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カザフスタンのコイン -- 独自通貨導入から現在まで (特集 途上国とコイン)

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Academic year: 2021

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カザフスタンのコイン -- 独自通貨導入から現在ま

で (特集 途上国とコイン)

著者

岡 奈津子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

215

ページ

22-23

発行年

2013-08

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003649

(2)

  カ ザ フ ス タ ン の 通 貨 テ ン ゲ ( tenge ) は 今 年 で 誕 生 二 〇 周 年 を迎える。一九九〇年代初頭のハ イパーインフレで、テンゲの交換 レ ー ト は 導 入 後 す ぐ に 急 落 を 始 め、通貨としての地位は不安定で あった。広告の商品やレストラン のメニューは、しばしばテンゲで は な く「 基 準 単 位 」( 米 ド ル ) で 表 示 さ れ て い た。 小 金 が た ま る と、庶民はテンゲをドルに交換し てタンス預金にしたものである。 しかし現在では、好調なカザフス タン経済を背景にテンゲはおおむ ね安定しており、国民のあいだで の信頼度も高い。   本稿では、独自通貨導入から現 在まで、カザフスタンでどのよう なコインが使われてきたのかを、 筆者の手元に残る新旧の硬貨の写 真とともに、簡単に振り返ってみ たい。

●独自通貨の導入

  一九九一年一二月に独立したカ ザフスタンは、その後もロシアを 中心とするルーブル通貨圏にとど まり、ソ連時代のルーブルを使っ ていた。独自通貨テンゲが導入さ れたのは一九九三年一一月一五日 のことだ。これに先立つ一九九三 年七月、ロシアが新紙幣を導入し 旧ルーブル札を使用停止としたた め、使えなくなった旧ルーブル札 がカザフスタンに大量に持ち込ま れる事態となった。このことは、 一九九二年の価格自由化によって 引き起こされたインフレをさらに 悪化させた。カザフスタンはそれ 以前からルーブル圏離脱の準備を していたが、このロシアの独断的 措置が決定的となり独自通貨導入 に踏み切ったのである。導入時の 交換レートは一米ドル=四・六八 テンゲだったが、激しいインフレ によりテンゲはまたたく間に急落 した。   カザフスタン独立後初の紙幣は イギリスで印刷されたが、コイン の鋳造は国内で行われた。北部の ウスチ・カメノゴルスク市にある ウルバ冶金工場内に設立された造 幣 所( カ ザ フ ス タ ン 造 幣 局 の 前 身)で、テンゲ硬貨と、補助単位 で あ る テ ィ イ ン( tiyn 、 一 〇 〇 ティイン=一テンゲ)硬貨が鋳造 されたのである。   テ ン ゲ 硬 貨( 額 面 は 一、 三、 五、一〇、二〇テンゲ。写真①と ②は三、二〇テンゲ硬貨)の素材 は洋白(銅、亜鉛、ニッケルの合 金)で、一、三、五テンゲ硬貨の 表面は、一六角形の装飾のなかに 額面と鋳造年が彫ってあり、さら に「カザフスタン国立銀行」の略 称「QUB」がごく小さな文字で 記されている。裏面はそれぞれ異 なる図柄(順に羊、狼、ヒョウの 神話上の姿)を「カザフスタン共 和国」の文字が取り囲んでいる。   一〇テンゲ硬貨と二〇テンゲ硬 貨は、一、三、五テンゲ硬貨に比 べ一回りも二回りもサイズが大き い。一〇テンゲ硬貨は五〇〇円玉 くらいの大きさだが、二〇テンゲ は直径三一ミリもあってずっしり と重い。いずれも表面に国章と額 面、国名が記されている。裏面の デザインは、鋳造年と、一〇テン ゲは神話上の鳥、二〇テンゲはア ル・ファラビー(九世紀末〜一〇 世 紀 初 頭 の 中 東 で 活 躍 し た 哲 学 者。カザフスタン南部の生まれで あることから、同国史上の偉人と して位置づけられている)が彫刻 さ れ て い る。 記 念 コ イ ン を 除 け ば、人物が描かれたコインは一九 九三年にデザインされた二〇テン ゲ硬貨だけである。   ちなみに独自通貨導入時に印刷 された紙幣には、額面が一、三、 五、 一 〇、 二 〇 テ ン ゲ の も の も あったため、同じ額面の紙幣とコ インが同時に流通していたことに なる。   ティイン硬貨(額面は二、五、 一〇、二〇、五〇ティイン、写真 ③は五、五〇ティイン硬貨)は黄

特 集

途上国とコイン

 

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アジ研ワールド・トレンド No.215 (2013. 8)

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銅製で、いずれも表面に八角形の 模様が施され、そのなかに額面と QUBの文字が記されている。周 りはカザフ民族の伝統的装飾模様 が配置され、下に鋳造年、裏面に は国章と国名が彫られている。し かし物価の急上昇とともに、まも なくティイン硬貨はほとんど使わ れなくなった。   なお導入直後は必要な数のコイ ン の 鋳 造 が 間 に 合 わ な か っ た の か、あるいは予算不足が理由だっ たのか、硬貨を模したデザインの ティイン紙幣も印刷された。パス テル調のカラフルな色彩で、小さ いだけでなく横幅が短いずんぐり した形なので、まるでおもちゃの 紙幣のようにみえる。

●現在流通しているコイン

  現 在 使 わ れ て い る の は、 一、 二、 五、 一 〇、 二 〇、 五 〇、 一 〇 〇 テ ン ゲ 硬 貨 で、 一 九 九 七 年 の デ ザ イ ン で あ る( 一 〇 〇 テ ン ゲ 硬 貨 は 二 〇 〇 二 年、 二 テ ン ゲ 硬 貨 は 二 〇 〇 五 年 に 鋳 造 開 始 )( 写 真 ④ と ⑤ は 二 〇、 一 〇 〇 テ ン ゲ 硬 貨 )。 材 質 は い ず れ も 銅、 亜 鉛、 ニ ッ ケ ル の 合 金 だ が、 一 〜 一 〇 テ ン ゲ 硬 貨 が 白 黄 色、 二 〇、 五 〇 テ ン ゲ 硬 貨 が 白 色 で、 一 〇 〇 テ ン ゲ 硬 貨 に は 両 方 の 色 が 使 わ れ て いる。   デ ザ イ ン は そ れ ま で の も の に 比 べ る と シ ン プ ル だ。 一 〇 〇 テ ン ゲ 硬 貨 の 表 面 は、 額 面 の 周 囲 に 三 つの伝統的模様が施され、上部に 小さな八角形の装飾、左下にQU Bの文字がみえる。他の硬貨も基 本的に同じデザインだが、一〇、 二〇、五〇テンゲ硬貨では模様が 下に一つ、一、二、五テンゲ硬貨 では八角形の装飾はなく模様が左 右に二つ配置されている。裏面は すべて国章、国名と鋳造年で統一 されている。   二〇一三年四月現在の交換レー トでは、一〇〇テンゲは約六六円 ( 一 米 ド ル = 一 五 〇 テ ン ゲ ) で、 コインを使う機会はそれなりに多 い。とくにバスや路面電車など、 公共交通機関での支払いには硬貨 は必須だ。運転手や車掌に料金を 手渡す際には、できるだけおつり がないようにするのがマナーであ る。なお一〇年ほど前までは、店 で買い物をすると、細かいつり銭 代わりにガムや飴、マッチなどを よく渡されたが、最近では、とく に大手スーパーのレジは少額硬貨 を 十 分 用 意 し て お り、 つ り 銭 の 「 現 物 払 い 」 を み か け る こ と は 少 なくなってきている。   余談だが二〇〇六年、カザフス タン中央銀行がテンゲの通貨記号 を公募したところ、多くの案が寄 せられた。その中から厳選された デザインは翌二〇〇七年四月、正 式に採用されたが、それが日本の 郵便マークにそっくりなのだ(図 1)。 公 募 結 果 が 発 表 さ れ、 提 案 者が懸賞金を受け取ったあとにそ のことが指摘されたため、物議を かもしたそうである。それが影響 したのかどうかはわからないが、 このテンゲ記号はあまり認知され ていない。実は、現地に暮らした ことがある筆者も拙稿の準備中に 初めて知ったのだが、自分で撮影 した両替所の為替レートの写真を みると、確かに「〒」が使われて いた。カザフスタンを旅行する機 会があれば、ぜひチェックしてみ てほしい。 ( お か   な つ こ / ア ジ ア 経 済 研 究 所 中東研究グループ) 《参考 U R L 》 カ ザ フ ス タ ン 造 幣 局   http:// www .kmd.kz/eng/ 3x x 90° 0.5x 6x 5x 図 1 写真① 写真② 写真③ 写真④ 写真⑤ 筆者撮影

カザフスタンのコイン

―独自通貨導入から現在まで―

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