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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と海外の中東・イスラームコレクション (特集 続・地域関連コレクション -- 中東・アフリカ・ラテンアメリカ)

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Academic year: 2021

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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と

海外の中東・イスラームコレクション (特集 続・

地域関連コレクション -- 中東・アフリカ・ラテン

アメリカ)

著者

東長 靖

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

186

ページ

4-5

発行年

2011-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004281

(2)

  一九九八年に設立されたアジ ア ・ アフリカ地域研究研究科は 、 二〇〇九年に改組され、既存の東 南アジア地域研究専攻・アフリカ 地域研究専攻に、新たに﹁グロー バル地域研究専攻﹂を加えた三専 攻体制となった。この新専攻のな かには、 ﹁イスラーム世界論講座﹂ が独立した講座として設けられ 、 中東地域研究およびイスラーム研 究を推進している。また、同時に 設けられた﹁南アジア・インド洋 世界論講座﹂とも協力しつつ、南 アジア・イスラーム研究にも積極 的に取り組んでいる。   また、イスラーム地域研究セン ターが二〇〇六年に研究科附属セ ンターとして設立され、人文科学 研究機構︵ NIH U ︶プログラム ﹁イスラーム地域研究﹂と文部科 学省委託事業﹁人文学及び社会科 学における共同研究拠点の整備の 推進事業﹂ ︵﹁イスラーム地域研究 拠点﹂ ︶を遂行しつつあり、他方、 人文科学研究機構︵ NIH U ︶プ ログラム﹁現代インド研究﹂を主 導すべく、二〇一〇年には研究科 附属現代インド研究センターが設 立された。   そこで本稿の前半部では、本研 究科の有する文献の内、現地語コ レクションについて、中東を中心 にしつつも南アジアにも目を配り ながら述べてみたい。ちなみに後 半部では、研究科を離れて私個人 が海外で利用する図書館について 紹介する。

アジア・アフリカ地域研究研 究科の現地語コレクション   イスラーム研究、なかんずくイ スラーム思想研究においては、ア ラビア語が何よりも重要である 。 聖典 ﹃クルアーン﹄ ︵コーラン︶ がアラビア語で語られていること に端的に象徴されるように、アラ ビア語こそはアッラーの選んだ言 語なのであった。アラビア語の学 術に占める位置は、ヨーロッパ中 世におけるラテン語や前近代東ア ジアにおける漢語とほぼ同様に 、 圧倒的であった。本研究科では現 在、約二万七〇〇〇冊のアラビア 語書籍を有しているが、これは全 国の公共図書館︵大学図書館やア ジア経済研究所図書館、東洋文庫 など︶に存在する五万冊余のアラ ビア語書籍群のほぼ半数を占め る。   内容的には、イスラーム教徒が 常に立ち返るべき典拠となる聖 典、すなわちクルアーンや預言者 ムハンマドの言行録 ︵ハディース︶ への注釈をはじめとし、神学・哲 学・スーフィズム︵イスラーム神 秘主義︶ といった ﹁内面的学問﹂ と、 法学を中心とする ﹁外面的学問﹂ の両方に関する文献群である。後 者には、現代のイスラーム経済や 中東現代政治に関する大量の書籍 が含まれている。   イスラーム世界が七世紀にアラ ビア半島の版図を越えて拡大して いくにつれ、アラビア語に続いて ペルシア語・トルコ語といった言 語が、イスラーム世界の学術語と して重要になってくる。本研究科 では、 約九〇〇冊のペルシア語と、 約三二〇〇冊のトルコ語を所蔵し ている。これらはいずれも、スー フィズム文献を核としているが 、 トルコ語に関しては、中近東文化 センターの高橋忠久氏のご寄贈を 受けてギルド関係・経済関係の書 籍も充実することとなった。   南アジア・イスラーム世界で用 いられる学術語はいくつかある が、その代表例としてウルドゥー 語を挙げることができるだろう 。 これについても、本研究科は現在 約一七〇〇冊ほどの文献を有して いる。イスラーム関連図書を中心 としつつ、文学や政治に関わる文 献も相当数入っている。   本研究科のこれらの現地語コレ クションの特徴のひとつは、ほぼ 全件の登録情報を O P A C 上に公 開するとともに、数少ない例外を 除いて他機関への貸し出し︵ IL L ︶を行っている点である。日本 でここにしかない資料も少なくな

特集

続・地域関連コレクション

中東・アフリカ・ラテンアメリカ ︱ 中東・ 北アフリカ

京都大学大学院

地域研究研究科

と海外

イス

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アジ研ワールド・トレンド No.186 (2011. 3)

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いので 、ぜひ日本中の研究者に 、 有効に利用していただきたいと 願っている。   ちなみに、ここで取り上げた諸 言語は、すべてアラビア文字で書 かれている。したがって、その整 理も容易ではない。その状況を打 開するために 、﹁アラビア文字図 書 D B ︵データベース︶連絡会﹂ が継続的に開催されている。その 成果は、柳谷あゆみ編﹃日本にお けるアラビア文字資料の所蔵及び 整理状況の調査﹄ ︵ NIH U プロ グラム・イスラーム地域研究・東 洋文庫拠点、二〇〇九年︶や、連 絡会の活動記録である左記 U R L で見ることができる。 http://www .tbias.jp/report_ asso ciat ion.html

海外の中東・イスラーム

関連コレクション

  イスラーム世界の研究に資する 図書館・コレクションは、世界中 に存在する。日本で見つけること のできるカタログだけを頼りに 、 海外の図書館に手紙を書いて写本 を取り寄せていた時代は終わりを 告げ、私たちも学生たちも、ある いは直接現地へ赴いて、あるいは 自分の部屋からインターネットを 通じて、文献を請求したり、閲覧 したりすることができる時代に なってきた。   インターネットが便利な道具で あることは言うを俟 たないが、地 域の理解のためには、やはり現地 を実際に訪れてみなければならな いであろう。そこで、人文社会科 学系を中心に、海外で実地に文献 調査を行う際の手引きとなること を目指して作成したのが 、﹁海外 文献調査ガイド﹂ ︵小杉泰 ・林佳 世子・東長靖編﹃イスラーム世界 研究マニュアル﹄名古屋大学出版 会、二〇〇八年所収︶である。こ こでは、 中東のみならず、 イスラー ム世界全域および旧宗主国の主 だった約三〇カ国を取り上げ、各 国の主要な図書館の特徴や利用条 件・利用方法を説明してある。同 時に、必要に応じて、ビザの取得 法などの情報も記してある。全体 の企画立案は私が行ったが、各国 情報の執筆には、それぞれの国の 研究状況にくわしく、なおかつ近 年も頻繁に現地で文献調査をされ ている研究者の方々にあたってい ただいた。私自身、二〇一〇年に 三回、中東の国々を訪れる機会が あったが、その都度該当する国の 情報をコピーし、持参して、文献 調査に役立てることができた。そ の内のひとつ 、チュニジアには 、 一週間足らずしか滞在できなかっ たが、この海外文献調査ガイドの おかげで効率的に調査を進めるこ とができ、ある図書館で思わぬ掘 り出し物に出くわして、ほくほく したものである。   ところで私は、この十年来、毎 夏をトルコ・イスタンブルで一カ 月ほど過ごすことにしている。こ の滞在期間中はウィークデーも ウィークエンドもなく、ひたすら 毎日図書館に通い詰めているが 、 そういった図書館のなかでも別格 なのが、オスマン帝国の遺品を受 け継ぐスレイマニエ図書館であ る。   本館だけで六万五〇〇〇点以上 の写本を有し、さらに四つの別館 をも有するこの図書館は、イスタ ンブル旧市街の中心部に位置して いる。以前は、利用許可ひとつと るのも、首都アンカラからの裁可 を待たなければならず大変だった が 、 今は大変使いやすくなった 。 開館時間も、朝の八時半から夜の 一一時までと、ちょっとしたコン ビニエンス・ストア並みである。   かつては、図書館の廊下に置か れたカードを一枚ずつ繰って目当 ての写本を探し出しても、一回に 一点ずつしか請求できず、それを 返却しないとつぎの写本を見せて もらうことはできなかった。しか し二一世紀に入ってから図書館は 劇的に変革を始め、とうとう二〇 〇九年までには、別館の分も含め て所蔵する全写本をデジタル化す るに至っている。現在われわれが 閲覧室に入ってすべきことは、そ こに置かれたコンピュータで写本 を検索し、ヒットしたらそれをク リックするだけである。写本の最 初から最後までがきれいに撮影さ れて、画面上に現れる。何点閲覧 するのも自由だし、入用の写本に ついては至極簡単な手続きで CD ︱ R OM に複写してくれるように なった。欧米のレベルに近づきつ つある 、と評してよいのだろう 。 しかし古い時代を知る人間として は 、一抹の寂しさをぬぐえない 。 今では、写本本体は滅多なことで は見せてくれなくなってしまった のである。写本独特の匂いと手触 りを感じながら、何世紀も前の著 者や書写生や読者たちに想いを馳 せる喜びは、半永久的に失われて しまった⋮⋮。 ︵とうなが   やすし/京都大学大学 院アジア ・ アフリカ地域研究研究科 教授︶

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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と海外の中東・イスラームコレクション

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