• 検索結果がありません。

当期純利益は 16 年 /17 年に前年比 15% 減少するも 17 年 /18 年は前年比 4.7% の回復 16 年 /17 年の当期純利益は 前年比 15% 減の 153 億チャット ( 約 12 億 7,700 万円 ) と MTSH は予測する これは 主として MTSH の収益低下に加え

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "当期純利益は 16 年 /17 年に前年比 15% 減少するも 17 年 /18 年は前年比 4.7% の回復 16 年 /17 年の当期純利益は 前年比 15% 減の 153 億チャット ( 約 12 億 7,700 万円 ) と MTSH は予測する これは 主として MTSH の収益低下に加え"

Copied!
40
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス (MTSH)

1

Myanmar Thilawa SEZ Holdings (MTSH)

レポート作成日: 2016 年 5 月 19 日

ミャンマー初の高水準経済特別区

ミャンマー初の高度な経済特別区

ミャンマー初の経済特別区のデベロッパーJV に投資

ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH)はティラワ経済特別区のデベロッパーである合弁 会社、ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社(MJTD)に 41%出資している。また、A 区 プロジェクトの住宅・商業施設を開発する合弁会社であるティラワ不動産開発(TPD)には 80%出資している。 MTSH の 16 年/17 年(2017 年 3 月末終了の年度)の EPS 予測 3,940 チャット(約 329 円)に基づき、当社は 次のような根拠で目標価格を43,350 チャットとする。地域の同業他社の平均 EPS 成長率が 16 年/17 年 34.3%、17 年/18 年は 27.6%に対して、同社の 16 年/17 年の EPS 成長率が前年比マイナス 15%で 17 年/18 年は4.7%の緩やかな成長であることから、16 年/17 年は PER 11 倍(アジアの工業団地のデベロッパーの 2012 年―2015 年の 17 倍の実績 PER から 35%割引)とした。

ティラワA区の第一フェーズでの成功

ティラワ経済特別区はヤンゴンの郊外に位置し、日本とミャンマーの官民が共同開発しているミャンマー初 の経済特別区である。ティラワ経済特別区A 区は 396 ヘクタールの広さを持ち、3 フェーズで開発された。 2016 年 1 月 12 日に MJTD は全販売可能面積の 76.5%にあたる 247.1 ヘクタールの予約契約書に署名した。

今後の拡張プロジェクト: B 区開発計画

B 区プロジェクトは、MTSH の拡張計画である。これは、ティラワ経済特別区内の他の工業団地の開発を含 む。B 区プロジェクトは、約 500-700 ヘクタールの地域におよび、その開発は 2016 年末までに着手する計 画となっている。 ※1 ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス(MTSH)は、2016 年 11 月 3 日に株式 1 株を 10 株に分割した。 調査開始 投資格付け: 無し 2017 年 3 月期予測に基づく目標株価 43,350 チャット/約 3,620 円 2016年5月19日公開価格: 40,500 チャット / 約3,382円 (2017年5月8日(翻訳レポート作成日)終値: 4,100チャット/ 約342円)※

¹

工業団地開発 キャピタル・パートナーズ証券株式会社では、当銘柄の取扱いをしておりません。本レポートはあくまで企業の情報を提供する目的で作 成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

(2)

当期純利益は 16 年/17 年に前年比 15%減少するも、17 年/18 年は前年比 4.7%の回復

16 年/17 年の当期純利益は、前年比 15%減の 153 億チャット(約 12 億 7,700 万円)、と MTSH は予測する。 これは、主としてMTSH の収益低下に加え A 区プロジェクトにおける売却用の土地の減少に伴う MJTD の 持ち分利益の減少(前年比30%減)が見込まれているからである。一方、TPD が工事進行基準により売上 高を計上するため、TPD の売上高は前年比 540.8%増加すると MTSH は予想している。 MTSH は 17 年/18 年の当期純利益は前年比 4.7%増の 161 億チャット(約 13 億 4,400 万円)と予想している。 TPD の売上高は前年比 39%の増加と見込み、MTSH の収益回復は主に TPD の業績によることになる。

上方リスク/下方リスク

ミャンマーの経済自由化は、他の戦略的な土地で工業団地の開発を増加させ、将来、ティラワ経済特別区と の競争を激化させることがありうる。

株式情報

払込済株式数 389 万 2,915 株 株主数 16,720 額面 10,000 チャット (835 円) 時価総額 272,504 百万チャット (約 22,754 百万円) URL www.mtshmyanmar.com

(3)

財務及び評価

3 月末決算 2014/3 期 2015/3 期 2016/3 期予想 2017/3 期予想 2018/3 期予想

手数料収入 (百万チャット) 0 1,992 8,852 40,749 56,167 純利益 (百万チャット) -464 16,217 18,044 15,339 16,056 EPS (チャット) -393.29 4,165.67 4,635.08 3,940.20 4,124.38

EPS 成長率 (%) n.a. n.a. 11.3 -15.0 4.7

1 株当り配当 (チャット) 0 0 2,000 0 0 1 株当り純資産 (チャット) 9,607 14,047 16,682 20,622 24,746 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス, KT ZMICO予測

(参照)財務及びバリュエーション - 円換算

3 月末決算 2014/3 期 2015/3 期 2016/3 期予想 2017/3 期予想 2018/3 期予想 手数料収入(百万円) 0 166 739 3,403 4,690 純利益 (百万円) -39 1,354 1,507 1,281 1,341 EPS (円) -33 348 387 329 344

EPS 成長率 (%) n.a. n.a. 11.3 -15.0 4.7

1 株当り配当 (円) 0 0 167 0 0 1 株当り純資産 (円) 802 1,173 1,393 1,722 2,066 出所: キャピタル・パートナーズ証券が円換算

財務及び評価 (2)

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス、KT ZMICO予測 3 月末決算 2014/3 期 2015/3 期 2016/3 期予想 2017/3 期予想 2018/3 期予想 PER (x) n.a. 16.8 15.1 17.8 17.0 EV/EBITDA (x) n.a. 101.9 30.7 27.7 24.4 株価純資産倍率 (x) 7.3 5.0 4.2 3.4 2.8 配当利回り (%) 0.0 0.0 2.9 0.0 0.0 ROE (%) -8.2 49.1 30.2 21.1 18.2

(4)

投資の概要

ミャンマー初の経済特別区のデベロッパーであるJVに投資する持株会社

ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH)は持株会社である。同社は、ティラワ経済特別区 (ティラワSEZ)プロジェクトに参加する目的で、9人の主要株主(但し、排他的ではない)を含むミャン マーコンソーシアムにより設立された。 MTSHはティラワ経済特別区のデベロッパーである合弁会社、ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロ ップメント社(MJTD)に41%出資している。また、A区のプロジェクトの住宅・商業地を開発するMTSHと ティラワSEZ管理委員会(TSMC)の合弁会社であるThilawa Property Development Limited (TPD)に80% 出資している。 MTSHの主な事業活動はMJTDへの投資とティラワA区の不動産のマーケティングと販売、また、TPDを通 じてA区の住宅・商業地の開発、建設、マーケティング、販売、運営などである。したがって、同社の業績 はMJTDとTPDの業績と密接に結びついている。具体的には、MTSHの売上高は、主として以下の3つによ る。 i) MJTDとTPDの各々の不動産事業から分配された配当金 ii) A区の不動産のマーケティングと販売、リースまたは処分で得られた手数料 iii) MJTDへの管理サービスの提供 MTSHは、覚書、定款、適用法で認められると見込まれることから、ティラワ経済特別区とその他の地域に ある他の不動産開発プロジェクトに投資する計画である。その目的は、投資を拡大し、長期的に経常収入を 得るようにすることである。 MTSHは、2014年2月に株式公開した。214万5,000株を募集し、手取金は214億5,000万チャット(約17億9, 000万円)であった。募集後、公募価格10,000チャット(約835円)に対し株価は15,000チャット(約1,253円) に上昇した。店頭市場での最終取引である2月16日のMTSHの終値は、70,000チャット(約5,845円)で、16 年/17年の業績見通しに基づくと、株価純資産率は3.4倍、PERは17.8倍となる。 2016年5月6日、ヤンゴン証券取引所(YSX)はミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH)が2016 年5月20日にYSXに上場することを承認した。上場に際して株式の売り出しや発行はなかったため発行済株 式総数に変更はなかった。上場後の時価総額389億2,915チャットは3,892,915株によるものであるが、45% すなわち1,755,900株を同社の設立時からの主要株主が保有し、55%に当たる2,137,015 株を一般投資家が 保有する。

評価バリュエーション

16年/17年のPER 11倍に基づき、目標価格は43,350チャット(約3,620円)

MTSHの16年/17年のEPS予測3,940チャット(約329円)に基づき、当社は次のような根拠で目標価格を43,350 チャット(約3,620円)とする。地域同業他社の平均EPS成長率が16年/17年34.3%、17年/18年は27.6%に対し て、同社の16年/17年のEPS成長率が前年比マイナス15%で17年/18年は4.7%の緩やかな成長であることか ら、16年/17年はPER11倍(アジアの工業団地開発業者の2012年―2015年の17倍の実績PERから35%割引) と予想する。

(5)

図表1: 同業他社比較

企業名 ティッカー 時価総額 PER (x) 株価純資産倍率(x) EV/EBITDA(x) YLD(%) ROE(%) 16E 17E 16E 17E 16E 17E 16E 17E 16E 17E

百万ドル 億円

ブカシ・ファジャール・インダストリア

ル・エステート BEST IJ Equity 183 201 9.1 7.1 0.8 0.7 8.1 7.2 1.3 1.5 8.4 9.8 プラデルタ・レスタリ DMAS IJ Equity 772 849 11.3 11.1 1.4 1.2 10.1 9.7 2.7 2.7 13.5 11.6 リッポ・チカラン LPCK IJ Equity 340 374 4.6 4.2 1.0 0.8 4.0 3.7 n.a. n.a. 23.1 21.0 カワサン・インダストリ・ジャバベカ KIJA IJ Equity 386 425 6.9 5.3 0.9 0.7 6.8 5.9 n.a. n.a. 14.0 14.8 スルヤセメスタ・インターヌサ SSIA IJ Equity 224 246 9.0 8.0 0.9 0.8 4.1 3.7 2.9 2.0 12.2 11.3 平均 (インドネシア) 8.2 7.1 1.0 0.9 6.6 6.0 2.3 2.1 14.2 13.7 セムコープ・インダストリーズ SCI SP Equity 3,625 3,988 9.4 8.8 0.8 0.7 11.0 10.5 3.9 4.1 8.6 8.4 平均 (シンガポール) 9.4 8.8 0.8 0.7 11.0 10.5 3.9 4.1 8.6 8.4 アマタ・コーポレーション AMATA TB Equity 351 386 11.7 9.6 1.0 1.0 8.8 7.6 3.3 4.2 8.8 10.1 AMATAVN TB Equity AMATAVN TB Equity 231 254 17.3 9.6 2.3 1.9 9.5 5.3 1.8 1.9 13.8 21.7 ロジャナ工業団地 ROJNA TB Equity 283 311 21.3 14.0 0.7 0.6 n.a. n.a. n.a. 3.3 n.a. 4.6 WHA WHA TB EQUITY 1,271 1,398 12.3 10.8 2.0 1.8 18.7 18.2 2.4 2.6 19.8 18.3 平均 (タイ) 15.6 11.0 1.5 1.3 12.3 10.4 2.5 3.0 15.2 16.1 タンタオ投資工業 ITA VN Equity 169 186 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 技術インフラ開発 IJC VN Equity 96 106 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 平均(ベトナム) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 平均 平均 11.3 8.8 1.2 1.0 9.0 8.0 2.6 2.8 14.0 14.3

(6)

会社概要

ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH)は、2013 年 5 月 3 日にミャンマー会社法の下で、

公開会社として設立された。同社は、ティラワ経済特別区地域の A 区の開発を請け負うために投資家の JV

コンソーシアムとして設立された。 主要株主は以下の通りである。

• First Myanmar Investment Corporation Limited • Golden Land East Asia Development Limited • Myanmar Agribusiness Public Corporation Limited

• Myanmar Agricultural & General Development Public Limited • Myanmar Edible Oil Industrial Public Corporation Limited • Myanmar Sugar Development Public Company Limited • Myanmar Technologies and Investment Corporation Limited • National Development Company Group Limited

• New City Development Public Company Limited

主な事業

主要事業は、以下の通りである。 1. A 区プロジェクトの開発、建設、マーケティング、販売および運営に携わる JV への投資と経営参加。 2. 日本の協力メンバーと共同で A 区の不動産のマーケティングと販売。 3. A 区以外のティラワ経済特別区またはその他の土地(取締役の裁量で決定され、提案された B 区プロジ ェクトを含む可能性あり)の開発。 4. A 区プロジェクトの住宅・商業地の開発、建設、マーケティング、販売、そして運営に携わる TPD への 投資と経営参加。

(7)

図表 2: MTSH の資本構造

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016 年 5 月 6 日付)

図表 3: 取締役会

図表 4: 執行役員

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス 2014-15 年次報告書、KT ZMICO リサーチ • Principal Shareholders = 主要株主 • Public Shareholders = 一般株主 • MTSH = ミャンマー・ティラワ SEZ・ホ ールディングス

• TPD = Thilawa Property Development • MJTD = ミャンマー・ジャパン・ティラ ワ・ディベロップメント社 • TSMC = ティラワ SEZ 管理委員会(ミ ャンマー政府) • MMSTD = エム・エム・エス・ティラワ 事業開発(日本の投資会社) • JICA = 国際協力機構(日本政府)

(8)

MTSH の主要な投資

ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社(MJTD)への 41%の出資

ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社(MJTD)は、396 ヘクタールにおよぶティラワ経 済特別区の運営と開発を目的として2014 年 1 月 10 日設立された。 MJTD は、MMS ティラワ事業開発(MMSTD)、ティラワ SEZ 管理委員会(TSMC)、国際協力機構(JICA) の合弁会社である。MMSTD は、丸紅、三菱商事、住友商事を含む日本のデベロッパーのコンソーシアムに より設立された。 MJTD 合弁事業契約では、MJTD は 5,000 万米ドルの株式を最初に発行し、ミャンマー側が 51%、日本側 が49%出資することが定められている。MJTD 合弁契約が 2015 年 2 月 12 日に改訂された時、暫定的な発 行済みおよび払込資本は2,700 万米ドルに削減された。それは、A 区プロジェクトにおける将来の土地利用 者からかなり多くの仮入札と予約に伴いMJTD に潤沢なキャッシュフローがあったからである。 MTSH は MJTD に 41%出資している大株主である。MTSH は、A 区プロジェクトの開発、建設、マーケテ ィング、販売および運営を行うため、合弁会社と合弁契約を締結した。 MJTD との合弁契約に基づき、MTSH は 11,070,000 米ドル分の MJTD の株式を保有する必要がある。

MJTD の今後の資金調達

上述のMJTD の資金調達の需要が当初資本金の 27,000 万米ドルと A 区プロジェクト内にある不動産の売却、 リースおよび/またはその他の処分からの正味キャッシュフローを上回る場合、MTSH、TSMC、MMSTD とJICA は追加的に MJTD 株式を購入するか、代替の資金源を探るかについて議論することになる。

図表 5: MTSH と MJTD の資本構造

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの 2014-15 年次報告書、KT ZMICO リサーチ (MJTD)

(9)

Thilawa Property Development Limited (TPD)に 80%出資

Thilawa Property Development Limited (TPD)は、MTSH とティラワ SEZ 管理委員会(TSMC)との合弁 会社である。10 億チャット(約 8,350 万円)の株式の暫定発行とその払い込みにより 2015 年 3 月 19 日に 設立された。 TPD の業務は、A 区プロジェクトの住宅地と商業地の開発、建設、マーケティング、リースと運営である。 投資免許は2015 年 7 月 21 日に取得した。TPD は、住宅、オフィス、ショッピングモール、銀行、公共施 設といった複数のプロジェクトを実施する。TPD の収入は賃貸料とサービス料など主に住宅地と商業地の 運営から得られる。 MTSH は 2016 年 2 月 24 日に 230 億チャット(約 19 億 2000 万円)で TPD の追加の株式を取得した。MTSH は2016 年 3 月 30 日に、TSMC が TPD に 20%の出資をするため 60 億チャット(約 5 億円)で TDB の株 式を取得することを規定しているTPD 合弁事業契約書に署名した。MTSH は TPD の残り 80%に出資する。 TSMC による TPD 株式取得の義務は、その株式取得に関係する政府当局からすべての承認を得るための必 要条件である。 TPD 合弁事業契約に基づく TSMC による TPD 株式の取得はまだなされていないため、現時点では MTSH は発行済、払込済株式240 億チャット(約 20 億円)の 100%を保有し続けている。しかし、TPD 合弁事業 契約書に基づいて取得すると、MTSH は TPD の株式を 80%保有し、残りの 20%は TSMC に保有されるこ とになる。

TPD の今後の資金調達

MTSH は、住宅地と商業地の総開発費に必要とされる追加資金のほぼ半分が、それらの地域内にある不動産 の売却、リースおよび/またはその他の処分による純キャッシュフローでまかなわれると想定している。TPD の開発コストの資金調達需要が TPD の資本と営業からの純キャッシュフロー合計を上回る場合、追加の資 金源は、株主資本の拠出、外部からの資金(例えば、銀行借入れ)またはその両方ということになるであろ う。

配当政策

MTSH の配当はミャンマーの法律に認められた MTSH の利益から支払うことになる。配当は、チャットで 支払われる。 MTSH の取締役会は、配当支払い指示の決定をする。MTSH の主な事業は(A 区の物件のマーケティング と販売を除くと)主にMJTD と TPD への投資であるため、MJTD と TPD から受け取る配当は MTSH の配 当支払いの可能性を決定する重要な要因となる。 MTSH は 2015 年 12 月、約 71 億 7,368 万 7,000 チャット(約 5 億 9,900 万円)の中間配当を MJTD から 受け取った。直近の配当実施日では、MTSH は TPD からの配当は受け取っていない。

過去の配当

2015 年 12 月 18 日の年次総会で、MTSH は 1 株当たり額面の 20%、すなわち 1 株当たり 2,000 チャット (167 円)の配当金を発表した。この配当は、2015 年 11 月 23 日に株主名簿上の株主に同社の無制限利益剰余 金から支払われた。

(10)

株式資本と株主

ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH)は、2013 年 5 月 3 日、ミャンマーで設立された。 直近の実施日、同社の授権資本は、5,000 億チャット(約 418 億円)が 5,000 万株に分割され、1 株 10,000 チャット(835 円)である。発行済および払込資本の合計は 389 億 2,915 万チャット(約 32 億 5,000 万円) で3,892,915 株に分割されている。45% (1,755,900 株) が主要株主に保有され、55% (2,137,015 株) が一 般投資家に保有されている。

主要株主

当初、主要株主は1,179,000 株、すなわち 117 億 9,000 万チャット(約 9 億 8,400 万円)を取得した。さら に、これらの株主は576,000 株に対して 57 億 6,000 万チャット(約 4 億 8,000 万円)を追加取得した。 その結果、主要株主の合計応募額は1 株あたり 10,000 チャット(835 円)で 1,755,000 株の総額 175 億 5,000 万チャット(約 14 億 6,500 万円)となった。

株式公開

2014 年 3 月、MTSH は初めて新株式の募集をした。合計 2,145,000 株で、1 株当たり 10,000 チャット(835 円)である。募集終了後、払込資本金は 389 億 2,915 万チャット(約 32 億 5,000 万円)に増加した(1 株あ たり10,000 チャット(835 円)で 3,892,915 株)。

図表 6: 株式公開前株主構成 図表 7: 株式公開後 (16 年 3 月 14 日) 株主構成

Golden Land East Asia Development Ltd. First Myanmar Investment Co., Ltd.

Myanmar Sugar

Development Plc. Myanmar Edible Oil Industrial Plc.

Myanmar Agricultural & General Development Plc. National Development Company Group Ltd. New City Development Public Company Ltd. Myanmar Technologies and Investment Corporation Ltd. Myanmar Agribusiness Plc. 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの目論見書(2016年2月24日付)

図表 8: 株式募集 (PO) 概要 2014 年 2 月 27 日

会社名 ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH) 額面価格 1株あたり10,000 チャット(835円) 募集形態 ミャンマー市民とミャンマー市民100%所有企業に対する株式公開 募集規模 2,145,000 新規発行株式 資金使途 事業拡大と運転資金 公募価格 1株あたり10,000 チャット(835円) 備考 合弁会社の41%を取得、ティラワSEZ A区開発、運転資本目的 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの目論見書(2016年2月24日付)、KT ZMICOリサーチ 11.1% 11.1% 11.1% 11.1% 1179 万株 11.1% 11.1% 11.1% 11.1% 11.1% 389 万株

(11)

ヤンゴン証券取引所への上場

MTSHは2016年5月20日、ヤンゴン証券取引所(YSX)に上場した。上場株式総数は、389億2,015万チャット (約32億5,000万円)で3,892,915株に分割した。同社の主要株主が保有する株式は45%に当たる1,755,900 株で一般投資家が保有する株式は55%の2,137,015株である。 上場の目的は、株主が現行市場価格で株式を売買することを可能とすることで、株主が真の株式価値を認識 できるようにすることである。上場により、株主に対するMTSHの透明性と説明責任を徹底することになる。 同社は、新規上場申請日までの6カ月間には株式を発行していないため、株式はヤンゴン証券取引所証券上 場業務規制で指定されたロックアップ期間の対象となっていない。

図表 9: 上場後 (2016 年 5 月 20 日) 株主構成

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016 年 5 月 6 日付)

図表 10: 2016 年 5 月 20 日 MTSH 上場概要

会社名 ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス(MTSH) 額面価格 1株あたり10,000 チャット(835円) 上場 額面10,000チャット(835円)で発行会社の発行済株式総数の100.0%である 3,892,915株を上場。上場で割当もしくは発行される株式はない。したがって、上場 の結果、発行済株式総数に変更はない。 当初上場価格 1株当たり40,500チャット(約3,382円) 株式の所有および 購入資格 ミャンマー市民とミャンマー市民により100%所有される企業のみが、株式を所有す る資格があり、現在保有されている株式は、ミャンマー市民またはミャンマー市民 が100%所有する会社にのみに売却、または移管することができる。ミャンマーの適 用法により許可されれば、当該株式は外国人または外国企業に売却、または移管す ることができる。 上場目的 上場により、株主は株式を市場価格で売買することができ、これにより株主は真の 株式価値を認識することができる。 上場により、同社の株主に対する透明性と説明 責任が強化される。 ロックアップ期間無し 同社は、新規上場申請日までの6か月以内に株式を発行していないため、株式はヤン ゴン証券取引所上場業務規制で指定されたロックアップ期間の対象となっていな い。 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016年5月6日付)

(12)

ティラワ経済特別区の概要

ティラワ経済特別区はミャンマー初の経済特別区(SEZ)であり、ミャンマーと日本の政府が支援する重要 なプロジェクトである。ミャンマー政府は経済特別区域としてティラワに2,400ヘクタールの土地を割り当 てた。 ティラワ経済特別区A区フェーズ1が終了し、2015年9月23日にグランドオープニングセレモニーが開催さ れた。A区は、フェーズ1が211ヘクタール、フェーズ2が150ヘクタール、住宅と商業地区が35ヘクタールと いう総面積396ヘクタールに及ぶ3つのフェーズで開発された。フェーズ1は2013年11月30日に着手され、 開発プロジェクトが順次進められている。ティラワ経済特別区A区の開発の成功と工業用地が貸し出された ことを受け、MJTDの株主はA区のオープニングセレモニー中の2015年9月23日に、追加500-700ヘクタール のティラワ経済特別区B区の開発に関する覚書に署名することで合意した。ティラワ経済特別区B区の開発は、 設計がなされ、土地選定や環境影響評価調査が実施されている。 図表 11: グランドオープニングセレモニー 2015 年 9 月 23 日 図表 12: ティラワ SEZ A 区 グランドオープニングセレモニー 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス

A 区開発計画

ティラワのA区プロジェクトは、次の3つのビジネス地域で開発されている。

工業地域: 長期的に投資家に土地を賃貸することを目的とした工業団地の開発。投資家は、自らの工場 や施設を建設する。 •レンタル工場: 投資家に賃貸する工場を建設し、毎月または他の期間毎に賃料が支払われる短期のリース •不動産開発: MSTHの子会社であるTPDにより開発される区域内の投資家と、従業員用の住宅及び商業プ ロジェクトの開発

(13)

図表 13: A 区開発計画

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016 年 5 月 6 日付) A区プロジェクトの総開発面積は396ヘクタールで、販売可能面積は319ヘクタールである。 開発地域は別々のフェーズに分かれている。

図表 14: A 区開発フェーズ

フェーズ 1 フェーズ 2 住宅・商業 複合施設 合計 工場建設 (ヘクタール) 211 150 35 396 住宅地用 (ヘクタール) 169 122 35 326 ショッピング施設建設 (ヘクタール) 0 5 0 5 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016年5月6日付) 販売可能地域は投資家にリースされる工業用地とレンタル工場である。直近の実行可能日では、売却可能な 総面積のうち247.1 ヘクタール、つまり、76.5%がリースされている。開発地域は、公共インフラ、公共サ ービス、その他共有の施設に開発される共通の地域を含む土地である。開発地域は投資家にはリースされて いない。A 区のプロジェクトはまた、合計約 35 ヘクタールになる住宅区と商業区を含む。

開発のタイミング

フェーズ1の建設は、正式に2013年11月30日に着手され、2015年8月に竣工した(2015年から10年超にわ たり建設されるレンタル工場を除く)。下記に記載されているフェーズ2と住宅・商業区の建設期間と販売 期間は目安であり、変更される可能性がある。特に、販売期間中の実際の販売や、インフラと公共設備(電 気、水道等)の供給状況に応じて変わる可能性がある。

図表 15: 開発のタイミング

工期 販売期間 竣工時期 フェーズ1 13年11月-15年8月 14-16年 15年8月 フェーズ2 14年10月-16年 16-18年 16年7月 住宅・商業複合施設 15-20年 15-20年 20年4月 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016年5月6日付) A 区プロジェクト 不動産開発(住宅・商業複合施設) 工業地域 レンタル工場 • 投資家に賃貸する工 場を建設 • 毎月又は定期的に賃 料が支払われる短期 のリース • ティラワSEZ 区域内の従業員の住居と 工場勤務者向けの宿舎及び住宅・商業 複合施設の開発 • 長期的に投資家に自 らの工場や施設の建 設のための土地を賃 貸することを目的と した工業団地の開発

(14)

(100 チャット=8.35 円で換算) 14 / 40

A 区プロジェクトの給水システムのインフラと設備

給水システム

ティラワ経済特別区A区の水源は、ティラワ経済特別区の近くにあるZarmani貯水地からのもので、浄水場で処理され る。浄水場からは1日総容量6,000㎥が提供され、この量は将来的に増大されることになる。

下水処理システム

下水処理場の総容量は1日4,800㎥であり、今後拡大される。

電力供給システム

電力はタンリン変電所から33KVでのループ配電方式である。ミャンマー政府は、50メガワットの発電所を建設する予 定である。住友商事は、ミャンマー政府により認められた2つの火力発電施設に関する50億円(約4,140万ドル)の契約 を獲得した。この2つの火力発電所はティラワ経済特別区に隣接して建設され、2016年7月までに完全稼働する。

通信

ティラワ経済特別区には、区域内に光ファイバーケーブルネットワークが設置される計画である。

廃棄物処理施設

この施設は日本企業が運営している。ティラワ経済特別区の他の開発作業は進行中であるが、下記の案件を含むそれ らの作業は日本政府の政府開発援助(ODA)基金から認可を受けてミャンマー政府により管理されている。 •50メガワットの発電所とガスパイプラインの建設 •タンリン橋からティラワ経済特別区までの道路拡張 •海港建設 •水供給システムの拡大 •光ファイバーケーブルネットワークの敷設

図表 16: 給水システム

図表 17: 下水処理システム

出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社 出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社

(15)

(100 チャット=8.35 円で換算) 15 / 40

図表 18: 電力供給システム

図表 19: 廃棄物処理施設

出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社 出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社

土地利用計画とリース期間

A 区に利用される土地面積は、396 ヘクタールで、35 ヘクタールの住宅・商業地を含む。フェーズ1の面積は 211 ヘク タールである。フェーズ2 の面積は、150 ヘクタールである。リース期間は 2014 年から 2064 年までであるが、更に 25 年間延長される可能性がある。

図表 20: ティラワ A 区のレイアウトと土地利用計画 (396 ヘクタール)/978.12 エーカー

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス

(16)

(100 チャット=8.35 円で換算) 16 / 40

税制優遇措置

ティラワ経済特別区では、投資家に多くの免税が適用される。2014 年のミャンマー経済特別地区法に基づき、自由地 区とプロモーション地区の両方の事業で、自由地区では最初の7 年間、プロモーション地区では最初の 5 年間、所得 税の免除を受ける。この期間を過ぎてからは5 年間 50%の免税となる。さらにその後も 50%の免税は引き続き延長 が可能である。その上、ティラワ経済特別区の投資家は、輸入する資本財について関税やその他の税金が免除される。 自由地区の投資家は原材料の輸入に対しても関税や商業税が免除される。このような免税により、企業は、管理コス トと建設コストの両方を低く抑えることができる。ティラワの投資家には、最大75 年間(25 年間の延長オプション付 きの50 年間)土地をリースできること、職員の研修や研究開発のための税額控除や商業税の免除など他にも優遇点が ある。これらはすべてティラワを、投資家が事業を行い可能な限り利益を上げられる最適な場所にするためである。

表 21: 税制優遇措置

ティラワ特別経済区 (SEZ) フリーゾーン プロモーションゾーン 法人税等 税額控除 50%免除 (税額控除期間終了後) 7年 5年 5年 5年 輸入関税 建設資材輸入・製造設備 輸入原材料 免税 免税 プロジェクト開始から5年間は免税+連続する5年間 は輸出額に応じて還付制度あり。 借地契約 投資規模問わず 50年 + 25年 = 75年 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス

ティラワの投資政策

ティラワSEZ管理委員会(TSMC)によると、ティラワの投資政策は、A区とB区で異なる。A区で事業を計画している 投資家は主として次の点を考慮されている。 (1) 従業員数 (2) 投資価値 (3) 輸出水準 (4) ミャンマーにとって新しい技術であるか (5) 投資家は評判がよく透明性のある企業であるか (6) 1ヘクタールあたりの投資 (7) 1ヘクタールあたりの従業員数 (8) 水使用量レベル (9) 電気使用量レベル 定量的測定システムにより、各投資家は投資免許を得るための (優先順位に基づいて計算された) 適切なレベルの加重 平均ポイントを得ることとなる。したがって、投資家は短期間でA区の免許の承認を得てきた。技術開発やミャンマ ーへの商品により貢献するべく投資家は、ミャンマーへの輸出志向の投資家や国内市場志向の投資家から製造業者や 商社まで多岐にわたる。そういった技術や商品はまた、輸入する品物やサービスにとって代わることになり、既存・ 将来の投資家に有利になることで投資を促進する。 B区については、TSMCの第1フェーズの投資政策は、労働集約的な産業および/または輸出志向の産業や経済特別区 外の企業に関連する産業を優先することである。

(17)

(100 チャット=8.35 円で換算) 17 / 40

工業団地: ティラワ経済特別区 A 区での販売状況

ティラワ経済特別区は、ヤンゴン市の南東23キロに位置し、総面積2,400ヘクタールの敷地がある。2016年5月6日の 上場時のMTSHの開示書類によると、2016年1月12日現在MJTDはA区プロジェクトの販売可能面積の247.1ヘクター ル、すなわち、販売可能総面積の76.5%について56社と共に予約書に署名した。 TSMCは56社(日本25社、台湾5社、タイ4社、ミャンマー3社、マレーシア3社、ベトナム2社、米国1社、中国1社、フ ランス1社、スウェーデン1社、シンガポール1社、韓国1社、香港1社、ミャンマー+日本4社、ミャンマー+タイ3社、 ミャンマー+オーストラリア1社)のうち、48社に投資許可を与えている。投資許可を得た48社のうち43社はすでに MJTDと土地リース契約を締結している。工場建設を始めた企業は18社である。 ティラワでの主要な投資分野は製造業であり、人件費の低さと優遇措置が魅力的である。ティラワ投資に関心のある 産業には基本衣料品、鉄鋼製品、電子製品が含まれる。A区プロジェクトは2,221人の雇用機会を創出している。同社 は2018年にはA区のプロジェクトで少なくとも4万人の雇用機会があると予想している。 図表 22: 国別ティラワ進出企業の割合(2016 年 1 月 1 日) 図表 23: ティラワの顧客状況 出所: ティラワSEZ 運営委員会 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの上場時開示書類 (2016 年5 月6 日付) 図表 24: 事業活動別ティラワ投資(2016 年 1 月 1 日) 図表 25: 事業別ティラワ投資 (2016 年 1 月 1 日) 出所: ティラワSEZ 運営委員会 出所: ティラワSEZ 運営委員会 シンガポール 20% 日本 43% 香港8% タイ6% マ レ ー シ ア 4% ミャンマー6% その他 12% サービス 22% 製造及びサ ービス4% 製造 73% 物流 建設サポート 予約契約を締結済みの企業数 56 投資許可を受けた企業数 48 MJTD と土地リース契約を締結済みの企業数 43 営業を開始した企 業数 6 工場建設を始めた 企業数 18

(18)

(100 チャット=8.35 円で換算) 18 / 40

不動産開発: ティラワ経済特別区の住宅・商業地区

TPDは、ティラワ経済特別区とティラワ貯水池の間に位置するThilawa Development Roadに沿う35ヘクタールの土 地を取得し、有数の都市開発地域にした。建設は2014年4月26日に始まり、35ヘクタール全体の土地等級付けが完了 した。 TPDは、ティラワ経済特別区において快適で究極的な生活コミュニティを創る計画であるが、それには戸建て住宅、 コンドミニアム、サービスアパートメント、従業員用宿泊施設、多目的ホール、ショッピングモール、オフィスビル、 警察・消防署、銀行、ガソリンスタンド、診療所、ホテル、地区センター、レストラン、学校が含まれる。TPDは、 これらのプロジェクトを単独あるいは他の投資家と共同開発する予定である。

図表 26: 住宅・商業地区

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス TPDは、ティラワ経済特別区での快適な居住施設を従業員に提供しかつ地区内の工場にアクセスが容易な社員寮の建 設を優先させている。また、TPD はティラワ経済特別区内の商業開発のため、店舗、オフィスビル、ショッピングモ ールの建設も始めている。これにより、従業員が再配置され計画が既に作成されている住宅開発の需要が喚起される。 TPDは、住宅・商業地のプロジェクト開発に伴いオープンな国際基準の入札を実施した。これらのプロジェクトは以 下の通り落札された。

図表 27: 落札済み TPD プロジェクト

プロジェクト名 公表入札日 落札者

労働者居住設備 14年11月3日 Super Home Co. Ltd. Myint Myat Thu Co. Ltd. Dagon Construction Co. Ltd. 道路、プラットホーム及び下水設備 15年3月29日 Zaw Htet Paing Co. Ltd.

Myint Myat Thu Co. Ltd. 下水処理場 15年7月21日 Tesco Myanmar Co Ltd.

(19)

(100 チャット=8.35 円で換算) 19 / 40

図表 28: 従業員居住施設

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス

図表 29: サービスアパートメント

(20)

(100 チャット=8.35 円で換算) 20 / 40

図表 30: 店舗とホテル

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス

今後の拡張プロジェクト: B区開発計画

B 区プロジェクトは MTSH の拡張計画であるが、それにはティラワ経済特別区内の他の工業団地開発も含む。B 区プ ロジェクトは約500-700 ヘクタールの地域におよび、同プロジェクト開発は 2016 年末までに着工する予定である。 B 区プロジェクトの開発は未だ計画段階にあり、同プロジェクトを含む MTSH の今後の拡張計画が始動する保証はな い。

競争力

ティラワ経済特別区の戦略的立地

A 区プロジェクトがあるティラワ経済特別区は、ヤンゴン市とヤンゴン港から約 25 キロに位置する。 ここはミャンマーの商業及び工業の中心地で、ミャンマーの対外貿易の大部分を担っている。ティラワ経済特別区に はインフラ及び国際物流センターがあり、それは投資家が内外の物流手配(輸出入)が関連する事業を行う際、利便 性を高めている。 ティラワ経済特別区は、ヤンゴン川沿いのコンテナ港(ティラワ港)にアクセスできる環状道路で囲まれている。ヤ ンゴン市からティラワ経済特別区にアクセスするには、タンリン橋経由の道路とダゴン橋を渡る道路の二通りがある。 主要な深水港であるティラワ港は、ティラワ経済特別区に隣接しているため、輸出入貨物の輸送時間を短縮できる。 さらに、空港もティラワ経済特別区から約30 キロのところにあり、投資家の頻繁な移動や航空貨物の輸送に好都合な 環境である。

(21)

(100 チャット=8.35 円で換算) 21 / 40

図表 31: ティラワ経済特別区(SEZ) と A 区地域の地図

出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社

図表 32: 中心地からの距離

出発地点 距離 所要時間 ヤンゴン国際空港からの距離 ヤンゴン市中心部からの距離 ティラワ港からの距離 約 30km/25マイル 約25km/15.5マイル 約4.6km/2.9マイル 1時間 45分 5分 出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社 ティラワ経済特別区はミャンマーの経済特区の1 つで、他にはチャオピュー経済特別区とダウェー経済特別区開発の 2 つの主要プロジェクトがある。さらに、ヤンゴンで開発されている他の工業地帯もある。したがって、上記の2経 済特別区及びヤンゴン工業地帯は、ミャンマーでの外国投資の対象となる可能性があり、投資家がミャンマーで事業 展開する際の選択肢になるであろう。

(22)

(100 チャット=8.35 円で換算) 22 / 40 しかし、3 つの経済特区のうち、ティラワ経済特別区はヤンゴンで唯一の経済特別区である一方、他の 2 つの経済特 別区は地理的にティラワ経済特別区から遠く離れているため同ティラワ経済特別区にとっては直接的な脅威とはなら ない。 住宅及び商業地に関しては、潜在的に競合相手となるのはスター・シティ・プロジェクトといったティラワ地区にあ る他の住宅及び商業開発である(同プロジェクトは20 キロ離れた 465 エーカーの土地で 9,000 超の住宅ユニットを 計画中)。

豊富で安価な人材

ヤンゴン首都圏に位置するティラワ経済特区は、豊富な労働力とすぐれた市場アクセス等の利点がある。さらに、ミ ャンマー政府は、その早期開発を優先させる意向を表明している。 ミャンマーでは生産年齢層が厚いが、特に労働年齢人口全体の44%を占めている24歳未満が多い。ミャンマーの賃金 は月約83ドルとベトナムの約半分で、ラオスやカンボジアをもそれぞれ29%、50%下回っている。

図表 33: ティラワ SEZ 周辺の人口

出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社

ミャンマー政府と日本政府の支援

ティラワ経済特別区の発展はミャンマー政府と日本政府のコンソーシアムにより支援されている。ミャンマー政府は、 同国で初となる国際基準の経済特別区である同地区が急速に発展し国の経済が活性化することを望んでいる。

(23)

(100 チャット=8.35 円で換算) 23 / 40

デベロッパーのコンソーシアムによる強力な支援

ミャンマーのコンソーシアムを組成するメンバーは、ミャンマーでの事業展開の経験が豊富で営業環境を熟知する公 開会社の発起人で構成されている。日本のコンソーシアム・メンバーである三菱商事、丸紅、住友商事は、様々な分 野でグローバルにビジネス展開をする日本最大手のコングロマリットである。上記三社は、ティラワA 区開発の合弁 事業及び今後のB 区プロジェクトに対し技術的専門知識、ノウハウや国際的にベストな商慣行をもたらすことになる。

製造拠点になる可能性

ミャンマーの製造業部門は、輸出販売のための衣料等、低技能労働者による製品の安価な生産コストを追及する外国 企業の誘致を促している。 DICA(ミャンマー計画財務相投資企業管理局)の 2016 年 3 月末の統計によると、製造業への外国投資額は、石油・ ガス、電力部門に次いで第3 位となっている。製造業の累積投資額は 2002/03 年の 16 億米ドルから 2016 年 3 月には 66 億米ドルに増加した。力強い経済成長と外国投資が継続することにより、ミャンマーの製造業は今後も拡大するこ とが見込まれる。このことは、経済特別区における主な工場用地需要が中規模産業・軽工業からのものが中心である ため、ティラワ経済特別区へ恩恵をもたらすことになる(同産業・工業には自動車、自動車部品、電気・電子部品に 加え、衣類・履物・手袋等の労働集約型産業が含まれる)。

(24)

(100 チャット=8.35 円で換算) 24 / 40 図表 34: セクター別ミャンマー累積承認額 2016 年 3 月現在 (百万米ドル) 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 石油・ガス 電力 製造 運輸・輸送 鉱業 不動産 ホテル及び観光 その他 出所: ミャンマー計画財務相投資企業管理局(DICA) 2016 年 3 月 16 日付資料 図表 35: 製造業におけるミャンマー 外国投資累積承認額 百万 米ドル 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 出所: ミャンマー計画財務相投資企業管理局(DICA) 2016 年 3 月 16 日付資料

高度なインフラ

他の工業地帯や経済特区と比較した場合、ティラワ経済特別区には、製造活動を担う工業団地としての魅力 を大幅に際立たせるインフラと設備が存在する。それはまた、A区プロジェクト、住宅・商業地や今後のB区 プロジェクトが成功する可能性を高めることにもなる。

効率的なワンストップ・サービス

ティラワ経済特別区では、政府許可と承認の申請(投資許可、会社登録、輸出入申告、税務登録、数次入国 ビザ、滞在許可証等)を、すべてティラワ・ワンストップ・サービスセンターを通じて行うことができる。 投資家は、他の政府機関や省庁に出向く必要はなく、必要とする承認、許可、公共サービスはすべてワンス トップ・サービスセンターで入手可能である。 ティラワ経済特別区のワンストップ・サービスセンターは、政府の許可や承認を取得するための煩雑な申請 手続きを簡素化する; その結果、投資家への魅力を高め、A 区プロジェクト、住宅・商業地や今後の B 区 プロジェクトが成功する可能性を高めることになる。

拡大と成長の可能性

MTSH は、子会社である TPD を通して不動産開発プロジェクトを推進するが、同子会社は A 区プロジェク トの住宅・商業地や今後のB区プロジェクトを構成する。MTSH は、不動産開発プロジェクトは多額の収益 を生み出し中期的に同社の成長を約束するものと見ている。

(25)

業績

収益は、主に MTJT と TPD の営業結果に依存

MTSH の主要な事業活動は、合弁会社である MJTD(41% 出資)及び子会社の TPD(100% 出資)への投資の 持ち分利益並びにティラワA 区のマーケティング・販売からの収益に依存する。したがって、同社の業績は、 MJTD と TPD の営業結果に密接に結びついている。 具体的には、MTSH の収益源は以下の通りである。 i) MJTD と TPD 其々の不動産活動から分配の配当金。 ii) A 区物件のマーケティング・販売、リース及び/又は処分から得た手数料。 iii) MJTD への管理サービスの提供。 MJTD の収益構造は、土地売却、レンタル工場収入、管理手数料の3つに区分される。

事業開始直後で開発中のため、13 年/14 年は純損失を計上

MTSH は 2013 年 5 月 3 日に設立された。初年度の 13 年/14 年は、ティラワ A 区が開発中でもあり 4 億 6,400 万チャット(約 3,900 万円)の純損失での船出となった。したがって、収益はない一方、同社は 4 億6,400 万チャット(約 3,900 万円)の経費を計上し、1 億 1,100 万チャット(約 927 万円)の持ち分損失 を実現しなければならなかった。

2013 年に事業開始後、14 年/15 年の収益は増加

MTSH の 14 年/15 年の純利益は 162 億チャット(約 13 億 5,300 万円)と、13 年/14 年の純損失から大幅に 改善した。これは、同社が以下の収益を認識し始めた結果である。 i) 純管理費 8 億 2,600 万チャット(約 6,900 万円) ii) ティラワA 区のマーケティング・販売による純販売手数料 11 億 7,000 万チャット(約 9,800 万円) 同社はまた19 億チャット(約 1 億 5,900 万円)の利息を受け取った。MJTD からの持ち分利益は 143 億 5,000 万チャット(約11 億 9,800 万円)で、これは 1 億 1,100 万チャット(約 927 万円)の純持ち分損失が発生 した営業初年度からの改善である。この収益の向上はA 区プロジェクトが完了したことと MJTD が A 区物 件から受け取った賃貸収入によるものである。MTSH は 6 億 4,450 万チャット(約 5,400 万円)の所得税費 用を認識したが、13 年/14 年には純損失が発生し所得税費用がなかった。

MTSH の 15 年/16 年―17 年/18 年財務予測

当社の財務予測データ不足のため、本章の業績見通しは、2016 年 5 月 6 日付け上場書類で開示された MTSH の15 年/16 年―17 年/18 年の財務予測データに基づく。

15 年/ 16 年業績予想

15 年/16 年の当期純利益は 14 年/15 年より 11.3%増加して 180 億チャット(約 15 億 300 万円)、と MTSH は 予想している。これは主として、総売上高が14 年/15 年の 39 億 6,000 万チャット(約 3 億 3,000 万円)か ら 145 億 7,000 万チャット(約 12 億 1,600 万円)へと前年比 344.5%増加したことによる。この収入源は、 MTSH の純管理料、ティラワ A 区のマーケティング・販売の約 27 億チャット(前年比 37.9%増)及び TPD からの売上高である610 億チャット(約 50 億 9,000 万円)である。一方、MJTD からの持ち分利益は、主 にコスト/費用が増加したため、前年比 18.1%減少して 117 億チャット(約 9 億 7,700 万円)となる。

(26)

16 年/ 17 年と 17 年/18 年の業績予想

16 年/17 年の当期純利益は前年比 15%減少の 153 億チャット(約 12 億 7,700 万円)と、MTSH は予想する。 これは、主にMTSH の販売手数料と管理手数料が減少したことが要因であるが、更に A 区プロジェクトで の売却可能な土地の減少でMJTD からの持ち分利益が前年比 30%減の 820 億チャット(約 68 億 4,700 万円) となったことも拍車を掛けた。一方、TPD は工事進行基準でプロジェクト収益を認識するため、TPD の売 上高は前年比540.8%増の 391 億チャット(約 32 億 6,500 万円)と、同社は見込む。同社の売上総利益率は 29.1%で、売り上げに対する販売費及び一般管理費率は 4.8%となる。 17 年/18 年の当期純利益は前年比 4.7%増の 161 億チャット(約 13 億 4,400 万円)、と MTSH は予想する。 業績は主にTPD の収益の回復によるもので、同社は TPD の売上高は前年比 39%増加すると予想している。 一方、MJTD からの持ち分利益は前年比 7.3%減少の 76 億チャット(約 6 億 3,400 万円)と予測される(B 区 プロジェクトの土地売却の開始直後であるため)。同社の平均売上総利益率は 24.3%、売上高に対する販売 費及び一般管理費率は3.7%となる。

上記 16 年/17 年―17 年/18 年の予測に際し、MTSH は以下を前提にしている。

 MJTD からの収益

• 16年/17年管理手数料は前年比41%減の16億チャット(約1億3,300万円)と、MTSHは予想している。 総販売手数料はA区プロジェクトで60ヘクタールの残りの販売可能地域用のサブリース契約の価値か ら計算できる。一方、MTSHは17年/18年については前年比8.8%増の17億チャット(1億4,200万円) と予測するが、これはB区プロジェクトのフェーズ1で60ヘクタールのサブリース契約の価値から算 出される(1平方メートル当たり7.0%の超過販売価格で計算)。 • 年間管理手数料として65万6,000米ドル(約7億6,700万チャット / 約6,400万円)が予測されるが、こ れはMJTD合弁契約と管理契約に基づき固定で2年間発生することを前提とする。

 TPD からの収益

• 16年/17年のTPDの収益はプロジェクト・スケジュールに基づき予測されるが、それは3-4星ホテル、 ガソリンスタンド、ミニマーケット、レストラン、診療所用の土地リース契約が締結されることを前 提とする。土地リースに関するインフラは2016年末に完成する見込みで、TPDは土地リースを問い合 わせる潜在的な顧客を持っている。店舗の販売も16年/17年中に100%の売り上げが達成される。プロ ジェクト・スケジュールによると、従業員の宿泊施設、レークビュー・コンドミニアム、南向きコン ドミニアム、ショッピングモール/事務所、サービスアパートメントは、A区で部分的に完成し、その 売り上げは工事進行基準で認識される。 • 17年/18年のTPDの収益は、以下を前提とする: 二世帯用マンション、ヴィラ、アパートメント、学 校、地区センターが100%完成; A区プロジェクトで従業員の宿泊施設、レークビュー・コンドミニ アム、南向きコンドミニアム、ショッピングモール/事務所、サービスアパートメントが部分的に完成;B 区フェーズ1での物流および住宅・商業区はプロジェクト・スケジュール通り一部完成。MTSHは、16 年/17年と17年/18年にビル3棟の従業員宿泊施設から月次賃料を想定している。 • 売上高と費用/コスト(用地費+インフラ・コスト+建設費)は工事進行基準により認識される。 • MJTDからの持ち分利益は、16年/17年前年比30%減の82億チャット(約6億8,500万円)、17年/18年 は前年比7.3%減で76億チャット(約6億3,500万円)となる。

(27)

(100 チャット=8.35 円で換算) 27 / 40 販売手数料及び運営手数料 TPD からの収益 その他収入 • 16年/17年と17年/18年の一般管理費および間接経費は毎年5%増加する。 • 16年/17年と17年/18年の販売促進費は、販売手数料収入の3分の1がマーケティングに使われる前提で 予測される。 • 資金調達は無くそのコストはなしと想定。 • 16年/ 17年と17年/18年には、MTSHは予測損益で純損失が予想されるため、法人所得税は発生しない ものと想定している。さらに、2014年経済特別区法に基づく税務優遇措置により、TPDには所得税の 納税義務はないものと想定されている。 • TPDの財務諸表はMTSHに連結されるが、それは2016年3月30日にTSMCとの間で締結されたTPD合 弁契約書の履行により、16年/17年―17年/18年の期間は常にMTSHのTPDに対する持ち分は80%であ るとの前提に基づく。 • 16年/17年―17年/18年の期間、MTSHの株主に支払われる配当は無いだろう。 図表 36: 連結売上高セグメント 図表 37: 連結売上高比率 Kyat mn 59,500 Kyat mn 60,000 49,500 50,000 39,500 29,500 19,500 9,500 -500 40,000 30,000 20,000 10,000 0

2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E

販売手数料及び運営手数料 TPD からの収益 その他収入 総収益 JV からの損益の割合 図表 38: MTSH の業績予測 (TPD と MJTD を除く) 図表 39: TPD の業績予測 百万 チャット チャット 百万 -500

2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E ‐500

2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E

13,500 3,500 3,000 11,500 2,500 9,500 2,000 7,500 1,500 5,500 1,000 500 0 -500 3,500 1,500

2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E

出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付) 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付) 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付) 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付) -500 -500

(28)

(100 チャット=8.35 円で換算) 28 / 40 14,34 7 11,74 6 8,21 7 7,617 図表 40: 合弁会社 (MJTD)持ち分損益 図表 41: MTSH 連結収益予測 百万 チャット 15,500 13,500 11,500 9,500 7,500 5,500 3,500 1,500 -500 -111 百万 チャット 19,000 17,000 15,000 13,000 11,000 9,000 7,000 5,000 3,000 1,000 -1,000 -464 16,217 18,044 15,339 16,056

財務状況

実質手元資金が潤沢な貸借対照表

2015年3月31日末のMTSHの貸借対照表は、実質的な手元資金が潤沢であった。2014年2月、同社は214 億5,000万チャット(約17億9,100万円)の公募増資により資金調達済みであり、無借金体質である。 2015年12月、MTSHはMJTDから約71億7,000万チャット(約5億9,900万円)の中間配当を受けとり、その 結果キャッシュフローは214億7,000チャット(約17億9,300万円)の黒字となった。16年/17年、MTSHは 約71億7,000チャット(約5億9,900万円)の配当を見込むが、これは15年/16年と同額である。しかし、MJTD が将来のB区プロジェクトに利益を再投資する予定であるため、17年/18年にMTSHはMJTDからの配当は ないと見ている。 17年/18年、MTSHは233億チャット(約19億4,500万円)の現金赤字になると予測する。これは、TPDが住 宅・商業地の開発に資金が必要なためである。現金赤字は出資金か銀行借り入れ(もしくはその両方)で 埋め合わせる見込みだが、それは資本コストおよび効率性を念頭に同社の取締役会で更に検討し、最終的 にはその決議次第である。 図表 42: 資産と負債 図表 43: MTSH の予算 連結キャッシュフロー計算 百万 チャット 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 2013/14 2014/15 株主総資本' 総負債 流動負債合計 総資産 流動資産合計 出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングス

2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E 2013/14 2014/15 2015/16E 2016/17E 2017/18E

出所: ミャンマー・ティラワSEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016年5月6日付) 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付) 出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時 開示書類(2016 年 5 月 6 日付)

(29)

ミャンマーの経済

ミャンマーの経済

ミャンマーは、2015年末に発足するASEAN経済共同体(AEC)の加盟国である。AECは、地域協力と貿 易を促進することを目指している。これによりミャンマーは、周辺諸国の不可欠なハブと生産拠点として その地位を確立する機会を得るだろう。 IMFのデータによると、ミャンマーの実質GDP成長率は、2013年は7.8%から8.4%に2014年は8.5%から 8.7%に上方修正された。成長が加速したのは、製造、建設、観光業及び天然ガス生産を始めとする各業種 で設備投資が増加し、業績も向上したからである。 過去3年間にわたり政治的、経済的、財政的、社会的に幅広く改革が進んだことで、ミャンマーの経済は 自由化され外国投資家はミャンマー市場にアクセスすることが可能になった。2014年経済特別区法は外国 投資家に対し更なる刺激策を提供し、税制改革により所得税が大幅に引き下げられた。係る改革を経た結 果、ミャンマーのGDP成長率は2013年には7.5%(アジア開発銀行調べ)に増加し、2015年までに8%を超 えると予想される。

ここ数年で FDI が増加

ミャンマー産業協会会長は、新政権が国の競争力の向上を図るため外国投資の急増を予想している。衣料 や履物等の労働集約型産業及び農業や食品加工といった物資ベースの産業は、今後数年間は外国投資流入 の受け皿の中心となるだろう。 ミャンマー投資委員会によると、外国直接投資(FDI)は、2015年3月末終了の年度(2014年/2015年)に ほぼ倍加の80億米ドルとなり、2016年3月31日終了の年度(2015年/2016年)に更に18%増加し95億米ドル となる見込みである。15年/16年にミャンマーに投資する外国勢はシンガポール、中国、オランダ企業であ った。 過去25年間にわたり、ミャンマー経済は近隣諸国(特に、中国、シンガポール、タイ3か国の大手投資家) に依存しており、その総額は2016年3月末で合計FDI承認額の65%に相当する416億ドルであった。ミャン マーのFDIは主に石油・ガス、電力、製造業で約487億ドルに上り、これらはFDI承認額の76%を占める。

投資自由化

新外国投資法は、工業団地と経済特別区の開発を通じて製造業、不動産業、通信業への投資を促すため、 2012年に施行された。2015年12月、連合議会は2012年外国投資法と2013年ミャンマー市民投資法を統合 した新外国投資法を承認した。同法律の主な改正点は、国や地方自治体に更なる関与を認めるものである が、その対象は投資、地区別税制優遇措置あるいは将来の投資プロジェクトに向けた一定の人権擁護など である。新法は、投資環境を整備し外国投資保護を保証するものである。新たな業績に基づく税制優遇措 置が導入され地区制が施行されることから、地方プロジェクトに更に優遇措置を講じることになる。ミャ ンマー計画財務省アウン・ナイン・ウー局長は、改正投資法が2016年初めに終了すると予想する。外国投 資法と国内投資法は、OECDの勧告に従い統合される見込みである。

成長には最適な人口動態プロフィール

労働集約型の製造業者はミャンマーでの事業展開に興味を持っているが、それはタイや中国といった近隣 諸国と比較して豊富な労働力と低賃金という利点があるからである。従って、ミャンマーはより低い労働 コストを追及する製造業者の移転により恩恵を受けることになるだろう。 最新の世界開発データによると、ミャンマーの労働力は約3,100万人である。労働年齢層(15-64歳)のシェ アは全体の約70%であり、ASEAN加盟10か国の中で5番目に高い。さらに、労働年齢人口の約40%が15 歳から29歳で、女性は労働力のほぼ半分を占めている。

(30)

日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、ミャンマーの賃金は地域で最も低水準である。しかし、ミ ャンマーの労働力は一般に熟練度が低く雇用者が熟練労働者を探すのは困難である。従って、労働生産性 を改善する必要があるが、このことは労働集約型製造の誘致に寄与することになる。 ミャンマー政府は初めて国民最低賃金を設定し、2015年9月1日に有効となった。労働者は標準的な8時間 労働で少なくとも3,600チャット(現在の為替レートで2.80米ドル/300円)の賃金が支払われることになる。 新賃金基準では、ミャンマーの最低月額賃金は月83米ドルに設定されている。しかし、フィリピン国民賃 金・生産性委員会によると、ラオス、ベトナム、カンボジアの月額最低賃金と比較した場合(月額最低賃 金は107米ドル~136米ドル)、ミャンマーの賃金水準は依然として競争力がある。 図表 48: 国別賃金比較 (米ドル, 2015 年 11 月) 図表 49: アジアにおける日本企業の賃金比較 107 83 124 136 194 213 252 284

出所: The National Wages and Productivity Commission (NWPC) 出所: アジア開発銀行, ジェトロ

図表50: ミャンマー年齢ピラミッド(2015年) 図表 51: アジア諸国とミャンマーとの労働力比較

出所: 世界銀行 出所: アジア開発銀行 (Myanmar, Unlocking the potential)

戦略的な地理的条件

ミャンマーは戦略的にアジアの中心に位置している。同国は東に中国、西にインド、南にタイとラオスに 接している。長年にわたり、ミャンマーは大規模なインド及び中国市場との交易のためにこの戦略的な地 理的条件を生かしてきた。2014/2015年(4月―3月)、ミャンマーの輸出総額は12%増の125億米ドルとな った。中国、タイ、シンガポール、日本、インドが主要輸出相手国であり、総輸出額の86%を占めている。 一方、ミャンマーの輸入総額は21%増の166億米ドルとなった。主要輸入相手国は中国、シンガポール、 日本、タイであり、総輸入額の76%を占めている。

(31)

図表 52: ミャンマーの地理的優位性 図表 53: インド、中国及びASEANの戦略的位置 出所: ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント 出所: ANZ Research 図表54: 2015/3期の国別ミャンマー輸出額 (百万米ドル) 図表55: 2015/3期の国別ミャンマー輸入額(百万米ドル) インド 746 シンガポ ール759 日本556 香港289 韓国 370 シンガポ ール 4,137 日本 1,749 香港 55 韓 国 493 タイ1,679 タイ 4,029 中国 4,674 出所: ミャンマー中央統計局 インド 595 中国 5,020 出所: ミャンマー中央統計局

(32)

業界の見通し

経済特別区の目的

経済特別区には、ミャンマーの他地域とは異なる特別な経済規制がある。経済特別区における事業活動に対し税優 遇措置を講じ関税を引き下げることにより、政府はこの地域が外国直接投資に道を開くことができるようにしてい る。 ミャンマーの経済特別区法は2014年1月23日に制定されたが、同法律は輸出企業とサプライ・チェーン関連産業に 対してインセンティブを与えるものである。経済特別区は、経済発展の助長、工業とハイテク産業の育成、国民に よる高度技術の習得、貿易とサービス業の発展、国民の雇用機会の増大、そして国家インフラの整備、を目指すも のである。

SEZ は 2 区に分かれている:

•自由地区: この地域は、通関目的でミャンマー国外に位置しているかのように取り扱われている。自由地区内で稼 働する事業は、主に輸出用に製品を生産することが義務付けられる。その結果、自由地区内での生産に使用された (または生産設備の建設に使用された)機械、資材、品目には輸入関税が免除される。 •促進地区: 促進地区で企業が生産する製品は、主に現地市場で販売を行い現地の資材で製造することが義務付けら れる。海外で販売される促進地区製品は、ミャンマーの輸出商品とみなされる。

ミャンマー経済特別区法の利点

ミャンマー経済特別区法に基づく投資家へのインセンティブは以下の通りである。 •免税区域で運営の投資事業または免税区域事業については、事業開始日から当初7年間は所得税免税 •事業促進区で運営の投資事業または他の推進区内事業については、事業開始日から当初5年間は所得税免税 •免税地区及び事業促進区で運営の投資事業については、次の5ヵ年は50%の所得税減税 •更に次の5ヵ年は、事業利益に関して、再投資準備金として維持されその後一年以内に再投資されれば50%の所得 税減税 •免税地区の投資家向けに輸入された原材料、機械設備、特定品目に対する関税及びその他税金の免除。一方で推進 地区の投資家の場合、事業開始日から建設に必要な輸入機材については、関税とその他税金が当初5年間免除(更に 関税及びその他税金がその後の5年間50%減税) •損失の繰越期間はその発生年から5年間 土地利用は最長50年の当初リースが認められ、さらに25年間更新可能である。デベロッパーまたは投資家は、関連 管理委員会の承認を得て、投資目的で土地および建物を他社に賃貸、抵当または売却可能である。

(33)

ミャンマーの工業地区

1995年以来、ミャンマーの工業地区は構築されてきた。現在ミャンマーには、下記の通り開発済みで稼働中の19の 工業地区が9地域に存在する。これらの地区は工業用であるが、特別な支援や投資インセンティブがあるわけではな い。

• エーヤーワディ (Ayeyawaddy) 地域: 3区(ヒンタダ/ Hinthada、ミャウンミャ / Myaungmya、パテイン /

Pathein)

• バゴ (Bago) 地域: 1区(ピィ / Pyay)

• マングレー (Magway) 地域: 2区(ヤナンチャン / Yananchaung、パコック / Pakokku)

• マンダレー (Mandalay) 地域: 3区(マンダレー / Mandalay、メイキティラ / Meiktila、ミンギャン /

Myingyan)

• モン (Mon) 州: 1区(マウラミーニング / Mawlamyaing)

• サガイン (Sagaing) 地域: 3区(モンユワ / Monywa、シウェーボー / Shwebo、カレーミョ / Kalay) • シャン (Shan) 州: 1区(Taung Gyi)

• タニンダーリ (Taninthayi) 地域: 1区(ベイ / Myeik) • ヤンゴン地域: 4区(ヤンゴンの東部、西部、北部及び南部の郡区) ミャンマーの既存の工業地区の中でも、日本の三井物産が開発したヤンゴンのミンガラドン工業団地は、国際基準 に則った唯一の工業地区である。 図表56: ミャンマーの工業地区 図表57: 進行中の新工業地区 出所: ミャンマー投資ガイド 出所: ミャンマー投資ガイド

図表 2: MTSH の資本構造  出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016 年 5 月 6 日付)  図表 3: 取締役会                          図表 4: 執行役員  出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングス 2014-15 年次報告書、KT ZMICO リサーチ •  Principal Shareholders =  主要株主 • Public Shareholders =  一般株主 •  MTSH  =  ミャンマ
図表 13: A 区開発計画  出所: ミャンマー・ティラワ SEZ・ホールディングスの上場時開示書類(2016 年 5 月 6 日付)  A区プロジェクトの総開発面積は396ヘクタールで、販売可能面積は319ヘクタールである。  開発地域は別々のフェーズに分かれている。  図表 14: A 区開発フェーズ  フェーズ 1  フェーズ 2  住宅・商業  複合施設  合計  工場建設 (ヘクタール)  211  150  35  396  住宅地用 (ヘクタール)  169  122  35  326  シ
図表 29: サービスアパートメント
図表 52: ミャンマーの地理的優位性            図表 53: インド、中国及びASEANの戦略的位置 出所:  ミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント          出所:  ANZ Research  図表54: 2015/3期の国別ミャンマー輸出額 (百万米ドル)  図表55: 2015/3期の国別ミャンマー輸入額(百万米ドル)  インド    746  シンガポール 759  日本 556    香港 289  韓国  370  シンガポ ール 4,137  日本  1,
+2

参照

関連したドキュメント

近年、日本のスキー・スノーボード人口は 1998 年の 1800 万人をピークに減少を続け、2020 年には 430 万人にまで減 少し、20 年余りで 4 分の

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

工藤 2021 年度第1四半期の売上高は 5,834 億円、営業利益は 605 億円、経常利益 652 億 円、親会社株主に帰属する四半期純利益は

さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,

前回ご報告した際、これは昨年度の下半期ですけれども、このときは第1計画期間の

②藤橋 40 は中位段丘面(約 12~13 万年前) の下に堆積していることから約 13 万年前 の火山灰. ③したがって、藤橋

○「調査期間(平成 6 年〜10 年)」と「平成 12 年〜16 年」の状況の比較検証 . ・多くの観測井において、 「平成 12 年から

第 4 四半期の業績は、売上高は 3 兆 5,690 億ウォン、営業利益は 1,860 億ウォ ンとなり、 2014 年の総売上高 13 兆 3,700 億ウォン、営業利益は