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介護予防(フレイル対策)に対する評価・効果判定のアウトカム

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 47 巻第 5 号 499 ∼ 介護予防(フレイル対策)に対する評価・効果判定のアウトカム 504 頁(2020 年). 499. 講  座 シリーズ 「理学療法評価・効果判定のためのアウトカム指標」. 連載第 4 回 介護予防(フレイル対策)に対する. 評価・効果判定のアウトカム* 山 田   実 1). はじめに. されるようになっている。我が国は,世界一の長寿国で あること,数少ない介護保険制度の導入国であること,.  2019 年時点,我が国の高齢者人口は 3,588 万人に,高. 介護予防事業を公的事業として実施している唯一の国で. 齢化率は 28.4% に達し,まさに世界随一の長寿国として. あることなどから,フレイル対策研究の国際的発信に大. 超高齢社会を突き進んでいる。この高齢化率の増加に伴. きな期待が寄せられている。. い,骨関節系疾患,循環器系疾患,代謝系疾患,さらに.  介護予防事業は,まさにフレイル対策と呼べる重要な. 中枢神経系疾患患者が増加し,医療や介護の現場におい. 事業であり,この効果判定を適切に行いながらよりよい. て,リハビリテーションの需要は増加している。その中. 事業に発展させ,それらを発信していくことが長寿先進. で近年,理学療法士や作業療法士,言語聴覚士といった. 国である我が国の使命である。その中でも,とりわけ重. リハビリテーション専門職の需要が高まっているセッ. 要と考えられている“運動”の要素を専門的に扱う理学. ティングに介護予防がある。. 療法士が,適切な測定を行い,適切な解釈を行い,適切.  介護予防は 2006 年より全国的に導入された事業であ. な情報伝達をしていくことで,将来的な社会保障費の抑. り,各地方自治体により様々な事業が展開されている。. 制にもつながることになる。本項では,介護予防(フレ. 介護予防事業は,この 10 余年の間に,特定高齢者事業,. イル対策)に焦点を絞り,スクリーニングや効果判定な. 二次予防事業,総合事業の訪問・通所サービスなど,そ. どの指標について概説する。. の名称や制度は少しずつ変化しているが,一貫している のが要介護ハイリスク者に対する短期集中的な介入を実. フレイルの要素. 施している点である。つまり,我が国では,“フレイル”.  一般的に“フレイル”とは,身体機能低下を指す用. という用語が誕生した 2014 年より,8 年も前からいわ. 語と捉えられがちであるが,実は身体的要素以外にも. ゆるフレイル相当の高齢者に対する重症化予防事業が行. 心理・精神的要素,社会的要素が含まれる概念である。. われていたことになる。. フレイル(frailty)の認知度を高めるきっかけになっ.  地域在住高齢者におけるフレイル有病率は約 10%と. たのが,2001 年に Fried らが報告した Cardiovascular. 考えられており,実に国内 350 万人ものフレイル高齢者. health study(以下,CHS)によるフレイルの表現型モ. に適切な介入を行い,重症化予防(要介護への進展予防). デルである. を実現することが求められている。フレイルとは,加齢. たことから,「フレイル≒身体機能低下」という印象が. に伴って生理的な予備能が減少することで様々なストレ. 強まったが,他にも心理・精神的要素や社会的要素もフ. スに対する脆弱性が亢進した状態,つまり,きわめて要. レイルの構成要素であることを理解しておく必要があ. 介護への進展リスクが高い状態と考えられている。国際. る。ただし,現在では国内外の多くのフレイル関連研究. 的な高齢者数増加に伴い,世界各国でこのフレイル対策. で CHS 基準を採用していることから, 「狭義のフレイル. への関心度が高まっており,様々な介入の効果検証がな. ≒身体的フレイル」と捉えてもよいと考えている。. *. Outcome Measurement in Care Prevention 1)筑波大学人間系 (〒 112‒0012 東京都文京区大塚 3‒29‒1) Minoru Yamada, PT, PhD: Faculty of Human Sciences, University of Tsukuba キーワード:介護予防,フレイル,スクリーニング,効果判定,追跡. 1). 。この CHS 基準が身体的要素に偏ってい. 指  標  介護予防,フレイル対策のための指標としては,いく つかの種類が挙げられる(図 1)。1 つ目はスクリーニン グのための指標,2 つ目は短期効果を検証する指標,そ.

(2) 500. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. 図 1 介護予防領域における効果判定のイメージ(例). して 3 つ目が長期効果を検証する指標である。この場合, スクリーニング指標とは,要介護ハイリスク者(フレイ. 基本チェックリスト. ル)かどうかを発見するために行う検査を指し(正常か.  元来,基本チェックリストは介護予防事業の対象者選. 異常かを判別する検査),その特徴として比較的大雑把. 定のために厚生労働省が作成したものである。現在で. な指標であること,時間経過や介入によって鋭敏に変化. も,要介護ハイリスク者に相当する事業対象者の判定に. するような指標ではないことなどが挙げられる。一方,. 用いられるなど,介護予防に関わる様々な関係者の中で. 短期効果を判定する効果指標は,なんらかの介入の効果. 広く浸透している。また,基本チェックリストによって. または不活動の影響などを判定する指標であり,比較的. フレイルを判定することも可能であるとともに,Kihon. 詳細な指標であるとともに,時間経過や介入によって鋭. checklist(KCL)として英語版が示されるなど,国際的. 敏に変化する指標であることが多い。そして,介護予防. にもその存在が知られるようになっている. などの場合には,転倒や骨折,要介護の発生など,長期.  基本チェックリストは手段的日常生活活動関連項目,. の観察によって得られる長期効果検証用指標も重要と. 運動関連項目,栄養関連項目,口腔関連項目,閉じこも. なる。. り関連項目,認知関連項目,うつ関連項目の 7 つのド. スクリーニング指標. 2). 。. メイン計 25 項目で構成される二者択一形式の自記式質 問紙である(図 2)。介護予防事業では,それぞれのド.  介護予防(フレイル対策)に関連するスクリーニン. メインでの該当状況などで対象者を選定することもあ. グ指標には,基本チェックリスト,日本語版 cardiovas-. るが,ドメイン関係なしに 25 項目中何項目該当したか. cular health study 基準(以下,J-CHS 基準) ,歩行速度,. をカウントすることでフレイルを判定する方法もある。. 握力,short physical performance battery(以下,SPPB). Satake らは,後述する CHS 基準との妥当性を検証し,. などがある。基本チェックリストは質問紙,J-CHS 基準. 8 項目以上該当でフレイル,4 ∼ 7 項目該当でプレフレ. は質問と身体機能測定,その他は身体機能測定単独で判. イル,3 項目以下該当でロバストとなることを報告して. 定するものである。他にもいくつかスクリーニング指標. いる. が報告されているが,我が国では特にこれらの指標が代. のみならず心理精神的要素,社会的要素が含まれるた. 表的であり,多くの臨床現場,研究領域,介護予防事業. め,基本チェックリストのような多要素で構成される指. などで活用されている。. 標は,フレイルをスクリーニングするうえで有用である。. 3)4). 。なお,前述のようにフレイルには身体的要素.

(3) 介護予防(フレイル対策)に対する評価・効果判定のアウトカム. 501. 図 2 基本チェックリスト. J-CHS 基準  前述の Fried らが,フレイルのスクリーニングのため に,加齢に伴う機能低下により表出される徴候を表現 型モデルとしてまとめたものが CHS 基準である。この CHS の日本語版として,老年医学の専門家により作成さ 5) 。これは,①体重 れたのが J-CHS 基準である (図 3). 減少,②活動量減少,③活力低下,④握力低下,⑤歩行 速度低下の 5 項目により構成されるものであり,3 項目 以上該当でフレイル,1 ∼ 2 項目該当でプレフレイル,0 項目でロバストと判定する。この J-CHS 基準を用いた有 病率の調査では,地域在住高齢者の 11.2% が,外来患者. 図 3 J-CHS 基準. の 21.6% がそれぞれフレイルに該当することがわかって 5) いる 。. および European Working Group on Sarcopenia in Older. 歩行速度,握力,SPPB. 12). People(EWGSOP2). などでは,いずれも快適歩行速.  歩行速度と握力,SPPB は後述する短期効果指標とし. 度が採用されている。ちなみに,AWGS2019 において. ても用いられることがあるが,スクリーニング指標とし. は,歩行速度低下の基準が 1.0 m/ 秒未満,握力低下の. て用いることが一般的である。いずれの指標も,全身状. 基準が男性で 28 kg 未満,女性で 18 kg 未満とされている。. 態を反映する一指標と捉えられており,加齢に伴い低.  なお,これらスクリーニング指標は,いずれも運動介. 下することや. 6)7). 将来的な機能低下,入院,死亡など. の有害健康転帰と関連することが報告されている. 8‒10). 。. 入などで著しく改善させることは難しい。後述する効果 判定のための指標は,運動介入などの効果を鋭敏に反映. つまり,身体機能低下のスクリーニングとしては,き. しやすいが,快適歩行速度や握力などは運動介入によっ. わめて有用な指標といえる。なお,歩行速度には快適. て変化しにくく(もちろん,変化させることは可能であ. 歩行速度と最大歩行速度の 2 種類があるが,スクリー. るが,鋭敏に反応しない),効果を検討するうえでは適. ニング指標には快適歩行速度が用いられることが多い。. 切な指標とは言い難い。また,SPPB はバランス,歩行,. 実際,J-CHS やサルコペニアの判定基準である Asian. 立ち上がりの 3 要素により構成されているバッテリーで. 11). Working Group for Sarcopenia(以下,AWGS2019). あるが,それぞれの要素を点数化(各 4 点満点)して合.

(4) 502. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. 表 1 身体機能の年齢別参照値. 快適歩行速度 (m/ 秒). 最大歩行速度 (m/ 秒). Timed up & go test (秒). 5 回立ち上がりテスト (秒). 片脚立位時間 (秒). 握力(男性) (kg). 握力(女性) (kg). 65 ∼ 69 歳. 70 ∼ 74 歳. 75 ∼ 79 歳. 80 歳. 平均値±標準偏差. 1.38 ± 0.23. 1.33 ± 0.23. 1.24 ± 0.23. 1.13 ± 0.25. 第Ⅰ分位. 1.2. 1.2. 1.0. 0.9. 第Ⅱ分位. 1.3. 1.3. 1.2. 1.0. 第Ⅲ分位. 1.4. 1.4. 1.3. 1.2. 第Ⅳ分位. 1.6. 1.5. 1.4. 1.3. 平均値±標準偏差. 1.85 ± 0.27. 1.75 ± 0.30. 1.65 ± 0.28. 1.52 ± 0.31. 第Ⅰ分位. 1.6. 1.5. 1.4. 1.3. 第Ⅱ分位. 1.8. 1.7. 1.6. 1.4. 第Ⅲ分位. 1.9. 1.8. 1.7. 1.6. 第Ⅳ分位. 2.0. 2.0. 1.9. 1.8. 平均値±標準偏差. 6.34 ± 1.15. 6.94 ± 1.28. 7.44 ± 1.51. 8.69 ± 2.21. 第Ⅰ分位. 5.4. 5.8. 6.2. 6.9. 第Ⅱ分位. 6.0. 6.4. 6.9. 7.9. 第Ⅲ分位. 6.6. 7.1. 7.6. 8.7. 第Ⅳ分位. 7.2. 7.8. 8.6. 10.3. 平均値±標準偏差. 7.77 ± 1.90. 8.28 ± 2.03. 8.52 ± 2.12. 9.67 ± 2.51. 第Ⅰ分位. 6.2. 6.5. 6.7. 7.5. 第Ⅱ分位. 7.2. 7.5. 7.7. 8.6. 第Ⅲ分位. 7.9. 8.6. 8.8. 10.1. 第Ⅳ分位. 9.2. 9.9. 10.1. 11.5. 平均値±標準偏差. 40.8 ± 20.7. 32.5 ± 21.6. 25.5 ± 19.9. 16.2 ± 17.9. 第Ⅰ分位. 17. 10. 6. 3. 第Ⅱ分位. 37. 20. 14. 6. 第Ⅲ分位. 60. 39. 27. 12. 第Ⅳ分位. 60. 60. 48. 25. 平均値±標準偏差. 38.7 ± 5.9. 35.3 ± 6.0. 34.3 ± 6.1. 29.7 ± 5.3. 第Ⅰ分位. 34. 30. 29. 25. 第Ⅱ分位. 37. 35. 33. 29. 第Ⅲ分位. 40. 38. 35. 31. 第Ⅳ分位. 44. 40. 40. 34. 平均値±標準偏差. 23.8 ± 4.0. 22.6 ± 3.9. 21.5 ± 3.7. 19.6 ± 3.5. 第Ⅰ分位. 21. 20. 19. 16. 第Ⅱ分位. 23. 22. 20. 19. 第Ⅲ分位. 25. 23. 22. 21. 第Ⅳ分位. 27. 25. 25. 22. 計点(12 点満点)を算出するものであるため,やはり. る。具体的には,歩行速度,立ち上がりテスト,Timed. 13)14). up and go test,膝伸展筋力などが代表的指標として挙. それぞれの要素の計測値自体は効果判定指標として用い. げられる。他にも数多くの効果指標があるが,多くの臨. られるものもあるが,バッテリー化することで効果判定. 床現場,研究領域,介護予防事業などで活用されている. 指標としては用いにくくなる。なお,AWGS2019 では,. という点ではこれらが代表的である。表 1 には,介護予. 運動介入の効果を鋭敏に反映させることが難しい. SPPB 低下の基準を 9 点以下と定めている. 。. 11). 。. 短期効果指標. 防現場で用いられることの多い指標の年齢別参照値をま とめた。これは,会場招聘型の体力測定に参加した地域 在住高齢者のデータを基に作成したものであり,平均値.  短期効果を判定するため,または縦断的にデータを比. ±標準偏差と五分位の値を示している。. 較するための指標として,各種身体機能測定指標があ.  なお,ここでは,介護予防現場などで実施されるよう.

(5) 介護予防(フレイル対策)に対する評価・効果判定のアウトカム. な主要な筋群のレジスタンス運動やバランス運動などを. 503. Timed up and go test(以下,TUG). 含む運動プログラムを想定している。介入効果を判定す るための指標は,それぞれの介入の特性に応じて決定さ.  TUG は,総合的な下肢機能の指標として広く用いら. れるべきであり(もちろん,臨床的に意義のある妥当な. れている項目のひとつである。前述の立ち上がりテスト. 指標であることが前提),ここで挙げたものはあくまで. で用いた椅子と 3 m の歩行路を準備する。「手を太もも. 一例と捉えていただきたい。介入特性に合致しない効果. の上に置いた状態から,スタートの合図で立ち上がり,. 判定指標を用いた場合,その介入効果を過小評価するこ. 目印で方向転換して,椅子に座ってください。方向転換. とにつながってしまう。スクリーニング指標として握力. の方向はどちらでもかまいません。座るまでの時間を計. を示したが,もちろん,握力強化のプログラムを実施し. 測しますので,必ず椅子に座ってください。なお,普段. たのであれば,握力を効果判定指標として用いることは. 通りのスピードで歩いてください」という指示を与え,. 妥当である。しかし,介護予防現場などで,握力強化運. 体が動き出した瞬間から座面に臀部が接触するまでの時. 動を積極的に行うことは少なく,多くは体幹や下肢中心. 間を計測する。基準値として,10 秒以上で運動器不安. の運動となっている。そのため,握力を効果判定指標と. 定,12 秒以上で日常生活活動動作低下のリスクが高ま. して用いても,握力の値が改善するという期待はもちに. る,13.5 秒以上で転倒リスクが高まるなどが報告されて. くく,十分に検討せずに用いることでプログラム全体の. いる. 過小評価につながってしまう。. 15). 。. 膝伸展筋力. 歩行速度.  数多くある骨格筋の中でも,日常生活活動動作への貢.  前述のように,歩行速度には大きく快適速度と最速速. 献度合いが大きく,要介護との関連性が強固な筋として. 度の 2 条件がある。スクリーニングとしては快適速度で. 大. 実施するが,効果判定のためには,最速速度を用いるこ. と比較して比較的測定しやすいといった点からも各種. とが望ましいと考える。一般的には,5 m の測定区間の. セッティングで広く測定が行われている。以前は,大型. 前後に 6 m の予備区間(3 m の加速区間と 3 m の減速. の等速性筋力測定器のような機器を用いた計測が一般的. 区間)を設け,合計 11 m の歩行路を準備することが多. であったが,近年では,徒手筋力測定器を用いた計測が. い。「できるだけ早歩きで歩いてください。ただし走ら. 一般的となっている。. ないでください」という指示を与え,体幹が開始線を越 えた瞬間から,体幹が終了線を越える瞬間までの時間を. 四頭筋が挙げられる。また,膝伸展筋力は,他の筋. 長期効果指標  介護予防やフレイル対策として用いられることが多い. 計測する。. 長期効果の指標としては,転倒発生,骨折発生,入院発. 立ち上がりテスト. 生,要介護認定,死亡などである。短期効果指標と比較.  立ち上がりテストには,30 秒間立ち座りテストと 5. して,その重みが異なるとともに判定が確実であること. 回立ち上がりテストの 2 種類がある。前者は 30 秒間で. からハードエンドポイントと呼ばれるものも多く含まれ. 何度立ち座りを行えるかを計測するのに対して,後者は. る。それぞれの指標により追跡期間は検討する必要があ. 5 回の立ち上がりに要した時間を計測するものである。. るが,3 ∼ 6 ヵ月間の運動介入の効果を検証するのであ. 前者は筋持久力の,後者は筋パワーの指標として用いら. れば 1 年程度の期間を設けておくことが一般的である。. れ,特に臨床現場では後者の 5 回立ち上がりテストを用. なお,運動を継続することの効果になれば,さらに長期. いることが多い。. にわたる追跡が求められる。たとえば,介護予防事業の.  5 回立ち上がりテストの測定は,座面高が 40 cm 程度. 効果判定ということになれば,“要介護認定”を主要ア. の一般的な椅子を用いて行う。座位にて,胸の前で腕を. ウトカムに設定することが重要になるが,この場合,少. 組んだ姿勢より開始する。「腕を胸の前で組んで,でき. なくとも 3 年以上の追跡期間を設けておくことが望まし. る限り速く,椅子から 5 回連続で立ち上がってください。. いと考えている。. 立ち上がる際,膝は完全に伸ばしてください。座る際は.  なお,予防領域におけるこのような主要指標は,いず. お尻を座面につけることに注意してください」という指. れも,アウトカムの発生を抑制できていることが重要と. 示を与え,5 回の立ち上がり動作完了までの時間を計測. なる。つまり,短期効果指標では介入により値が“改善. する。基準値として,AWGS2019 では 12 秒以上で身体. すること”が前提とされるのに対して,長期効果指標は. 機能低下と判定すること. 11). ,同じく 12 秒以上で転倒リ. スクが高まることなどが報告されている. 14). 。. “悪化しない”ということが前提となる。近年では,介 護予防領域の中で,通いの場という長期にわたって継続 参加することによる介護予防効果が注目されている。こ.

(6) 504. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. のように運動を継続的に実施していれば,運動機能も維 持・向上が期待されがちである。しかし,対象が高齢者 である場合には,運動介入によるプラス方向への影響よ りも,加齢によるマイナス方向への影響の方が大きくな ることがあり,その場合には運動を継続実施していても 機能は低下してしまう。このような場合,たとえ短期効 果指標である 5 回立ち上がりテストの値が経年的に悪化 していたとしても,比較対照に比して要介護の発生率が 低ければ効果があったとみなすことになる。. おわりに  ここで示したアウトカム指標はあくまで一部であり, それぞれの介入特性に応じて採用する指標を検討するこ とが必要となる。ただし,スクリーニング,短期的な効 果判定,長期的な効果判定という考え方はどのような介 入に対しても重要であり,それぞれのフェーズにおける 効果指標を準備しておくことが求められる。また,長 期効果指標の箇所でも述べたように,予防領域におい ては,筋力や歩行などの各機能指標が低下していても, ハードエンドポイントの発生率が比較対照と比較して抑 えられていれば効果がありとみなすことが多い。各種疾 病の回復過程にかかわることが多い理学療法分野におい て,このような考え方はあまり馴染まないものである が,予防領域においては重要な考え方となる。臨床現場 においては,それぞれの指標の適性を見きわめながら, 介入効果を適切に判定できる指標を選択することが求め られる。 文  献 1)Fried LP, Tangen CM, et al.: Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001; 56(3): M146‒M156. 2)Arai H, Satake S: English translation of the Kihon Checklist. Geriatr Gerontol Int. 2015; 15(4): 518‒519. 3)Satake S, Senda K, et al.: Validity of the Kihon Checklist. for assessing frailty status. Geriatr Gerontol Int. 2016; 16(6): 709‒715. 4)Satake S, Shimokata H, et al.: Validity of Total Kihon Checklist Score for Predicting the Incidence of 3-Year Dependency and Mortality in a Community-Dwelling Older Population. J Am Med Dir Assoc. 2017; 18(6): 552. e1‒552.e6. 5)Satake S, Shimada H, et al.: Prevalence of frailty among community-dwellers and outpatients in Japan as defined by the Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria. Geriatr Gerontol Int. 2017; 17(12): 2629‒2634. 6)Fritz S, Lusardi M: White paper: “walking speed: the sixth vital sign”. J Geriatr Phys Ther. 2009; 32(2): 46‒49. 7)Abe T, Thiebaud RS, et al.: Age-related change in handgrip strength in men and women: is muscle quality a contributing factor? Age (Dordr). 2016; 38(1): 28. 8)Deshpande N, Metter EJ, et al.: Predicting 3-year incident mobility disability in middle-aged and older adults using physical performance tests. Arch Phys Med Rehabil. 2013; 94(5): 994‒997. 9)Toots A, Rosendahl E, et al.: Usual gait speed independently predicts mortality in very old people: a populationbased study. J Am Med Dir Assoc. 2013; 14(7): 529.e1‒e6. 10)Cooper R, Kuh D, et al.: FALCon and HALCyon Study Teams. Objective measures of physical capability and subsequent health: a systematic review. Age Ageing. 2011; 40(1): 14‒23. 11)Chen LK, Woo J, et al.: Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc. 2020, pii: S1525-8610(19) 30872-2. 12)Cruz-Jentoft AJ, Bahat G, et al.: Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age Ageing. 2018. 13)Guralnik JM, Ferrucci L, et al.: Lower-extremity function in persons over the age of 70 years as a predictor of subsequent disability. N Engl J Med. 1995; 332(9): 556‒561. 14)Tiedemann A, Shimada H, et al.: The comparative ability of eight functional mobility tests for predicting falls in community-dwelling older people. Age Ageing. 2008; 37(4): 430‒435. 15)Schoene D, Wu SM, et al.: Discriminative ability and predictive validity of the timed up and go test in identifying older people who fall: systematic review and meta-analysis. J Am Geriatr Soc. 2013; 61(2): 202‒208..

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