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アメリカ経済と観光産業

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Academic year: 2021

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(1)ア メ リカ経 済 と観 光産 業 昌. 浅 要旨. 羽. 良. フ ラ ン スや スペ イ ン と並 ん で ア メ リカ合 衆 国(以 下,ア. 観 光 大 国 と言 わ れ る。19世 紀 にあ って は農 業 大 国,20世 続 けた ア メ リカで あ った が,1970年. メ リカ と表 記)は,代. 表的な. 紀 に入 って か らは 工 業 大 国 と呼 ば れ. 代 にお け る2度 にわ た るオ イ ル シ ョ ックを 契 機 と して,. 現 在 にあ って は工 業 大 国 と呼 ば れ る こ とは 少 な くな った 。 本 稿 は,観 光 大 国 と呼 ば れ る よ う にな った ア メ リカ の 観 光 産 業 が ア メ リカ経 済 の 中 にあ っ て どの よ うな 位 置 にあ るの か,付 加 価 値,雇 用 者 数 そ して 輸 出 額 な どを 検 討 す る こ と に よ り 検 証 した い。 あ わ せ て 世 界 に しめ るア メ リカの 観 光 産 業 の ポ ジ シ ョン も検 証 す る。 観 光 産 業 自体 は,労 働 生 産 性 の 低 い 労 働 集 約 的 な 産 業 で あ る上 に,平 和 を 脅 か す テ ロ事 件 や 戦 争 そ し て 現 在 進 行 して い る金 融 危 機 に 端 を発 した 経 済 大 不 況 に は極 あ て 弱 い が,大 交 流 時 代 を 迎 え,ア. メ リカの 観 光 産 業 が 益 々重 要 な 役 割 を 担 って い くこ とを 指 摘 す る。. キ ー ワー ド. 観 光 産 業,労 働 集 約 的 産 業,経 済 環 境. 原 稿 受 理 日2009年3月28日. Abstract had. By the turn. become. economy.. surplus. of the. of the. Travel. any other. ring. one. century,. largest. and tourism. manufacturing. travel. and. and. is expected. industry.. in international. the travel. industries. tourism. to account. It appears. and tourism,. industry. employment for more. that. with. sectors export. in the U. S. in. largest. surplus. U. S.. earnings. the U. S. regularly. the. the. than. has a trade to date. occur-. in 1996.. This. article. through. presents. travel. and tourism like other environment,. the. and tourism on trade,. service. even. performance satellite though. industries.. this. industry. travel. and. of. accounts travel. If it is also will continue. U. S. and. travel. and tourism strongly to play. and. the effect. tourism. of international. industry. is labor. industry travel intensive. affected. by the level of economic. an important. role in the future. U.. S. economy.. Key. words. ronment. tourism. industry,. labor. intensive. industry,. economic. envi-.

(2) 第7巻. 1.は. じ. ア メ リ カ は19世 紀 に は 農 業 大 国,20世 1970年 代 の2度. 第1号. め. に. 紀 に 入 っ て か ら は 工 業 大 国 と 呼 ば れ 続 け た が,. に わ た る オ イ ル シ ョ ッ ク を 契 機 と して,現. る こ と は 少 な く な っ た(1>。勿 論,現 変 わ り は な い が,世. 在 に あ って は工 業 大 国 と言 わ れ. 在 に あ っ て も世 界 一 の 工 業 生 産 高 を 誇 っ て い る こ と に. 界 の 工 業 生 産 に し め る そ の ウ ェ イ トは 確 実 に 低 下 の 一 途 を 辿 っ て い. る(2)。日 本 や ドイ ツ そ し て21世 紀 に 入 っ て か ら の 中 国 の 工 業 の 躍 進 が そ の 背 後 に あ る 。 そ の こ と は ま た,ア. メ リ カ の 産 業 構 造 が 第1次. 小 的 傾 向 と 対 照 的 な,第3次 年 代 以 降 に あ っ て は,工. ・第2次. 産 業 の 中核 で あ る農 業 や 製 造 業 の 縮. 産 業 で あ る サ ー ビ ス 部 門 の 肥 大 化 の 反 映 に 他 な らな い 。1990 業 大 国 に 代 わ っ て む し ろ サ ー ビ ス 大 国(3),時 と し て フ ラ ン ス や ス. ペ イ ン と 並 ん で 観 光 大 国 と 呼 ば れ る こ と の 方 が 多 くな っ た(4)。 本 稿 は,サ. ー ビ ス 部 門 の 一 角 を しめ,し. 点 を あ て て,そ. か も近 年 と み に 注 目 を 集 め て い る 観 光 産 業 に 焦. の 観 光 産 業 が ア メ リ カ の 経 済 の 中 に あ っ て ど の よ う な 位 置 を しめ て い る の. か を 検 討 す る こ と に あ る 。 ア メ リ カ の 観 光 産 業 の 世 界 の 観 光 産 業 に しめ る 位 置 づ け も あ わ せ 明 らか に した い 。 2.で は 農 工 業 か ら サ ー ビ ス 部 門 へ と 産 業 構 造 が 大 き く転 換 し た こ と を 論 じ,3.で. はそ. れ を 踏 ま え な が ら観 光 産 業 の ア メ リ カ 経 済 に しあ る 規 模 を 明 らか に す る 。 観 光 産 業 の 付 加 価 値,雇. 用 者 数,輸. 出 額 が い ず れ に あ っ て も す で に 確 固 た る 地 位 を し め て い る の み な ら ず,. 訪 米 外 国 人 旅 行 客 か ら受 け 取 る 観 光 収 入 ・輸 出 額 が 今 や 外 貨 を 稼 ぐ貴 重 な 柱 と な っ て い る こ と を 明 示 した い 。 そ の ア メ リ カ の 観 光 産 業 が,世 トを し め,世. 界 の 観 光 産 業 に あ っ て も大 き な ウ ェ イ. 界 一 の 経 済 大 国 に ふ さ わ しい 位 置 を 確 保 して い る こ とを4.で. 分 析 対 象 と す る 資 料 は,主. 明 らか に した い 。. に ア メ リ カ 商 務 省 経 済 分 析 局(U.S.DepartmentofCom-. merce,BureauofEconomicAnalysis,以. 下,BEAと. 略 記 す る)が. 公 表 して い る 推 計 値. を 使 用 す る が(5),国 際 比 較 は 世 界 旅 行 観 光 協 議 会(TheWorldTravel&TourismCoun一. (1)拙 (2)最. 著(1996)『 近. の. ア メ リ カ 経 済200年. ト レ ン. の興亡」東洋経済新報社。. ド は,UNIDO(1995-2008),1η'6rη. α"oηα1}セαrわooんσ ∫η磁3'r'α」8'α"3"c5.. WorldBank(1978-2008),W∂r14D6v610p耀 η'R8por'の 各 年 版 。1820年 か ら1950年 ま で は,J, Kuczynski,8'麗4'8η 〃rG85ch"〃6r馳1'w'r'5chψ.加 藤i長 雄 ・二 見 昭 澤 訳(1955)『 世界経済史」 日本 評 論 社 。 (3)拙. 著(2002)『. サ ー ビ ス大 国 へ の 挑 戦. (4)拙. 著(2008)『. 日本 が 支 え る観 光 大 国 ア メ リカ. (5)U.S.DepartmentofCommerce(1998-2008),翻rv6yρ TravelandTourismSatelliteAccountsと -2(2)一. 斜 陽 製 造 王 国 の ゆ くえ 歴 史 ・文 化 ・経 済. 」 ミネ ル ヴ ァ 書 房 。 』昭和堂。. プαrr8η'翫5'η6∬ して掲 載 され て い る。. の 各 年 版 にU.S,.

(3) ア メ リカ 経 済 と観 光 産 業(浅 羽) cil,以. 下,WTTCと. な お,こ. 略 記 す る)の. 推 計 値 を 利 用 す る(6)。. う した テ ー マ の 研 究 は 内 外 と も に 意 外 と 少 な く,BEAやWTTCな. に あ っ て は 日本 政 府 観 光 局(JNTO)発 い 。 そ の 中 に あ っ て,BEAの. ら び に 日本. 行 の 『国 際 観 光 白 書 』(7)に言 及 さ れ て い る に 過 ぎ な. 推 計 値 を 算 定 しか つ 分 析 し て い る 担 当 者 の 試 み は 極 め て 有. 益 で あ る が(8),本 研 究 は ア メ リ カ 経 済 の 構 造 が 時 代 と と も に ど の よ う に 変 貌 し,そ リ カ 経 済 が 世 界 経 済 の 中 で ど の よ う な 位 置 に あ る の か,い ら観 光 経 済 を と らえ る 立 場 に あ る 。 た だ し,本 お り,残. のア メ. わ ば経 済 史 の 動 向 を 踏 まえ な が. 稿 は あ く ま で も端 緒 的 な 検 討 に と ど ま っ て. さ れ た 課 題 が 余 り に も多 い こ と を あ らか じめ 断 っ て お か ね ば な らな い 。. 2.産. 業 構 造 の推 移. ア メ リカ経 済 の 中味 が どの よ う にな って い るの か を み る場 合,国 内 総 生 産 べ 一 ス にて 産 業 別 の 経 済 構 造 を み るの が 便 利 で あ る。 ま して ア メ リカ経 済 が 過 去 か ら現 在 に至 りどの よ う に変 化 し,か つ 将 来 どの よ うな 方 向 へ と進 展 して い くの か を お お よそ 展 望 す る に あた っ て は,極 め て 有 効 な 手 段 と思 わ れ る(9)。 140年 に お よぶ 産 業 構 造 の 推 移 を大 雑 把 に 示 した表1を. み て い た だ き た い。1869年 か ら. 2007年 に至 る産 業 構 造 の 中身 が 全 体 と して 大 き くと らえ られ る はず で あ る。 まず は観 光 産 業 の ア メ リカ経 済 に しあ る ウ ェイ トを 検 討 す る に先 立 って,あ. らか じあ 産 業 構 造 の 全 体 像. を 把 握 して お くこ と に しよ う。. (6) The World Travel & Tourism Council(2008), Tourism Satellite Accountingt— L.—http:/www.wttc.org/eng/Tourism _Research/TourismSatellite_Accounting/ (7)6filt (JNTO) (1999-2008) rJNTOp--mmitktiot~ql~~"C.b, AG (2004)----/ 0>44-,,dttAAltiL----JIIIV IAt±, 3O)1 biV 4r:i zo &A • N1lf%i" (2006) Flircrirt7i ') t---- afitN0)5}C-----J (IW;aa JV50A0 40 i1 (2006) P7 )4 0 t o T7 ---bro—f • mit 7 )4 I) ; 0)~1~J ----J IMR1 I. CA 5U /0521t„~0.-t-eto (8) Okubo, S. and Planting, M. A. (1998) "U. S. Travel and Tourism Satellite Accounts for 1992," Survey of Current Business, July, pp. 8-22. Kass, D. I. and Okubo, S. (2000) "U. S. Travel and Tourism Satellite Accounts for 1996 and 1997,"Survey of Current Business, July, pp. 8-24. Kuhbach, P. and Herauf, B. A. (2006)" U. S. Travel and Tourism Satellite Accounts for 2002-2005," Survey of Current Business, June, pp. 14-30. Kern, P. V. and Kocis, E.A. (2007) "U. S. Travel and Tourism Satellite Accounts for 1998-2006," Survey of Current Business, June, pp. 14-28. Mattingly, S. R. and Griffith, E. S. (2008) "U. S. Travel and Tourism Satellite Accounts for 2004-2007," Survey of Current Business, June, pp. 14-28. td S, 7 )4 ') t e b U. S. Department of Commerce/International Trade Administration(2001), U. S. Industry & Trade Outlook 2000, The McGraw-Hill Companies, Travel and Tourism ffitz. 6: ta z o.I~—"l —') ~ b~ 5 Z t~ V t— l~ ~ L Z 14, World Tourism Organization (2002), The U. S. Ecotourism Market, Madrid Z. (9) Vatter, H. G. and Walker, J. F. eds. (1996), History of the U. S. Economy since World War if , M. E. Sharpe.. 3 ( 3 )—.

(4) 第7巻 表1産 第1次 産 業. 農 漁. 狭義 の サー ビス. 業 保険 ・. 計. ∩乙 5. 1⊥ 9 -⊥. 4. 00 反﹂ り乙. nU 8. RJ gJ 7 ∩﹂ 6 QO O ll 戻﹂ り4 11凸 ﹂ 1⊥ -1凸 -. ∩U OO 7 9 ρU 7 ∩∪ 禽U 8 1⊥ -⊥ 民﹂ 2 1 只﹂ 5 只﹂ 6 只﹂ βU 8. 2 4. 2 4. 5. Q乙. と1970年. 府 合. 2. り乙 司 1⊥. 藤 眞 ・鳥 居 泰 彦 監 訳(1986)「. 原 書 房 よ り 作 成 。1918∼20年,1929∼37年,1953∼57年. 政. 4 9乙 7 -⊥ -⊥. 90. 7. 9U ∩﹂ 7. 戻U -. RJ -⊥ ∩﹂ 9. 1⊥. 1⊥ 9﹂ 0 ∩∠一 〇 〇 〇 -■ -⊥ -■ -⊥ -■ -■ り4. 6 只﹂ -1凸 ﹂ ■⊥. 4. 8. ∩ヲ. 6 4 -1凸 ﹂ ■⊥. 7. RJ ρU 7. り乙. 2. 1⊥ 8. 7. 只﹂ ﹂ ■⊥. 7. 1⊥ 0. ー1⊥ -1占 -1⊥ -1占. 00 8. ま で は ア メ リ カ 合 衆 国 商 務 省 編,斎. ∩﹂ 2. 1⊥ 4. 0. 2 7 1⊥ 00 9乙 11. 9. (出 所)1970年. 6. 2007. 4 8 00 ∩乙 -■ -⊥ 9乙 2. り乙. ρn U -⊥ り乙 90 1 2 90 只﹂ 戻U 4. り乙. 7 9 只﹂ 5. 1⊥ 0. 11. 1970. 1■ QO Qり ∩∪. 1. 4. 3. 9ψ 2. 4. ∩﹂ -⊥ 8. 1953∼57. 金融 ・. 商. 不動産 只U 2. ∩乙. 1929∼37. (単 位:%). 第3次 産業. 業 建設業 製造業 1⊥ 2. 2. 1889 1918∼20. 第2次 産 業. 林 鉱 業 9乙 4 QO 9 り乙 -⊥ -⊥. 1869. 業 別 経 済 構 造(国 内 総 生 産 ベ ー ス). ・ ・益 輸 信 運 通 公. 年. 第1号. ア メ リカ歴 史 統 計 』. の 数 値 は100%に. な ら な い が,. 国 民 所 得 ベ ー ス に て 計 算 し て い る た め で あ る 。 海 外 所 得 分 が 含 ま れ て い な い 。2008年 U.S.DepartmentofCommerce(2009),翻rv6yσC麗rrθ. 南 北 戦 争 直 後 の1869年. に は 第1次. 産 業 で あ る 農 林 漁 業 が4分. め て い る 。 そ の 主 役 が も っ ぱ ら農 業 で あ る た め,こ て も過 言 で は な い 。 そ れ に 対 し,第2次 南 北 戦 争 を 軍 事 的 に 支 え た 工 業(製. は. η'翫5'η θ35よ り 算 出 ・作 成 。. の1弱. の 圧 倒 的 シ ェ アを し. の 時 期 ア メ リカ は農 業 国 で あ る と言 っ. 産 業 の 中 核 で あ る 製 造 業 は7分. 造 業 に 鉱 業 と 建 設 業 を 含 む)を. の1弱. に す ぎ ず,. も っ て して も,ア. メ リ. カ 全 土 か らみ れ ば い ま だ 工 業 国 と 呼 ぶ に は 若 干 早 す ぎ る 趣 き が す る 。 と こ ろ が,1889年. に は 製 造 業 が は じあ て 農 業 を 上 回 っ た こ と か ら も明 らか な よ う に,こ. の 時 点 に て ア メ リ カ は 農 業 国 か ら 工 業 国 へ と 大 き く 転 換 し た こ と が 判 明 す る 。 た だ し, 1918∼20年. に あ っ て,こ. こ で は 掲 載 し な か っ た が,農. 復 ・維 持 して い る こ と に 鑑 み る と,ア. 業 が1899∼1903年. 以 降2割. 弱 に回. メ リ カ は か な りの 期 間 に わ た り現 実 に は 農 工 業 国 と. して の 色 彩 を 強 く帯 び て い た こ と が う か が え る 。 農 業 の シ ェ ア が 急 激 か つ 決 定 的 に 低 下 し,1割. を 下 回 っ た の は,大. 影 響 は,と. 恐 慌 期 の30年 代 の こ と で あ っ た 。 大 恐 慌 の 農 業 へ お よ ぼ した. りわ け 甚 大 で あ っ た こ と が 看 取 で き る 。. 製 造 業 の 肥 大 化 した ピー ク 時 期 は1953∼57年 70年 に は3割,90年. に は2割. を 切 り,今. の こ と で,以. 後 漸 次 的 減 少 傾 向 に 傾 斜 し,. も っ て 縮 小 ト レ ン ドに 歯 止 め の か か らな い 状 況 が. 続 い て い る 。 しか も縮 小 ・減 少 の ス ピー トは む し ろ 早 ま っ て き て い る 。 こ う した 農 業 と 製 造 業 の 顕 著 な 縮 小 と 対 照 的 な,第3次 は 着 実 に そ の 比 重 を 上 昇 さ せ,1970年. は 第2次. 産 業 た るサ ー ビス部 門 の シ ェ ア. 世 界 大 戦 後 に あ っ て は じあ て6割. こ と と な っ た 。 産 業 の 空 洞 化 ・工 業 の 退 潮 と 叫 ば れ た の は,ま. さ に こ の70年 代 を 契 機 と し. て80年 代 に か け て の こ と で あ っ た 。 そ の こ と は 取 り も直 さ ず,サ 一4(4)一. を上回 る. ー ビ ス産 業 の 著 しい 成.

(5) ア メ リカ 経 済 と観 光 産 業(浅 羽) 長 ・躍 進 が ダ イ ナ ミ ッ ク に 進 行 して い っ た 証 で も あ っ た 。 2007年 現 在 の ウ ェ イ トを み れ ば,農 方,サ. ー ビ ス 業 全 体 の 比 重 は8割. 業 は1%前. 後,製. 造 業 は1割. の 大 台 が 危 う くな る 一. の 大 台 を わ ず か な が ら越 え る ま で に 拡 大 して る 。 ア メ リ. カ 経 済 は 今 や サ ー ビ ス 部 門 中 心 の 産 業 構 造 へ と 大 き く移 行 した こ と は 間 違 い な く,こ. う し. た 構 造 変 化 を と らえ,「 非 工 業 化 社 会 」,「脱 工 業 化 社 会 」,「情 報 化 社 会 」,「 ソ フ ト社 会 」, 「サ ー ビ ス 社 会 」 な ど の,さ. ま ざ ま な ネ ー ミ ン グ が つ け ら れ た の は,以. 上 の事 情 を考 え れ. ば あな が ち理 由の な い こ とで はな い。. 3.観. 光産業 の経済規模. サ ー ビ ス 業 に 属 す る 観 光 産 業 の 国 内 総 生 産 に しめ る 比 重 は,そ か 。 国 内 雇 用 者 数 に しめ る ウ ェ イ ト,労 働 生 産 性,成 付 加 価 値 や 輸 出 額 の 比 較 な ど と あ わ せ,順 と こ ろ で,観. 光 産 業 そ れ 自 体 は,北. れ で は どの 程 度 で あ ろ う. 長 の ス ピー ド,さ. らに は他 産 業 との. 次 検 討 す る こ と に した い 。. 米 産 業 分 類(NAICS)に. お け る1,170に お よ ぶ 諸 産. 業 の 中 の い ず れ に も位 置 づ け ら れ て い な い 。 旅 行 や 観 光 サ ー ビ ス を 提 供 す る 産 業 と して は,定. 期 旅 客 機 輸 送,景. ン産 業,宿. 泊 施 設,旅. 観 ・観 光 輸 送,ア. ミ ュ ー ズ メ ン ト ・ギ ャ ン ブ ル ・ レ ク リエ ー シ ョ. 客 レ ン タ カ ー な ど 多 数 あ る が,観. て も う ま く当 て は ま らず,独. 光 は こ れ らの ど の1つ. を と って み. 立 した 産 業 と して は み な さ れ て い な い 。 い わ ば い くつ か の 種. 類 の 産 業 に ま た が っ て い る 多 様 な 産 業 グ ル ー プ と い う こ と で あ る(1① 。 そ れ ゆ え に,そ. れ らを 独 自 に 開 発 ・算 出 す る た あ に 工 夫 さ れ た もの が,旅. ラ イ ト ・ア カ ウ ン ト(TravelandTourismSatelliteAccounts,TTSAs,サ ア カ ウ ン ト と 略 記 す る)で. あ り,BEAが1998年. 行 ・観 光 サ テ テ ライ ト ・. 以 降 推 定 ・公 刊 し て い る 。 そ の デ ー タ に. 基 づ き 国 内 総 生 産 と 観 光 産 業 の 付 加 価 値 な ら び に 国 内 総 生 産 に しめ る そ の 比 率 が 判 明 で き る よ う に 作 成 した の が,表2で ら2000年. あ る 。 観 光 産 業 の 付 加 価 値 ベ ー ス で ま ず み れ ば,1998年. に か け て 順 調 に 伸 び て い る もの の,2001年. る こ と が 看 取 で き る 。2001年. と2002年. に わ た り,縮. か. 小 ・停 滞 して い. の あ の 同 時 多 発 テ ロ事 件 に よ る訪 米 外 国 人 観 光 客 数 の 激 減. と,彼 等 の ア メ リカ で の 消 費 ・出 費 の 減 少 が 大 き くか か わ っ て い る は ず で あ る が,反. 面2003. 年 以 降 回 復 基 調 ト レ ン ドに あ る こ と も明 らか で あ る 。 次 に 観 光 産 業 の 国 内 総 生 産 に しあ る 比 率,す. ⑩Mak,J.(2004),7枷r'3醒. αη4'加Ecoηo〃. 「観 光 経 済 学 入 門 」 日 本 評 論 社,74ペ. ー ジ。 -5(5)一. な わ ち観 光 産 業 の 経 済 規 模 を み て み よ う。. ∼ メHawaiiPress.瀧. 口 治 ・藤 井 大 司 郎 監 訳(2005).

(6) 第7巻 最 も比 率 が 高 い の は,統. 第1号. 計 を 公 式 に 作 成 ・公 表 し た1998年. 以 降 漸 次 減 少 傾 向 に 斜 い て い る 。 こ の こ と は,後. の こ と で,2.99%で. あ り,そ. 述 す る こ と で も あ る が,観. れ. 光産業の付加. 価 値 の 伸 び が 平 均 よ り も低 い こ と を 暗 示 して い る 。 成 長 著 し い と い う よ り は 全 般 に 足 踏 み して い る,あ 表3は,国. る い は 踊 り場 で 一 服 して い る 感 が す る 。 内 雇 用 者 数 と 観 光 産 業 の 雇 用 者 数 な ら び に そ の 比 率 を1999年. け て 示 した もの で あ る 。 観 光 産 業 の 雇 用 者 数 で み れ ば2000年 2007年. の こ と で,こ. か ら2007年. の 数 値 を 上 回 っ た の は,何. の 間 雇 用 者 数 の 伸 び は 全 く み ら れ な い 。 ボ トム は2003年. にか と. の こ と で,. 2001年 の あ の 同 時 多 発 テ ロ の 影 響 が い か に 大 き か っ た か が 側 面 か ら う か が え る 。 国 内 雇 用 者 数 に し め る 観 光 産 業 の ウ ェ イ ト は1999年 し,2004年. の4.22を. ピ ー ク に2002年. 以 降 若 干 上 向 き つ つ も上 下 して い る 。 ボ トム は2006年. 表2観. (出 所)い. ー. タ. 2008を. よ. り 引. 利 用. 光産業の国内雇用者数に しめる比率 観光産業の雇用者数 (1,000人). January,2003.2002-2003年. 2007年. 比. 率 (%). ),v)). もU。S。DepartmentofCommerce,枷ry8yげCκrr6η'翫. の デ ー タ よ り 引 用. 2008.観. の. はJune,. し た 。. 国内雇用者数 (1,000人). ず れ. 飾8'η8∬. はJune,2007.2000-2006年. 占 占 占,占)). (出 所)い. 率 (%). μrv6yげC麗rr翻. 用 。1998-1999年. 表3観 年. 比. 観光産業の付加価値 (10億 ドル). ず れ もU.S.DepartmentofCommerce,∫ デ. の こ とで あ る。. 光産業の国内総生産 に しめる比率. 国内総生産 (10億 ドル). 年. と03年 に か け て 低 下. はAugust,2006.2004-2007年. 光 産 業 の 雇 用 者 数 に つ い て は,1999-2000年 はAugust,2008よ. ∫∫ η653. ・ 算 出 し た 。 国 内 雇 用 者 数 に つ い て は,1999-2001年. り 引 用 。. はAugust, はJune,2007.2001-. は.

(7) ア メ リカ経済 と観光産業(浅 羽) 表4は,表2と. 表3の 数 値 か ら観 光 産 業 の 相 対 的 労 働 生 産 性 を 示 した もの で あ るが,国. 内 総 生 産 に しめ る比 率 よ り も国 内 雇 用 者 数 に しめ る比 率 が 上 回 って い る こ とか ら も当 然 の ご と く,1を. 大 き く下 回 って い る。 金 融 や 保 険 を 除 くサ ー ビス業 全 体 は もと よ り,と りわ. け狭 義 の サ ー ビス業 と同 じ く,観 光 産 業 は労 働 生 産 性 の 低 い,労 働 集 約 的 な 産 業 で あ る こ とが うなず け る(11)。 農 業 や 商 業 も同 じ く低 い。 自動 化 ・機 械 化 が これ らの部 門 で は む ず か しい上 に,季 節 的 ・臨 時 的 ・一 時 的 な 雇 用 が 多 くか つ 女 性 の 雇 用 率 の 高 い こ と も原 因 して い る。 非 熟 練 労 働 者 の 多 い こ と もこ う した 労 働 生 産 性 の 低 い こ と と関 連 が あ る⑰。. 表4観 年. 労働生産性. 国 内 総 生 産 に しめ る 比 率(%). 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006. 2 9 5 7 7 0 9 4 7 2 1 1 0 0 1 0 0 0 4 4 4 4 4 4 4 4 4. 1999. 国 内 雇 用 者 数 に しめ る 比 率(%). 9 8 5 0 2 2 1 4 5 9 9 9 8 7 7 7 6 6 2 2 2 2 2 2 2 2 2. 1 0 7 7 7 6 5 6 7 7 6 6 6 6 6 6 0 0 0 0 0 0 0 0. 1998. 光産業の相対的労働生産性. 2007. (出所)表2と. 表3よ. り算 出 。. な お,前 掲 の 表2の 数 値 に基 づ き,1998年. か ら2006年 の 国 内 総 生 産 と観 光 産 業 の 付 加 価. 値 の 名 目の年 率 の 成 長 率 を そ れ ぞ れ 算 出す れ ば,前 者 は5.3%に 対 し,後 者 は3.7%に す ぎ な い。 観 光 産 業 の ネ ック ・アキ レス腱 は労 働 生 産 性 が 低 く,緩 慢 な 成 長 率 に あ る と言 って もよ い。 そ れ で は次 に,観 光 産 業 の 規 模 を 他 の 産 業 の そ れ との 比 較 か らみ て み る こ と と しよ う。 成 長 の ス ピー ドは決 して 高 い もの と は いえ な いが,ア. メ リカ経 済 の 中 にそ の ポ ジ シ ョ ンを. す で に しっか りと確 立 して い る こ とだ け は疑 いえ な い はず で あ る。 国 内 総 生 産 に しめ る産 業 別 の 付 加 価 値 比 率 を 算 出 ・作 成 した 表5が 参 考 にな る。 観 光 産 業 の ウ ェイ トは農 林 漁 業 や 水 道 ・ガ ス ・電 気 の 公 益 事 業,さ. らに は情 報 産 業 の 中. 核 を な す 放 送 ・通 信 事 業 を 上 回 る と と もに,通 院 保 健 サ ー ビス や 運 輸 ・倉 庫 業 の産 業 に 迫 って い る。 最 先 端 を い く放 送 ・通 信 事 業 を 上 回 って い る こ と は注 目 に値 す る。 また 金 融 ・保 険 に は遠 くお よ ばな いな が ら,主 要 な 製 造 業 を 構 成 す る化 学,自 動 車,コ. qDMoutinho,L.ed.(2000),5'rα'6g'c沸4α ⑫. 瀧 口 ・ 藤 井(2005),前. ηαg6膨 掲 訳 書,132ペ. ー ジ 。. -7(7)一. η"η. 乃 副. ∫醒,p.24..

(8) 第7巻 表5国. 第1号. 内 総 生 産 に しめ る 産 業 別 付 加 価 値 比 率(2006年). 合 国内総生産. (単 位:10億. 計. ドル). 比 率(%). 13,195. 観光産業 農林水産業 公 益 事 業(ガ ス ・水 道 ・電 気) 建設業 製造業 コ ン ピ ュー タ ・電 子 製 品 自動 車 産 業 化学産業 運 輸 ・倉 庫 業 情報産業 放 送 ・通 信 事 業 金 融 ・保 険 教 育 サ ー ビス 医 療 ・福 祉 援 助 通院保健サー ビス. 349 125. 2.64. 273 630. 2.07 4.77. 1,550 140. 11.75 1.06. 97. 0.74. 214. 1.62. 0.95. 385. 2.92. 599. 4.54 2.55. 337 1,094 121. 8.29. 901. 6.83 2.71. 0.92. 358. (出 所)U.S.DepartmentofCommerce(2009),∫'α"3"cα1肋3'rαc'σ'舵 ∫'α榔. 表648よ. り作 成. σ η"64. ・算 出 。. ン ピ ュー タ ・電 子 の いず れ の 諸 産 業 を も大 幅 に上 回 って い る。 今,経 営 破 綻 か と話 題 に な って い る 自動 車 産 業 と較 べ れ ば,観 光 産 業 の 方 が 断 然 大 きな 位 置 を しめ て い る。 そ れ で は次 に,訪 米 外 国 人 旅 行 客 が ア メ リカで 消 費 ・支 出 した,い わ ゆ る ア メ リカ側 が え た 観 光 収 入 を 輸 出額 と して と らえ れ ば,こ の 額 は,主 要 な 国 内 産 輸 出額 と較 べ どの 程 度 の 規 模 の もの で あ ろ うか 。 国 際 取 引 の 側 面 か ら観 光 産 業 の 大 き さを み て み よ う。2007年 の 主 要 商 品 ・サ ー ビス分 類 別 輸 出額 を 示 した 表6が 参 考 にな る。 サ ー ビス輸 出額 の う ち観 光 は,そ の 他 の 民 間 サ ー ビス(親 会 社,保 険,子 会 社,通 信, 教 育,企 業 ・専 門 ・技 術 〈建 設,法 律,経 営 コ ンサ ル タ ン ト,コ ン ピ ュー タ ・デ ー タ処 理, リー スな ど〉)に次 ぐ第2位. 表6主. の規 模 で あ り,知 的 所 有 権 の 象 徴 と もい うべ き特 許 等 使 用 料 を. 要 商 品 ・サ ー ビ ス分 類 別 輸 出 額(2007年)(単. 財. 輸出額 46,451. 農産物 製造業品 輸送機器 化学製品 コ ン ピ ュー タ ・電 子. 911,160 202,165 147,364 136,597 122,488. 機 械(電 気 を 除 く) 1次 金 属. 合. 計. 44,592 1,046,825. (出 所)U.S.DepartmentofCommerce(2009),5'α"5"cα1舶5〃 ∫'α'68表1260と. 表1271よ. り作 成 。. -8(8)一. 位:100万. 観 光 運 賃 その他輸送. 96,712 25,586 51,586 82,614. 特許等使用料 そ の 他 民 間 サ ー ビス その他. 223,483 16,052. 政府サー ビス. 合. ドル). 輸出額. サ ー ビス. 1,212. 計. 497,245 αc'φ'加. σ η舵4.

(9) ア メ リカ経済 と観光産業(浅 羽) 上 回 る額 に達 して い る。 他 方,財. との 比 較 で み れ ば,自 動 車 を 主 体 とす る輸 送 機 器,化 学 製 品,コ. ン ピュー タ ・. 電 子 製 品,機 械(電 気 を 除 く)に はお よ ばな いな が ら農 産 物 の お よそ2倍 以 上 に達 す る規 模 で あ る。 しか も,そ の 額 は2003年 を ボ トム に拡 大 基 調 トレ ン ドに あ る の み な らず,観 光 収 支 は 1989年 以 降 一 貫 して 黒 字 に傾 斜 して い る。 ア メ リカ人 が 外 国 旅 行 で 消 費 ・支 出 して い る, いわ ゆ る観 光 支 出た る輸 入 以 上 の 観 光 収 入 た る輸 出を ア メ リカが え て い る結 果 で あ る。 こ の 観 光 収 入 ・輸 出が 今 や 工 業 製 品 に代 わ り外 貨 を 稼 ぐ貴 重 な 輸 出品 とな って い る こ と は疑 いえ な い。 事 実,財 の 中 に あ って 農 産 物 の 収 支 は黒 字 な が ら,製 造 業 品 の 収 支 は一 部 の 例 外 中の 例 外(そ れ は機 械 で あ るが,2007年. の み 若 干 の 黒 字)を 除 き,お. しな べ て 大 幅 な 赤. 字 を 記 録 して い る。 第1次 世 界 大 戦 前 夜 か ら1960年 代 にか けて 工 業 の 黄 金 時 代 と言 わ れ, しか も大 幅 な 黒 字 を か か え て いた 時 代 の 面 影 は現 在 の ア メ リカ に はみ られ な い。21世 紀 転 換 期 を 境 にサ ー ビス大 国,観 光 大 国 と呼 称 され る よ う にな った 所 以 は,こ う した 指 摘 か ら もお お よそ 理 解 して いた だ け よ う。 こ う した 事 情 を 勘 案 す れ ば,観 光 産 業 は ス ピー ドで は一 服 して い る と は いえ,ア. メ リカ. 経 済 に あ って 決 して 侮 れ な い重 要 な 役 割 を 担 って い る こ と は間 違 いな い。. 4.観. 光 産 業 の国 際比 較. ア メ リ カ の 観 光 産 業 の 規 模 は 世 界 的 に み て ど の 程 度 で あ ろ う か 。 既 述 し たBEAが. 公刊. して い る サ テ ラ イ ト ・ア カ ウ ン トと 同 じ よ う な 定 義 で か つ 計 算 手 続 で,世. 界の観光産業の. 算 出 ・推 定 が 統 一 的 に お こ な わ れ て い れ ば,比. 較 は 簡 単 な の で あ る が,残. 念 な が らそ う し. た 統 計 表 は い ま だ 作 成 さ れ て い な い 。 勿 論,日. 本 を は じめ 各 国 で もそ れ ぞ れ 個 別 に 公 表 し. は じ め て い る と は い え,そ. れ を べ 一 ス に 国 際 比 較 が 可 能 とな る段 階 に ま で は 至 っ て い な. い。 そ う し た 状 況 下,観 WTTCは,160以. 光 産 業 界 の オ ピニ オ ン ・リー ダ ー の 組 織 と も い うべ き 既 述 の. 上 の 国 と12以 上 の 地 域 に お よ ぶ 世 界 全 体 の 旅 行 ・観 光 産 業 に 関 す る サ テ. ラ イ ト ・ア カ ウ ン トを 毎 年 独 自 に 推 定 ・公 表 し て い る 。 こ のWTTCの ウ ン トは,旅. サ テ ラ イ ト ・ア カ. 行 ・観 光 産 業 が 生 み だ し た 付 加 価 値 の 総 計 を 対 象 と し た 旅 行 ・観 光 産 業. (Travel&TourismIndustry,以. 下,T&T産. 施 設 ・観 光 促 進 の た あ に 使 わ れ る 資 本 投 資,政 -9(9)一. 業 と 略 記 す る)と,こ 府 支 出,さ. れ ら に くわ え 観 光. ら に は 観 光 関 連 の 輸 出 取 引 と,.

(10) 第7巻. 第1号. そ れ らの 波 及 効 果 ま で も含 む 旅 行 ・観 光 経 済(Travel&TourismEconomy,以 T経 済 と 略 記 す る)か. 下,T&. らな っ て い る 。 前 者 に も波 及 効 果 の 額 は 推 定 ・表 示 さ れ て い る が,. 後 者 は 以 上 の 説 明 か ら もわ か る よ う に,前. 者 と 比 較 し,極. め て 広 範 囲 な もの を 対 象 と して. い る。 こ こ で は,前. 者 のT&T産. 業 に 表 示 さ れ た 数 値 に 基 づ い て 比 較 検 討 して み よ う 。 波 及 効. 果 の 数 値 は 含 め て い な い 。 目下 の と こ ろ,WTTCの 模 を 測 定 す る 上 の 唯 一 の 推 定 値 で あ る こ と か ら,こ. こ う した試 算 が 世 界 の観 光 産 業 の 規 れ を 利 用 した い 。 現 在 の と こ ろ,こ. れ. 以 外 に方 法 が な い。 ア メ リカを 中心 に主 要 国 の 大 体 の 比 較 は これ にて 可 能 と思 わ れ る。 そ れ を 示 した の が 表7で. あ る 。 観 光 産 業 の 付 加 価 値 の 多 い 国 の 順 に 並 べ た が,参. 考 まで に韓. 国 も追 加 した 。 ま ず はCとDの. 数 値 を み て い た だ き た い 。BEAの. の 付 加 価 値 の 比 率 が,ア. 試 算 に よ る と,ア. メ リ カ の 国 内 総 生 産 の2.65%(2006年)に. 3.8%(2008年)と,か. な り 高 い こ と に 留 意 さ れ た い 。 反 面,ア. 数 の 比 率 を み れ ば,前. 者 は4.07%(2007年)に. メ リカ の観 光 産 業. 対 し,WTTCの. 数値 は. メ リカの 観 光 産 業 の 雇 用 者. 対 し,後 者 は3.9%(2008年)な. の で ほぼ 同. じで あ る 。 こ う した こ と を 勘 案 しな が ら以 下 み て い く こ と に す る 。 観 光 産 業 の 付 加 価 値 の 比 率 が 最 も高 い の は ス ペ イ ンで あ り,そ 干 な が ら上 回 っ て い る の は フ ラ ン ス,イ る の は 日本,イ が,ス. ギ リ ス,中. ペ イ ン,フ. 国,ド. イ ツ,韓. タ リ ア で あ り,逆. して ア メ リ カ の そ れ を 若. に ア メ リカの 比 率 を 下 回 って い. 国 で あ る 。 ドイ ツ の 低 い 数 値 は 意 外 な 感 が す る. ラ ン ス そ して イ タ リ ア が ア メ リ カ を 越 え て い る の は,こ. 表7観 A. 各国観光産業の付加価 値 と世 界 に しあ る比 率. 光 産 業 の 経 済 規 模(2008年. 1ア. メ リソ. 2日. 月. 3フ. ラ ンフ. 4中. 巨. 5ス. ペ イニ. 6イ. ギ リフ. 7イ. タ リり. 8ド. イ'〕. 韓. 恒. 世界合計 (出所)Wo. ドル)%. B. C. 各国観光産業の雇用者数 と世界 にしめ る比率. 各 国GDPに し め る観 光 産 業 の. 雇 用者 数(1,000人)1%. 国 にお. 速 報 値). 付加価値比率 額(10億. れ ら3力. %. D. 各国雇用者数 に しめ る観光産業 の雇用者数比率 %.

(11) ア メ リカ 経 済 と観 光 産 業(浅 羽) け る 雇 用 者 数 の 比 率 の 高 さ と あ わ せ 妥 当 な と こ ろ と 思 わ れ る 。 ス ペ イ ン,フ イ タ リ ア の 経 済 は 観 光 に 支 え られ て い る 趣 き が す る が,と. ラ ン ス そ して. りわ け ス ペ イ ン経 済 の 観 光 へ の. 依 存 は 高 い ⑱。 経 済 の 規 模 そ れ 自 体 が 圧 倒 的 に 大 き い ア メ リ カ に あ っ て,ス. ペ イ ンや フ ラ. ン ス や イ タ リ ア に 次 い で 観 光 産 業 の 比 率 が そ れ な り に 高 い ウ ェ イ トを しめ て い る の は,注 目 に値 す る。 世 界 の 観 光 産 業 の 付 加 価 値 に し め る 各 国 の 比 率(A)を. み れ ば,ア. メ リカ は4分. 上 回 る 断 トツ の 大 き さ を 誇 り,以. 下 日本 か ら韓 国 へ と 続 い て い る 。 他 方,世. の 雇 用 者 数 に し め る 比 率(B)を. み れ ば,中. の1を. 界の観光産業. 国 が 圧 倒 的 な シ ェ ア を し め て い る。 世 界 一 の. 人 口 を か か え る 中 国 の 現 実 が か い ま み え て く る が,ア. メ リ カ は7%,日. 本 が3.3%,以. 下,. 大 き く シ ェ ア を 下 げ な が ら各 国 が 続 い て い る 。 な お,各. 国 に お け る 観 光 産 業 の 付 加 価 値 の 前 年 比 の 実 質 成 長 率 は,中. 4.9%,ス. ペ イ ン3.2%,日. ス0.9%,イ 3.5%の. 本2.2%,ド. タ リア0.3%で. 日 本,2.6%の. イ ツ1.8%,フ. メ リ カ1.3%,イ. あ る 。 雇 用 者 数 の 前 年 比 の 実 質 成 長 率 は4.3%の. ス ペ イ ン,1.4%の. イ ギ リ ス,0.2%の. ラ ン ス1.5%,ア. フ ラ ン ス,1.1%の. ア メ リ カ そ し て マ イ ナ ス0.8%の. 国12.7%,韓. 韓 国,0.7%の. 国 ギ リ. 中 国 を トップ に ドイ ツ,0.5%の. イ タ リア とな って い る。 中 国 の 付 加 価. 値 と 雇 用 者 数 の 伸 び は 極 あ て 高 い 。 世 界 の 観 光 産 業 に しあ る 中 国 の 比 率 が 年 々 高 ま っ て い る 一 端 が う か が え る が,そ. の 反 面 伸 び 率 は と も に 低 い と は い え,ア. 合 的 に み て い か に 大 き い か は,以 次 に,国. 上 の 分 析 か ら も ほ ぼ 明 らか で あ ろ う 。. 際 間 の 観 光 取 引 を 対 象 と した 観 光 輸 出 額 ・輸 入 額 な ら び に 観 光 収 支 を み る こ と. を 通 じ,ア. メ リ カ 観 光 産 業 の 世 界 に お け る ポ ジ シ ョ ンを さ ら に 検 討 して み よ う 。 表8に. 表8観. 輸 出額 上 位 国 ラ ンキ ン ク. 光 輸 出 ・輸 入 額 ・収 支(2007年)(単. 輸. 出. 額. 輸. 入. 収. ドル). 支. リ イ. 本 国. 本 政 府 観 光 局(JNTO)(2008)『JNTO国. 際 観 光 白 書 」15-17ペ. り 算 出 ・作 成 。. 浅 羽(2008)『. 額. 位:100万. カ ン ス ア 国 ス ツ. リ イ ン リ. ギ. (出 所)日. メ ペ ラ タ. ア ス フ イ 中 イ ド. 日 韓. ⑱. メ リ カ の ウ ェ イ トが 総. 日 本 が 支 え る 観 光 大 国 ア メ リ カ 」4ペ. 11r11、. 一. ー ジ。. ー ジよ. そ.

(12) 第7巻 れ を 示 した が,観. 第1号. 光 輸 出 額 の 多 い 順 に 並 べ た 。 番 外 に あ た る 日本 と 韓 国 の 数 値 も あ わ せ 記. 載 した 。 観 光 輸 出 額 の 圧 倒 的 に 多 い 国 は ア メ リ カ で あ り,ス が 続 い て い る 。 日本 の 輸 出 額 は ア メ リ カ の10分 の1以 い か が 判 明 し よ う 。 世 界 第2位. ペ イ ン,フ. 下 で あ り,い. ラ ン ス,イ. タ リア. か に観 光 収 入 額 が 少 な. の 経 済 大 国 か らは想 像 の で きな い状 況 が 浮 か び あが って く. る。 反 面,輸. 入 額 が 多 い の は ドイ ツ で あ り,以. 下,ア. メ リ カ,イ. ツ 人 が 海 外 旅 行 で 一 番 多 くの お 金 を 使 っ て い る の に 対 し,ス は 意 外 と 少 な い 。 した が っ て,こ ト ッ プ で あ り,ア イ ツ が 一 番 で,イ 勘 案 す れ ば,国. メ リ カ,フ. の 結 果 と して,観. ラ ン ス,イ. ギ リ ス が 続 い て い る 。 ドイ. ペ イ ン人 や イ タ リ ア 人 の 出 費. 光 収 支 の 黒 字 額 の 多 い の は ス ペ イ ンが. タ リア とな って い る。 逆 に赤 字 額 の 大 き いの は ド. ギ リ ス が こ れ に 続 き,さ 際 観 光 取 引 か らみ て も,ア. ら に 日本,韓. 国 と な っ て い る 。 こ れ らの 数 値 を. メ リ カ の ウ ェ イ トは 限 りな く大 き い こ と が う な. ず け る。 表9は. 各 国 に お け る 訪 問 外 国 人 観 光 客1人. あ た り収 入 ・輸 出 額 を 示 した もの で あ る 。 国. 際 観 光 客 到 着 数 の 多 い 国 よ り並 べ た 。 番 外 の 日本 と 韓 国 も表 示 した 。 訪 米 外 国 人 観 光 客1 人 あ た りが ア メ リ カ 国 内 で 支 出 ・消 費 した 金 額 は,断. 然 多 い。 ア メ リカ旅 行 中 に外 国 人 観. 光 客 が い か に 多 額 の お 金 を 使 用 して い る か が 判 明 す る 。 こ の 点 に つ い て は,拙. 著 にお いて. す で に 詳 述 し た と こ ろ で あ る が ⑭,旅 行 滞 在 期 間 の 長 短 や 物 価 水 準 そ し て 為 替 水 準 と も 関 係 す る が,歴. 史 ・文 化 遺 産 に 乏 し い ア メ リ カ で は テ ー マ パ ー ク や テ ー マ リ ゾ ー ト,ラ. ス. ヴ ェ ガ ス を 含 む 総 合 リ ゾ ー トの 独 自 の 構 想 ・開 発 の 実 現 と 大 き くか か わ っ て い る よ う に 思 え る 。8,000万. 人 以 上 の 国 際 観 光 客 を 迎 え 入 れ る フ ラ ン ス で は,短. 表9外. 国 人 観 光 客1人 あ た り収 入 ・輸 出 額(2007年). 国際観光客到着数 ラ ンキ ン グ. 国際観光客到着数 (1,000人). 654 677 420. 同 一 の13-17ペ. 浅 羽(2008),上. 掲 書,. ー ジ よ り 算 出 ・作 成 。. 7-9ペ. ー ジ。 -12(12)一. 795. 1人 あ た り収 入 ・輸 出 額 (ドル) 6621 9764. 712 919. 1,7274. 651 617. 9770 1,2262. 029. 1,4754. 7 ∩﹂ 7 ﹁a. (出 所)表8と. 228. 4 00 00 ∩口. 本国. 6,448. RU -⊥ り乙 7 6 9 4 4 00 90. イ. 9 只U 4 00 ∩U 4 只﹂ 区﹂ 只﹂ 4 90 Q乙. 986 720. 8,347. 36韓. ω. 900 193. 収 入 ・輸 出 額 (100万 ドル) 4 7 只﹂ 5. 11 8. リ リ. タ ギ. 民﹂ 貧U 7. ス ン カ 国 ア ス ツ. ン イ リ. ラ ペ メ. 9ψ 4. フ ス ア 中 イ イ ド. 1⊥ 2. 28日. 期旅行者 の多 い ことと. 7661. 1,118.2 899.0.

(13) ア メ リカ経済 と観光産業(浅 羽) あわ せ,博 物 館 の よ うな 文 化 施 設 め ぐ りの 多 い こ とが,出 費 が 意 外 と伸 びて いな い こ と と 無 関 係 で は あ る ま い。 2.に お い て,観 光 産 業 の ネ ッ ク ・ア キ レ ス腱 は労 働 生 産 性 の低 さ,緩 慢 な 成 長 率 にあ る と指 摘 した が,こ. と この 国 際 観 光 部 門 に限 って 言 え ば,ア メ リカで は生 産 性 が 他 国 と比 較. す る と断 然 高 い こ と は一 目瞭 然 で あ る。 いか に多 数 の 海 外 旅 行 者 を 各 国 が そ れ ぞ れ 迎 え 入 れ るか は勿 論 大 切 な こ とで は あ るが,そ れ と と もに多 額 の お 金 を 使 わ せ る仕 組 ・グ ラ ウ ン ドを いか に整 備 し,作 り上 げて い くの か もこれ また 重 要 な 課 題 で あ る と言 え よ う。. す. 5.む. び. ア メ リカ経 済 にお いて 観 光 産 業 は いか な る ポ ジ シ ョ ンを しめ て い るか,産 業 構 造 が 農 工 業 か らサ ー ビス 部 門 へ と顕 著 に転 換 ・移 行 して い る状 況 を 踏 ま え な が ら検 討 して き た 。 2001年 の 同 時 多 発 テ ロ事 件 以 降,観 光 産 業 の 成 長 の ス ピー ドは緩 慢 とな り,踊 り場 で 一 服 して い る気 配 が 漂 っ て い るが,そ. れ で も確 固 た る位 置 を す で に しめ て い る こ と を付 加 価. 値,雇 用 者 数 な らび に輸 出額 な どを 検 討 す る こ とを 通 じ明 らか に して きた 。 と りわ け訪 米 外 国 人 観 光 客 か ら受 け取 る観 光 収 入 ・輸 出額 は大 きな 額 に達 し,今 や 工 業 製 品 に代 わ って 外 貨 を 稼 ぐ貴 重 な 柱 とな り,ア メ リカ経 済 を 根 底 よ り支 え て い る と指 摘 した 。 観 光 と言 っ て 簡 単 に侮 って はな らな い,そ ん な 時 代 を ア メ リカ は迎 え て い る。 こ う した ア メ リカの 観 光 産 業 は,全 世 界 の 観 光 産 業 に あ って も付 加 価 値,雇 用 者 数,輸 出額 の いず れ に あ って も大 きな ウ ェイ トを しあ,世 界 一 の 経 済 大 国 にふ さわ しい位 置 を し め て い る。 と りわ け訪 米 外 国 人 観 光 客1人. あた りか ら受 け取 る観 光 収 入 ・輸 出額 は,国 際. 的 にみ て 圧 倒 的 な 大 き さ に達 して お り,国 際 観 光 部 門 に限 って 言 え ば,生 産 性 の 高 い こ と が 裏 づ け られ た 。 と は言 いな が ら も,観 光 産 業 そ れ 自体 は,労 働 生 産 性 の 低 い労 働 集 約 的 な 産 業 で あ る上 に,基 本 的 に は平 和 を 脅 かす テ ロ事 件 や 現 在 進 行 して い る金 融 危 機 に端 を発 した景 気 後 退 ・大 不 況 の よ うな 経 済 危 機 に は極 め て 弱 い。 ア メ リカの 観 光 産 業 は もと よ り世 界 の 観 光 産 業 の将 来 は文 字 通 り,世 界 の 平 和 と経 済 の安 定 成 長 とが か な うか ど うか にか か って い る。 世 界 の平 和 と経 済 の 安 定 に ア メ リカ が何 よ り も心 を 砕 く こ とが,観 光 産 業 の未 来 に と って 肝 腎 ・要 の 条 件 で あ る こ と は紛 れ もな い事 実 で あ る。. 一13(13)一.

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参照

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