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JAIST Repository: Horizon2020における欧州技術プラットフォームを活用した官民パートナーシップ

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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title Horizon2020における欧州技術プラットフォームを活用 した官民パートナーシップ Author(s) 徳田, 昭雄 Citation 年次学術大会講演要旨集, 29: 242-247 Issue Date 2014-10-18

Type Conference Paper

Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/12437

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

(2)

横断イニシアチブ)に表したものである。例えばPPPのひとつEGVI(European Green Vehicle Initiative)は、エネルギー分野のSmartGrids、情報通信技術分野のEPoSS、輸送分野のERTRACの3 つのETPによってPPPの民間サイドが構成されているETPである。 3 ETPのミッション、活動、プロセス ETP 2020は、戦略機能、動員機能、普及機能からなる3つのミッションを自らに課している。3 つの ミッションとは、  H2020の3本の柱のうち「社会的挑戦」「産業リーダーシップ」の実行に必要な「戦略を立案」 すること、  産業界と他のステイクホルダーを含む「関係者を動員」すること、  ステイクホルダーにたいして幅広く「知識を普及」させること、である。 ミッションの遂行には、様々なアクター(産、官、学、地、協定締結国、NGO、消費者団体など)と のパートナーシップが有効である。特に、欧州委員会は自らがETPとの関係を密にすることによって、 実務を司る各総局がETPの活動に活発に参画していくことを意図している。 ETP 2020では、ETPのミッションを遂行するための以下の5つの核となる活動を示している。 ① 戦略的研究・イノベーション行動計画(Strategic Research and Innovation Agenda)を策定する

(技術ロードマップと実行計画を含む) ② 欧州レベルのR&I活動(H2020)への産業界の参画を奨励するとともに、加盟国レベルに参画者を 広げ、ケイパビリティの構築を助長する ③ 国際的な協調の機会を見出し、将来的な協調の促進に必要な取り決めを開発する ネットワーク構築の機会を提供する(他のETPとの協調を含む) ETPの高い専門性を活用するための新しいパートナーシップの形成を促進する 策定されたETP のミッションと 5 つの核となる活動は、次の 3 つのステージを経て実行されていく (Commission of the European Communities, 2005;European Commission, 2007)。

1. 関係者を広く集って、産業界が主導しながらコンセンサス・ベースでビジョンを作成・共有化する (関係者とのコンセンサスを図るためのステイクホルダー・フォーラムや諮問グループを設置)。 2. 関係者と調整しながら、SRIA(戦略的研究・イノベーション課題)を策定し、その展開戦略(技

術ロードマップ及びIAP:Implementation Action Plan)を明示する(加盟国政府の積極的関与を 取り持つミラーグループの設置)。 3. IAPを実行する。 図1 5つの核となる活動の実行 4 PPP の産業サイドのパートナー 欧州委員会のR&I政策の「鍵となる要素」としてETPが機能するための制度的な枠組みがPPP (Public-Private Partnership)である。2005年の新リスボン戦略以降、「PPPに基づく技術イニシア チブ」と「長期的な研究課題策定のためのETPの組織化」がEUの産業基盤の競争優位に結びつくとの

共通認識が欧州委員会にひろがっていた(Commission of the European Communities, 2005)。そし てETPは2007年開始のFP7から、PPPの産業(民)サイドのパートナーに位置づけられるようになって いった。

ETPは、FP7においてPPPの新しい実行プロジェクトとして導入された共同技術イニシアチブJTI (Joint Technology Initiative)や契約的PPP(Contractual Public-Private Partnership)をとりまと

1H07

Horizon2020 における欧州技術プラットフォームを活用した

官民パートナーシップ

○徳田昭雄(立命館大学) 1 はじめに 2014年、EUはポスト第7次フレームワーク・プログラム(2007-2013年)にあたる「Horizon 2020: the Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020)」を開始した。Horizon2020 (以下H2020)は、欧州委員会の研究・イノベーション(Research&Innovation)政策を推進していく ための資金配分プログラムである。H2020に基づいて、欧州委員会は2014年から2020年までの7年間に 約800億ユーロをR&Iに投資する。この額は、従来のフレームワーク・プログラム(FP1~FP7)で最大 であり、世界で最も巨額の公的な研究ファンドになる。本報告では「ETP(European Technology Platform)」に着目し、欧州委員会がH2020の枠組みを使って、どのようにR&I政策を実行に移してい るのかを紹介する。ETPとは、重点R&IプロジェクトとしてH2020の下に設置された複数の官民パート ナーシップ(Public-Private Partnership:以下PPP)における民間サイドの組織である。 2 ETPのビジョンと活動中のETP

2013年、欧州委員会は『ETP 2020』(European Commission, 2013a)を公表した。ETP2020は、 2008年から2010年に実施されたETPの評価報告(IDEA Consult, 2008: European Commission, 2009b: European Commission, 2010)が指摘した様々な勧告を取り入れて、2020年に向けた基本方針を示し ている。ETP 2020には、ETPのビジョンが次のように掲げられている。 ビジョン ETPは、欧州のイノベーション・エコシステムにおいて鍵となる要素になる。ETPは、欧州のイノベ ーション・ユニオン(Innovation Union)への転換を促進していく。 グロ ーバル市場 において欧 州の企業が 競争優位を 獲得できる ように、ETPはホリスティック (holistic)な視点に立ち、研究の商業的展開への道筋を理解し、市場機会やニーズにたいする戦略的洞 察を備え、EUのイノベーション・アクターを動員・ネットワーク化していく必要がある。 そもそもETPは、産業界が非公式かつ自主的に特定の技術分野・産業セクターの関係者を束ねたEU に点在するフォーラムに過ぎなかった。それが、2000年に欧州理事会で採択されたリスボン戦略やERA (欧州研究エリア)の創設を契機に、EUのR&I政策の一翼を担う組織として欧州委員会の目に留まり、 ETPという呼称が与えられるようになる。それ以来、ETPの存在感は年を重ねるにつれて大きくなって いく。FP7開始時点では欧州委員会によって既に34のETPが認定されていた(European Commission, 2009a)。そして、上記ビジョンに掲げられているように、いまや欧州のイノベーションの「鍵となる 要素」になることが期待されている。 表1 分野別 ETP 出所)http://cordis.europa.eu/technology-platforms/individual_en.html H2020開始の2014年時点において、ETP 2020のビジョンを共有するETPは40にまで膨らんでいる。 表1は、40のETPを分野別(バイオ、エネルギー、環境、情報通信技術、生産・プロセス、輸送、分野

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横断イニシアチブ)に表したものである。例えばPPPのひとつEGVI(European Green Vehicle Initiative)は、エネルギー分野のSmartGrids、情報通信技術分野のEPoSS、輸送分野のERTRACの3 つのETPによってPPPの民間サイドが構成されているETPである。 3 ETPのミッション、活動、プロセス ETP 2020は、戦略機能、動員機能、普及機能からなる3つのミッションを自らに課している。3 つの ミッションとは、  H2020の3本の柱のうち「社会的挑戦」「産業リーダーシップ」の実行に必要な「戦略を立案」 すること、  産業界と他のステイクホルダーを含む「関係者を動員」すること、  ステイクホルダーにたいして幅広く「知識を普及」させること、である。 ミッションの遂行には、様々なアクター(産、官、学、地、協定締結国、NGO、消費者団体など)と のパートナーシップが有効である。特に、欧州委員会は自らがETPとの関係を密にすることによって、 実務を司る各総局がETPの活動に活発に参画していくことを意図している。 ETP 2020では、ETPのミッションを遂行するための以下の5つの核となる活動を示している。 ① 戦略的研究・イノベーション行動計画(Strategic Research and Innovation Agenda)を策定する

(技術ロードマップと実行計画を含む) ② 欧州レベルのR&I活動(H2020)への産業界の参画を奨励するとともに、加盟国レベルに参画者を 広げ、ケイパビリティの構築を助長する ③ 国際的な協調の機会を見出し、将来的な協調の促進に必要な取り決めを開発する ネットワーク構築の機会を提供する(他のETPとの協調を含む) ETPの高い専門性を活用するための新しいパートナーシップの形成を促進する 策定されたETP のミッションと 5 つの核となる活動は、次の 3 つのステージを経て実行されていく (Commission of the European Communities, 2005;European Commission, 2007)。

1. 関係者を広く集って、産業界が主導しながらコンセンサス・ベースでビジョンを作成・共有化する (関係者とのコンセンサスを図るためのステイクホルダー・フォーラムや諮問グループを設置)。 2. 関係者と調整しながら、SRIA(戦略的研究・イノベーション課題)を策定し、その展開戦略(技

術ロードマップ及びIAP:Implementation Action Plan)を明示する(加盟国政府の積極的関与を 取り持つミラーグループの設置)。 3. IAPを実行する。 図1 5つの核となる活動の実行 4 PPP の産業サイドのパートナー 欧州委員会のR&I政策の「鍵となる要素」としてETPが機能するための制度的な枠組みがPPP (Public-Private Partnership)である。2005年の新リスボン戦略以降、「PPPに基づく技術イニシア チブ」と「長期的な研究課題策定のためのETPの組織化」がEUの産業基盤の競争優位に結びつくとの

共通認識が欧州委員会にひろがっていた(Commission of the European Communities, 2005)。そし てETPは2007年開始のFP7から、PPPの産業(民)サイドのパートナーに位置づけられるようになって いった。

ETPは、FP7においてPPPの新しい実行プロジェクトとして導入された共同技術イニシアチブJTI (Joint Technology Initiative)や契約的PPP(Contractual Public-Private Partnership)をとりまと

1H07

Horizon2020 における欧州技術プラットフォームを活用した

官民パートナーシップ

○徳田昭雄(立命館大学) 1 はじめに 2014年、EUはポスト第7次フレームワーク・プログラム(2007-2013年)にあたる「Horizon 2020: the Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020)」を開始した。Horizon2020 (以下H2020)は、欧州委員会の研究・イノベーション(Research&Innovation)政策を推進していく ための資金配分プログラムである。H2020に基づいて、欧州委員会は2014年から2020年までの7年間に 約800億ユーロをR&Iに投資する。この額は、従来のフレームワーク・プログラム(FP1~FP7)で最大 であり、世界で最も巨額の公的な研究ファンドになる。本報告では「ETP(European Technology Platform)」に着目し、欧州委員会がH2020の枠組みを使って、どのようにR&I政策を実行に移してい るのかを紹介する。ETPとは、重点R&IプロジェクトとしてH2020の下に設置された複数の官民パート ナーシップ(Public-Private Partnership:以下PPP)における民間サイドの組織である。 2 ETPのビジョンと活動中のETP

2013年、欧州委員会は『ETP 2020』(European Commission, 2013a)を公表した。ETP2020は、 2008年から2010年に実施されたETPの評価報告(IDEA Consult, 2008: European Commission, 2009b: European Commission, 2010)が指摘した様々な勧告を取り入れて、2020年に向けた基本方針を示し ている。ETP 2020には、ETPのビジョンが次のように掲げられている。 ビジョン ETPは、欧州のイノベーション・エコシステムにおいて鍵となる要素になる。ETPは、欧州のイノベ ーション・ユニオン(Innovation Union)への転換を促進していく。 グロ ーバル市場 において欧 州の企業が 競争優位を 獲得できる ように、ETPはホリスティック (holistic)な視点に立ち、研究の商業的展開への道筋を理解し、市場機会やニーズにたいする戦略的洞 察を備え、EUのイノベーション・アクターを動員・ネットワーク化していく必要がある。 そもそもETPは、産業界が非公式かつ自主的に特定の技術分野・産業セクターの関係者を束ねたEU に点在するフォーラムに過ぎなかった。それが、2000年に欧州理事会で採択されたリスボン戦略やERA (欧州研究エリア)の創設を契機に、EUのR&I政策の一翼を担う組織として欧州委員会の目に留まり、 ETPという呼称が与えられるようになる。それ以来、ETPの存在感は年を重ねるにつれて大きくなって いく。FP7開始時点では欧州委員会によって既に34のETPが認定されていた(European Commission, 2009a)。そして、上記ビジョンに掲げられているように、いまや欧州のイノベーションの「鍵となる 要素」になることが期待されている。 表1 分野別 ETP 出所)http://cordis.europa.eu/technology-platforms/individual_en.html H2020開始の2014年時点において、ETP 2020のビジョンを共有するETPは40にまで膨らんでいる。 表1は、40のETPを分野別(バイオ、エネルギー、環境、情報通信技術、生産・プロセス、輸送、分野

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(Sustainable Process Industry)がその後に加わることになった。

それぞれが独自のCallプロセスや評価手法を有するJTIとは違って、欧州委員会が共通のルールを適 用する契約的PPPは、ステイクホルダーにより強い支持を得ている(European Commission, 2013e)。 また、EGVIが複数のETP(ERTRAC、EPoSS、SmartGrids)によって構成されているように、産業 サイドの契約主体は複数のETPないし組合(association)のパートナーシップに基づいている。 下表はFP7 から契約的 PPP へのファンディングの内訳である。後に追加された SPIRE を除く 3 つ のPPP(SPIRE、EGVI、EeB)には、2010 年から 2013 年までの 4 年間に FP7(Cooperation)から 約16 億ユーロ、産業界サイドと合わせると約 32 億ユーロが R&I に投資されたことになる(European Commission, 2013c)。同表には、投資母体別(欧州委員会部局別)の金額も示されている。3 つの契約 的PPP とも、クロスセクショナルな投資であることがわかる。FP7 あるいは H2020 の PPP への官サ イドの投資は、複数の「お財布」を通じて(部局にまたがって)行われる。さらに、同じ PPP の元で

計画・実行されるプロジェクトであっても、プロジェクトのCfP(Call for Proposal)の性格に応じて、 「お財布」の種類や出資比率は異なる。

表2 FP7(Cooperation)からの契約的 PPP への投資内訳および投資母体カテゴリー内訳

出所)European Commission(2013c)p. 16. Table 2.

*NMP はナノテクノロジー・先端材料・製造、TRS は輸送、ENE はエネルギー、ENV は環境。

なお、2013 年 12 月にブリュッセルにおいて、契約的 PPP の調印のセレモニーが開催された。4 つの 契約的PPP の契約が更新されるとともに、Robotics、Photonics、ETP4HPC(ETP for High Performance Computing)、5G Infrastructure の 4 つの契約的 PPP が加わることになった。これにより、H2020 では5 つの JTI と 8 つの契約的 PPP の合計 13 の R&I イニシアチブが着手されることになる。 5 PPPのガバナンスとタスク 契約的PPP の民間サイドのパートナーは、既存の ETP から欧州委員会が R&I 政策に沿うものを選 定することから始まる。次いで、選定されたETP の関係者が協議を重ね、ETP が欧州委員会に計画案 を提出する。欧州委員会は外部有識者とともに、この計画案について H2020 の基準にしたがいコンプ ライアンス・チェックを実施する。そして最終的にチェックをクリアした ETP が、欧州委員会との契 約調印にいたる。 図3 契約的 PPP のガバナンス(例:EGVI) 出所)ERTRAC, et al (2013) p.24, Figure 9. めて実行する重要な役割を担っている(Commission of the European Communities, 2005)。ETPは、

従来のFPにおける協力プロジェクトとは異なり、ファンディングの基礎となる長期的ロードマップを産 業界が主体となって産業界の利害とニーズを反映させて作成する。そして欧州委員会は、R&Iファンデ ィングプログラムのCall実施とプログラム管理に徹する。いわゆる、欧州委員会主導のトップダウン型 の協力プログラムにかわって、産業界のケイパビリティを活かしたボトムアップ型のR&Iの仕組みが導 入されたということになる。 さて、欧州委員会が特定のフォーラムをETPに認定したとしても、ETPにたいして直ちにPPPを通じ たR&Iファンドが確約される訳ではない。次のすべての評価基準にしたがって、オープンかつ透明性を もった審査が行われる。  EUレベルの活動に対する付加価値  産業競争力、雇用創出、持続可能な成長、社会的挑戦を含む社会経済的課題に対する影響力の程 度  共有されたビジョンと明確に定義された諸目的に基づく全てのパートナーからの長期的コミッ トメント  R&Iに投じられるリソースの量と追加的な投資を呼び込む能力  パートナー各々の役割の明確な定義と、選択期間における鍵となる業績指標への同意 以上の評価基準をクリアして、すでにFP7 においてファンドを獲得し、H2020 のもとでも継続され ているPPP がある。それらの PPP は、開始時期と組織形態の違いから 2 つに分けることができる。 ひとつは、2008年に開始されたJTIと称される制度的PPP(Institutionalized Public-Private Partnership)である(Commission of the European Communities, 2004)。欧州委員会は、組込みソ フトウェア分野のARTEMISをはじめ、ナノエレクトロニクス分野のENIAC(European

Nanoelectronics Initiative Advisory Council)、革新的医薬(IMI)、航空学と航空輸送(Clean Sky)、 燃料電池・水素(FCH)の5つのETPをJTIに選定した。JTIは、EGVIのような複数のETPが協調する 契約的PPPとは異なり、既存のETPが単独でPPPの産業サイドのパートナーになっている。 図2 制度的PPPと契約的PPP 5つのJTIは、2008年から2017年までの10年間で総予算100億ユーロを越える規模のR&I資金を調達し 運営されている。なお、H2020からはARTEMISとENIACを産業サイドのパートナーとしたJTIが、 ECSELと称される新たなJTIに統合された。これにより、JTIにも複数のETPが協調する形態が導入さ れたことになる。くわえて、H2020から新たにBio-based industries がJTIに加わっている(図2参照)。

PPP のもうひとつの形態は、リーマンショックを発端とする金融・経済危機からの脱却を図るために、 欧州経済再生計画(European Economic Recovery Plan)のもとで開始された契約的 PPP である(当 初は研究PPP と称されていた)。契約的 PPP には、マニュファクチャリング、建設、自動車の 3 業界 から、それぞれFoF(Factories of the Future)、EeB(Energy-efficient Buildings)、EGCI(European Green Car Initiative, 後に EGVI へ名称変更)が選定された。くわえて、プロセス分野の SPIRE

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(Sustainable Process Industry)がその後に加わることになった。

それぞれが独自のCallプロセスや評価手法を有するJTIとは違って、欧州委員会が共通のルールを適 用する契約的PPPは、ステイクホルダーにより強い支持を得ている(European Commission, 2013e)。 また、EGVIが複数のETP(ERTRAC、EPoSS、SmartGrids)によって構成されているように、産業 サイドの契約主体は複数のETPないし組合(association)のパートナーシップに基づいている。 下表はFP7 から契約的 PPP へのファンディングの内訳である。後に追加された SPIRE を除く 3 つ のPPP(SPIRE、EGVI、EeB)には、2010 年から 2013 年までの 4 年間に FP7(Cooperation)から 約16 億ユーロ、産業界サイドと合わせると約 32 億ユーロが R&I に投資されたことになる(European Commission, 2013c)。同表には、投資母体別(欧州委員会部局別)の金額も示されている。3 つの契約 的PPP とも、クロスセクショナルな投資であることがわかる。FP7 あるいは H2020 の PPP への官サ イドの投資は、複数の「お財布」を通じて(部局にまたがって)行われる。さらに、同じ PPP の元で

計画・実行されるプロジェクトであっても、プロジェクトのCfP(Call for Proposal)の性格に応じて、 「お財布」の種類や出資比率は異なる。

表2 FP7(Cooperation)からの契約的 PPP への投資内訳および投資母体カテゴリー内訳

出所)European Commission(2013c)p. 16. Table 2.

*NMP はナノテクノロジー・先端材料・製造、TRS は輸送、ENE はエネルギー、ENV は環境。

なお、2013 年 12 月にブリュッセルにおいて、契約的 PPP の調印のセレモニーが開催された。4 つの 契約的PPP の契約が更新されるとともに、Robotics、Photonics、ETP4HPC(ETP for High Performance Computing)、5G Infrastructure の 4 つの契約的 PPP が加わることになった。これにより、H2020 では5 つの JTI と 8 つの契約的 PPP の合計 13 の R&I イニシアチブが着手されることになる。 5 PPPのガバナンスとタスク 契約的PPP の民間サイドのパートナーは、既存の ETP から欧州委員会が R&I 政策に沿うものを選 定することから始まる。次いで、選定されたETP の関係者が協議を重ね、ETP が欧州委員会に計画案 を提出する。欧州委員会は外部有識者とともに、この計画案について H2020 の基準にしたがいコンプ ライアンス・チェックを実施する。そして最終的にチェックをクリアした ETP が、欧州委員会との契 約調印にいたる。 図3 契約的 PPP のガバナンス(例:EGVI) 出所)ERTRAC, et al (2013) p.24, Figure 9. めて実行する重要な役割を担っている(Commission of the European Communities, 2005)。ETPは、

従来のFPにおける協力プロジェクトとは異なり、ファンディングの基礎となる長期的ロードマップを産 業界が主体となって産業界の利害とニーズを反映させて作成する。そして欧州委員会は、R&Iファンデ ィングプログラムのCall実施とプログラム管理に徹する。いわゆる、欧州委員会主導のトップダウン型 の協力プログラムにかわって、産業界のケイパビリティを活かしたボトムアップ型のR&Iの仕組みが導 入されたということになる。 さて、欧州委員会が特定のフォーラムをETPに認定したとしても、ETPにたいして直ちにPPPを通じ たR&Iファンドが確約される訳ではない。次のすべての評価基準にしたがって、オープンかつ透明性を もった審査が行われる。  EUレベルの活動に対する付加価値  産業競争力、雇用創出、持続可能な成長、社会的挑戦を含む社会経済的課題に対する影響力の程 度  共有されたビジョンと明確に定義された諸目的に基づく全てのパートナーからの長期的コミッ トメント  R&Iに投じられるリソースの量と追加的な投資を呼び込む能力  パートナー各々の役割の明確な定義と、選択期間における鍵となる業績指標への同意 以上の評価基準をクリアして、すでにFP7 においてファンドを獲得し、H2020 のもとでも継続され ているPPP がある。それらの PPP は、開始時期と組織形態の違いから 2 つに分けることができる。 ひとつは、2008年に開始されたJTIと称される制度的PPP(Institutionalized Public-Private Partnership)である(Commission of the European Communities, 2004)。欧州委員会は、組込みソ フトウェア分野のARTEMISをはじめ、ナノエレクトロニクス分野のENIAC(European

Nanoelectronics Initiative Advisory Council)、革新的医薬(IMI)、航空学と航空輸送(Clean Sky)、 燃料電池・水素(FCH)の5つのETPをJTIに選定した。JTIは、EGVIのような複数のETPが協調する 契約的PPPとは異なり、既存のETPが単独でPPPの産業サイドのパートナーになっている。 図2 制度的PPPと契約的PPP 5つのJTIは、2008年から2017年までの10年間で総予算100億ユーロを越える規模のR&I資金を調達し 運営されている。なお、H2020からはARTEMISとENIACを産業サイドのパートナーとしたJTIが、 ECSELと称される新たなJTIに統合された。これにより、JTIにも複数のETPが協調する形態が導入さ れたことになる。くわえて、H2020から新たにBio-based industries がJTIに加わっている(図2参照)。

PPP のもうひとつの形態は、リーマンショックを発端とする金融・経済危機からの脱却を図るために、 欧州経済再生計画(European Economic Recovery Plan)のもとで開始された契約的 PPP である(当 初は研究PPP と称されていた)。契約的 PPP には、マニュファクチャリング、建設、自動車の 3 業界 から、それぞれFoF(Factories of the Future)、EeB(Energy-efficient Buildings)、EGCI(European Green Car Initiative, 後に EGVI へ名称変更)が選定された。くわえて、プロセス分野の SPIRE

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 European Commission (2013a) Commission Staff Working Document, Strategy for European Technology Platforms: ETP 2020, Brussels, 12.7.2013, SWD (2013) 272 final.

 European Commission(2013b)Contractual public-private partnerships in Horizon 2020: for

research and innovation in the manufacturing, construction, process industry and automotive sectors. Luxemburg Publications Office of the European Union.

 European Commission(2013c)Final Assessment of the Research PPPs in the Recovery Plan, Luxemburg: Publication Office of the European Union.

 IDEA Consult (2008) Evaluation of the European Technology Platforms (ETPs) , IDEA Consult nv.

 José-Lorenzo Vallés, DG Research & Innovation (2013) FoF, EeB, EGVI & SPIRE Implementation of the four cross-cutting Contractual PPPs under Horizon 2020, PPPs

Information day’s presentation material, 16-17 December 2013.

 Steiger, W (2013) European Green Vehicles Initiative, Presentation material of PPPs

Information Days, 16 December 2013 Brussels. 契約調印後、欧州委員会はガバナンス上、複数のETPによって構成される産業組合との窓口であるパ ートナーシップ・ボードを通じて契約的PPPに関与する(図3太枠)。このパートナーシップ・ボードが 触媒となって、産業組合、欧州委員会、ステイクホルダーと協調しながら、プログラムでカバーされる トピックの提案や契約的PPPの複数年ロードマップの更新を行う。 このようなガバナンス・メカニズムの下、契約的PPPのタスクは図4のようになる。先ず、EGVIの産 業組合がSRIAおよび長期ロードマップを作成する。次いで長期ロードマップに基づきEGVI PPPがプロ ジェクトのトピック選定、複数年ロードマップ作成、優先事項の取り纏めをおこなう。これをもとに欧 州委員会がCfPのマネジメント(CfPの開始、評価、選定、交渉、契約)にあたる。そして、契約にい たったプロジェクトに対して官民双方からファンディングが実施され、内部・外部の監視・査定を受け ながらプロジェクトが遂行されている。 図4 EGVI PPPのタスク 出所)ERTRAC,

et al

(2013) p. 3, Figure 5. <参考文献>

 Commission of the European Communities (2004) Green Paper On Public-Private Partnerships and Community Law on public Contracts and Concessions. Brussels, 30.4.2004 COM (2004) 327 final.

 Commission of the European Communities (2005) Commission Staff Working Document, Report on European Technology Platforms and Joint Technology Initiatives: Fostering Public-Private R&D Partnerships to Boost Europe’s Industrial Competitiveness, Brussels, 10.6.2005, SEC(2005) 800.

 European Commission (2007) Third Status Report on European Technology Platform: At the Launch of FP7, European Communities.

 European Commission (2009a) Forth Status Report on European Technology Platforms: Harvesting the Potential, August 2009, European Communities.

 European Commission (2009b) Strengthening the role of European Technology Platforms in addressing Europe’s Grand Societal Challenges, Report of the ETP Expert Group, European Union.

 European Commission(2010)Role of European technology Platforms in the preparation of work programmes – DG RTD Internal Audit Report.

 European Commission (2011a) Interim assessment of the research PPPs in the European economic recovery plan, Publications Office of the European Union.

 European Commission(2011b)Proposal for a Council Decision establishing the Specific Programme Implementing Horizon 2020 - The Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020) (Text with EEA relevance){SEC(2011) 1427-Volume 1}{SEC(2011) 1428-Volume 1} Brussels, 30.11.2011, COM (2011) 811 final, 2011/0402 (CNS)

(7)

 European Commission (2013a) Commission Staff Working Document, Strategy for European Technology Platforms: ETP 2020, Brussels, 12.7.2013, SWD (2013) 272 final.

 European Commission(2013b)Contractual public-private partnerships in Horizon 2020: for

research and innovation in the manufacturing, construction, process industry and automotive sectors. Luxemburg Publications Office of the European Union.

 European Commission(2013c)Final Assessment of the Research PPPs in the Recovery Plan, Luxemburg: Publication Office of the European Union.

 IDEA Consult (2008) Evaluation of the European Technology Platforms (ETPs) , IDEA Consult nv.

 José-Lorenzo Vallés, DG Research & Innovation (2013) FoF, EeB, EGVI & SPIRE Implementation of the four cross-cutting Contractual PPPs under Horizon 2020, PPPs

Information day’s presentation material, 16-17 December 2013.

 Steiger, W (2013) European Green Vehicles Initiative, Presentation material of PPPs

Information Days, 16 December 2013 Brussels. 契約調印後、欧州委員会はガバナンス上、複数のETPによって構成される産業組合との窓口であるパ ートナーシップ・ボードを通じて契約的PPPに関与する(図3太枠)。このパートナーシップ・ボードが 触媒となって、産業組合、欧州委員会、ステイクホルダーと協調しながら、プログラムでカバーされる トピックの提案や契約的PPPの複数年ロードマップの更新を行う。 このようなガバナンス・メカニズムの下、契約的PPPのタスクは図4のようになる。先ず、EGVIの産 業組合がSRIAおよび長期ロードマップを作成する。次いで長期ロードマップに基づきEGVI PPPがプロ ジェクトのトピック選定、複数年ロードマップ作成、優先事項の取り纏めをおこなう。これをもとに欧 州委員会がCfPのマネジメント(CfPの開始、評価、選定、交渉、契約)にあたる。そして、契約にい たったプロジェクトに対して官民双方からファンディングが実施され、内部・外部の監視・査定を受け ながらプロジェクトが遂行されている。 図4 EGVI PPPのタスク 出所)ERTRAC,

et al

(2013) p. 3, Figure 5. <参考文献>

 Commission of the European Communities (2004) Green Paper On Public-Private Partnerships and Community Law on public Contracts and Concessions. Brussels, 30.4.2004 COM (2004) 327 final.

 Commission of the European Communities (2005) Commission Staff Working Document, Report on European Technology Platforms and Joint Technology Initiatives: Fostering Public-Private R&D Partnerships to Boost Europe’s Industrial Competitiveness, Brussels, 10.6.2005, SEC(2005) 800.

 European Commission (2007) Third Status Report on European Technology Platform: At the Launch of FP7, European Communities.

 European Commission (2009a) Forth Status Report on European Technology Platforms: Harvesting the Potential, August 2009, European Communities.

 European Commission (2009b) Strengthening the role of European Technology Platforms in addressing Europe’s Grand Societal Challenges, Report of the ETP Expert Group, European Union.

 European Commission(2010)Role of European technology Platforms in the preparation of work programmes – DG RTD Internal Audit Report.

 European Commission (2011a) Interim assessment of the research PPPs in the European economic recovery plan, Publications Office of the European Union.

 European Commission(2011b)Proposal for a Council Decision establishing the Specific Programme Implementing Horizon 2020 - The Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020) (Text with EEA relevance){SEC(2011) 1427-Volume 1}{SEC(2011) 1428-Volume 1} Brussels, 30.11.2011, COM (2011) 811 final, 2011/0402 (CNS)

表 2 FP7 ( Cooperation )からの契約的 PPP への投資内訳および投資母体カテゴリー内訳
図 2   制度的 PPP と契約的 PPP

参照

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