高知高専 技術者倫理1
大阪府の環境・公害対策の取り組み
一般財団法人大阪府みどり公社
自己紹介(主な経歴)
1950年1月 高知県吾川郡池川町(現仁淀川町)出生
1965年4月 国立高知工業高等専門学校工業化学科(現物質工学科)入学
1965年4月 国立高知工業高等専門学校工業化学科卒業
1970年4月 大阪府入庁(生活環境部水質課勤務)
1984年3月 大阪工業大学応用化学科二部卒業
1985年4月 大阪府企業局内陸整備課
1989年4月 大阪府阪南整備事務所
1994年4月 大阪府環境保健部水質課
1996年4月 大阪府立消防学校
1998年4月 大阪府企画調整部空港対策室 (財)関西空港調査会出向
2002年4月 大阪府環境農林水産部環境指導室化学物質対策課
2006年4月 大阪府環境農林水産部環境管理室事業所指導課
2011年3月 大阪府退職
2011年4月 一般財団法人大阪府みどり公社 就職 所属:環境チーム
煙の都大阪
大正元年(1912年)頃の大阪西部 【大阪府写真帳】より
大阪市及ひ其の附近には無数の工場相連り。為めに市は
煙筒林立、黒煙濛濛として天に漲り、図に示すか如き壮観
を呈し、煙の都の名を附せらるゝに至れり。
今から30~40年まえ
昭和40年代の大阪の空
昭和40年頃の大阪
大阪府では昭和30年代には、ばいじんなどそれまでの‘目に見える’大気汚染に
代わって、二酸化硫黄という‘目に見えない’大気汚染が広域的に顕著になって
きました。さらに昭和40年代にかけて臨海工業地帯へのコンビナートの進出等に
より大気汚染の悪化が懸念されるようになった。
昭和41年(1966)12月16日
硫黄酸化物による冬季のスモッグ発生時には、灰色の霧が立ちこめ
たようになり、府庁舎から数100m先の大阪城天守閣が見えない状
態が続き、昭和40年には、冬季のスモッグで初の注意報が発令、緊
急時の措置として大規模工場に良質燃料への転換を求めました。
大気汚染と戦う大変な努力の時代
大気汚染の犯人は二酸化イオウ(SO
2
)
大気汚染防止法を制定し、取り締まりを強化。
工場では、煙をきれいにする排煙脱硫装置を設置。
燃料の転換少しでもきれいなものに
石炭→重油→硫黄分の少ない重油→
→灯油油・軽油→天然ガス
自動車も燃料を改善してきた。(窒素酸化物対策)
鉛を使わないガソリン 硫黄分の少ない軽油
交通規制をして渋滞解消 流入車規制など
大気汚染防止法制定 K値規制
昭和43年に大気汚染防止法が制定され、ボイラー、高炉、焼却炉など
における物の燃焼に伴って発生するSOxを「ばい煙」として規制
K値規制
全てのばい煙発生施設に対して,施設ごとに次式により算出された排出
量を元に排出規制が行われており,K値が小さいほど規制基準は厳しく
なる。
Q=K×10
-3×He
2ただし,Q :硫黄酸化物の許容排出量(Nm
3/h)
K :地域ごとに定められた定数
He:ばい煙排出口の高さ(m)
規制基準はK値の値が小さいほど、煙突の高さが低いほど厳しくなる。 しかし、個々の工場・事業上の煙突についてK値を定めているため、煙突が地 域的に密集して存在した場合、SOxの着地濃度は当然高くなるが重畳効果、複合 汚染には対応できないという問題点があった。大防止法改正 総量規制導入
工場が密集し、地域全体にわたって高い汚染状況を呈している地域に
おいては、 K値規制のみでは希釈や高煙突化による多量排出が可能で
あり、環境基準を達成することが困難であったことから、環境基準を基に
算定した地域毎の排出許容総量の範囲内に工場等からの排出量を抑
えることが必要となった。
大阪府は、昭和48年9月に発表した「大阪府環境管理計画」においてそ
の環境容量を人の健康を維持するために設定された環境基準に置き、
当該レベルまで汚染を抑える方式として排煙拡散シミュレーションを用い
た地域排出許容総量の設定に基づく総量規制の実施を盛り込んでいる。
昭和49年6月に、「大気汚染防止法」が改正され、11月には地方自治体
における成果や国の調査研究の結果を踏まえ、硫黄酸化物について国
の統一的な制度に基づく総量規制が諸外国に先がけて実施されることと
なった。
排煙脱硫法
排煙脱硫には、湿式法、乾式法とに分けられる。現在多く使われているのは湿式法で、石灰石膏法、水マグ法、 アンモニア法、ソーダ法などがある。
火力発電所等で一般的に使われているのは石灰石膏法石灰石膏法は、石灰石(CaCO3)の粉末を水と混ぜて スラリー液にし、それを排ガスと接触させてSO2を吸収して石膏(CaSO4・2H2O)として除去する方法。
化学式で表すと以下の通り、 SO2 + CaCO3 + 1/2 O2 + 2H2O → CaSO4・2H2O + CO2
脱硫プロセスと副生品
プロセス 吸収剤 副生品 用途 石灰石膏法 石灰石、消石灰 石膏 石膏ボード、セメント 水マグ法 水酸化マグネシウム 硫酸マグネシウム 放流 アンモニア法 アンモニア 硫安 肥料 電子ビーム法 アンモニア 硫安 肥料 ソーダ法 水酸化ナトリウム 亜硫酸ソーダ、ボウ硝 パルプ蒸解剤、化学薬品 簡易脱硫法 石灰石、消石灰 石膏+石炭灰 土質改良材、路盤剤0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 0 0 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 年 度 濃 度 pp b
「二酸化いおう」のよごれの変化
見えない大阪城 よく見える大阪城
アスベスト
平成17年 クボタショック発生
角閃石系(クロシドライト)
蛇紋石石綿(クリソタイル)
アスベスト繊維1本の大きさは髪の毛の5,000分の1程度 の細さ。 耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非 常に優れ、安価であるため、「奇跡の鉱物」として重宝され、 建設資材、電気製品、自動車、化学工場、家庭用品等様々 な用途に広く使用された。 空気中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入すると、 中皮腫や肺がんの原因となる。アスベスト対策の大阪府の取り組み
○
副知事を長とするアスベスト対策推進本部立ち上げ
○
アスベストホットライン設置
○アスベスト製品工場の立入検査(17社)
○過去に製品を製造・加工していた工場調査
対象は300社 泉南地域に集中して立地していた。
○大阪府生活環境の保全等に関する条例の改正
建築物解体時のアスベスト飛散防止を図るため、
大気汚染防止法の改正を待つことなく規制強化
アスベスト繊維1本の大きさは大体髪の毛の5,000分の1程度の細さである。耐久性、耐熱性、 耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れ、安価であるため、「奇跡の鉱物」として重宝 され、建築資材、電気製品、自動車、家庭用品等、様々な用途に広く使用されてきた。 空中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入すると、中皮腫や肺がんの誘因となる。アスベスト除去作業の飛散防止
T工務店 大阪心斎橋の御堂
筋沿いのビルにおいて、除去
作業中に基準値の31倍のア
スベストを飛散
(平成18年12月)
改善勧告
工事中の掲示板
集じん装置
工事中の掲示板
水質汚濁防止対策
廃水処理が十分に行われていなかった1970年代には、大阪府内
でも処理の不十分な工場廃水等が川や海を汚して、悪臭や魚の
斃死を引き起こし、魚介類から水銀や米からカドミウムなどの有害
物質が検出されるなど,大きな社会問題となった。
水質汚濁改善のため大変な努力の時代
昭和40年代の水質汚濁の原因は産業排水
昭和50年代以降の水質汚濁の主な原因は生活排水
昭和46年 水質汚濁防止法が制定され、工場や事業場排
水の取り締まりを強化。 (一律排水基準に基づく濃度規制、
大阪府は上乗せ排水基準条例を制定)
昭和48年 瀬戸内海環境保全特別措置法を制定
(特定施設の設置及び変更許可、COD総量規制、栄養塩類
N及びPの削減指導)
工場・事業場では、排水を浄化する排水処理施設を設置。
生活排水も公共下水道の整備で改善を図ってきた
排水に含まれる汚濁物質と処理技術
廃水処理技術は、大きく分けると物理化学的方法と生物学的方法がある。 ○物理化学的方法 物理的作用(重力、ろ過、吸着など)や化学反応を利用する処理法で、沈殿やろ過、化学薬 品を用いた凝集や酸化還元などの方法がある. ○生物学的方法 微生物などの代謝反応を利用した処理法で、活性汚泥法,生物膜法などがある。特に,活 性汚泥法(Activated sludge system)は今から100年ほど前に、イギリスとアメリカで開発され、今では世界中で用いられている方法である。