験震時報第49巻 (1984) 53-65頁
最 近 の 気 象 庁 地 震 観 測 網 の 震 源 決 定 能 力 *
-1979--1983-横 山 博 文 料
Epicenter Determination Ability of the Recent JMA Network - 1979-1983
-Hirofumi Yo託oyama
(Earthquake Prediction Information Division, .'JMA)
Since 76・type seismographs and ocean bottom seismographs were set up from 1976 to
1979, the epicenter determination ability of the JMA network has greatly progressed. Using data obtained from 1979 to 1983, the smallest magnitudes Ms in the region . classi -fied' by following methods are determined by applying the data to Gutenberg-Richter's formula. 1) Ms in the region divided into 10 x 10 areas. 2) Ms in the region classified by the shortest distanceL13 to more than three sta tions from .an epicenter.
It was found that all earthquakes above M3 occurring in the Japan island and all above M3.8 occurring in underwater regions within 200km of the coast of Japan have hadtheir . epicenters determined.
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1 はじめに 1965年---1947年の期聞について, 100倍 級 の 気 象 庁59年 型 地 震 計 に よ る 震 源 決 定 能 力 は 望 月 ら (1978)により調査され,内陸部に発生した地震の うちM4以上のものはもれなく決定されている乙と がわかった.その後1000倍級の67型地震計(以下 67型), 10000倍級の76型地震計(以下76型),海底 地 震 計 ( 以 下OBS)の展開により,気象庁の震源決 定能力は大きく向上した.市川 0978)はシミュ レーションにより,内陸部でM 3以上,海岸から 200km以内の海域に対してはM3.5以上ならば大部 分が決定可能としている. 今回の調査は76型およびOBSの 展 開 が 完 了 し た 1979年以降について行った.S
2 調査の対象としたデータ 1979年に76型およびOBSの展開が完了しそれ以降 1983年までの間,テレメータによるト,リガ一方式の 若干の変更はあるものの,気象庁の地震観測網はほ ぼ同じ状態であったと言える.この期間震源決定に 貢献しているのは, 67型, 76型ι
およびOBSで あ り, 59型等の低倍率の地震計は決定能力よりもむし ろ,震源の精度向上やマグニチュード決定に役立っ ていると考えられる.そこで今回の調査では1979年 ---1983年の5年間の気象庁で決めた震源のうち,マ グニチュードの決定したもので、60kmより浅いもの , (60kmより深いもの.は67型, 76型, OBSのデータ からはマグニチュードを決定する・方法が未だに求め られていなしサを対象とした.S
3 方 法 震源の決定能力は,対象とする地域医対応する観 測点の配置や地震計の感度によって左右される.し たがって対象とする地域内のどの点に対しても観測 点の配置が同じ条件であれば,その地域の中では震*
Received July 15, 1984 村 気 象 庁 地 震 予 知 情 報 課 つ d F D54 験 震 時 報 第 49巻 第}-2号 源決定能力は同じはずである.そ乙で今回の調査で は,望月ら(1978) と同様に,次の 2つの地域分け を行った. 1 )ある狭い地域を取れば,同じマグニチュード の地震であれば,その地域内のどの地点についても 同じ観測点からのデータが得られると考えられる. そこで狭い地域として緯度経度について
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1。のメ ッシュの地域を対象とした. 2)震源決定には最低3ケ所以上の観測点のP,S のデータが必要である.したがってある地点からみ て3ケ所以上の観測点が含まれる距離.
1
3'がある範 囲にあるとき,その地域の震源決定能力は同じであ ると考えられる.そこで次のように分類した ..
1
3 .壬100km .100く ん 壬200 200く ん 豆 300 300く ん 豆 400 400く ん 豆 500 た だ し ん は67型,ー76型および OBSIC対する距離で ある. 以上の2種類の地域分。けに基づき,次の方法で震 源決定されている最小のマグニチューr"Msを 推 定 しTこ. Gutenberg-Richterの式として知られているよう に,ある限られた地域について,‘そ乙に発生するマ グニチュード別地震回数n(M)とマグニチュードM のあいだには logn(M)=a-bM (a,bは定数) の関係がある.n(M)の代り lにとマクググ、o、ニチユ一ドM以上 の地震の総数N (宇津,,1,967) そこで,もL
マグニチューr
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M
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以上の地震がも れなく決定されていれば, logN(M)はM孟Msで'M と直線関係にあり, M<Msでは直線からはずれた 分布になる. したがって, logN (M)とMの関係を調 べ直線からはずれる直前のMをMsとすればよい. 実際ζ は,宇津(19l 67) の方法により,各MをMs としてb値の最尤推定値を計算し, M<Msでb値が 低下する乙とから, b値の変化と.各 b値における直 線と分布図の適合を見てMs
を決定した.S
4 結 果 (1)'lOx.1。メッシュの場合 Fig.,11ζ 各メッシュのM とlogN(M)の 関 係 を 示 す.右上の数字がメッシュの中心の緯度経度,b値で, 矢印で示した数字がMsである.直線は MslC対 す るb値の最尤推定値によってヲ│し、たものである. 期間が十分長いとは言えないので,地域によって は特定の地震活動(例えば1983年日本海中部地震) に対するものになっている. Fig.21乙各メッシュ毎の分布を示す.乙れにより 内陸部ではM 3以上の地震はほぼもれなく決定でき ている乙とがわかる. (2).
1
3別地域による推定.
1
3による地域分けにより,上の10X10メッシュの 場合ではデータ不足であった地域についても震源決 定能力を推定することができる. Fig.3に度数分布, Fig.4 に観測点の配置とL1~Jjlj 地域のMs
を示す . L13による地域分けでは広い範囲 が対象となるので,その全領域にっし)て必ずしも b 値が同じとは限らない,したがってMs付近でのb値 の変化がゆるやかであまり精度よく推定できなかっ た.r
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0 メッシュの場合よりもMs
がや.や大きい (特に内陸部)のはそのことによるものと思われる. 10 X1。メッ、ン、ュで‘Msが推定されている地域につい 1てはそちらを採用すべきであろう.また, 100kmくの壬
200km(沿岸からの距離が約200km)の 地 域 に ついて,r
x
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メッシュの場合と比較すると, 1x
1。メッシュでは太平洋側しかMs
が得られでいない が,沿岸から200km付近で、Msは3.6---3.9程 度 で あ る.これは, 100kmく ん 豆 200kmでの Ms3.8とほ ぼ一致する. したがって沿岸わら200km以内の海域 でのMsは日本海側も含めて 3.8という θは妥当であ る.S
5 まとめ 以上の結果から,気象庁の地震観測網は,日本付 近ζ 発生した地震に対して,内陸部でM 3以上,沿i 岸から200km以内の海域でM3.8以上のものはほぼ もれなぐ震源決定されていることがわ.かった.乙の 結果は市川のシミュレーション(1978) による結果 とほぼ一致する. しかし, Fig. 4が示すように,観測点の配置にはか たよりがあり,十分な震源決定ができない地域もあ る.地震予知の目的には,マグニチュードの小さい 地震の活動状態が重要な役割を果すので,乙れらの 地域にもさらに高感度の地震計を設置していく必要 がある. 謝 辞 乙の調査にあたり,地震予知情報課望月英志氏, 組 且 τ F h u最近の気象庁地震観測網の震源決定能力 5.5 また地震予知情報課データ処理係の諸氏から多くの 御助言,御協力をいただきました.ここに深く感謝 いたします. 望月英志,小林悦夫,岸尾政弘 (978) 1965-- -1974年の気象庁の震源検知能力,験震時報, 42, 23-30. 宇津徳治 0967) 地 震 の 規 模 別 度 数 分 布 に 関 連 す る諸問題, (1),北大地球物理学研究報告, 17, 85-112. 参考文献 市 川 政 治 (978):気象庁新地震観測網の震源決定 能力.験震時報, 42, 55 -60. ﹁ o p h u
験 震 時 報 第 49巻 第1-2号 56 ﹁ - t ' ト 3 1 2 同 0 4 3i ・ ~-132'E B= 1,7 " 0 4 o 4 .31)'N-13i 'E B= 1, 3
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-ロ ー z Fig.1 Magnitude-cumulative frequency for regions divided into 10 x 10 areas. P O F h u57 最近の気象庁地震服l闘の震源決定能力 34 0 N-132 0 E 日=I之 . 340 N_13IO ! : 日=1.0 ロ ー 330 N-141:!: B= 1. 6
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-5 門前. o -O H Fig. 3 : Magnitude-cumulative frequency' for regions classified by J 3. 64-最近の気象庁地殻見測網の震源、決定能力 65 130.