ネットワークドプロジェクタを利用したプレゼンテーションの教育的効果について
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(2) 前述した教育において,この NETPROJ を利用す. 示機器を持参した場合は,プロジェクタとデータ表示. るプレゼンテーションシステム NETPROJ SYSTEM. 機器の間のディスプレイケーブルを接続し直さなけれ. を利用できないかと考えた.一般的なプレゼンテーショ. ばならない.. ンシステムでは,発表者の資料提示が主目的となって. 以上のように,一般のプレゼンテーションシステム. いたため,聴講者が独自の資料を持って,発表者と議論. では,複数の発表者が簡単に入れ替わり,資料を表示. をすることなどが難しかった.NETPROJ SYSTEM. するようなことはできない.. であれば,発表者だけでなく,聴講者も資料を持ち寄っ て,より積極的に議論に参加できるようになる. 本稿では,このような特長を持った,ネットワーク. 2. NETPROJ SYSTEM 2.1 物 理 構 成. を利用したプレゼンテーションシステムについて提案. ネットワークに対応したプロジェクタ NETPROJ を. するとともに、そのシステムの授業での利用方法につ. 用いるプレゼンテーションシステム (NETPROJ SYS-. いて述べる.. TEM) の構成は次の通りである(図 2)。基本的に各 装置はネットワークに接続しているとする. • スクリーン : 資料を表示するための装置. 1.2 一般的なプレゼンテーションシステム ここでは,簡単のためコンピュータを利用するプレ ゼンテーションについてのみを対象とする.. • NETPROJ : 発表者の資料を表示・投影する装置. • リモコン装置 : 発表者資料をコントロールする 装置. • データソース提供装置 : 発表者の資料を提供する 装置.(HTTP サーバー) • NetPrez : NETPROJ 用プレゼンテーションアプ リケーション.パソコンにリモコン装置と,デー タソース提供装置の機能を持たせることができる.. 図 1 一般的なプレゼンテーションシステム Fig. 1 A general presentation system. 一般的なプレゼンテーションは,次の装置から構成 されるプレゼンテーションシステムにより,行われる ことが多かった(図 1).. • スクリーン : 資料を表示するための装置 • プロジェクタ : 発表者の資料を投影するための. 図 2 NETPROJ SYSTM 物理構成 Fig. 2 NETPROJ SYSTEM physical construction. 装置. • データ表示装置 : 発表者の資料を表示するための 装置.通常パソコン • データソース : 発表者の資料.通常フロッピー ディスク,MO ディスクなど ノートパソコン,PDA の普及により,データソー スを含むデータ表示機器を持参して,プロジェクタへ 接続して利用する発表者も多くなっている. このシステムでは,発表者だけがスクリーンへの資 料表示と表示資料操作が行える.また,発表者がデー タソースを持参した場合は,データソースをデータ表 示機器へ取込まなければならない.発表者がデータ表. NETPROJ SYSTEM では,各装置がネットワー ク接続しているため,一般的なプレゼンテーションシ ステムのように,資料を提示できる者が限定されるこ とはない.また,表示資料の操作についても,発表者 以外でも可能なように設定することができる.. 2.2 NETPROJ 論理構成 NETPROJ SYSTEM の中心的な機能を担う NETPROJ の論理構成について説明をする.NETPROJ は,次の3つのサブシステムから構成される(図 3). ( 1 ) 配信受信サブシステム(MS). −26−.
(3) (2) (3). プレゼンテーションサブシステム(PS). て,UDP/IP をベースとしたマルチキャスト配信のプ. リモコンサブシステム(RS). ロトコルを用いている.. 3. NETPROJ SYSTEM の実現方法 NETPROJ SYSTEM は,資料を投影するためのス クリーンを設置し,ネットワークドプロジェクタ NET-. PROJ,リモコン装置,データソース提供装置をネッ トワークに接続すれば実現できる.より柔軟な活用を したい場合には,NetPrez をインストールしたノート パソコンを用意し,それをネットワークに接続すれば よい.. 3.1 NETPROJ ネットワークドプロジェクタ NETPROJ には,資 料表示機能,リモコン受信機能がある.本稿では,通. 図 3 NETPROJ 論理構成 Fig. 3 NETPROJ logical structure. 常のプロジェクタと NETPROJ が持つ機能をプログ ラミング言語 Java により実装したソフトウェアが動. 2.2.1 プレゼンテーションサブシステム プレゼンテーションサブシステムは,データソース 提供機能,コントロール機能,データ表示機能からな. とみなすことにする.. り,各機能はネットワーク分散可能なソフトウェア部. 要なリモートコントロール操作は,次の通りである.. 作するネットワーク機能を持つパソコンを NETPROJ. NETPROJ SYSTEM を実現するにあたって,必 • • • •. 品として実現されている.それぞれを,データソース 提供部品,コントロール部品,データ表示部品とする. ここで,表示データが欠けてはプレゼンテーションに 不都合が生じるので,データ取得にあたっては HTTP. 基本情報の登録 データ表示の開始 データソース提供開始終了 基本情報と名前指定によるデータ表示. 2.2.2 リモコンサブシステム リモコンサブシステムは,リモコン部品とリモコン 受信部品からなる.リモコン部品は,プレゼンテーショ ンサブシステムの,コントロール機能に,ネットワー. • コントロール終了 • 画面表示非表示 • URI 指定によるデータ表示 • 表示データ配信開始終了 これらの操作を実装するにあたっては,デザインパ. クを介したイベント送信機能を追加する.リモコン受. ターン 5) のコマンドパターンなどを利用して拡張性,. 信部品は,プレゼンテーションサブシステムの,コント. 再利用性の高いモジュールとなるようにする.また,. ロール機能に,ネットワークを介したイベント受信機. 表示データ配信に関しては,VNC3) が採用している. 能を追加する.イベントの送受信にあたっては正しい. 画面イメージを分割して送信するというアイデアを応. イベントが正しい順番で送受信されるよう,TCP/IP. 用する.. をベースとする信頼性の保証されているプロトコルを. 2.2.3 配信受信サブシステム 配信受信サブシステムは,データ配信部品とデータ. 3.2 リモコン装置 リモコン装置には,ネットワークドプロジェクタへ のリモコン送信機能がある.本稿では,プログラミン グ言語 Java を使いリモコンの機能を実装し,ネット. 受信部品からなる.それぞれの部品はネットワーク分. ワークに接続可能な PocketPC, PDA などで動作さ. 散可能なソフトウェア部品として実現されている.デー. せたものをリモコン装置とみなす.. を用いて,信頼性を確保している.. 用いている.. PocketPC, PDA であれば,起動時間が短いので,. タ配信部品はネットワークドプロジェクタ上に配置さ れ,データ受信部品は,聴講者が使用するコンピュー. すばやく自分の資料をスクリーンに表示できるように. タ上に配置される.データを受け取る聴講者が複数い. なる.また,携帯性にも優れているため,通常のリモ. ること,スクリーンに投影している表示データを聴講. コンと同等に扱うことができる.. 者はスクリーンでも見ることができ,配信されるデー タは補助的に利用されることが特長である.したがっ. −27−. Java は米国 Sun Microsystems, Inc. の商標です..
(4) 3.3 データソース提供装置 データソース提供装置には,ネットワークドプロジェ クタへのデータ提供機能がある.この機能は,HTTP サーバーの機能により実装される.プレゼンテーショ. 示される心配がない.. 4. NETPROJ SYSTEM を用いたプレゼ ンテーション教育の提案. ン会場とネットワークで接続されたデータソース提供. NETPROJ SYSTEM を用いたプレゼンテーショ. 装置に発表者の用意した資料を置いておけば,発表者. ン教育として考えられるいくつかの授業形式について. は会場に資料を持参する必要もなくなる.. 提案をする.. 3.4 ネットワーク ネットワークに関しては,リモコン装置,データソー ス提供装置の接続を容易とするために,無線 LAN を 用いるのが良い.ケーブル接続の煩雑さをなくすこと により,発表者は好きなときに,好きな場所から発表 ができるようになる. また,IP アドレスを簡単に設定ができるように. 簡単のため,プレゼンテーションを実施する会場は インターネット接続が可能であり,NETPROJ SYS-. TEM で用いるネットワークはインターネット上の Web サービスが受けられる環境となっているとする. また,各自が使用するパソコンもネットワークに接続 しており,利用が可能となっているとする. この環境は,最近のインターネット普及の程度を考. DHCP サーバーによる動的な IP アドレス付与がさ れるようにしておくのが良い.ただし,データソース 提供装置,NetPrez を動作させる装置については,装 置名と IP アドレスの対応をとらなければ使い勝手が 悪くなるので,MAC アドレス登録による固定 IP ア. えると,現実的な想定である.. ドレス付与などの工夫が必要となる.. 仕方を学習する授業のことである.. 3.5 NetPrez NETPROJ 用プレゼンテーションアプリケーショ ンである NetPrez では,スクリーンに表示する資料 のコントロールと,資料・メモの確認をすることがで. 4.1 参加型授業 ここでの参加型授業とは,あるテーマについてクラ ス全員で議論をすることにより,そのテーマに関する 知見を深めると同時に,議論の仕方,議論への参加の このような授業における NETPROJ SYSTEM の 利用方法としては,次のようなことが考えられる. (図. 5).. きる(図 4).. 図 5 参加型授業 Fig. 5 A class how to participate in discussion 図 4 NetPrez Fig. 4 NetPrez. • 教師はあらかじめ資料を用意しておく.. 示されるわけではないので,次のような利点がある.. • 授業時には,テーマをスクリーンへ表示する. • 生徒はその場でコンピュータを使って意見をまと めた資料を作成する. • 生徒は自分の意見をスクリーンへ表示し,その意 見に関する考えを述べる.. • メモの確認などがしやすい. • デスクトップ画面がスクリーンに表示されない. • 手元の画面操作,編集作業などがスクリーンに表. • 教師は幾人かの生徒の意見をスクリーンへ同時に 表示し,対比させたり,類似性を指摘することが できる.. 一般的なプレゼンテーションアプリケーションとは 異なり,スクリーンに表示される画面が,表示する資 料をコントロールするコンピュータにおいて全画面表. −28−.
(5) 4.2 プレゼンテーション技能向上のための授業 プレゼンテーション技能向上を目的とする授業の場 合は,各自が別々のテーマに関する資料を事前に準備 しておき,それに関するプレゼンテーションをするこ とになる. この場合は、NETPROJ SYSTEM は次のように 利用ができる(図 6).. • 生徒は資料を準備する. • 生徒はリモコンを使って,スクリーンに表示する 資料をコントロールしながら,プレゼンテーショ ンする. • 教師はリモコンを使って,スクリーンに表示する 資料をコントロールしながら,プレゼンテーショ ンの講評を行う.. 図 7 パネルディスカッション Fig. 7 A Panel discussion. • 司会者はリモコンを持ち,発言に関係する資料が ない場合は関係のない資料を非表示とする.複数 の関係する資料がある場合は、各資料のスクリー ン表示サイズをコントロールする. この時,発言者は手元に用意していない参考資料な どをインターネット上から取り込み,表示することが できる.. 4.4 総 合 学 習 楽しく知識を深める1つの手段として,クイズ番組 のようなスタイルを導入した授業が考えられる.すべ ての授業をこのようにするのは無理があるが,総合学 習の一環として実施することは考えられる. この場合は教師が出題者兼司会者,生徒全員が解答. 図 6 プレゼンテーション技能向上のための授業 Fig. 6 A Lesson for presentaition skill up. 者となる.教師はあらかじめかなり準備をしておかな ければ,良い学習にはならないであろう.. ここで,生徒は作成した資料を自分が所有するホー. よくクイズ番組では,解答者の書いた解答を順番に. ムページに置いておきさえすれば,学校へ資料を持っ. スクリーンに表示して,なぜそのように考えたかを説. てこなくても,発表が可能である.. 明させることが多い.このような番組を見る楽しみの. また,生徒はリモコンの代わりに NetPrez を使っ. 1つには, 「なぜ解答者はそう考えたのかを聞くこと」. て,参考資料をみながら,スクリーンに表示する資料. がある.正解はあるのだが,解答者が正解するかしな. をコントロールし,プレゼンテーションすることも可. いかはあまり問題にはならない,という状況は個性を. 能である.. 伸ばすのに適していると考えられる.. 4.3 パネルディスカッション パネルディスカッションのように,1つのテーマに ついて,複数人が議論するのを見ながら,そのテーマ. をすることも可能である(図 8).. NETPROJ SYSTEM を使えば,このような授業. について考えるという授業もある. この場合は,パネリストの役割を担う生徒は,同じ テーマに関する資料を事前に準備しておき,それらを 利用して議論を行う. この場合、NETPROJ SYSTEM は次のように利 用ができる(図 7).. • 発言者はリモコンを持ち,発言時には関係する資 料をスクリーンに表示しながら意見を述べる.. −29−. • 教師は問題に関係する資料の表示と解説を行う. • 解説が終わったら,教師は質問を表示する. • 生徒は自分の解答を作成し,コンピュータに保存 する. • 教師は各自の解答を表示し,生徒に解答の説明を させる.. 5. お わ り に 以上のように,NETPROJ SYSTEM を利用する.
(6) 図 8 総合学習 Fig. 8 An integrated education. ことにより,一般的なプレゼンテーションシステムで. The Java Programming Language Third Edition (2000). 5) Erich Gamma, Richard Helm, Ralph Johnson, John Vlissides: Design Patterns, Elements of Reusable Object-Oriented Software, AddisonWesley (1995). 6) 小高知宏: TCP/IP Java ネットワークプログラ ミング, オーム社 (1999). 7) Sun Microsystems: Java2 SDK Standard Edition Documentation Version 1.4.0, http://java.sun.com/j2se/1.4/docs/, Sun Microsystems (2002). 8) Tristan Richardson, Kenneth R. Wood: The RFB Protocol Version 3.3, Revised, (1998). 9) 小山博史: プレゼンテーション支援システムにつ いて, 紀要, 長野県工科短期大学校 (2001).. は実現できないような授業が可能となる.項目として 挙げると,次の通りである.. • 生徒の意見を簡単にスクリーンへ表示できる • 複数の生徒の意見を同時に簡単にスクリーンへ表 示できる • 資料をインターネット上に配置して利用すること ができる • 教師が生徒の資料を簡単にスクリーンへ表示で きる. • 工夫次第で,新しい形態の授業が可能である. 現在実現している NETPROJ のプロトタイプでは, 実際に提案した授業で使用するには機能が足りない, 操作方法が複雑になる,といった問題がある.これら に関しては,NETPROJ のプロトタイプを改良し,よ り完成度の高い NETPROJ とするようにしたい. そして,今回提案した授業を行えるように,NETPROJ SYSTEM を実際に構築したいと考えている. さらに,構築したシステムを利用して,提案した授 業を行うことにより,その有効性について評価を行い たい.. 参. 考 文. 献. 1) 小山博史, 太田隆博: ネットワークドプロジェク タ NETPROJ に関する要求条件の検討, 情報処 理学会研究報告, 2002-IAC-2, pp. 67–72 (2002). 2) 小山博史, 坂口勝章: マルチキャストによるマル チメディア画面配信に関する研究, 情報処理学会研 究報告, 2000-DPS-96, No. 18, pp. 55–58 (2000). 3) Tristan Richardson, Quentin Stafford-Fraser, Kenneth R. Wood, Andy Hopper: Virtual Network Computing, IEEE Internet Computing, Vol. 2, No. 2, pp. 33–38 (1998). 4) Ken Arnold, James Gosling, David Holmes:. −30−.
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図
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