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小学校における「自律型国際交流学習」の特徴とそのデザイン : 国際交流学習の実践事例の類型化に基づく特徴の明確化

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Title

小学校における「自律型国際交流学習」の特徴とそのデザ

イン : 国際交流学習の実践事例の類型化に基づく特徴の明

確化( 本文(Fulltext) )

Author(s)

清水, 和久; 益子, 典文

Citation

[岐阜大学カリキュラム開発研究] vol.[27] no.[1] p.[90]-[99]

Issue Date

2009-11

Rights

Version

石川県教育センター / 岐阜大学総合情報メディアセンター

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/31045

(2)

小学校における「自律型国際交流学習」の特徴とそのデザイン

-国際交流学習の実践事例の類型化に基づく特徴の明確化-

清水和久

*1

・益子典文

*2 国際交流学習は,活きた英語を利用する場であることや諸外国の文化を理解する絶好の教材であるにもかか わらず,一般に交流相手の調整や,授業の準備における教師どうしの英語によるコミュニケーションの必要性 などの先入観が教師側に存在するため,広く実践されているとは言い難い。しかし,国際交流学習には様々な 実践のタイプが存在し,第一著者がこれまで小学校において経験してきた国際交流学習は,交流相手の選択か ら実践に至るまで,小学校教師が容易に,しかも効果的に取り組むことにできるタイプのものであった。そこ で本研究では,これまで行われてきた国際交流学習を先行実践から類型化し,その中の 1 つの成果共有型の国 際交流学習の実施方法を「自律型国際交流学習」と名付けて特徴を明らかにし,自己実践の事例をもとに説明 を試みる。 〈キーワード〉 国際交流学習,カリキュラム開発,自律型国際交流学習 Ⅰ.はじめに 平成10 年より総合的な学習の時間が始まったことに より,学校や教師の裁量で学習内容を決めることができ る時間が確保された。これにより,国際交流学習などの 特色ある学習活動を実践することが時間的に可能とな ってきている。また,小学校では平成23 年度から実施 される学習指導要領で英語が本格導入されるため,国際 交流学習を,学習者が英語を実際に使う場面として位置 づける事例も増えてくると思われる。 しかし,諸外国の学習者と交流し,英語を学ぶのみな らず,国際的なセンスを身につけることのできる国際交 流学習は,総合的な学習の時間において実践されること は希である。その理由としては,特に小学校では,諸外 国の適切な交流相手の学校・クラスを決めることが困難 であること,英語を専門としない教師が交流授業の詳細 について交流相手とコミュニケーションをとることが 難しいため,学習計画立案が困難だと思われているこ と,などが考えられる。 第一著者はこれまで,小学校において,多くの国際交 流学習の実践を行ってきたが,上記のような困難な点は 想像されているよりも高いハードルではないことを実 感してきている。つまり,国際交流学習には実践にあた って様々なタイプがあるにもかかわらず,多くの教師 は,その実践を単一の枠組みで理解していることが,国 際交流学習の拡がりを妨げている一つの要因であると 考えられる。 そこで,本論文では,さまざまな国際交流学習の実践 を分類し,より実践しやすい形での国際交流学習のタイ プの特質を明らかにすることを目的とする。 Ⅱ 国際交流学習の分類枠の構成 1 目的 国際交流学習に関する先行研究において国際交流学 習を実践者の教師の立場から分類を行う。 2 方法 2007 年 11 月の段階で,国際交流学習に関する先行研 究を,国立情報学研究所の「論文情報ナビゲーター (http://ci.nii.ac.jp/」によって検索した。「フリーワー ド」に「国際交流学習」を用い,ヒットした文献の中か ら,入手可能な論文を分類対象とした。その結果,分析 対象の国際交流学習に関する論文は 41 事例であったの これらの論文に対して分類分けをし,分析を行うことと した。 3 結果 *1 石川県教育センター *2 岐阜大学総合情報メディアセンター 岐阜大学カリキュラム開発研究 2009.11, Vol.27 No.1, 90-99

(3)

著 者 題 名 書 誌 情 報 分 類 1小 林 功 他7名 交 流 を 通 し て の 協 同 的 な 学 び 宇 都 宮 大 学 教 育 学 部 教 育 実 践 総 合 セ ン タ ー 紀 要 28 ,20 7-21 7,2 00 5 原 理 2重 田 勝 介 他1 0名 事 前 ・ 事 後 学 習 を 取 り 入 れ た 国 際 間 遠 隔 授 業 の 支 援日 本 の 小 学 校 間 で の 国 際 交 流 の 事 例 よ り : ケ ニ ア ・ 日 本 教 育 工 学 会 大 会 講 演 論 文 集 20 ,84 5-84 6,2 00 4 事 例 3神 林 裕 子 「 雪 ま つ り 」 で の 国 際 交 流 活 動 の 有 効 性 : 子 ど も の 「 楽 し さ 」や 「 英 語 で 相 手 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る こ と の 慣 れ 」 の 観 北 海 道 教 育 大 学 紀 要. 教 育 科 学 編 55 (2),27 -3 3,2 00 5 事 例 4西 田 裕 一 他3 名 日 英 間 の 小 学 校 に お け る 国 際 交 流 支 援 シ ス テ ム に 関 す る 基 礎 的研 究 電 子 情 報 通 信 学 会 技 術 研 究 報 告. E T , 教 育 工 学 10 1(70 6),20 9-21 4 2 00 2 C MC 5大 島 ま な , 田 村 知 子 留 学 生 を 活 用 す る 国 際 理 解 教 育 の 内 容 ・ 方 法 と 教 育 効 果 に 関 す る 研 究(そ の 1 ) : 大 学 周 辺 地 域 の 小 学 校 と の 国 際 交 流 活 動 を 中 心 に 九 州 共 立 大 学 ・ 九 州 女 子 大 学 ・ 九 州 女 子 短 期 大 学 ・ 生 涯 学 習 研 究 セ ン タ ー 紀 要 6,5 9-80 ,20 01 事 例 6佐 藤 慎 也 他 6 名 小 学 校 教 育 で の エ コ ・ア ー キ テ ク チ ャ ー ・プ ロ ジ ェク ト : 建 築 ・ 街 づ く り 等 創 造 性 教 育 手 法 を 用 い た 環 境 学 習 の 国 際 交 流 の 試 み 日 本 建 築 学 会 学 術 講 演 梗 概 集 20 00 ,66 5-66 6,2 000 事 例 7佐 々 木 真 理 他 2名 タ イ 国 と の 遠 隔 同 時 交 流 授 業 に お け る 児 童 の 意 識 の 変 容 過 程 年 会 論 文 集 (15 ),24-2 5,1 999 事 例 8米 倉 雅 真 他 2 名 Cha pa rra l M id dle S c hoo l-片 平 小 学 校 交 流 授 業 に つ いて : 創 造 性

教 育 手 法 を 用 い た 国 際 交 流 の 試 み そ の2 日 本 建 築 学 会 学 術 講 演 梗 概 集. 19 98 ,50 1-50 2,1 998 事 例 9高 木 浩 志, 田 中 博 之 中 学 校 英 語 科 教 育 と 国 際 交 流 学 習 に 関 す る 研 究 : グ ロ ー バ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 育 成 に 向 け て 日 本 教 育 情 報 学 会 第20 回 年 会 論 文 集 (2 0),16 6-16 9,2 00 4 原 理 10日 詰 裕 雄 他 2 名 テ レ ビ 会 議 シ ス テ ム を 利 用 す る 海 外 中 学 校 と の 国 際 交 流 : 香 川 大 学 教 育 学 部 附 属 高 松 中 学 校 と 上 海 師 範 大 学 附 属 外 国 語 中 学 と の 実 施 報 告 香 川 大 学 教 育 実 践 総 合 研 究 7 ,23 -30 ,20 03 ) 事 例 11成 瀬 喜 則, 長 山 昌 子 IC T を 活 用 し た 国 際 交 流 学 習 の 効 果 を 高 め る た め の 取 り 組 み 教 育 情 報 研 究 22(2 ),1 9-27 ,20 06 事 例 12高 木 浩 志, 田 中 博 之 交 流 学 習 に 関 す る 考 察 : グ ロ ー バ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 能 力 の 育 成 に 向 けて 日 本 教 育 情 報 学 会 第21 回 年 会 論 文 集 (2 1),15 8-15 9,2 00 5 C MC 13佐 々 木 真 理,熊 安 娜 中 国 ・ 日 本 間 の 遠 隔 共 同 授 業 に お け る 生 徒 の 国 際 理 解 意 識 の 形 日 本 教 育 情 報 学 会 第 19 回 年 会 論 文 (1 9),23 0-23 1,2 00 3 C MC 14熊 安 娜, 佐 々 木 真 理 中 国 語 と 日 本 語 を用 い た 情 報 用 語 の 学 習 に よ る 児 童 の 国 際 理 解 意 識 の 形 成 日 本 教 育 情 報 学 会 第18 回 年 会 論 文 集(1 8),81 -84,2 00 2 原 理 15佐 々 木 真 理,熊 安 娜 テ レ ビ 会 議 に よ る 中 国 ・ 日 本 間 の 遠 隔 共 同 授 業 「 日 本 語 」 に おけ る 受 講 者 の 国 際 理 解 意 識 の 形 式 日 本 教 育 情 報 学 会 第 18 回 年 会 論 文 (1 8),59 -60,2 00 2 原 理 16成 田 健 之 介, P ot terHe id i 国 際 交 流ケ ー シ ョ ン と 表 現 を 中 心 にW E B を 利 用 し た 情 報 活 用 の 実 践 力 の 育 成 : コ ミ ュ ニ 日 本 教 育 情 報 学 会 第 (1 7),86 -89,2 00 1 17 回 年 会 論 文 事 例 17藤 本 光 司 他 3 名 イ ン タ ー ネ ッ ト 環 境 を 活 用 し た 国 際 理 解 教 育 の 推 進(1) : ホ ー ム ペ ー ジ の 構 築 か ら 授 業 計 画 ま で 日 本 教 育 情 報 学 会 第13 回 年 会 論 文 集(1 3),11 4-11 5,1 99 7 C MC 18成 瀬 喜 則 国 際 ネ ッ ト ワ ー ク を 使 っ たC S CW と 教 育 用 プ ロ ジ ェ ク ト 日 本 教 育 情 報 学 会 第 9回 年 会 論 文 (9 ), 4-5,1 993 C MC 19成 瀬 喜 則 国 際 パ ソ コ ン 通 信 利 用 に よ る 学 校 間 プ ロ ジ ェ ク ト : J apa n F es tiva l 教 育 プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 教 育 情 報 研 究 8(3),54 -63, 199 3 原 理 20刀 根 望 コ ン ピ ュ ー タ を 使 っ た 国 際 理 解 教 育フ ト を 使 っ た 「 世 界 の 国 旗 デ ー タ ベ ー ス 」(小 学 校 ) : デ ー タ ベ ー ス ソ 日 本 教 育 情 報 学 会 第8回 年 会 論 文 集 (8 ), 77-7 8,19 92 C MC 21成 瀬 喜 則 学 校 教 育 に お け る 国 際 パ ソ コ ン 通 信 の 利 用 教 育 情 報 研 究 7(3),9-2 2,1 992 C MC 22伊 藤 篤, 河 合 優 年 国 際 コ ン ピ ュ ー タ 通 信 の 教 育 的 利 用 と そ の 問 題 点 教 育 情 報 研 究 5(1),14 -21, 198 9 C MC 23山 田 平 小 学 校 間 国 際 パ ソ コ ン 通 信 : T T NS の 果 た す 役 割 教 育 情 報 研 究 4(1),61 -72, 198 8 C MC 24中 野 彰,中 植 雅 彦 学 級 間 国 際 交 流 の 実 施 に 影 響 を 与 え る 心 的 要 因 と 因 果 モ デ ル の 構 日 本 教 育 工 学 会 論 文 誌[シ ョー トレ タ ー 特 集] 24巻 増 刊 号 ,1 41 - 原 理 25石 井 奈 津 子 他 2名 情 報 通 信 ネ ット ワー ク を利 用 し た 学 習 活 動 の 設 計 支 援 に つ い て ---マ ル チ メ デ ィ ア 国 際 交 流 推 進 研 究 指 定 校 プ ロ ジ ェク トを 事 例 とし て---教 育 工 学 関 連 学 協 会 連 合 第 5 回 大 会 論 文 集 ,3 3 3- 3 3 4 , 1 9 9 7 原 理 26田 中 博 之 マ ル チ メ デ ィア 通 信 を 活 用 し た 国 際 交 流 学 習 に お け る 共 同 設 計 に つい て 日 本 教 育 工 学 会 第 1 5 回 大 会 論 文集 , 91 - 9 2 19 9 9 事 例 27田 中 博 之 マ ル チ メ デ ィア 通 信 を 用 い た 国 際 交 流 学 習 の 継 続 要 因 教 育 工 学 関 連 学 協 会 連 合 全 国 大 会 講 演 論 文 集 6 ( 1 ),9 5 - 98 , 20 0 0 原 理 28新 地 辰 朗 他 2 名 学 校 教 育 に お け る衛 星 通 信 を 利 用 した 遠 隔 学 習 の 展 望 ~ 小 学 校 に よ る 国 際 交 流 を も と に ~ 教 育 工 学 関 連 学 協 会 連 合 全 国 大 会 講 演 論 文 集 6 , 60 7-60 9, 2 00 0 事 例 29中 野 彰,中 植 雅 彦 学 級 間 国 際 交 流 の 実 施 を教 師 の 立 場 か ら 行 う 支 援 の 提 案 教 育 工 学 関 連 学 協 会 連 合 全 国 大 会講 演 論 文 集 6 , 63 1-63 3,2 000 原 理 30朝 川 哲 司 国 際 交 流 学 習 の 活 性 化 に 関 す る 事 例 研 究 ─ 直 接 交 流 と情 報 技 術 の 効 果 的 な 組 み 合 わ せ ─ 日 本 教 育 工 学 会 大 会 講 演 論 文 集 1 7, 8 05 - 8 0 6 原 理 31田 中 博 之 国 際 交 流 学 習 を 支 援 す るイ ン ター ネ ット サ イ トの 開 発 と 評 価 日 本 教 育 工 学 会 大 会 講 演 論 文 集1 9( 2 ), 62 3 - 62 6 C MC 32澤 橋 直 文 他 2 名 国 際 交 流 で の 絵 画 の 共 同 制 作 の 効 果 日 本 教 育 工 学 会 第2 2回 大 会 論 文 集,4 87 -4 88 ,20 06 事 例 33奥 林 泰 一 郎 他 3名 国 際 交 流 学 習 に い た る ま で の 実 践 校 と の 連 絡 調 整 と そ の 課 題 日 本 教 育 工 学 会 第2 2回 大 会 論 文 集,  48 9-49 0,2 00 6 原 理 34影 戸 誠 、 佐 藤 慎 一 12 年 連 続 開 催 の 「 国 際 交 流 」 が 導 く 「 英 語 が 使 え る 日 本 人 」 日 本 教 育 工 学 会 第 2 2 回 大 会 論 文集 ,10 07-1 008 ,20 06 事 例 35納 谷 淑 恵 B BS 及 び テ レ ビ 会 議 シ ス テ ム を用 い た フ ィ ン ラ ン ド と の 国 際 交 流 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集0 1( 2 ), 19 ~ 24 ,2 0 0 1 事 例 36今 井 亜 湖 超 鏡 を 用 い た 国 際 交 流 実 践 の 授 業 デ ザ イ ン 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集 2 00 5 ( 1) ,4 9 -5 2 ,2 0 0 5 01 2 2 事 例 37奥 林 泰 一 郎 他 4名 国 際 交 流 学 習 に お ける コ ー デ ィ ネ ー タ の 役 割 に 関 す る研 究 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集0 6( 1 ), 23 ~ 26 ,2 0 0 6 原 理 38笹 尾 真 剛,稲 垣 忠 国 際 交 流 学 習 支 援 プ ロ グ ラ ム に おけ る 交 流 支 援W e bサ イ トの 内 容 分 析 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集 0 7( 2 ), 85 ~ 90 ,2 0 0 7 原 理 39山 下 浩 次 国 際 遠 隔 授 業 に お ける 教 師 - 生 徒 間 の 発 言 時 間 に 関 する 考 察 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集 2 00 5 ( 1) ,9 - 14 , 20 0 5 原 理 40藤 木 卓 日 韓 遠 隔 交 流 ・ 学 習 を支 援 す る 多 言 語 同 時 表 示 に 関 す る 検 討 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集2 00 5 ( 1) ,1 5 -2 0 ,2 0 0 5 01 2 2 C MC 41松 河 秀 哉 衛 星 携 帯 電 話 を 媒 体 とし た 遠 隔 学 習 に お け る 超 鏡 ( H yp erM irro r)の利 用 日 本 教 育 工 学 会 論 文 誌 2 8 [シ ョ ー ト レ ター 特 集 ]2 4 巻 増 刊 号 , 2 57 -2 60 -20 0 4 C MC 表1 国際交流学習に関する分析対象論文一覧

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(1) 分析対象事例の選択 まず論文に記載された内容を分類したところ,次の 3 つに分類された。カッコ内は,そのカテゴリーに分類さ れた研究事例数である。 ⅰ 国際交流学習の原理(14 事例) このカテゴリーに分類されるのは,1 つの実践につい ての詳しい報告ではなく,複数の国際交流の実践から共 通する要素を抽出した研究や,国際交流学習を実践した 結果,学習者に身に付いた能力の検討など,国際交流学 習の原理的側面に焦点を当てた研究である。 ⅱ CMC 研究中心(12 事例) このカテゴリーに分類される研究では,小学校から大 学に至るまでの学校段階において,実際に国際交流の実 践を行っているが,研究の主たる対象および焦点が,コ ン ピ ュ ー タ を 介 し て 行 う コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン (Computer-Mediated Communication)の実現手法や, 開発された手法の有効性の検討に焦点を当てた研究で ある。 ⅲ 実践事例中心(15 事例) このカテゴリーに分類されるのは,国際交流学習を行 い,その事例の教育的意義や学習活動の意味を中心に報 告している研究である。実践者自らが記述した例も多 く,最も実践的な論文である。 本稿では,小学校での国際交流学習の実践におけるタ イプを考えているので,カテゴリー3 の「実践事例中心」 の15 事例を分析の対象とする。 (2) 国際交流学習の実践事例の分析 15 事例の国際交流学習の実践事例を,「交流学習の成 果の共同性の高低」および「交流学習の設計にあたって 共有される対象(学習内容や活動を共有するか,あるい は学習展開の枠組みを共有するか)」の2 つの次元をそ れぞれ縦軸と横軸にとり分類することにより,学習プロ グラムの特徴を示すことができることが分かった。 次に,それぞれの軸について順に説明する。 「活動の協同性」:国際交流学習活動を展開する際に, 参加している各学校・クラスなどが,相互に協同的に 活動するため,そこで展開される学習過程を相互に共 有している程度を表す。 「共有される対象」:国際交流学習活動を展開する際に, 参加している各学校・クラスなどが,それぞれに学習 過程を設計する際に前提としてあらかじめ共有され ていなければならない対象を表す。「内容・活動共有 型」の場合,学習内容の選定や,相互の学習活動を共 有しつつ交流を進める必要があるため,教師間・学習 者間において綿密な打ち合わせが必要となる。一方 「展開枠組み共有型」の場合には,いつ頃,どのよう な活動が展開されるのか,学習活動の全体的な枠組み のみが共有されており,その枠組みにどのような学習 活動を割り当てるのかは,参加校・クラスの主体性に ある程度任されている。 以上の2 軸によって国際交流学習を分類すると,図 1 のような次の4 つのタイプの国際交流学習を想定するこ とができる。 まず,第Ⅰ象限の「協同的交流型」とは,実践に関し て教師どうしがが綿密な打ち合わせの下に学習過程が 設計されるものである。打ち合わせの中では,それぞれ の学習活動や成果についての共通理解が得られるもの であるが,特に国際交流の場合には,母国語以外のコミ ュニケーションを多用する必要があるため,参加する教 師や学習者にとっての負担は比較的大きい。しかしその 一方で,参加者相互の協同性は高く,大きな成果が得ら れると想定される国際交流学習である。 次に,第Ⅱ象限の「交流重視型」は,交流活動自体に 参加者にとっての意味があるものであり,交流すること で生み出されるものとは別のものと位置づけられる。例 えば,インターネットを容易に利用できない地域と国際 交流する際に,衛星通信を利用して,あらかじめ決めら れた手順に沿って相互に交流する場合などである。どの 図1 国際交流学習の分類

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ように活動するのかについてはあらかじめ打ち合わせ ておく必要があるため,「協同的交流型」同様負担は比 較的大きいと考えられる。 第Ⅲ象限の「場利用型」は,「交流重視型」と同様に 交流活動自体に参加者にとっての意味があるが,その内 容は,Q/A のように知の交流だけで済むものである。そ のため,交流の手順については比較的緩やかであり,参 加者の負担は少ないと考えられる。 そして第Ⅳ象限の「成果共有型」は,交流によってど のような成果をあげればよいか,そのゴールが決められ ているが,成果をあげるための活動の設計は,いつ頃, どのような活動をするかについて,大まかな枠組みだけ が共有されており,詳細は参加者に任されている。最終 的なゴールが具体的に決められているため,具体的な成 果イメージを常に持ちながら,比較的自由に学習活動を 設計することができる。 この分類によると,第一著者がこれまで多く取り組ん できた国際交流学習における活動,つまり協同で1 つの 絵を仕上げたり,WEB ページを作るような交流学習は 第Ⅳ象限の「成果共有型」に相当し,複数のグループで 互いに自分の興味のあることについて聞き,相手の質問 に答えるようなアンケート調査型の交流は第Ⅲ象限に 相当する。またイベント的なテレビ会議を中心とする交 流学習(分類番号 2「事前・事後学習を取り入れた国際 遠隔授業の支援:ケニア・日本の小学校間での国際交流 の事例より」重田勝介2004)のような実践は第Ⅱ象限, そして2 カ国間で綿密な話し合いのもと,協同で演劇を 作り上げる家歌舞伎プロジェクトのような実践(分類番 号26「マルチメディア通信を活用した国際交流学習にお ける共同設計について」田中博之 1999)のように,綿 密な活動設計を協同で行う国際交流学習は,第Ⅰ象限に 位置付くことが示された。 4 考察 学校の教師が実践に取り組みやすい条件を考えるた め,まず図1 の「展開枠組共有型」と「内容活動共有型」 を比較すると,前者で想定される学習の展開が,ある程 度教師の当事者としての設計の自由度が高い,いわば 「自律型」であるのに対し,後者は参加する各クラスに おける学習活動の過程が,交流をしている相手の状況に 合わせて展開する必要がある「協調型」であると言える。 次に,図1 のⅢ・場利用型,Ⅳ・成果共有型の実践は, 学習活動の展開の枠組みだけが共有されている状態で 国際交流学習に取り組むことができるので,学習に参加 するクラス,学校における学習の設計における活動選択 の自由度は高いと言える。つまり,小学校におけるクラ ス担任が,海外の教師と頻繁に綿密な打ち合わせを行う ことなく,国際交流学習を展開することが可能な形態で あると言える。 次に,学習効果の観点から,「場利用型」と「成果共 有型」を比較した場合,小学生の学習者が,国際交流の 意味や協同学習の体験を達成感を持って経験するため には,交流する相手をイメージすることができる「成果 共有型」がより有効である。 活動過程において両者の違いを図式化してみると以 下のようになる。 「展開枠組み共有型」の国際交流学習は,参加する学 校側から見ると,活動の枠組み(時期,内容などのおお まかな全体の流れ)だけが決まっており,自己紹介や, 文化紹介をどのように進めるか,構図の打ち合わせ手段 としてメディア(掲示板,TV 会議など)を利用するの かどうか,描く壁画のテーマや構図をどのようにする か,等は当事者である教師や学習者に任されている。つ まり,この国際交流学習では,最終的に協同で作品を完 成させればよいので,その間の交流学習の過程は,参加 者が自由に設計することができ,参加するそれぞれの教 師の思いを反映させることができるのである。また,リ アルタイムの英語でのコミュニケーション(TV 会議な ど)は必ずしもしなくてもよいため,英語を得意とする 教師でなくても,自分のクラスの学習者に国際交流学習 を体験させることができる。 図2 学習過程と交流学習の関わり

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すなわち,図1 の分類によれば,Ⅳ・成果共有型の国 際交流学習は,教師にとって取り組みやすく,しかも相 応の学習効果を期待できる形態の国際交流学習である と言うことができる。この学習形態を,本研究では「自 律型国際交流学習」と呼ぶことにする。 自律型国際交流学習のプロジェクトに参加する教師 は,国際交流活動を自分のクラスの1 つの教材として扱 い,クラスの実情に応じてその過程を自由に設計でき, 最終的に協同で作品を完成させればよいのである。 Ⅲ 自律型国際交流学習の学習展開の詳細 これまでの複数の国際交流学習の実践事例の分類か ら,筆者が現場で最後に行ってきた「アートマイル・プ ロジェクト」の特質の明確化を図りたいと考える。この アートマイル・プロジェクトは,2 カ国の学校・クラス 間で,半年ほどの時間をかけながら協同でテント地に大 きな壁画を描くプロジェクトである。壁画全体の構図を 相互に相談しながら決定し,一方の国が先に半分絵を描 き,交流校に郵送した後,残り半分をもう一方の交流校 が仕上げる活動である。このアートマイル・プロジェク トは,「活動の枠組み」だけが決まっており,学習活動 の詳細は参加するクラス・学校が主体的に決めながら交 流することができる「自律型」の国際交流学習活動の特 質を持つと思われる。 自律型国際交流学習では具体的にどのような活動の 枠組みが共有され,そしてどのように学習活動が設計さ れるのだろうか。筆者はこれまで,小学校の教師の立場 で,複数の国際交流学習の実践を行ってきた。それらは すべて「自律型」の国際交流学習であった。 そこで,ここからは筆者自身の過去の自律型国際交流 学習の実践を分析対象とし,学習展開を記述・分析し, 詳細に検討する。 1 目的 自律型国際交流学習において,「活動の枠組み」の共 有が,なぜ「自律型」の学習活動を可能とするのか,筆 者自身の具体的実践事例をもとに分析する。 2 方法 筆者自身のこれまでの実践例を実践年度順に表2 に示 す。この表では,交流の相手国,テーマ,対象集団,交 流期間,学習活動全体の目標が記載してある。 実践事例は13 例であり,事例 1 から 9 までは筆者自 身が教師として実践し,事例10 から 13 は他の教師を援 助する立場(他の国際交流学習に参加する教師の活動を 様々な形で支援する)として参加している(「形態」欄)。 また,全世界の国際交流学習を促進するための様々な組 織が存在し,「組織」欄に記入されているのは,実践の 母体となったプロジェクトや組織名である。 これらのプロジェクトは,交流先の学校やクラスを教 師が一人で探すことなく,実践に取り組むことができる ように,学校教育における国際交流学習を促進する団体 の支援を受けて実践されたものと,自分自身で自主的に 実践したものである。次に,これらの特徴を述べる。

(1)VC(Virtual Classroom), GVC(Global Virtual Classroom) 異なった国の3 校で 1 チームを作り,小学校部門,中 高部門に分かれて,共同でWEB ページを作成するコン テストを行うものである。 URL:http://virtualclassroom.org/index.html (2) 金沢青年会議所(金沢 JC) 金沢と台湾の,青年会議所との交流活動の一環とし て,小学校同士の交流活動を行ったものである。 (3) JEARN(Japan Education and Resource Network)

JEARN は「国際教育ネットワーク」と呼ばれており, 学校教育における国際交流学習を促進する非営利機関 iEARN(International Education and Resource Neteork)の日本支部である。 URL http://www.jearn.jp/japan/ 1実 践 1997 V C9 7 アメ リカ オース トラ リア Sch ool re ae rc h proje ct 環 境 比 較 小 ・5 年 6ヶ月 W EB作 成 2実 践 1998 V C9 8 アメ リカカナダ Kid s world 食 物 、生 活 、ス ポ ー ツ、 ゲー ム 小 ・6 年 6ヶ月 W EB作 成 3実 践 1999 V C9 9 アメ リカ 、 台 湾 VC 19 re sta uran t 食 べ 物 小 ・ク ラ ブ 6ヶ月 W EB作 成 4実 践 2000 自 主 的 台 湾 食 物 生 活 小 ・ク ラ 6ヶ月 CD作 成 5実 践 2001 自 主 的 台 湾アメ リカ 遊 び比 較 小 ・ク ラ 6ヶ月 CD作 成 6実 践 2002 JERA N 台 湾 、イン ド テデ ィベ ア 小 ・4 年 6ヶ月 人 形 交 換英 語 活 動 7実 践 2003 青 年 会 議 所 台 湾 テデ ィベ ア 小 ・5年 (3ク ラス ) 6ヶ月 人 形 交 換英 語 活 動 8実 践 2003 GVC 200 3 アメ リカ 、 オース トラ リア 夢 の 島 小 ・5 年 6ヶ月 W EB作 成 9実 践 2004 GVC 200 4 アメ リカ 、カナダ 平 和 と平 等 の小 ・6 年 6ヶ月 W EB作 成 10援 助 2005 GVC 200 5 アメ リカ 、台 湾 1つ の 世 界 小 ・6 年 6ヶ月 W EB作 成 11援 助 2005 GVC 200 5 カナダ 橋 小 ・6 年 6ヶ月 W eb作 成 12援 助 2006 ア ート マ イル シリ ア 伝 統 文 化 小 ・6 年 1年 間 壁 画 作 成 13援 助 2006 ア ート マ イル 台 湾 平 和 小 ・6 年 6ヶ月 壁 画 作 成 組 織 相 手 国 テー マ 対 象 集 団 交 流 期 間 目 標 形 態 年 度 表2 筆者自身の国際交流学習への参画履歴

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(4) Japan Art mile

ア ー ト マ イ ル ・ プ ロ ジ ェ ク ト (Art Miles Mural Project)」の日本のセンターとして,絵画で日本の子ど もたちを世界につなぐ活動をしている。 URL:http://www.ako-info.jp/artmile/ (5) 自主的 個人的な知り合いの海外教師とともにチームを組み, 最後に成果をCD でまとめることをゴールとするもので ある。 以上5 つの参加形態の合計は 13 実践となる。この 13 実践事例を,一つ一つ,どのようなプロセスを経て実践 が行われたのかを検討し,共通の活動を抽出する。 3 結果 (1) 学習活動の枠組み 筆者がこれまで行ってきた自律型国際交流学習 13 事 例のうち,12 事例は 6 ヶ月間,1 事例は 1 年間と,長期 にわたって交流が継続することが一つの特徴である。長 期にわたる交流活動において,13 事例がいずれも次の 4 つの学習活動の系列で構成されていることが分かった。 【第1 期・導入】交流学習の開始時の活動であり,相互 に自分たちのことを紹介する活動などが含まれる。ま た,自律型国際交流学習のプロジェクトはすべて,Web ページや壁画の作成など,何らかの明確なゴールが開始 前に定められているので,導入の段階では参加者すべて がそのゴールを共有していることが前提となる。通常, ゴール達成の方法,つまり「どのようにゴールを達成す るか」,例えば,どのような大きさの壁画を何を使って 描くか,Web サーバーをどこに設置するか,など細部に ついては話し合う必要がなく,プロジェクト推進側によ ってあらかじめ定められている。このように,方法の詳 細については,第1 期の段階で参加者は了解済みである。 【第2 期・話し合い】方法については先に述べたように 了解済みであるので,交流によるゴールを達成するため のテーマ,テーマを決定するための準備段階となる情報 交換などを行う。活動の中である意味もっとも重要な位 置を占める場面である。 【第3 期・作成】第 2 期で合意したゴールを達成するた めに,情報を収集・分析したり,作品を作ったりする活 動を展開する。 【第4 期・まとめ】ゴールとしての作品を相互に鑑賞す る,あるいは第3 期までの様々な経験をまとめる。 これら4 つの学習活動の区分毎に,13 の自律的国際交 流学習において,どのような活動がどのように展開され たのかをまとめたものが,表3 である。 (2) 各学習活動段階の具体的な活動と自律性 表3 に記載されたデータに基づき,各学習活動段階に おいて,自律的な学習活動がどのように展開されている のかを具体的に述べる。 ⅰ 第 1 期・導入 第1 期の重要な活動は「自己紹介」である。 自己紹介を実施する時点までに,国際交流学習に参加 する教師・学習者は,交流を通して何をすればよいのか (目標),そのために具体的に何をすればよいのか(方 法)については,理解し共有されている状態である。つ まり「自己紹介」では,そのような前提条件が満たされ ていて,これからともに活動していくクラスや個人を, 相互に理解しあうことが重要である。 「自己紹介」の具体事例として,実践事例 12 のアー トマイルプロジェクトの事例を紹介する。 この事例では,日本側の小学校の学習者は,英語活動 の一環として,英語での自己紹介カードに加え,英語で 自己紹介ビデオを作成し,シリアの交流先の学校へ送付 した。シリアからも自己紹介のビデオが届いた。このよ うなやりとりを少しずつ進める中で,交流先の学校の状 況や,クラスの学習者の名前などを相互に少しずつ知る ことになり,またテレビ会議の前に,お互いにクラス内 の学習者の判別が可能になる。このプロセスによって, 交流相手をクラスメイトの一員として認識することが 可能となり,この後のテーマ決定,描画などの交流活動 の動機づけが可能となる。 この事例の様子を図3,図 4 に示す。 ⅱ 第2期・話し合い 「話し合い」の事例としてGVC2004 の事例を紹介す 図3 シリア TV 会議 図 4 日本 TV 会議

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る。GVC は,異なる国の学校同士が共同で,共通のテ ーマに沿ったweb ページを作成し,その成果を競うコン テストである。第一著者が参加した際のチームは,日本 以外にアメリカ,カナダの小学校の3 校からなるチーム である。 web ページのテーマとして合意したのは「平和と平等 の理想の島」であった。この島の具体的な構成を考える 段階で,「理想の島」のイメージを具体的に出し合った のであるが カナダの学習者の「理想の島」には,日本 の学習者の発想にはないものが2 つ存在したのである。 1つは「警察」であり,もう一つは「海軍」であった。 日本の学習者にとって,「理想の島」という名前は,「み んな平等で,悪い人はいない」という発想になる。また, 「理想の島」なので外から攻めてくる敵もいないのであ る。しかし,カナダの学習者は,「治安を守る警察は必 要であり,理想の島に対して攻めてくる敵から自分たち を守るためには海軍は必要だ」と考えたようだ。 日本 の学習者は,まだ社会科・歴史の学習で戦争の場面を未 学習であることも影響したと考えられるが,「理想の 島」という名前からイメージすることの違いに驚いてい た。日本の平和の概念が観念的なのに対して,カナダの 学習者の平和の概念はより現実的であることを知った のである。 これは,「話し合い」の一部である。子供同士が直接 話し合ったわけではないが,共通のテーマで交流してい るそれぞれの学習者が考え,その考えを相手に伝えるこ とで,外国の子供たちの考え方を知ることができ,有効 な教材として活用することができた。 ⅲ 第3期・作成 ここでは2003 年度に行ったテディベアプロジェクト の事例(実践例 7)について紹介する。この交流学習の 特徴は,交流する双方の学校でデザインした人形を相互 に交換し,その人形を一つのシンボルとして交流学習を 進める点に特徴がある。つまり,相手に送る人形は,交 流先では「自分たちの分身」として機能することになる。 交流学習中の作成活動の場面としては,日本から台湾に 送るための人形の服のデザインを決める場面と,台湾か ら送ってきた人形をもとに日本での生活の様子を日記 で表す場面の2つを取り上げる。この日記を作成する時 に,交流する相手を意識しながら書くことで,より質の 高いものにレベルアップさせていくことができる。つま り日記を作成することが,表面上の生活の様子を知らせ ること以外に,情報機器の使い方を学ばせたり,知らせ たりするための「書く力」「話す力」などのスキルの向 上をねらったり,より多様なねらいを設定し達成させる ことができる。これも,自律型国際交流学習における教 材化の1 つと考えることができる。 ⅳ 第4期・まとめ 自律型国際交流学習では,どのタイプの交流活動も, 最終的には成果物を作成することがゴールとなってい る。VC,GVC では WEB ページ,テディベアプロジェ クトでは人形や日記,アートマイル・プロジェクトでは 壁画が,そのゴールとなる。いずれの国際交流活動にお いても,最終成果物を相互に鑑賞することで,ともに交 流してきた相手との活動を振り返ったり,作品の鑑賞を 通して相手の文化を分かり直したりすることができる。 この作品を完成させた達成感が,今後の交流に自信に つながるように思われる。WEB ページの作成では自分 たちが作ったページが,常時WEB 上で閲覧可能な状態 となるため,自らが英語を理解できる年齢になったとき に改めて学習の成果を確かめることができるであろう。 4 考察 これまで事例をもとに述べてきたように,自律型国際 交流学習においては,「導入」「話し合い」「作成」「ま 図5 GVC 作品 図 6 人形の日記 図7 アートマイル作品

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とめ」の4 つの「活動の枠組み」が,交流する各学校・ クラスのメンバーに共有されている状態で学習活動が 進行する。また,交流活動による成果物も明確であり, それゆえ「活動の枠組み」の各段階において自律的な学 習活動が可能となるのだと考えられる。 それではなぜ,このような「活動の枠組みの共有」が 自律的で豊かな学習を可能とするのだろうか。 その理由の第一に,「枠組み」によってそれぞれの交 流校が見通しをもちながら学習内容や活動を決定でき ることがあげられる。「枠組み」がない状態で,交流し たい学校・学級の担任が自分で国際交流の相手を見つ け,さらに交流相手と相談しながら学習内容を一から考 えることは,困難を伴う場合が多い。相談しながら学習 活動・内容を考えていく場合,「導入」の自己紹介まで は何とか楽しめるのだが,いつの間にか連絡が途絶え, 終わってしまう場合が多い。これは,絶えず英語で相手 との打ち合わせをする必要性を意識することで,反対に 交流すること自体が重荷になって続かなくなる場合が 多いからと考えられる。 第二に,「枠組み」は,交流活動に参加する学校・ク ラスにとって透明性が高く,それゆえにあらかじめどの ような学習が展開されるのか,相互に了解している状態 で開始できる利点がある。例えば,交流校どうしの関係 が確立したとしても,したい一方の学校・クラスの都合 で,仲介者を通して交流の相手を見つけてもらった場合 には,国際交流学習に対する期待度の違いから,交流し たい学校・クラスは頻繁に情報が発信されるが,仲介者 によって協力を依頼された学校・クラスにとってその情 報は過多に入る情報になり,情報があまり発信されない ことになる。その結果,交流の遂行に困難を伴う場合が 多いのである。 そして第三に,国際交流学習に参加する教師の自由度 が高いことがあげられる。「枠組みの共有」というと, スケジュールが固定的に決められているというイメー ジを持つかもしれないが,参加する学校・クラスが考え なければならないのは,「いついつまでに何をするか」 (自己紹介の期間,話し合いの期間,作成の期間など) という大まかな枠組みだけであり,詳細な活動計画につ いては,それぞれの学校・クラスにおいて担当する教師 の授業設計に任されている。「国際交流学習を通して何 を学ばせたいのか?」「どのような手立てをとるの か?」ということは,参加する教師にとって,日頃の授 業設計と何ら変わるところはないのである。最終的には ゴール(WEB ページを作る。大きな壁画を完成させる。 送られてきた人形の目を通した日記を書く等)に到着す ればよいのであって,学習を進める度に,参加校どうし が話し合わなければ次の活動に移れないような固定的 なものではない。そのため,教師自身はゴールに向かっ てそのプロセスを楽しむことができるのである。 Ⅳ 自律型国際交流学習の「活動の枠組み」の意味 先行研究に基づき,自律型国際交流学習の概念を抽出 するとともに,筆者自身の国際交流学習の実践事例か ら,自律型国際交流学習における「活動の枠組みの共有」 が,どのように自由な国際交流学習を可能とするのかに ついて述べてきた。そこでは「活動の枠組み」の3 つの 機能が重要であることが示された。 「活動の枠組み」の実体は,Ⅱにおいて述べたように, 「導入」「話し合い」「作成」「まとめ」の4 段階で, ゴールに向かって何をどのように進めるのか,というお おまかな活動計画である。このおおまかな活動計画に も,活動することによる効果があると考えられるため, 本論文のまとめとして,それぞれの段階における活動の 詳細を記述する。 1 活動の枠組みの詳細 (1) 第 1 期:導入段階 この段階は,交流の開始から相互理解,関係構築の期 間と言える。教室内での学習活動と交流先の活動とをつ なげることが主たる目的の活動となる。この活動を通し て,交流当初は,漠然とした相手意識しか持つことがで きないが,数回の交流を重ねることにより,相手のクラ スの児童も同じ仲間として認識できるようになる。 自 分 の ク ラ ス ( 集 団 ) 相 手 の ク ラ ス ( 集 団 ) 自 分 た ち の 集 団 と 相 手 集 団 を 「 個 人 の 集 合 」 と し て 同 一 視 で き る 第 1 段 階 ( 導 入 ) 図 8 第 1 段階(導入時)

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(2) 第 2 期:「グループのカテゴリーの変化期間」展開 話し 合い 意見調整 協働作業を行う場合にまず,共通のテーマを決めなけれ ばならない。そのテーマの下,両国共通の対比される形 の具体的な作業用の小グループをつくることになる。 (3) 第 3 期「個別的学習活動期間」展開 作品の作り込み それぞれの学校・教室の「ウチ」で学習活動を行う。 個別的学習活動は「ウチ」での活動であるため,交流先 (ソト)の意識を継続するために掲示板などでの仕掛け が必要。 テーマが決まり実際の作成作業になると直接交流の 時間はあまりとれなくなる。ここまで関係ができていれ ば,協働作業の意識がなくなることはない。また,相手 を意識できる物(贈り物)があれば,相手の代わりとな り協働作業の意識は持続させることができる。 (4) 第 4 期「まとめと鑑賞」 完成した作品の鑑賞。協働作業としての作品の成果物 を見て意見を交換することで同じ作品を完成させ達成 感を味わう。ここで自分たちのやったことが具体化し自 信につながる。 Ⅴ おわりに 自律型国際交流学習は,参加する教師が主体的に自分 自身の学校やクラスで活動することが可能な形態で実 践可能である。それぞれの段階における活動の枠組みに 沿った学習過程の詳細や,学習者にとっての効果を,は じめて国際交流学習を経験する教師に十分に説明する ことができれば,この自律型国際交流学習はさらに広ま る可能性を持っていると思われる。今後はアートマイル ・プロジェクトについて,多くの具体例を集めていきた いと考えている。 引用参考文献 1) 稲垣 忠: 2004 学校間交流学習をはじめよう日本文 教出版 2) 今井亜湖: 2005 超鏡を用いた国際交流実践の授業デ ザイン日本教育工学会研究報告集2005 (1),pp49-52, 3) 八崎和美/中川一史: 2007 メディア創造力を育む授業 デザイン日本教育メディア学会研究会論集 pp32-36 自 分 の ク ラ ス ( 集 団 ) 相 手 の ク ラ ス ( 集 団 ) ク ラ ス ご と の 境 界 が あ い ま い に な り 、 小 テ ー マ ご と に ク ラ ス を 越 え た グ ル ー プ 化 が 進 む 。 第 2 段 階 ( 展 開 話 し 合 い ) 共 通 の 課 題 設 定 ( テ ー マ 設 定 ) 図9 第 2 段階(展開・話し合い) 自 分 の ク ラ ス ( 集 団 ) 相 手 の ク ラ ス ( 集 団 ) 相 手 と の 直 接 交 流 の 時 間 は 減 る が 、 小 グ ル ー プ に 分 か れ た あ と は 交 換 物 ( 人 形 等 ) に よ っ て 相 手 を 意 識 し 続 け る こ と が で き る 。 第 3 段 階 ( 展 開 作 り 込 み ) 共 通 の 課 題 設 定 ( テ ー マ 設 定 ) 図10 第 3 段階(展開・作り込み) 自 分 の ク ラ ス ( 集 団 ) 相手 の ク ラ ス ( 集団 ) 完 成し た 協 働 作 品 の 鑑 賞 と ふ り か え り を す る 協 働 作業 を 遂 行し た 仲 間 意 識 が 芽 生え ク ラ ス の 境 界 は 意識 さ れ な い 第 4 段 階 ( ま と め 鑑 賞 ) 共 通 の 課 題 設 定 ( テ ー マ 設 定) 図11 第 4 段階(まとめ・鑑賞)

参照

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