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グローバルスタンダード発電監視制御システム

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Academic year: 2021

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新興国を中心に世界各地で電力需要が増大する中,より 運転効率を上げ,環境に配慮した発電所の運転が求められ ている。そのような背景の下,運転員が発電所の常時運転・ 監視に使用するHMI(ヒューマンマシンインタフェース)システ ムには,運転状態を一目で把握できること,ユーザーがグラ フィック画面や帳票レイアウトを作成可能なことなど,さまざま なニーズが寄せられている。 日立製作所の発電監視制御システム「HIACS」は,発電所 の制御装置の核として日本国内に豊富な実績を持っている。 そこで,さらなるグローバル化をめざし,顧客が常時使用する HMIシステムに視認性・操作性の向上やユーザビリティの向 上などのニーズを取り入れ,進化したHIACSのグローバル市 場への提供を開始した。 1.はじめに 中国・インド・ロシア・ブラジルなどの新興国を中心に,グロー バル市場における電力需要は増加の一途をたどっている。ま た,地球温暖化問題に代表される環境問題への意識の高ま りにより,地球環境への配慮とともに,運転効率の高い運用 が求められている。このような市場環境の中,発電所の運転 員が常時運転・監視に使用するHMI(Human-machine Inter-face)システムに対して,さまざまなニーズが寄せられている。 日立製作所は,これらのニーズに応えるために,発電監視 制御システム「HIACS(Hitachi Integrated Autonomous Con-trol System)」において新HMIシステムを開発した(図1参照)。

ここでは,HMIシステムに対するグローバル市場のニーズ と,それらのニーズに対応した機能について述べる。

グローバルスタンダード発電監視制御システム

Global Standard Power Plant Monitoring and Control System

丸山 良雄

Yoshio Maruyama

宮川 純一

Junichi Miyakawa

山田 崇弘

Takahiro Yamada

鈴木 洋之

Hiroshi Suzuki

北川 勝秀

Katsuhide Kitagawa

図1 発電所の集中監視室 発電所の運転を集中監視する部屋には,多数のHMI(ヒューマンマシンインタフェース)システムや大型スクリーンが設置され,一目で運転状態が把握できる。 36 Vol.91 No.03 290-291 2009.03 電力・エネルギー分野の最新開発技術

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37 2.グローバル市場のニーズ 発電所の運転員が常時運転・監視に使用するHMIシステ ムに寄せられるニーズには,大別して以下の項目が挙げられ る(図2参照)。 (1)運転状態を一目で把握可能な高精彩グラフィック画面, マルチモニタ,大型スクリーン監視 (2)ユーザーみずからがグラフィック画面や帳票レイアウトを 作成可能な,ユーザビリティに優れたツール群 (3)各種分析・解析を容易とする,発電所の運転データ長期 保存システム (4)的確な権限を有した人が,安全な監視・操作を行うこと を保障する,セキュリティシステム (5)発電所計算機自動化システムと容易に連係できる拡張 性に優れたシステム 3.グローバルスタンダード発電監視制御システム 3.1 システム構成 今回開発したHMIシステムは,プラントの運転に必要な監 視・操作機能を備えたシステムであり,プラント情報のビジュア ルな表示,各種制御情報の提供,およびガイダンスの出力な どを行うことができる。これらを含むDCS(Distributed Control System:分散制御システム)の概略構成例を図3に示す。 このシステムは,分散設置された各種機器をネットワーク接 続し,監視機能・制御機能・情報管理機能をそれぞれ独立さ せた自律分散方式で構築している。プラントデータは,現場 設備に設置されるフィードバック制御やシーケンス制御などを 行う制御装置で工学値に処理され, Σ Network-100制御 LAN(Local Area Network)を介して,HMIシステムの主要部 であるOPS(Operator Station)に格納する。

3.2 高精彩グラフィック 発電所の運転状態を監視するための系統図表示などのグ ラフィック画面に,立体的な図柄やアニメーションを使用し,よ り高精彩で直感的に状況を把握することが可能となっている (図4参照)。 また,監視対象の広範囲化を目的に,1台のHMI CPU (Central Processing Unit)に2台のモニタを接続するマルチモ

ニタや大型スクリーン表示を可能とした(図5参照)。 監視・操作を行ううえでの操作性は,効率的な運転を可能 にするためにも欠か せないものであり,現 在 主 流である feature article 制御装置 ハブ PRT PRT OPS OPS HSR 制御装置 DCS構成 制御装置 注:略語説明 PRT(Printer),OPS(Operator Station), HSR(Historical Storage and Retrieval Server), DCS(Distributed Control System)

図3 システム構成の概要 発電監視制御システムの構成を示す。 視認性・操作性の向上 (高精彩グラフィック) セキュリティ ユーザー作成・ カスタマイズ (ツールの拡充) 容易なトラブル解析 (データ長期保存・拡張性) 注:略語説明 HMI(Human-machine Interface) 図2 HMIシステムへのグローバル市場ニーズ 発電所の運転員が常時運転・監視に使用するHMIシステムに求められている グローバル市場のニーズを示す。 図4 高精彩グラフィック画面 立体的な表示により,直感的に状況把握が可能である。

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38 Vol.91 No.03 292-293 2009.03 電力・エネルギー分野の最新開発技術 Windows※)での操作性を取り入れ,よりユーザーの使い勝手 を向上させている。 3.3 ユーザビリティに優れたツール群 グローバル市場では,ユーザーがみずからグラフィック画面 や帳票フォーマットを作成するのが一般的である。そこで, ユーザビリティに優れたツールの拡充および開放により,専門 知識を持っていないユーザーでもカスタマイズが可能とした。 開発したツールは次のとおりである。 (1)グラフィックビルダ (2)入出力点データベースビルダ (3)計算式ビルダ(図6参照) (4)操作フレームビルダ (5)帳票フォーマットビルダ(図7参照)

(6)APS(Automatic Plant Startup and Shutdown System)処 理表のロジック作成ツール

3.4 運転データ長期保存システム

発電所の運転状態は,各種帳票類に記録・保存されてい るが,そのほかにプラント運転データの長期保存へのニーズ が多い。このシステムでは,データ保存用のHSR(Historical Storage and Retrieval Server)において,全点長時間保存が可 能となっており,トラブル発生時の各種分析・解析を容易とし ている。 3.5 セキュリティシステム HMIシステムからの運転操作だけでなく,グラフィック画面 や帳票フォーマット作成に関してもシステム使用者の認証を行 い,正式に権限を与えられている人だけに使用を許可するセ キュリティシステムの導入が進んでいる。 図8 セキュリティシステム ユーザーによる権限設定および認証を行うことができる。また,認証された使 用者がどのような操作を行ったかについての履歴を残すことも可能となっている。 図6 計算式ビルダ 表計算ソフトウェア上で,演算式を入力するだけで,計算式を実行するプログ ラムを作成することができる。 図7 帳票フォーマットビルダ 表計算ソフトウェア上で,帳票フォーマットを作成することができる。 図5 マルチモニタ1) 複数画面を同時に開くことにより,きめ細かい監視・運転が可能である。 ※)Windowsは,米国およびその他の国における米国Microsoft Corp.の登録商 標である。

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39 このシステムでは,ユーザーによる権限設定および認証を 行うことができる(図8参照)。また,認証された使用者がどの ような操作を行ったかの履歴を残すことも可能となっている。 3.6 システム拡張性 従来から実績があり,その信頼性に定評があるユニット計 算機の機能である発電所計算機自動化システム/APSや性 能計算,スケジュール計算などともシームレスに接続可能であ り,きわめて拡張性に優れたシステムとなっている。 4.おわりに ここでは,グローバル市場のニーズに適合した新開発HMI システムについての概要を述べた。 新たなHMIシステムは,グラフィック画面の三次元表示やマ ルチモニタ機能により,視認性・監視性に優れたシステムと なっている。また,ユーザビリティに優れた各種ツール群をサ ポートしたことにより,プログラムを作成することなく,ユーザー がグラフィック・帳票・計算式などを作成することが可能となっ た。もちろん,従来から実績があるユニット計算機の諸機能と もシームレスに接続でき,セキュリティにも優れた安全・安心な 監視・制御システムである。 今後も,市場ニーズに合致した製品開発を継続し,より使 いやすく,安全・安心なシステムを提供していく所存である。 1)海外発電所向け新MIシステムの完成,日立評論,91,1,25(2009.1) 参考文献 執筆者紹介 丸山 良雄 1992年日立製作所入社,情報・通信グループ 情報制御 システム事業部 発電制御システム設計部 所属 現在,発電制御システムの開発業務に従事 feature article 北川 勝秀 1996年日立製作所入社,情報・通信グループ 情報制御 システム事業部 発電制御システム設計部 所属 現在,発電制御システムの開発業務に従事 技術士(情報工学) 鈴木 洋之 1998年日立製作所入社,情報・通信グループ 情報制御 システム事業部 発電制御システム設計部 所属 現在,火力計算機システムの開発業務に従事 山田 崇弘 2005年日立製作所入社,情報・通信グループ 情報制御 システム事業部 発電制御システム設計部 所属 現在,発電制御システムの開発業務に従事 宮川 純一 2007年日立製作所入社,情報・通信グループ 情報制御 システム事業部 発電制御システム設計部 所属 現在,火力計算機システムの開発業務に従事

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