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兵庫県立明石南高等学校 学校改善プラン いかにして学校の内発的改善をすすめるか : 協働の授業研究からはじまる人づくりとカリキュラムづくり

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(1)

兵庫県 立明石南高等学校

学校 改善プ ラン

いかに して学校の内発的改善をすす めるか

一協働 の授業研究か らは じまる人づ くりとカ リキュラムづ くリー

教育実 践高度化 専攻 学校 経 営 コー ス

P120021

井 守 貢

(2)

目次 序章 本 プランが 目指す もの

(1)私

の課題意識

(2)明

石南高校の課題

(3)明

石南高校の強み となる資源

(4)本

プランで援用す る理論の整理 第1章 学校組織開発論の検討

(1)高

等学校 に協働 の授業研究の場をつ くる意義

(2)学

校組織開発論 のファシ リテー トチームの課題

(3)フ

ァシ リテー ト人材 も育成す る「校 内自主研修会」の機能

(4)特

色あるカ リキュラムをつ くる 「明南総合学科フォーラム」の機能 第

2章

本プランのプロ トタイプ実践の検討

(1)平

成21年度か らの学力 向上推進プロジェク トの取 り組み

(2)平

成25年度の学力向上推進プロジェク トの深化

(3)校

内 自主研修会の検証

(4)様

々なツールを活用 した知識共有の取 り組み

(5)今

年度の取 り組みの成果.

(6)今

年度の取 り組みの課題 第

3章

「明南総合学科フオーラム」開催へ向けての工程表

(1)LEVELl

今年度の実践 を制度化す る

(2)LEVEL2

生徒や卒業生を交 えた授業研究フォーラムの開催

(3)LEVEL3

明南総合学科 フォーラムの開催 終章 知識創造の場づ くりが もた らす可能性

(1)フ

ァシ リテー トチームの育成モデルの提案

(2)今

後の課題 と可能性 引用参考文献 巻末資料

i

(3)

兵庫県立明石南高等学校 学校改善プラン いかに して学校の内発的改善をすすめるか 一協働 の授業研究か らは じまる人づ くりとカ リキュラムづ くり

=

教育実践高度化専攻 学 校 経 営 コース

P120021

貢 序章 本 プランが 目指す もの

(1)私

の課題意識 い じめや体罰 をは じめとす る教育現場の問題が、連 日報道 を賑わせている。また、これ らの問題 と関連 して教育委員会制度の見直 しや教員の資質 向上の議論 もすすんでいる。 さ らに教育再生実行会議は、大学教育を受けるために必要な能力判定のための新たな達成度 テス トの導入1を提言 している。これ と運動 して

(中

央教育審議会高大接続特別部会や高等 学校教育部会の合同会議 も平成25(2013)年 12月 12日 に行われた2。 また、2000年 代以降の規制改革 を求める政策基調は、教育界にも影響 を与え続 けている。 特色あるカ リキュラムづ くりをすす め、魅力ある学校づ くりを行 うことで、生徒 ,保護者・ 地域の信頼を得 るのは当然のこととして捉 えられ るようになってきた。特 に高等学校では、 総合選抜制度の廃止や、学 区制度 の見直 しといつた規制改革がすすめられ、入学生徒を確 保す るために 自校 をア ピールす る必要に迫 られている。 さらに大量退職・大量採用時代 を迎え、兵庫県の平成26年度教員採用試験でも、すべて の校種 を合わせて 1280名 が合格 している3。 30歳 代後半か ら

40歳

代の教員が他 の年代 に 比べて少ない中、ベテラン教員の持つ知を継承 しつつ、新たな知 も創造できる若い教員の 育成は、校種や地域 を越 えたわが国共通の課題である

:私

たちには、生涯学習社会で学び 続 ける生徒 を育成す る大きな使命がある。平成25年度か ら始まった新 しい高等学校学習指 導要領の総則には、「知識基盤社会」時代の到来に対応す る確かな学力、豊かな心、健やか 1教育再生実行会議は、平成25年 10月 31日 「高等学校教育 と大学教育 との接続 。大学入学者選抜の在 り 方にういて」(第四次提言)において 「(1)大学教育 を受けるために必要 な能力判定のための新たな試験 (達成 度テス ト(発展 レベル)(仮称))の導入」「② 多面的・総合的に評価・判定す る大学入学者選抜への転換」 「(0高 等学校教育と大学教育の連携強化」を唱えている。

′ 2中央教育審議会高大接続特別部会 は、高等学校か ら大学までを通 じて育成すべき力 として、「知識にとど ま らない汎用的能力の育成が必要」であるとい う見解 と、「大学教育における社会で求められる能力の育成 の前提 として、大学入学者選抜においては汎用的能力を測定することが必要」だ との認識を示 している。 3兵庫県教育委員会が発表 した 「平成26年度兵庫県公立学校教員採用候補者選考試験 の結果 について」 を 参照 している。最 も教員採用が厳 しかつた今か ら18年前の平成 8(1990年 度 ではすべての校種 をあわせた採 用が 210名 であつた。 この世代が現在 の30歳代後半か ら40歳代に相 当す る。

(4)

な体の調和を重視す る「生きる力」をはぐくむことの重要性が述べ られている。自ら学び、 考え、判断し、行動す る生徒 を育成するには、私たち教員 自身が主体的に教育活動に取 り 組む術を身につける必要があることを自覚せねばな らない。中央教育審議会の議論におい ても、新たな学びを支える教員の養成 と、学び続 ける教員像の確立4が求められている。 この高等学校の特色化 と、教員の人材育成を両立 させ る組織的な取 り組みを具現化 した いとい うのが私の研究動機 である。そ して、.外発的な動機づけによらず、学校が内発的に 動機づけられて、教員が主体的に活動できる取 り組みを提案 したい。

30歳

代後半から 40 歳代の中堅教員の人数が少ない現状において、特色あるカ リキュラムを自ら編み出して、 学校の自律的な運営を担 える人材づ くりの しくみ を研究す ることには大 きな意義がある と 考えている。 平成

20(2008)年

4月 に始まった専門職大学院である教職大学院では、F理論 と実践の 融合」がスローガンに掲げられ、理論的認識や反省的実践を深める中で、現場 とかい離 し ない教員の育成が志 されてきた。 しかし、このような学び方は、未だ試行錯誤を重ねてい る段階である。私は、現職教員 として教職大学院に在学する

2年

間の学びの中で、現任校 との信頼関係を構築 し、理論に裏づけられたプランを現場に提案 し、実践を図る研究スタ イルを模索してきた。 このように大学 と学校現場が連携 したアクションリサーチのスタイ ルで研究を行い、学校現場に学びの成果を還元することも本研究の大きな 目的としている。

(2)

明石南高校の課題 兵庫県立明石南高等学校 (以下明石南高校 と表記する

)は

、大正10(1921)年に兵庫県立 明石高等女学校 として創設 された。『一番星みつけた』の作詞者でもあつた初代校長生沼勝 は、―生徒の自発的な興味・関心を引き起こすことを教育目標 とした。地元では 「明南」の 愛称で親 しまれる伝統校である。 明石市内は、昭和 50(1975)年 か ら総合選抜制度で高校入学試験が実施 されてきた。明石 南高校は、学区の公立高校の中で、専門学科やコースを有 していない唯一の高校であり、 単独選抜の入学試験は行つてこなかつた。その中で、昭和 47(1972)年 開校の明石北高校や、 昭和59(1984)年開校の明石城西高校が、理数コースや英語 コースを核 とした学校づくりを 行い、明石南高校は次第にその地位 を低下させていつた。 この状況を一変 させたのが、平成12(2000)年か ら始まった「県立高等学校教育改革」5の 推進である。新たなタイプの高等学校の新設や、総合選抜制度の廃止などが次々と打ち出 4中央教育審議会 は、平成 24年 8月 28日の第82回総会 において 「教職生活 の全体 を通 じた教員 の資質能 力 の総合的な向上方策 について (答申)」 を取 りま とめてい る。

http:〃www.mext.go.iprb menu/shingi/chukvo/chukvoOん oushin/1325092.htm

5兵庫 県教育委員会 は、平成 12年 2月 に、県立高等学校 の教育改革 を推進す る平成20年度 までの概ね

10年間の 「県立高等学校教育改革第一次実施計画」を策 定 した。

(5)

される中で、明石学区においても、平成20(2008)年度か ら総合選抜による入試制度が廃止 された。この兵庫県教育委員会が推進 した教育改革の流れの中で、平成19(2007)年に、明 石南高校は全 日制普通科か ら全 日制総合学科に改編する決断を行 った。 このように伝統校 であ りなが ら新 しい学校づ くりに取 り組んできた “古 くて新 しい高等学校

"が

、明石南高 校である。 明石南高校は、総合学科改編によつて、キャリア教育を柱 とす る多 くの教育活動に取 り 組むようになつた。“私の未来(キャリア)は明南(こ こ)からはじまる"をキャッチコピーに、 高校3年間を見通 したカ リキュラムを用意 し、生徒一人ひ とりが 自分の未来をデザインし、 個に応 じた進路指導を行 うことを目指 してきた。 その反面、改編当初は、大規模な人事異動やシステム転換による混乱も生 じた。明石南 高校は、校長、教頭か ら臨時的任用講師までを含めて 71名 、事務職員や非常勤職員を含め ると92名 の大所帯で、合計 117も の科 目を開講 している。大きな組織 と複雑なカ リキ子ラ ムを有 して 日々の教育活動を行つている」このような総合学科高校では、横断的な組織運

営や、総合的な学びの構築が必須であるよしかし、改編後も旧来型のセクショナリズムが

打破されたわけではなく、カリキュラム全体を俯敵する能力も教員に十分に備わつていな

かった。また、多様な進路志向を持つ生徒の学びの保障が、十分に行われているとも言い 難い状況があつた。平成 25(2013)年 4月 1日現在、主幹教諭 と教諭(再任用を含む)の 52 名の教員の うち、平成 19年 総合学科改編以前の普通科時代 に在籍 していた教員 は 9名 (う ち再任用 4名 、育児休暇中 1名)であ り、全体の

17%に

す ぎない。「進学型総合学科」を標 榜 した改編後は、教職員 の大幅な入れ替 えにより人心は刷新 された。一方で、主幹教諭 と 教諭 をあわせた教員の年齢構成 は、30歳 代が 17人 で最 も多 く、全体の30%以上を占めてい る。

20歳

代の臨時的任用講師や非常勤講師を含 めると実際の若手教員の数はさらに増え、 職員室には活気がある。 このよ うに、同 じ時期に赴任 した比較的キャリアの浅い教員は、 個々には積極的かつ献身的に 日夜生徒のための努力を続けてい る。ただ彼 らには、文部科 学省や兵庫県教育委員会をは じめ とする総合学科高校への期待や要求を的確に把握 して、 自校のや り方に適応 させてい くとい うよ うな視点は乏 しい。また、 リーダ‐シ ップを発揮 して集団をま とめた り、フォロワーシップを発揮 して集団を支 えた りす ることのできる教 員 も少な く、お互いに様子 を伺い、深い関係性 を築けてい るとはいえない状態があつた。 つま り、一人ひ とりの教員は熱心に授業に取 り組 もうと考 えていた り、実際に長時間にわ たつて仕事をした りしている。ただ、専門性の殻に閉じこもり、個業化 している場合も多 く、組織的に指導す る風土が醸成 されず、特色あるカ リキュラムを開発 し、実践すること は難 しかつた と言える。 しか し、成熟度が低 く、集団が組織化 されていない総合学科改編 当初の激変期はすでに 過 ぎた。 これか らは、葛藤や混乱をきたす変革段階の模索期か ら、取 り組みを一般化す る

(6)

制度化段階へ と学校づ くりをすすめなければならない6。 っま り、総合学科への改編 とい う 外発的なインパク トを用いて組織改革をすすめた段階から、協働の組織づ くりをすすめる ことで、人材の育成を図 りつつ、内発的な学校改善意欲を高める段階へ と組織を成長させ る必要があるとい うことである。

(3)

明石南高校の強みとなる資源 前節で指摘 した明石南高校の課題を解決 し、組織的かつ主体的に特色あるカリキ三ラム づ くりをすすめられる人材育成を行 うには、お互いに知識や情報を共有 し、高めあう組織 風土を根づかせることが重要である。そのあるべき姿を構築するために真っ先に活用すべ き資源は、学科改編の変革期を共有 した若い教員集団である。すでに総合学科改編から 7 年の月 日がすぎた。高等学校の1サイクルを3年とすると、すでに 3ま わ り目に入 り、集 団の成熟度は、改編当初に比べて高まつている。このタイ ミングで、若い教員を大きく伸 ばす人材育成のしくみを構築で,きれば、持続的に大きな成果を生み出せると私は考えてい る。

.

もう一つの大きな人的資源は、これから増え続ける総合学科で学んだ卒業生である。平 成

26(2014)年

3月 には5期生を卒業 させることになる。明石南高校を平成

22(2010)年

に卒業 した総合学科 1期 生は、今年で23歳を迎える。社会ですでに活躍 していた り、大学 などでの学びを続けた りしている彼 らに、自らの高校時代を振 り返つてもらい、明石南高 校のカ リキュラム評価を受けることが可能になつた

6現

在の彼 らに高校時代の学びを振 り 返ってもらうと、「指示待ち人間ではなく自分から積極的に学ぶ姿勢」の重要性を説 く者が 多く、「どのような人間になりたいかを考える機会を多く設けて、目的意識をもつて日々を 過ごせるようにしてもらいたい」とか、「自分のことは自分が納得できるように、自分で考 えるということが大事だと思 う」など、私たち教員や在校生にとつて意義深い明石南高校 のカリキュラム評価を得ることができる。このような卒業生の評価は、教員の視野を広げ、 カリキュラム全体を俯腋する能力の開発につながり、特色あるカ リキュラムづくりをすす める基盤になると私は考えている。 このような明石南高校が持つ人的資源 を生か し、特色あるカ リキュラムづ くりをすす め

るために必要なモノやカネといつた資源には

1兵

庫県が推進する学力向上推進プロジェク

ト事業7の取 り組みがある。明石南高校は総合学科改編以降、このプロジェクトの指定を受 けて、継続的な取 り組みを重ねてきた。授業研究会を行らた り、公開授業週間を設定した 6大野(201"は 、時間軸で組織改善を提 える考え方は、ある段階で どのような方法を採用すべきかの指針 を 与えると指摘 している。 7各校の特色に応 じた 日標 を設定 し、優れた学力向上プランの実践 を支援す るプロジェク トで、県下の高等 学校30校が指定を受けている。明石南高校では、平成21年度か ら学力向上プロジェク ト(平成24年度か ら 平成26年度までは学力向上推進プ ロジェク ト)の指定を受 けて、授業改善の取 り組み を継続 している。

(7)

りしての授業互見、全教員による生徒授業アンケー トの実施 も毎年続 けてきた。その結果、 授業改善を図ることに抵抗のない組織風土が根づきつつある。 この取 り組みには、事業の 予算の裏づけもあ り、大学教授など外部の専門家を招聘す ることも可能である。 そこで私は、明石南高校の強みである学力向上推進プロジェク ト事業 を活用 した授業研 究の場に、 ヒ ト・モ ノ0カネの資源 を集 中させることで、人材の育成を図 りつつ、内発的 な学校改善意欲 を高めることができると考えた。また、この授業研究の場は、外発的な学 校改革要求を内発的な学校改善推進力に変換 し、特色あるカ リキュラムづ くりに結びうけ る議論の場に成長 させ ることができる。 この議論の場を、内発的な学校改善推進 と教員の 職能成長 を促す機能 を併せ持つ 「明南総合学科フォーラム」 と名づ け、将来的には学校経 営のシンクタンクとしても機能 させたい と考えた。種々の外発的な学校改革要求は、今後 もますます強まることが予測 され る。 これか らの国や兵庫県の教育施策に注 目しつつヾ新 たな発想の授業づ くりやカ リキュラムづ くりを担 える人材 を育成す るとい う課題 を解決す るプランを提案 したい と私は考えている。 そ して、,この提案は、今年度 に明石南高校が取 り組んだ学力向上推進プロジェク ト事業 の取 り組みの一部 をプ ロ トタイプ8と して組み込んで実施す ることを構想 した。これは、計 画の記述に留まらず、私 自身がこ

?取

り組みにアクテイブに関わ り、研修会やフォーラム を現場で実践 し、生成 された成果 と課題を検証 しながら、全体のプランをより精緻に積み 上げようとい うものだ。そこで、実際に明石南高校で平成25年度に行つた取 り組みを踏ま えた実践可能なプランを本研究では検討 していきたい。

1 ,

(4)本

プランで援用する理論の整理 兵庫県においては「第

2次

県立高等学校教育改革」が平成25年度で終了 し、ハー ド面の 整備からキャリア教育や学力向上 といつたソフ ト面の整備 に関心が移行 している。しか し、 高等学校においては、明石南高校のように授業研究や全校生徒による授業評価アンケー ト を主体的に行つてきた学校は珍 しい。授業研究を効果的にすすめるための学校経営の手だ てを明確に持たない高等学校が多 く、何から着手すればよいかが分からなかつた り、そも そも授業研究を軽視 した りする傾向す らある9。

総合学科高校として多様な学びを展開する明石南高校には、個々の学びを有機的にカリ

キュラムに紡ぎあげることが求められている。そのためには、どのような生徒を育成する

8上 (200の は、「ア ウ トプ ッ トは必ず しも完成形である必要はない」「プロ トタイプ とは、最終形に到達 す る前につ くる試作のことである」「いまの段階のものを外化 して、メタ認知 してみ ることが大事なのだ」 と述べている。今年度の本校での取 り組みは、あくまでプロ トタイプであ り、決 して完成形ではないが、そ の実践か ら具体的な成果 と課題 を得 ることができた。 9木原は、「高等学校では授業研究 もそれ然外の活動もほとんど組織 されていなかつた。まずそれ らをスター トさせ るための学校長等の意思決定やアクシ ョンが期待 され る」(2012め、「今後、授業研究論 と学校経営論 の接点をさらに開拓する努力がそれぞれの分野の研究者 。実践家に期待 され る」(2012b)と 述べている。

(8)

のかとい う教育 目標 に向かつて、生徒の学力向上を図る手だてを考 える必要がある。 これ は、明石南高校が取 り組んでいる学力向上プロジェク トの明確 な ミッシ ヨンでもある。 こ のミッションを達成 し続けるためには、教科 ごとのセクシ ョン、あるいは単元 ごとのセ ク シ ョンで教育内容 を考 えるのではなく、学校全体の トータルなカ リキュラムを教育 目標 の 達成に向けて機能 させ るカ リキ三ラムマネジメン トの発想 を持つ必要があるЮ。特に、経 験年数の少ない教員が多 く、複雑な選択科 目群か らなる教育課程 をもつ明石南高校には、 教育 目標を明確 にしたカ リキュラムマネ ジメン トの視点を持つ ことが要求 され る。 このような学校経営を行 うためには、教員集団が主体的に生徒の現状 を分析 し、そこか ら抽出された課題 を共有 した上で、 日標 を設定す る必要がある。その手続 きを踏 まずに、 上か らの統制で外発的に動機づけて しま うと、教員の「や らされ感″が蔓延 し、内発的な 学校改善推進力は生まれない。 そこで、授業研究論 と学校経営論 をつなぎ、かつ内発的な学校改善推進力も生み出す し くみとして、私は知識創造理論・ と学校組織開発論2に着 目した。 知識創造理論は、イノベーシ ヨンを生み 日々発展する組織には、形式知 と暗黙知がダイ ナミックなスパイラル運動を繰 り返 し、組織の中で知を増幅、創造 していく知識創造の機 能があるとい う理論で ある。 日々の教員の経験を共有し、教員の持つ膨大な暗黙知を表出 できれば、大きな学校改善推進力を生み出すはずである。 また、内発的な学校改善をすすめる実践研究として佐古の学校組織開発論がある。内発 的な学校改善を生み出すには、教員 どうしが生徒の実態を共有 し、課題 を整理 しながら、 自律的に教育課題を生み出していく作業が重要になる。外発的に与えられた課題ではなくt 協働的に課題を生成 していくプロセスヘの参加が、教員の意欲を高めるのである。私は、 このいわゆる学校組織開発の手法を用いて校内の意思形成 をはかつてい くことを構想 した。 佐古の言 う学校組織開発論では、情報の交換 と共有を行 う場 (機会

)を

“学校のコアシ不 テム

"と

位置づけ、協働プロセスの支援機能である “プロセス・ ファシ リテー ト機能

"を

学校に組み込んでい くことを求めているB。 この手法を用いて、久我はアクシヨンリサーチによる研究を教職大学院の現職院生と意 10中留 。田村 (200のは、わが校では どのよ うな生徒の資質・能力 を育ててい くのか、共通理解 を前提に し た教育の理念 (価値)が教育 目標 である とし、カ リキュラムマネジメン トをあえて定義づけるな らば「各学 校が教育 目標の達成のために、児童・生徒の発達に即 した教育内容 を諸条件 とのかかわ りにおいてとらえ直 し、これを組織化 し、動態化す ることによつて一定の教育効果を生み出す経営活動である。」 としている。 11野中・紺野(199のは、経験 を共有 し、主観的な暗黙知を客観的に可視化できる形式知 に表出化 し、形式知 を組み合わせ、再び新たな暗黙知 として内面化す るSECIモデル を提唱 してい る。 12佐(2006)は、学校組織開発 のね らいを協働的なプロセスによりなが ら、学校 としての基本的な教育課題 の生成 (学校 としての一定の意思形成)を実現 し、そのことによつて学校の内発的な改善力を高めてい くこ とをね らい とす ると述べている。 13佐(2011)は、協働化のための学校組織の体制や運営について、コアシステム とファシ リテー トチームの 2つの条件を充足す ることが有効だ と述べている。

(9)

欲的に行らてぃる“。久我は、教師の専門性の中心概念である省察概念を学校の組織過程 に援用することで、教師の主体的な組織化による教育改善を実現する組織開発プログラム を「教師の主体的統合モデル」馬として開発 し、実践研究を重ねている。この基本プログ ラムを現職院生のファシリテー トで実践展開し、その適用可能性 と教育改善の効果性を明 らかにしようとするものである。その結果、このモデルの学校現場への適用可能性の示唆 が得 られたことに加え、「優れた教師の省察の視点を学び合 うことによつて、若手の人材育 成につながる可能性 も高まる」と指摘 し、省察の深化効果や人材育成効果を確かめている。 また、「取 り組むべき教育課題 (教育活動の軸

)が

明確になることによつて、すべての教育 活動をその軸 と結びつけて展開するカ リキュラムマネジメン トの考え方が浸透す る効果」 があると指摘 して、カ リキュラムマネジメン トヘの高ま りを期待 している16。 そこで本研究では、兵庫県学力向上推進プロジェク トの一環 として、佐古の言 う情報の 交換 と共有を行 う場 (機会

)で

ある “学校のコアシステム"を研究授業づ くりのための「校 内自主研修会」として設定 した。そ して “プロセスファシリテー トチーム"と して、明石 南高校の校内分掌に位置づけられている「学力向上推進委員会」を機能 させ、その支援を 現職院生である私 自身が行った。そ して、学校外の参観者 も招いて研究授業と授業研究会 を開くとともに、

1年

間の本校の取 り組みを協議する授業研究フォー:ラムを実施 した。そ れにより、内発的学校改善推進力を高めるとともに、校内で人材 を育成 し、カ リキュラム マネジメン トの視点をそなえた学校経営を目指そ うとい う実践研究を試みた。

1

本稿では、第 1章 で、個業性の強い高等学校現場において協働の組織風土づ くりを行 う ために、佐古の提唱する学校組織開発論の導入を検討する。そ して、学校組織開発の課題 がプロセスファシリテー トチームにあることを指摘 した上で、校内自主研修会の設置によ リファシリテー ト人材 も同時に育成するプランを提案する。 第2章では、平成24年度までに明石南高校が取 り組んできた学力向上プロジェク ト事業 を検証 し、平成

25年

度に新たに取 り組んだ校内研修会や授業研究会、授業研究フオーラ ムといった本プランのプロ トタイプとして実践 した知識創造の場づ くりの試みを検討 し、 その成果 と課題を明らかにする。 第3章では、平成25年度の本校の実践から生成 された成果 と課題をふまえて、「明南総 合学科フォーラム」を開催す るためのステップを示す。そ して、知識創造の場づ くりが、 教員の職能成長 とも連動 したカ リキュラムづくりの場 となることを示す とともに、この場 の議論が、総合学科高校 としての課題意識の醸成や、ビジ ヨン0日 標の共有へとつながり、 14久我(2010)は 、「学校の実態を踏まえて、組織構造論、組織行動論に基づいた組織開発の枠組みを構築 し、 学校改善を促す こと等、対象に効果 をもた らす ことを目的 とした実践研究」 を積み重ねている。 15久(2011)p144 16久我(2010)は 、「今後 さらに、大学 と学校現場 との協働 によるアクシ ョン リサーチ (実践研究)を通 した 組織開発研究の蓄積」がな され ることも求めてい ると

(10)

学校の継続的な発展を促す しかけになることを示す。 最後に、佐古の学校組織開発論の課題を解消するプロセスファシリテー トチームのあ り 方を提案するとともに、明石南高校の実践の汎用性についても検討する。 さらに、教育環 境の変化が激 しく、多様な生徒 と向きあわればならない現場の教員を育成するとともに、 シビアな経営判断を迫 られる学校長のシンクタンクとして、私の提案する知識創造の場が 機能する可能性を論 じる。

(11)

第1章 学校組織開発論の検討 本章では、佐古の学校組織開発論 を高等学校現場に円滑に導入す る手法について検討す る。佐古は、学校組織開発 をすすめる上で、プロセスファシ リテー トチームの存在 を重視 しているにも関わ らず、│その専門性や負担を考慮にいれていない。この課題 を解消する「校 内自主研修会」の機能について分析 し、ファシリテー ト人材 を育成 しつつ、特色 あるカ リ キュラムづ くりを目指すプランを提案す る。

(1)高

等学校に協働の授業研究の場 をつ くる意義 ′ 学校では多様 な生徒 をめ ぐって、さまざまな出来事がお こ り、その一つ一つに対 して法 的根拠に基づいて適切に指導 を積み重ねる営みが、 日々行われてい る。 しかし、具体的な ヶ―スの一つ一つに対す る細かなマニュアル を用意す るのは難 しい。 さらに、教室の中で 起きる出来事への対応 について、上司の判断を逐一仰ぎ、決裁 を受 けるとい う手続きをと りづ らい。 これ を堀内rは、教職の 自律性 を核 として教育実践か ら上昇的に学校 を構成 し てい くベク トルである専門性原理 と、その逆に教育の公的組織化 を図つてい く下降的ベ ク トルである官僚制原理があると分析 している。そ して、学校は組織 として規範性 を必要 と するが、その最 も中心 となる部分では、教師の主体性や 自主性が組織活動の必須 なもの と して位置づけ られてお り、 この規範性 と主体性・ 自主性の両立を学校は実現すねばならな いと論 じている。 さらに、教員の役割 として教育実践を個業 として担 うとともに、協働化 を実現 してい く主体 として、教師は学校組織に位置づ くものであると明快に述べている。 この個業 と協働の両立が、学校 を動かす内部の しくみなのだ。そ して、この個業 と協働 の レベルを高めることが教員の職能成長につなが り、学校長 にはそれ らを計画性 と主体性 と 実践性の中で具現化す る経営が求められているし

、 佐古博は、このような特質を提 えて、学校を個業性の組織 と呼んでいる。この学校組織 の個業性の特質は、全ての校種に当てはまるが、教科 ごとに教員が採用 される高等学校 に おいては、特に顕著である。高等学校では教科の枠組みだけに とどま らず、科 目や領域の 専門性 も重視 され るため、他人の専門領域に口出 しすることがはばか られ る風土があ りt 教科間の連携 はもとよ り、教科内の連携です らおばつかない学校が多い。そのため、学校 をあげての組織的な研究授業や授業研究会はもちろんのこと、授業互見す る機会 も同一教 科内であって もほとん どなかつた。つま り、高等学校教員の職務の中核 をなす教科指導の 専門性 を高める研修 は個々人 に任せ られているのが現状で、教科指導力の伸長に個人差が 生 じる大きな要因 となつている。 授業づ くりが個々の教員 に委ね られてきた高等学校では、授業研究を行 うどい う発想 が 17堀(1985)pp145‐pp150 18佐(2011)は、「組織 の形態 を と 職 の遂行 に専 ら依存 した組織 状況」 りなが ら、その主要 な課業 の遂行 に当た つては個 々の教員 の個別的 な教 が あ る と考 えてい る。

(12)

そもそもなかった。また、個業性が強 く、教育学部 出身者 の少ない高等学校では、教える 内容の専門性 を高める教材研究は行 つても、 どのよ うに教 えるか とい う “子 どものための 教材研究

"と

い う発想 に乏 しかつたり。 しか し、多様な背景を持 つた家庭の増加や、近年 急速に研究や実践のすすんでいる特別支援の必要な生徒への対応 な どを考 えると、従来通 りの高等学校のチ ョー クと トークの授業スタイルだけでは早晩指導に行 き詰まることが予 測 され る。また、財政逼迫による教育予算削減によ り、これまで教科指導の専門性向上に 寄与 してきた各種研修会や研究会べの参加 、先進校視察等の出張は大きく制限されるよ う になっている。 このことか らも、高度化 し、複雑化する教育に対応できる教員 を育成す る しくみを校内に構築す ることには大きな意義がある。 吉崎は20、 授業研究の 目的 として①授業改善のため、②カ リキュラム開発のため、③教 師の授業力量形成のため、④授業についての学問的研究の進展のための

4つ

をあげている。 さらに、授業研究の課題 として、教師の実践知を形式化す る方法論 を確立 させ ることと、 高校の授業を対象 とす る授業研究 を活発化 させ ることをあげているa。 教育活動の根幹をなす授業づ くりを、校内の資源 を見渡 して、学校経営計画にプランニ ングするとともに、各教員が潜在的に有 している育ビカを発揮す る場や機会 を増や し、積極 的に学校独 自の特色あるカ リキュラムづ くりに参画 させ る しくみ を構築す ることで、内発 的な学校改善をすすめることができる。そこで本プランでは、高等学校では難 しいとされ る世代や校内分掌や教科の枠 を越 えて 自由に討議できる授業研究の場の設定を提案する。 この授業研究の場を 「校内 自主研修会」 として学校のコアシステムに位置づけ、計画的に 運用 し、研究授業案 を協働 で作成す ることにした。 個業化のすすんでいる高等学校の風土に、このような協働 の授業研究の しくみを導入す ることは、組織的に教科指導力を向上 させ ることにつながる。また、 自分の専門性の中だ けで生きてきた高等学校教員の視野を広げることにもつながる。 これは、カ リキュラム全 体を俯嗽する能力の開発につなが り、特色あるカ リキュラムづ くりにつながつていく。 こ れまで明確には意識 されてこなかつた教育 目標や、 どのよ うな生徒 を育てたいのかとい う 教員集団の共通理解な しに、形だけのカ リキュラムをう くろ うとしても実際には機能 しな い。カ リキュラム開発は、教育 目標 とセ ッ トになつた授業づ くりに基盤 がある。その目標 づ くりと授業づ くりを教員の協働で行い、教育 目標 を共有化す る。その取 り組みによつて、 各教員の職能成長が促 され るとともに、学校全体のカ リキュラムが意識 されることにつな がる。そ して、このような教員集団の協働化は、学校の内発的改善の推進力にうながる と 考えている。

・ 19吉(2013)は、教科 の学 習 内容 と学習 方 法 の妥 当性 を問 う技術 的 実 践 と ともに、 教 室 の出来 事 に対す る 洞 察 と省 察 と反省 とい う反省 的 実 践 の両 面 を授 業 研 究 に位 置 づ け る必 要 が あ る と述 べ て い る: 20 吉崎(2012)pl 21 1ョ(2012)pp9‐pp10

(13)

(2)学

校組織開発論の フアシ リテー トチームの課題 前述の通 り専門性、個業性 の強い高等学校では、個人の中に蓄積 された説明 しようのな い暗黙知を表出しよ うとい う動機 に乏 しく、まして形式知 に転換 して、集団で共有 しよ う とす る雰囲気は皆無である。 このため組織的な知識共有は されに くく、協働 して仕事をす すめるとい う推進力は生まれにくかった。そのため、下降的ベ ク トルである官僚制原理 と しての働 きを強めることで、教育の公的組織化を図ろうとい う教育行政の動きが強まるし、 管理の しくみだけを用いて教員集団を動かそ うとす る管理者が現れて しま う。 このような 外発的な動機づけによつて学校改善が志向されることが、実態 とそ ぐわない一律的な改革 とな り、かえつて学校現場の改革への動 きを鈍 らせた り、一時的な改革に留まった りす る 要因 となつている。 このような学校の風土に、教員の協働の しくみを構築す ることが、本プランの大きな 目 的である。そこで、教員の 自律性 と協働化の2つの要件 を軸 とす る学校組織開発論に着 目 した。佐古の提唱す る学校組織開発論22の協働 とは、「情報(知識、経験等)の交流、共有(す なわち組織的コミュニケーシ ョン)と、実態→課題→実践の一連のプロセスを進展 させてい く過程」23を指 している。 この しくみは、野中の提唱する SECIモ デルのサイクィレとも似通 っていて、暗黙知を形式知に転換す る知識創造の機能 も同時に発揮す ることが期待できる。 この協働化 を目指す組織体制や運営は、情報の交換 と共有 を行 う場 を、学校のコアシステ ムと位置づけ、協働プロセスの支援機能を学校に組み込んでいこ うとす るシンプルなモデ ルである。 この学校組織開発 を進 めるには、ファシ リテー トチームの献身的な働 きが要求 される。 例えば、教員が協働的に課題生成す ること自体への戸惑いや不安 を払拭す るために、ファ シ リテー トチームが取 り組みの趣 旨を再度説明 した り、各教員の負担を軽減する策を新た に考えた りして、組織開発の取 り組みを修正 した事例な どが報告 されている24。 佐古 自身 は、情報の整理 と集約、フィー ドバ ックによる共有化の促進 をチームで行 うことによつて、 高い専門性が要求 されないことと、一定の継続性が担保 され ると主張 している6 しか し、佐古のい くつかの実践報告にもあるよ うに、実際にはこのファシリテー トチー ムが、教員個々の声なき声 を拾い上げ、膨大なデータ処理 を行 つた上で、簡潔に情報を示 す作業を行った り、軌道修正に リーダァシップを発揮 した りしている。 このような献身的 かつ模範的な地位 をファシ リテ

Tト

チームが示 さなければ内発的な学校改善にはつなが ら 22中(200つに よれ ば、組織 開発 とは「ア クシ ョン リサーチや システ ム理論 を含 めた行 動科学 の知見や 手法 を用い、 ヒューマニステ イ ックな価値観 に基づ きなが ら、組織 の効果性 を高 め るこ とを 目標 として実施 され る。組織 内のプ ロセ スや組織文化 な どの人的要因 を含 めた組織 の諸次元 に対 して、協働 的な関係性 を通 して 働 きか けてい く、計画的、長期 的、体 系的 な実践である」 と定義 され てい る。佐古 自身 は、経 営学や社会 心 理 学等 で一般 に用い られ てい る組織 開発 とい う用語 と区別 して、内発 的 な改善力 を高 め ることをね らい と し た学校づ くりのための組織 開発 と限定 して 「学校組織開発 」 を用いてい る。

23佐(2011)p143 24佐(2000p169

(14)

ないのは明白だ。 自らの教職の力量を高めつつ、大所高所から的確に組織を支援できる教 員は、個業性の高し・ヽ高等学校現場においては少ない。佐古の研究は、教員が個業化 してい るところに前提がある。だか ら、組織を担 う教員個々の職能成長を促す とい う観点は弱い。 すなわちファシリテー トを担 う個々の教員の職能成長支援の観点に欠けていると言える。 組織を献身的にファシ リテー トできる人材の育成を同時にすすめなければ、学校組織開発 の理論は空転する。 この佐古の学校組織開発論の課題解決を試みているのが、久我の 「教員の主体的統合モ デル」である。久我25は、教員の内発的動機に着 日し、個々の教員側か らのアプ ロニチで 組織化をはかる取 り組みを実践 している。そ して、実施手順や効果検証の方法の開発の他、 副校長や主幹教諭

t指

導教諭などの新たな職を含めた トップマネジメン トチームによるフ ァシリテー トを機能 させる方法について検討 している。これ らのファシ リテー トの方法 と して、それぞれに設定されている教育活動をどのように結びつけて展開するかとい うカ リ キュラムマネジメン トの側面でのファシリテー トと、組織化を促進する組織マネジメン ト にかかるファシリテー トの2点をあげている。 しか し、久我の主張する トップマネジメン トに頼るファシ リテー ト手法の導入は、その マネジメン トを託 された副校長や主幹教諭等の新たな職の教員もふ くめ、教員の受け身の 動きにつながることが危惧 される。そもそも、学校組織開発論や教員の主体的統合モデル は、内発的な動機づけによる改善をはかることが 目的である。本プランで 目指すのは、教 員の意欲を喚起 し、教員の主体的な取 り組みを引き出す しくみを構築することである。内 発的な学校改善推進力を高める学校組織開発をすすめるには、ファシリテー トチームをど のように組織するかを検討する必要がある。あるいは、ファシリテニ トチームそのものの 育成をはかるような手だてが必要であり、この学校組織開発の課題点を解消する方策につ いての検討が必要である。

(3)

ファシリテー ト人材も育成する「校内自主研修会」の機能 前節で指摘 した学校組織開発論の課題点であるファシリテー トチームのあり方について 検討する。 高等学校では、教員個々の専門性は高いが、他者 と交流 して自らの培つてきた知や経験 をメタ認知的に省察する機会が少ない。学校全体はおろか、教科や科 目内でも知識や教育 技術を高めようとする営みはほとんど行われてこなからた。そこで私は、校内自主研修会 を知識創造の場 として活用す ることを提案 した26。 これは、教員が本能的に抱いている授 25 久我(2011)o158 26山(2006)は、知識創 造 の具体 的活動 として校 内研修会や授業研 究会 を挙 げてお り、「授業者や観察者個 々 人 が もつてい る知識 を全体 の知識 として共有化 して、学校組織 の創 造性 を向上 させ てい く方法 で ある」 と述 べてい る。

(15)

業が うまくな りたい とい う欲求を刺激す るね らいがある

6こ

の内発的な取 り組みに変化 し やすい授業研究の分野を学校組織開発に用いようと構想 した。そ して、コアシステムとし て設定 した校内自主研修会での知識共有 と交流によってく教員が主体的に学ぶ ことが期待 される。 この場を導入す るにあたつては、教職大学院で学ぶ私 自身がファシリテー ト役 と な り、現場の教員を支援す ることに した。 しか し、導入当初は教職大学院生である私がファシ リテー ト役 を果たすが、この場には 研究授業者 として、場のイニシアチブをとる教員が現れるはずである。私の構想する校内 自主研修会の議論の中心にいるのは、研究授業者である。校内自主研修会での自由闊達な 議論の中で、研究授業者の リーダーシップ と、それ を支える研修参加者のフォロワーシ ッ プが生まれ る。今 日の リーダーシップ研究27では、 リーダーシ ップはフォロワー シップ と 一対の概念であ り、フォロワーシップの発揮によリリーダーシップが現れ るとされている。 そ して、従 う価値のある権限 とは、フォロファたちが自分 の意志で意識的に、 リーダーに 対 して許 したものだけであるとしている。 こうして研究授業者は、全体 を見通 して場を リー ドした り、ある時はベテラン教員の声 に耳を傾けた りす る能力が開発 され る。 この能力は、議論 を促進す るファシ リテー ト能力 に結びついてい くと考えられ る。私の提案す る校内 自主研修会は、このよ うに研究授業者 のファシ リテー ト能力を開発す るしくみ も兼ね備 えた取 り組みになると考 えた。 また、研究授業者 には若手教員のメンター的存在を志向す る資質 も育つはずである。研 究授業者の経験や暗黙知を可視化す ることで、同 じように研究授業 をしてみたぃ とい う若 手教員、も現れ るはずだ。 このような後続集団が出現すれば、人材育成の好循環が生まれ、 持続的に内発的な学校改善推進力が生みだせ る。 この学校組織開発論や教員の主体的統合モデルは、協働 を 目指す取 り組みであるが、こ れは全員参加の共同体づ くりとい うコンセプ トと言い換 えても良い。これは、“ホンダのワ イガヤ職場

"に

代表 され るよ うに野中郁次郎は じめ多 くの経営学者が変革の推進力の重要 な要素に挙げている28。

、 このような校内自主研修会の活性化は、カ リキュラム開発29の考 え方にも通 じてい く。 これは、学校組織開発論 と同 じく下降的な官僚制原理か らの脱去口を志向 し、教育行政の枠 組みによつて理解 されてきた教育課程編成の問題 を解決 しようとす る理論である。いわゆ 27グリー ン リー フ(2008)は、サーバ ン トリー ダー シ ップ を提唱 してい る。識 別 能力 と決 断力 を兼 ね備 えた 、 フオ ロワー としてのサーバ ン トは、サーバ ン ト・ リーダー と同 じくらい重要 で、誰 もがその両方 の役 を演 じ る場合 もある と述べてい る。 また、池 田・ 金井(2007)は、「力づ くで 引つ張 るのではな く、 ミッシ ョンに向 かつて 自発的 に歩み始 め る人 を後押 しす る。それ は使命感 に基づいて な され る高貴な行 動であ り、組織や チ ー ムに 日標 を達成 させ る大 きな力 になる」 と述べている。 28例えば、野 中・竹 内(2011) 29田(2000は、校 内にはび こるセ クシ ョナ リズムを打破 す るには、カ リキ ュラム と教師教育 を一体化 さ せ る必要がある と主張 してい る。 さらに 「学校 を開 く」 とは、カ リキ ュラム を外部環境 か らの要 求を汲み入 れ て開発す るこ とである と指摘 してい る。

(16)

る “学校に基礎 を置 くカ リキュラム開発

"で

ある。カ リキュラムづ くりは学校現場で進 め るべきであ り、そのために教師教育 と一体化すべきであるのだ。言 うまで もなく学校教育 の中核は、教員個々の行 う授業にあり、その授業の個性を拾い上げながら、どのように特 色あるカリキュラムに紡ぎあげるかとい う手腕が現代的な課題 として学校経営者に求めら れている。校内自主研修会の設置は、授業研究そのものに成果をあげることはもちろん、 授業研究の場をファシリテー トする人材を育成 し、特色あるカ リキュラムづくりの推進に つながる有効な手だてとなると考えている。

(4)特

色あるカウキュラムをつくる「明南総合学科フォーラム」の機能

本研究では、いかに して学校 の内発的な改善推進力 を高めるかに焦点 をあてているが、 協働の授業づ くりの段階か ら、特色あるカ リキュラムづ くりの段階へ と発展 させ、その議 論の場 となる「明南総合学科 フォー ラム」を実施す るまでの道筋 を提案す る。 教員の 日々の本来業務である授業づ くりは、学習指導要領等の要請に応 じつつ、組織的 な目標 と系統的な計画下で行われ るべきものである。それ と同時に、教員の内発 的動機づ けによ り、個々の教員の専門性が発揮 され る教育実践を提供 し続け られ るように支援す る ことが、学校経営の要 となると私は考えている。 ところが、高等学校での授業づ くりの分 野を起′点としたカ リキュラムづ くりの組織的な実践事例は少ない30。 学校が 自ら主体的に、 かつ本質的な教育活動の改善を行 えるようになること、すなわち内発的な改善力 をもつ学 校へ発展す るためには、学校 の中核業務である生徒の学び を保障 した授業づ くりにおいて、 教員だけではなく学校 を取 り巻 くすべてのステ∵クホルダーの人知 を結集 した知識創造の 場づ くりが必要だ と考 える。 そこで私は、教員が主体的に協働で行 う校内自主研修会 を実践す ることが、高等学校 の 特色あるカ リキュラムづ くりを紡 ぎ上げることに大 きな効果があると考えた。 この協働 の 授業づ くりを行 う校内 自主研修会で、個々の授業を改善す る段階を LEVELlと 定めた。この 段階では、各教員が持つてい る暗黙知を表出する場 として校内 自主研修会 を設定 し、研修 内容 を紙媒体等で形式知に転換 して、学校全体で共有す るしくみをつ くる。この校内自主 研修会が佐古の言 う学校のコアシステムである。 この校内自主研修会での取 り組みを基盤 にして、学校の教育活動全体を見通 した協働 の 到達 目標づ くりやカ リキュラムづ くりを創造できる集団に レベルア ップ させるのが、次の LEVEL2の 段階である。この段階では、生徒や卒業生の授業評価やカ リキュラム評価をダイ レク トに取 り入れ るフォ

,ラ

ム形式の場づ くりを行 う。 これはアンケー ト形式の評価 と違 30中留・田村(200のは、新 しいタイプの高校が生み出す特色あるカ リキュラムマネジメン トとして、総合学 科高校や単位制高校では、生徒 にも自らの時間割づ くりを通 してのカ リキュラムマネ ジメン トマイン ドが求 められ、生徒による時間割編成 とかかわつて様々なマネジメン トカが教師に求められ るとして、い くつかの 高等学校の事例 を挙げているが、 日々の授業研究を起点に した実践事例 は少 ない。

(17)

い、顔の見える状態での教員 と生徒の知識交流をはかるものである。実際に授業 を受けて いる生徒や、明石南高校の

3年

間の学びを経験 した卒業生の声を直接聞き取 り、教員 とや りとりすることで、生徒の学習意欲 を高め、教員の授業改善意欲 を高めるとともに、カ リ` キュラム全体を俯嗽す る能力の開発 を期待 している。 さらに、この場に、保護者や地域、他の高校の教員、近隣小 中学校教員 の参画 も促 し、 外部に広 く開かれた全教員参力日の研究フォーラムの場を設定す る。 この校内自主研修会の 進化形である研究フォーラムを「明南総合学科フォーラム」として実践す る段階をLEVEL3 として設定 した。 この場では、ピア レビューを得て、新たな知識 を協働で生み出すことが 可能である。明石南高校が取 り組んでいるカ リキュラムの全体を評価 し、カ リキュラム改 善や開発 を行つてい く示唆をえようとい うものだ。 昨今のい じめや体罰問題、大学入試センター試験に代わる新たな達成度テス ト導入 とい った大学入試改革の問題な ど多岐にわたる教育課題 について、 自校 を取 り巻 く環境を的確 に分析 し、迅速な決断を迫 られ る学校長には、今後 もますます大きな負担がの しかかると 予想 される。 しか し、それ らのすべての問題に対 して学校長がオールマイテイに対応す る ことは、もはや現実的には不可能だ。当然、これまでも教育委員会事務局や保護者、地域 と連携 して課題解決を図つてきたわけであるが、今後 もますます外発的な学校改革要求は 高度化 し、複雑化す ることは容易に想像できる。現在、何か問題が起こると官民間わず に 第二者委員会 を設置することが危機管理の常套手段 となっている

:し

か し、 トラブル解決 だけのためにこのような有識者会議 を設定するのは、いかにももつたいない。学校経営者 が、よりよい学校づ くりのために、積極的に最新の情報 を多角的に収拾す る諮問機関やそ れに付随す るワーキンググルニプのような組織をもつことは、大 きな経営強化につながる はずだ。 この開かれた 「明南総合学科 フォーラム」で、教育 目標 を吟味 し、それに見合ったカ リ キュラムに対する知識共有 と交流 をはかることで新たな知見を生み出し、適切な資源投下 を行える学校経営のあ り方を私は構想 している。 1.ノ

(18)

2章

本プランのプロ トタイプ実践の検討 授業改善に抵抗のない組織風土の強みを生かした知識創造の場づ くりを基軸 とする本校 の改善プランの発端 となるのが研究授業づ くりのための 「校内自主研修会」の協働の取 り 組みである。この取 り組みは、本校の学力向上推進プロジェク トの取 り組みと私の行つて いる学校組織開発論を用いた教職大学院での研究 とを連動 させて実践してきたものである。 本章では、今年度に取 り組んだ明石南高校の学力向上推進プロジェク トの実践内容 とそ こから抽出された成果 と課題 を検討する。

(1)平

成 21年 度からの学力向上推進プロジェク トの取 り組み 明石南高校では、平成21年度から足かけ6年にわたる兵庫県教育委員会の「県立高等学 校学力向上推進プロジェク ト」関連の事業指定を受け、生徒のさらなる学力向上を目指 し て、実践に取 り組んでいる最中である。平成21年度から平成23年度までの取 り組みとし て「生徒への学習・生活実態調査」、「授業公開週間」、「生徒による授業評価」の実施など の定着を3年計画ですすめてきた。その成果 として、個々の授業改善意欲は涵養 されてき てお り、これ らの取 り組みは組織風土として根づき始めている。 また研究授業の取 り組みについては、平成21年度 と平成22年度については、各教科で 責任を持って授業相互参観 を実施 して、イン トラネ ット上の共有ファイルに参考点・改善 点等を書き込む形式で行つた。そ して、この 「授業相互参観」 と「生徒による授業評価」 (年2回実施

)の

参考点や改善点を学力向上プロジェク ト委員会で検討 し、各教科 0年次 において、授業改善策を検討する方式で取 り組んだ。 しか し、教科 ごとの取 り組みに温度 差が見 られることに大きな課題があり、全校的な取 り組み として授業研究会を実施するア イデアを持つには至っていなかつた。 また、講師費 として使える学力向上プロジェク トの予算を全体講演会にあてて、年

2回

程度の講演会を実施 してきた。しかし、多 くの教員は、その時は理解 していたつもりでも、 時が経つと講演内容を忘れて しま うような受け身の研修会であった。 そこで平成23年度は、研究授業者を校内で公募する方式で4名 の教員が授業研究を行 う ことにした。その際、国語、理科、音楽、英語の各研究授業担当者の希望する外部講師を 授業づ くリア ドバイザー として招聘することに予算を手当した。4名の研究授業担当者はt この外部講師に事前の授業づ くりの相談を受けながら、11月 に実施する授業研究会に向け て、夏休みから計画的に指導案づ くりに取 り組んだ。 この授業研究会には他校か らの参加 も多数あり、平成21年度か ら3年間の学力向上プロ ジェク ト指定の取 り組みの集大成 として一定の評価を得た。 しか し、プロジェク ト開始当 初からの課題である評価規準・基準に基づ く指導のあり方や、学校全体での授業研究の取 り組み転換には、なお課題を残 した。 そこで、引き続き平成24年度か ら平成 26年 度にかけての学力向上推進プロジェク トの

(19)

事業指定を受け、「到達 目標 を明示 した教科指導のあり方」 とい うテーマを掲げて、平成 24年 度は授業評価シー トの改善に取 り組み成果をあげた。しかし、複数の外部講師をア ド バイザーに招聘 して行 う授業研究会は予算の関係上、実施が難 しく、見送 られることにな らた。 また。新 しい学習指導要領に対応 した教育課程づくりもこの時期にすすめられたが、学 校全体を俯厳 したカ リキュラ

^づ

くりには程遠 く、コマをいかにして埋めるかという作業 に終始 した感は否めない。時間割編成作業に長けた専門集団や各教科や各年次を代表する 委員で構成 された教育課程委員会は存在する。 しか し、校内で行われる各種の取 り組みを 掌握 し、生徒の学力や学習状況を的確に把握 した上で学校全体の教育 目標 を議論 し、さら に教員の人的資源をどのように効果的に活用すればよいか とい う視点で、カリキ子ラムを 紡ぎあげてい く場がないことは、大きな課題であると私は考えている。 このようなカリキ ュラムを紡ぎあげる場が、知識創造の場 として機能することで、人材も鍛えられ、トップ ダウン型のリーダーシップスタイルではなぃ、内発的で献身的なリーダニシップも発揮 さ れると考えている。

(2)

平成 25年 度の学力向上推進 プロジェク トの深化 校内のファシ リテー トチームである学力 向上推進委員会は、平成24年度 中にこれまでの 取 り組みを踏まえて、平成25年度 のプロジェク トの内容 を意欲的に企画、検討 し、取 り組 みのロー ドマ ップを年度 当初 には全教員 に示せ るように周到な準備 を行 つてきた。1 そ して、平成25年度の明確 な達成 目標 として、全校をあげてのスタイルで11月 に研究 授業 と授業研究会を実施す る提案 を行った。 さらに、この授業研究のプロセスを指導す る スーパーバィザー として、兵庫教育大学教職大学院授業実践開発 コ‐スの吉水裕也教授 を 招聘 して専門的な助言 を得 る内諾 も得た。 吉水教授には、本校全教員 に対 して、5月 に 「到達 目標 を明示 した教科指導の在 り方 に ついて一教科を通 して育てたい子 ども像の明確化 一」 と題 した全体講義 を依頼 した。 この 全体研修で最低限の共通理解 をはかつた上で、各教科で ミーテ ィングを開き、教科で育て たい生徒像 として

3年

間の長期的な到達 目標を定め、

1年

スパ ンの中期 目標 も作成 した。 そ して、各教科会で定めた 目標 にそつた授業評価 シー トを作成 し、授業改善をはかる取 り 組みをすすめた。 その上で6月 には、

H月

の研究授業者 を校内公募 し、7月 には同期採用の30代半ばの伸 び盛 りの中堅教員である数学科男性教諭 と英語科男性教諭が授業者 に決まった。 この二人 の研究授業者 を中心に して、研究授業実施に向けた事前研究を、教科枠 を越えた協働の形 で実施することを企画 し、7月 30日 以降に合計3回の校内 自主研修会を行つた。 この校内自主研修会で、研究授業の指導案を検討 し、11月 には広 く外部参観者 も招いて 実施す る授業研究会を計画 した。

(20)

(3)校

内自主研修会の検証 このプロジェク トで実施 した研究授業づ くり校内 自主研修会には、

4つ

の機能 を持たせ ることを意図 した。 まず、研修会参加者がそれぞれに有 している個人に属す る暗黙知 に気づき、具体的な形 式知に転換 し、参加者相互で さらなる集団の知 として発展 させ る知識創造の場 とすること をね らった。各教員が持っている授業に対 しての思いや、培ってきた技術 を言語化 し可視 化す ることによつて、個人の暗黙知 を形式知に転換 し、その形式知 を共有 して、 さらに研 修参加者の暗黙知 として内面化す る場にす ることを意図 したのである。 このようなワークシ ョップでの討議は、言語化 された知識 を参カロ者が 自分な りにメタ認 知できる点に意義があ り、それにより教員の職能成長が促 され ることをふたつ 日のね らい とした。

3点

目には、研究授業者である二人の中堅教員が、一人で作業す るのではなく互いに交 流 し、影響 しあつて、高めあえることをね らいに した。一人で解決できるレベル と、困難 にぶつかった ときに誘導的な質問や援助を与えあ うとい う協働 によつて、互いに切磋琢磨 し、導きあいなが ら授業づ くりをす る場 として校内 自主研修会 を設定 した鋭。 このような教科枠 を越 えた、様々な知や経験を持つ教員 の 自由な参カロと発言を促すこと

で、研究授業者二人の可能性の枠を広げるとともに、教員集団の協働の風土を醸成するこ

とが4点 目のね らいである。 初回の校内自主研修会は平成25(2013)年 7月 30日 に実施 し、8名 の参加 を得た。まず、 研究授業者二人がこれまでの授業づ くりで意識 してきたことをス ピーチ し、それに基づい て授業づ くりで大切にすべきことを個人でブ レインス トー ミングした。その後、

2グ

ルー プに分かれて模造紙にま とめて発表 しあつた。この研修会で抽 出 された授業規律 とモチベ ーシ ョンの両立が、今年の研究授業づ くりの基軸 をなす考 え方 となつた。 初回の研修会参加者 に とつたアンケー トの自由記述回答 か らは、他教科 との交流や、他 の教員の視点を知 るな どの情報交換や共通認識の場 として有意義であった とのコメン トを 得 ることができたしただ し、参カロ者が少なかつたことへの指摘 もあ り、「この会にもう少 し 多 くの先生が参加 していただけれ ば と思います。若い先生方には今後の授業づ くりの参考 にな ります し、ベテランの先生方にはこれまでの経験や知恵を伝 えてい く良い機会になる と思います」 とい う意見もみ られた。 いずれにせ よ授業規律やモチベーシ ョンといつた授業づ くりの根幹をなす部分が可視化 されたことや、アンケー ト記述で情報共有 と知識交流の意義が参加教員か ら見出された こ とは、学校組織開発や知識創造 を 目指 した校内自主研修会 の効果性 を示 していると言える。 続いて、8月 30日 には 15名 の参加 を得て、研究授業者二人が提案 した授業構想を討議

31ヴィゴッキー(2012)の唱 える発達 の最近接領域 (Zone of PrOximal Development:ZPD)理論 にヒン ト

(21)

する会を開いた。 数学科の研究授業は、「なぜそ うなるのか」とい うクリテ ィカルシンキングを大切にした

9つ

のマス ロを使 つたオ リジナル教材が提示 され、参加者 で実際に取 り組んでみた。教科 の枠を越えて、生徒の 日線で、 どうすれば理解 しやす くなるかのアイデアを出 し合い、活 発に討議をす る うちに研究授業者 自身の頭の中の整理がすすんだ。 この研修会で、時間配 分、ゴール設定、ルールの周知 を改善す るとい う新たなアイデアが創造 され、それを踏 ま えた指導案を作成 してい くことになった。 英語科の研究授業は、文法 を教 えるだけではな く、ま とまった英文が書 けるよ うに、英 文の書き方を教えたい とい う授業者の思いを反映 して、ライティングの授業を実施するこ ととなつた。段落構造 をビジュアル化 した独 自のワークシー トを開発 し、トピックセンテ ンスか らサポー トセ ンテンスヘの流れを可視化 して、授業 をすす める構想が提案 された。 意見のや り取 りを経 る うちに、「分担 して書けばいいのでは」「この構文は必ず使 う」な ど の具体的な助言が複数の国語科教員か ら寄せ られた。また 「生徒に書 く必然性を感 じさせ られるか」とい うモチベーシ ョンの根幹に関わる指摘を受けて、参加者で討議 した結果、 英文を書く必然性を生徒にいかに感 じさせるかとい う課題 を持って指導案を練ることにな った。 この研修会は初回より参加者が増えたこともあ り、参加者の知識交流はより活発であり、 新たな知識創造の場 となつたことが、研修会参加者のアンケー トの自由記述回答から伺 え る。例えば、「活発な意見交換が教科を越えてできたことはとても意義があつたと感 じます。 授業者に気づきがあつたことはもちろん、参加者全員に気づきがあり、授業を組み立てる 発想の広が りが生まれたと思います」と記述 した教員がお り、この場での知識共有が新た な気づきにつなが り、教員の内発的な動機づけを生むことを示唆 している。 また研修会のスタイル として、「若い先生方の活気あふれる意見交換は励みになります。 意見やアイデアの何を取 り入れるかは各先生方に委ねられますが、思いつ くまま出すとい うことがとても大切ですね」 とか、「発表者側の準備は大変だった と思いますが、“筆記具 一つで参加できる"と い うのが、こうい う会を活性化すると思います」との記述が見られ、 自由闊達に議論できるオープンな雰囲気をつ くることが、校内自主研修会の成功の鍵であ ると言える。 この夏休みの2回の研修会後も、授業者は自らのこれまでの取り組みを振 り返つたり、 職員室内で同僚からのア ドバイスを受けた り、外部の研修会に参加 した りして、 さらに授 業構想を練 り上げてい く様子が観察 された。 そして、研究授業のおよそ4週間前の10月 18日 に、指導案を検討する第3回の校内 自 主研修会を 14名 の参加を得て実施 した。 前回の研修会同様に、数学科の研究授業は、どのように生徒にルール説明するかとい う 点に多くの議論の時間を費や した。そして、生徒にどのように気づかせ るのか、 どこで教

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員が介入するのかとい うシミュレーションを行つた。 また英語科の研究授業は、「生徒の関心に即 した トピックを選定する必要があるのではな いか」とい う意見 と、「論理的な文章構成力を養 うならば、論理展開しやすい トピックを提 示 した方がよいのでは」 と相反する

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の立場から多くの意見が出た。その議論の中か ら 「これまでの英語の他科 目の トピックを題材にしてはどうか」とい う新たな提案が生まれ、 授業者の大きなヒン トになった。│こ の研修会後にも、何度か学習指導案を修正 し、両授業 者 ともに吉水教授にも助言を受けながら、修正を重ねて11月 12日 の研究授業にのぞむこ ととならた。

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様々なツールを活用 した知識共有の取 り組み 佐古の学校組織開発論が成立するには、情報の整理 と集約、フィー ドバ ックによる共有 化の促進をプロセスファシリテー トチームが行えることが条件である。 しかし、この情報 共有 と交流のプロセスを円滑にすすめることは至難の業である。そこで、プロジェク トの 進行状況の全体を共有 し、校内自主研修会の議論を共有できるように、ファシリテー トチ ームである学力向上推進委員会が、『学力向上推進プロジェク トだより』にまとめて全教員 に発行 した。現在まで11号にわたつて発行 している。 校内自主研修会では、教員間の暗黙知を表出させ、議論 してきたわけであるが、それ ら を『学力向上推進プロジェク トだより』にまとめて可視化することで、形式知 として全教 員で共有化することをはかつた。 さらに、学校ホームページ上に 「学力向上プロジェク ト」のページを作成 し、ウエブ上 で外部に向けても情報公開 し、知識共有をはかつている。明石南高校の総合学科でのキャ リア教育の取 り組みは年々整備 され、生徒指導のシステムも軌道にのつている。今後は、 学力向上を含めた生徒の資質向上 と、外部の協力も得なが ら教員の授業改善に本腰を入れ て取 り組んでいくことが大きな課題である。その課題克服のために、明石南高校が兵庫県 の学力向上プロジェク ト推進事業の指定を継続的に受け入れて、教員研修を積んでいる実 績を外部に広 く公開し、評価の場を設けることも新たな知識創造に必要不可欠 となる。す でに地域や保護者の参観 も含めた公開授業週間の設定や、研究授業の取 り組みは浸透 して いる。 さらにこれ らの取 り組みを広 くアピールするとともに、積極的な外部からの学校評 価を活用することが必要だ。 この外部 との知識共有は、個々の授業改善にとどまらず、学 校内外の力を合わせた組織的な取 り組み としての特色あるカ リキュラムづ くりにつながつ ていくと考えている。 この外部 との知識共有 と交流の取 り組みを実現する新たな試み として、11月 12日 に行 う数学科 と英語科の授業研究会の翌週の11月 19日 に、「明石南高等学校学力向上推進プロ ジェク ト授業研究フォァラム」 と題 して、フォーラム形式の研究会を実施 した。 このフォ ーラムには、明石南高校の全教員が参加 し、県内の高等学校や近隣中学校にも案内して広

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