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ハーバード大学ロックフェラー・ラテンアメリカ研究所(研究機関紹介)

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Academic year: 2021

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ハーバード大学ロックフェラー・ラテンアメリカ研

究所(研究機関紹介)

著者

山岡 加奈子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

ラテンアメリカレポート

23

1

ページ

74-75

発行年

2006-05-20

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00006062

(2)

74

ロックフェラー・ラテンアメリカ研究所は, 1994年に,ハーバード大学内の学問分野を越えた ラテンアメリカ・カリブ地域研究の中心として, 自身もハーバードの卒業生であるデイヴィッド・ロ ックフェラー氏の寄付を得て設立された。2005年 8月から,新しく建設された政治学・国際問題研究 センター(Center for Government and International Studies)ビルの南棟2階に移転した。同じ階の隣に は,エドウィン・ライシャワー日本研究所やコリア (朝鮮半島)研究所があり,1階にはフェアバンク・ 東アジア(実質的には中国のみ)研究所,3階にはロ シア・東欧研究所などがある。 現在の所長は,米国・ラテンアメリカ関係史やメ キシコ史を専門とし,約10年前に全米歴史学会の 会長を務められたジョン・H・コーツワース( John H. Coatsworth)教授である。社会科学関連では,他に ラテンアメリカの比較政治やキューバ政治を専門 とするホルヘ・I・ドミンゲス教授(ウェザーヘッド国 際問題研究所所長)が著名であるが,他にも公衆衛 生学,医学,文化人類学,経済学,経営学,公共政策, 生物学,社会学などの専門家が集まっている。米 国政府認定のNational resource centerのひとつで あり,研究書や雑誌ReVistaの出版も行っている。 アルベンス政権成立に始まるグアテマラの政治 不安・内戦とそれに対する米国の政策の影響を扱 った古典的著作Bitter Fruitの最新版(1999 年)は当 研究所から大学出版局を通じて出版されているし, ロンドン大学のバルマー=トーマス教授(当時)が 編者に加わるThe United States and Latin America : New Agenda(1999)も当研究所とロンドン大学か

ハーバード大学

ロックフェラー・

ラテンアメリカ研究所

( David Rockefeller Center for Latin American

Studies : DRCLAS, Harvard University)

山 岡 加 奈 子

■ 所在地 1730 Cambridge Street, Cambridge, MA 02138 USA

上:研究所がある政治 学・国際問題研究 センター南棟 下:研究所入り口

(3)

重点的にカバーされている国としては,メキシコ とキューバは,おそらくコーツワース所長とドミ ンゲス教授の尽力で以前から盛んであるが,近年 はこれにブラジルとコロンビア,米国内のラティ ーノ研究に力が入れられはじめているようである。 米国では2060年には,主として継続的な移民と 出生率の高さのために,ラティーノ(ラテンアメリ カ・カリブ地域からの移民とその子孫)が米国の人口 のなかで人種的な多数派を占めると予測されてい る。数十年前には,米国社会の最下層に位置する といわれたラティーノであるが,いまや経済界や 政界の最上層部にまで進出し,米国の政治経済社 会を大きく左右する力をもちはじめている。米国 にとってラテンアメリカ研究はもはや外国研究の 域を超えた死活的な研究課題になりつつあるのだ。 ハーバード大学のあるマサチューセッツ州は米国 のなかでは北東部に位置し,カリフォルニア州や フロリダ州,テキサス州など,ラテンアメリカ地 域と国境を接して移民や文化的な交流が必然的に 多い地域ではないが,同大学内でも,ラテンアメ リカ研究にかかわらず,さまざまな分野で活躍す るラテンアメリカ出身者らしい研究者の名前を多 く目にする。従来ラテンアメリカ研究がそれほど 盛んでなかったと思われるハーバードでこの研究 所が11年前に設立されたのは,以上のような背景 と無縁ではないと思われる。 (やまおか・かなこ/在ケンブリッジ海外調査員) ラテンアメリカ・レポート Vol.23 No.1■

75

ら出ている。ReVista誌は年2,3回発行されてお り,学術的な論考からジャーナリストや写真家に よるラテンアメリカ各国の紹介まで,幅広い内容 で水準の高いものである。 ちなみにReVista誌2005年夏号では,「ラテンア メリカ・カリブ地域に対する米国外交」をテーマ に,ドミンゲス教授がブッシュ外交の傾向と問題点 について,コーツワース所長が米国の介入主義の 歴史について論考を掲載しているほか,『フォーリ ン・アフェアーズ』誌が,米国政府がチリのピノチ ェー将軍によるアジェンデ打倒クーデターを支援 したことを暴露した書評記事に対し,当時のニク ソン政権(直接にはキッシンジャー国務長官の補佐官) からの抗議記事は掲載したのに,経済界の圧力に 屈して筆者ケネス・マクスウェル(2005−06年度ハ ーバード大学歴史学部客員教授)の反論は許さなか った事実を書いたエッセイ,キューバの研究者2 名によるキューバ・米国関係の記事,米国政府の グアテマラへの介入に関するフォトエッセイを含 む3本の記事,ブラジル,ニカラグア,プエルトリ コと米国との関係を論じたエッセイなどが掲載さ れている。 ラテンアメリカとの交流も盛んで,2004年はカ ルドーゾ・ブラジル前大統領が研究所を訪問してお り,2005年10月にはチリのピノチェー人権裁判を 指揮した検察官グスマン博士の講演会が開かれた。 また2004−05年はアルゼンチンの経済大臣を2度 にわたって務めたカバロ博士が客員教授として滞 在している。客員研究員も毎年11∼12名受け入 れており,大多数は広くラテンアメリカ・カリブ地 域から有給で招聘されている。またキューバから も一昨年度[2004−05年]は5名の研究者(主とし て医学関連分野)が客員研究員として滞在している。 客員研究員は,個人の研究に携わるだけでなく, 研究所現所長ジョン・コ ーツワース教授(背景は 大学のFaculty Club) 大学の授業を受け持つ人も多 い。また毎週火曜日には所内 で公開セミナーが開催されて おり,さまざまな分野のラテ ンアメリカ研究者の報告と討 論が行われている。

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