植生指数の時間周波数応答解析による水稲圃場抽出に関する研究
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(2) 植生指数の時間周波数応答解析による水稲圃場抽出に関する研究. 稲圃場を抽出するための手法を検討するῌ 本研究が提案する手法の根幹は῍ 時系列 NDVI デ῎タの 波形特徴抽出にあるῌ 例えば῍ 空間解像度が + キロメ῎ト ル程度の衛星デ῎タには῍ 水稲圃場やその他の土地利用が 混在していることが多いῌ このため῍ NDVI は水稲以外の 植生に強く影響されることがあり῍ 水稲圃場が含まれてい るかどうかの判断が困難な場合が多いῌ しかし῍ NDVI の 時間変化に着目すると῍ 対象地域に水稲圃場が含まれてい れば῍ 水稲の生育状況に対応した変化が現れるῌ このよう に῍ 空間的な情報では判別しにくいデ῎タであっても῍ 時 間解像度が向上することで判別が可能となることが予想さ れるῌ この利点に着目し῍ 比較的低解像度の衛星デ῎タを 多時期に取得し῍ NDVI の季節変化に着目した水稲圃場抽 出の研究,, -ῑ も行われており῍ 近年の衛星リモ῎トセンシ ング研究のトレンドとなっているῌ また῍ SAKAMOTO らは῍ 離散ウェ῎ブレット変換をもとにしたフィルタ῎手法を利 用し῍ 時系列植生指数の平滑化を行うことで波形変化と水 稲生育ステ῎ジを照合し水稲圃場を抽出する手法を提案し ている.ῑῌ しかし῍ これらの研究では῍ NDVI の波形変化を 分類結果の説明あるいは確認として利用しようとするもの が多く῍ 波形特徴を積極的に抽出し自動分類しようとする 研究は少ないῌ 一方῍ 本研究は῍ NDVI デ῎タを時間方向 に細密に整備し῍ その波形特徴を時間周波数応答解析にて 抽出することで水稲圃場が含まれているか否かを判別する 手法であることが特徴であるῌ 一般に῍ 時系列波形デ῎タの特徴抽出では῍ スペクトル 解析による周波数応答解析が用いられるῌ スペクトル解析 では῍ 特定の周波数におけるパワ῎スペクトルを比較する ことにより解析波形のエネルギ῎分布特性を知り特徴抽出 するῌ このため῍ 明らかに周波数応答特性が他より卓越す る物理情報を抽出するには都合が良いが῍ 多数の情報が混 在するような波形では必ずしも特徴的な波形エネルギ῎分 布が得られないことがあるῌ 一方῍ 画像解析の分野などで 広く利用されている離散ウェ῎ブレット変換は῍ スペクト ル解析と並んで多方面の周波数応答解析に利用されている 手法である/ῑῌ 離散ウェ῎ブレット変換は῍ 時間方向の成 分を保持する特徴を有しているため῍ 周波数レベルごとに 波形エネルギ῎の時間変化を比較することができ῍ 実現象 の時間変化に対応した波形特徴を容易に捉えることができ るῌ この特徴を利用すれば῍ 低空間解像度の衛星デ῎タに 水稲と他の植生が混在していたとしても῍ 対象とする周波 数レベルにおける波形エネルギ῎の時間変化から水稲圃場 が含まれているか否かを判断することが可能になると期待 できるῌ 以上の理由から῍ 本研究では時系列 NDVI デ῎タ の波形特徴抽出に離散ウェ῎ブレット変換を用いることと するῌ 以下῍ 本論では῍ 提案する手法の分類アルゴリズム についてその基礎理論を示すとともに῍ 低解像度衛星を擬 した + km メッシュの時系列 NDVI デ῎タを使用し῍ ベト ナム南部メコンデルタ地域における水稲 + 期作῍ , 期作῍ 期作圃場を分類した結果について議論するῌ. 37. ,ῌ 時系列 NDVI デ῍タの概要 解析検討にあたり῍ 時系列 NDVI デ῎タを整備する必要 があるῌ しかし῍ 筆者らのように῍ 人工衛星リモ῎トセン シングの専門家ではない研究者が独自に NDVI デ῎タを 整備することは極めて困難であるῌ 一方῍ 現在῍ 東京情報 大学では῍ 文部科学省ῌ私立大学戦略的研究基盤形成支援 事業において῍ 東アジア地域における MODIS 衛星の自動 デ῎タ解析に関する研究が進められており0ῑ῍ 衛星リモ῎ トセンシングの専門家以外にも衛星デ῎タ利用を可能とす るための研究が進められているῌ また῍ 人工衛星のデ῎タ 解析を行う企業では῍ MODIS のみならず各種の衛星デ῎タ を自動解析し低価格にて販売するシステムを開発する技術 開発が進められており῍ 近い将来῍ 本研究が必要とするよ うな時系列 NDVI デ῎タの入手が可能となるῌ そこで本研 究では῍ 遠からず利用が可能になると予想される低解像度 時系列 NDVI デ῎タを擬した + km メッシュの NDVI デ῎ タを用いた解析検討を進めることとしたῌ 本研究の解析対象デ῎タとして῍ ベトナム南部メコン川 下流域のうち῍ 北緯 3 度 ., 分῏+* 度 1 分῍ 東経 +*. 度 .1 分῏+*0 度 ++ 分のおよそ ,** kmΐ,** km の矩形領域を + km メッシュに分割し῍ 地球観測衛星 SPOT により得られ た NDVI 値を研究協力企業に依頼して整備したῌ なお῍ 使 用した SPOT デ῎タは ,* m の空間解像度であったが῍ 本 研究では + km メッシュでの解析を検討するため῍ メッシュ 内で平滑化し NDVI 値としたῌ 観測点 ῐメッシュῑ 総数は ./,/1* 点であり῍ 観測点ごとに NDVI 値を +* 日平均し不 足するデ῎タは過去のデ῎タから補完するなどして῍ すべ ての観測点にて +332 年 0 月から . 年分のデ῎タを準備し たῌ なお῍ これらのうち +// 点の観測点における植生が現 地調査 ῐGT : Ground Truthῑ により得られており῍ 既知 観測点ごとに時系列 NDVI の時間周波数解析を行い῍ 解析 結果から植生ごとの波形特徴を分類し῍ 得られた特徴を使 用して残る ./,.+/ 点の植生を推定することとしたῌ 図 + は῍ GT により植生が明らかな地点の中から水稲 + 期作 ῐR+ῑ῍ , 期作 ῐR,ῑ῍ 畑作 ῐFῑ を無作為に選び῍ 時系 列に描画したグラフであるῌ なお῍ 整備した NDVI 値は῍ ῒ+ をゼロとし῍ 2 ビット ῐ,/0 階調ῑ に基準化されたもの であるῌ 図 + のとおり῍ 水稲 ῐR+ と R,ῑ には + 年に + 度 あるいは , 度の NDVI 値のピ῎クを示す波形がみられ῍ 水 稲作付カレンダ῎と整合する植生活性変化が観測できるῌ また῍ 畑作 ῐFῑ は細かな変動がみられるものの῍ 水稲と比 較するとその変化の周期は明らかに短く῍ 低周波数 ῐ長周 期ῑ 領域の波形エネルギ῎が極めて小さいῌ したがって῍ 低周波数領域の波形エネルギ῎の違いにより῍ 水稲圃場が 含まれた区域の NDVI 変化であるかどうかが判別できる ことが分かるῌ そこで῍ それぞれの波形における周波数応 答特性を確認するため῍ 高速フ῎リエ変換によるスペクト ル解析を実施したῌ 図 , は図 + のデ῎タに加え῍ 水稲 - 期 作 ῐR-ῑ のデ῎タを無作為に + 点選び῍ それぞれのパワ῎ スペクトル ῐPSῑ を描画したものであるῌ デ῎タのサンプ リング周期は +* 日間であり῍ これをもとに PS が卓越す.
(3) 畑中ῌ鈴木ῌ金田. 38. DWT とその逆変換の定義式は次のように表される1ῒῌ k + ῑWY fῒ῍ j ῍ j῏cj῍k ῎, , ῐ .
(4) . . f ῑxῒῑῌῌckj Yῑ, jxkῒ j. 図 + 解析に使用した時系列 NDVI デ῏タの例. 図 , 時系列 NDVI のスペクトル解析例. る周期を求めると῍ 水稲圃場 ῑR+῍ R,῍ R-ῒ はいずれも周 期 +2- 日程度の PS が高く῍ 畑作 ῑFῒ の PS は水稲に比べ て小さいことが確認できるῌ また῍ 水稲圃場は ++0ῐ,/0 日 周期においても PS のピ῏クがみられるなどの特徴を有し ているῌ したがって῍ ++* 日程度よりも長周期 ῑ低周波数ῒ の領域において波形特徴を抽出することで῍ 水稲圃場か否 かの判断が可能であると考えられるῌ なお῍ GT には森林῍ エビ養殖池῍ 塩田なども含まれているが῍ 本研究の目的は 水稲圃場分類であるため῍ これらは分類の対象から除外し たῌ. -ῌ 離散ウェ῍ブレット解析 本研究では῍ + 次元離散ウェ ῏ ブレット変換 ῑDWT : Discrete Wavelet Transformῒ にて時系列 NDVI デ῏タ の時間周波数応答解析を行うῌ DWT の特徴は῍ 周波数の レベルごとに時系列にウェ῏ブレット係数を求めることが できる点にあるῌ このため῍ ウェ῏ブレット係数の変化と 実デ῏タの変化を対応付けて考察することができ῍ 波形特 徴の抽出がスペクトル解析よりも容易になると期待でき るῌ. k. ῍. ῎. ここに῍ WY は観測値 f ῑxῒ のウェ῏ブレット変換を表し῍ ウェ῏ブレット変換に , 進移動 ῑdyadic translationῒ k ,j と , 進ダイレ῏ション ῑbinary dilationῒ ,j を使用するこ とで DWT が構成されると定義されるῌ このとき cj は観測 YはY 値 f の DWT と呼ばれ῍ Y はウェ῏ブレット関数῍ … の複素共役であるῌ なお῍ 添え字の j は DWT におけるレ ベルを῍ k は観測デ῏タの並び順を表し῍ それぞれ周波数 方向と時間方向に対応するῌ DWT では , 進ダイレ῏ショ ンにより j が増えると῍ 計算されるウェ῏ブレット係数が ,j と減っていくため῍ 慣例的にレベル j を負数で表示す るῌ 例えば῍ 本論では῍ 使用する +* 日平均῍ . 年分の時系 列 NDVI を一つの地点で +,2 個 ῑ,1῍ +,,2* 日に相当ῒ ず つとしたῌ このため῍ DWT で計算される周波数レベルは +ῐ1 の 1 段階に分けられることになるῌ DWT では῍ トゥ῏スケ῏ル関係を満足しコンパクトサ ポ῏トを持つマザ῏ウェ῏ブレットとスケ῏リング関数の 組み合わせが種῎提案されている1ῒῌ DAUBECHIES は自然数 N によって番号付けられた一連のマザ῏ウェ῏ブレットと スケ῏リング関数の組を提案している2ῒῌ 本研究では῍ N +ῐ- の関数の組を用いて解析を行ったが῍ どの組み合わせ のものを使用しても解析結果に大きな差異がみられなかっ たことから῍ 最も単純な N+ の関数の組み合わせを用い たῌ なお῍ DAUBECHIES の提案した N+ のマザ῏ウェ῏ブ レットは῍ HARR のマザ῏ウェ῏ブレットと等価である3ῒῌ HAAR のマザ῏ウェ῏ブレットとスケ῏リング関数により 計算されたウェ῏ブレット係数の例として῍ 図 + および , に示した水稲 + 期作῍ , 期作と畑作のウェ ῏ ブレットパ ワ῏ ῑWP : Wavelet Power, ウェ῏ブレット係数の二乗ῒ の時間変化を図 - に示すῌ ここに῍ レベル+ の周期は +*ῐ ,* 日῍ , は ,*ῐ.* 日῍ - は .*ῐ2* 日῍ . は 2*ῐ+0* 日῍ / は +0*ῐ-,* 日にそれぞれ相当するῌ 図 - から῍ 水稲 + 期作では年 + 回のピ῏クを持つ波形エネルギ῏に対応する レベル / の WP が大きく῍ 年 , 回に対応するレベル . の WP も大きいῌ また῍ 水稲 , 期作ではレベル. が極め て大きく῍ これらは作付カレンダ῏に良く整合しており῍ 先のスペクトル解析の結果とも一致しているῌ 一方῍ 畑作 ではすべてのレベルで WP が小さく変化に乏しいことか ら῍ レベル. やレベル/ の WP が高いことが水稲圃場 の特徴であると理解できるῌ 次に῍ GT により土地利用が判明している +// 地点につい て DWT により WP を求め῍ レベルごとの WP 分布を比 較したῌ 図 . ῑaῒ は῍ 水稲 + 期作 ῑR+ῒ῍ , 期作 ῑR,ῒ῍ 期作 ῑR-ῒ῍ 畑作 ῑFῒ に加え῍ 畑作と , 期作が混在する箇 所 ῑR,ΐFῒ と森林 ῑForestῒ の植生において῍ レベル..
(5) 植生指数の時間周波数応答解析による水稲圃場抽出に関する研究. 図 - 時系列 NDVI の WP 分布解析例. における WP の平均 ῐwp._aveῑ を横軸に῍ レベルΐ/ の WP 平均 ῐwp/_aveῑ を縦軸にとり῍ それぞれの植生にお ける WP 平均値の分布を表示したものであるῌ また図 . ῐbῑ は ῐaῑ と同様に῍ レベルΐ- の WP 平均 ῐwp-_aveῑ を横軸にしたものであるῌ 図 . より῍ レベルΐ-῏ΐ/ の , 次元パラメ῎タ空間においては῍ R+ と R, は明瞭に他と分 離できる分布になっていることが分かるῌ また῍ R- や R, ῒF も WP 平均値こそ小さいものの῍ 他と分離可能とみな せる分布を呈しているῌ このことから῍ 適切な順序にて水 稲圃場を判別し他より分離することで῍ 水稲圃場の抽出が 可能であるものと考えられるῌ 以上から῍ これらの特徴を 利用し自動的に水稲圃場を分類するため῍ 本研究では῍ 離 散ウェ῎ブレット変換の解析結果をパラメ῎タとする線形 判別関数を導入し῍ 分類アルゴリズムを検討することとし たῌ. 39. 図 . 植生ごとの WP 平均値の分布. .ῌ 分類アルゴリズムの検討 離散ウェ῎ブレット解析の結果から῍ 低周波数帯に相当 するレベルΐ- からΐ/ における WP の値を利用すること で῍ 水稲圃場と他の植生を分類できることが示されたῌ そ こで῍ GT により植生が判明している +// 地点の時系列 NDVI 波形の基本統計量 ῐ平均῍ 分散ῑ ならびにレベルΐ῏ΐ/ の WP の基本統計量 ῐ平均῍ 最大ῑ の合計 2 個のパ ラメ῎タを用いた判別分析を行ったῌ 判別分析から῍ 次に 示す線形判別関数を導出し῍ 自動分類のためのアルゴリズ ムを検討したῌ zc*ῒῌ ci pi. ῍. ここに῍ z は線形判別関数であり῍ ci は関数の定数項および パラメ῎タ係数であるῌ また῍ pi は上記に示した 2 つのパ ラメ῎タであるῌ ῍ 式のパラメ῎タである NDVI の基本 統計量や WP の平均値῍ 最大値は自作プログラムにて計算.
(6) 畑中ῌ鈴木ῌ金田. 40. し῍ 定数項とパラメ῎タ係数は統計解析ソフト SPSS によ りそれぞれ計算したῌ なお῍ ῌ 式の線形判別関数は῍ ある 特定の植生を他と分類するために計算するものであり῍ 本 研究では῍ ῍ῑ 水稲 , 期作῍ ῎ῑ + 期作῍ ῏ῑ - 期作῍ ῐῑ , 期作と畑の混在地῍ ῑῑ その他の植生の / 種類に分類す ることとし῍ ῍ῑ῏ῐῑ までの分類のため合計 . 種類の判別 関数をそれぞれ求めたῌ また῍ 分類の順番は῍ 上記῍ῑ῏ ῐῑ の植生の順に行うこととしたῌ その結果῍ SPSS による 判別分析では῍ 水稲 + 期作῍ , 期作῍ - 期作の判別確度が +**῍῍ , 期作と畑作の混在地の判別確度が 31.-῍ といず れも高い数値となり῍ GT により植生が判別しているこれ ら +// 地点においては῍ 判別分類が可能であるとの結果を 得たῌ ただし῍ これらの確度はあくまでも GT により植生 が明らかな点のみの分類確度にすぎず῍ 本手法による分類 精度を示すものではないῌ 以上により求めた判別関数を用い῍ 植生が不明な残り ./,.+/ 点の判別分類を試みたῌ なお῍ 分類にあたっては῍ ῌ 式で与えられた線形判別関数と NDVI 基本統計量ならび に WP を計算し分類するためのプログラムを Microsoft Excel VBA にて作成し実施したῌ また῍ NDVI がゼロであ る ῐすなわち表面に植物が存在しないῑ 地点は水領域であ るとし῍ 判別分類の最初に分類するものとしたῌ 図 / は῍ 上記のアルゴリズムにより分類された土地利用の結果を ArcGIS にて表示したものであるῌ なお῍ 図 / のうち῍ O は 水稲圃場以外の土地利用を表しており῍ W は水領域を表 しているῌ 図 / の結果を確認すると῍ 南部海岸域において多数の水 稲 - 期作の領域が見られるῌ しかし῍ 現地観測により得ら れた情報から῍ これらの地域では図 / の結果のように水稲 - 期作が盛んであるとは報告されておらず῍ 明らかな誤分 類であると考えられるῌ そこで῍ この地域に多いエビ養殖池 の NDVI の例と水稲 - 期作のそれを比較したところ ῐ図 0ῑ῍. エビ養殖池の NDVI 値は平均的に水稲 - 期作の NDVI 値 より低いものの῍ その変化の周期性が似ていることが分 かったῌ また῍ 水稲 - 期作の圃場抽出に使用した線形判別 関数の構造行列を調べたところ表 + のような値であったῌ 表 + から῍ 水稲 - 期作の判別では῍ レベルῒ- とῒ. の WP 最大値や平均値の相関の絶対値が *..῏*.0 と大きく支配的 であり῍ NDVI の平均値の相関は *.+ 程度と小さいῌ この ため῍ 水稲 - 期作の波形と類似した波形特徴を持つエビ養 殖池が水稲 - 期作として誤って判別されたものと理解でき るῌ すなわち῍ 前述のアルゴリズムにおいてエビ養殖池を 分類項目に含まなかったことから῍ NDVI 平均値による補 正が必要なことが分かったῌ そこで῍ GT にてエビ養殖地 であることが明らかな ,* 地点にて NDVI の基本統計量を 求めたところ῍ NDVI 平均が ++-.,῍ 標準偏差が ++.1 であっ たῌ 以上を考慮し῍ 水稲圃場分類の前に NDVI 平均値が +** 以下であれば῍ 水稲以外の土地利用とする判断分岐を 新たに追加し῍ 誤分類を回避したῌ 再計算による分類結果 を ArcGIS により表示したものを図 1 に示すῌ 図 1 より῍ 海岸線の水稲 - 期作の誤判別が減少していることが分か るῌ また῍ これら海岸線の土地利用は図 1 の再計算後には 水稲圃場以外の土地利用と分類されたものが多く῍ 水稲 , 期作の分類結果も減少しているῌ これは῍ 修正前には水稲 圃場の時間変化と類似した NDVI 変化を持つ地点はすべ て水稲圃場として判別していたものが῍ NDVI 平均が +**. 図 0 水稲 - 期作 ῐR-ῑ とエビ養殖池 ῐShrimpῑ の NDVI 値の変化例. 表 + 水稲 - 期作判別のための線形判別関数における 構造行列 ῐSPSS による計算結果ῑ. 図 / 自動判別アルゴリズムによる分類結果.
(7) 植生指数の時間周波数応答解析による水稲圃場抽出に関する研究. 41. 図 2 NDVI デ῎タ数の違いによる判別分類の比較. 図 1 再計算後の分類結果. 以下の場合には水稲以外の土地利用として分類されたため であるῌ 水稲圃場かどうかの判別に NDVI 平均が +** 以下 かどうかという閾値の設定には更なる検討が必要である が῍ GT による水稲圃場の NDVI と比較すると῍ 平均が +** 以下であれば水稲圃場が卓越しない領域であると言 え῍ 水稲圃場面積としてカウントしない方が妥当な結果で あると考えることができるῌ なお῍ 以上の考察が正しい否 かを確認するには῍ 本来であれば正解となるベトナム南部 メコンデルタ地域の土地利用図との比較による精度検証を 行うべきであるが῍ 現地に問い合わせた結果῍ 土地利用図 そのものは複数存在するものの῍ そのいずれもが信憑性に 欠け参考にはならないとの回答が寄せられたῌ よって῍ 本 提案手法の精度検証は行えておらず῍ 課題が残ったῌ. /ῌ サンプル数の違いによる分類結果の比較 本提案手法は῍ 低解像度の人工衛星により取得された時 系列 NDVI を用い῍ 自動的に水稲圃場を抽出することを目 的としているῌ このため῍ どの程度の期間῍ NDVI のデ῎ タサンプリングが必要かを検討する必要があるῌ これまで のアルゴリズム検討においては῍ +* 日平均されたデ῎タを +,2 個使用し分類を行ったが῍ これはおよそ -./ 年に相当 するため῍ 圃場の作付状況が変化する現地に適用すること は現実的ではないῌ そこで῍ NDVI のサンプリングを , 年 間実施した場合を想定した 0. 個 ῏ῒ,0῍ 0.* 日ῐ のデ῎タ を使用する場合と῍ + 年間を想定した -, 個 ῏ῒ,/῍ -,* 日ῐ のデ῎タを使用する場合について判別分類を試みたῌ 解析 アルゴリズムは῍ 前述のように GT による土地利用が判明 している +// 地点のデ῎タを ,**, 年 - 月より遡って 0. 個 あるいは -, 個ずつ選択し῍ それぞれ DWT と NDVI の基 本統計量を求め῍ SPSS により線形判別関数を求めたῌ ま た῍ それぞれに応じて土地利用が不明な点のデ῎タを 0. 個あるいは -, 個ずつ選択して実施したῌ. 図 3 NDVI デ῎タ数の違いによる水稲圃場面積の変化. 図 2 は῍ 時系列 NDVI のサンプル数 n に対し῍ 判別の結 果῍ それぞれの水稲圃場面積がどれほど変化したかを比較 したものであるῌ なお῍ 図 2 の O は水稲圃場以外の土地利 用を表すῌ 図 2 から῍ 水稲 + 期作 ῏R+ῐ に大きな変化はみ られなかったものの῍ 水稲 , 期作 ῏R,ῐ῍ - 期作 ῏R-ῐ や水 稲 , 期作と畑作の混在地 ῏R,ῑFῐ の面積が大きく変化し たことが分かるῌ この理由は῍ 本手法の誤判別によるもの か῍ 自然条件の変化などにより実際に作付期が変化したも のか῍ 判断がつかないῌ このため῍ 本来であれば精度検証 を実施すべきであるが῍ 先の事情から精度検証は行えてい ないῌ そこで῍ 抽出結果を水稲圃場とその他に分け῍ NDVI サンプル数の違いによる面積合計を比較した ῏図 3ῐῌ 図 3 から῍ いずれのサンプル数を用いた場合でも῍ 水稲圃場面 積合計には大きな差はなく῍ その違いは῍ 最大でも nῒ+,2 と n ῒ -, の ,..ῌ に過ぎないῌ このことから῍ n ῒ -, の + 年弱 ῏-,* 日ῐ のデ῎タであっても水稲圃場の分類が可能 であると考えられるῌ よって῍ 本提案手法の精度検証は未 着手ではあるものの῍ 離散ウェ῎ブレット解析により水稲 圃場の時系列 NDVI 波形を特徴抽出することで῍ 頻繁に作 付期が変化した場合でも分類が可能であったと考えること ができるῌ なお῍ 単に計算するだけであれば nῒ+0 ῏+0* 日ῐ として判別分析を行うことも可能ではあるῌ しかし῍ 図 , のスペクトル解析結果が示す通り῍ 水稲圃場の特徴の 一つである周期 +2* 日以上の波形応答は当然ながら抽出で きないため῍ 水稲圃場は分類できたとしても作付期を判断.
(8) 畑中ῌ鈴木ῌ金田. 42. することはできないῌ 作付期が判断できなければ収量予測 のための情報としての有用性は低いと言えることから῍ 本 研究では῍ 提案手法による水稲圃場抽出は + 年間程度の デ῎タを使用して実施することが妥当であると結論づけ たῌ. 0ῌ お わ り に 低解像度の人工衛星により取得された時系列 NDVI を 離散ウェ῎ブレット変換により解析し῍ NDVI の波形特徴 を利用することで水稲圃場を判別分類する手法を提案し たῌ その結果῍ 本手法は水稲 + 期作῍ , 期作῍ - 期作などの 作付変化に対応した分類が可能であることが示唆されたῌ しかし῍ 手法の分類精度は検証できておらず課題が残っ たῌ 今後は῍ 精度検証のため῍ 本論で検討したような広範 囲な領域ではなく῍ 領域を限定し῍ 確かな土地利用情報が 得られる地域を選定して解析を行い῍ 精度検証を進めたい と考えているῌ また῍ 本報告では SPOT 衛星による NDVI を + km メッシュにて平滑化したデ ῎ タを用いて解析を 行ったが῍ MODIS や NOAA などの低解像度人工衛星に よる実デ῎タでの解析は未着手であるῌ 以上の課題を検討 するため῍ 現在῍ ベトナム南部メコンデルタの特定の地域 において῍ MODIS による時系列 NDVI デ῎タの取得を継 続して実施しており῍ 現地において正確な土地利用分類 ῐ水稲圃場面積ῑ デ῎タを入手し῍ 精度検証を行う準備を進 めているῌ また今後は῍ NDVI だけでなく῍ 正規化水指数 ῐNDWI : Normalized Di#erence Water Indexῑ や正規化 土壌指数 ῐNDSI : Normalized Di#erence Soil Indexῑ を 組み合わせた水稲圃場分類手法の検討を行っていく所存で あるῌ 謝辞 : 本研究の実施にあたり῍ ベトナム Cuu Long Rice Research Institute 副所長の NGUYEN Zuan Lai 博士には῍. 現地観測への協力と研究に対する貴重なご意見を頂戴しま したῌ ここに記して感謝の意を表しますῌ また本研究は῍ 文部科学省ῌ私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 ῒ東ア ジア地域における MODIS 衛星の自動デ῎タ解析に関する 研究ΐ ῐ研究代表者῍ 新沼勝利ῑ の補助を得て実施されまし たῌ ここに記して感謝の意を表しますῌ 引用文献 +ῑ General Statistics O$ce of Vietnam ῐGSOῑ ホ῎ムペ῎ ジ : http : //www.gso.gov.vn/ ,ῑ 大澤一雅῍ 國井大輔῍ 斎藤元也 : 多時期 ASTER 画像によ る宮城県大崎地域での農地の作付け分類῍ システム農学῍ Vol. ,0, No. ,, pp. 01ῌ11῍ ,*+*. -ῑ 坂本利弘῍ 岡本勝男῍ 川島博之 : 多時期 RADARSAT 画像 を用いた水稲田植日の空間分布推定῏石狩川中上流域にお ける田植日と環境要因の面的比較῏῍ システム農学῍ Vol. ,+, No. +, pp. ,/ῌ-,῍ ,**/. .ῑ T. SAKAMOTO, N.V. NGUYEN, H. OHNO, N. ISHITSUKA and M. YOKOZAWA, Spatio-temporal distribution of rice phenology and cropping systems in the Mekong Delta with special reference to the seasonal water flow of the Mekong and Bassac rivers, Remote Sensing of Environment, vol. +**, pp. +ῌ+0, ,**0. /ῑ Y. MEYER : Wavelets Algorithm and Applications, Society for Industrial and Applied Mathematics Philadelphia, +33-. 0ῑ 東京情報大学ホ῎ムペ῎ジ : 私立大学戦略的研究基盤形成 支援事業ῌ東アジア地域における MODIS 衛星の自動デ῎ タ解析に関する研究῍ http : //e-asia.tuis.ac.jp/ 1ῑ C.K. CHUI ῐ桜井 明῍ 新井勉共訳ῑ : ウェ῎ブレット入門῍ 東京電機大学出版῍ +33+. 2ῑ 榊原 進 : ウェ῎ブレットビギナ῎ズガイド῍ 東京電機大 学出版῍ +33/. 3ῑ I. DAUBECHIES : Orthonormal Basis of Compactly Supported Wavelets, Communications on Pure and Applied Mathematics, Vol. .+, pp. 3*3ῌ330, +322..
(9) 植生指数の時間周波数応答解析による水稲圃場抽出に関する研究. 43. Study on the Classification of Paddy Fields Based on Time-Frequency Analysis of NDVI By Katsumori HATANAKA*, Mitsuo SUZUKI* and Norikazu KANADA** (Received November +1, ,*+*/Accepted January ,+, ,*++). Summary : This paper presents an algorithm for the classification of paddy fields based on the timefrequency analysis of the series of Normalized Di#erence Vegetation Index (NDVI) obtained by remote sensing. The discrete wavelet transform is selected as the method for time-frequency analysis and the calculated wavelet powers of the waves of NDVI are used for extraction of characteristics of paddy fields corresponding to the calendar of rice cropping. The wavelet powers and statistical data of NDVI are used for the parameters of the linear discrimination functions for the automatic classification. The analytical area for this study is Mekong delta, in the southern part of Vietnam. In this paper, the authors discuss the classification results using the four years NDVI data from June +332 observed by the earth observation satellite SPOT. The results show that the present method can well classify paddy fields as well as being applied to almost one year NDVI data. However the verification of accuracy of the present method has not yet been carried out because of the lack of accurate land use data of the target area, so this is a future subject for study. Key words : NDVI, Classification of paddy fields, Discrete wavelet transform, Linear discrimination function. * Department of International Bio-Business Studies, Faculty of International Agriculture and Food Studies, Tokyo University of Agriculture ** Department of Food Environment Economics, Faculty of International Agriculture and Food Studies, Tokyo University of Agriculture.
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