Title
超高感度ラドン検出器の製作と力ミオカンデ溶存ラドンの
低減( はしがき )
Author(s)
田阪, 茂樹
Report No.
平成7年度-平成8年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(B)(2)
課題番号07454049) 研究成果報告書
Issue Date
1996
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/231
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。はしがき スーパーカミオカンデ実験では,水タンクの完全密閉化,水タンク上部の空間へのラドンフリー エアーの注入,純水中の溶存微粒子の除去技術など,ラドン濃度を低減させる努力を行っている。こ れらを監視するために,0.005(Bq/m3)までのラドン濃度の測定が可能な超高感度ラドン検出器6台 を含む,ラドン・純水監視装置が設置されている。これら装置の観測データから,現在水タンクの 純水中のラドン濃度は0.01(Bq/m3)まで低下していることがわかった。このラドン濃度はカミオカ ンデ実験の1/50であるが,さらに0.005(Bq/m3))まで下げる研究が継続されている。この結果,い わゆる「太陽ニュートリノ太陽問題」をつきつめる上で極めて重要な課題である,太陽ニュートリ ノ観測のエネルギー下限値を5(MeV)まで下げることが実現可能となってきた。これらスーパーカ ミオカンデ実験のラドン濃度低減に関わるラドン測定技術開発は岐阜大学で行われたものである。 またわれわれの開発したラドン検出器は酒造りに適した「宮水」の研究のために,兵庫県西宮市 の深さ約20mの観測井に設置されていた。当装置は1995年1月17日の兵庫県南部地震の発 生の1ケ月程前から地下水中のラドンガス濃度の上昇を掃えはじめ,10日前には通常の20倍以 上にも達した。結果的には阪神大震災の前兆現象を捉えたことになる。これらの観測結果は米科学 誌サイエンスに掲載された。このように震源のすぐ近くで観測され,大きな異常変化を観測したの は異例であり,地震の前兆現象として予知研究に極めて貴重なデータと評価されている。 岐阜大学で,カミオカンデ実験という基礎物理学研究のために開発されたラドン検出器は世界長 高のラドン検出感度を持ち,超純水中極低ラドン濃度測定,直下型地震予知のための地下水中ラド ン濃度の連続観測,水循環と地球環境の解析など,たくさんの応用分野の研究に利用されている。 このラドン検出器は次の様な特徴を持つ。 1)PINフォトダイオード(PD)を用いた高感度のラドン検出器 2)リアルタイム計測及びコンピュータネットワークによるデータ転送が容易 3)コンパクトで長期間安定性のある連続観測が可能 4)安価 次に我々の開発したラドン検出器を利用している,代表的な研究例を列記する。 a)東京大学宇宙線研究所「スーパーカミオカンデ実験」 b)通産省工業技術院地質調査所「工業技術院特別研究・地震予知技術」 C)動燃事業団東濃地科学センター「陸域地下構造フロンティア研究」 d)国立極地研究所「第37次南極地域観測」,「第38次南極地域観測」 e)大阪大学核物理センター・大塔コスモ観測所「レプトン核物理研究」 f)動燃事業団人形峠事業所・研究委託「地下水中の原位置ラドン測定装置の開発に関する研究」