心筋 Ⅰ ‑ 1 23MI BG 検査の定量評価 とその標準化
金沢大学医学部附属病院核 医学診療科
中 嶋 憲 一
要 旨
Ⅰ ‑ 1 2 3MI BG 検査 は心筋交感神経 の情報 を得 るこ とがで きる優 れた放射性 医薬品 であ る
。しか しなが ら ,Ⅰ ‑ 1 2 3 標識製剤 は,一般 に用 い られてい る低 エネル ギー あ るいは中エネル ギーの コ リメー タ特性 に よ り,診断 のための定量値 が影響 を受 け ることが課題 となっていた。 この稿 では核 医学 の MI BG 検査 の定量法 を概観 す る
。また,心筋 MI BG 検査 の定量 を コ リメー タに よ らず に標 準化 す るための試 み を紹 介す る。
MI BG 結果の定量法
MI BG の定量法 にはい くつかの方法が提案 されてい るが,一般 的に核 医学 におい て用 い られ る基本 的な定量法 と同様 に考 えることがで きる
。1)投与量 に対する心筋集積量
注射器 のカウン トを最初 に測定 しておき,心筋 カウン トをシンチグラフィまたは
He a r t / Me d i a s t i n u m , He a r t nl o t a l Cou n t
■Myocardialuptakeperinjected dose
ISyringecountvs.myocardium lTotaHramecountduringl.V.
lnJeCtionvs.myocard山m
←Whole‑bodyscan
■Comparisontocontrolarea
■Heart/Mediastinumratio
■Model
■Compartmentmode一
〜Normalvalues
■H/M(E,D):2.10+/‑0.15,2.41+/‑
0.28
■ H/T:1.5%+/‑0.4%
図
1Heart‑t0‑mediastinum ratioandothermethods forquantifying
L123
NuGI川edCommun1994;15:317 MIBGQuantiBcationandstandardizationof
I 1 1 2 3
MIBGmyocardialstudy KenichiNakajimaDepartmentofNuclearMedicine,KanazawaUniversityHospital,Kanazawa,Japan
‑ 21‑
S PECT か ら求 める と,両者 の比 ( すなわち心筋 /全体 の比)が心筋集積 の指標 となる
。注射 時 に動態検査 を記録 してカメ ラの視野 の下 を通 る RIの全量 を推定 し,心筋集 積 との比 を求 める方法 もある
。また,全身 シンチグラフィか ら心筋 の集積量 の割合 を検討す ることもで きる。いずれの場合 も,身体 でのガ ンマ線 の減弱が あるため適 宜補正 を行 う
。これ らの値 は,必ず しも同等で はな く, 例 えば心筋 /投与量比 ( H/ T)
と心筋縦隔比 ( H/ M)の関係 を示す と Fi g. 1の よ うにな る1 ) 。
2) 対照領域 との比較
臨床的には簡便 であるためによ く用 い られ る方法であ る 。Ⅰ ‑ 1 2 3MI BG の場合 は, 心筋 /縦隔比や,心筋 とその他 のバ ックグラウン ド領域 との比が用 い られ る
。心筋 縦 隔比 は Me r l e t らの提案 に よるもので あ り,心不全 にお ける定量で その有用性 が 実証 され,以後簡便 な方法 として広 く用 い られてい る2 ・ 3 ) 。図 2 は筆者 らが肥大型 心筋症 における Ⅰ ‑ 1 2 3MI BG の定量 に用 いた方法である4 ) 。
この定量法 は,予後 評価 上 の価値 か ら注 目されて きたが,図 3に示 す よ うに, 最適 のカ ッ トオ フ値 ( すなわち正常 と異常 を分 ける心筋 /縦隔比) は,報告 によ り 大 き く異 なってい る。 これ は対象 とす る疾 患,解析 のエ ン ドポイ ン トの設定, デ
l ‑ 123MI BGの定量化
Pr ognos t i ci nf or mat i on
■Appropriate
cutoffforhighrisk?
Study N(male/ Age/
EF(%) SuⅣivalof Criteria female) FU ow/hi9hr
isk ofhigh period pts risk Merlet
1992 76
/14 52yr27mos/ 22+/‑8 98%/16% <1.20 Nakata
1998
271/143
61yes/
22mo 49+/‑18 9
5%/
‑ 22‑
85% <1.74図
2Quantificationof
MI
BG
usedf図
3orourstudy4)Heart‑tomediastin
一夕収集法 な ど種 々の要因が考 え られ る
。心筋縦隔比 に影響す る様 々な要因を図 4 に記載 した。
図 4
Factorsinfluencing
H/M
ratio3) モデルによる定量の解析 心筋集
積量 をよ り正確 に定量す るためにはコンパー トメ ン ト解析 を用 い る方法が あ る。
Rabinovitch
らは コンパ ー トメ ン ト解析 の可能性 を図 5 の よ うなモデル に よ り解析 して
い る5 ) 。 このモデルか ら作成 され る微分方程式 は数学 的 に解 くことが可 能 で あ るため, その結果 に よ り作成 した各 コンパ ー トメ ン トの時間的変化 を図 6
Compar t mentmode l
Vesicul
ar
⊂= k21 l mp u l s
eI
n pu
tc t i
sG ) メHeart
JNM1993;34:589Rabinovitchetal 33volun teers,10 cardiactranspl
ant kO
l
「eC■P■entS ・ 2
6pts
‡ wlthchron icLV ov
erload.
C y t
osolicHeartS
c a n
AcmyoSirnvaftptceoheercecasilefrtaciicrrecladiuhrtlmpaaae‑namorrld>esagrtirormeeassgenet raplldturnoverofan Intactvesicularpool.Typ
I Cal Cl ear ancePat t er ns
L MainlyreleasefromCytoplasm,kOl=0.5;k21
■ MainlymovetoVesicle,kOl=0.1;k2 1=0.5
■ Balanced,kOl=0.3;k21=0.3
■ Bloodclearance:monoexpon ential hctlVlt
y Sum ‑ 23‑hctl叫 =0.1
図
Compar5 tmentalmo dに示 した。 図の左 図 は c yt opl as m か らの放 出が主 で あ る場合, 中図 は ves i c l e への 移行が主である場合,右図 は両者 が同一の割合 と仮定 した ものである
。実際 に血 中 と心筋か らのク リアランスを求 めれ ば, 各
パラメータが計算で きる可能性があるが, 時間 に対す るポイ ン ト数が少ないため,現状ではその定量 は容易で はない。
コリメータの違いによる Ⅰ ‑ 1 23MI BGの定量の差異
I ‑ 1 2 3 のエネルギー分布 とコ リメータの選択
図 7は LMEGP と LEHRコ リメー タか ら求 めたエネル ギースペ ク トル を示 して い る 。Ⅰ ‑ 1 2 3 で は, 1 5 9 k e V の主 エネル ギー に対 して ,5 2 9 k e V に高 エネル ギー部分 が あ り,放 出割合 が少 ない とはいえ, これ に由来 す るコ リメー タ隔壁通過 と散乱 線が Ⅰ ‑ 1 2 3 の定量 に大 き く影響す る
。これ らを補正す るための方法 について はい く つかの提案が あるが, 中エネル ギー コ リメータ ( ME) を用 い る方が優 れてい ると い う報 告 が あ るものの6 ) ,実 際 には低 エネル ギー用高分 解能 また は汎用 ( LEHR , LEGP)の コ リメータを用 いてい る施設が多いため,直 ちに変更す るのは難 しいか
もしれない。複数 のエネルギー ウイン ドウを用 い る方法 として は,3エネルギーウ イン ドウ ( TEW)演, ヨー ド2ウイン ドウ ( I DW,図 8) 法が提案 されてい る
7)8
)0
‑
L12
ME:Physl Cal tT1 / Char 2: 1 3. 2h ac t er i s t i
I LMai nEn er gyofGam m ( Me
V)
■0. 1 59‑
83%
■0. 529‑
1 . 4%
■0. 0275‑ Te‑ X L
E HR
G
・1 .Z .3 .4 .
5 .6 Energy Modi丘ed
/Mot
I DW
omura法 ‑ 529k eV
か らの散 乱線 除去 方法‑図
7Ener
gy spectra ofI‑123
wi th l ow‑
medi um‑
ener gyand
(MeV)
l o w‑ e ne r g yc
o l l i ma t o r s
(虜医学36 997‑1005,1
999) 蜘DSl■LYl‑k'W細 tThrttW u肝 ■
Culx.ヽ・l Corr
ectedC叫 棚) vCn(x.y)
‑Ds(x.y) 汰 :estim
atioTl榔 喝 Ⅵ血
fkisI.0withstTtI8htext rtpdAlion) xJ.:PjldCooTdiJt山 Prifn■且Ed■La
怒ne相y併せV1
‑ 24‑
図 I
8odi ned
ualener gy met hodp
r oposedby
Mo t o mu
ブロックモデルによる
Ⅰ‑ 1 23 定量の改善に関する検討
従来, フアン トムを用 いた心筋縦 隔比 の検討 はあったが,形態が複雑 なためその 精度 の検討や再現性 が問題 となっていた。 そ こで,計算 を単純化 し数学 的 に計算 し やすいブロ ックモデル による検討 を行 った。1つの ブロ ックの厚 さは 3 2 mm で あ り, 減 弱係 数 を 入‑ 0. 1 4 〝 c m として,放射 能 の あ るブロ ック とない ブロ ックを組 み合 わせ ることで,様 々 な心筋縦 隔比 を作成 で きる ( 図 9,10) 。データ収集 の ウイン ド ウは, 図 1 1 に示 す よ うに, 同時 に 5 つ の ウ イ ン ドウを開 き, I DW , TEW のた め の計 算 を行 っ た。 な お, I DW2 は本 村 らの原 著 に従 って設 定 した ウ イ ン ドウ
8),
真値の計算
■yOI0=Suml ( 100/ n) ' Expl ‑ 一 ambda( t hi ckness + t hi ckness / ∩/ 2 + t hi ckness / n★ ( ト 1) ) 】
■t hi ckness = 3. 2cm ; ∩ ≡100;l ambda = 0. 1 47 / cm
100a.am叫 thckmss・U11'thn加 sS・土等 ≡竿】
0 1 Ⅹ 1 0
0 00
10 0 0
9model s
m o d e l 2 m o d e l 3
二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 コ 二二二二 二: 二二 二 二 二 二 二 コ
m o d e l 4 m o d e I 5 m o d e l 6
⊂=r二 二 ‑ ‑ 工コ [ =丁二二 □
m o d e l 7 m o d e 】 8 m o d e l 9
1 1 1 ‑ l l l ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
〜
Cul bot t t l ur es e
⊂コ二 二⊂]⊂=Ⅰ : : : コ
= コ
Wi ndowの設定
醜En er gy:
Bgl32‑142ke V[wl]
Egl43‑175keVl w2]
Ei176‑186keVlw31
郡 187‑208keVlw4]
BX209‑294keVlw5]
盟Wi ndowf or
c or r ec t i on
はIDWl:1431175keV=[W2],sub176‑294keV
[W3,W4,wS]
EHDW2:143‑175keV‑lwZ],sub176‑208keV [W3,W4]
BiTEW:143‑175keV‑lw2],sub132‑142keV,176‑
186keV
[wl,W3]