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Title
IT活用の駆動力となるインスティチューションの柔軟
性を引き出す政策オプションの検証(ITと科学技術)
Author(s)
近藤, 玲子; 渡辺, 千仭
Citation
年次学術大会講演要旨集, 18: 369-372
Issue Date
2003-11-07
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6902
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
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(総務省
) ,渡辺 千何
(東工大社会理工学
) 1 . 序 l T 化の進展に伴 う 工業化社会から 情報化社会へのパ ラダイムシフト 下で、 工業化社会での 成功モデルを 組織的 慣性として引きずる 日本では、 社会経済体質 ( インスティ チューション ) ' の 柔軟性が低下し、 企業を中心に「イン プット(I
T 投資 ) 」面では国際的にも 遜色ないレベルに なりつつあ るが、 「アウトプット ( 同効果の発現 ) 」におい ては著しく立ち 遅れていることで I T の効果的活用をな の 柔軟性の低下に 起因しており、 それがさらなる 国際競争 力の低下を引き 起こす悪循環を 生じている (Kondo ㎝ d Watanabe , 2003[6])oI
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木口 し えず、 国際競争力も 低下する悪循環が 発生している。 本研究では、 日本における 利 活用面からみた IT 化の実 態を踏まえ、 その基盤となった 1980 年代から 1990 年代に かけてのインスティチューションの 変容を米国と 対比し つつ分析し、 I T の効用を最大限引き 出すために供給 側 指 向であ った技術政策から、 より需要 側 指向の技術政策へと シフトすることが 要諦となることを 導出する。 また、 その ためのアプローチとして 地上テレビ放送のデジタル 化を 具体的事例として、 技術の代替政策の 有効性を検証する。 2. 日本における 1 丁 化の現状@
" 。 一 。 "1 図 ].]980 年代から 2000 年初頭にかけての 日米競争力の 変遷 出典 「竜子商取引に 関する 市均 規模 実態調査報告辞」 W 平成 l2 年度 ) ( 竜子商取引推進協 音会 ) 「 l T 分野の市場動向に 関する 調査」 ( 平成 l3 年 ) ( 野村総研 ) 1990 年代に飛躍的な 発展を遂げた 情報通信技術 (IT) 実際、 日本における I T の普及状況を 見てみると、 平 は 、 農業革命・産業革命に 比肩する変革の 可能性を社会終 成 14 年末時点での 我が国のインターネ、 ット 利用人ロ は 済 にもたらしたが、 IT による技術革新そのものはあ くま 6,942 万人と推計されており、 1 年間で 1,349 万人増加し でも成長の可能性であ り、 その潜在力を 引き出すためには、 国民の 2 人に 1 人はインターネ、 ット を利用している 状況に 技術革新を誘導し 、 受け入れ、 使いこなす社会経済体質 ( イ なった ( 総務省, 2003[2]) 。 また、 個人における 1T 機器 1997[9])o ンスティチューション
)
の 柔軟性が不可欠であ る(OECD,
利用状況の推移については、
ンターネット、 携帯電話、 カーナビ等、
図2
に示すとおり、
世帯普及率はPC
着実、
イ に 増加している。 企業についても 図 3 に示すとおり、 平成 図 ] は、 IMD ( 国際経営開発研究所 ) により毎年発表 14 年末では 95% 以上の企業でインターネ、 ット 利用が可能 されている競争カランキングを 用いて、 日米の競争力の 変 となっている。 遷を I T の普及に照らしつつ 比較しており、 1980 年代に % ,m は 1 位を保持していた 日本が 1990 年代に入りその 座を米回 に譲り、 競争力が低下している 事態を露呈している。
1990 年代の社会経済に 変革の波をもたらした IT の影響 に 鑑みれば、 1990 年代に顕著な 日本の競争力の 低下は 、 I T の潜在力を引き 出すためのインスティチューション
Ⅰここでは「インティチューション」とは、 技術の革新・ 普及に l 朔 勝 柳 0 %[ 2002 年 影響を及ぼす「社会・ 経済・文化・ 伝統・習慣・ 規制」等広義の 「社会経済体質」を 指す (North,1994[8]) 図 2. 世帯における I T 化 ( 情報機器の普及率 ) 出典 平成 l4 年度通信利用動向調査 ( 総務省 )
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100 人中のインターネット 干 @ 」 用者 放 図 4. インターネットの 廿及 率の生産性への 文献 (2000 年 ) 出典 728 ㏄ 5
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削減『
占
" 売圭 " 営巣 "' 克史 。 ま 梓宮 "e 理集 " 基幹業務 ' 。 """" 丑仁 ""'""" 整 付 図 6. 企莱 における情報化投資の 動向 出典 : 平成 l4 年版情報通信自ヰ ( 総務省 )3. 日米のインスティテューションの 変容 力 回復のための 積極的な取組等 ( 図 8L 、 生産性回復のた 前節で示された 日本における I T 利 活用の遅れには、 欧 米諸国へのキャッチアップを 前提に効果的に 機能してい た、 終身雇用、 年功序列システム、 系列による長期継続的 取引 M 係 、 メインバンクシステム、 システムの補完性と 依 存性等といった 技術の供給側で 効率性を求め 高い安定性 を 維持する体質、 また、 日本固有の単一民族性や 国土の孤 立性によって 培われたと考えられる 変化への抵抗感、 閉鎖 的情報共有、 暗黙知華 の インスティチューションが、 変化 に対する柔軟な 対応が要となる 汀の変革の波の 下では構 造的慣性 (Ha
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㎝ 簗 dF 穫 emm, 1984[3]) として逆に弊害と なり、 I T の効用を十分に 活用できていないという 状況に 因るところが 大きいと考えられる (Kondo mdWatanl あ e, 2003[6])0 更に、 1980 年代までの工業化社会では、 上述の社会経 済システムの 下で企業と個人の 結び付きが密であ り、 柔軟 な個人のインスティチューションと 企業のインスティチ ューションが 一体となって 成功への礎を 築いたとも言え るが、 1990 年代の I T 化の進展に伴い、 若い世代を中心 とする個人が 柔軟に変化に 対応し、 i,mode に代表される ような ぼ利 活用の波を引き 起こしたのに 比べ ( 近藤,渡 辺 2002, [1]) 、 企業は 1980 年代の成功モデルに 組織的慣 性により捕われたまま、 個人との結びつきも 緩くなり I T の効用を活用し 切れていない 状況が浮かび 上がる ( 図 7) 。 実際、 社会経済性賛成本部の 調査 ( 「平成 15 年度新入社員 (3699 人 ) の働くことの 意識調査結果」、 2003 、 6) によれば、 就職先を選んだ 理由として会社の 将来性を考慮したと 答 えたのは今年の 新規採用者のうち 8% に過ぎない結果とな っており、 20 年前の 27% から大きく低下していることが 分かる。 90 年 代 窩放 組解 代 年@A
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緩 竹杖 業 企 密 図 7. インスティチューションの 視点から見た 個人と企業の 関係 の変遷 一方、 米国においては、 1980 年代の深刻な 不況の下、 直接資本市場からの 収益性に対する 圧力を背景とした「選 択と集中」、 「アウトソーシンバ」による 効率化、 モジュー ル化とアライアンスによる 水平展開、 情報開示と消費者 ( 需要 側 ) を軸としたビジネス 展開、 更に政府による 競争 めの累積的努力を 重ね、 また日本とは 対照的な多民族国家 や開拓により 築かれた歴史にも 背景を持っと 考えられる 未知・異質文化の 受け入れ、 変化への柔軟な 適応力にも後 押しされて 1990 年代のば革命の 進展をタイミンバよく 捕 え、 I T の効用を引き 出すことに成功したものといえる。 Windows@2000@ -0@Ⅰ Y>@[email protected] Ⅰ , / Ⅰ ==a のの - ぺ ︵ -.. 卜 八 +-do0Mm [BM
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図 8. lT の進展と米田の 累積努力にかかる 実賈 GDP の変化 4. 桔報 化社会における 技術政策 以上のように 情報化社会から 工業化社会へのパラダイ ムシフト下で、 米国が 1980 年代の生産性回復に 向けて努 力を重ね、
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年に渡る国をあ げての研究開発及び 基盤整 備への投資に 帰するインターネ、 ット の発展 (MOwe 卍 and S@coe,2002[7]) を機とする 1990 年代の IT 革命の波に共 鳴することが 出来た一方で、 日本では特に 企業が内包する 1980 年代からの組織的慣性が I T の効果的活用の 低迷を 招いており、 これが 1990 年代以降の日本の 競争力低下に 与えた影響は 無視できない。 一方、 こうしたなかでも 爆発的な普及・ 発展を遂げた i.mode 等のモバイルインターネ、 ット アクセスサービスに 見られるように、 累積的学習効果、 個人主導性等に 起因す るインスティチューションと I T に特有の自己増殖的性 質 (W 荻簗 a ㎏, Kondoetal.,2003[12],[13]) との共鳴により、 I T の効果的活用が 図れることが 検証されており ( 近藤, 渡辺 2002 [11) 、 技術政策を策定する 過程では、 このよう に、 インスティチューションと 新技術の共鳴を 促し、 技術 の潜在的可能性を 十二分に引き 出すタイミンバ、 学習効果 の活用等に配慮するとともに、 供給 側 指向であ った工業化 社会の技術政策から、 I T の自己増殖的性質に 鑑みたより 需要 側 ( エンド・ユーザ ) 指向の技術政策へとシフトする ことが、 インスティチューションの 柔軟性の低下を 引き金 とする国際競争力の 低下への悪循環を 断ち切るための 要 であ るといえる (Kondo,2003[5J)o表潜こ
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のような場合には、 国が将来の方向性・ 展望を明確にした 上で新技術導入に 対する国民の 合意を形成し、 責任を共用 し、 自信を付与することにより 代替政策を推進することが 効果的であ る。 の スピードでの 軌道をたどる 可能性があ るデジタル放送 の普及を、 Lot ㎏ -VOlte 血 a 軌道での展開を 促しアナロバと 補完しつつ所期のぺ ー スで達成すべく 軌道を引き上げる 効果を果たしているといえる。
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五 ノ ン ムノ ン Ⅰ @ Ⅰ 代替 甘円 m 迫 イメージ図 9. 新技術の甘 及 軌道の比較 出典 : WatanabeandKondoetal.,2003[l5l 地上テレビ放送のデジタル 化では、 実際、 アナロバ周波 数変更の国費負担、 オールジャパンでデジタル 化を着実に 推進するための 地上デジタル 放送推進全国会議の 設立、 受 信 機の普及や放送カバーエリアの 拡大目標等を 定めた「 デ 、 ジタル放送推進のための 行動計画」の 策定、 周知,広報の 一層の強化、 デジタル化への 各種支援措置等の 施策が講じ られているところであ るが、 こうした施策はまさに、 ロジ ステイック黍道又は 組織的慣性等の 弊害によりそれ 以下 3 x: アナロバ放送、 y@ ジタル放送とすれば、 仲乖 - ぬ - 朝
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ⅠⅠ5. 考 案 本研究では、 Ⅱ革命に牽引される 情報化社会へのパラ ダイムシフト 下で、 日本では米国とは 対照的にインスティ チューションの 柔軟性が低下し、 ぼの有機的価値創造 メ カニズムを十分に 活用できていないことを 示した上で、 特 に 新技術の導入の 弊害となる組織的慣性を 取り除くため の代替政策の 有効性を、 地上テレビ放送のデジタル 化を事 何 として取り上げ 検証した。 今後は、 新技術の利活用を 更に促進するため、 技術の潜 在的利用者におけるコンセンサスの 形成と当事者意識の 向上、 新技術への確信等促す 政策事例についても 分析を深 める必要があ る。 妻 孝文献 近藤玲子,渡辺 千伊 (2002) r 情報通信社会における 日本的インスティ チューションの 潜在的柔軟性の 実証分析 - nT の普及とインスティチュー ションの共鳴的二重スパイラルメカニズムの 分析」 研究・技術計画学会 第 17 回年次学術大会講演要旨 集 (2 ㏄ 2)515-518 総務省 「平成 15 年版情報通信自害 J ( 総務省,東京, 2 ㏄ 3)
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