一ヱ33一
炊飯条件が米飯のテクスチャーに及ぼす影響(3)*
加熱条件について(その2) 炊飯容器の形状(直径/深さ)の影響 渋谷歌子,本間伸夫,佐藤恵美子,石原和夫
Effects of Heating Conditione on Texture of Cooked Rice (2) Form of Cooking Vessels
Utako Shibuya, Nobuo Honma, Emiko Sato, kazoo Ishihara
前報1)により炊飯時の容器の大きさによリテクスチャーの異なることを認めた。これは容器の形状 の違い,特に深さと径との比率の違1,・・の影響を考えられるので,この点を更に検討を加えた結果を報
告する。試料及び実験方法
1. 試 料 前報1)2)と同一
2.実 験 方 法 1)浸潰方法
米はコシヒカリ,レイメイを品種別に500m好ビーカー(aビーカー)に1009,1, OOOmE/ビーカー
(bビーカー)lc200・9,2,0。O。g/ビーカー(・ビーカー)v:300・9・・,3,000・e/ビーカー(dビーカー)
Vc400 9を入れ,30℃の水を1.5倍重量を加えて30℃,60分浸潰した。
2) 加熱方法
前報・)に従いオイル・・スを用いて油浴炊飯を行なった。ただし力嚥醐h温度Bo℃にてビーカーを 入れ30分加熱した。出来」二り飯の深さは6cmの一定になるように行なったが,米飯の直径/深さはa
ビーカーは1.17,bビーカーは1.50, cピー一カーは2. OO, dビーカー e:2. 33であるe
3) テクスチャーの測定
前報2)に準じてテクスチャーの測定を行ない,硬さ,凝集性,弾力性,付着性・及びそしやく性値 を求め,分散分析の交互作用を硬さと付着性について検討を行なった。
4) 米飯の水分含量
各ビーカー別炊飯を行なった米飯の上,及び中,下部位の水分の測定を前報2)の如く105℃の乾燥 法にて常法通りに行なった。 .
*加熟による食品の香味,色及びテクスチャーの変化に関する研究(第15報)
一134一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第19集 1981
表1 容量別炊飯によるテクスチャー値(平均値)
ビーカー
米販容量
硬 さ凝 集
性 弾力 性
付 着
性そしゃく性
容ilと(mの 直径/深さ
部位
コシヒカリ レイメイ コシヒカリ レイメイ コシヒカリ レイメイ コシヒカリ レイメイ コシヒカリ レイメイ上 10.7 14.1 0.40 O.36 4.7 3.0 40.3 o.67 19.6 15.5
500 (230.8}ユ.17
中
15.5 17.5 0.40 0.38 3.O 2.7 27.7 6.0 26.3 18.O
下
19.8 23.3 O.43 0.35 3.3 2.0 ユ7.3
0
27.7 16.5 上 ユ0.9 ユ4.0 0.42 o.qo 3.7 3.0 35.O 18.3 17.61 17.131000
(381.5)1.50中
15.2 19.5 0.42 0.38 4.3・ 2.7 50.O 15.3 27.27
20.86
下
19.0 23.3 0.40 0.37 3.3 2.3 30.7 6.3 25.81
20.08
上
13.7 20.2 0.42 O.32 3.7 1.7 31.3 1.0 2L64
11.99
2.00 ●
2000
(678.2)、中
下 15.9 20.6 0.40 O.39 2.7 2.0 43.026.67 17.14
15.51ユ7.5 22.3 0.39 O.39 2.7 2.3 34.O 10.0
18.12 18.55
上 15.9 20.O 0.42 O.42 2.7 1.7 36.7 9.3 17.77 15.643000
(923.2)2.33 下中 16.3 21.5 0.40 o.37 3.3 2.3 46.3 10.0 21.57 18.51ユ5.9 ユ9.2 0.45 O.38 3.7 3.0 34.7 15.0
26.46 21.89
*印()内は出来上り飯量(9> 浸漬条寸牛 30℃ 60分 加熱条件 工30℃ 30分
表2 分散分析(主効果)と平均値の比較
硬 さ1凝集性
弾 力 性 付 荘 性
そしゃく性P 一 一
〈O.05 >0.05>o』5
;舅り
平均毬
a=b=c=d
P5、3,15.叫15.7,三5.O
a壽b=己=d
n.41 0.40
@⑪.42 0.42
a盟b罵c=d
R.6 3.⑪
@3.7 3.2
a=b量c冒d
Q8.4 36.1
@38.6 3臼.2
a=b=c富d
Q4.5 19.0
@23.6 2L9
ビ
@i
@力@韮
@容
@量
iB)
P }
>o.05一 一
享葦
平均依
a=b=c冨d
P8.3」5.9,2LO,20.2
a=b=c=d
n.36 ⑪.37
@0.39 0.君9
a二b嗣o;d
Q.5 2.0
@2.6 2.3
a=b=c盟d
Q.2 12,6
@13.3 11,4
a=b=c=d
P6.7 15.4
@19.4 18.7
P
<O.OOl一
>0,⑪5 ⑪.05−O.01 >0.05部 位︵P︶ ;男リ
平均値
上《中く下
P2.8 15.7 ユ8.0
@上翼下
上=中=下
O.42 0.410.42
上=中岩下
R.7 3,3 3』
上く中〉下
R5,841.8292
上=中=下
P9.223.1 24.5
P
O.05〜0.01一 一
O』5〜0.01一
享芽
平均値
上=中=下
P7.1 19.8 22.1
@上く下
上コ中=下
n.38 0.38
@0.38
上詔中岸下
Q,3 2.4 2.4
上〈中〉下
V.3 14.5 7.8
上=中=下
P5.1 18.2 19.3
(注)ビーカー客量,a =SOOmE, b・=1000皿a, c ・=2000m2, d=30eOme
炊飯条件が米飯のテクスチャーに及ぼす影響③ 一135一
硬
2⑪
さ10
o
o 硬さ 20
10
1000 2000
3000
x/x.一一一.−x{レイメイ)
P>O.05
o
O 1000 2DOO 3000 ビーカー容量(me)
1.17 1.50 2.00 2.33
米飯(直径/深さ)
付
50
性 40
30 20
10付着
4⑪
性30
20
ユo
o 1000
(コシヒカリ)
P>O』5
20GO
3000
o
O IOOO 2000 3000
ビーカー容二晒(me)
1.17 1.50 2.00 2.33
米飯(直径/深さ)
図1 分散分析における交互作用(B・P)
5)官能テスト
前報2)に準じて行なった。
実験結果及び考察
1) ビーカー容量別炊飯によるテクチ1・一値 実験を行なった結果を表1に示した。
この値を分散分析した主効果及び平均値を比較して示したのが表2であり,硬さと付着性に及ぼす 影響を容量と部位の交互作用により示したのが図1である。
平均値を比較すると,ビーカー一の容量の影響はいずれのテクスチャー値にも,同一品種内では・有 意の差が認められなかった。
部位の影響では,両品種ともに硬さと付着性に認められた。下部が中,上部より硬いのは底からも 加熱されるためと考えられる。付着性は前報L2)と同じく,コシヒカリがレイメイよりかなり高かっ た。共に中央部が付着性が高いのは,適度の加熱と水分の存在のためと考えられる。
ビーカー容量と部位の交互作用(B・P)には興味ある傾向が認められる。ビーカーの形状は硬さ
の上下ムラに対して著るしく影響し,ビーカーの内米飯の径/深さが大となるにつれて上下の差が小
一ヱ36−一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第18集 1981
︶
%70︷
60
5o
。L、a__..」_一_.L.__,r+,一 20⑪0 3000
(e) (d)
ビーカー容五上(rne)
(%)
70
60
凸V︶50 O︶oolf㌔
5o
(a) (b) (c} (d)
ビーカー容量(ale )
0_0上●一●・中
x−×下
」r一噛平均
函2 容量別米飯の水分含量
さくなり,3,eOO m旦ビーカーの場合は、ムラが無くなる。この傾向はコシヒカリ,レイイともに同様に 認められる。径/深さが大となるという熱よ浅く広くなるという事で,米粒や水分の上下の交流移 動が容易となるものと考えられる。
付着性は,コシヒカリ,500齪の場合には特異的な傾向を示すが,大部分は中央部が高い数値を示
す。
2) 米飯の水分含量
結果を図2に示した。平均値を求めると,ビーカー容量による差はほとんど認められないが,部位 ごとに検討すると大きな差が認められる。即ち,.上下の水分の差は径/深さが大となるにつれて小さ くなり,コシヒカリの場合には2, OOO,3,000mEでほとんど差がなくなる。レイメイでも差が少なくな
表3 官 能 検 査
n=二12, =tシヒカリ外観(順位合計〉
香 りテク ス チ ャ ー
i順位合計) 総合的おいしさビーカー
k皿の 位 置
釧つ娼形
ナi順齢計順さ陣り1弾性 得合調順位舗5eo
上中下 0﹃OQ5qリハ﹂09
300e
上中下 n3⑪−占
445
27*
26*
35
58*−
46
60*
3只Unリ
リ0ウ臼3 8001ゐ9御ワ一4 4926*
13*
55
5462*
60*
45 50
54
51
59*5nU43畳﹂置﹂ Oワ.9﹂430﹂
nぴハU2
9臼り臼イ⊥ 25*35 49
O﹂9耐ワ一
433 868
444イT5一b
−⊥噌⊥ワ・nUO 445
* Kramerの順位合計法で5%の危険率で有意差を示す
炊飯条件が米飯のテクスチi 一に及ぼす影響㈲
一ヱ37一表4 官能テスト,上下順位合計値の差 カ
(me)【つ副
・31
障州弾性・gl 「一π
3eOO
2 2 7
・・15 ・71
⑪3
るが,その含量は上下で逆転している。この傾向は硬さの場合(図1)によく対応しているので,硬 さと水分含量とは強く関連しているものと考えられる。
3)官能検査
コシヒカリ,500皿E,3, OOOm£ビーカーの場合の米飯をサシプルとした官能検査の結果を表3に示
す。
テクスチャー値(硬さ),水分含量はビーカー容量が大となるにつれて,上中下の差が少なくなる 事が認められたが,官能検査の結果もそれを裏づけている。即ち,表3の結果から,上下1頃位合計値 の差を算出すると表4の如くになる。外観の形を除いて,500mEビーカーより3, OOO mEビーカーの方 が上下の差が減少しており,径/深さが大の方が均一一に炊けていることが認められるe
要 約
コシヒカリ,レイメイの2品種について,500,1, OOO,2, OOO,3, OOOmEビーカーを用い,出来上り
米飯の深さ,St 6 crnの一定にし,直径/深さが,それぞれ1. 17,1.50,2. oo, a 33になるように油浴炊飯(13⑪℃)を行い,テクスチャー,水分含量,官能検査により比較した。
直径/深さの比率の影響は大きく,部位による米飯のムラは,この比率が大きくなるにつれて減少す る。ビーカー3,000謡炊飯の場合には,硬さ,水分,官能テストとも上下の差がほとんど認められな くなった。浅い広い容器の場合には,米粒や水分の上下の交流 移動が容易となるものと考えられ
る。
また,硬さと水分含量には深い関連があり,水分含量低い場合には硬くなる傾向を有している事が 認められた。
文 i獣
1) 渋谷歌子,本間伸夫,佐藤恵美EF,石原和夫:県立新潟女子短大研究紀要・18(1981)
2) 渋谷歌子,本間伸夫,佐藤恵美子、石原和夫:ibid・,18(1981)