年度の主な実績: 1日平均外来患者数 2,139人 1日平均入院患者数 706人 平均在院日数 12.63日 病床稼働率 83.0% 紹介率/逆紹介率 85.8%/78.5% 二次医療圏外からの入院割合 50.2% (千葉県内の全市町村より受け入れ) 近年、効率化により在院日数はH27年13.5日からH28年12.63日、H29年上半期12.76日と短 縮を図り、病床稼働率もH29年は90%程度を維持している。手術件数はH27年4月~6月合計 で1793件、H28年同期は1925件、H29年同期は2089件と増加傾向にある。 <5疾病・6事業> 医療機関の指定:がん診療拠点病院 がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病および精神疾患の5疾病については、診療科に加えて、 複数の診療科や部門が協力・連携する下記の診療部門をもち、最適かつ質の高い医療サー ビスを提供している。 内視鏡センター 臨床腫瘍部 ブレストセンター 包括的脳卒中センター 冠動脈疾患治療部 糖尿病コンプリケーションセンター 認知行動療法センター など 救急医療については、救命処置や緊急手術が必要となる重症患者の受け入れ、また、災害 拠点病院としての役割も担っている。周産母子センターでは、高度な医学的管理を必要と する妊娠やハイリスク新生児の治療にあたっている。
7 その他 医育機関として医師、看護職員をはじめとした医療人の養成、人材の輩出に努めると共に、 最近ではクリニカル・スキルズ・センターを運営し、医療技術の習得の場や各種の卒後教 育の場を通じた教育機会の提供について、千葉県全体を対象に行っている。 千葉県の総合難病相談・支援センター、千葉市の認知症疾患医療センターとして指定を受 けている他、今般、搬送先が決まらない患者を必ず受け入れる病院として「千葉県救急患 者搬送支援病院」の指定を受けるなどして、地域医療にも貢献している。 千葉保健医療圏に所在する病院による会議の事務局として意見等の取りまとめを行ってい る。
8 ④ 自施設の課題 高度急性期の医療を中心として提供しているが、人口の高齢化と共に退院後に地域包括ケ アシステムの中で療養する症例が増加している。地域の回復期病床を保有する病院および かかりつけ医・在宅医などとの連携が課題になっている。 いわゆる政策医療、不採算医療にも積極的に取り組んでおり、また昨今の診療報酬制度及 び消費税の補填不足の影響を受け、苦しい経営状態が続いている。また将来を見据えた設 備投資も抑制せざるをえなくなっている。 新中央診療棟の開設に伴い、手術枠の見直しや、ICU等集中治療室の整備、重症患者の診 療体制を見直す予定としている。 常勤の放射線診断医3名で読影を行っており、H28年度の放射線診断医一人当たりの検 査件数7,777件、100床当りの0.36人と、全国国立大学平均値それぞれ2824名、1.15人を大 きく下回る。地域における高度な画像検査を担う医療施設として、放射線診断体制や人材 確保が医療安全上も重要であるが、昨今の経営状況もあり、十分な対応ができていない。
9 【2.今後の方針】 ※ 1.①~④を踏まえた、具体的な方針について記載 ① 地域において今後担うべき役割 高度急性期および急性期医療、特に他医療機関にて治療が困難な症例、難病等の希少疾患 や、最先端の医療が必要とされる症例の治療を担う。そのために急性期、回復期、慢性期 の役割を担う医療機関、地域包括ケアの担っている診療所、訪問看護ステーション等との 間で密な情報共有と人材交流を行い、相互の役割を明確化する必要がある。 人材の輩出に加え、卒後教育を強化し、地域の医療水準の向上に努め、将来世代の医療人 の育成を担う。 地域医療の情報化のハブとして中核的な機能を担う 臨床試験中核病院として、創薬や医療機器開発等産学連携や医師主導治験の支援や倫理審 査機能等の中核的な機能を担う 病理診断や遺伝子診断等地域で担うのが困難な機能を提供する 高度な画像検査に対する放射線診断体制も構築して行く必要がある ② 今後持つべき病床機能 引き続き、高度急性期および急性期機能を担う。 高度急性期および急性期医療をさらに充実させるため、新中央診療棟を新築し、高度救命 救急センターの開設、ハイブリット手術室、日帰り手術センターの設置を含む、手術室の 増室(16室→20室)、ICUの拡充、放射線診断治療機器の増強を行う予定となっている。 ③ その他見直すべき点 職員がやりがいをもって働ける職場とするため、職場環境向上委員会を設置し、快適な職 場環境を目指してアイデアを出し合い、様々な取り組みを進めている。 医師の超過勤務については、医師事務作業補助者により業務の負担軽減を図る予定である。 医療従事者の働き方改革についても推進していく必要がある
10 【3.具体的な計画】 ※ 2.①~③を踏まえた具体的な計画について記載 ① 4機能ごとの病床のあり方について <今後の方針>
現在
(平成28年度病床機能報告)
将来
(2025年度)
高度急性期
775床
734床
急性期
25床
66床
回復期
→
慢性期
(合計)
800床
800床
<年次スケジュール> 取組内容 到達目標 (参考) 関連施策等 2017年度 新中央診療棟の新築工事開 始(~2020年) 放射線診断体制について検 討 2018年度 救命救急センターの設置申 請 放射線診断体制の構築 放射線診断専門医の確保 2019~2020 年度 放射線診断教育研修体制の 整備 放射線診断センター開設 救命救急センターの開設 放射線診断専門医の確保 2021~2023 年度 新中央診療棟の完成 -高度救命救急センター開設 -手術室の増室 -放射線部の診断治療機器の増強 -ICUの拡充 にし病棟の改修 -重症患者診療体制の拡充 第 7 次 医 療 計 画 第7期 介護保険 事業計画 2 年 間 程 度 で 集 中 的 な 検 討 を 促 進 第8期 介護保険 事業計画11 ② 診療科の見直しについて 検討の上、見直さない場合には、記載は不要とする。 <今後の方針> 現在 (本プラン策定時点) 将来 (2025年度) 維持 → 新設 → 廃止 → 変更・統合 → ③ その他の数値目標について 医療提供に関する項目 ・ 病床稼働率: 90% ・ 手術室稼働率: 75% ・ 紹介率: 90% ・ 逆紹介率: 100% 経営に関する項目* ・ 人件費率: 40%以内 医療費率: 39%未満 ・ 医業収益に占める人材育成にかける費用(職員研修費等)の割合: 0.5% その他:放射線診断体制の構築(国立大学平均値達成のためには6名の雇用が必要) *地域医療介護総合確保基金を活用する可能性がある場合には、記載を必須とする。 【4.その他】 (自由記載) クリニカル・スキルズ・センターの機器更新について 医育機関として医師、看護職員をはじめとした医療人の養成、人材の輩出に努めると共に、最 近ではクリニカル・スキルズ・センターを運営し、医療技術の習得の場や各種の卒後教育の場 を通じた教育機会の提供について、千葉県全体を対象に行っているが、機器の老朽化が激しい ので更新が望ましく、更新のための財源確保が喫緊の課題となっている。