神奈川県内における
インターネット通販の現状
2 0 1 7 年 9 月 1 2 日 日本銀行横浜支店
要 旨
1◆近年、スマートフォンやタブレット型端末の普及と共に、イン
ターネット利用環境の整備が進んでいる。
◆神奈川県は各種インターネット端末の普及率が比較的高い点
で、インターネット通販を利用しやすい環境にあるといえる。
◆インターネット通販の利用額は増加傾向にあり、幅広い年齢層
において、インターネット通販の利用が拡がっている。
―― 当店の試算によると、神奈川県内におけるインターネット 通販の年間市場規模は、コンビニエンスストアに次ぐ規模 となっているとみられる。 ◆今後も
、高齢層におけるスマートフォンの普及などを契機に、
インターネット通販の市場規模は更に拡大していくことが見込
まれる。
90.3 74.5 16.0 74.7 11.8 36.4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 パソコン スマートフォン タブレット型端末 （％） （年） （％）
整備が進むインターネットの利用環境①
2 ◆神奈川県におけるインターネット端末の普及状況をみると、スマート フォンの普及率が急速に高まるなど、インターネットへの接続環境の 整備が進んでいる。 （図表１）神奈川県内におけるインターネット端末の普及状況 （出所）総務省「通信利用動向調査」整備が進むインターネットの利用環境②
【パソコン】 【スマートフォン】 【タブレット型端末】 （出所）総務省「通信利用動向調査」 3 ◆2016年における各種インターネット端末の普及率を都道府県別に みると、神奈川県は全国平均を上回っており、スマートフォンおよび タブレット型端末は上位にある。 （図表２）都道府県別にみた各インターネット端末の普及状況＜2016年＞ 順位 都道府県名 普及率 1 富山県 85.2 2 滋賀県 81.4 3 東京都 80.4 4 奈良県 80.4 5 埼玉県 80.2 16 神奈川県 74.5 73.0 … 全 国 平 均 順位 都道府県名 普及率 1 埼玉県 80.2 2 東京都 78.8 3 山梨県 77.1 4 愛知県 76.2 5 茨城県 76.1 9 神奈川県 74.7 71.8 全 国 平 均 … 順位 都道府県名 普及率 1 東京都 40.3 2 滋賀県 39.6 3 石川県 38.1 4 埼玉県 37.7 5 富山県 37.4 7 神奈川県 36.4 34.4 全 国 平 均 …1,888 17,518 1,076 10,237 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 神奈川 全国 （円） （年）
拡大するインターネット通販①
（出所）日本銀行横浜支店、総務省「家計消費状況調査」、「全国消費実態調査」 4 ◆家計消費に関する統計を用いて、神奈川県における1世帯・1か月当 たりのインターネット通販（以下、インターネット通販（注1、注2））の利用 額を試算すると、全国と同様に増加傾向にあるとみられる。 ―― 利用額の水準をみると、神奈川県は全国を上回っている。 （図表３）インターネット通販の利用額推移＜1世帯・1か月当たり＞ ＜試算方法＞ 神奈川県における 1世帯当たり、1か月当たりの インターネット通販利用額 関東地方の インターネット通販利用額 神奈川県の インターネット通販利用比率拡大するインターネット通販②
5 ◆インターネット通販を支出項目別（注3）にみると、関東地方は全国に 比べてインターネット通販全体に占める「食料品、飲料等」の割合が 高く、 「衣料品等」や「医薬品、健康食品、化粧品」の割合が低い。 （図表４）インターネット通販の支出項目別利用額＜1世帯・1か月当たり、2016年＞ （出所）総務省「家計消費状況調査」 ウエイト（％） ウエイト（％） ＜a＞ ＜ｂ＞ ＜a-ｂ＞ 商品 5,489 55.6 3,925 55.2 0.4 食料品、飲料等 1,596 16.2 1,014 14.3 1.9 家電、家具 1,092 11.1 780 11.0 0.1 書籍、音楽・映像ソフト等 950 9.6 598 8.4 1.2 衣料品等 929 9.4 751 10.6 ▲ 1.2 医薬品、健康食品、化粧品 779 7.9 653 9.2 ▲ 1.3 自動車等関係用品 143 1.4 129 1.8 ▲ 0.4 サービス 3,041 30.8 2,209 31.0 ▲ 0.2 宿泊料等の旅行費 2,162 21.9 1,584 22.3 ▲ 0.4 チケット 477 4.8 303 4.3 0.5 保険 402 4.1 322 4.5 ▲ 0.4 その他 1,337 13.6 981 13.8 ▲ 0.2 関東と 全国の ウエイト差 全国 関東地方 実額（円） 実額（円）37.2 46.7 42.3 36.8 20.8 10.2 8.9 10.8 7.7 5.4 2.8 1.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 ～29歳 30～39歳 40～49歳 50～59歳 60～69歳 70歳～ 2016年 2002年 （％）
拡大するインターネット通販③
（出所）総務省「家計消費状況調査」 6 ◆全国におけるインターネット通販の利用状況を年齢層別にみると、 全ての年齢層においてインターネット通販の利用が拡がっている。 （図表５）年齢別のインターネット通販利用状況＜全国＞775 6,402 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 （年） （億円）
拡大するインターネット通販④
（出所）日本銀行横浜支店、総務省「家計消費状況調査」、神奈川県「人口統計調査」 7 ◆当店の試算によると、神奈川県内におけるインターネット通販の年 間市場規模（注4）は、拡大傾向にあるとみられる。 （図表６）神奈川県内におけるインターネット通販市場規模の推移 ＜試算方法＞ 神奈川県における インターネット通販の 年間市場規模 神奈川県における 1世帯当たり、1か月当たりの インターネット通販利用額 各年の1月1日時点における 神奈川県内の世帯数 12か月拡大するインターネット通販⑤
8 ◆前述の神奈川県内におけるインターネット通販の年間市場規模を他 業態の市場規模（注5）と比較すると、コンビニエンスストアに次ぐ規模 となっている。 （図表７）2016年における神奈川県内の業態別年間市場規模 （出所）日本銀行横浜支店、経済産業省「商業動態統計」、総務省「家計消費状況調査」、「全国消費実態調査」、 神奈川県「人口統計調査」 業態 市場規模（億円） ウエイト（％） スーパー 9,679 25.4 コンビニエンスストア 8,067 21.2 インターネット通販 6,402 16.8 百貨店 4,839 12.7 ドラッグストア 4,230 11.1 家電量販店 3,226 8.5 ホームセンター 1,618 4.3 合計（注6） 38,061 ―今後のインターネット通販①
9 ◆インターネットの利用者を対象としたアンケート調査によると、高齢 層においても、インターネット通販の利用が進んでいる。 （図表８）年齢層別インターネット利用者のインターネット通販利用率 （出所）総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」 72.2 67.3 68.5 74.5 78.3 72.5 27.8 32.8 31.5 25.5 21.8 27.5 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 20歳代以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上 利用する 利用しない今後のインターネット通販②
10 ◆高齢層では、インターネット通販の主な利用手段であるスマートフォ ンの普及が、他の年齢層に比べて進んでいない。 一方で、保有意欲は高いため、スマートフォンの普及の進展が、 今後のインターネット通販の更なる拡大に寄与し得ると考えられる。 （図表９） 年齢別にみる携帯電話端末の利用状況 56.6 79.1 66.0 54.9 47.7 26.8 37.2 14.9 28.3 35.5 45.8 70.3 6.2 6.0 5.7 9.6 6.5 2.9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 20歳代以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上 スマートフォン フィーチャーフォン 両端末の併用 5.5 33.3 23.0 8.5 29.8 利用したい 内容次第では利用を 検討したい あまり利用したくない 利用したくない 必要性を感じない 【シンプルスマートフォン】 9.0 29.5 21.8 9.3 30.5 【格安スマートフォン】 （図表１０） 高齢者のスマートフォン保有に対する考え方 （出所）総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」注 釈
11 （注１） 「家計消費状況調査」の数値（関東）に「全国消費実態調査」のインターネット通販の比率（2014年、 神奈川県）を乗じて試算。2017年の数値は、1～7月の平均値。なお、2015年から調査委託会社変更 による段差が生じている。 （注２） 当試算では、サービス分野に対する支出も含まれている。以下同じ。 （注３） 「食料品、飲料等」は、食料品、飲料および出前、「家電、家具」は、家電および家具、「書籍、音 楽・映像ソフト等」は、書籍、音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト、電子書籍およびダウ ンロード版の音楽・映像、アプリなど、「衣料品等」は、紳士用衣類、婦人用衣類および履物・その他 の衣類、「医薬品、健康食品、化粧品」は、医薬品、健康食品および化粧品、「自動車等関係用品」 は、自動車等関係用品、「宿泊料等の旅行費」は、宿泊料、運賃、パック旅行費、「チケット」は、 チケット、「保険」は、保険、「その他」は、上記の分類に含まれない商品およびサービスを指す。 （注４） （注１）で算出した神奈川県のインターネット通販利用額（1世帯・1か月当たり）に、各年の1月1日 現在の県内世帯数を乗じ、これを12倍して年間の市場規模を試算。 （注５） 各業態の市場規模は、商業動態統計における2016年の売上高。 （注６） 合計は集計対象とした各業態の合計値であり、県内小売市場全体の規模を表していない。本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、日本銀行横浜 支店（電話：045-661-8111（代） 、メールアドレス：yokohama@boj.or.jp）までご 相談ください。 転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
