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電子回折イメージングに対する量子ノイズおよび

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 川 原 宏 太

学 位 論 文 題 名

電子回折イメージングに対する量子ノイズおよび      入射ビーム角度拡がりの影響

学位論文内容の要旨

  近年。計測技術の発達により様々誼物質の構造が原子スケールで解明され,産業への応用が実現さ れている.例えば,カーポンナノチュープ(CNT)に代表される新素材開発のよう改工業的応用,DNA やタンパク質の医療・創薬への応用額どが挙げられる.構造解析に用いられる代表的を計測・解析 技術として,電子顕微鏡,X線結晶構造解析,核磁気共鳴分光法(NMR)教どがある,これらの手法は 各計測原理と現状技術の制約により,それぞれ固有の特徴を有している.そのため,目的物質に対す る上記手法の相補的款組み合わせにより,その構造の解明が行われる.しかしをがら,これら既存手 法を用いても,すべての物質に対する構造解析が可能ではをく,非周期構造の物質に対して,原子ス ケールでの構造決定を行うことは一般的に困難である.この問題は,例えぱ,創薬の研究で重要と 抵る細胞膜付近に存在する『膜タンパク質』教どの結晶化困難を物質に当てはまり,新た誼原子ス ケールでの構造解析手法が強く求められている.新た極手法のーっとして,結像のためのレンズを必 要とし教い非周期顔物質に対する構造解析手法である 回折イメージング が大き橡注目を集めて いる.回折イメージングとは,実験により計測された回折パターンを元に計算機による数値計算を 行うことで試料構造を再構成するイメージング手法であり,物理的誼レンズ作用をデジタル計算に よって実現する デジタルレンズ 顕微鏡と言える.この手法は,結像のためのレンズを必要とせ ず,レンズ収差に影響され教い回折限界分解能のイメージングを実現することが原理的に可能であ る.回 折イメ ージン グの光 源としてX線を用いる研究は,様々教試料に対する応用が盛んに行われ るが,電子線を用いた回折イメージングは着実に研究は進んでいるものの,実現可能性を検証する結 果の報告が主であり,応用段階に至ってい趣い現状にある.本論文は,電子線を用いた回折イメージ ングの現状と課題に対する検討,数値実験および電子顕微鏡を用いを物理実験により得られた結果 をまとめたものである.

  回折イメージングは,計測実験と数値計算のニつに大別される.計測実験において必要教ことは,

フーリエ変換の関係を満たす理想的を回折パターンの計測 であるが,電子回折イメージングにお いて理想的を回折パターンから外れる主教要因として,1.量子ノイズ,2.入射ピームの角度拡がりが 挙げられる.1は,量子力学に起因する検出ゆらぎにより,回折パターンの検出強度に確率的款誤差 が生じる.2は。入射ピームの角度拡がりが回折パターンに畳み込まれ,理想的を回折パターンにボ ケを与える.これらへの対処法が電子回折イメージングを実現する際の主教課題とをる,本論文では

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上 記1と2の 課 題 に つ い て , 回 折 イ メ ー ジ ン グ に 対 す る 影 響 と その 解消 法を ま とめ てい る.

  本論文は全7章から構成さ れている.

  第1章では,現在までの回 折イメージング研究の歴史 と本研究で取り扱う問題を整理し,本研究 の目的を述べる.

  第2章では,回折イメージ ングの概要を解説する.まず,回折イメージングに必要教回折パターン の計測実験条件についてま とめ,次にそれら計測データ から物体構造をイメージングする手法とし て反復位相回復法を説明す る.

  第3章では,電子回折イメ ージングの課題である量子 ノイズおよび入射ビームの角度拡がりに対 し,第2章で説明した実験条 件およびイメージング手法を用いた数値実験により,それらの影響を考 察する.その結果,回折イメージングヘ量子ノイズを含む回折パターンを用いた場合,再構成イメー ジ強度が初期値に依存してばらつきを生じること,また,入射ビームの角度拡がりを含む回折パター ン を 用 い た 場合 ,角 度 拡が りに 対応 して 再 構成 イメ ージ が 縮小 され るこ とを 明 らか にす る.

  第4章 では,第3章で示した各課題 の影響に対する解消法として デコンボリューション法お よび アンサンブル法を適用し,数値実験においてそれらの有効性を考察する,その結果,反復位相回復法 に繰り返し型デコンポリュ ーション法を組み込むことで 角度拡がりの影響が改善されること,いく っかの異次る収束解にアン サンプル法を適用することで 量子ノイズの影響が軽減できることを明ら かにする.以上によって,電子回折イメージングの課題に対する数値実験的検証を行い,第5章,第6 章で述べる電子計測実験に おける考察の基礎を確立する .

  第5章 では ,第3章 で示 した 角度拡 がりの影響および第4章で示 した解消法についての実験 的定 量評価を行うため,構造が既知の試料に対する電子回折イメージングの実験的検証について述べる,

実 験 装 置 は ,200 kVの 透 過 型 電 子 顕 微 鏡JEM2010F既知 試料 は100 nm幅 のTEM用 回折 格子 を用 いる.その結果,第3章で示 した数値実験と同様に計測 実験においても再構成イメージの縮小が起 きること,また,解消法を用いることで改善できることを明らかにする.これより,電子回折イメー ジ ン グ に お ける 装置 上 の課 題を アル ゴリ ズ ムに よっ て軽 減 でき るこ とを 実験 的 に検 証し た.

  第6章では,さらに高分解 能を実現する応用実験とし て 低加速電子線による高分解能イメージ ング を目的に,結像のための対物レンズを使用し誼い装置を用いた実験を行い,低加速でかつ高分 解能次回折イメージングの 可能性および解消法の有効性を検証する.まず,20 kVの加速電圧を用い て,多層カーポンナノチュ ープを試料とし、その特徴的 構造であるチュープ外径4 nm,内径1.9 nm および0.34 nmのウォール間 構造のイメージングを行う,また,解消法の適用により,入射ビームの 角 度 拡 が り の 影 響 と し て 制 限 さ れ て い た 全 体 構 造 の 再 構 成 を 実 現 す る .   第7章では,本研究で得ら れた成果のまとめを述べる .

  本研究では,電子回折イ メージングの課題である量子 ノイズおよび入射ビームの角度拡がりに対 してそれらの解消法を提案し,実験的にこれらの方法の有効性を示した.今後,従来では解析困難で あった物質の原子スケール 構造解明に適用され、応用物 理学の基礎と応用に貢献することが期待さ れる.

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    郷原一 壽 副 査    教授    石政    勉 副 査    教授    折原    宏 副査   准教授   内田   努 副査   准教授   柴山環樹

学 位 論 文 題 名

電子回折イメージングに対する量子ノイズおよび      入ビーム角度拡がりの影響

  近年,計測技術の発達により様々誼物質の構造が原子スケールで解明され,産業への応用が実現さ れている.例えば,カーポンナノチューブ(CNT)に代表される新素材開発のよう誼工業的応用,DNA やタンパク質の医療・創薬への応用顔どが挙げられる,構造解析に用いられる代表的款計測・解析 技術として,電子顕微鏡,X線結晶構造解析,核磁気共鳴分光法(NMR)教どがある,これらの手法は 各計測原理と現状技術の制約により,それぞれ固有の特徴を有している.そのため,目的物質に対す る上記手法の相補的社組み合わせにより,その構造の解明が行われる.しかし教がら,これら既存手 法を用いても,すべての物質に対する構造解析が可能ではをく,非周期構造の物質に対して,原子ス ケールでの構造決定を行うことは一般的に困難である,この問題は,例えぱ,創薬の研究で重要と 教る細胞膜付近に存在する『膜タンパク質』誼どの結晶化困難教物質に当てはまり,新た誼原子ス ケールでの構造解析手法が強く求められている.新たを手法のーつとして,結像のためのレンズを必 要とし次い非周期教物質に対する構造解析手法である 回折イメージング が大き橡注目を集めて いる.回折イメージングとは,実験により計測された回折パターンを元に計算機による数値計算を 行うことで試料構造を再構成するイメージング手法であり,物理的をレンズ作用をデジタル計算に よって実現する デジタルレンズ 顕微鏡と言える,この手法は,結像のためのレンズを必要とせず,

レンズ収差に影響され誼い回折限界分解能のイメージングを実現することが原理的に可能である.

回折イメ ージン グの光 源としてX線を用いる研究は,様々を試料に対する応用が盛んに行われてい るが,電子線を用いた回折イメージングは着実に研究は進んでいるものの,実現可能性を検証する結 果の報告が主であり,応用段階に至ってい誼い現状にある,本論文は,電子線を用いた回折イメージ ングの現状と課題に対する検討,数値実験および電子顕微鏡を用いた物理実験により得られた結果 をまとめたものである.

  回折イメージングは,計測実験と数値計算のニつに大別される.計測実験において必要教ことは,

フーリエ変換の関係を満たす理想的顔回折パターンの計測 であるが,電子回折イメージングにお いて理想的款回折パターンから外れる主教要因として,1.量子ノイズ,2.入射ピームの角度拡がりが

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挙げられる.1は,量子力学 に起因する検出ゆらぎにより,回折パターンの検出強度に確率的数誤差 が生じる.2は,入射ピーム の角度拡がりが回折パターンに畳み込まれ,理想的社回折パターンにポ ケを与える.これらへの対処法が電子回折イメージングを実現する際の主教課題とをる.本論文では 上 記1と2の 課 題 に つ い て , 回 折 イ メ ー ジ ン グ に 対 す る 影 響 と そ の 解消 法を まと め てい る.

  本論文は全7章から構成さ れている.

  第1章では,現在までの回 折イメージング研究の歴史と 本研究で取り扱う問題を整 理し,本研究 の目的を述べている.

  第2章では,回折イメージ ングの概要を解説する.まず,回折イメージングに必要を回折パターン の計測実験条件についてまと め,次にそれら計測データ から物体構造をイメージングする手法とし て反復位相回復法を説明して いる.

  第3章では,電子回折イメ ージングの課題である量子ノ イズおよび入射ビームの角 度拡がりに対 し,第2章で説明した実験条 件およびイメージング手法を用いた数値実験により,それらの影響を考 察した.その結果,回折イメージングヘ量子ノイズを含む回折パタニンを用いた場合,再構成イメー ジ強度が初期値に依存してばらつきを生じること,また,入射ビームの角度拡がりを含む回折パター ンを 用い た場 合,角度拡がりに対応し て再構成イメージが縮小され ることを明らかにしている .   第4章で は ,第3章で示した各課題の 影響に対する解消法としてデ コンボリューション法およ び アンサンブル法を適用し,数値実験においてそれらの有効性を考察する.その結果,反復位相回復法 に繰り返し型デコンボリュー ション法を組み込むことで 角度拡がりの影響が改善されること,いく っかの異誼る収束解にアンサ シブル法を適用することで 量子ノイズの影響が軽減できることを明ら かにする.ここまでに,電子 回折イメージングの課題に 対する理論的検証を行い,第5章,第6章で 述べる電子計測実験における 考察の基礎を確立している .

  第5章で は ,第3章 で示 した 角度 拡が りの影響および第4章で示し た解消法についての実験的 定 量評価を行うため。構造が既知の試料に対する電子回折イメージングの検証を報告する.検証実験装 置は ,200 kVの透 過 型電 子顕 微鏡JEM2010F既 知試 料は ,100 nm幅 のTEM用 回折 格子 を用いる , その結果,第3章で示した数 値実験と同様に計測実験にお いても再構成イメージの縮 小が起きるこ と,また,解消法を用いることでそれらの影響が改善できるてとを明らかにする.これより,電子回 折イメージングにおける装置 上の課題をアルゴリズムに よって解決できることを実験的に検証して いる.

  第6章では,さらに高分解 能を実現する応用実験として 低加速電子線による高分 解能イメージ ング を目的に,結像のための対物レンズを使用し塩い装置を用いた実験を行い,低加速でかつ高分 解能橡回折イメージングの可 能性および解消法の有効性を検証する.まず,20 kVの加速電圧を用い て,試料として用いた多層カ ーIポンナノチューブの特徴 的構造であるチュープ外径4 nm,内径1.9 nmおよび0.34 nmのウォール 間構造のイメージングを行う .また,解消法の適用によ り,入射ビー ム の 角 度 拡 が り の 影 響 と し て 制 限 さ れ て い た 全 体 構 造 の 再 構 成 を 実 現 し て い る ,   第7章では,本研究で得ら れた成果のまとめを述べてい る,

  これを要するに著者は,電 子回折イメージングに対す る新た教知見を得たものであり、応用物理 学に対して貢献するところ大誼るものがある.よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与 される資格あるものと認める 。

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参照

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