Japan Advanced Institute of Science and Technology
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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 技術開発と市場外部性 : エネルギー開発を例として Author(s) 竹下, 寿英 Citation 年次学術大会講演要旨集, 8: 207-211 Issue Date 1993-10-22 Type PresentationText version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/5372
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技術開発と市場外部性
−エネルギー開発を例として−
○竹下 寿英(テクノバ) 1はじめに
地 球 環 境 問 題 と 長 期 的 な エ ネ ル ギ ー 資 源 、 特 に 使 い 勝 手 の 良 い 安 い 石 油 、 天 然 ガ ス の 枯 渇 傾 向 に 直 面 し 、 こ れ ら 諸 問 題 に 対 応 す るための技術開発への期待は高い。又、長期的には、世界人口は 115 億 人程で安定化すると予測されているが、その状況でのサスティナブルなエ ネルギー・システムは、再生可能な資源を再生スピードの範囲内で利用す る か 、 又 は 、 技 術 で 利 用 可 能 性 の 拡 が る 範 囲 内 で の エ ネ ル ギ ー 利 用 が 求 められる。これらの問題に対して市場メカニズムがどう対応し、又その不十分 性はどう補われるか、を発電技術を中心にして検討する。 2市場の失敗と発電に伴う社会的コスト
一 般 に 公 的 、 私 的 経 済 活 動 に 伴 っ て 、 市 場 価 格 に は 反 映 し な いコ スト(ないし利益)が発生することを外部不経済(ないし外部経済)と称す るが、これは市場の失敗によって生ずるとされている。特にエネルギー資源 の開発利用には、3つのタイプの市場の不完全性が指摘出来る。 第1: 酸性雨や地球温暖化ガスの影響などエネルギーの直接利用者 以外にも影響の及ぶ外部効果の発生 第2: 森林生態系や海洋など、価格づけされていないために、過剰に 利用されたり、環境価値、存在価値が評価されないタイプ 第3: エネルギー、資源価格を低くすることにより、過剰消費が引起こ され、資源の劣化や枯渇が加速されるタイプ これら市場の失敗に伴うコストに加えて、長期的な資源枯渇への対応の ための新エネルギー開発あるいは、エネルギー安全保障を考えた備蓄や供給多様 化対応等は、多くの場合、市場メカニズムにはのっていない。その様なコストの 中には、普及導入促進のための補助金や、エネルギー施設立地に伴う地 域振興のための対応等が含まれる。直接に財・サービスの生産に伴うコス トを、上記諸コストと総合化したものが社会的コストとなる(第1図)。社 会 的 コ ス ト が カ バ ー す る 範 囲 、 各 項 目 の 定 量 的 な 評 価 の 方 法 、 外 部 性 の 中 で コ ス ト と し て 内 部 化 す べ き 範 囲 な ど 、 今 後 検 討 の す す め ら れ る べ き 課 題 が 多 い 。 し か し 、 エ ネ ル ギ ー 開 発 の 様 に 、 環 境 影 響 の 拡 が り と 長 期 に わ た る 技 術 開 発 の 必 要 な 多 く の 課 題 の あ る 領 域 で は 、 意 思 決 定 に お い て 、 社 会 的 コ ス ト を 総 合 的 に 考 慮 し た 上 で の 方 向 づ け な ど の 選 択 が求められる。第1図 社会コストの体系 上記の社会コスト各項目は、時間的/空間的スケールで区分して第2図 に 表 示 し た 。 将 来 の 発 電 技 術 の 選 択 ・ 評 価 に お い て 地 域 環 境 影 響 や 健 康 被 害 は 、 個 別 技 術 毎 と の 対 応 が 可 能 で 又 必 要 で あ る が 、 長 期 資源枯渇への対応や、将来を見込した研究開発、あるいはエネルギー安 全保障は、エネルギー対応全体と経済システム維持の機能と係わっているた 第2図 時間と空間による社会コスト区分
め 、 個 別 技 術 に コ ス ト を 配 分 し 、 又 そ の 内 部 化 を 個 別 に は か る こ と に は 問 題 が あ る 。 む し ろ 、 政 策 的 コ ス ト と し て 扱 い 、 長 期 の 技 術 選 択 へ の 考 慮 要 因 と し て と り い れ て ゆ く こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ る 。 3
環境影響の外部性と課題
発電システムによる環境影響には、水質、土地利用、大気に対するも の 等 が あ る が 、 健 康 、 作 物 そ の 他 建 築 物 等 へ の 影 響 の 著 し い の は 、 化 石 燃 料 の 利 用 に 伴 う SOX、NOX、 粉 塵 及 び CO2に よ る も の で あ る 。 こ れ ら 汚 染 物 の 大 気 放 出 に 伴 う 影 響 は 、 サ イ ト と 地 域 環 境 特 性 に 応 じて異なったものとなる。第3図 Wide Range of Damage Cost
又損害の評価方式は推
Estimation ($/ton) 計者毎に異なるため、結 果 は 第 3 図 に 示 す 様 に 10 倍∼100 倍の差が生じ ている。一方、対策コスト の 方 は 、 採 用 さ れ る 技 術 による差異があるがその 巾はより小さなものとなっ ている(第4図)。汚染度 が 低 い 時 に は 限 界 的 な 損 害 に 対 す る 補 償 が えるのがコスト効果的であ るから、それが高くなると、対 策コストを支払うことの方が コスト効果的になる(第5図)。 第4図 Abatement Cost Estimation 第5図 損害コストと対策コスト ($/ton)
わが国の場合、化石燃料 第5 図 Comparison of Externalities プラントの排出ガスの除去対策 for Fossil Plants (¢/kWh)
は諸外国よりすすんでおり、 S OX∼0 . 3 8 g / k W h , N OX ∼0.46g/kWh, C∼160g/ kWh で SOX, NOX では OECD の他5ヶ国比較で 1/18, 1/7 となっている(第5図) ドイツでは、O.Hohrmeyer,と R . F r i e d r i c h が 、 資 源 枯 渇 に 対 す る 課 徴 金 や 補 助 金 を含めて外部コストを算出し ている(第6図)。Friedrich の数値の上限がHohrmeyer の 下 限 で 差 異 は 大 き い が 、 ひ とつの目安を提供している。 第6図 発電プラントの外部コスト/社会コストの比較 米国では、すでにいくつもの州で発電プラントの導入に際して、コストの一環 として外部性コストを導入し、トータルのコスト・ミニマムのプラント計画を策 定 し て い る 所 が あ る 。 更 に 、 わ が 国 の 直 接 的 な 排 出 規 制 に 対 し て 、 米 国 で は 排 出 権 の 取 引 が 出 来 る よ う な 規 制 方 式 を と り は じ め て お り 、 そ の 効 果 に つ い て は 慎 重 な 評 価 が 必 要 で あ ろ う 。 環 境 外 部 性 の ウ エ イ ト が 大きいのは CO2の効果である。この対策コストについては、CO2の回収、固定 化 の ア プ ロ ー チ と 、 植 林 に よ る C O2 固 定 が 提 起 さ れ て い る が 、 数 値 的 には後者の方に安いコストが示されている。
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