岸本俊祐* 坂井良広*
Introduction of A Self−taught Subject in The Department of Electronics and Computer Engineering
Shunsuke KIsHIMoTo* and Yoshihiro SAKAI*
平成12年度に行われたカリキュラムの大改定に伴って,情報工学科には自発的学習科目が大幅に取り入 れられた.その中で,最も低学年に導入された「情報課題演習」科目の導入および実施経緯のレポートである.
この科目は,まったく新しい概念の科目であり,ノウハウの蓄積がないため,この1年間,その実施は試行錯 誤の連続であった.
前年度の早い時期から,この科目の授業形態をどうするかの議論から始めて,課題テーマ集め,各研究室配 属,学習時間や場所の確保,成果発表会等々実際に行った具体的な実施方法,成果,実施上の問題点等の詳細 な報告である.
キーワード:自発的学習,自発的学習科目,実験実習,カリキュラム改定
1. はじめに
津山高専では,近年の技術教育をめぐる社会情勢 の変化に対応し,効果的な教育を実現するため,平 成12年度よりカリキュラム大改定を行った.そのカ リキュラムが目指す教育の方向は,専門性の高さよ りも幅広くさまざまな技術の分野で活躍できる人材 を育成することであるeそのために,(1)興味を持っ て物を触り扱える,(2)設計や加工そして組み上げて 物(ハードおよびソフト)を作り出せる,(3)さらに 上級レベルに挑戦できる意欲を有する,(4)それら ができるための基礎的学力と考えるカを持つ,など 技術的側面のみならず広く教育全般にわたって,創 造力と課題探求能力を育成することを目指している.
また,実験実習を重視する教育を通して発想力豊か な実践的技術者を育成する機能を果たしながら,多 様化・個性化を図ることも目指している1).
情報工学科では従来から,コンピュータの利用技 術を総合的に学び,ディジタル技術による情報操作 ができることを目指し,ハードウェアとソフトウェ アを一体化したコンピュータ利用技術を基本から応 用まで教育していくことを基本方針としている.こ の教育方針は今回のカリキュラム改定においても変 わっていないが,特に情報工学科には多様な指向を 持った学生が多く,進路先も多様化している、この ような状況で,基礎から先端までの技術全体を,積
み上げ方式で扱ったのでは教育効果が上がりにくい.
従って.今回のカリキュラム改定では,これまでの 目標を維持しつつも,低学年では理論より実践を多 くし,コンピュータ利用技術全般を体験的に学べる ようにした.その後,興味を持った分野を個別に伸 ばすという考え方を取り入れている.
このように学生の多様性に対応し,実践から理論 に興味をつないでいくために,自発的学習科目を多 く導入した.この科目では自らが設定または与えら れた情報分野の課題を,教官の助力を得ながらも,自
ら解決することを課している.この新しく導入され た科目の中で,最も低学年に導入された科目を,情 報工学科がどう捉え,どのように立ち上げ・実施し ていったかをやや詳しく報告する,
2.情報工学科における自発的学習科目
情報工学科の自発的学習科目は,必修科目と選択
科目に大別される,必修科目は1年から5年までの 流れを意識して構成している.1年の導入時期にお
いてまず情報専門分野に興味を持たせ,次第に専門 性を高めて卒業研究に到達する.選択科目は各学生の自主性をより高める方向で構成している.
2.1 必修科目 原稿受付 平成13年8月31日
*情報工学科
学生が興味を持てる分野を自ら探したり,得意な 分野を伸ばせるようにして,情報工学専門科目全体
津山高専紀要第43号 (2001)
への波及効果を期待しつつ卒業研究での完成を目指 して,下記のように全学年に渡って開設する.
1年 情報課題演習(2単位)=各教官の出した
課題を自主的に解決することで,専門の学
習内容の一端に触れさせる.2年情報創造演習1(2単位):個々の学生が 興味の持てる分野の課題を自ら設定し,自
己啓発に努める.3年 情報創造演:習H(2単位):情報創造演習1 と同様に実施し更に専門性を高める.
4年 情報課題ゼミナール(2単位)=少人数で ゼミナール形式の議論を行い,興味を持つ 事項の理解を深める.
5年 卒業研究(9単位)=自発的学習の仕上げ として,自ら設定した研究課題を探求する.
2.2 選択科目
得意な分野の学習を更に進めたり,不得意な分野 を無くする取り組みのために開講する.担当教官の 指導の元に,特定の課題を取り上げて自主的学習や 成果物の作成,資格取得やコンテスト参加などの活 動に取り組む.このために下記の科目を開設する.
2年 情報課題研究1(2単位)
3年忌情報課題研究ll(2単位)
4年情報工学演習(2単位)
3.情報課題演習実施の年間概況
この新しい科目をどのようにして立ち上げ実施し ていったか,実際行った日程の年間概況を下記に示 す.以後,この目程に沿って説明をしていくことに
する.
授業形態検討会(前年度8月〜1月)
教室会議,グループ会議等
課題テーマ集め(前年度2月〜3月)
1担当者当たり数テーマ 受け入れ人数4〜5名
課題テーマ説明会(4月〜5A中旬)
授業時間内で1教官当たり10分程度
放課後,研究室・卒研室見学研究室配属(5H中旬)
配属希望アンケート,配属会議 実施(5,月中旬〜翌年1月)
演習,実習,実験,調査等
中間報告会(10月上旬)
学習成果発表会(2月上旬)
3会場に分かれ,教官学生同席 omかPower P。intを使うこと
1人約5分
学習レポート提出(学年末)
A4工数枚程度
形式は特に規定しない 単位認定会議(学年末)4.情報課題演習の目標と授業形態
情報課題演習は,1年生が入学後最初に受講する 情報工学科の専門科目であり,かつ,自発的学習課 目であるという位置づけになっている.従って,情 報工学という専門分野へのオリエンテーションとし ての指導も必要であり,できるだけ手をかけ,てい ねいに親切に少人数教育という形で対応して行こう ということになった.このために,教官側の負担が かなり増加することになってもやむを得ないと考え た.1年生という初期の段階で,専門への 方向付 け や なじみ がうまくいけば,後々の負担がず いぶんと軽減されると期待できるからである.
さらに,学生の自発的学習が期待できるのは,当 人たちが興味を持ち,本当にやりたいと思うテーマ に取り組んだ時である.学生たちのテーマに対する 希望を満たすためには,多様なテーマを数多く準備 しなければならない.以上のような条件のもとで,ど んな授業形態が最もふさわしいか,事前に数ヶ月に わたる検討を行った.受け入れ側の種々の条件,つ まり,担当できる二宮数,授業時間,場所,設備や 実験機器等を考慮しながら,試行錯誤で解を探すう ち,卒業研究のミニチュア版のような授業形態にた どりついた.つまり,骨子としては,
1人1テーマ
1年かけて取り組む 指導教官に所属 成果発表会を行うレポート提出
である.そして,この科目のシラバスには2),その 目標並びに概要として,
「学生各個人々々に与えられた情報分野の課題を,
指導者の助力を得ながら1年かけて自ら解決してい く.その過程を通して自主的に問題を解決していく 能力を養う.また,初年級の早い時期から専門の課 題や教官と直接接することで,専門への所属意識や
目標,興味等を持たせる.
課題テーマは多方面にわたって出来るだけ多く(20 テーマ以上)用意し,学生が選択できるようにする.
そして,学生を5工程度のグルL一一一プに分け,各教官 に配属する.時間野上の割り当て時間は週1時間で あるが,後1時間分は放課後等の自主活動による」
と明記した.
5. テーマ集めと説明会
課題テーマは,実施年度の数ヶ月前から,情報工学 科所属のすべての教官に対し,学生それぞれ1テー
マを割り当てて,少なくとも4〜5人の学生の受け
入れが可能なよう,できるだけ多くのテーマを出し てもらうよう依頼した.それぞれのテーマについて,学生に示すシラバスが書けるよう,テーマ,目的,内 容,実施時間数,受け入れ可能人数等かなり詳しい データを出してもらった.それを担当教官ごとにま とめて情報工学科のWebベージに載せ,ネットワー クからいっでもアクセスできるようにした.また,同 じ内容のものをハードコピーして,1年生に配布し ておき,あらかじめ予備調査したりテーマ説明会の
とき参照できるようにした.
寄せられたテーマ数は全部で24,受け入れ可能 人数は合計58名であった.内容を大まかに分類し
てみると,
ソフトウェア分野
Webページ作り,プuグラミングCG,
アニメーション等 ハードウエア分野
パソコン分解・組立,ボードマイコン,
レゴロボット,周辺装置等 計測・制御分野
アームロボットや移動ロボットの制御,
超音波探索,電波による流星観測等 各種調査
パソコン構造,ネットワーク,画像ファイルの 形式,磁気記録媒体の仕組み等
その他
ディジタル検定受検講i座,特許図面,
人工知能事始め等
以上,情報分野の大部分をほぼカバーしている内 容となっている.これをグラフにしてみると,Fig.1 の様になった.図の%はそれぞれのテーマの受け入 れ可能人数の割合である.
テーマ説明会は,1人の教官当たり約10分の時
問を割り当て,情報工学科1年のホームルームで行った.時間割上では,1週間に1時間分の授業時間し かとれないため,4月中旬から5月にかけて3回分
にわたって行うことになった.また,この期間中の 放課後,各教官の研究室や卒研室を解放し,自由に 見学できるようにしておいた.6.希望アンケートと配属
テーマ説明会のあと,配属希望のアンケート調査 を行った.アンケートには第6希望まで書かせ,でき るだけ別々の教官のテーマを選ぶよう指導した.ア ンケートを集計し,一覧表にしてから配属会議を開
調査
14%
計・制 10%
その他
10%
ソフト 38%
ハード 28%
Fig.1課題テーマの分野別分布
いた.その表をもとに希望順位の高い者から,順番に 各学生をテーマに割り当てていった.希望テーマの 偏りや,受け入れ可能人数の制限等により順位の低
い第4希望にも一部割り当てねばならなかった.希
望順位と割り振りの割合を示すと,第1希望 第2希望 第3希望 第4希望
43 O/0 27 O/0 25 O/0 50/o
であった.これを実際配属されたテーマ別に人数の 割合で示すとFig.2のようになる.
調査
計・制
7%
ハード 26%
その他
5%
ソフト 46%
Fig.2 選択されたテーマの割合
7.実施状況
5月中旬,配属を決定したあとは,授業時間が来
るたびに,各担当教官のもとへ出向かせ,それぞれ 与えられた課題に従って演習・実習・調査等学習を 行わせた.最初の数回は,テーマの目的や内容の確認・徹底 を行い,パソコンや他の実験機器の扱い方,資料の 読み方等自主的に実習を進めるには,どうしたらよ いかを教えるために費やした.それ以後は,学生の
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自主性に任せ,学習時間がきたらきちんと出席させ ること以外はできるだけ何も強制しないようにした.
数人を担当していれば,能力の差や実技に対する センスの違い等で,進行状態に大きな差がでてくる.
なぜこんな簡単なことをいつまでたってもクリアで きないのかと,指導者の方がイライラする場面が多々 あったが,じっと我慢して,当人が助言を求めてくる まで,できるだけ手出しをしないようにした.学生 の方も,このような授業形態は初めてなので,最初 のうちは大いにとまどっていた.ある学生は,なす すべが見つからないまま何回かの時間を無為に過ご し,自分には能力がないのだと落ち込んでいた.ま た他の学生は,目先の目標が立てられず,毎回の進 み具合がいつも気になって,不安を訴えるというこ ともあった.それでも,夏休みが始まる頃までには,
大部分の者がそれぞれのやり方で,実習を進めるこ とができるようになった.図書館に行って調べもの をしたり,自分の得意なことを仲間に教えてやった りという余裕もでてきた.Fig.3〜Fig.4に実施風景 の一部を示す.
灘鞭
Fig.3 パソコンの分解・組立
Fig。4 CGやWebページ作り
前期が終わり,後期が始まった時点で,中間報告 会を行った.これは,学習の中だるみを防ぐため,こ れまでの結果のチェックとこれからの学習の目標を 立てさせること,および,それぞれがどんな課題に 挑戦しているのか互いに知り合い理解し合うという ことが目的である.次のような最低条件だけ守って もらい,具体的な実施方法等は各グループの裁量に
まかせた.
・口頭発表でもレポートでもよい
・2つ以上の研究室がグループを作り,
互いにチェックする
・内容は中間まとめとこれからの展望
・報告会を実施した何らかの証拠を残す
実際は,5つのグループができ,4つのグループ は口頭発表会を行った.授業時間内あるいは放課後 時間をとって,1人当たり数分で発表させたところ が多かった.他の1つのグループはレポートによる 中間報告で,全員のレポートを小冊子にして,グルー プ全員に配布するという形をとった.
実習は一度軌道に乗ればどんどん進むものである.
最初の設定目標が低すぎて,学習期間半ばでそれを クリアしてしまうという事例もでてきた.何しろ,こ のような形態の科目は初めての試みであり,また,本 人たちも自分の実力がどの程度かわからなく,自ら 安全を見込んで,目標を低めに設定してしまったた めである.逆に,目標が高すぎる例もあったが,これ も本人たちが望んでそうなった場合が多く,課題に 挑戦する意欲も旺盛で;指導上は問題にならなかっ
た.
指導上,一番問題になったのは,ごく一部である が意欲のない学生たちの指導である.希望順位1位 のテーマを選んでいるのに,ほとんど義務感だけで やって来て,別にこんなことどうでもいいのだ,と いった投げやりな態度で時間だけを過ごし,時間終 了ですぐ姿を消してしまう.何事につけても無意欲,
無感動で取り付く島がなかった.それでも何がしかの 成果を残すよう学習させるのに,多くのエネルギー を注ぎ込まねばならなかった。
8.学習成果発表会,報告書
学習成果の発表会は,通常の授業時間1時間では,
十分な時間がとれなかったので,ある日の放課後に 時間を確保することにした.しかし,学年末の放課 後は,色々な行事が立て込んでおり,行事予定表の 隙間をぬって2時間程度確保するのがやっとであっ た.このため,発表できる人数の制限を受け,3会 場に分かれ,並行して実施せざるをえなかった。こ の2時間さえも,一部の学生は,予定表に出てない 混合学級関連の他の行事と競合しており,時間調整
に苦労した.
1つのテーマを共同で取り組んだ場合も,必ず1 人ずつの発表とし,発表時間は3〜5分,質問時間 は2分とした.発表の手段はOHPかPower Point
によるものとした.各会場毎に責任者や進行係,会 場歴覧を決め,発表順序のプログラムを作って,全 体としてもどこで何が行われているか一目でわかるようにしておいた.
驚いたことに,発表者全員がPower Pointか,ま たは,H:TML,アニメーション等を使ったパソコン によるプレゼンテーションを行い,OHPを使った者
は1人もいなかった.1年生は,情報工学科専門実
験の一環として,早い時期からパソコン実習を行っ ている.そこで,タッチタイプの練習から始めて,エ ディタやワー一一プロ等,パソコンを道具として使いこ なす実習をしている.その成果がみごとに生かされ 応用されていた.一部の学生を除き,プレゼンテーションは申し分 なかったが,発表内容はそれこそピンからキリまで 各人各様であった.一般的に,強い興味を持ち,意 欲の高い積極的な学生ほど,レベルはさておき,努 力のあとが伺われ中身の濃い内容となっていた.そ のような場合には,発表時間が3分程度ではとても 言い足りないといった感じであった.
学習成果報告書,つまり,レポートは,この1年間 の学習の経緯や成果を簡単にまとめさせることとし,
その仕様はA4版で二枚程度とした以外は,形式や
内容は担当教官の裁量にまかせることにした.そのため,実際に提出されたレポートは,A4版で最少
1枚のものから,最:多6枚までまちまちであったが,3枚程度のものが一番多かった.提出者全員のもの をまとめて情報工学科の資料戸棚に保管することに なっている.
9. 実施上の問題点
9.1 実習時間の短さ
この科目は,2単位科目であるが,時間割上では 1時間分しか学習時間が確保されていない.あと 1 時間相当分は,まさに本人の自発的学習によるので ある.したがって,時間割上の1時間分をうまく利 用して指導していかねばならないが,演習や実技中 心の授業形態をとる科目にとっては,この1時間(実
質は50分以下)という時間の長さは,いかにも短
すぎる.
実験装置の準備やその立ち上1充パソコンの操作 ミス等でちょっともたもたしていると,何もしない うちに時間がすぎてしまっていたという状況がたび たびあった.せめて,連続2時間程度の実習時間が 確保できれば,落ち着いて実習に取り組むことがで
きる.そこで,放課後の1時間と合わせて連続2時
間分の実習時問を確保することができるよう,時間割上の1時間分をその目の最後の授業で放課後にか
かる時間帯に入れることが望ましい.しかし,現行 の時間割は,種々の条件が絡み合って硬直化してお り,1つの科目の移動さえ大変困難であると聞いて いる.特に,混合学級関連の条件がきつく,実現は 困難であろう.9.2 自発的学習時間確保の困難さ
上記で述べたように,この科目は,時間割上の学
習時間の他に,あと1時間分の学習時間を自発的に 確保しなければならない.1時間程度は自宅やその
他でいくらでも確保可能と思われるが,実質はそう はいかない.実習には時間とともに,パソコンや専 用ソフトウェア,実験装置等が必要だからである.し たがって,その時間を各研究室で確保しておく必要 があるが,当然放課後ということになる.1年生達が放課後いつやって来てもいいように学
習場所や機器を準備しておくことはなかなか難しい.それは,各研究室が抱え込んでいる卒研生との競合
があるからである.大部分の卒研指導室は1スパン 程度で,4〜5名の二丁生や専攻科生が放課後はほ とんど常駐している。そこへさらに4〜5名の1年
生を実習や作業ができる形で入れることは,物理的 に無理がある.そこで,ある特定の二目の放課後のある時間帯に限って,卒研室を1年生に優先的に割
り当てることにした.しかし,苦労して開き時問探 しをし,その時間を設定したが,1年生は,放課後 の色々な行事が混合学級のそれぞれのクラスの都合 で割り込んでくるため,たとえば,岸本研究室配属のユ年生5人は,3つの別々の混合学級に所属して
いて,ほぼ毎回誰かが抜けるといった状況が多かった. .
結局,1年生は放課後,別々の曜日にバラバラと
やってくるという状態を認めざるをえなかった.卒七 生は,思わぬ時に二二を中断させられたり,担当者 の方は,その都度何回もつき合わねばならなかった,9.3 希望テーマの偏り
希望アンケートと配属の節で示したように,希望
順位1位と2位に配属された者が全体の70%であ り,また,より希望順位の低い第4希望は全体の5
%程であったので,できるだけ高い希望順位に配属す るという方針は,ほぼ満足されていると考えてよい.
しかし,Fig。1とFig.2を比べてわかるように,テー マ提供側のソフト分野の項目が38%なのに対し,実 際選択した側のソフト分野の項目は46%となってい て,教官側と学生側で多少ミスマッチが生じている.
学生にとって,自分がやりたいテーマが選択でき
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るかどうかは,学習に対する志気にも影響してくる ので,できるだけ学生が希望するテーマを準備する 必要がある.上記の結果から見れば,ソフト関連の テーマを今以上に多く提供しなければならない.し
かし,受け入れる教官の専門分野の問題学習場所
や機器の種類・数等,おいそれと対応できない事情もある.情報課題演習という1つの科目の中だけで 考えるのではなく,卒業研究,専門実験等,全体に 視野を広げて対応していかねばならない.
9.4 その他
問題点ということではないが,1年生の自主学習 を担当していて,一番感じた事は, もどかしさ で ある.教官側が手出しをすればいとも簡単に片付い てしまうようなことでも,学生自身で解決させてい ると,いつまでたっても進展しない.学生は,いつ,
何を助言して貰えばよいかということすらわからず,
ただやみくもに錯誤ばかりをくりかえしている.1 時間の授業時間は,あっという間に終わってしまう.
それでも,こちらからいつもヒントを与えていたの では,自主解決のトレーニングにはならない.学生 の様子を見ながら,じ一と見守るだけで,まさにが まん比べであった.
一部を除いてほとんどの学生は,授業時間が始ま る前から息せき切ってやって来て,パソコンにとぴっ くといった光景がいつも見られたし,何よりも自ら が苦労して1つの成果や作品を作り出したという達 成感を思わず態度に出しながら,嬉しそうにレポー トを手渡してくれたとき,苦労も報われたと思った.
この科目に対する各学生の単位を認めるかどうかは,
教室会議で議論することにしていた.それぞれの指 導教官が下した評価を学科主任(教室会議)が認め るというかたちにした.ちなみに,教室会議が認め
た結果は,
優 go%
良 5%
不可 5%
であった.不可の者(実際は2人)は,途中で授業 に出てこなくなったり,発表やレポート提出をしな かったためである.
なお,この新しい科目の立ち上げや実施に関し,情 報工学科全教職員の大変な努力や協力をいただいた.
筆者達は,学科主任と教務委員という立場で,科を 代表して報告させていただいたが,皆様のご協力に 改めて感謝いたします.
10.おわりに
平成12年度のカリキュラム大改定に伴って,情 報工学科の1年生に初めて導入された自発的学習科
目「情報課題演習」を,学科全体で試行錯誤しなが ら立ち上げ・実施してきた経緯を詳細に報告した.上 記で述べてきたように,課題テーマの準備,学習時 間や場所の確保,臨機応変の対応の難しさ等々問題 点が多々あり,手間も負担も想像以上にかかったが,それに見合うだけの成果も上げることができた.
参考文献
1)津山工業高等専門学校:津:山工業高等専門学校の 現状と課題,(2001)34−35,47−54.
2)津山工業高等専門学校=シラバス(情報工学科)
(2001) 71.