5.事業創出活動 2014-June 48
伝 統 工 芸 の融 合 展
地場産業の活性化をねらいとして、仏壇塾開発実践プログラムと新 融合イン滋賀研究会の 2 つの産学連携プロジェクトを推進し、第 4 回 地場産業再生 MOT フォーラム(2014 年 2 月 26 日開催)の併設企画 展示会「伝統工芸の融合展」で成果を公開した。この展示会において、 仏壇彫刻、漆・蒔絵、錺金具、組紐、信楽焼、和紙などの伝統工芸の 融合や、伝統工芸とエレクトロニクスの融合から生み出した新しい工 芸品を展示した。本センターが主催する「新融合イン滋賀研究会」およ び「仏壇塾開発実践プログラム」の活動ですべての商品コンセプトを 創出した。本展示会の模様はテレビ、新聞に報道され、人文社会系大 学の主導による産学連携の新しいスタイルを地域へ情報公開すること ができた。 仏壇塾開発実践プログラムでは、地域資源である彦根仏壇の工芸 技術を活かした 3 つの新用途の商品開発を推進しており、その中から 「新酒器」と「ケータイ彫刻」の 2 つの成果を「伝 統工芸の融合展」で公開した。 「新酒器」は、漆塗、蒔絵など仏壇の工芸技 術を活かした美しい酒器に電子冷温部を融合 させることで、食卓や酒席を華やかに演出する とともに、冷酒を冷たいままに保持する新コン セプトの酒器。株式会社 小川が開発担当し、 八十島プロシード株式会社(ケース)、株式会 社 中農製作所 (冷温部金属部品)、北斗電 子工業株式会社(冷温部電子回路)の開発協 力を得た。 「ケータイ彫刻」は、伝統的な仏壇彫刻の技術をベースにして、浮き彫りの極限の薄さへの挑戦によりスマートフォ ン向けのケースを開発した。森彫刻所が実際の開発を担当した。 新融合イン滋賀研究会では、仏壇工芸のほか、信楽焼、組紐、和紙、扇骨等の伝統工芸の融合や、伝統工芸と 電子技術の融合から創出された 8 つのコンセプトを提案して、そのうち「貫入文様陶器」、「Display Andon」、「組紐タ イ」、「祈り空間」、「Mottainai」の 5 つの新コンセプト商品の試作開発の成果を「伝統工芸の融合展」で公開した。 「貫入文様陶器」は信楽焼と漆芸の融合から創出されたコンセプトであり、貫入(釉薬の微細なひび割れ)を文様と して使った新しい信楽陶器である。一般的に貫入は陶器全体にみられるが、文様として使うために、貫入の発生位事業創出活動
❏産業振興分野
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5.事業創出活動 2014-June 49 置や密度をコントロールするとともに、色漆で貫入文様をさらに浮き立たせた。丸滋 製陶株式会社が開発を担当し、貫入制御のパラメータについて、滋賀県信楽窯業 技術試験場に開発協力いただいた。 「Display Andon」は、和紙とエレクトロニクスの融合で生まれたコンセプトで、スマ ートフォンやタブレット等の電子ディスプレイから放射される光を和紙に透過させて、 安らぎのある、柔らかな照明空間を提供する商品。開発を担当する株式会社太陽 ならびに、滋賀県東北部工業技術センターと本学の共同研究の結果、商標、意匠、 特許の出願を行った。 「組紐タイ」は、藤三郎紐独自の仏蘭西格子の組紐と、錺金具の白金屋のクリッ プで構成されており、2 つの伝統工芸を生かした商品コンセプト。クールビズで増え た開襟シャツスタイルの襟元を、締めつけずにお しゃれに演出する新しいタイプのネクタイを提案し た。 「祈り空間」は、2 つの要をもつ扇骨からイメージ した背板と漆台座で構成した新しい祈り空間であ り、小型のものは祈り空間として、大型のものは瞑 想空間としてコンセプトを創出した。株式会社井上 仏壇店が開発を担当し、試作を滋賀県東北部工 業技術センター、滋賀県工業技術総合センターに 協力いただいた。 「Mottainai」は、扇子作りの際に「割れ」や「シミ」 などがある不良品となった扇骨材を積み重ねて、 曲げ加工により生み出した漆工芸品。本学の美術 教育講師(隼瀬大輔氏)が開発を担当し、高島市 の SEN-KOTSU 工房(代表多胡裕之氏)に材料提 供いただいた。 (文責 特任教授 山本 卓)