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3)LED 封止用ガラス材料

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Academic year: 2021

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1.はじめに

1993年にサファイア基板に成膜された In-GaN 系 LED で実用レベルの青色発光が報告さ れて以来[1] ,青色 LED およ び YAG 蛍 光 体 を 組み合わせた白色 LED が広く普及してきた。 特に,近年は白色 LED で一般的な蛍光灯の発 光効率(60lm/W 程度)に追い付き,さらに 追い越ししつつある[2] 。さらに,LED チップ1 つ あ た り の 投 入 電 力 量 も 数 W 級 ま で に な り[2] ,自動車用ヘッドランプ,道路照明などに も用途が広がりつつある。 青色 LED が開 発 さ れ た 当 初 は,赤 色 LED などと同様にエポキシ系樹脂が封止材として使 われていた。しかし,LED チップの性能が向 上し,発光が強くなるにつれて,青色光および /または発熱によるエポキシ樹脂の黄変が顕在 化し[3―5],現在ではほとんどの高輝度 LED はシ リコーンで封止されている。 高輝度 LED 向けの封止材として,シリコー ンだけではなくガラスも候補材料として検討さ れ,例えば住田光学ガラスから先駆的な商品が 発表されている[6] 。本稿ではガラスを封止材と して用いた場合の特徴について報告する。

2.LED 封止材料になぜガラスか?

今後,一般照明および高輝度光源の用途でさ らに LED の普及が進むことは間違いない。普 及の過程で,LED チップ1つあたりの光量を 増すために投入電力量が多くなり,封止材にと ってはさらに厳しい使用環境になることが予想 される。このようなハイパワー LED に適した 封止材に求められる要件として,以下の4点が 重要であると考える。 ①可視光の透過率が高いこと(紫外 LED の 場合はその発光波長で透明なこと) ②耐光性&耐熱性に優れていること ③屈折率が高いほど,外部量子収率の向上に

Research Center,Asahi Glass Co.,LTD

Syuji Matsumoto, Nobuhiro Nakamura

Glass for LED encapsulation

松 本 修 治,中 村 伸 宏

旭硝子(株)中央研究所

LED 封止用ガラス材料

新製品・新用途ガラス

特 集

〒221―8755 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150 TEL 045―374―7223 FAX 045―374―8866 E―mail : syuji―matsumoto@agc.com 11

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寄与する ④ガスを透過しないこと(特に大気中の水蒸 気,SO2など) これらの要件をすべて高いレベルで満足させる 材料として,ガラスは理想的である。 そこで,LED を封止するために必要なガラ スの特性として,我々は以下の6点が必要だと 考えている。 !1 低温で軟化する[封止プロセスで LED を 破損/失活させない] !2 膨張係数が素子基板に近い(サファイアの 場合75×10―7 /℃)[ガラスが割れない] !3 耐候性が高い !4 屈折率が高い !5 Pb を含まない[環境配慮] !6 アルカリ金属イオンを含まない[電極&配 線を腐食させない]

3.ガラス封止 LED の特性

[7] 前記の6条件を考慮して開発したガラスの例 を表1に示す。この STM099は,高屈折率ガ ラスとして利用される TeO2系ガラスをベース に開発した。 STM099をハイパワー LED の封止材として 使用した環境を想定した加速実験として,加熱 させた状態で青紫レーザーを照射させた。高輝 度 LED に使われている樹脂材料がこの加速実 験で20時間足らずで黄変してレーザー光の透 過率が半減し,50時間で不透明になったのに 対して,STM099は150時間たっても全く変 質していなかった(図1)。この様に,STM099 の耐光性と耐熱性については問題がないことを 確認した。 アルミナ基板上に金配線を施し,金のスタッ ドバンプを介 し て0.3×0.3mm2 の 青 色 LED をフリップチップ実装して LED 素子を準備し た。(電極部分を配線基板に対向させた実装方 法)準備した LED の上に,1mm3 の立方体に 加工した STM099を載せ,600℃ で15分間加 熱してガラスを軟化流動させることで LED チ ップを封止した(図2)。 ガラス封止 LED の電流―電圧特性を確認し たところ,封止前後で有意な特性変化は無かっ た。未封止 LED,シリコーン封止 LED,ガラ ス封止 LED で比較した電流―輝度特性を図3 に示す。未封止 LED 比べて,シリコーン封止 LED は 約20% の 輝 度 向 上 が,ガ ラ ス 封 止 LED ではさらに18.5% の輝度上昇が認められ た。これは,封止材の屈折率差に準じた傾向で あり,屈折率が約2である STM099と InGaN の屈折率(2.5∼3.0)の屈折率差がシリコーン よりも十分に小さいことが,光取り出し効率を 良くする効果になっている。 このガラス封止 LED の長期信頼性を確認す る た め に,80℃ の 環 境 で 定 格 駆 動 電 流(20 mA)で駆動させ続けた。この実験を2年以上 表1 LED 封止用ガラス(STM099) 図1 STM099および樹脂材料を加熱させた状態での 青紫レーザーを照射 (レーザーの発光波長:405nm,サンプル温 度:180℃) 12

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(約18,000時 間)実 施 し た が,電 流―電 圧 特 性,電流―輝度特性ともに,有意な変化は起き なかった。一般的な LED 素子(シリコーン封 止)は,室温で40,000時間の使用で60% の輝 度を保証しているが,ガラス封止 LED はこれ を大幅に上回ることは間違いない。一般的な LED 素子ではシリコーンの劣化が主に輝度低 下の要因であることから,劣化モードが無いガ ラスでは当然の耐久性であると考えられる。

4.LED 封止用に開発したガラス材料

STM099を含め,旭硝子で開発した LED 封 止用ガラスを表2に示す。 STM099と STM029は 高 屈 折 率 な ZnO―B2 O3―TeO2系ガラスであり,上記で示したように 光取り出しに有利なガラスである。さらに,こ れらのガラスは屈折率が2に近いため,球状の ガラスレンズとして使用すると,極めて指向性 の高い光源となる。これまでに我々はガラス封 止のための加熱プロセスで,LED チップ上で ガラスが軟化しながら球状に成形され,さらに 光学軸が自動 的 に 調 針 さ れ る こ と を 報 告 し た[8] 。この球ガラス封止 LED を使用すると例 えば超小型プロジェクターの光源などに利用で きる可能性がある。 Prototype!1と!2は SnO―ZnO―P2O5系ガ ラ ス であり,500℃ 以下の低温で封止することがで きる。特に,Prototype!2は400℃ 以下での封 止が可能であり,LED の電極および実装接合 部の素材選択が容易になる。(500℃ 以上の封 止温度では,第3章で報告した金配線&金バン プ接合のように,特殊な実装が必須になる。) また,Prototype!1と!2は近紫外域での透過 特性も優れ,例えば1mm 厚のときに365nm で90% 程度の内部透過率を有している。今後, 発光効率,投入電力量ともに性能が向上してい 図2 600℃ で加熱前後の LED 素子とガラス 加熱前 600℃ で15分間加熱後 図3 未封止 LED,シリコーン封止 LED,ガラス封 止 LED で比較した電流―輝度特性 (積分球で全拘束を測定) 表2 旭硝子で開発した LED 封止用ガラス 13 NEW GLASS Vol.27 No.107 2012

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㻜 㻞 㻠 㻢 㻤 㻝㻜 㻝㻞 㻝㻠 㻝㻢 㻝㻤 㻞㻜 㻞㻚㻠 㻞㻚㻡 㻞㻚㻢 㻞㻚㻣 㻞㻚㻤 Ⓨගຠ⋡ 㻔㼘 㼙 㻛㼃 㻕 㟁ὶ 㻔㼙㻭㻕 䝞䝹䜽 㻠㻜㻜䉝 䝣䝸䝑䝖 㻠㻜㻜䉝 䝣䝸䝑䝖 㻟㻣㻜䉝 ᑒṆ๓ る紫外 LED 向けの封止材として適していると 考える。紫外光に対するシリコーンの耐性は良 好とは言えず,青色 LED 以上にガラス封止が 役にたてるのではないかと考えている。 Prototype!1と!2は粉末ガラス(フリット) を作製し,そのフリットで LED チップを封止 することもできる。粉末化することで封止のた めの加熱温度を数十℃下げることもできた。図 4に Prototype!2で封止した時の発光効率を示 す。フリットで370℃ の加熱で封止した時に, 最も発光効率が優れていた。フリットの形態で あれば,白色 LED 用に蛍光体を分散させるこ とも容易である。また,樹脂と混合したペース トにすることで,印刷が可能になり,例えば多 数の LED を実装した基板に広く薄くガラス コートすることで封止材としての機能を果たす ことも考えられる。

5.おわりに

ここまでガラス封止 LED について前向きな 報告をさせていただいた。実際に我々は LED のハイパワー化はガラスが活躍できるチャンス だと考え,ガラスを準備している。しかしなが ら,LED 素子を製造する場合に,本稿で紹介 したガラスを使用するためには封止プロセスで 350℃ を超えてしまう。従来のシリコーン封止 で は「作 製 プ ロ セ ス 温 度<素 子 使 用 温 度< 200℃」が一般的であり,ガラスで封止するた めには部材構成&プロセスを大きく変える必要 があるため,ガラス封止 LED の一般化は容易 ではない。現状で一般的な LED 封止材である シリコーンでも改善がなされ,その牙城は強力 である。 しかし,LED は更にハイパワー化が進み, 紫外 LED の高輝度化も顕著であり,ガラス材 料の優位性が生かせる用途が増えてくると期待 している。今後,我々もガラス封止 LED の普 及に貢献したい。 引用文献 [1].http : //www.nichia.co.jp/jp/about_nichia/his-tory.html [2].例えば,「日経エレクトロニクス2011年5月30日 号」

[3].D.Morita et al.,Jpn.j.of Appl.Phys,43(2004) 5945

[4].T.Fujii et al.,Appl.Phys.Lett.,84(2004)855 [5].K.Orita et al.,Jpn.J.Appl.Phys,43(2004)5809. [6].http : / / www .sumita ― opt .co .jp / ja / news /

20120402_761.html

[7].N.Nakamura et al.,Journal of the Ceramic Soci-ety of Japan Vol.116,No.1358,pp.1075―1078(2008) [8].N.Nakamura et al.,SOCIETY FOR INFORMA-TION DISPLAY2007INTERNAINFORMA-TIONAL SYMPO-SIUM,p.915(2007) 図4 Prototype!2で封止したガラス封止 LED の発光 効率 (バルク:ブロック状ガラスで封止 フリット:粉末ガラスで封止) 14

参照

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