前 田 昭 子
1.緒論 1992年∼1994年首都圏を中心とした飲み物の実態調査によると7月頃の女子学生の緑茶 摂取量はその両親の4分の1量程度である事(Dや、女子学生の摂取する飲料はその 両親に比べると多種多様である事が指摘されている(2)。 我々はこの10年間で女子学生の飲み物の飲用状況は大きく変化したものの、緑茶の飲用 率は増加傾向にあること、団らん時や来客時の飲み物として緑茶に対する女子学生のイメ ージは低下傾向にあることなどを明らかにしてきた(3)ω。 1981年には無心茶が、1985年には緑茶がペットボトルや缶の形で登場し始めた事などに よって緑茶の飲用の仕方にも変化が見られる事が予想される。社会の様々な変化は日本の 伝統的飲み物である緑茶から、緑茶以外の飲み物への志向を促している。女子学生の初夏 における飲み物の飲用状況および、団らん時、来客時の飲み物として緑茶、紅茶、コーヒ ーが、どのようにイメージされているかについて意識調査を実施した。 2.調査方法 (1)調査対象及び調査方法 調査対象は短期大学生活学科食物栄養士コース1年、2年、及び人間生活コース1年で ある。調査方法はアンケート用紙を配布し、その場で記入させ、即回収した。回収率は 100%であった。調査時期は2003年、6月下旬∼7月初旬である。 (2)調査内容及び解析方法 調査内容は飲用機会別(朝食時、朝昼間、昼食時、昼夕間、夕食時、就寝前)に、調査 日の前日に飲んだ飲み物(何も飲まない、水、緑茶、紅茶、鳥龍茶、麦茶、玄米茶、コー ヒー、牛乳、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、その他)を複数回答させた。緑番茶、焙じ 茶、煎茶、玉露、抹茶は緑茶と分類した。玄米茶は玄米が入っている事と香りから、緑茶 に含めなかった。これらの結果の集計はMicrosoftExel(Microsoft社)で単純集計した。97、 86 74 63 61 54 43 38一 41 k 24 一ユ 1 1 1 オ 1 1 1 1 ﹁ 1 … 一 @1 10
P[1 1 1
﹃ 1 120 100 (人)80 60 40 20 0緑麦水ジ飲コ紅牛炭乳湯玄そ
茶茶
ユま1茶乳酸酸
米の
iなヒ
スい 1
飲飲
料料
茶他
ウiロン茶 図1 1日に飲む飲み物 26 22一一一一一
14 14 14 . 皿 . 一 一一 X・・一一・9 @ 」 8 ア 7 一 一 @1 … 一 @口 … } @ ﹁ 1 ト 1 1 3P[I I I I
一 1 40 35 30 25 (人)20 15 10 5 0 玄米茶 乳酸飲料 その他 湯 炭酸飲料 飲まない 紅茶 麦茶 緑茶 ジュース ウーロン茶 水 牛乳 コーヒー 図2 朝食時の飲み物25 24. 18
一一一一
10 9 6 7 7 1 1 1 1 1 1 も 一一@4 @1 3P[,凸1凸I I I
一 1 35 30 25 (人)20 15 10 5 0 玄米茶 その他 湯 乳酸飲料 炭酸飲料 牛乳 物 み コーヒー 飲 の水 嗣
朝 紅茶 3 図 ジュース 麦茶 緑茶 飲まない ウiロン茶 28 24. 20 12 10 8 1 1 1ゴ 1
1 1 7 P・ 3 3 3P[1[I I I , 1[1
40 35 30 25 (人)20 t5 10 5 0 玄米茶 牛乳 乳酸飲料 その他 湯 炭酸飲料 飲まない コーヒー ジュース 水 紅茶 麦茶 緑茶 ウーロン茶 図4 昼食事の飲み物25 20 一 16 10 10 9 9 8 8 6 r 1 1 1 1 1 ﹁ 1 1 4 3
P[I I 1
一 1 30 25 (人)20 15 10 5 0 その他 玄米茶 湯 牛乳 乳酸飲料 水 物 み 飲まない 飲 の 炭酸飲料 間 夕 昼 麦茶 5 図 コーヒー 紅茶 緑茶 ジュース ウーロン茶 35 25 22一一一醒 一一
10 一 一 @1 7 5 5 8 一 1 lI 1 1 1 3 3 3P[1[1[1凸I I 1
一 1 40 35 30 25 (人)2Q 15 10 5 0 その他 玄米茶 湯 飲まない 乳酸飲料 炭酸飲料 コーヒー 牛乳 紅茶 ジュース 水 緑茶 麦茶 ウーロン茶 図6 夕食時の飲み物35 30 25 (人)20 15 10 5 o 26 噂,﹁ ﹁ ﹁ ﹁ 旨
1上P
一 一一 ﹁ ゴー 17 @℃ 16 旨き 13{ @ − 上 8 8 5 7 一 1 1 ⋮ 1 1 1 も 4 4 − @ 1 1 P 1 1 一 1 一 I I I 一 1 ウーロン茶 飲まない 水 麦茶 緑茶 牛乳 ジュース コーヒー 炭酸飲料 紅茶 乳酸飲料 湯 玄米茶 その他 図7 就寝前の飲み物 3.結果及び考察 1)機会別飲用実態 1日に飲む飲み物は鳥龍茶が最も多く、次いで、緑茶、麦茶である。鳥龍茶は昼食・夕 食時、朝昼食間、昼夕食間に多い為で、ほぼ一日中飲まれている事がわかる。朝食時には コーヒー、牛乳が飲まれている。これは朝食がパン食(洋風)である事が予想される。日 本人に不足しがちなCaの供給源である牛乳の飲用が少ないのは、骨形成の大切な時期であ る若年層の健康を考えると、無視できない現象である。今後の栄養教育の重要な課題であ る。昼食時、夕食時は鳥龍茶、緑茶、麦茶がよく飲まれている。食事時の緑茶の飲用が減 少して、若者の飲み物の多様化が緑茶の習慣性を希薄にしてきた事が推測される。昼夕食 間に鳥龍茶に次いでジュースが好まれて飲まれているのは、のどの渇きと共に、エネルギ ーの補給という意味合いも考えられる。 就寝前は、水の飲用が多く、緑茶、コーヒーが少ないのは、カフェインなどの刺激物が 就寝に影響すると考えられる。 2)緑茶、紅茶、コーヒーに対する意識 (1)好きな飲み物 緑茶、紅茶、コーヒーを好む者の割合と、好きな理由を図8∼11に示 した。茶% 紅43 香り』 340/e 翻紅茶 :=]緑茶 □m一ピー 図8 好きな飲み物 図9 紅茶を飲む理由 その他 図10 緑茶を飲む理由 図11 コーヒーを好む理由 好きな飲み物は紅茶、緑茶、コーヒーの順である。好きな理由は緑茶、紅茶は共に味で あり、コーヒーは55%が香りであった。 (2)団らん時のイメージは紅茶、緑茶、コーヒーの順であり (3)来客時は紅茶、コーヒー、緑茶をイメージした。
茶% 緑19 その他 90A 茶% 紅42 コーヒー 24% その他 120A 茶% 紅36 30% 匪コ緑茶 ロコーヒー □その他 図12 来客時の飲み物 茶% 緑28 薩]緑茶 ロコーヒー □その他 図13 団樂時の飲み物 著者らの調査結果から〔1988年当時では団らん時には緑茶をイメージし、来客時ではコ ーヒーをイメージして、団らん時と来客時では飲み物のイメージが異なっていた事や、2000 一一Q001年では団らん時の緑茶のイメージが減少して、団らん時、来客時ともに紅茶のイメー ジが上昇した事によって団らん時と来客時に差が認められなくなった事を報告してきた(3)。 又、滋賀県における女子学生の緑茶と紅茶の嗜好性と飲用実態の調査において、緑茶よ りも紅茶に強い嗜好性を示しながら紅茶の飲用頻度は緑茶に比べて低く、女子学生におい ては嗜好性と飲用頻度には差がある事を明らかにしてきた(C})今回の調査でも、女子学生の 飲み物の嗜好性と飲用頻度は矛盾している物と考えられ、来客と団らん時の飲み物のイメ ージに差が認められない事が明らかになった。来客時をハレ、団らん時をケとするならば、 若年層においては、飲み物のハレとケの区別が希薄になってきているのかもしれない。ま た、女子学生の団らん時や来客時のイメージが紅茶嗜好にあるという現象が今後緑茶の飲 用状況にどのような影響を及ぼすのか、自動販売機や簡便なペットボトルの普及が、屋外 や団らん時の飲み物の飲み方に与える影響などが、今後の研究課題であろう。 4.要約 2003年7月初旬に本学女子短大生を対象に飲用機会別飲み物の飲用実態調査を実施した。 同時に好きな飲み物、団らん時や来客時の飲み物に対する意識調査を実施した。 その結果、次の事が明らかになった。 (1)鳥龍茶、緑茶、麦茶がよく飲まれる飲料であり、コーヒーや牛乳は朝食において飲ま れている。
(4)女子学生の飲み物の嗜好性と飲用頻度は、必ずしも一致しない事が判明した。 文献 1)関千代子、加藤栄子、岩瀬靖彦、君羅満、高橋東生、飯桶洋二、赤羽正之:栄養学雑誌,55−6, 315−326 (1997) 2)原田まつ子、関口紀子、加藤栄子、東愛子、斉藤礼子、下川千代子、五十嵐益恵、福島敏子、三 石礼子、高木廣文:日本食生活学会誌,8−3,48−89(1977) 3)早川史子、前田昭子、野呂裕子、南幸、日比喜子、田村義保:日本食生活学会誌,13−3,174− 182 (2002) 4)早川史子、大石邦子、野呂裕子、前田昭子、南幸、田村義保:日本食生活学会誌,13一 4,264− 270 (2003) 5)全国清涼飲料工業会:清涼飲料年次別生産推移資料(1999) 6)日比喜子、安達町子、前田昭子、早川史子:日本家政学会誌,50−2,183−192(1999)