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小学校家庭科新教科書の検討 : 実習教材とPDCAサイクルの記述を中心に

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(1)Title. 小学校家庭科新教科書の検討 : 実習教材とPDCAサイクルの記述を中心に. Author(s). 増渕, 哲子. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 62(2): 291-305. Issue Date. 2012-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2845. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第62巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.62,No.2. 平成凶年2月 February,2012. 小学校家庭科新教科書の検討 一実習教材とPDCAサイクルの記述を中心に−. 増 渕 哲 子 北海道教育大学札幌枚家庭科教育学研究室. ConsiderationofNewElementarySchooITextbooksfor Home Economics Education. −FocusonTeachingMaterialsforCooking/SewingandthePDCACycle− MASUBUCHI Satoko. DepartmentofHomeEconomicsEducation,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本稿は,2008年改訂学習指導要領のキーワードである「確かな学力」及び「習得と活用」が,小学校家庭 科教科書にどのように反映しているかを,教科書記述の具体例や教材配列等を通じて明らかにしようとする ものである。ZOll年度から使用されている新教科書と前回検定による旧教科書を対象に,「調理」と「布を 用いた製作」の実習教材と,実践化のためのPDCAサイクル図の記述について比較検討をおこなった。新 教科書のつくりは,PDCAサイクル図,実習の作業手順図,自己評価のためのチェック欄が繰り返し掲載 される形式で,サイクル図の出現数や数字による作業手順の強調度合いが,新旧教科書間では大きく異なっ ていた。また実習教材の意味づけも違い,小学校家庭科で育てる「確かな学力」,さらに「習得と活用」の 向かう方向が,今後技術習得に限定される問題を指摘した。. 1.はじめに. 小学校では,2011年4月より2009年度検定による新しい教科書が使用されている。教育基本法「改正」後 にはじめて改訂された2008年版学習指導要領のもとで作成された,興味深い教科書である。 2008年版学習指導要領は,「ゆとり教育」からの脱皮,基礎・基本の充実,道徳教育の重視,小学英語等が, その特徴として挙げられている。. 「ゆとり」を掲げた1998年版学習指導要領をめぐる,一連の学力低下論争とゆとり教育批判,これへの対 応策としての文科省による2002年「学びのすすめ」,さらに2004年のPISAショックとその後の全国学力テス. 291.

(3) 増 渕 哲 子. トの復活など,「ゆとり教育」と学力問題をめぐって,日本社会は大きく揺らいだと言っても過言ではない。. 今回の学習指導要領の改訂に先立ち,中央教育審議会が2008年1月に出した答申「幼稚園,小学校,中学 校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」では,「基礎的・基本的な知識・技能の 習得」,「思考力・判断力・表現力等の育成」,「確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保」等が改 訂の基本的な考え方として示されている。また答申中の「確かな学力」は今改訂のキーとなっている言葉で. あり,答申ではさらに「基礎的・基本的な知識・技能の習得」と「これらを活用する思考力・判断力・表現 力等」を「車の両輪として相互に関連させながら伸ばしていく」と記している。 また家庭科,技術・家庭科の改善の基本方針については,「実践的・体験的な学習活動を通して,家族と 家庭の役割,生活に必要な衣,食,住,情報,産業等についての基礎的な理解と技能を養うとともに,それ らを活用して課題を解決するために工夫し創造できる能力と実践的な態度の育成を一層重視する」と述べて いる。. これを受けた小学校家庭科学習指導要領の具体的な改訂内容は,中学校技術・家庭科との連続性を確保す るための学習内容のくくりの復活や,道徳教育との関連をもたせた「家庭生活と家族」の重視,食育推進に かかわる食事と調理の学習の重視と五大栄養素学習の復活等が挙げられる。. 本稿は,こうした改訂内容が新教科書教材にどのような形で反映しているのかを明らかにするものである が,そもそも家庭科の特徴的な目標である「実践的な態度を育てる」が,今改訂で一層強調されている点と,. 「確かな学力」,「習得と活用」の家庭科的な反映のしかたに着目したいと思う。一方で教育基本法「改正」 以後初の学習指導要領という視点から,道徳教育と家庭科がどのように結び付いているかを明らかにするこ とも興味深い点なのだが,本稿ではより強調された「実践的態度」に注目し,教科書の実習教材を中心とし た分析をおこなうこととする。. 2.新l日教科書記述の比較 (1)教科書について. 小学校の家庭科教科書は,現在開隆堂出版と東京書籍の2社(以下K社,T社と記す)から発行されてい る。1998年改訂学習指導要領に対応する2002年発行の教科書以降は,従来の第5,6学年に分かれた分冊方 式から,2学年を合わせた一括方式の教科書に変更されている。この時期,小学校家庭科では,学年指定の 大幅な撤廃がおこなわれるとともに,教材指定の多くが解除され,学習指導要領上の教師の裁量粋が高めら れたという特徴があった。2008年改訂の学習指導要領も基本的にはこの路線を継いでおり,現在残る唯一の 教材指定は「ごはんとみそ汁の調理」のみとなっている。ただし学年指定については,第5学年の最初の学 習内容に. 「家庭生活と家族」を2年間の学習のガイダンス的内容として配置することが指定されている。. また1998年版学習指導要領をめぐるゆとり教育批判は,小学校家庭科からもいくつかの「歯止め規定」を 削除させることとなった。「洗剤の働きに深入りしないこと」,「細かな栄養素や食品成分表の数値は扱わな いこと」などの記述は,2008年版学習指導要領では書き込まれていない。. さて1998年版では学習内容の3割削減がおこなわれ,一転して2008年版では,ゆとり教育批判のもとに「確 かな学力」の保障が掲げられた。いくつかの教科では授業時数が増加されたが,こと家庭科に関しては,年 間授業時数は5年生60時間,6年生55時間のまま据え置かれている。なお今回の改訂では,家庭科学習内容 の変更点として,前述の「歯止め規定」とも連動する5大栄養素の学習の復活がある。栄養素の種類と働き は前回改訂時に中学校へ移行したものの,再び小学校に移されることとなった。 すなわち家庭科では,時数が増えないまま「確かな学力」の定着が目指されるのである。おもな教材の一. 292.

(4) 小学枚家庭科新教科書の検討. つである教科書では,その家庭科的な「確かな学力」の充実方策がどのような点に現れているのかを明らか にすることが必要と思われる。そのため,本論では新旧の教科書記述の比較検討をおこなう。. ここではK社の記述を中心に取りあげることとする。K社の北海道での採択状況であるが,計24の採択地. 域のうち,21地域がこれを採択している1)。またK社の場合は,今回の新教科書から教科書サイズをB5判 からAB判(ワイド判)に変更している。改訂学習指導要領の影響が教科書の記述にどのように反映してい るか,改訂による記述の変化や強調の度合いがK社教科書により明確に現れるものと判断した。なお随時丁 社の記述との比較もおこなうこととする。. (2)教科書冒頭と巻末の記述比較 小学校家庭科教科書は,どのような力を育てようとしているのだろうか。始めに,教科書の冒頭の記述と,. 最終頁の2年間の学習のまとめにあたる記述を見ることにする。 まず冒頭の記述である。新教科書(以下「新」とする)では,「2年間を見通して さあ,家庭科を学び ましょう」の大見出しの下に,「家庭科では,毎口の生活を,よりよぐ快適に過ごすために,生活に役立つ 大切なことを学びます。これまでに学習したことをもとにして,課題をもって取り組み,生活に役立ついろ いろなことができるようになりましょう」とある。見開き2頁に大小18枚の写真が掲載され,そのうち5枚 は調理実習とそれに関わるもの,3枚は布を用いた製作に関わるものである。写真の脇には「いろいろなこ とができるようになるね」という記述や,「5年生でできるようになったこと」,「6年生でできるようになっ たこと」の記入欄が設けられている。. 一方,旧教科書(以下「旧」とする)では,「家庭科の学習にあたって」という大見出しの下に「家族の ことや食物・衣服・住まいのことなど,日常生活に必要なことがらを学び,よりよい生活のしかたをくふう していきましょう」とある。こちらも見開き2頁だが,写真ではなくイラストを用いて家庭や地域の様々な 生活場面を描き,「生活を見つめ,問題を見つけよう」,「生活に生かそう」の文字が中央に据えられている。. もう一方の最終頁の記述はどうなっているだろうか。「新」の巻末には,「成長したわたしたち 小学校で できるようになったこと」の大見出しの下に,調理実習風景と布製作品のナップザックを背負った写真が掲 載され,次の記述がある。「わたしたちは,2年間の家庭科学習を通して,生活について学んだり,考えた りしながら,いろいろなことができるようになりました。今までの学習をふり返り,できるようになったこ とを確認してみましょう。」さらに「できるようになったことは?」,「家庭で生かせましたか?」の問いが. あり,その下に罫線が引かれ,記入を促す形式になっている。またこの頁には上の2枚の写真を含めて計7 枚の写真が掲載されているが,調理実習と布を使った製作に関わる写真が,そのうちの5枚を占めている。 では「旧」の場合はどうであろうか。「これからの家庭生活と社会」の大見出しの下に「わたしたちは,. 家庭科の学習を通して生活についてのいろいろなことを知ったり,考えたり,できるようになったりしまし た。わたしたちは,これから中学生になり,さらに生活についての学習を深めます。これからの生活のしか たについて考えていきましょう」と記述されている。見開き2頁分を使用しイラストを掲載しているが,イ ラストには「共に生きる」の大見出しが付けられ,屋外での多様な年齢層が集うバーベキューパーティー,. 盲導犬を連れた高齢女性,民族衣装を着た若者たち,辛いすの青年,ベビーカーを押した高齢男性,男女4 人(うち男子1人は黒人)の子どもたちが興じるサッカーなどの様子が描かれている。 これらを見ると,新旧の教科書の違いは明らかである。「新」の場合は,何かができるようになることが, とりわけ重視されていることがわかる。「できるようになる」の中身は生活実務を想定し,理解の側面より,. 表に現れる行動面として「00をする,仕上げることができる」力を指しているように思える。もちろん, 学んだり,考えたり,という言葉も使われてはいるが,「できるようになる」は,この2つとは並列の関係. 293.

(5) 増 渕 哲 子. ではなく最終日標となっている。これに対して「旧」の場合では,「知ったり,考えたり,できるようになっ. たり」と記されているように,3者が同列に扱われているのである。こうしたことが,写真やイラストの表 現内容にも連動しているわけである。. さて,次に実際の教科書教材を見ていきたい。具体的には何が「できるようになる」ことを想定している のか,従来とはどのような違いがあるのかを明らかにしていく。. (3)実習教材とPDCA(あるいはPDS)サイクルに関わる記述比較 ここで新旧比較の対象とするのは次の2点である。一つは実習教材に関わる記述,もう一つは実習とつな がる実践手順の標準化に関わる記述である。前者については,「調理」教材と「布を用いた製作」教材に分 けて取りあげるが,これらに関わる学習は,2学年にわたっておこなわれることが想定されているため,教 科書前半に掲載されているいわゆる初歩的な内容の教材に限って比較する。後者の実践手順の標準化に関わ. る記述とは,PDCA(あるいはPDS)サイクルの記述を指す。「調理」と「布を用いた製作」以外の記述 も含めて取りあげる。. 後掲する表1と表2は,左欄にはH23年発行のK社新教科書の記述を,右欄には平成17年発行のK社旧教 科書の記述を対照的に並べたものである。それぞれ検定年の翌年に出版された教科書である。. (手 「調理」の記述比較. 表1には,教科書の前半部分の,おそらくは第5学年児童を想定した「調理」に関わる記述,特に新旧の 記述の性格がよく表れている箇所を抜粋した。. 「新」で特徴的なのは,小見出しのつけ方である。「2 はじめてみよう クッキング」が調理の導入に あたる章だが,これは次の3つの節,「1クッキング はじめの一歩」,「2 ゆでてみよう」,「3 ゆで 野菜のサラダをつくろう」で構成されている。これに対して「旧」の場合は,調理の導入が,「1 どのよ うに生活しているかな」の中の一節「3 自分ができる仕事を増やそう」である。この中にガスこんろを使 う仕事があり,次の章「2 わたしにできることをやってみよう」の冒頭の節「1 かんたんな調理をして みよう」で野菜サラダをつくる,という構成になっている。次の節は,違う仕事に転じて「身の回りの整理・ 整とん」が取りあげられている。 また学習のねらいに関わる記述にも新旧の特徴が見られる。「新」では“学習のめあで’,「旧」では“話. し合おう’’と善かれた囲み欄がそれである。この記述内容が,次のように新旧では大きく異なっている。「新」 は「たまごや野菜をゆでる調理ができるようになろう,調理用具を安全に使えるようになろう」,「旧」は「用 具・食器の準備からかたづけまで,お茶をいれる手順を話し合ってみよう」,「家庭では,どんな調理をした ことがあるか,これまで,どんな用具・器具を使ったことがあるか,話し合ってみよう」と善かれている。. このように,調理技術の習得や調理用具の扱い方の習得そのものを,小見出しや目標に具体的に記述する 「新」に対して,「旧」の場合は,直接には技術習得には触れていない。技術の習得そのものより,技術を 通して家庭生活のありように思考を向ける,という方向であるのが分かる。このことをさらに別の記述から も確認しておきたい。. 「新」では本文記述のところどころに,太字で誇張された言葉がある,これは「旧」には見られなかった ものである。例えば調理の導入部では,安全,衛生,計画,準備,見通し,はかる,洗う,切る,加熱する, が太字で強調されている。また教科書には,本文記述以外に,イラストや写真に付けられた添え書きが多数 あり,実習を取りあげた頁には多くの留意事項が示されることになる。ガスこんろで湯を沸かす実習では, 「旧」が“湯気に気をつけよう’’,“取っ手も熱くなるので注意’’の添え書きだったが,「新」は“蒸発する. 294.

(6) 小学枚家庭科新教科書の検討. ので,必要な湯の分量よりすこし多めの水を入れる’’,“ゆげの出るところに顔や手を出さない。手や衣服を 火に近づけない’’,“ほのおが横からはみ出ないようにし,エネルギーのむだ使いをふせく岬,“なべや,やか. んの底がぬれていたらふいておぐ’と細部に及んでおり,さらに点火前,点火後,消火後の計6項目の注意 事項を安全チェック欄で自己点検するようになっている。. 指示を詳細に記述する点は,ゆでたまごの調理でも同様である。ゆでたまごの扱いは,「新」の場合,一 般的な調理手順をPDCAサイクルで示した後に「かたゆでたまご」をつくり,まずは「ゆでる」という調 理法を習得する,という流れになっている。また見開きの左側の頁にはたまごのゆで方を掲載し,右側の頁 には青菜のゆで方を掲載し,次頁以降の「ゆで野菜のサラダのつくり方」で,キャベツとブロッコリーのゆ で方を掲載している。さらに同じ頁で別の6種類の野菜を挙げて,水からゆでるか湯からゆでるかという記 述を加え,「ゆでる」というを調理技術を徹底して教える,という構成になっている。/ト学校で扱うもう一 つの加熱調理技術である「いためる」調理は,「ゆでる」とは別に,教科書後半の「朝食のおかずを調理し よう」の主な調理法として取りあげられている。. 「旧」の場合,ゆでたまごは教科書後半の教材である。「ゆでたり,いためたりして」おかずの一品をつ くる,加熱時間や切り方を工夫するための教材に位置づけられている。「新」が固ゆでたまごに限定してい るのに対して,「旧」はゆで時間を変えたゆでたまごを取りあげている。また「旧」のゆで野菜の調理は,「自. 分ができる仕事を増やす」ことの延長にある。「かんたん」な「わたしにできる」調理として,包丁を使う 野菜サラダづくりをおこなうが,衛生と安全の視点から(たまたま)野菜をゆでる調理法を用いるというも のである。従って野菜サラダづくりを「ゆでる」という調理技術の仕上げの実習として扱う「新」とは,教 材の位置づけが大きく違うことになるのである。. ゆでる調理技術を徹底して習得させることに目標を置いた「新」では,始めに湯を沸かす経験をさせ,次 いで時間を計って固ゆでたまごをつくらせる,さらに青菜や他の野菜もゆでさせるが,ゆでる前に形状の違 ういろいろな野菜の洗い方も合わせて習得させる。サラダ菜,もやし,にんじん,かぶを洗うイラストを掲 載し,例えばかぶについては「葉のつけ根のどろやよごれは,ためた水の中で落とし,水をかえて洗う」と 記述される。野菜の切り方も例示する。「ななめ切り」「さいの日切り」など9種類の切り方を示す写真を同 一頁にまとめて掲載する。仕上げは盛りつけである。ゆでたまごは糸で切る,たまご切り器で切る例が,ゆ でた青菜にはもみのり,ごま,小魚のトッピング例が示されている。. このように新旧では技術習得なのか,技術を通してなのかという違いは顕著である。次いで「布を用いた 製作」について比較する。. (卦 「布を用いた製作」の記述比較. 表2には,「基礎ぬい」に当たる記述と「ミシンぬい」の記述を掲載した。この記述は,「新」では前述の ゆでる調理の直後に置かれており,調理技術習得に次ぐ,布による製作の初歩が取りあげられる部分である。. 上記①の「調理」と同様に,「新」の小見出しは,何をつくるか,何をするかを限定した表現となってい るのが特徴である。「3 はじめてみようソーイング」には「1 針と糸にチャレンジ」,「①玉結び・玉ど めをしよう」,「②ネームプレートをつくろう」などが,「6 わくわくミシン」には「1 ミシンぬいにチャ レンジ」などの小見出しが並ぶ。「旧」の「針と糸に慣れよう」,「針と糸を使って作ってみよう」,「ミシン を使ってみよう」などの書き方とは明らかに違う。 学習のねらいに関わる記述はどうなっているだろうか。「新」の“学習のめあで’には,「針と糸を使って, かんたんな手ぬいができるようになろう,ボタンつけができるようになろう」,「ミシンで直線ぬいができる ようになろう」とあり,「旧」の“話し合おう’’では,「針と糸を使ってどんなことができるか話し合ってみ. 295.

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(10) 小学校家庭科新教科書の検討 」望一針. m!土. 宿. ■■. 小忌. ・ヲ■■遇・. l卜. 望」\/臭 ○勅. _. 凝. 蓋芸葦 替 e. 紳. 刃や。. 璃. 卍 ==. ・・ +. 刊⊥車. ≡書 .・l・・・・. ・・... 奄. 定 璧. 奄h. ㌔烏. 一卜. 噂Q. ト登. †−J. =. Ⅳ1. ∴㍉. 麗 掴. 遥箋唇. 磐 †−J. †−J く.⊂〉. =. ∴、十. ′\J こ′′. こエ)軋 「オ. Nぐ/つ. 隅. ぐ/つ. ∼. 【− ⊂⊃ N ぐ/つ. 軸一卜容. 智. ■碗J」. ′\. (X〉 の 打つ N N ぐ/つ. 句  ̄\′′. へ 「′/. じ. 定 彊 凶. も旬へ、㌣. ぐ/つ 凶. =. 麗 掴 磐 凹. 同凶=. 振. 【、. ぐ/つ ぐ/つ. 隅. ⊂⊃ ぐ/つ. ぐ/つ. †・・{. N. 「オ. ぐ/つ. ぐ/つ. ぐ/つ. ∼. ∼. 299.

(11) 増 渕 哲 子. よう,布をぬってみたことについて話し合ってみよう」,「ミシンを使えるようになるためにはどのようにし たらよいだろう」と記述されている。. 以下,さらに個別の記述を比較する。 「新」は「3 はじめてみようソーイング」のみ,「6 わくわくミシン」のみで,各々1章分を構成し ている。「3 はじめてみようソーイング」の冒頭の見開き2頁には,玉結び,玉どめの写真が大きく掲載 され,この2つを習得してから次のネームプレートづくりへ向かう,という構成になっている。「旧」の扱 いは,身の回りをみつめ自分にできることをやってみる,その一つとして針と糸を使う,というもので,針 と糸の扱いに慣れるためにネームプレートを作るが,そのためには玉結び,玉どめの技術習得が伴う,とい う構成になっている。また定番のボタンつけについては,「新」は「ボタンをつけてみよう」という小見出 しを立て,二つ穴ボタンだけでなく四つ穴ボタンと足つきボタンを例示している。「旧」は「針と糸を使っ て作ってみよう」の中にふた付き小物入れづくりの例示があり,小物入れのふたをとめるためにボタンを付 ける,という扱いになっている。 「新」の「6 わくわくミシン」では,ミシンの使い方,縫い方学習の後に,ミシンを使用した製作に移 行する。なお「新」の冒頭ではミシンのからぬいの手順が見開き2頁にわたって大きく取り上げられている。. これ対し「旧」では,「布で作ってみよう」が章題で,布について調べ,製作計画を立ててからミシンの学 習になり,その後計画に従った製作に移るという構成である。また「旧」は必ずしもミシン縫いに限定せず, 手縫いとミシン縫いの両方を想定していることも異なる点である。. 以上のように,技術を繰り返し学んでから製作に向かう「新」と,何かを扱うためには技術が伴う,そこ でその技術を学ぶ「旧」,という違いを読みとることができる。また技術習得そのものを重視するのか,そ れとも体験することを重視するのか,という違いも見い出せそうである。 これらの相違から考えるのは,つまるところ,小学校家庭科教科書の学習観に大きな転換があったと見る 必要があるのではということである。この点については後述するが,記述比較の最後に,PDCA(あるい はPDS)サイクルを取りあげることとする。. (卦 PDCA(あるいはPDS)サイクルによる実践手順の標準化記述. 学校教育の場でPDCA(Plan−Do−Check−Action)あるいはPDS(Plan−Do−See)と言えば,ここ数年 のあいだに進められてきたカリキュラム・マネジメントや学校評価を思い浮かべるかもしれない。経営学の 手法を学校経営に援用し,このマネジメントサイクルのもとで学校運営や教育課程の評価と改善を進めよう という動きが活発化しているやに見受けられる。 家庭科教員にとっては,PDCAよりPDSと言う方がなじみがあると思われるが,家庭科学習の内容・方. 法として,このようなマネジメントサイクルが,家庭科の教科書教材にはやくから反映していた事実がある2)。 高等学校の家庭科では,2000年3月に学習指導要領が改訂されるまでは,「家庭一般」の目標に「家庭経営 の立場から」という文言が挿入されていた。当時の「家庭経営の立場」とは「主婦の立場」を指していたの だが,「家族の生活と家庭経営」や「生活設計」の学習領域において,アメリカ家政学の影響を受けたPlan− Do−Seeマネジメントサイクルが,合理的な家庭経営のための実践的手法として教科書教材に取り入れられ ていたのである。さらに1989年3月改訂中学校学習指導要領により,中学校技術・家庭科に新領域の「家庭 生活」が設置された時,家庭の仕事を合理的手順に従って遂行する方法としてPDSサイクルが教科書教材 として掲載されたのである。そして中学校だけではなく,小学校家庭科教科書でも以下のような記述が見ら れるようになった。 表3は,新教科書の「PDCA(PDS)サイクル図」,「(調理と布を用いた製作の)実習手順図」,「チェッ. 300.

(12) 小学枚家庭科新教科書の検討. ク欄」を,掲載順に一覧にしてまとめたものである。左端の頁欄には該当頁を記したが,頁数が2頁のもの は全てが見開きである。右端の記述項目・内容欄には,「PDCAサイクル図」については各サイクルの段階 表記を全て載せ,「実習手順図」については冒頭①の手順のみを載せ,それ以外は省略して手順の個数を示 した(チェック欄も同様に扱った)。調理実習手順の場合は,いわゆるレシピにあたる記述になるが,恥.8 の「計量のしかた」のように,調理用具の扱い方を記述した囲もここに掲載した。「チェック欄」は「旧」 にはなく「新」から掲載されたものである。一連の実習による達成状況や覚えるべき物の名称について,子 ども自身が自己点検するようになっている。例えば,恥.4の「安全チェック(ガスこんろ)」は,ガスこん ろの使い方実習の後に設けられ,「(点火前)そばにもえやすいものはないか」「(点火後)火がついているか」. 「(消火後)確実に火は消えているか」等の計6項目の各々にチェックボックスが付き,しるしを付ける方 式である。. 「PDCAサイクル図」と「実習手順図」は,全て「① 0000」,「② 0000」というように,数 字付きで手順を示しているものである。後述するが,あえて数字を付けて手順を強調するという記述のしか たは,新教科書の顕著な特徴である。 「PDCAサイクル図」は表中に網がけしたが,表の最下欄に示したように,この図は新教科書中の10箇 所に登場している。「計画」,「実行」,「評価」を含むサイクルが示されているが,これに近い表記で作業の 手順を標準化している場合もこの中に含めている。 「PDCAサイクル図」と「実習手順図」,「チェック欄」の関係を見てみよう。. 最初の「PDCAサイクル図」はNo.5の「調理の手順」である。前頁にこんろで湯を沸かす教材が掲載さ れ,その直後の見開き2頁にわたって,「①計画を立てる ②準備する ③調理する ④試食する ⑤あと かたづけをする(釘ふり返る」の各段階を表す言葉が,頁の中段を左頁から右頁にかけて一直線に並んでい る。「①計画を立てる」の下には活字のポイントを落とし,箇条書きで「材料・分量」,「つくり方」,「用具・. 食器」と善かれ「準備するものを紙に書き出してみよう」の添え書きがある。「②準備する」では同様に「手 順の確認」,「身支度」,「手を洗う」,「用具・材料の準備」の箇条書きと,「参考」として,流水で手を洗う. 場合と石けんで洗う場合の細菌の残存率を示す表が掲載されている。③∼⑥も同様に各段階ごとに想定され る作業等が箇条書きされている。このサイクル図の下には,「おもな調理用具」のチェック欄(恥.6)があ り,計量スプーンやすりきりベラ,フライパン,ざるなどの名称とともに実物写真が掲載され,その脇に小 さな四角いチェックボックスが設けられ,名称と実物写真を照らし合わせて確認するようになっている。 このように標準化された調理手順の作業を示して実践を促した後,次のページで「たまごのゆで方」(恥.. 9)が示される。「①洗う ②ゆでる ③盛りつける」の作業手順がやはり頁の中段に横一線に並び,例え ば「①洗う」には「割れないように洗う」との添え書きが付いている。同じ頁の左下には「『できたかな』 ゆでたまご」のチェック欄(恥.10)があり,「①割れないように洗った」,「かたゆでたまごができた」,「安. 全に作業ができた」の3点を確認させるようになっている。 表3に書き入れた○印の位置を見れば明らかだが,「PDCAサイクル図」が教科書全体に分散配置され, 標準化された作業の手順が繰り返し示されることになっている。それを核としながら各実習の手順図が示さ れ,実践の仕上げとしてチェック欄での自己評価が促される,という形式になっていることがわかる。 No.5以外の「PDCAサイクル図」を順に挙げると,No.23の「/ト物入れの製作の進め方」,No.27の「整理・ 整とんの手順と実行」,恥.29「家庭の仕事の手順」,恥.38「(ミシンを使った)製作の進め方」,恥.39「製 作計画の立て方」,恥.51「じょうずに買い物をするために」,恥.57「朝食に合うおかずづくりの計画」,恥.63 「そうじの手順と実行」,恥.65「気持ちよく着るための衣服の手入れの手順」となり,合わせて10種類にな. るサイクル図のうち,恥.39を除いた全てが見開き2頁を使って掲載されている。ちなみに同様の手順図は. 301.

(13) 増 渕 哲 子 表3 PDCAサイクル図,実習の手順図,チェック欄の掲載一覧 PDCA. No 頁. サイクル図 の 手順図 ェッ ○ ○. 7. 2 7 3 7 4 7. ○. 5 8∼9 ○ 6 7 8 9 10. 8 9 9 10 10. ○ ○. 見. 「できたかな」ゆでたまご. ○. 青菜のゆで方 「できたかな」青菜をゆでる ゆで野菜サラダのつくり方. ○. 14 15 15 15. 記 述 項 目 ・ 内 容. し. ○ ○. 12 13 14∼15. 出. 湯のわかし方 ①水を入れたやかんをこんろにかけ,点火する ②略 ガスこんろの安全な使い方 点火のしかた ①点火つまみが閉まっていることを確かめてから,ガスせ んを開く②略 ガスこんろの安全な使い方 消火のしかた ①点火つまみを「止」にもどす ②略 ○ 安全チェック(ガスこんろ) 「点火前 そばに燃えやすいものはないか」他 計6項目 (∋計画を立てる(参準備する(訂調理する④試食する 調理の手順 (むあとかたづけをする(むふり返る 計量スプーン,すり切りべら他 計20項目 ○ おもな調理用具 ○ チェック(調理の身支度) エプロン,三角きん,かみの毛他 計6項目 計量のしかた 上皿自動ばかり ①平らなところに置く ②∼④略 ①洗う:割れないように洗う ②∼③略 たまごのゆで方. ○ 「できたかな」ゆで野菜のサラダ ○ ふり返ろう(「2はじめてみようクッキング」の章. 「①割れないように洗った」他 計3項目 ①洗う:根元についたどろをおとす ②∼④略 「①根元をよく洗えた」他 計4項目 ①洗う・切る:ミニトマトへたの部分をよく洗う②∼ ⑤略 「①材料と用具・食器などの準備ができた」他 計6項目. のまとめ部分). 16 17 18 19. 16∼17 16∼17 17 18∼19. ○ ○ ○ ○. 20 19 21 18∼19. ○. 22 19 23. 20∼21. ○ (⊃. 25 22 26 22 24∼25. ○. 「できたかな」ぬい取りの作品 二つあなボタンのつけ方. ○. 「できたかな」ボタンつけ. (む製作するものを考えて決める(む準備する(勤布をたつ ④ぬう(彰ふり返る ティッシュペーパー入れのつくり方 ①布をたつ:大きさを決めて布をたつ ②∼④略 ○ 「できたかな」/ト物の製作 「①思ったとおりの小物をつくることができた」他計4 項目 ○ ふり返ろう(「3はじめてみようソーイング」の章 「かんたんな手ぬいやボタンつけができるようになりまし のまとめ部分) たか」の1項目. ○. (∋考える②分類する③整理・整とんする④続けて実 行する ○ ふり返ろう(「4かたづけよう身の回り」の章のま 「身の回りの整理・整とんをすることができましたか」他. ○. (む仕事を決める(む手順や方法を考える(勤実行する④ ふり返る⑤生かす(む続ける ○ ふり返ろう(「5できるようになったかな家庭の仕 「分担した仕事を,くふうしながら実行できるようになり 事」の章のまとめ部分) ましたか」の1項目 オープンサンドイッチをつくろう ①野菜やハム,チーズを切る ②∼③略 からぬいをしてみよう ミシンの使い方(1) ①準備をする:ミシンを出して,セットする他 ②略 ○ ミシンの安全な使い方 「運ぶときカバーの金具をしっかりとめて,ミシンの下 を両手で持つ」他計7項目 ミシンぬいにチャレンジ!ミシンの使い. 整理・整とんの手順と実行. 28 25. とめ部分). 29. 26∼27. ①糸のはしを人差し指の先に1回まく ②∼③略 ①ぬい終わりに針をあて親指でおさえる ②∼④略 ①糸はしの上に針をのせる ②∼③略 ①形を考える・たつ:チャコえんぴつでフェルトに形をか いて,たつ②略 「①玉結びができた」他 計4項目 ①玉結びをして,ボタンをつける位置に布のうらから針を さし,ボタンのあなに通す②∼⑤略 「①糸を固くまいている」他 計4項目. 小物入れの製作の進め方. 24 22. 27. 玉結びのしかた(ぬい始め) 玉どめのしかた(ぬい終わり) 玉結びのつくり方(別の方法) ネームプレートのつくり方. 計2項目. 家庭の仕事の手順. 30 28 31 29 32 30∼31 33 30. ○ ○. 34 32∼33. ○. 方(2). 35 32 36 33 37 33 38. 34∼35. 39 35. ○ ○ ○ ○ ○. ○. 41 36∼37. ○. 42 37 43 37. 45 43. 302. ○. 「下糸を正しく入れた」他 計4項目 ①はずみ車を手前に回し,針棒を上げる ②∼③略 「直線ぬいができた」他 計4項目. ①計画を立て,準備する ②布をたつ・しるしをつける (勤ぬう ④しあげる・ふり返る (∋目的や使い方を考えてつくる物を決める(参およその大 きさや形を決める⑨使う布などの材料を決める④つく る順序を考える(彰計画をまとめる 製作例② クッション ①布をたつ・しるしをつける:できあがりの大きさに,ぬ いしろを加えた紙を用意し,紙にそって同じ大きさの布を 2枚たつ他⑧∼③略 製作例③ カフェエプロン ①布をたつ・しるしをつける:できあがりの大きさに,ぬ いしろを加えた紙を用意し,鰍こそって布をたつ他②∼ ③略 (⊃ 「できたかな」ミシンを使った作品 「計画したとおりにつくることができた」他 計4項目 ○ ふり返ろう(「6わくわくミシン」の章のまとめ部 「安全に気をつけてミシンを使い,作品をつくることがで 分) きましたか」の1項目 ごはんのたき方 ①米をはかって,洗う:米をはかり,3∼4回水をかえて, かき回しながら洗う他②∼⑤略 ○ 「できたかな」ごはんたき 「①米の吸水や加熱のしかたがわかった」他 計3項目 製作の進め方 (製作例(む ランチョンマット) 製作計画の立て方. 40 36∼37. 44 42∼43. 「できたかな」ぬい始める前に 針のつけ方 「できたかな」ミシンぬい.

(14) 小学枚家庭科新教科書の検討 PDCA. No 頁. サイクル図 の 手順図 ェッ. 46 44∼45. 見. ○. 出. 記 述 項 目 ・ 内 容. し. みそしるのつくり方. ①だしの準備をする:なべに水を入れ,頭とはらわたを 取った煮干しを小さくくだいて,入れておく②∼⑦略. 47 45. ○. 48 45. ○ ふり返ろう(「7元気な毎日と食べ物」の章のまと 「栄養のバランスを考えた食事についてわかりましたか」. 49 46 50 47 51 50∼51. ○. 「できたかな」みそしるづくり. 「①だしのとり方,実の切り方,みそのあつかい方がわかっ た」他計3項目. め部分). の1項目. ブックカバーをつくろう. ①まわりをぬう ②略 ①だいず ②だいずを蒸してつぶす ③∼④略 (∋計画を立てる(参品物を選ぶ(勤買う・支払う④ふり 返る. 52 51. 「お金の使い方や,物の使い方をくふうして大切に使うこ とができるようになりましたか」の1項目. のまとめ部分). 53 57. ○ ふり返ろう(「9寒い季節を快適に」の章のまとめ 「衣服のはたらきや,あたたかい着方がわかりましたか」 部分) 他 計2項目. 54 59. ○. 55 59 56 62∼63 57. 66∼67. お茶を入れてみよう. ①人数分のせん茶をきゅうすに入れ,湯をそそいで,しば らくおく②略 ○ ふり返ろう(「10家族とほっとタイム」の章のま 「家族となごやかに過ごす大切さがわかりましたか」の1 とめ部分) 項目 ○ 考えよう 自分が実行していると思うこと 「朝は予定の時刻に起きている」他 計6項目. ○. 朝食に合うおかずづくりの計画 ○. 58 66. (∋計画を立てる(卦準備する(釘調理する④試食・あと かたづけをする. 朝食づくりで大切なこと. 59 68−}69. ○. 三色野菜の子由いため. 60 68∼69. ○. スクランブルエッグ. 「栄養のバランスがとれている」他 計3項目 ①洗う:にんじん,ピーマンは軽くこすって洗う他②∼ ④略 ①洗って割る:たまごを洗い,割って器に入れ,ときほぐ す(彰∼(彰略. ○. 61 69. 「できたかな」いためる調理. 「いためる野菜の洗い方・切り方がわかった」他計6項. 目 62 69 63. ○ ふり返ろう(「1くふうしよう朝の生活」の章のま 「生活時間を有効に使うことの大切さがわかりましたか」 とめ部分) 他 計2項目. 72∼73. ○. そうじの手順と実行. 64 75. (∋よごれを調べる(むそうじのしかたを考える(勤準備す る④そうじをする(むあとかたづけをする(むふり返る. ○ ふり返ろう(「2きれいにしようクリーン大作戦」 「場所やよごれに合ったそうじのしかたがわかりましたか」 の章のまとめ部分う 他 計2項目. 65 80∼81 (⊃. 66 82∼83. 気持ちよく着るための衣服の手入れの手順 (む着がえる(む手入れをする(萱)整理・整とんする④衣 服を選ぶ. ○. 67 83 68 85 69 85. ○. 洗たくのしかたを調べて,洗たくをしよう ①準備する②洗う③しぼる④すすぐ・しぼる⑤干 す⑥かたづける ○ ふり返ろう(「3暑い季節を快適に」の章のまとめ 「暑い季節を快適に過ごすくふうがわかりましたか」の1 部分) 項目 “線のカーテン’’をつくってみよう ①ネットをはって,苗を植え,つるをはわせる ②略. ○. 手ぬぐいを利用して身じたくずきんをつく ろう. 70 87. (⊃. 製作計画表の例 本を持ち運ぶバッグ (む大きさや形を決める(彰∼(む略. 71 88∼89. ○. 製作例① マイバッグ. ①大きさを決める:中に入れる物の大きさに,ゆとりを加 え,できあがりの大きさを決める他②∼⑦略. 72 73 74 75 76. 90∼91 90∼91 92 92 93. ○. 製作例② ななめナップザック. ①大きさを決めて布をたち,しるしをつける ②∼④略. ○. 製作例③ エプロン. ①大きさを決めて布をたち,しるしをつける ②∼③略. ○. 製作例④ まくらカバー. ①(型紙をつくり)布をたつ ②∼⑥略. 77 98 78 98∼99. ○. じゃがいも料理の手順. ①じゃがいもの大きさをそろえて切る ②∼③略. ○. 粉ふきいも. ①ざるに移す:やわらかめにゆでたじゃがいもを,ざるに 移す②∼③略. 79 98∼99. ○. ジャーマンポテト. ①切る:ゆでたじゃがいもと,たまねぎ,ベーコンを切る 他②∼④略. 80 98∼99 81 99. ○. 野菜のベーコンまき焼き. ①材料を切る他 ②∼④略. ○. 「できたかな」生活を楽しくするもの. 「①計画どおりにつくることができた」他 計4項目. ○ ふり返ろう(■4生活を潔しくしようソーイング」 「計画にそって,手ぬいやミシンぬいで身近に使える物を の章のまとめ部分) つくることができましたか」の1項目. ○. 「できたかな」おかずづくり. 「①身じたくや材料,用具,食器の準備ができた」他計 4項目. 82 100 83 104 84 108. ○ ふり返ろう(「5くふうしよう楽しい食事」の亭の 「栄養のバランスのよい1食分の食事を考えることができ まとめ部分) ましたか」他 計3項目 ○. フォトフレーム. ①フェルトフレームに棉をはる ②∼④略. ○ ふり返ろう(「6考えようこれからの生活」の章の 「家族や地域の人びととの,環境を考えた生活のしかたが まとめ部分) わかりましたか」の1項目. (給頁数. 109) 手順図・ チェック欄の数. 39. 35 (手順図とチェック欄掲載は64頁/給頁数109頁:58.7%に何らかの手順図かチェック欄がある). 計84. 303.

(15) 増 渕 哲 子. 旧教科書でも9種類ある。しかし「旧」の場合は,数字を付けて手順を示しているのはそのうち2種類にと どまり,数字付きかつ見開き頁で示しているのは1種類のみである。. 新教科書におけるこのような手順強調は,もう一方のT社教科書においても同様である。さらに言えば, 手順を数字付きで強調する度合いはT社がより強いとも言える。例えばT社には「使わない物の処分の仕方」 の手順を,「1 もう一度見直す 2 ごみとして出す」と書いた頁や,「衣服の手入れ」の手順を,「1 手入れをする 2 しまう」と書いた頁がある。わずか2段階の手順であっても,数字付きでことさらに強 調しているのである。またT社はチェック欄も強化している。それぞれが見開き2頁になる「食育チェック」 と「環境チェック」のほかに,何らかの実習手順を掲載した頁のうち9箇所には,「これだけはできるよう になろう」とのチェック欄を設けている。また各学年の最終時のふり返りチェック欄を,教科書の前半と後 半の終わりの2箇所に掲載している。約7割のチェック項目は,調理と布を用いた製作実習に関わるもので ある。. 以上のように,今回改訂された小学校家庭科の新教科書は,図式化した手順をもとにした実習指導と,そ の習得を自己評価させて徹底していくという性格が色濃く出ているのである。. 3.まとめと課題 前述の①と②では,調理と布を用いた製作に関わる実習教材とその教材の取り扱い方の新旧比較を,③で はPDCA(PDS)サイクルの掲載とその示し方,実習手順図やそれらの仕上げとしてのチェック欄の関係 について確認した。新教科書の強調点がどこにあるのかという点に関しては,家庭科が想定している「確か な学力」の一つが,小学校段階では,調理の技術,縫う技術などを中心とした家庭内実務であり,またその 徹底的な習得であるということは明らかだろう。これら作業の手順を数字で強調し実践を促すのが,新教科 書の際立った特徴になっている。 K社新教科書では,PDCAサイクル図と実習の手順図(チェック欄は除く)は,全109頁の中の57頁に掲 載されている。すなわち1冊の52.3%にあたる頁に,数字で強調された手順が掲載されているのである。こ れにチェック欄を含めると5臥7%になる。ちなみに旧教科書では38.6%である。新教科書は,頁を練るたび に,数字と手順が目に飛び込んでくるというものである。また旧教科書に比較すると,ワイド版になったた め活字や写真も大きくなっている。見開きで示された手順囲も旧教科書の11種類から29種類と倍以上に増え ている。新教科書での手順強調の度合いがよくわかる数字だと思う。 このように書くと,やはり家庭科は調理と裁縫の技術習得の教科なのか,と受けとる向きがあるかもしれ ない。しかし戦前の家事科,裁縫科からの脱皮をはかるべく,戦後の新教科として家庭科が誕生し,紆余曲 折を経ながら,1994年以降は小・中・高等学校で男女共学あるいは共修の家庭科がカリキュラムに位置づけ られ,その学習内容は,多くの人々の努力で,調理と裁縫の技術習得のみとイメージされるものとは大きく 異なったものとなっている。そして今回分析したK社旧小学校教科書の記述でも,技術習得を主とした目標 は掲げていなかったことは前述した通りである。 従って,いま関わなければならないのは,小学校の家庭科教育を家庭科教育全体の中でどのように位置づ けるのか,という問題なのである。 2007年に,国立教育政策研究所が中学校技術・家庭科の学力調査(中学校第3学年生徒対象)を,全国規. 模でおこなっている3)。内容はペーパーテストと初めての試みとしての実技調査だが,家庭科の実技は大根 の皮むきといちょう切り,玉結び・玉どめとまつり縫いである。調査項目は多岐にわたるのだが,当時の新. 聞報道はほぼ実技に限定され,その習得状況が主であった4)。また2011年2月に,群馬県教育委員会が家庭. 304.

(16) 小学枚家庭科新教科書の検討. 科の実技を含む「ぐんまの子どもの基礎・基本習得状況調査」を実施し,これも新聞報道されがJ。記事に は,「/ト学校の家庭科の実技は『ボタン付け』」と善かれている。ニュアンスは異なるものの,いずれも家庭. 科の主な「学力」として調理・裁縫の技術が前提とされている。またそもそも調査項目に設定する時点で, 家庭科の学力の一つと教育関係者から見なされたわけである。学力テスト項目ともなれば,なおのこと習得 が目指されるはずである。 そして,新教科書でも,同様の実技習得の徹底がはかられている。新旧を比較すると,確かな学力,基礎・ 基本の徹底という改訂の方向を受けて,小学校家庭科教育の方向転換がおこなわれたと言えるかもしれない。. 新教科書では特定の何かができるようになる,ということにことさら重点がおかれる。固ゆでたまごが作れ るようになる,ボタン付けができるようになる,小学校においてはこれらを確実に習得させる,といったこ とである。教材の自由度を高めるよりも,限定することで習得の徹底をはかる,という様子がうかがえる。 そのために視覚的にも手順を強調した教科書が作られる。徹底したやり方主義を取る。実践のための作業の. 標準化と繰り返し,自己評価はそれを強化する。 言い方を変えれば,小学校家庭科の基礎・基本とは技術の反復学習によって得られるものである,したがっ. て小学校では徹底的な繰り返しによる訓練こそが大切であり,論理的に物事を考え,思考を深める学習は中 学や高等学校でやればよい,ということになる。こうした考え方は,恐らく家庭科に限ったものではない。 小学校の算数の計算や国語の漢字の書き取りなどでも,ひたすら反復練習をさせる例は多くある。しかしそ. れへの批判から,基礎だからこそ豊かに学ぶ6)という実践も生まれている。 新教科書通りに実践しようとすれば,現行時数の枠の中では,家庭科は実習授業のみに追われることにな るだろう。教える中身や教え方が均質化し,目に見える成果を求めることになるかもしれない。奥深い実践 ができるのだろうか。. バーチャルな世界に身を置く多くの子どもたちが,実感的に物事を理解していくことの重要性は論を待た ず,実習授業のもつ意義は大きい。しかしそうした意味での実習授業は,反復学習ではないはずである。. 家庭科関係者たちは,小学校家庭科の学習のあり方を,また基礎・基本だからこそどうあるべきなのかと いうきわめて重要な課題を,正面から議論して成果を共有する姿勢に欠けていたのではないだろうか。家庭 科の教科書とはどうあるべきかという問いも含めて,いまそれが切実に求められていると思う。. 引用文献 1)北海道教育委員会ホームページ「平成23年度から使用する小学校教科書の採択結果について 平成23年∼26年度使用小学. 校用教科書採択一覧」 2)拙著「家庭科の学習方法としての『かたち』−『実践的能力』の形成をめぐる考察−」(『子どもとかたち いま問われて いる教科教育における「型」と「形」』北海道教育大学教科数青学研究図書編集委員会,東京書籍,1996.3,64−74頁) 3)国立教育政策研究所教育課程研究センター「特定の課題に関する調査(技術・家庭)調査結果(中学校)」2009.3. 4)朝日新聞2009年3月26日付朝刊「包丁使用『おおむね良好』中3の9剖 国立教育政策研,技術・家庭の実技・知識を調 査」 5)朝日新聞2011年2月8日付朝刊「ボタン付けだって学力テスト 群馬,実技も実施」 6)阿部俊樹・村越含博・霜村三二・久富善之・山崎隆夫「〈座談会〉 いま、小学生に育てたい“学力”一子どもたちの現状 や地域の課題から−」(『教育 恥.778』国土社,2010.11,4−30頁). (札幌校准教授). 305.

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