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教育講演 Key words : default mode network 1990 pitfall neurovascular coupling default mode network I. t t 5% , % 4,096 81,920 p

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教育講演 京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター

脳機能の解析方法

福山 秀直

Key words : 脳機能画像、統計画像解析法、デフォルトモードネットワーク 【要旨】脳機能画像の解析において、問題となることを中心に、間違いやすい点や、初期か らの進展について、まとめてみた。問題は、いろいろあるが、多くの場合、初期のころと異 なり、コンピュータが速くなったため、簡単に結果を得ることができ、その解析のプロセス を理解しない研究が散見される。解析方法、統計学は、統計画像の基礎であり、それらにつ いて概説し、画像解析法の問題点について述べた。最近の話題として、default mode network についても触れた。 はじめに 脳機能画像の解析方法は、1990 年頃から脳全 体を三次元のピクセル(ボクセル)として解析す る方法が開発され、画期的な進歩をとげた。ただ し、解析方法の概念、陥りやすいpitfall などにつ いて、充分理解した上で、それらのソフトウエア を使いこなすことが重要である。最近のソフトウ エアは、データをそろえて、コンピュータのボタ ンを押すと、結果が自然に出てくるという便利な ものになっているので、解析の内容や方法を理解 しないで統計解析を行うと、間違った結果に至る 可能性がある。 本 論 で は、 解 析 法 と そ の 基 本 と な る neurovascular coupling、それに、近年注目されて いるdefault mode network について、諸問題を提 起し、注意を促したい。 I. 統計解析 基本的には、脳血流などの数値としてボクセル 単位で得られるものをパラメトリックデータとい うが、これらはt 検定で、ボクセル単位、あるいは、 関心領域で統計計算を行うことができる。ただし、 全脳を対象とすると、ボクセル数が多く、そのま まボクセル単位でt 検定を行うと、多重比較の問 題を解決しておく必要がある。 統計は、「基本的に5% の危険率で有意である」 というような考え方で、これは、「100 回に 5 回 は結果が違っている可能性があるが95 回は正し い」という意味で、81,920 ボクセル(1 スライス が64×64 のマトリックスで 20 スライスとすると) では、5% の危険率では 4,096 ボクセルに偽陽性 が起こりうることを示している。これを簡単に防 ぐには、比較するボクセル数(ここでは81,920)で、 有意水準のp 値を割った値を閾値とすることであ るが(この場合、補正p=p(0.05)/81,920 になる)。 そうすると偽陰性のボクセルが多くなり、有意で あるかもしれない部位も検出されなくなる(これ をボンフェロニーの補正と呼ぶ)。 脳血流は、一定の広がりのある領域で同じよう な変動をしめしており、それを考慮して補正をす ればいいので、紆余曲折はあったが、現在では、 その水準の決め方をFalse Discovery Rate (FDR) として、多重比較の問題をコントロールすること が行われている。

帰無仮説とは、「ある負荷に対していずれの脳 部位も反応しない」と仮定することで、その仮説

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が正しい、すなわち、ある負荷は脳に影響しない という考えが正しいかどうかを示すものである。 脳賦活試験では、ある課題にたいして、どこかの 脳部位が反応して血流が増加することを期待して 検定する、すなわち、帰無仮説を棄却する結果を 得ようとするので、課題と関係のない部位が反応 しているような結果を得ることは望ましくない。 すなわち、偽陽性である部位をできるだけ減らす ような統計を行うことが必要になる。いずれにし ても、多重比較検定で偽陽性が少なくなるような 検定方法を採用することが重要であるが、一方、 偽陰性が多くなって重要な部位が検出されないこ とにも注意する必要がある。 ボクセルは、近接したものでは、脳血流、脳代 謝、MRI の信号など同じような変動をすること が多い。(MRI の場合は例外があるが)したがっ て、いくつかの隣接するボクセルを関心領域とし て、一つの変動パラメータと考えれば、その数値 自体は通常のパラメトリック検定を行うことがで きる。関心領域について、特定の仮説がある場合 ならば、多重比較をすることなく、その部位の有 意差を、負荷前後で比較してみることは間違って いないし、部位を明確にして統計にかける上で必 要なことでもある。撮像方法にもよるが、TR が 1 秒程度の EPI で撮像されていれば、その部位の 信号の時間変化を見ることで、さらに正確な反応 曲線をみることができるので、特定の刺激、負荷 に対して、その部位がどのような反応を示してい るか、明確になる。 T 値は、対象となる被験者数のルートで標準偏 差を割るため、どれくらいの数の被験者を対象に したかで、大きく結果の値に影響する。また、大 数の原理で、30 以上の被験者を対象にした場合 はおおむね正規分布をすると考えてよい。 一方、統計学的正確さをある程度犠牲にして、 臨床などで使いやすいものを考えると、ボクセル の値を正常者の平均値から標準偏差の何倍くらい 外れているかを計算すれば、ボクセルの値が正常 からどれくらいはずれた異常かを明らかにでき る。この値をZ 値と呼ぶが、その値をボクセル ごとに表示すると、一人の被験者でも比較的簡単 にその特徴を画像として明らかにすることができ る。 T 値を使った統計学的解析方法は、脳賦活試験 な ど 群 間 比 較 を す る た め に 作 ら れ た も の で、 Statistical Parametric Mapping(SPM)が代表的な ソ フ ト ウ エ ア で あ り1)、Z 値 の 検 定 は、3

-Dimensional Stereotactic Surface Projection(3DSSP)2)

と呼ばれるソフトウエアが一般に使われている。 前者がMatlab という商用のソフトウエアの上で 走るアプリケーションで、Matlab が高価なため コンパイラーでバイナリーに変換したものが、製 薬会社などから無料で配布されている。3DSSP は、最初からC 言語で記述されているため、計 算の内容については不明なところがあり、大きく 異なる点である。他にも、商用のソフトウエアに SPM のルーチンの一部が組み込まれていたりす るものも少なくない。したがって、オリジナルの ソフトウエアではなくこれらを使う場合、SPM のどのバージョンが組み込まれているか、確認し て使用すべきで、SPM98 と SPM5 以降では、デー タ形式もことなり、fMRI では計算方法も異なっ ているので注意する必要がある。 帰無仮説は、「ある負荷に対していずれの脳部 位も反応しない」ということで、その仮説が正し い、すなわち、ある負荷は脳に影響しないという 考えが正しいということを示すものである。脳賦 活試験では、ある課題にたいして、どこかの脳部 位が反応して血流が増加することを期待して検定 する、すなわち、帰無仮説を棄却する、結果を得 ようとするので、課題と関係のない部位が反応し ているような結果を得ることは望ましくない。す なわち、偽陽性である部位をできるだけ減らすよ うな統計を行うことが必要になる。いずれにして も、多重比較で、偽陽性が少なくなるような検定 方法を採用することが重要であるが、一方、偽陰

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性が多くなって重要な部位が検出されないことに も注意する必要がある。

SPM について少し説明を加える。SPM の基本 的な考え方は、全脳のボクセルの値はランダムな 値をとり(random field theory)全体としてみると、 正規分布をしているので、そこからどれくらいは ずれたボクセルがあるかを、計算している。その ため、値のばらつきがないように、平滑化を行う などさまざまな工夫がされている。詳しい数学的 理解は必要ないが、どのように計算がすすめられ ているか、SPM の中(spm.m)に書かれているの で、一読することをすすめたい。 II. 関心領域 ボクセルは、近接したものでは、脳血流、脳代 謝、MRI の信号など同じような変動をすること が多い。(MRI の場合は例外があるが)したがっ て、いくつかの隣接するボクセルを関心領域とし て、一つの変動パラメータと考えれば、その数値 自体は通常のパラメトリック検定を行うことがで きる。ただ、PET などでの測定で、採血をしない ことが多くなってきて、小脳、後頭葉や視床下部 など変動の少ない部分との比をとって、RI の注 入量などで補正した値を使い解析することが多く なっているが、これは、厳密にはパラメトリック とは言えず、ノンパラメトリック統計法を用いる 必要がある。 ある関心領域について特定の仮説がある場合な らば、多重比較をすることなく、その部位の有意 差を負荷試験の前後で比較することは間違ってい ないし、部位を明確にして統計にかける上で必要 なことでもある。MRI の撮像方法にもよるが、 fMRI で TR が 1 秒程度の EPI で撮像されていれば、 関心領域の信号の時間変化を見ることができる。 このような解析を行うと、正確な局所血流の反応 をみることができるので、特定の刺激、負荷に対 して、関心領域がどのような反応を示しているか 明確にすることができる。ただし、通常使われて いるfMRI のシーケンスは、TR が 2∼3 秒なので、 ボックス・カーのパラダイムでないとエイリアシ ングなどの影響があり、うまくトレースできない 可能性もある。 III. 脳容積解析 画像解析法の進歩の一つが、灰白質、白質、脳 脊髄液などに脳を分離するいわゆるsegmentation を行い、各部分の萎縮率を正常画像に相当する部 位の値として表示する方法である。SPM5 から DARTEL 法(図 1)3)という新しい方法が採用さ れている。これまでの方法にくらべ、著しく進歩 した。DARTEL 法では灰白質が明瞭に分離され 萎縮の度合いを詳細に反映している。Voxel-based morphometry (VBM)を行う場合には、DARTEL 法で行う方が明らかに正しい結果を示すと考えて 良い。 IV. Neurovascular coupling 神経活動が血管の収縮・拡張と密接な関係をも つことは、1890 年に Roy and Sherrington4)によっ

て実験的に詳細に検討された。その後、必ずしも すべての条件でNeurovascular coupling が見られ る訳ではないことは、PET などで証明されてきた。 しかし、脳賦活試験の基礎となる理論はこの Neurovascular coupling が生じて、活動部位の血流 が増加することをベースにしている。 図2 に示すように、ヒトの後頭葉の視覚野は、 光刺激で酸化ヘモグロビンが増加し還元ヘモグロ ビンが減少する5)。しかし、サルで前頭葉の反応 をみると、ひげ刺激で酸化ヘモグロビンと同様に 還 元 ヘ モ グ ロ ビ ン も 増 加 し て お り6)、Blood

Oxygen Level Dependency (BOLD)7)の差が少ない。

fMRI の研究でも前頭葉全般にわたり有意な変化 を示す部位が少なく、また、繰り返し数を増やし て実験を行う必要がある。これは、脳部位の違い

でBOLDの違いがある可能性が高い。したがって、

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図1 : DARTEL 法    89 名の被検者平均灰白質画像を示す。(大石直也先生の SEAD-J のデータ解析の結果)    DARTEL 法(左側)は従来法(SPM5/8 の標準 Segmentation アルゴリズム)(右側)に比べると、 平均画像においても脳溝が明瞭で、解剖学的標準化の精度がより高いことがわかる。 図2 : 前頭葉と後頭葉の血中酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビン    後頭葉の視覚野は、光刺激で酸化ヘモグロビンが増加し還元ヘモグロビンが減少する(参考 文献5)。一方、サルで前頭葉の反応では、ひげ刺激で酸化ヘモグロビンと同様に還元ヘモグ ロビンも増加しており、いわゆるBOLD の差が少ない(参考文献 6)。

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てみることには意味がある。 さらに、動物実験で血流と神経活動の変化を見 てみると、神経活動が限局した部位に留まってい るのに対し、血流は、徐々に広がっている(図3)8) 低磁場MRI(1.5 T など)で静脈血の影響を受け、 正しい神経活動部位を同定するのに間違いを起こ しやすい原因がここにある。信号/雑音が高くな い低磁場MRI では、静脈程度に還元ヘモグロビ ン量がないと信号として捉えられない。一方、 3T 程度になると、毛細血管から細静脈レベルの 信号を画像として捉えることができるので、静脈 の影響を受けることなく正確な部位の同定が可能 になる。

V. Default Mode Network

脳賦活試験において、安静時の脳活動と負荷時 の脳活動の差を見るために、血流の引き算をして 有意に増加している部位が賦活試験の課題に関連 した部位であるという論理で脳血流が測定された (Neurovascular coupling の項参照)。1980 年代に 入り、PET で酸素-15 で標識した水を使い、静脈 注射後、90 秒間くらいで脳血流画像が得られる ようになり、その画像の引き算で、課題に対する 活動部位が明確になると考えられるようになっ た。増加する部位は理解できるが、脳全体の血流 は変化がないので、増加した部位とは別の部位の 血流が減少することが知られていた。それらの部 位は、賦活試験の種類にかかわらず、同じような 部位の血流が減少することが明らかになり、ワシ ントン大学のDr. Raichle が、activation の反対と いう意味でdeactivation として報告した9)。それら の部位を詳細に検討すると、アルツハイマー病で 障害を受けやすい部位に相同であることがあきら かになってきた。 fMRI のデータでも同様の結果が得られるため、 fMRI でも研究が行われてきたが、fMRI の場合、 deactivation というよりも、酸化ヘモグロビンと 還元ヘモグロビンの差を見ているので、観察して いるものは異なる。また、さまざまな異なった賦 活試験で同じ結果が得られるためdeactivation よ りもdefault mode と呼ばれるようになり、いくつ かの部位がネットワークのように同じパターンで 出現するのでdefault mode network と呼ばれるよ うになった。この状態は、活動が亢進した時と正 常以下に低下した時の中間にあると考えられ、脳 のアイドリング状態を維持している機構ではない かと考えられるようになった。この場合、計算方 法は逆引きではなく、特定の部位に関心領域を設 定し、その部位と同時に相関して変動する部位を 求める方法が用いられている。

Default mode network は、さまざまな病態でも 少しずつ変化することが明らかになりつつあり、

図3 : 神経活動と血流の関係

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たとえば、若年者でも、ApoE4 を持っている群と 持っていない群を比較すると、明らかに、海馬の default mode での血流は ApoE4 を持つ群が高いこ とがわかり、すでに、若年者でもアイドリング状 態の海馬でその活動性を維持するために正常者異 常に働いていることが示されている(図4)10) おわりに 脳機能の解析において注意すべき点について、 いくつか、問題点を指摘した。また、最近の話題 として、Default mode network について述べた。 これらが、脳機能画像による研究に興味を持つ人 に役立てば幸である。

図4 : Default mode network

   ApoE4 のキャリアは、若年者でもすでに海馬 の血流が高い。

文献

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N.L.Kuhl D.E., A diagnostic approach in Alzheimer's disease using three-dimensional stereotactic surface projections of fluorine-18-FDG PET. J Nucl Med 36, 1238-48.

3) Ashburner J. (2007) A fast diffeomorphic image reg-istration algorithm. Neuroimage 38, 95-113.

4) Roy CS, Sherrington CS. (1890) On the Regulation of the Blood-supply of the Brain. J Physiol, 11, 85 -158 17.

5) Kohno S, Sawamoto N, Urayama S, Aso T, Aso K, Sei-yama A, FukuSei-yama H, Le Bihan D. (2009) Water -diffusion slowdown in the human visual cortex on visu-al stimulation precedes vascular responses. J Cereb Blood Flow Metab 29, 1197-1207.

6) Wakita M, Shibasaki M, Ishizuka T, Schnackenberg J, Fujiawara M, Masataka N. (2010) Measurement of neuronal activity in a macaque monkey in response to animate images using near-infrared spectroscopy. Front Behav Neurosci 7, 4-31.

7) Ogawa S, Lee TM, Kay AR, Tank DW. (1990) Brain magnetic resonance imaging with contrast dependent on blood oxygenation. Proc Natl Acad Sci U S A 87, 9868-9872.

8) 飯島敏夫,高橋俊光,肖 瑞亭,神作憲司,河野 憲二,高橋一郎.(2000) fMRI の基礎と活用上の 注意点.認知神経科学 2, 112-117.

9) Raichle ME, MacLeod AM, Snyder AZ, Powers WJ, Gusnard DA, Shulman GL. (2001) A default mode of brain function. Proc Natl Acad Sci U S A 98, 676 -682.

10) Filippini N, MacIntosh BJ, Hough MG, Goodwin GM, Frisoni GB, Smith SM, Matthews PM, Beckmann CF, Mackay CE. (2009) Distinct patterns of brain activi-ty in young carriers of the APOE-epsilon4 allele. Proc Natl Acad Sci U S A 106, 7209-7214.

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Tips on the functional brain imaging analysis

Hidenao Fukuyama, M.D., Ph.D.

Human Brain Research Center, Kyoto University Graduate School of Medicine Key words : Functional neuroimaging, Statistical analysis of neuroimaging, default mode

  The problems with regard to analysis on the functional imaging were described. The statistics and analytical processes are considered to be important. Recent advances on computer technology as well as the improvement of the image analysis algorithm provide us an easy solution from the inade-quate data. Researchers should understand the process of the analytical process and statistics. Tips for analysis of the image were described. In addition, recent topic related to default mode network was address.

参照

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