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未適用の会計基準等に関する注記 : 新退職給付会計基準に対する開示事例を題材にして (菅原計教授、中村久人教授 退任記念号) 利用統計を見る

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(1)

計基準に対する開示事例を題材にして (菅原計教授

、中村久人教授 退任記念号)

著者

増子 敦仁

著者別名

Mashiko Atsuhito

雑誌名

経営論集

83

ページ

31-49

発行年

2014-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006865/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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未適用の会計基準等に関する注記

―新退職給付会計基準に対する開示事例を題材にして―

Disclosure of a New Accounting Standard

Issued but not yet Effective

増 子 敦 仁 1. はじめに 2. 「基準 24 号」の概要 3. 「会計方針の変更」に関する取扱い 4. 「表示方法の変更」、「会計上の見積りの変更」および「過去の誤謬の訂正」 の取扱い 5. 未適用の会計基準等に関する注記 6. 未適用の新退職給付会計基準に関する開示状況 7. おわりに 1. はじめに わが国における会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)から平成 21 年12 月 4 日、企業会計基準第 24 号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」 (以下、「基準24 号」と略す)および企業会計基準適用指針第 24 号「会計上の変更 及び誤謬の訂正に関する企業会計基準の適用指針」(以下、「指針24 号」と略す)が 公表され、原則として平成23 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用され ている。「基準24 号」では、財務諸表の作成にあたって採用した会計処理の原則およ び手続といった会計方針を変更した場合や、財務諸表の科目分類や科目配列あるいは 報告様式など財務諸表の作成にあたって採用した表示の方法を変更した場合、会計上 の見積りを変更した場合、および誤謬の訂正を行った場合の会計上の取扱いを定めた もので、会計上の見積りの変更の場合を除いて、過去の財務諸表に遡って適用してい たかのように処理・表示をすることが原則として義務付けられているため、実務上大 きなインパクトを有している。 その一方で、ASBJ は、平成 24 年 5 月 17 日に企業会計基準第 26 号「退職給付に関 する会計基準」(以下、「基準26 号」と略す)および企業会計基準適用指針第 25 号「退 職給付に関する会計基準の適用指針」(以下、「指針25 号」と略す)も公表され、か つての会計基準設定主体であった企業会計審議会が平成10 年に設定・公表していた 「退職給付に係る会計基準」および「同注解」や、日本公認会計士協会から公表され、 数度にわたり改正を重ねてきた会計制度委員会報告第13 号「退職給付会計に関する 実務指針(中間報告)」など関連基準・指針を14 年ぶりに大幅改正した。これは主と して①財務報告を改善する観点および②退職給付に関する国際的な動向を踏まえ、未 認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用の処理方法や、退職給付債務および 勤務費用の計算方法、ならびに開示の拡充を中心に、退職給付会計全般を幅広く改正

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するものである。したがって、こちらも積立不足を抱える企業では、財務体質の悪化、 および格付けの低下、さらには資金調達コストの上昇など実務上大きなインパクトを 与えるものであり、その適用は、一部の事項に関して、実務上困難な場合を除き、原 則として平成25 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用 することになっている。青木(2012)の調査によれば、米国の上場企業の約 7 割が 12 月決算であるのに対して、わが国の上場企業の約 7 割が 3 月決算であるという(青 木,2012,p.99-100)。これに鑑みれば、此の度の新しい退職給付会計基準の適用は、 平成25 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用する「早期適用」1の企業を 除き、大多数の企業が決算日を迎える平成26 年 3 月 31 日からスタートすることとな り、いわば「新退職給付会計適用前夜」の状況にある。 換言すれば、その前の平成26 年 2 月期までは、まだ従来の基準が適用されている ことを意味するが、「基準24 号」では、未適用の会計基準等に関する注記が求められ ている。これは、上記「遡及適用」と較べると地味な存在ではあるほか、「基準26 号」 に直接的に係わる事項ではない。しかし、上記のようにもともと今般の改正は財務報 告を改善するために開示の拡充を図ることが趣旨であったのであるから、未適用の会 計基準等に関する注記についても、間接的には新しい退職給付会計と関連性が認めら れる他、さらに実務上も新退職給付会計基準の適用前であるものの、当該注記は新基 準導入のための準備事項の一環として留意しなければならない事項であることに鑑み れば、決して軽視して良いというものではない。しかも、開示事例の調査によると看 過できない事態が生じており、未適用の会計基準等の開示自体が形骸化・空洞化して いる。故に、ディスクロージャー拡充の観点から問題点を厳しく指摘し、改善を図る 契機にしなければならない。 そこで本稿では、まず「基準24 号」、特に未適用の会計基準等に関する注記の制度 を概観し、次いで新退職給付会計に係る開示状況の問題点を明らかにし、若干の卑見 を表明したい。 2. 「基準 24 号」の概要 (1) 「基準 24 号」設定の経緯 わが国においては、「基準24 号」が制定されるまで、会計上の変更および過去の誤 謬の訂正に関して、開示を含めた会計上の取扱いを定めた包括的な規定は次の規定を 除き、存在していなかった。すなわち、「企業会計原則」【注3】では、正当な理由に よって会計処理の原則または手続に変更を加えたときは、これを財務諸表に注記しな ければならないこと、それを受けて「財務諸表等の用語様式及び作成方法に関する規 則」(以後、「財規」と略す)などにおいては、注記事項として①変更の旨、②変更の 理由、および③変更により影響が求められていた(旧「財規」第8 条の 3)。ほかには、 「企業会計原則」第二 損益計算書原則二C および同原則六で前期損益修正項目への 言及とその具体的な例示が【注12】において示され、これを受けて「特別利益及び特 別損失の損益計算書への表示方法が定められている(旧「財規」第95 条の 2 および 同条の3)程度であった。 しかし、国際会計基準(IAS)第 8 号などの国際的な会計基準、とくにアメリカの

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会計基準2においては、以前より企業が自発的に会計方針を変更した場合や、財務諸 表の表示方法の変更を行った場合には、過去の財務諸表を新たに採用した方法で遡及 して処理することとされていた。その一方で、わが国において旧商法のもとでは、取 締役会や株主総会で承認された計算書類が過年度事項の修正を認めるか否か根拠条文 が明示されていないという問題もあって、遡及処理については会計基準では採用の検 討すら俎上にのぼっていなかった。ところが、平成18 年 5 月に施行された会社計算 規則では、過年度事項の修正を前提とした計算書類の作成および修正後の過年度事項 の参考情報としての提供が妨げられないことが明確化され、会計上の変更及び誤謬の 訂正に関して、その会計基準の開発を巡る環境が大きく変化した。また、ほぼ機を一 にして国際会計基準審議会(IASB)と ASBJ との間での国際財務報告基準(IFRS) とわが国の会計基準との差異を縮小することを目的とするプロジェクトが始動したが、 当該事項が長期プロジェクト項目の中で「特に優先して取り組むき項目」として位置 付けられていた。その後ASBJ は、平成 19 年 8 月に IASB との間で会計基準のコン バージェンスの加速に向けた取り組みに合意(いわゆる「東京合意」)し、本件はいわ ば国際公約となった。以後精力的に検討を進め、公開草案に寄せられた意見を基に「基 準24 号」および「指針 24 号」が確定した。 (2) 「基準 24 号」の構造 「基準24 号」は、大きく分けて「会計上の変更」と「過去の財務諸表における誤 謬の訂正」の二つの会計処理及び表示の取扱いからなっている。ここで前者は、①「会 計方針の変更」、②「表示方法の変更」、および③「会計上の見積りの変更」の3 つに 細分化されるため、それらと④「過去の誤謬の訂正」、の4 つに区分して、取扱いを 規定している(以下、「基準24 号」第 4 項参照)。 まず、①「会計方針の変更」とは、従来使用していた一般に公正妥当と認められた 会計方針から他の一般に公正妥当と認められた会計方針に変更することをいう。ここ で、会計方針とは、企業が損益計算書および貸借対照表の作成にあたって、その財政 状態および経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続をいい、「企 業会計原則」では、【注1-2】で具体例を挙げている。 次に、②「表示方法の変更」とは、従来使用していた一般に公正妥当と認められた 表示方法から他の一般に公正妥当と認められた表示方法に変更することをいう。ここ で、表示方法とは、財務諸表の作成にあたって採用した表示の方法(注記による開示 も含む。)をいい、財務諸表の科目分類、科目配列および報告様式が典型であるが、財 務諸表における同一区分内での科目の独立掲記、統合あるいは科目の変更及び重要性 の増加に伴う表示方法の変更のほか、財務諸表の表示区分を超えた表示方法の変更も 含まれる(「指針24 号」第 4 項)。 そして、③「会計上の見積りの変更」とは、新たに入手可能となった情報に基づい て、過去に財務諸表を作成する際に行った会計上の見積りを変更することをいう。こ こで会計上の見積りとは、資産および負債や収益および費用の額に不確実性がある場 合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出 することをいう。

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最後に、④「過去の誤謬の訂正」であるが、誤謬とは、原因となる行為が意図的で あるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったこと、 またはこれを誤用したことによる、(a)財務諸表の基礎となるデータの収集または処理 上の誤り、(b)事実の見落としや誤解から生じる会計上の見積りの誤り、および(c)会計 方針の適用の誤りまたは表示方法の誤り、をいう。 3. 「会計方針の変更」に関する取扱い (1) 「会計方針の変更」の分類・範囲 会計方針とは、財務諸表の作成にあたって採用した会計処理の原則および手続であ る(企業会計基準24 号第 4 項(1))。会計方針は、正当な理由により変更を行う場合を 除き、毎期継続して適用することとされ(「基準24 号」第 5 項前段)、これは「企業 会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更しては ならない」という従来からの「企業会計原則」一般原則五 継続性の原則および同【注 3】継続性の原則について、と何ら変わるものではない。したがって、正当な理由が ある場合に限って会計方針の変更が認められることになるが、それは次のいずれかに 分類される(「基準24 号」第 5 項後段)。 ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更とは、会計基準等の改正によって特定の会 計処理の原則および手続が強制される場合や、従来認められていた会計処理の原則お よび手続を任意に選択する余地がなくなった場合など、会計基準等の改正に伴って会 計方針の変更を行うことをいう。ここで、「会計基準等」とは、(a)ASBJ が公表した 企業会計基準、(b)企業会計審議会が公表した会計基準(「企業会計原則」等を含む)、 (c)ASBJ が公表した企業会計基準適用指針、(d)ASBJ が公表した実務対応報告ならび に(e)日本公認会計士協会が公表した会計制度委員会報告(実務指針)、監査・保証実 務委員会報告および業種別監査委員会報告のうち会計処理の原則および手続を定めた もの、および他の一般に公正妥当と認められる会計処理の原則および手続を明文化し て定めたものをいう(「指針第24 号」第 5 項)。従来は「既存の会計基準の変更のほ か、新たな基準の設定、実務指針等の公表・改廃及び法令の改正等」(監査委員会報告 第78 号)とされていたが、より具体的かつ詳細に記述すべきであるという意見や、 国際的な会計基準の動向も踏まえて「指針24 号」ではできるだけ具体的に明示する こととされた。 ここで、法令等により会計処理の原則および手続が定められている場合であるが、 一般に公正妥当と認められる会計処理の原則および手続を明文化して定めたものは 「会計基準等」に含まれるため、当該法令等も一般に公正妥当と認められる会計基準 等に含まれると解される(「指針第24 号」第 16 項)。会計基準等の改正には、既存の 会計基準等の改正または廃止のほか、新たな会計基準等の設定が含まれ、会計基準等 に早期適用の取扱いが定められており、これを適用する場合も、会計基準等の改正に 伴う会計方針の変更として取り扱うこととなっている。

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② ①以外の正当な理由による会計方針の変更 ①以外の正当な理由による会計方針の変更とは、「正当な理由」に基づき、自発的に 会計方針の変更を行うことをいう。ここで、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 以外の会計方針の変更を行うための「正当な理由」がある場合とは、(a)会計方針の変 更が企業の事業内容または企業内外の経営環境の変化に対応して行われるものである こと、および(b)会計方針の変更が会計事象等を財務諸表に、より適切に反映するため に行われるものであること、の2 つの要件が満たされているときをいう(「指針24 号」 第6 項)。会計方針の変更は、一つの会計事象等について複数の会計処理方法が認め られている場合に、その範囲内で当該2 要件が満たされているときに行われるもので あるが、これに加えて、変更後の会計処理が類似の会計事象等に対して適用されてい る会計処理方法と「首尾一貫」3したものであることに留意する必要がある(「指針24 号」第17 項)。 したがって、上記2 要件が、企業が会計方針の変更を行う際の判断に際しての指針 となるので、企業の事業内容や内外の経営環境が特に変化していない場合や、「財務体 質の健全化を図る」といった単純に利益を控えめにさせる保守的な会計処理方法への 変更は、従来と較べると容易に認められなくなると解されるため、評価に値する。し かしながら、会計基準上そうであったとしても、それを実際に実行する段階で厳格に 執行されなければまさに「絵に描いた餅」になってしまう懸念がある。監査人の真価 が問われる局面である。 ③ 会計方針の変更の範囲 会計処理の変更に伴って表示方法の変更も同時に行われる場合もある。ここで、会 計方針の変更と表示方法の変更との区分は、表示区分の変更が、会計処理方法の変更 に伴うものであったかどうかにより判断することとされている。したがって、そのよ うな場合には、「会計方針の変更」として取り扱う(「指針24 号」第 7 項および第 19 項)。このため、ある収益取引について、営業外収益から売上高に表示区分を変更する 場合、資産および負債ならびに損益の認識または測定について、何ら変更を伴うもの でないときは、表示方法の変更として取り扱うこととされている4 (2) 「会計方針の変更」に関する原則的な取扱い 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更が行われたときは、原則として、会計基準 等に特定の経過的な取扱いが定められていない限り、新たな会計方針を過去の期間の すべてに遡及適用することになる(「基準24 号」第 6 項(1))。逆に、会計基準等に特 定の取扱いが定められている場合には、その経過的な取扱いに従うことになる5。会 計基準等の改正に伴う場合以外の正当な理由による会計方針の変更が行われたときは、 新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用しなければならない(同項(2))。遡 及適用とは、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計 処理することであるから(「基準24 号」第 4 項(9))、(a)表示期間(当期の財務諸表お よびこれに併せて過去の財務諸表が表示されている場合の、その表示期間をいう)よ り前の期間に関する遡及適用による累積的影響額は、表示する財務諸表のうち、最も

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古い期間の期首の資産、資産および純資産の額に反映させ、(b)表示する過去の各期間 の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映させる。 (3) 原則的取扱いが実務上不可能な場合の取扱い 上記のように、会計方針の変更が行われたときには、遡及適用することとされてい るが、現実の実務においては遡及適用が不可能な場合6も考えられる(「基準24 号」 第8 項)。そこで、「基準 24 号」は、まず当期の期首時点で、過去の期間のすべてに 新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を算定することはできるものの、 表示期間のいずれかにおいて、当該期間に与える影響額を算定することが実務上不可 能な場合には、遡及適用が実行可能な最も古い期間(これが当期となる場合もありえ る)の期首時点で累積的影響額を算定し、当該期首残高から新たな会計方針を適用す ることとしている7「基準24 号」第 9 項(1))。 (4) 会計方針の変更に関する注記 ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更があった場合には、(a)会計基準等の名称、 (b)会計方針の変更の内容、(c)経過的な取扱いに従って会計処理を行った場合、その旨 および当該経過的な取扱いの概要、(d)経過的な取扱いが将来に影響を及ぼす可能性が ある場合には、その旨および将来への影響、(e)表示期間のうち過去の期間について、 影響を受ける財務諸表の主な表示科目に対する影響額および1 株当たり情報に対する 影響額、(f)表示されている財務諸表のうち、最も古い期間の期首の純資産の額に反映 された、表示期間より前の期間に関する会計方針の変更による遡及適用の累積的影響 額および(g)原則的取扱いが実務上不可能な場合には、その理由、会計方針の変更の適 用方法および適用開始の時期、を原則として注記しなければならない(「基準24 号」 第10 項)。 ② その他の会計方針の変更 上記①以外の正当な理由による会計方針の変更の場合も、(a)会計方針の変更の内容、 (b)会計方針の変更を行った正当な理由、(c)表示期間のうち過去の期間について、影響 を受ける財務諸表の主な表示科目に対する影響額および1 株当たり情報に対する影響 額、(d)表示されている財務諸表のうち、最も古い期間の期首の純資産の額に反映され た、表示期間より前の期間に関する会計方針の変更による遡及適用の累積的影響額お よび(e)原則的取扱いが実務上不可能な場合には、その理由、会計方針の変更の適用方 法および適用開始の時期、を注記する(「基準24 号」第 11 項)。 ③ 同一期間に複数の会計方針の変更を行った場合 同一の期間に複数の会計方針の変更を行った場合には、実務上可能な範囲において 上記①または②で定めている事項を注記する8「指針24 号」第 10 項)。

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4. 「表示方法の変更」、「会計上の見積りの変更」および「過去の誤謬の訂正」の 取扱い (1) 「表示方法の変更」の取扱い ① 「表示方法の変更」に関する原則的な取扱い 従来のわが国の取り扱いでは、旧「財規」等において、原則として財務諸表を作成 する各時期を通じて、同一の表示方法を採用し、表示方法の変更を行った場合には、 過去の財務諸表との比較を行うために必要な注記を行うとされてきた(旧「財規」第 8 条の 3)。しかしながら、比較情報として表示される過去の財務諸表の組替えは求め られていなかった。しかし、国際的な会計基準、例えばIAS(国際会計基準)第 1 号 「財務諸表の表示」のもとでは、原則として組替えることが強制されている(IAS 第 1 号第 41 項および第 42 項)。 「表示方法の変更」を行った場合に過去の財務諸表の組替えを求めることは、「会計 方針の変更」で原則として遡及適用を求めたことと同様に、財務諸表全般に関しての 比較可能性が高まるため、情報の有用性が高まるという効果が期待できる。したがっ て、表示方法についても、(a)表示方法を定めた会計基準または法令等の改正により表 示方法の変更を行う場合および(b)企業の事業内容または企業内外の経営環境の変化 などにより、会計事象等を財務諸表により適切に反映するために表示方法の変更を行 う場合、の二つの場合を除き、毎期継続的に適用することとし、財務諸表の表示方法 の変更を行った場合には、原則として比較情報として表示される過去の財務諸表を、 新たに採用した表示方法により遡及的に組み替えることとされた(「基準24 号」第 13 項および同第14 項)。 ② 原則的な取扱いが実務上不可能な場合の取扱い 「会計方針の変更」に関する遡及適用の取扱いと同様に、「表示方法の変更」につい ても、財務諸表の組替えが実務上不可能な場合はあり得る。IAS 第 1 号でも、企業は 過去の期間において組替えを可能にするような方法でデータを収集しておらず、且つ 情報を作り直すことは実務上不可能な場合があることを認めている(IAS 第 1 号第 43 項)。したがって、「基準24 号」でも原則的な取扱いが実務上不可能な場合を想定し た規定を置き、表示する財務諸表のうち、表示方法の変更に関する原則的な取扱いが 実務上不可能な場合には、財務諸表の組替えが実行可能な最も古い期間から新たな表 示方法を適用することとされている(「基準24 号」第 15 項および同 53 項)。 ③ 表示方法の変更に関する注記 表示方法を変更した場合には、(a)財務諸表の組替えの内容、(b)財務諸表の組替えを 行った理由、(c)組替えられた過去の財務諸表の主な項目の金額および(d)原則的な取扱 いが実務上不可能な場合の、その理由、を注記する9「基準24 号」第 16 項)。 (2) 「会計上の見積りの変更」の取扱い ① 「会計上の見積りの変更」に関する原則的な取扱い 従来のわが国での取扱いでは、「会計上の見積りの変更」をした場合も、過去の財務

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諸表に遡って処理することは求められていなかった。また、国際的な会計基準でも、 IAS 第 8 号第 36 項および同第 37 項、あるいは SFAS 第 154 号(FASB-ASC Topic205)第 19 項のいずれでも、「会計上の見積りの変更」は、新しい情報によって もたらされるものであるという認識から、過去に遡って処理せず、その影響は将来に 向けて認識するという考え方が採られている。したがって、「基準24 号」でも、「会 計上の見積りの変更」は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には当該変更期間 に会計処理を行い、当該変更が将来の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計 処理を行うこととされ、従来の取扱いが踏襲されている(「基準24 号」第 17 項およ び同第55 項)。 したがって、過去の見積りの方法がその見積りの時点で合理的である、すなわち、 過去の財務諸表の作成時において入手可能な情報に基づいて最善の見積りを行った場 合で、それ以降の見積りの変更も合理的な方法に基づく場合、当期中における状況の 変化により会計上の見積りを変更したときの差額、または実績が確定したときの見積 金額との差額は、過去の誤謬の訂正には該当せず、変更のあった期、または実績が確 定した期に、その性質による営業損益または営業外損益として認識される。これに対 し、過去の計上時における見積りが合理的な見積りに基づくものではなく、これを事 後的に合理的な見積りに基づいたものに変更するといった、計上時の見積り誤りに起 因して差額が生じた場合には、「過去の誤謬」に該当し、修正再表示を行う(「適用指 針第24 号」第 12 項)。 ② 「会計上の見積りの変更」に関する注記 従来のわが国での取扱いでは、旧日本公認会計士協会監査委員会報告第77 号「追 加情報の追記について」において、「会計上の見積りの変更」を行った場合には、追加 情報(「財規」第8 条の 5)として「会計上の見積りの変更」を行った旨、その内容お よび当該変更が財務諸表等に及ぼす影響を注記することとされていた。他方で、国際 的な会計基準、たとえばIAS 第 8 号第 39 項および第 40 項や、SFAS 第 154 号 (FASB-ASC Topic205)第 22 項では、「会計上の見積りの変更」が当該変更期間お よび将来の期間に与える影響と、その内容および金額の注記を求めており、将来の期 間に与える影響については見積りが困難な場合、その旨を注記することとしている。 このため、「基準24 号」では国際的な会計基準を参考により具体的な取扱いを設ける こととし、(a)「会計上の見積りの変更」の内容および(b)「会計上の見積りの変更」が、 当期に影響を及ぼす場合は当期への影響額10が注記事項とされている(「基準24 号」 第18 項および同第 58 項)。 ③ 「会計方針の変更」と「会計上の見積りの変更」とを区別することが困難な場合の 取扱い 「会計方針の変更」を「会計上の見積りの変更」と区別することが困難な場合につ いては、「会計上の見積り」と同様に取り扱い、遡及適用は行わない(「基準24 号」 第19 項)。したがって、実質的な「会計上の見積りの変更」の拡大解釈であると捉え られ、遡及適用を意図的に縮小させる措置であるとも言えるけれども、注記事項とさ

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れてはいる(同項ただし書き)ので、最低限の水準での情報提供は確保されている。 また、有形固定資産等の減価償却方法および無形固定資産の償却方法は、会計方針と して位置づけるとしつつも、減価償却方法の変更は計画的・規則的な償却方法の中で の変更であることから固定資産に関する経済的便益の消費パターンについての見積り の変更を伴うと考えられる。その結果、減価償却方法の変更は、「会計方針の変更」を 「会計上の見積りの変更」と区別することが困難な場合に該当するものとし、その遡及 適用は求めないこととされている(「基準24 号」第 20 項および同第 61 項)。この点

においても、IASB および FASB と同様の考え方に沿っている(IAS 第 8 号第 38 項

およびSFAS 第 154 号(FASB-ASC Topic205)第 20 項)。

(3) 「過去の誤謬の訂正」の取扱い ① 「過去の誤謬の訂正」に関する取扱い

従来のわが国の誤謬の取扱いとしては、「企業会計原則」【注12】において、前期損

益修正項目が挙げられており、誤謬が発見された期の損益(特別利益または特別損失) として損益計算書に計上され、修正再表示する方法は採られていなかった。しかし、

国際的な会計基準、例えばIAS 第 8 号の第 42 項や、SFAS 第 154 号(FASB-ASC

Topic205)第26 項では、いずれも公表後の財務諸表に誤謬が発見された場合には、過 去の財務諸表を修正再表示することになっている。これは、財務諸表の期間比較が可 能な情報を提供するという観点から有用であり、また国際的な会計基準とのコンバー ジェンスを進める見地からも導入が望ましいと考えられる。そもそも、誤謬のある過 去の財務諸表を修正再表示することは、会計方針を変更したことに伴う遡及適用とは 次元が異なっており、比較可能性の確保やコンバージェンスの促進とは無関係に当然 の要請として措置すべきであるという考え方も存在する。したがって、「基準24 号」 は、過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、(a)表示期間より前の期間に 関する修正再表示による累積的影響額については、表示する財務諸表のうち、最も古 い期間の期首の資産、負債および純資産の額に反映する、(b)表示する過去の各期間の 財務諸表には、当該各期間の影響額を反映する、により修正再表示する(「基準24 号」 第21 項)。 ② 「過去の誤謬」に関する注記 上記のように、過去の財務諸表の修正再表示を求めることから、「過去の誤謬の訂正」 に関する注記事項についても、「会計方針の変更」などに関する注記の場合と同様に、

IAS 第 8 号第 49 項および SFAS 第 154 号(FASB-ASC Topic205)第 26 項とほぼ

同様の内容として、(a)過去の誤謬の内容、(b)表示期間のうち過去の期間について、影

響を受ける財務諸表の主な表示科目に対する影響額および1 株当たり情報に対する影

響額および(c)表示されている財務諸表のうち、最も古い期間の期首の純資産の額に反

映された、表示期間より前の期間に関する修正再表示の累積的影響額、を注記事項に

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5. 未適用の会計基準等に関する注記 (1) 未適用の会計基準等に関する注記の意義 ① 未適用の会計基準等に関する注記の定義 「基準24 号」は、上記「会計方針の変更」に関連して、すでに公表されているも のの、未だ適用されない新しい会計基準等がある場合には、下記の一定の事項を注記 することと規定している(「基準24 号」第 12 項)。これを未適用の会計基準等に関す る注記という。なお、連結財務諸表で注記を行っている場合は、個別財務諸表での注 記を要しないこととされている(同項なお書き)。この未適用の会計基準等に関する注 記については、IFRS(国際財務報告基準)では IAS 第 8 号に取扱いが定められてい る一方で、アメリカでは会計基準そのものには取扱いがない代わりに、アメリカの証 券取引委員会(Securities Exchange Committee:SEC)のスタッフ会計公報(Staff Accounting Bulletin:SAB)第 74 号により、その開示が求められている。 ② IAS 第 8 号での規定 IAS 第 8 号では、発行はされているものの、まだ有効になっていない新しい IFRS を適用していない場合には、(a)その事実および(b)新しい IFRS の適用が適用初年度に おける企業の財務諸表に及ぼす、起こり得る影響の評価に関連性のある、既知のまた は合理的に見積り可能な情報、を開示しなければならない(IAS 第 8 号 30 項)。また、 上記に準拠するにあたり、企業は(a)新しい IFRS の名称、(b)目前に迫っている会計方 針の変更または変更の内容、(c)その IFRS の適用が要求されている日付、(d)企業がそ

のIFRS の適用開始を予定している日付、(e)次のいずれか((ⅰ)その IFRS の適用開

始が企業の財務諸表に及ぼすと予想される影響についての検討、(ⅱ)その影響が不明 であるかまたは合理的に見積れない場合には、その旨の説明)を開示する(IAS 第 8 号第31 項)。 ③ SEC の SAB 第 74 号での規定 SEC は、言うまでもなくアメリカの証券取引に関して、強制捜査権等強力な権限を 有する独立行政機関である。アメリカでの証券に関連する法律としては、1933 年証券

法(Securities Act of 1933)と 1934 年証券取引法(Securities Exchange Act of 1934)

の二つの法律があり、SEC は会計基準の設定に関する権限を付されているものの、実 際にはFASB に委任をしており、主として開示に関する規制(Regulation)を公表して いる。規制には、財務情報の開示に係る規則 S-X(Regulation S-X)と非財務情報 の開示に係る規則S-K(Regulation S-K)とがあり、特に前者はわが国の連結財務 諸表規則に相当するものであり、実務上重視されている。これらのほかにもSEC は、 次のような様々な発行物を公開しており、これらのものもGAAP を形成しているとい われている。

(a) 財務報告通牒(Financial Reporting Release:FRR)は、財務報告に関する SEC の見解を示すものである。したがって、強制力を有している。

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による解釈指針であり、法的な強制力はないものの、実務上は強制力に近いも のをもっている。

(c) 会計・監査行政処分通牒(Accounting and Auditing Enforcement Release: AAER)は、SEC が行った処分及びその内容を示している。 ここで、通常新しい会計基準には採用開始日が規定されており、当該会計基準の公 表日から採用開始日まである程度の期間が設定されており、企業側の準備期間および 投資家にとっては周知期間が用意されている。そこで、スタッフ会計公報(SAB)第 74 号は、公表日と採用開始日の間に財務諸表が公表される場合には、(a)新しい会計 基準の概要、採用を要求されている日付(早期適用の場合は採用予定日)、(b)新しい 基準の認める会計処理の概要、採用予定の会計処理(決定している場合)、(c)新しい 基準の採用による財務諸表への影響額(影響が判らない場合または合理的に見積れな い場合にはその旨)および(d)新しい基準の採用により発生すると思われるその他重要 事項への潜在的影響額、を開示することが「奨励」されている12 ④ ASBJ による検討結果 「基準24 号」の検討の過程においては、当該注記の内容は会計基準によって求め られるべき性格のものではなく、アメリカと同様に開示規則等において取扱いを設け ることで十分ではないかという意見があったが、国際財務報告基準(IAS 第 8 号)で は会計基準の中でこのような内容の注記が求められていることや、未適用の会計基準 等が企業に及ぼす影響が開示されていれば、財務諸表に関連した情報として、投資の 意思決定に有用であると考えられることから、「基準24 号」の中で未適用の会計基準 等に関する注記が求められることになった(「基準24 号」第 51 項本文)。 (2) 未適用の会計基準等に関する注記の対象 また、未適用の会計基準等に関する注記については、決算日までに新たに公表され た会計基準等について注記を行うことになるが、決算日後に公表された会計基準等に ついても当該注記を行うことを妨げるものではない、とされている(「基準24 号」第 51 項なお書き)。この場合は、いつの時点までに公表された会計基準等を注記の対象 としたかを記載することが適当であるが、「基準26 号」は、平成 24 年 5 月 17 日に公 表されたので、同年3 月末に決算日を迎えた企業が同年 6 月末に提出する有価証券報 告書に記載される財務諸表から注記可能になる。 (3) 未適用の会計基準等に関する注記の具体的な内容 未適用の会計基準等に関する注記事項は、次のとおりである(「基準24 号」第 12 項)。 (a) 新しい会計基準等の名称および概要 (b) 適用予定日(早期適用する場合には早期適用予定日)に関する記述 ただし、すでに公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等の

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適用時期について、財務諸表の作成の時点において企業がいまだ経営上の判断を行っ ていない場合には、「適用予定日に関する記述」において、その旨を注記することとな る(「指針24 号」第 11 項前段)。 (c) 新しい会計基準等の適用による影響に関する記述 また、新しい会計基準等の適用による影響に関する記述について、適用の影響につ き定量的に把握していない場合には、定性的な情報を注記することとなる。なお、財 務諸表の作成時点において企業がいまだその影響について「評価中」であるときは、 その事実を記述することで足りるとされている(「指針24 号」同項後段)。なお、上 記と同様の内容の規定が「財規」第8 条の 3 の 3 ならびに財務諸表等規則ガイドライ ン8 の 3 の 3 ないし同 8 の 3 の 3-1-3 に定められている。連結財務諸表においては、 連結財務諸表規則第14 条の4 ならびに連結財務諸表規則ガイドライン14 の4 におい て、財務諸表等規則、同ガイドラインをそれぞれ準用することとされている。 6. 未適用の新退職給付会計基準に関する開示状況 (1) 退職給付会計基準の大幅改正の主要事項 ① 未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用の処理方法 改正前の退職給付会計基準では、数理計算上の差異および過去勤務費用のうち費用 処理されていない部分である、未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用に ついては、連結貸借対照表に計上せず、これに対応する部分を除いた、退職給付債務 と年金資産との差額(「積立状況を示す額」)を負債もしくは資産として計上する「遅 延認識」を採用していた。しかし、「基準26 号」では、「積立状況を示す額」をその まま負債(退職給付に係る負債)または資産(退職給付に係る資産)として「即時認 識」する(「基準24 号」第 13 項)とともに、未認識数理計算上の差異および未認識 過去勤務費用を、税効果を調整の上で貸借対照表の純資産の部(その他の包括利益累 計額)で認識することとした(「基準26 号」第 24 項および「適用指針第 25 号」第 25 項)。 また、「基準24 号」は未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用の費用処 理方法については変更しておらず、改正前の会計基準と同様に、平均残存勤務期間以 内の一定の年数で規則的に費用処理する。ただし、数理計算上の差異および過去勤務 費用の当期発生額のうち、費用処理されない部分についてはその他の包括利益に含め て計上し、その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異および 未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分についてはその他の包括利益 の調整(組替調整)を行うこととなる(「基準26 号」第 15 項)。 他方で、個別財務諸表においては、当面の間、上記の即時認識および第15 項のの ただし書きの改正を適用せず、改正前の会計基準の扱いを踏襲する(「基準26 号」第 39 項)。そのため、個別財務諸表と連結財務諸表とで取扱いが異なることになる。 ② 退職給付債務および勤務費用の計算方法 改正前の退職給付会計基準では、退職給付見込額の期間帰属方法として、退職給付

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見込額を全勤務期間で除した額を各期の発生額とする期間定額基準を原則とし、その 他の給与基準や支給倍率基準、およびポイント基準が一定の場合にのみ認められてき た。しかし、「基準26 号」では、期間定額基準および給付算定式基準(退職給付見込 額の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積もった額を、退職 給付見込額の各期の発生額とする方法)のいずれかの選択適用に改められている(「基 準26 号」第 19 項)。なお、給付算定式基準による場合、勤務期間の後期における給 付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準になるときには、当該期間の給 付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければならない。 また、割引率の基礎となる期間について、改正前の退職給付会計基準では、退職給 付の見込支払日までの平均期間を原則とするが、実務上は従業員の平均残存勤務期間 に近似した年数とすることもできるとされていた。これに対し、「指針25 号」では、 割引率は退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならないものと し、例えば退職給付の支払見込期間および支払見込期間ごとの金額を反映した単一の 加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の 割引率を使用する方法が含まれる(「指針25 号」第 24 項)。 ③ 開示の拡充および名称等の変更 今回の改正では、退職給付債務や年金資産の増減の内訳など、国際的な会計基準で 採用されているものを中心に開示項目を拡充しているのも特徴の一つである(「基準 26 号」第 30 項)。また、「指針 25 号」の末尾には開示例も付されている。また、改 正前の退職給付会計基準では「退職給付引当金」、「前払年金費用」、「過去勤務債務」 および「期待運用収益率」と呼ばれていた用語が、それぞれ「退職給付に係る負債」、 「退職給付に係る資産」、「過去勤務費用」および「長期期待運用収益率」に改められ ている(「基準26 号」第 52 項、同第 74 項および「指針 25 号」第 98 項)。なお、「退 職給付に係る負債」および「退職給付に係る資産」に関しては、個別財務諸表におい ては当面の間、この取扱いの改正を適用せず、改正前の退職給付会計基準での名称を 使用する(「基準26 号」第 39 項(3))。 (2) 未適用の新退職給付会計基準に関する注記の状況 上記のように、今般の退職給付会計の見直しは退職給付の全般に関わるものであり、 且つ退職給付は長期に亘って積み立てられる性格のものであるため、企業の財政状態 および経営成績に与える影響は非常に大きいものである。たとえば、「即時認識」ひと つとっても、未認識の数理計算上の差異や未認識の過去勤務費用を「退職給付に係る 負債」として計上することにより負債が増加するとともに、税効果を調整のうえ、そ の他の包括利益累計額で認識することになるため、純資産の減少項目が新たに生じる ことになる。こうして、積立て不足が生じている企業では、負債が増加する一方で純 資産が減少してしまうため、自己資本比率など安全性に関する経営指標が軒並み低下 してしまうことになる。企業規模に比して多数の従業員を抱える労働集約的産業に属 する企業では、最悪の場合、債務超過の危機に陥ることもあり得ることとなる。さら には、連結ベースでということであるから、親会社だけでなく、子会社の分も含まれ

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ることになる。加えて、「当面の間」、連結会計と個別会計で取扱いが異なるため、企 業の作成上の手間が余計にかかるばかりか、四半期ごとに財務報告が行われるため、 決算作業は著しく煩雑なものとなることが予想される。また、退職給付債務等の算定 は、複雑な計算を伴うため、個々の従業員ごとの金額を算出するのは至難の業であり、 そのため、多くの企業では外部の年金数理人(アクチュアリー)に委託しているケー スが多いのも退職給付会計の特徴である。いずれにせよ、退職給付会計のルールが変 わったことに対応するための企業側の準備作業は膨大なものとなることが予想される。 ① 決算日が「基準 24 号」公表前の企業の開示状況 「基準24 号」は平成 24 年 5 月 17 日に公表されたので、それ以前に決算日を迎え ていた会社とは、実質的に同年 3 月末日が決算日の企業である。有価証券報告書は、 決算日より3 か月以内に内閣総理大臣に提出される。よって、理論的には、平成 24 年3 月期に係る有価証券報告書に未適用の会計基準等に関する注記を記載することは 可能である。そのため、「基準24 号」は、決算日までに公表された新しい会計基準に ついて注記するのは当然ではあるが、決算日より後に公表された新しい会計基準につ いて注記することも妨げないと任意で開示することが認められている。 新日本有限責任監査法人の調査(2012)によると、決算日が「基準 24 号」公表日 以前で、かつわが国の会計基準を適用している有価証券報告書提出会社は2,887 社で あり、そのうち未適用の会計基準等に関する注記を行っているのは、(株)九電工、パ イオニア(株)、富士通(株)、および三井造船(株)の4 社であった。したがって、注記 によって開示している会社の割合は、0.14%ということになる。率にすれば低いもの の、6 月末に提出する有価証券報告書にいち早く記載を行ったということは、よりタ イムリーなディスクロージャーを心がけている証左であり、強制されるまでもなく、 任意で迅速な開示に踏み切った 4 社の開示姿勢は高く評価されるべきだと思われる。 影響額の記載方法については、(株)九電工とパイオニア(株)は「評価中」、富士通(株) は「現時点で見積もることは困難」、そして三井造船(株)は「算定中」であった13 ② 決算日が「基準 24 号」公表後の企業の開示状況 さらに、新日本有限責任監査法人(2013)は平成 24 年 4 月期から同年 12 月期、 すなわち決算日が平成24 年 4 月 1 日から同年 12 月 31 日までに決算日を迎え、かつ わが国の会計基準を適用している、有価証券報告書提出会社919 社を対象に、有価証 券報告書の「第五 経理の状況」において【未適用の会計基準】で退職給付について 言及のある会社を調査した結果を公表している。その内訳は、連結財務諸表を作成し ている会社が670 社(72.9%)、連結財務諸表を作成せず個別財務諸表のみを公表し ている会社が249 社(27.1%)であった。連結財務諸表を作成している会社のうち、 新しい退職給付会計について未適用の会計基準等に関する注記を行っていたのは、 211 社で 31.5%にあたる。また、影響額の記載方法については、「評価中」としてい る会社が最も多く198 社、次いで「現時点で見積もることは困難」が 8 社、「算定中」 が4 社、そして「検討中」が 1 社となっている。一方、連結財務諸表を作成していな い会社は、連結子会社が存在していないため、連結財務諸表を作成する必要がなく、

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個別財務諸表のみを作成・公表している会社であるが、その多くは会社規模がそれほ ど大きくなく、多くは退職給付に関して「簡便法」を採っており、「原則法」を採用し ている会社は46 社にとどまる。そのうち新しい退職給付会計について、未適用の会 計基準等に関する注記を行っていたのは、8 社で 17.4%(連結財務諸表を作成してい ない会社全体に対する割合は3.2%)にあたる。また、影響額の記載方法については、 8 社すべてが「評価中」となっている。 7. おわりに 上記新日本有限責任監査法人の調査によると、連結財務諸表を作成している会社で 新退職給付会計基準に係る未適用の会計基準等の開示を行っているのが31.5%、連結 財務諸表を作成せず、且つ原則法を採っている会社に至っては、新退職給付会計基準 に係る未適用の会計基準等の開示を行っているのが17.4%という結果は衝撃的であ る。「基準26 号」が公表される前後の 9 か月間の時期とはいえ、この期間に有価証券 報告書を提出した919 社全体で 219 社しか開示していない、換言すれば 76.2%が不 開示というのは重く受け止めるべきだと思われる。大混乱が生じているというほどま でには陥っていないことは幸いではあるものの、これでは未適用の会計基準等に関す る注記が空洞化・形骸化し、機能していないといっても過言ではないであろう。 確かに、重要性が乏しいものについては、注記を省略することが「できる」とされ ている(「財規」第8 条の 3 の 3 但し書き)が、今回の改正は確定給付企業年金を導 入している企業にとっては大きな影響を与えると捉えられている改正であるので、重 要性が乏しいとは考えにくい。現にたとえば、富士通(株)では、平成24 年 3 月期、 平成25 年 3 月期とも「重要な影響を及ぼす見込み」であると認めている。仮に、確 定給付企業年金ではなく、確定拠出企業年金を導入しているため影響が軽微であると 考えているのであれば、その旨開示すれば足りるはずであるし、企業年金制度そのも のを導入していない(あるいは廃止した)場合も同様であろう。多くの最高財務責任 者(CFO)が「企業年金が重荷」に感じ、企業側は確定給付企業年金から確定拠出企 業年金に移行したり、年金基金へ保有している株式を拠出して運用を外部委託に切り 替えたり、支給開始年齢そのものを引き上げたりするなど企業側は年金改革を急いで いる。一概に断定はできないものの、そうした企業年金、あるいは退職金といった退 職給付制度の改革や、新しいルールそのものへの対応に追われ、未適用の会計基準等 に関する開示そのものを失念していた会社が相当数あったものと思われる。 「基準24 号」は遡及適用など複雑な部分も多く、また他の企業会計基準と違って あらゆる会計基準に関連するという意味で縦割りではなく、横に広がって展開する「横 糸」のようなものであり、性格を異にする。それだけに未適用の会計基準等に関する 注記は、やや地味な存在であることも否定できない。また、4 月から 12 月に決算日を 迎える会社は、3 月決算の会社と較べてその適用が後になり、「基準 26 号」の適用は 平成26 年 4 月以降に迎える決算から適用となるので、相当先のことという感覚であ ったのかもしれない。しかしながら、仮に、未適用の会計基準等に関する注記を開示 するのを失念していたのであれば、「基準24 号」の理解が著しく不十分であるといわ ざるを得ない。そもそも、開示している会社ですら、その影響額は「評価中」がほと

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んどであり、「現時点で見積ることは困難」あるいは「算定中」・「検討中」で、概算的 な金額すら1 社も開示されていなかった。この程度の開示であれば、注記していない 会社も十分対応可能な範囲である。 いずれにせよ、注記を怠った会社の開示姿勢には問題がある。また、監査を担当し ている監査法人も、クライアント先の有価証券報告書に対して、緊張感を欠いた甘い チェック体制には大いに問題があると真摯に反省すべきであろう。さらに、企業情報 開示を所管している金融庁がこの件に関し、具体的な指導を行ったという事実も寡聞 にして聞かない。有価証券報告書による開示は、企業の経営実態を映し出すためのデ ィスクロージャーの根幹をなすものであり、「経理の状況」は特に重要である。開示を 拡充させ、かつIFRS とのコンバージェンスを加速させてきたと自負するのであれば、 ルールという器を作るだけでなく、その後の実行面にも目配りをすべきである。 さらに、今回は、新日本有限責任監査法人が注記による開示状況を調査し、ウェブ サイト上に公開しているが、そもそもこのような事例分析は、一監査法人が行うべき 性格のものではなく、日本公認会計士協会が責任をもって計画的・規則的に実施し、 その結果浮かび上がった問題点を迅速に整理し、関係各位に注意を喚起すべきである。 未適用の会計基準等に関する注記が徹底していないことの第一義的な責任は無論、有 価証券報告書提出会社にあるのは当然であるが、それを見過ごした監査人、そして業 界団体である日本公認会計士協会の責任も重大である。 このように考えると、会計基準設定主体であるASBJ と、企業およびその監査人と の間には、残念ながらギャップが存在しているといわざるを得ない。今回の事例を教 訓にすべきであろうが、ASBJ およびその上部組織である財務会計基準機構は、新退 職給付会計基準等がこれから本適用を迎えるにあたって、その普及と定着に向けて啓 蒙活動に今後は注力すべきであると考えられる。さらに、今回の問題だけに留めるべ きではない。平成25 年 6 月 20 日に金融庁企業会計審議会が公表した、「国際会計基 準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」において、新たにエンドースメン ト手続を打ち出し、日本版のIFRS である「J-IFRS」の策定を進めることになったが、 このようなギャップが厳然と存在している現実を直視し、目下の「J-IFRS」基準の開 発活動と並んで一層の啓発活動を重視しなければ、それは空疎な試みに終わり兼ねな いと感じられるからである。 【注】 1 『週刊経営財務』誌の調査(2013a)によれば、平成25 年3 月期の有価証券報告書において、 新退職給付会計について、早期適用の記載を行っている企業は、当初は44 社と報じていた。し かし、新日本有限責任監査法人が平成25 年3 月期の企業2,438 社の第1 四半期報告書を用いて 調査を実施(2013)しており、その結果35 社が早期適用をしている(早期適用の企業の占める割 合1.44%)と公表している。その後の『週刊経営財務』誌(2013b)で早期適用を見送る企業が 相次いだため、やはり同数の35 社となったと報じている。数は少ないが、たとえ強制されなく ても早期適用に踏み切った企業の努力と開示姿勢を高く評価したい。 2 アメリカにおける会計上の変更に関する会計基準には、かつては会計原則審議会意見書 (APBO) 第 20 号および財務会計基準審議会(FASB)による財務会計基準書(SFAS)第 3

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号があったが、2005 年5 月に国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスを進めるにあた り再編成され、SFAS 第154 号「会計上の変更及び誤謬の訂正」が公表されている。なお、現在 はFASB による会計基準のコード化体系が図られており、FASB-ASC(Accounting Standards Codification)Topic250 と称されている。 3 討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(以下、単に「概念フレームワーク」と略す)で は、「内的整合性」について、意思決定との関連性や信頼性の階層関係の中ではなく、階層全体 を支える一般的制約となる特性として位置付ける一方で、首尾一貫性とは異なる概念であると規 定している(「概念フレームワーク」第2 章第16 項および第19 項)。ここで、「内的整合性」と は、一般に、ある個別の会計基準が、会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないことで あるから、「指針24 号」で使用している「首尾一貫」という用語よりも、むしろ「整合」という 用語を用いた方が適切だったのではないかと解される。 4 一方で、次の事象は、「会計方針の変更」に該当しない(「指針24 号」第8 項および第18 項)。 (a) 会計処理の対象となる会計事象等の重要性が増したことに伴う本来の会計処理の原則およ び手続への変更 これは、従来、会計処理の対象となる会計事象等の重要性が乏しかったため、本来の会計 処理によらずに簡便な会計処理を採用していたが、当該会計事象等の重要性が増したため、本 来の会計処理へ変更する場合をいう。たとえば、ある項目に対する会計方針を現金主義から発 生主義へ変更する場合が該当するが、重要性が増した会計事象等に対して現金主義を適用する ことは一般に公正妥当と認められた会計処理にあたらないので、当該変更は「会計方針の変更」 は該当しないのである。この場合、従前の重要性の判断に誤りがない限り、過去の財務諸表を 遡及的に修正処理する必要はなく、変更の影響額は関連する費用または収益に含めて処理する こととなる。 (b) 会計処理の対象となる新たな事象の発生に伴う、新たな会計処理の原則および手続の採用 これは、例えば新規事業を開始することに伴って新たに取得した有形固定資産の経済的便 益の消費パターンが、既存事業における有形固定資産の経済的便益の消費パターンと異なるこ とが予想される場合に、新たに取得した有形固定資産の減価償却方法として、既存事業の有形 固定資産の減価償却方法とは異なる方法を採用する場合などである。新たに採用する以上、「会 計方針の変更」ではないため、従前の減価償却方法の判断に誤りがない限り、過去の財務諸表 を遡及的に修正処理する必要はなく、変更の影響額は関連する費用または収益に含めて処理す ることとなる。 (c) 連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項のうち、連結または持分法の適用の範 囲に関する変動 連結または持分法の適用の範囲の決定は極めて重要ではあるものの、財務諸表の作成にあ たって採用した会計処理の原則および手続に該当しない。したがって、従前の連結または持分 法の適用範囲の判断に誤りがない限り、過去の財務諸表を遡及的に修正処理する必要はなく、 変更の影響額は関連する費用、収益、資産または負債に含めて処理することとなる。 また、キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲の変更は、「会計方針の変更」として 取り扱う。なお、ある特定のキャッシュ・フロー項目について、表示区分を変更した場合や、 営業活動によりキャッシュ・フローに関する表示方法について直接法と間接法と間での変更な ど、キャッシュ・フローの表示の内訳を変更した場合については、「表示方法の変更」として

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取り扱う(「指針24 号」第9 項および第20 項)。 5 例えば、新しい退職給付会計のもとで、未認識項目の処理方法・開示や退職給付債務及び勤務 費用の計算方法の見直しなど新しい退職給付会計基準を適用するにあたり、過去の期間の財務諸 表に対しては遡及処理しないと定められている(「企業会計基準」第26 号第37 項)ものについ ては、今回の改正退職給付会計の適用時には遡及適用を行ってはならない。 6 例えば、①過去の情報が収集・保存されていないため、合理的な努力を行っても遡及適用によ る影響額を算定できない場合、②遡及適用にあたり、過去における経営者の意図について仮定す ることが必要な場合、あるいは③遡及適用にあたり、会計上の見積りを必要とするときに、会計 事象や取引が発生した時点の状況に関する情報について、対象となる過去の財務諸表が作成され た時点で入手可能であったものと、その後判明したものとに、客観的に区別することが時の経過 により不可能な場合、が挙げられる。 7 また、当期の期首時点において、過去の期間のすべてに新たな会計方針を適用した場合の累積 的影響額を算定することが実務上不可能な場合には、期首以前の実行可能な最も古い日から将来 にわたり新たな会計方針を適用することとしている(「基準24 号」第9 項(2))。 8 変更の内容ごとに影響額を区分することが困難な場合には、その旨を注記する。 9 ただし、(b)から(d)については、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記とが 同一である場合には、個別財務諸表においては、その旨の記載をもって代えることができるとさ れている 10 当期への影響がない場合でも将来の期間に影響を及ぼす可能性があり、かつ、その影響額を合 理的に見積もれるときには当該影響額も注記する。ただし、将来への影響額を合理的に見積もる ことが困難な場合には、その旨で良い。 11 なお、修正再表示後の期間の財務諸表では当該注記を繰り返す必要はない(「基準 24 号」第 68 項但し書き)。 12 ただし、新しい会計基準が遡及して適用される場合は開示が「強制」される。 13 これら4 社の平成25 年3 月期の有価証券報告書でも未適用の会計基準等に関する注記は引き 続き開示されているが、三井造船(株)が「評価中」に変わったものの、他の3 社は前年度と同じ 記載であった。 【参考文献】 青木茂男(2012)『要説 経営分析』(四訂版) 森山書店 週刊経営財務(2013a)『週刊経営財務』第3122 号(2013 年7 月15 日号) ―(2014b)『週刊経営財務』第3130 号(2013 年9 月16 日号) 新日本有限監査法人ナレッジセンター・リサーチ(2012)「平成24 年3 月期 未適用の会計基準等に 関する注記 開示分析」 (http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/case-study/2012/2012-09-13.html) 新日本有限監査法人ナレッジセンター・リサーチ(2013)「平成 24 年4 月期から 12 月期 未適用の 会計基準等に関する注記 開示分析」 (http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/case-study/2013/2013-04-08.html) Financial Accounting Standards Board (1974) Statement Financial Accounting Standards No.3,

(20)

― (2005) Statement Financial Accounting Standards No.154, Accounting Changes and Error Corrections

International Accounting Standards Board (2013) International Accounting Standards No.1

Presentation of Financial Statements

― (2013) International Accounting Standards No.8 Accounting Policies, Changes in Accounting Estimates and Errors

Securities Exchange Committee (1987) Staff Accounting Bulletin No.74, Disclosure of the Impact that Recently Issued Accounting Standards Will Have on the Financial Statement of the Registrant When Adopted in a Future Period

The American Institute of Certified Public Accountants Accounting Principles Board (1971) Accounting Principles Board Opinion No.20, Accounting Changes

参照

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4.「注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計処理基準に関する事項 (8)原子力発 電施設解体費の計上方法

企業会計審議会による「固定資産の減損に係る会計基準」の対象となる。減損の兆 候が認められる場合は、

「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号