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髙山 優 氏から学位申請のため提出された論文の審査要旨

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博士課程用(甲)

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(様式6-A)

髙山 優 氏から学位申請のため提出された論文の審査要旨

題 目 Motor Nerve Preservation and Muscle Atrophy after Pectoralis Major Musculocutaneous Flap Surgery for Oromandibular Reconstruction.

(顎口腔再建における大胸筋皮弁再建術後の筋萎縮に対する運動神経の存在意義)

Journal of Craniofacial Surgery. (2016) in press.

論文の要旨及び判定理由

背景:大胸筋皮弁(PMMC)は顎口腔再建に際し,遊離皮弁の血管吻合部血栓のリスクが高い患者や遊離皮弁 壊死後の救済手術では第1選択となる場合が多く,重要な筋皮弁である.しかし,ローテーションアークの制限,

血行不安定,さらには移植後の退行性変化が著しく,術後の機能や整容性に影響が出やすい等の欠点がある.そ こでわれわれは,PMMCの筋体萎縮を防止するために大胸筋の運動神経である内側胸筋神経の温存や,神経縫 合による神経再形成などの対策を講じている.本論文の目的は,下顎切除後のPMMCを使用した顎口腔再建に おける内側胸筋神経の温存・再形成の意義を臨床的および病理組織学的に検討することである.

対象および研究方法:(1) 臨床的検討:1996年1月から2014年12月までの19年間に92例のPMMCを使用した顎 口腔再建が施行され,内側胸筋神経が温存・再形成された症例は41例であった.これらの症例の中から,再建 後の顔面輪郭の形態変化の観察が可能であった13症例に対して,自覚認識をスコア化することにより顔面輪郭 形態の変化を評価した.また,内側胸筋神経切断症例1例と温存・再形成症例3例に対して他覚的評価を実施し た.(2)病理組織学的検討:正常大胸筋および手術後の経過観察中に筋組織の採取が可能であった20症例につい てHE染色,Van Gieson染色,PAS・PCNA二重染色,S-100染色,PGP9.5染色を行い,移植大胸筋の退行性 変化,神経支配の変化について経時的(術後3か月,1, 2, 3, 4, 7年)に病理組織学的検索を行った.

結果:神経温存・再形成症例では,顔面輪郭の変化に対する認識が自覚,他覚ともにが低い結果であった.しか し,神経切断症例では術後わずか3か月で著明な顔面非対称が自覚,他覚共に認められた.病理組織学的には,

運動神経を温存または再形成しても術後7年間で約30%の筋肉体の脂肪化・線維化が認められ,typeⅠ線維は36

%まで減少していた.しかし,術後2年間は退行性変化は抑制されていた.切断症例では,わずか3か月で神経 温存・再形成症例の術後7年以上の退行性変化を認めていた.Atrophy factorも,切断症例では3か月で温存・再 形成症例7年目とほぼ同様の値を呈していた.したがって,切断症例では,わずか3か月で温存・再形成症例7年 目と同程度の筋体萎縮に至り,相応して筋体の線維化と脂肪化が起こることが明らかとなった.神経線維は温存

・再形成症例では2年後までは正常と同等に維持されていたが,3年後以降はほぼ消失していた.切断症例では,

わずか3か月で神経線維は認められなかった.

考察:本研究では,移植された大胸筋の運動神経を温存または再形成しても,長期的には筋体の萎縮や脂肪化・

線維化などの退行性変化を示した.しかし,術後2年間は退行性変化は抑制されていた.神経切断症例では,わ ずか3ヶ月と言う短期間で術後7年以上の退行性変化を認めていたことを考慮すると,温存・再形成は退行性変 化の遅延化という意義があった.退行性変化の遅延化は,臨床的には術後早期の顔面輪郭変形による患者の精神 的落胆の回避に効果がある.さらに本研究によって,再生医学的下顎骨再建における腸骨海綿骨細片(骨髄)の 移植時期が明確となった.再生骨形成には腸骨海綿骨細片(骨髄)への十分な血液供給が必須であり,その供給 源として移植筋肉からの血行が非常に重要となる.したがって,筋体量が保たれている2年以内に腸骨海綿骨細 片(骨髄)移植術を行なえば再生骨形成に有利であると考えられた.

本研究により,PMMC移植による顎口腔再建の内側胸筋神経の存在意義が臨床的,病理組織学的に示され,

かつ,これまで明確な基準がなかった再生骨形成のための腸骨海綿骨細片(骨髄)移植の時期が明らかとなり,

博士(医学)の学位に値するものと考えられた.

(平成28年8月31日)

(2)

博士課程用(甲)

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審査委員

主査 群馬大学教授(医学系研究科)

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野担任 近松 一朗 印

副査 群馬大学教授(医学系研究科)

生体構造学分野担任 松崎 利行 印

副査 群馬大学教授(医学系研究科)

リハビリテーション医学分野担任 和田 直樹 印

参考論文

1.Double Free Transfer Using a Vascularized Free Fibular Flaps and Rectus Abdominalis Musclocutaneous Flaps for an Extensive Orimandibular Defect:

Prevention of Sinking or Drooping of the Flap With an Anterior Rectus Sheath (広範な顎口腔欠損に対する腹直筋皮弁および腓骨皮弁の同時組織移植法)

Journal of Craniofacial Surgery 26(7): e622-e624, 2015

Makiguchi T, Yokoo S, Miyazaki H, Takayama Y, Miyazaki H, Terashi H

2.口腔癌患者におけるS-1確実投与法適応に関する検討 癌と化学療法42(5):569-573, 2015

根岸明秀、小川 将、小杉謙介、高山 優、五味暁憲、宮崎英隆、横尾 聡

3.Lower lip repair using double opposing rectangular rotation flaps with reconstruction of the mentolabial groove and mental protuberance (下唇両側長方形皮弁を用いたオトガイ唇溝およびオトガイ隆起再建法)

International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery 43: 1073-1075 2014 Miyazaki H, Makiguchi T, Takayama Y, Yokoo S

4.口腔扁平上皮癌頸部転移に関する診断的・治療学的検討 日本口腔診断学会雑誌27(3): 216-222, 2014

根岸明秀、信澤愛子、小川 将、高山 優、五味暁憲、牧口貴哉、宮崎英隆、

横尾 聡

5.下顎歯肉扁平上皮癌の下顎骨浸潤評価と切除法選択に関する診断的・治療学的検討 日本頭頚部癌学会雑誌40(3):318-323, 2014

根岸明秀、信澤愛子、小川 将、高山 優、五味暁憲、牧口貴哉、宮崎英隆、

横尾 聡

6.口腔癌頸部郭清後における内頸静脈開存状態と治療内容に関する検討 日本頭頚部癌学会雑誌40(3):374-379, 2014

牧口貴哉、横尾 聡、宮崎英隆、小川 将、高山 優、根岸明秀

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博士課程用(甲)

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7.口腔癌の放射線・薬物療法中に生じる口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の有効性 漢方と最新治療23(4):357-362, 2014

五味暁憲、横尾 聡、清水崇寛、小板橋敦、小川 将、高山 優、牧口貴哉、

宮崎英隆、根岸明秀

8.Supercharged Pectoralis Major Musculocutaneous Flap

(大胸筋皮弁再建へ外側胸動脈による血行付加) Journal of Craniofacial Surgery 24(2): e179-e182, 2013

Makiguchi T, Yokoo S, Miyazaki H, Takayama Y, Ogawa M, Hashikawa K, Terashi H

参照

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