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3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA lyase(HMGCL)遺伝子におけるMLPA法を用いた新たな遺伝子診断法の確立

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Academic year: 2021

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全文

(1)

Title

3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA lyase(HMGCL)遺伝子にお

けるMLPA法を用いた新たな遺伝子診断法の確立( 内容と審

査の要旨(Summary) )

Author(s)

青山, 友佳

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医科学) 連創博甲第29号

Issue Date

2015-09-30

Type

博士論文

Version

ETD

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/53645

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

論文内容の要旨

ケトン体は、グルコースが不足時に肝臓で産生され、肝外組織に取り込まれグルコースの代わりにエネ ルギー源となるため、血糖維持に重要である。先天性ケトン体代謝異常症には産生系の異常として3-hyd roxy-3-methylglutaryl CoA (HMG-CoA) lyase欠損症、ミトコンドリアHMG-CoA synthase欠損症、利用系 の異常としてβ-ケトチオラーゼ(T2)欠損症、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ欠損症 が挙げられる。前者の産生系の異常症では低ケトン性低血糖発作をきたし、後者の利用系の異常症では ケトアシドーシス発作をきたす。これら発作が重篤であると死亡したり、精神発達遅滞などの後障害を きたしうる。しかし、早期に診断し適切な管理を行えば重篤な発作が予防でき、正常発達ができること から早期発見が重要である。遺伝子診断を行うことはケトン体代謝異常症の確定診断に有用であるが、 症例の中には通常のゲノムレベルでの遺伝子解析にて変異が同定できない症例も存在する。そのような 場合、エクソンを含む大きな欠失や重複の可能性が考えられ、特にその変異がヘテロ接合での欠失や重 複であると通常の遺伝子解析では同定が困難となる。このような変異を明らかにするための正確かつ迅 速な遺伝子診断法が求められている。これらの背景から、我々は新たな遺伝子診断法としてMultiplex l igation-dependent probe amplification (MLPA)法に着目してきた。MLPA法は、目的とする遺伝子のエ クソンに特異的に反応するプローブを設定し、増幅することでエクソンの重複や欠損を量的な差として 示し、得られたフラグメントのピーク面積値から各エクソンのコピー数を定量的に示す方法である。我 々はこれまでに、T2欠損症の責任遺伝子ACAT1においてMLPA法を用いて、欠失と重複の同定が可能である かを検討しその確立を行った。MLPA解析にて、一方のアリルの変異が確定されていなかったT2欠損症の 患者のエクソン3-4の欠失を明らかにし、さらに、詳細な解析からその欠失の切断点を確認したところAl u配列により引き起こされる非同一相同組み換えであることを明らかにしてきた。そこで、本研究では、 ケトン体代謝異常症の1つで新生児マススクリーニングの1次対象疾患に指定され発症前の早期発見が求 められるHMG-CoA lyase欠損症にて新たな遺伝子診断法としてMLPA法の確立を試み、実際に遺伝子変異が これまで同定できなかった2症例に適応してその病因となる変異を明らかにすることができた。 氏 名 ( 本 籍 ) 青山 友佳(岐阜県) 学 位 の 種 類 博 士 (医科学) 学 位 授 与 番 号 甲第 29 号 学 位 授 与 日 付 平成 27 年 9 月 30 日 専 攻 医療情報学専攻

学 位 論 文 題 目 3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA lyase(HMGCL)遺伝子における MLPA 法を用いた新たな遺伝子診断法の確立

(Establishment of a new genetic diagnosis method using multiplex ligation-dependent probe amplification in 3-hydroxy-3-methylglutaryl -CoA lyase gene)

学位論文審査委員 (主査)教 授 加 藤 善 一 郎 (副査)教 授 赤 尾 幸 博 (副査)教 授 稲 垣 直 樹

(3)

1) HMGCL遺伝子へのMLPA法の確立

HMG-CoAリアーゼ欠損症の原因遺伝子HMGCLは染色体の1p36.1に位置する。この遺伝子の全長は約25kb であり、9つのエクソンから構成され、イントロン部には23のAlu配列が含まれる。Human MLPA probe de sign programを用いて、このHMGCLの9つのエクソンに対して4 塩基の差をつけ、異なる長さに調節した 左右のプローブを設計した。コントロールDNAにこのプローブを加えてアニーリングし、目的とするエク ソンの位置にハイブリダイゼーションさせた後、ライゲーションを行った。さらに、各プローブに共通 の蛍光標識したプライマーで増幅し、各エクソンに相当するDNA断片をキャピラリー電気泳動システムに て分離し、Gene Mapper v.4.0にてフラグメント解析を行った。正常コントロールを用いて解析した結果 、すべてのエクソンが2コピーであることを確認でき、HMGCL遺伝子のMLPA法を用いた解析を可能とした。 2) MLPA法を用いたHMG-CoA lyase欠損症の解析 HMG-CoA lyase欠損症は、国内では9症例の報告がある。患者には共通したコモンな変異はない。今回 対象とした2症例では以下の様にこれまでの解析では変異が確定できなかった症例である。症例1では1つ のアレルでのR11*変異はあるものの、もう片方のアレルでの変異が同定できなかった。症例2ではW81*の 変異がホモ接合と思われたが、母がこの変異を有していなかった。このことから、これら2症例は、複数 エクソンを含む欠失を1アレルに持つ可能性があり、各エクソンのコピー数を調べるために確立したMLPA 法での解析を試みた。 MLPA解析の結果、症例1ではエクソン2-4が1コピーであることが確認できた。これは母親にも認められ、 母由来のアレルにエクソン2-4を含む欠失の存在が示唆された。さらにLong range PCRにてその切断点を 確認したところ、イントロン1にあるAluSxとイントロン4の非Alu配列間の欠失であることが明らかとな った。症例2では全てのエクソンにおいてコピー数は正常であり、父母も同様であった。そのためこの患 者はHMGCL遺伝子領域が父親由来のアレルを2つもつUniparental disomyではないかと考え、これを明ら かにするためマイクロアレイ解析を行った。Comparative genomic hybridization法では、患者は確かに コピー数が正常であるが、Single nucleotide polymorphism解析では、その2つのアリルは片親由来の同 じアリルであることが示された。DNA解析、MLPA解析、マイクロアレイ解析の結果から、この患者はHMGL 遺伝子領域のみでなく1番染色体全体のPaternal uniparental isodisomyであることが明らかとなった。 我々の知る限り、本症例はUniparental disomyにより引き起されるHMGCL欠損症の初めての報告である。

本研究により、MLPA法によって通常の遺伝子解析では極めて同定が困難である変異を明らかにするこ とができた。MLPA法は大きな欠失や重複が疑われる患者への遺伝子診断に有用であった。

論文審査結果の要旨

申請者の青山友佳は、ケトン体代謝異常症の 1 つで新生児マススクリーニングの 1 次対象疾患に指定 され発症前の早期発見が求められる HMG-CoA lyase 欠損症にて新たな遺伝子診断法として MLPA 法の 確立を試み、実際に遺伝子変異がこれまで同定できなかった 2 症例に適応してその病因となる変異を 明らかにした。

(4)

ったが、MLPA 法により母由来のアレルにエクソン 2-4 を含む欠失の存在が示唆された。さらに Long range PCR にてその切断点の詳細を確認したところ、イントロン 1 にある AluSx とイントロン 4 の非 Alu 配列間の欠失であることが明らかとなった。 症例 2 では、W81*の変異がホモ接合と思われたが、全てのエクソンにおいてコピー数は正常であり、 父 母 も 同 様 で あ っ た 。 そ の た め こ の 患 者 は HMGCL 遺 伝 子 領 域 が 父 親 由 来 の ア レ ル を 2 つ 持 つ Uniparental disomy ではないかと考え、これを明らかにするためマイクロアレイ解析を行った。解 析の結果から、この患者は HMGL 遺伝子領域のみでなく 1 番染色体全体の Paternal uniparental isodisomy であることが明らかとなった。本症例は Uniparental disomy により引き起される HMGCL 欠損症の初めての報告例であると考えられた。 本研究で開発した MLPA 法により、通常の遺伝子解析では同定が極めて困難である変異を明らかに することが可能となった。また、大きな欠失や重複が疑われる患者への遺伝子診断に有用な方法とし て確立された。 以上の結果より、申請者 青山友佳の学位論文はその研究成果により高く評価できる内容であり、 医科学の発展に大きく寄与するものであると判断した。 最終試験結果の要旨 申請者の青山友佳は、ケトン体代謝異常症の1つで新生児マススクリーニングの1次対象疾患に指定さ れ発症前の早期発見が求められるHMG-CoA lyase欠損症にて新たな遺伝子診断法としてMLPA法の確立 を試み、実際に遺伝子変異がこれまで同定できなかった2症例に適応してその病因となる変異を明ら かにした。 症例1では1つのアレルでのR11*変異はあるものの、もう片方のアレルでの変異が同定できなかった が、MLPA法により母由来のアレルにエクソン2-4を含む欠失の存在が示唆された。さらにLong range PCRにてその切断点の詳細を確認したところ、イントロン1にあるAluSxとイントロン4の非Alu配列間 の欠失であることが明らかとなった。 症例2では、W81*の変異がホモ接合と思われたが、全てのエクソンにおいてコピー数は正常であり 、父母も同様であった。そのためこの患者はHMGCL遺伝子領域が父親由来のアレルを2つ持つUnipare ntal disomyではないかと考え、これを明らかにするためマイクロアレイ解析を行った。解析の結果 から、この患者はHMGL遺伝子領域のみでなく1番染色体全体のPaternal uniparental isodisomyであ ることが明らかとなった。本症例はUniparental disomyにより引き起されるHMGCL欠損症の初めての 報告例であると考えられた。 本研究で開発したMLPA法により、通常の遺伝子解析では同定が極めて困難である変異を明らかにす ることが可能となった。また、大きな欠失や重複が疑われる患者への遺伝子診断に有用な方法として 確立された。 以上の結果より、申請者 青山友佳の論文及び発表は、高く評価できる内容であり、医科学の発展 に大きく寄与すると考えられ、博士(医科学)の学位に適するものであると判断した。

(5)

論文リスト

1.Aoyama, Y., Yamamoto, T., Sakaguchi, N., Ishige, M., Tanaka, T., Ichihara, T., Ohara, K. Kouzan, H., Kinosada, Y. and Fukao, T. Application of multiplex ligation-dependent probe amplification, and identification of a heterozygous Alu-associated deletion and a uniparental disomy of chromosome 1 in two patients with

3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA lyase deficiency. Int J Mol Med. 2015 Jun;35(6);1554-60 DOI : 10.3892/ijmm.2015.2184 (IF=2.088)

参照

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