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吉原和男・鈴木正崇編 : 『拡大する中国世界と文化創造-アジア太平洋の底流』, 東京, 弘文堂, 2002年12月, vi+v+496頁, 8,500円(+税)

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(1)

Japanese Society of Cultural Anthropology

NII-Electronic Library Service Japanese  Sooiety  of  Cultural  Anthropology

『民

b

矢學句旨究工68!4 2004

3

II1卩IIIFIII[lf5「IIIEILIIIIIIIIIト1111111illlllllill ll llI

新 刊 紹 介

IIl川IIIi川111111[lllHI川 [lII目[IIM)IMIIIIIIlII

吉 原和 男 ・

鈴木

崇編

拡 大 す

世 界

文 化 創

太平洋

   東京

,弘文 堂 ,

2002

12

vi + v +

496

8

500

 本 書は

中 国に ゆか り を もつ 々 な人々 の 「移 動 」と、 そ れに伴っ て生み出さ れ て ゆ く 「文化」 を中心的なテ

マ にえた論 集で

中 国系の 人々 の 移 動とい うと

華 僑

華人研 究を思い 起こ しが ちであ る が

本 書は中 国大 陸か ら海外へ とい う

方 的な人のれ で は な く

国 内に おける流 動 や

移 住地か らの 内1移 動

あ るい は本 国へ をも視 野 に 入 れ た

人 そ して文化の動態を主 題 と してい る。 本 書でなさ れ る議 論は

慶應 義塾大学 地 域研 究セ ン タ

の研 究プロ ジェ ク ト 「中 国 人の 移 動と文 化 創 造

1

1999−2000

年度

に基づ い た もの で

先 行 する研 究 成 果とし て

血 縁 的 紐帯を メ タフ ァ

に集 団 や 文 化 が か た ちつ く られて ゆ く ダ イ ナ ミズム を扱っ た 論集

〈血の 再構 築     東アジア における父 系 出 自と 同姓結合』(風 響社

、2000

年 )が出 版 されて い る

 本 書は

2

部 構 成の か たち をとり

1

部 「中 国 大 陸 と その周 辺」は

3

つ の セ ク ショ ン

9

本の 論 文 か ら成る

中国 とその 辺 の人 や文化の動 き は土内の もの と連 動 的に捉えるべ である こと を想 起 するな ら

1

セ ク ショ ン 「漢族と少 数民 族の交 渉と動 態 」に おい て

中国の 北 襾 地方およ び少数 民 族 を 対象と した

3

本の 論 文が含ま れてい るこ との意義は 大 きい とい えるだろう。 王論 文は

沿 岸部から海 外へ 移 動比 し

れ ま十 分 に論 じ ら れる ことの な かっ た 北 西 部へ 移 住 した 漢 族の 親 族 組 織 を

曽 論 文は

ミャ オ 族の個 人史か ら 少数民 族 をテ

マ とした観 光 事 業を、 鈴 木 論 文 は

多くは瑤 族が継 承して き た 「女 書」

すなわ ち女だ けが読み書 きで きる文 字か ら少 数 民 族と漢 族との 「交 流 」 を

そ れ ぞ れ扱っ てい る。  また同 時に

過 去

20

年 あ ま りの 中 国 本 土の

603

動 態に注目するとき

香 港

台 湾 をはじめとす る本 ±外の漢 人との連関を看過するこ ともで き な いだろ う。 第

2

セ ク ショ ンの 「漢 族の伝 統の再編 成」で志賀が着囗し た香港の道 教 会や

潘が論 じ るフ ィリ ピン の宗 親 会 は

本 土 側の活動が 制 限 さ れてい たこ と を う け

今や資金 面の み で は なくそ の正統 な知 識の継 承 者と して

本土 側の動 再 開 の よりど こ ろ となっ てい る。 同 時 に

そ れ ら 海 外 の メ ンバ

たちは

自 らの譜の 正 し さを確 証づ け ようと、 本土側との紐帯を発 見、 あるい は再構 築して ゆ くの である。   第

3

セ ク シ ョン 越 境 する漢 族の文 化 と杜 会 」 におい て 森 川は

世界的 に名 高い港の 広東 料理 の確 立が

素 材の高 級 化

視覚的 芸術性の 追求

味 覚の純正化とい う脱 「正統広 州料理 」 と

薄 味 で透明 なダ シを得るべ 燥 魚 介 類 を

用 し

覚の上で は 「日向臭さ」を強めて しまうとい う土 着 化

「正統広 州 料理の継 承 」の所 産であっ た こ と を明らかに しなが ら

この 「正統性」の 問 題 を 味覚とい ユ ニ

ク な 観 点 か ら考 察す る

 

H

部 「東 南ア ジアと オセ ァニ アへ の 展 開」

3

つ の セ ク シ ョン

10

本の論 文か ら構 成さ れ る。 第

1

セ ク ショ ン 「復 興 と再 編

タイ

ミャ ン マ

ー、

1

ナムのな かで

吉原は

、1960

年代以 降に急 増 して ゆくタ イ華 人の同 姓 団 体 (特に親 総会) に 着 目す る

その形 成の 背景には

中国

タイ 間の 移動の 絶 と

政府に よ る タ イ

ナ ショ ナ リ ズム推進 政 策を受 けて タ イ化が進 展してゆく な かで の

「同姓イコ

ル父系血

1

縁関 係」とい う イ デ オロ ギ

を軸に し た中 国 伝 統 文 化の復興の みがある とい う。 ま た 同セクシ ョ ンにおい て中 西 は

東南アジアの オン

ボン

漢 人の土 地神 信 仰に起 源 する にも か か わ らず

が 認 定 する 「ク メ

ル人」な どにも信 仰され

また 各 地で多様な解 釈がなされて い る (儒教 E 仏 教

道 教 と は 異 な る 位 相にあ る)こ と を 明 らかにし な が ら

従 来 と もす れ ば

華人カ テ ゴ リ

の外 縁を

「華人の宗 教」なる体 系に よっ て確 定 する試み が 行わ れ が ちであっ た こ と に注意を向ける。   第 2セ ク シ ョ ン 民族の動態

マ レ

シァ と シ ンガ ポ

におい て増田論 文が 扱 うシ ン ガ ポ

ルでは

国 民の文化 的 なアイデンテ ィテ ィ

ク ライシス を受け

政府は儒 教思想に代 表さ れ る N工 工

Eleotronio  Library  

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Japanese Society of Cultural Anthropology

NII-Electronic Library Service Japanese  Sooiety  of  Cultural  Anthropology

604

新 刊  紹   介 「ア ジ ア的価 値 観 」の普及 や 中 国 語推 進キ ャ ン ペ

ンを展 開 した

しか し

それらは当の 中 国系 の人々 のあい だでは支 持を得ら れてお ら ず

む し ろ 「西 洋で も東 洋で も ない

その ど ち らで も ない シ ンガ ポ

ル人 」 とい う意識が形 成さ れつ つ る とい う。   人々 そ して文 化の動 きがこ の ようにダ イナ ミ ッ ク かつ 流動 的であるこ と を知らされると、 第

3

セ ク ショ ン 「更なる拡 大    太 平 洋へ 」 (対 象 地域 は オ

ス トラリア

ニ ュ

ラン ド

パ プア ニ ュ

ギニ 、 フ ィリピン)のな かで市川 が指 摘 する とお り

中 国 系の 人々の移 動と定住を

「落 葉 帰 根 」 か ら 「落 地 生 根 」へ

い っ た既 存の枠 組 みでは も は や 捉 え き れ ない こ とは 明 ら か だろ う

パ プアニ ュ

ギニ ア の華人は

都 市の治 安の悪化 や 現地通貨の下落 などの政 治 経 済 的 な状 況の もと

時 滞者 性保 持 した まま 居 住る と 様 式 を と り

そこ で は定 住 と移 住を戦 略 的に選 択 する とい う 「

文化 」が 牛 み出 さ れて い る とい う、 本 書の最 後に オ

ビュ

的 な ポ ジショ ンか ら 人口移 動と知識の動 態を議 論 する宮原は

チ ャ イ ニ

ズを め る知

母 国か ら 「押 し出 され る 側」として の僑研 究

移 住 先 国 民 国 家との 係 におい て規定さ れ る 政 治 的 認 同 を 主 題 と した 「華 人」 研究

そ して国籍い か んに左 右 さ れ ない 本質 的 な文 化 的 認 同 (中心 )を見 出そうとする 「デ ィ ア ス ポ ラ論」 あるい は 「チャ イニ

ネッ ト ワ

論 」ゆ く状況 を描 き

本 書を締め く くる

 このよ うに本 書 は

単著に収 め き るのが 困 難 な ほ どの対 象地 域

ト ピッ ク の拡が りと多様さを内 包し

こ こ で紹介で きた の はその ほ ん の

部に過 ぎ ない

しか し

裏 を 返 す な らばそ れは

本 書 を 貫く主 題である人々 の移動

再移動と文 化の動 態

も はや明快なパ ラダ イム や理論によっ て論じ きれ る もの で は ない とい リ ア リ ティを物語っ て い るの であろう。 その意味で本 書は

民 族 誌 的 手 法に よ る微 視的 な視 点を束ね

「拡大する中 国 世 界」の き な 問 題に迫 るとい

人類学が な し得 る最 も有 力な 戦 略 を採ったのだ とい え よう。       (川 凵幸大

東 北 大学 大 学 院 )

橋 本和也 ・佐藤 幸男 編

観 光 開発

文 化    南

か ら

京都

世 界

想社 ,

2003

2

    

244

1

900

円 (

税 )

  本 書は、 南 太 平 洋 島嶼 国

地 域 をフ ィ

し て

観 光 開発を 「文化 」の問題 と して批判 的に 考 察 し ようと し た論 考

6

編に

沖 縄をフ ィ

ル ド とす る

1

編 を加えて構成 さ れてい る。 先進国の文 脈で 「生態環 境保 護」を唱える入 び と と 「豊 か な 自 然の 中で生 活 して い て も現金が恒 常 約に不 足 し 現 金 収 入 を得 ら れるな らど ん な 開 発で も受け 入 れ よ うと考えてい る地 元の人 び と との問にある ギャ ッ プの存 在を認 識 する必 要性 」 (p

2

)を 主張 する ことが本書の主 眼で あ り

各章に おい て 問 題 点 を浮き彫 りにす るこ とに成 功 してい る

た だ し

それぞれの論述は必ずしも同じ方 向を向い てい る わ けで は ない

む しろ

そ れ ぞ れの議 論の 方向の ズレが問 題の複 雑さ を示してい る。   第

1

章 「観 光開発と文 化をめ ぐる政治 経 済学 」 に おい て 佐 藤幸男は

「持 続 可 能な開 発 」 論は先 進 国の立 場に立っ た 議 論あ り

南 北 間の 生 活 格 差 や 環 境 劣 化に対 す る解 決 策 を提 供 す る もの では ない と批 判する。 そ し て

その ような認 識の な か で

地 元か らの抵 抗の可能 性をヘ イ ヴ ァ祭の タ ヒ チア ン ダ ン ス に出して い る が

「これ を先 進国 側 に身を お く もの は 時 代 遅 れ な 人 び と と しか 解 さ ない」

p.

45

)と悲 観 的であ る

  第

2

章 「観 光開 発 と文化 研究」で橋 本 和也は

「今日で は外 貨 獲 得の た め に

た とえば南 太平洋 の 島 嶼 国 家の よう な 小 規 模 な 国 家に とっ て

観 光 開発は 避 けら れ ない 選択である」 (p

56

)と 述べ る。 その ような状 況のな かで

マ ナ島の首 長が 「リ ゾ

ホ テ ル が 育て 上 げた 「マ とい うブラン と ホテルの経 営 法 を 「流 用』」 (p

76

) して

自 らの民 宿事業 を成 功 させて い る事例 に

橋 本は今 後調

bli

究の題 を見出 してい る。   第

3

章 「ロ

カ ル

グロ

バ ル

も しくは 「ちゃ ん ぶ る

沖縄 観 光に お ける文化の 多 様性と その正 性 を め ぐ る 議 論」に おい て

梅田 英春は

外部か ら与え ら れ た 「南国イメ

ジ」に対して

N工 工

Eleotronio  Library  

参照

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