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2.駅前広場とは

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駅前広場整備が周辺地域に与える影響および 駅前広場と駅周辺開発事業の整備効果の分析

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム

MJU15609 高橋 享子

1.はじめに

駅前広場は鉄道と道路交通との結節点であり、都市交通政策 上の重要な都市施設である。近年は人口減少、少子高齢化社会 を迎えるにあたり公共交通を中心としたまちづくりを推進し ていくという観点から、駅前広場を含む駅周辺の開発が都市の 拠点、都市の顔作りとして今後重要な役割を担っていく。

そこで本研究では地価を用いたキャピタリゼーション仮説 に基づくヘドニックアプローチにより駅前広場および駅周辺 開発における整備効果を明らかにする。駅前広場の整備には制 約条件に合わせ多様な形態があるが、本研究では、まず、広場 の整備のタイプを3つにカテゴライズする。そして、駅前広場 の単独整備と駅前広場と駅周辺開発事業を組み合わせて実施 した場合の周辺地域に与える影響について比較する。

2.駅前広場とは

2.1 駅前広場の成立と沿革

駅前広場とは鉄道とバス、タクシー、乗用車などの交通機関 との結節点として鉄道駅前に設置される広場である1。鉄道の 歴史と共に戦後から多くの都市で整備されてきた。高度経済成 長期には都市部の人口集中やモータリゼーション化を受け、駅 前の歩行空間・車道空間の確保が必要となった。全国には約

2,900

もの駅前広場が存在する。(2013年国土交通省都市計画

現況調査)

2.2 駅前広場の機能

近年は交通結節点としての役割だけでなく、求められる機能、

役割は多様化してきている。例えば街の顔としての役割や都市 の広場機能を兼ね備えた地域活性に寄与する都市環境整備と いう側面である。具体的にはイベントができる駅前広場や駅・

街のシンボル的機能を持つ駅前広場、防災トイレの整備など、

交通結節点以上の役割を担うことが多くなっている。

2.3 駅前広場整備目的および期待される効果

駅前広場整備事業により、駅前の交通機能は向上し、交通渋 滞の緩和や歩行者の安全の確保が容易になる。駅前広場計画指 針2によると交通空間だけではなく、環境空間を確保すれば広 場機能を兼ね備えた駅前広場を整備することになり、それが事 業目的となる。また駅前広場整備と合わせて駅周辺の市街地再 開発事業や高架化事業を実施する事例も多く、駅前広場という 都市施設の整備と駅周辺用地の高度利用化、都市機能の更新、

駅の高架化などの回遊性の向上や道路交通の円滑化など、複数

事業を組み合わせて実施することで駅周辺全体の安全性、利便 性の向上と環境改善効果が期待される。

3.駅前広場整備および駅周辺開発が周辺地域へ与える影響と

仮説

駅前広場整備効果が発揮された場合、周辺市街地には整備便 益が発生すると仮定できる。この周辺地域に与える便益が周辺 地域住民や事業者、駅利用者にとっての安全性と快適性、利便 性の向上につながり、正の外部効果が発生すると考えられる。

キャピタリゼーション仮説を前提とした場合、駅前広場整備に より発生する便益が地価に帰着すると考えられ、駅前広場整備 の実施により周辺市街地の地価が上昇することとなる。また、

駅前広場整備に留まらず、市街地再開発や高架化事業を一体的 に実施した場合、利便性の増大や更なる整備効果が期待される。

再開発事業等による住宅供給や地域活性・賑わい空間の創出は 新規住民の流入や来街者増加、事業者や商業の集積3という効 果も想定され、駅前広場の単独整備よりも駅周辺開発と組み合 わせて実施した方がより高い整備効果がもたらされるであろ う。すなわち社会的便益がより大きくなる可能性がある。

そこで、次のような仮説を設定する。

仮説1 駅前広場整備には正の外部効果が存在する。

仮説2 駅から距離が近いほど駅前広場整備および駅周辺開 発の影響を受けやすい。

仮説3 駅前広場整備に合わせて駅周辺開発を実施した場合、

駅前広場を単独整備した場合よりも高い正の外部効 果を発揮する。

図 1-1 駅前広場整備および駅周辺開発整備効果

(2)

2

図 1-2 駅前広場整備および駅周辺開発における費用便益

4.駅前広場整備および駅周辺開発が周辺地域へ与える影響に

関する実証分析方法

4.1 分析の目的および分析方法

実証分析は前章の仮説を明らかにすることを目的とする。駅 前広場整備および駅周辺一体開発事業の影響を受ける前後の 地価関数の変化を観察し、駅前広場単独と駅周辺一体開発の整 備効果の違いを分析する。国土数値情報サービスを利用し、

1988

年から

2014

年までの駅周辺

500m

圏、1,000m 圏、

1,500m

圏の地価および土地情報を取得し、同心円状にどのよ

うな影響を及ぼしているのかを検証する。

4.2 分析対象

分析対象としては

2013

年国土交通省都市局「都市計画現況 調査」に基づき、都市施設として認識されている駅前広場とす る。一都三県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)にあり、

都心4駅(東京・新宿・渋谷・池袋)から

50km

圏内、乗降客 数

5

万人~30万人規模の計

148

駅を対象駅とする。駅前広場 整備を行う場合には駅前広場を単独事業として実施する場合 と、複数事業と組み合わせて実施する場合がある。そこで本研 究では次の3つのタイプにカテゴライズする。

A:駅前広場が平成以前から存在しており、改修や再整備を実

施していない駅

B:駅前広場単独整備駅(駅前広場整備が平成以降に計画施行

されている、または駅前広場を再整備している駅)

C:駅周辺一体開発駅(駅前広場整備に加え市街地再開発事業

や高架化事業等を行っている駅)

4.3 推定モデル

駅前広場単独整備と駅周辺一体開発が駅周辺の地価に与え る影響を計測するために次式の固定効果モデルを用いて推定 を行う。

lnLP(公示地価)

ist =

+ β0(定数項)

+ β1駅前広場整備ダミーst

+ β2駅周辺一体開発ダミーst

+ β3(駅乗降客数)st

+ Tt + αis + εist

t=年次、i=地価ポイント、s=駅

lnLP

ist:公示地価(円/㎡)対数値

β

1 :駅前広場単独整備事業実施後の地価ポイントは1とし、

それ以外には

0

をとるダミー変数

β

2 :駅周辺一体開発事業認可後の地価ポイントは1とし、

それ以外には

0

をとるダミー変数

β

3 :駅乗降客数

T

t :年次ダミー

α

is :地価ポイントダミー

ε

ist :誤差項

β

1

β

2を推計することにより平成以降改修していない駅前広場 と駅前広場単独整備および駅周辺一体開発が周辺地価に与え る影響をそれぞれ把握することができる。当該地価ポイント固 有の特徴は固定効果を用いることによりコントロールする。

1988

年から

2014

年までの各年度で構成されたパネルデータ を用いて、住居系地域と商業系地域に分類し、各々推計を行っ ている。

5.駅前広場整備および駅周辺開発が周辺地域へ与える影響に

関する実証分析結果および考察

5.1 推定結果

駅前広場単独整備後に地価の上昇が示された。

500m

圏にお い て は

15.2

% 、

500m~1,000m

圏 に お い て は

9.9

% 、

1,000m~1,500m

においては

7.7%の地価上昇が見られ、統計

的に有意な水準であった。駅周辺一体開発後も同様に地価の上 昇が見られ、統計的に有意な水準であったが、駅前広場単独整 備よりも地価の上昇率が低かった。

住居系地域の地価においても同様に駅前広場単独整備後、

駅周辺一体開発後ともに周辺地価の上昇が見られた。駅前広 場単独整備後の地価上昇率は

500m

圏、500m~1,000m圏、

1,000m~1,500m

圏と駅から離れるに従い逓減する傾向が見

られた。一方、駅周辺一体開発後は駅から離れるに従い逓増 する傾向が見られた。

商業系地域は

500m

圏のみ有意な結果となり、駅前広場整

備後

9.1%、駅周辺一体開発後は 8.5%の地価の上昇傾向がみら

れた。

表 1-1 駅前広場が周辺地価に与える影響(全地価)

500m圏 1,000m圏 1,500m圏

 被説明変数:ln(公示地価)

説明変数

駅前広場整備ダミー 0.1520 *** 0.0991 *** 0.0776 **

(0.0447) (0.0205) (0.0307) 駅周辺整備ダミー 0.0700 ** 0.0423 ** 0.0489 **

(0.0350) (0.0172) (0.0198) 乗降人数(万人) 0.0067 *** 0.0022 * 0.0004

(0.0020) (0.0012) (0.0011)

駅ダミー 省略 省略 省略

年ダミー 省略 省略 省略

定数項 14.260 *** 13.120 *** 12.880 ***

(0.0336) (0.0167) (0.0224) サンプル数 9,117 8,712 6,368

R-within 0.831 0.869 0.889

ユニット数 497 447 319

係数 係数 係数

(3)

3

表 1-2 駅前広場が周辺地価に与える影響(住居系地価)

表 1-3 駅前広場が周辺地価に与える影響(商業系地価)

※***、**、*は 1%、5%、10%水準で統計的に有意であることを示す

※括弧内はクラスター化標準誤差

5.2.1 考察

実証結果より、着目すべき点が二つある。第一に駅周辺一 体開発後における住居系地価の変動である。駅周辺一体開発 を実施した場合、開発エリアにおいて大規模な商業施設やタ ワーマンションの建設、鉄道の高架など、開発前後で環境の 変化が起こったことが要因と考えられる。周辺再開発による 商業集積や、駅の高架化による街の回遊性向上により周辺住 民の生活の利便性は高まる一方で騒音や渋滞など負の外部効 果も発生する。こうした負の外部効果は駅から少し離れた地 域より駅に近い地域の方が影響を受けやすくなっており、そ の負の外部効果により駅に近い地域の地価上昇の方が低い結 果となった。しかし、1,500m以降の範囲においてこのよう な影響が及ぶか否かは本研究においては検証していない。

第二に駅周辺一体開発の場合の方が地価の上昇効果が低い ことである。開発エリアは駅前広場単独整備よりも広く、投資 規模も大きいにも関わらず、駅周辺の地価上昇が駅前広場単独 整備よりも小さい。可能性として考えられることは二点ある。

第一は地価水準の違いによるものである。駅前広場単独整備を 行う地域の平均地価水準は

582

千円であったのに対し、駅周 辺一体開発事業を実施した地域は

610

千円という平均地価で あった。平均地価水準が高いために駅前広場整備や駅周辺開発 の影響度が低かったことが考えられる。第二は分散の違いによ

るものである。駅前広場を含む駅周辺開発の個々の推定結果に ついて着目すると地価の上昇傾向が見られたケースと地価の 下落傾向が見られたケースにばらつきがあった。このばらつき の差が平均値をとると結果として駅前広場単独整備の地価上 昇率よりも低くなってしまった要因であると考える。

5.2.2 駅前広場単独整備と駅周辺開発の整備効果(整備便益)

分析結果より住宅地、商業地各々の㎡あたりの地価上昇額を 算出した。

500m

圏、

1,000m

圏、

1,500m

圏における地価上昇 率、地価上昇総額すなわち整備効果(便益)4を表

2

に示す。

駅前広場単独整備を行った地域の地価上昇効果は

1,500m

圏 内で約

700

億円、駅周辺一体開発を行った地域の地価上昇効 果は約

385

億円であった。整備コストや補助金・負担金がこ れら整備効果(便益)より上回ることは避けたほうが望ましい と考えられる。

表 2 駅前広場および駅周辺開発の整備効果

5.2.3

駅前広場整備および駅周辺開発における外部効果

分析にて明らかにしたことを前章の仮説と合わせて示すと 以下のようになる。

仮説1 駅前広場整備には正の外部効果が存在する。

駅前広場単独整備によって地価が上昇したことから「正の外部 効果」が存在する。

仮説2 駅から距離が近いほど駅前広場整備および駅周辺開 発の影響を受けやすい。

駅前広場単独整備は駅から近いほど地価上昇効果がある。駅周 辺一体開発は駅から離れるほど地価上昇効果が逓増する。駅か ら距離が近い方が正の外部効果と同様に、負の外部効果の影響 も受けやすい。

仮説3 駅前広場整備に合わせて駅周辺一体開発を実施した 場合、駅前広場を単独整備した場合よりも高い正の外部効果を 発揮する。

駅周辺一体開発を実施した場合は、地価上昇率が駅前広場単独 よりも低い場合がある。想定よりも正の外部効果は小さい可能 性がある。必ずしも社会的余剰を大きくするケースばかりでは ない。

もし仮に駅前広場の整備を民間や鉄道事業者が担う場合、駅 および駅周辺に一定の需要があるが供給できていない、または 人口や乗降客の増加傾向など今後の需要増大が見込める時、事 業者に整備インセンティブが働く。また、駅前広場の整備によ り正の外部効果が見込まれる場合のみ、周辺開発によって外部 効果の内部化を図るであろう。しかし、自治体が駅周辺一体開 発を行う場合、都市の機能更新による負の外部効果の解消など

商業系地価 対象エリア 0~500m圏 500m~1,000m圏 1,000m~1,500m圏 0~500m圏 対象面積(㎡) 359,868 1,079,793 1,799,719 57,479

地価上昇率 11.2% 10.4% 9.7% 9.1%

地価上昇額(円/㎡) 30,745 25,381 16,408 49,488

整備効果 約110億円 約270億円 約300億円 約30億円

全エリア整備効果合計

商業系地価 対象エリア 0~500m圏 500m~1,000m圏 1,000m~1,500m圏 0~500m圏 対象面積(㎡) 359,868 1,079,793 1,799,719 57,479

地価上昇率 5.1% 5.3% 6.1% 8.5%

地価上昇額(円/㎡) 11,626 11,058 10,774 51,613

整備効果 約42億円 約120億円 約194億円 約30億円

全エリア整備効果合計

住居系地価

B:駅前広場単独整備

約385億円 C:駅周辺一体開発 住居系地価

約700億

500m圏 1,000m圏 1,500m圏

 被説明変数:ln(公示地価)

説明変数

駅前広場整備ダミー 0.1120 *** 0.1040 *** 0.0972 ***

(0.0188) (0.0154) (0.0271) 駅周辺整備ダミー 0.0513 ** 0.0573 *** 0.0606 ***

(0.0199) (0.0109) (0.0159) 乗降人数(万人) 0.0032 *** 0.0012 0.0021 **

(0.0012) (0.0008) (0.0009)

駅ダミー 省略 省略 省略

年ダミー 省略 省略 省略

定数項 13.390 *** 13.050 *** 12.860 ***

(0.0232) (0.0156) (0.0196)

サンプル数 3,244 7,443

R-within 0.903 0.902

ユニット数 173 374 274

0.91 5,577

係数 係数 係数

500m圏 1,000m圏 1,500m圏

 被説明変数:ln(公示地価)

説明変数

駅前広場整備ダミー 0.0912 ** -0.0784 0.0266

(0.0359) (0.0596) (0.0308)

駅周辺整備ダミー 0.0850 ** -0.0094 -0.0063

(0.0339) (0.0565) (0.0515)

乗降人数(万人) 0.0067 *** 0.0116 ** 0.0007

(0.0020) (0.0056) (0.0054)

駅ダミー 省略 省略 省略

年ダミー 省略 省略 省略

定数項 14.900 *** 14.060 *** 13.850 ***

(0.0336) (0.0918) (0.0465)

サンプル数 5,725 933 516

R-within 0.921 0.899 0.931

ユニット数 313 53 30

係数 係数 係数

(4)

4

を根拠に駅前広場および駅周辺を開発する。そのため、開発地 域に見合った開発形態の選択や開発に伴う外部効果の予測を 行うことが難しく、過少(もしくは過大)となってしまう可能 性がある。

図 2 駅前広場および駅周辺開発における費用便益

6.政策提言

駅前広場および駅周辺開発には正の外部効果があることを 地価の上昇傾向によって示すことができた。また住居系地域、

商業系地域どちらにも地価の上昇を及ぼしたことから駅前広 場および駅周辺開発には複数の地域にまたがる受益者がいる。

外部経済効果を複数の受益者に対して引き起こしている財は 公共財と定義できる5。したがって、正の外部効果がある公共 財として自治体が整備することが正当化される。

また、公共財である駅前広場は民間および鉄道事業者に任せ ておいては過少供給となる可能性があるため、民間所有駅前広 場においても整備負担金や補助金等の導入が支持される場合 がある。駅前広場は鉄道駅の歴史と同様古い時代から残るもの が多く存在するため、それらの再整備や新たに駅前広場を増設 することも考えられる。駅前広場においても民間や鉄道事業者 が積極的に整備を推進できるよう民間が整備費を負担した場 合は維持管理費の負担を軽減させるなど駅前広場整備を推進 するための施策を行う必要がある。

今回の実証で明らかになったのは、駅前広場を含む駅周辺 開発を実施した場合に必ずしも社会的便益が最大化するとは 限らないということである。ケースによっては駅前広場単独

1都市計画用語研究会(2012);「四訂都市計画用語辞典」

2社団法人日本交通計画協会,建設省都市局都市交通調査室(1998);

「駅前広場計画指針-新しい駅前広場計画の考え方-」

3宮元ら(2002)は商業施設や多種の複数機能が集積することによ り、移動費用が減少したり、取引の選択肢が増加したりすることで 便益が発生すると論じている。

4整備便益=地価上昇額×エリア対象面積により算出している。地価 上昇額は整備後の平均地価から実証分析で推定した値を引き整備前 後の平均地価を差し引きすることにより算出している。対象面積は

整備が効果を発揮する場合もあるため、駅前広場以外の周辺 開発のタイプを適切に選択する必要がある。例えば、自治体は 公共財としての駅前広場を整備することに専念し、駅周辺開 発事業において商業や住宅供給を行う場合は民間に委ねるな ど、民間投資を誘導することでマーケットに応じた社会的に 望ましい水準に達する可能性もある。駅周辺開発においては 自治体と民間との役割分担を適切に行い、開発規模や開発ス キームを慎重に検討すべきである。

7.おわりに

本研究では地価の変動を観察することで駅前広場および駅 周辺開発による整備効果、すなわち社会的便益の定量化を試み た。そして、駅前広場単独整備により周辺地域の地価が上昇す ること、駅周辺一体開発を実施した地域よりも駅前広場単独整 備を行った地域の方が地価の上昇率が高いことが明らかとな った。これは駅前広場のみにあらず、駅周辺開発を合わせて行 うことにより、想定が困難な外部効果が発生し、駅前広場単独 整備よりも開発リスクを伴う可能性があることを示している。

本研究では駅前広場単独の整備効果と駅周辺一体開発の整 備効果の比較を行ったが、駅前空間の最も効率的な整備形態を 検討する指標の一つとなる可能性がある。今後のまちづくりに おいては限られた資源を効率的に配分していく必要があり、投 資規模と整備効果の検証は必要不可欠である。今後の駅を中心 としたまちづくり、コンパクトシティ構想の有効な参考指標と なる可能性があると考えられ、本研究の意義はそこにある。今 回の実証では固定効果モデルを使用し、その場所固有の特徴に ついてはコントロールしているが、駅の地域特性や人口増減な どの因果関係や駅前広場と駅周辺開発の整備効果を分離でき ないことなどが研究の課題として挙げられる。また、ヘドニッ クアプローチにより事業評価を行う際の正確性は一般的には 保障されないとの指摘も一部あるため、この数値のみを用いて 事業決定を行うことには慎重になる必要があること、どの地域 においても必ずしも整備効果が発揮できる可能性があるわけ ではないという点に留意が必要である。駅前広場および駅周辺 開発を実施する前に整備効果の影響範囲や大きさを評価する、

近似条件エリアでの整備効果の検証など、整備前の外部効果を 予測できるようなモデルを今後構築する必要があり、個々の地 域に応じた最も効率的な整備のあり方を検討することが重要 である。

半径500m圏、1,000m圏、1,500m圏の面積に横浜市統計情報の大 都市圏比較年表より算出した東京都区部、さいたま市、千葉市、川 崎市、横浜市、相模原市の都市計画区域面積に対する住宅系用途地 域、商業系用途地域の平均割合を乗じた値としている。

5八田(2008)「ミクロ経済学Ⅰ」によると外部経済効果とはひとつ の経済主体が他の経済主体に市場を介さずに影響を与えることであ り、外部経済効果を複数の受益者に対して引き起こしている財を公 共財と定義している。(外部性からの公共財の定義)

参照

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