パーキンソン病の理学療法Up to date
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(2) 756. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. ていない可能性を示唆する結果が報告されている。介入の中で. 足側が疾患優位側である場合には,歩行開始動作が停滞する可. 対象者の動きが小さい際には,徒手や口頭指示により十分な大. 能性がある。方向転換動作の回転方向にも疾患優位側と利き側. きさの運動を実施できていないことをフィードバックし,さら. の関係が影響すると考えられる。歩行開始動作を行う際にはど. に大きな運動を実施するよう促していく。大きな動きを引き出. ちらの足から振り出し開始するとよいか,方向転換動作を行う. すことは重要であるが,対象者が平衡を失わない範囲で可能な. 際には,どちらの方向に回るとよいかを意識することにより動. 限り大きな動きを行うよう指導するべきである。PD 患者は自. 作が改善する症例も存在し,症状の左右差や利き側などに配慮. 発運動の際,基底核を中心とした神経ネットワークは低下して. した動作指導を行うことも重要であると考えられる。. いるが,小脳を中心とした神経ネットワークは残存しているこ. FOG は発症後 17 年の間に約 80%の症例に認められることが. とが報告されている。小脳は Feedforward,Feedback 誤差学. 報告されている。PD は疾患の進行とともに,徐々に遂行機能. 習において重要な役割を担っている。PD における LSVT BIG. 障害や注意の問題などの認知機能障害が顕在化してくることが. において,小さな動きにフィードバックを与えながら,適切な. 多い。各症例の疾患の経過の中で認知機能障害が顕在化する前. 大きさの運動が発現するよう促すプロセスにおいても小脳が代. に,FOG に対する認知的な運動制御の指導を行う必要がある. 償的に機能している可能性がある。. と考えられる。. すくみ足(Freezing of gait:以下,FOG)は,日常生活に 与える影響が大きく,患者を悩ます重要な問題である。FOG. 今後の展望. の発生するメカニズムとして,歩行中の歩幅の低下やケイデン. 本邦において疾患早期からの長期リハビリテーションを実現. スの上昇が蓄積し,一定の限界点を超えると生じる閾値モデ. するためには,医師や PD 患者へのリハビリテーションの効果. ル,歩行時に認知,情動に関する情報処理が課せられた際に認. に関する教育,外来リハビリテーションや短期集中入院リハビ. 知的な歩行運動制御と競合が生じた際に生じるとする干渉モデ. リテーションの実施施設の充足,診断施設とそれらのリハビリ. ル,歩行中に速度や方向を切り替える必要が生じた際など葛藤. テーション施設との連携,在宅におけるリハビリテーションの. する場面で意思決定を要求されると情報処理能力の低下によ. 実施をサポートするシステムの構築などが必要であると考えら. り FOG が生じるとする認知モデル,歩行開始時など認識して. れる。. いる自己の意図と意識にのぼらない運動の準備との解離により. PD の理学療法の効果に関する研究で使用されている評価指. FOG が生じるとする分離モデルなどが提唱されている。. 標は,Hoehn and Yahr stage, UPDRS の他は歩行能力やバラ. PD 患者は運動制御において認知の動員の必要性が上昇して. ンス能力に関するものが多い。PD 患者が医療により十分に改. いると考えられている。FOG が発生する直前の脳波を計測し. 善しないと感じている症状に関する本邦の調査では寝返り動作. た研究では前頭領域の θ 帯域の活動が上昇していることが報. の障害や非運動症状も含まれているが,それらに対する理学療. 告されている。これは,FOG が発生する際にはその直前から. 法に関する研究は非常に少ないのが現状である。今後歩行,バ. 認知的負荷が上昇していることを示している。認知的負荷が過. ランス障害に加えて,さらに PD 患者が真に困っている症状に. 剰となり,効率的に認知的な運動制御が遂行不可能になった. 目を向け,それらの機序に関する基礎研究と理学療法介入の可. 結果,FOG が発生していると推測される。FOG への対処法を. 能性について模索し検証する臨床研究の蓄積が望まれる。. PD 患者に指導する際,各症例において適切な認知的な制御の 方法を症例とともに考えることが重要である。 FOG への対処法を指導する際に,左右差への配慮は重要な ポイントのひとつとなる。通常歩行開始時の振り出し開始側は 一定であるが,FOG を呈する PD 患者は歩行開始時の振り出 し開始側の下肢が一定しないことが報告されている。また,疾 患の優位側と利き側が一致することが多いことについても報告 されている。歩行開始側は利き足側となることが多いが,利き. 文 献 1) 日本神経学会(監):日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライ ン 2011. 2) 日本理学療法士協会:日本理学療法士学会診療ガイドライン(第 一版)パーキンソン病. 3) Tomlinson CL, Patel S, et al.: Physiotherapy versus placebo or no intervention in Parkinson’s disease. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 9: CD002817..
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