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学習者の理解構造の抽出

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

学習者の理解構造の抽出

著者 吉田 武尚, 波多野 充, 松永 享二

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

19

ページ 65‑76

発行年 1983‑03‑23

その他のタイトル Extraction of Learner's Understanding Structure

URL http://hdl.handle.net/10105/6527

(2)

学習者の理解構造の抽出*

吉田武尚淋波多野 充***松永享二*榊

 (技術教室)  (東大阪市立中野中) (奈良市立三笠中)

I はじめに

 教育目標を表す1つに、非常によく使われながら実体の把握し難い理解ということばがある。

このことばは教育目標の獲得や理解力の育成といったものにつながっている。

 一般に 理解しておれば記憶に留まるという理論外ミある。そして、それとは逆の記憶してお れば理解しているということばもある。このことは成立しないにもかかわらず、鎖覚から、あた かも成立しているかのように、暗記力があれば解答できる問題を出題して理解力をみようとする 場合が多いといわれる。これは学習の確立ということから判断すればマイナスを意味する。実際、

試験に備えて暗記し、それが終ると忘れさってしまうといったことがよくある。それは、コンピ ュー^ーの1時メモリまがいのことをやってのけるということであろ㌔然らば、暗記して時間 とともに忘れさったなら、何が、教育結果から残るであろうか。

       {丁勃。、舳    理解状態とは、プロセス試験問題(理解の行われていない問題を        解く経験をしたり、暗記しなくとも必要情報一例えば、公式・原理       ・データ等が与えられる問題)を解いたりすることではなく、第ユ       繁叩

      図に示す知る一考える一行うのレベル活動が達成されてはじめて理        解にいたるといえる。そこで、理解構造モデル(第1図)を基本と       賢㌣鷲苫  する授業展開を行い、学習者の理解状態を把握する方法、および 第1図理解構造のモデル 理解状態を表現する方法について報告する。

1I 目  的

 学習現場で行われている技術教育の方法は、技能習熟、技術の科学、題材の3つをそれぞれ中 心としたスタイルの授業展開であると考えられる。しかし、これらの中の1方法を、どの単元、

どの内容にも徹した方法で指導されたとしても、それなりの意義、評価はできるが、真の学力高 上ということから考えれば何か懸念が残る。

 そこで、学習結果を学力として残存させるにはこれら3つを同時に取り入れた教育方法を創造 していくことにより、応用・転移できる力が、学力として身につくと考える。このことから、理 解構造モデルを基に、知識の学習を大切にした技能向上が行われる技術教育方法の開発を狙いと

して、理解の過程(プDセス)をどのように踏めば学習成立が行われるかについて、中学校技術

*  Extraction of Learner s Understanding Structure

料  Takehisa Yoshida(Department of Tecnolo邸,Nara Universi蚊。f Education,Nara)

*榊@Mitsuru Hatano(Nakano Junior High School,Higashi6saka)

**榊Kyoji Matsunaga(Mikasa Junior High School,Nara)

(3)

「電気」の最も基礎となる学習内容の題材を捉えて理解構造の抽出を行った。

㎜ 方  法

 理解状態は内的状態であることから、その状態を直接把握することは困難である。したがって、

この状態を捉握するには}行う (行動)過程での方法しか捉えることができないと考える。

 行動を測る尺度とするには、まず、理解のプロセスを作成する。次には理解のプロセスに対応 したスモールステップテストを作成する。これらを学習者に解答させ、その状況から概念構造の 抽出を行う。

 情報学での3認識レベル(行動のレベル、知識のレベル、概念のレベル)に沿う理解構造モデ ル(第1図)を作成して学習者の理解状態を把握する。そこに、行くにおいてはスモールステッ プテスト、知るにおいては学習ノート、考えるでは記述化ということでステートメントテストを 実施している。以下に順をおって記述する。

 1.授業設計

  具体的な教授計画を決定しようとすれば、少なくとも教授内容の選択配列と教授形態・方法  および利用すべき教育機器等についても検討を行い、教授内容に沿った教具・教材をも開発し  なければならない。

      4〕

  実際の教授計画の決定は沼野氏の授業の設計入門 により行い、新しい教具も製作している。

 学習内容は電流・電圧・抵抗の役目とその3者がどのように関係づけるかを学習目標とし、オ  ームの法則の概念記述化が完全に行われることになっている。

 21学習ノートの作成

  学習効果を高めるために、教師が授業設計に沿った学習ノートを学習者に与え、適宜、それ  に問題の答えや図などを書きこませる。このことは学習ノートが記録として残り、学習者はそ  れを保存しておくことによりいつでも反復習等に利用することができる。また、教師にとって  は、後、これを見ることにより個別指導にも役立つものである。

  学習ノートには、理解の筋道を回〜図の項目に分け5段階ステップとしている。それらを以  下に示し、学習ノートを資料1として付加する。

 2−1電気の用語について        国電圧用語(単位・記号)に関すること ロコ摩擦電気に関すること

囮電気の性質に関すること

国電気用語(電荷・帯電)に関すること 囚正電荷の移動方向に関すること 2−2電圧について

固斜面に水を流した時の水の勢いに関す ること

固電位の大小に関すること 囮電位差に関すること

回電圧についての確認問題 2−3電流について

囮電気の流れを水の流れにたとえる 回電流用語(単位・記号)に関すること 囮電流の正体に関すること

国電流についての確認問題 2−4抵抗について

囮斜面に障害物を入れた時の水の勢いに関する  こと

一66一

(4)

囮電流の流れを流れにくくしているもの  に関すること

囮抵抗の用語(単位・記号)に関するこ

 と

囮抵抗についての確認問題 2−5オームの法則について

国電流と抵抗の関係を予想する 3.テスト(スモールステップテスト)

囮実験で確認する

困電流と電圧の関係を予想する 困実験で確認する

囮電流・電圧・抵抗の関係を1つの式に表す 困オームの法則を言葉で表現する

囮オームの法則を使って練習問題を解く

 理解のプロセスに沿った学習ノートの内容を学習者が正確にたどっていく過程をみるための テストである。この学習ノートは、単元の内容展開に沿った問題配列になっていて、学習者が 学習ノートの()や□に書き込むことになっている。構成はロコ〜囮の問題になっている。

以下にその内容を示す。

□毛糸のゼータを脱いだ時に痛さを感じる原因を問う 図電気の性質を問う

固電気用語を問う

囚正電荷の移動方向を問う

固斜面に水を流した時の水の勢いを問う 国電位の大きさを問う

囮電位差を問う

国電圧の単位と記号を問う

回10V−4V=6V、この6Vの意味を間う 囮水を流そうとする力は電気にたとえると何か 回電流の単位と記号を問う

国電流の流れる方向を問う 困帯電体の大小を問う

国電荷の移動を何と呼ぶかを問う

固斜面に障害物を入れた時の水の勢いを間う 国電気の流れを流れにくくしているものを問う 囮抵抗の単位と記号を問う

囮導体、不導体を問う

囮抵抗が変化すると電流はどう変化するか間う 困抵抗と電流の関係を問う

囲電圧が変化すると電流はどう変化するか間う 国電圧と電流の関係を問う

困I,R,Vの関係を問う 図法則名を問う

学習ノート内容囮に相当する

(5)

国電流値を求める       学習ノート図に相当する 4.ステートメントテスト

 このテストでは、学習者が理解のプロセスに沿って作成したノートの内容をどれだけ捉えた かを知るためにr○○とは何か」という問に数多く解答させるものである。これは、 一理解と は数多くの正しいセテートメントを出しうる状態である 3〕という定義に基づいている。実施 した内容を以下に示す。

 A電圧について  B電流について  C抵抗について

 Dオームの法則について 510H P用教具の制作

10H。の利用で全体の学習者に_斉かつ平等に示すことがじ

  一実習室で使用できる

 写真に示す。       OH P用教具とその使用 5−1教 具

 。電流と電圧の関係を表す演示用教具一抵抗(100Ω)・1個、電圧計(10V)K S M45奥沢        電気製・1個、電流計(100舳)KSM45奥沢電気製

      ・1個、電池ホルダ(単3用)・4個、端子T15・28        個、ワニグチクリップ・1個

 。電流と抵抗の関係を表す演示用教具一抵抗(100,200,300,400各Ω)・各ユ個、電圧        計(D C45V)KSM45奥沢電気製・1個、電流計(

      DC50舳)K SM45奥沢電気製・1個、電池ホルダ(

       単3用)・ユ個、端子丁15・13個、ワニグチクリップ       ・玉個、その他単3電池

5−2製 作

 。部品配置台一透明アクリル板(260x260×3形)、4隅にゴムフッシング(実際には230        努月内で部品配置を行っている)

一68一

(6)

   資料1

○コ毛糸のセーターを脱いだ時に「パチパチ」という音を発するとともに.「ピ   ≡」ピ1」」といたさを経験する。このことについて考えよう。

回点Aの電位が川V.点Bの電位が・Vとすると、nV一州一・。です.

  ではこの6Vはどういうことを意味するか考えよう。

    1気一一一:1

回電気の性質を考えよう。

  同種の種気一        .異。の冒気}

固電気についてのいろいろな用語を知ろう。

 ⑦ 電気の量のことを{       〕または1       〕といい.

 〔亘) また電気を帯びることを{       〕という。

 ○ そして電気を箒びている物質を1       〕という、

団 1つの箒量体の一方に止亀荷をもってくると電荷はどちらの方向に移動する  か考えよう。

圓∵團

       B   A    C        口      □

1す 」点C、点Bから水を流した時.水の流れぐあいを比較しよう。

       。点Bの所から水を流す時

回水に相当するものを冒気では{       〕とよぶ。

回 電流について知ろう。

 ①単位〔      〕. 記号       〕  ◎流れる方向〔      〕から〔      〕へ流れる

回 電流の正体を知ろう。

  2つの帯筐体の一方に正電荷をもってくるとどちらの方向に移動するか考え   よう。

      〕∵岡

       B←A→C        □     □

 電位はブラスに帯電する箒電体とフイナスに箒電する帯電体ではプラスの箒

 電体の電位が高く,電荷は(   旧位から1    〕

 電位へ移動します.この電荷の移動を(        〕とよぷことをお  ぼえよう。

一旦 電流とはなんだろう。

日まとめ

。点Cの所から水を流す時 働点Bと点Dの問に障害物を入れて点Cから水を流すと水の流れぐあいはどう        だろう.

       (D 白蟻.黒球がない時         点C

       点A

       ◎ 白球がある時       点B

回 水を流そうとするカを電気では{       〕とよび.それ それ点A   点B.点Cの位置を{      〕とよぴます・

  点A,点B.点Cの電位の大小を考えると・

    点{ 〕〉 点1 〕〉 点{ 〕となる。

匝]電位には高い低いがある・その電位の差を{      〕か   〔      〕とよぷことをおほえよう。

回 電圧について知ろう。

 ⑦ 単位{       〕. 記号{       〕  ◎大きさ{      〕 電位 {      〕電位  ○ 基準を{       〕ときめている

 ○○

○○○  ◎白球・鰍がある時

 点D

国 水の流れを流れにくくしているのが電気では{

  {      〕とよほう

国 抵抗について知ろう.

 ⑦単位1     〕,

 ◎抵抗植が大きい 一1

   一圧抗借が 1、さこ、 → {

回 抵抗とはなんだろう。

 記号1      〕      〕〔今      〕〔=〉

〕.単に

(7)

国 抵抗の値が変化することによりて電流はどう変化するか予想を立ててみよう。

  踵抗値が大きくなるE=今種流は{       〕なる。

  抵抗値が小さくなる自〉報流は{        〕なる■

巨亘] 実験で確かめよう。

 ⑦回路を完成させよう。

塵1電流をI.電圧をV,抵抗をRとすると.I.V,Rを1つの式ヒまとめて  みよう。

  IとVは{正〕比例の麗係E=〉I       u 一… 一一1〕

  IとRは反比例の関係  申〉I       ・・・・・・・・…㈲

 ω,ω式をまとめると      V

  I呈K百     K=1とすると

  I=      く≒ドイツ人のオームという人が発見したのでオーム       の法則とよぼう。

回 オームの法目一」をことぱで表現しよう。

◎ 実験結果をまとめよう。

スイツ手の位置 抵  抗  値 電流計の目盛り 電圧計の目盛り

①の抵抗値と比較 ωの電流値と比較

l o on 2oon 3000 oo血

厘≡]オームの法則を偵。て備習問題を課こう。

 ①電流はいくらだろうか

15n

○ クー ラフにしてみよう。

       亀

       流 ② 電圧はいくらだろうか

5A

○      抵抗

θ電流と抵抗は1    )の麗係 20Ω

国電圧を変化させると電流はどう変化するか予想を立ててみよう。

  電圧が大きくなるE=ウ電流は{       〕なる。

  電圧が小さくなる卓〉電流は{       〕なる。

固 実験で確かめよう。

 ⑦ 回路を完成させよう.

■口㌦∴

◎ 実酸結果をまとめよう。

スイッチの位置 電流計の目盛り 電圧計の目崖り

①の電流との比岐

①の電圧との此岐

6〕 グラフにしてみよう。

電圧 θ 電流と0圧は=        〕の調係

一70一

(8)

 。O H P用メーター市販のV Uメータを改良取り付け 6.適  応

実際に授業展開を行っている。また、2種のテストも学習終了後に実施している。実施目的

・場所は以下の通りである。

 。日 時一S56・9.24(木)2組分(80名) S56・9・29(火)1組分(39名)

      S56・9・25(金)ユ組分(4ユ名) S56・9・30(水)1組分(39名)

      S56・9・28(月)1組分(40名)

 。場所一奈良市立三笠中学校  。指導者一教諭 和智正治

 表1ステートメントテストー覧表

   (1−1〕電圧       (112〕電流

54.8協 単位はボルト、記号はV 53.1脇 単位アンペア・言己号A

33.9 電流を流そうとする力 49.3 プラスからマイナスヘ移動

31.4 水を流そうとする力(水を電気にたとえる〕 3a1 電荷が高電位から低電位へ移動

2a5 高位差 24.7 電気が高電位から低電位へ移動

I7.6 E=I R 13.8 工まE/R

12.1 基準は大地 1o.9 電圧に比例

9.2 電流に比例 7.9 抵抗に逆比例

7.5 種類(直流・交流) 6.7 水に相当(水を電気にたとえる)

4.2 並列回路では常に一定 5.9 電子の流れ

3.3 電圧が大きくなれば電流はよく流れる 4.2 ]A=lOOO mA

2.] 抵抗に比例 3.呂 直列回路では電流は常に一定

1.7 電圧…十で測定 3.8 種類(直流・交流)

1.7 電荷を移動させる力 2.1 電流計で韻1」足する

1.3 電気にかかる力 1.7 プラス帯電体〉マイナス帯電体

(1−3〕抵 抗 (1一)オームの法則

80.8協 電流を流れにくくする 53.1協 電流は電圧に比例し抵抗に反比例する

51.9 単位オーム・記号Ω 47.7 I,E/R

20.2 抵抗が大きくなれば電流は流れにくい 22.6 オームという人が発見

13.8 R!E/I 9.2 電流・電圧・抵抗の関係を, 式に表わしたもの

l O,9 導体と不導体 7.5 でかくとおぼえやすい

8.4 電流に反比例

5.4 電気抵抗

2.9 障害物(水を電気にたとえる〕 l      E         −

@        1R

2.1 長さに比例し断面積に反比例

1,3 電圧に比例

O.4 種類(可変・巻線など)

o.4 l KΩ=]oooΩ

O.4 具体実物(ニクロム線など〕

(1−3〕抵 抗

E

1R

(9)

表2スモールステップテスト反応一覧表 IV

LN STN 1 2 3 4 5 6 7 9 lo 1] 12 ,ヨ 14−5 17 18 19 20 21 22 23 24 25

1−1 1 1 o 1 1 o 1 1 o 1 1 1 1] 1 1 1 1 1 1

2 1 I 1 1 I 1 1 1 1 1 1 1 11 i 1 1 1 1 1 1 1 1

3 1 1 1 1 1 1 1 1 o 1 1 1 1

】1 1 1 1 1 1 1 1 1

4 1 1 1 1 1 1 o 1 1 1 11 1 1 1 1 1 o 1 1 1 1

5 1 1 o 1 1 1 1 1 o 1 1 1 11 1 1 1 1 o o 1 o o

6 1 1 O 1 1 1 1 o 1 1 1 1 Il 1 1 1 1 1 1 1 1 1

7 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

工1 1 1 I 1 1 1 1 1 1

8 1 1 1 I 1 1 1 1 1 11 1 1 1 o 1 o 1 1 1

9 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ll 1 1 1 1 1 1 1 1 1

1o 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ll 1 1 1 1 1 1 1 1 1

ll 1 1 1 1 1 1 1 1 o 1 1 o ll 1 1 1 1 o 1 1 1 1

12 1 1 1 1 1 1 o o 1 1 1 ol 1 1 1 1 1 1 1 1 o 1

13 1 1 o 1 1 1 1 1 1 1 1 1 11 1 1 1 1 1 1 1 1 1

14 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1i 1 1 1 1 1 1 1 1 1

15 1 1 o 1 1 1 1 1 1 1 1 o ○ユ 1 1 1 1 1 1 1 1 1

16 o 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

1, 1 1 1 1 1 1 1 1 1

17 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ll 1 1 1 1 1 1 1 1

18 1 1 1 1 1 1 1 j 1 1 1 1 ll 1 1 i 1 1 1 1

19 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

1】 1 1 1 1 1 1 1 1

20 1 1 1 I 1 1 1 1 1 1 1 1 1

ユ1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

21 1 1 1 1 1 1 1 1 1

]1 1 1 1 o 1 1 1 1 2−1 1 1 o 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ,1 1 1 1 1 1 1 1 1

2 1 1 o 1 1 1 1 1 1 1 1 11 1 1 1 1 1 1 1 1 1

1 1 Ol 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

      SSTN一スモールステップテスト番号       LN一学習者(反応者)番号

る。全問正解答を示した学習者は83名で約3割であった。また、学習者の中に全く選択肢を選 んでいない者が数名いたけれども謀反応としている。

3.分析一スモールステップテストの順序によって、間1では最も基礎となることを問い、そ のことが正答反応ならば次の問2でも正答反応が可能なように設問している。また、謀反応で あれば次いで謀反応となるようにして、前後間の問題に関連性をもたせている。けれども、実 際の反応には正答から誤答(○,×)や誤答から正答(×,○)となる者があると考え、相異 る問題間で反応が(O,○)となる学習者の割合をみるため、正答一致率を求めている。この 反応の内(○,○)とした学習者は正しい論理を身につけていると判断される。また、 (○,

×)や(×,O)とした学習者は論理性に欠けているか、知識として捉えていないと思われる。

そして、(×,×)反応は何か学習者が論拠となる知識をもっていないことから謀反応を提し たと思われる。 (○,O)反応学習者の場合(正反応者数/全受験者数)を正答一致率として 表3に示す。

 この表から閾値をもうけて切り、r1」、r0」の要素マトリクスで表す。その要素マトリク ス表のi行j列の要素がr1」であれば、スモールステップテストのi問題と一 竃竭閧 結 キ る。この時i行からj列を見ているので、この結線はスモールステップテストのi問題からj

 理解の構造

ユ.資料収集一授業後、学習 者にステートメントテスト、

スモールステップテストの1順 に解答を求め回収する。

2.反応状況一同ステートメ ントテストでは、電流・電圧

・抵抗・オームの法則につい て、学習者が捉えた内容を記 述する。電圧についてはユ4項 目、電流・抵抗についてもユ4 項目、オームの法則について は4項目を記述している。表 ユは各項目を百分率の高い順 にまとめたものである。

 lblスモールステップテスト では、[[ト田の問題で構成さ れていて、解答はすべて選択 肢の中から選択する。反応状 況を表2に示し、正反応を「

工」、謀反応を「O」としてい

一72一

(10)

表3 正答一致率(受験者239名)

1 3 4 5 lo 11 12 13 1 ]5 lo 1日 呈1

]、oo

o.97 I,oo

o.肋 o.脱 1.oコ

o.珊 o.胱 o、目。 一.口。

5 o.明 o.肪 o.日。 o、舳 1.oo 6 o.τ目 o.『日 o.舶 o.ττ o. 1.OO

o.帥 皿.9日 o.ヨコ o.鮒 o.帥 o、 1.oo

o.岬 o.朋 o.目] o.蝸 〇一眺 o.冊 o.蝸 I.oo

o. o. o.帥 o.一〇 o」7I o.帥 o.冊 o.τ1 I.oo

10 o.日3 o.胴 o.刊 o.宮1 o.昌] o,6日 o.畠3 o.日ヨ o. ] 1.コO Il o. o.帥 o.昌] o.肪 o.帥 ○バ o.帥 o. o. o.舶 ].oo

]! o.帥 o.帥 o.ヨ] o.帖 o.眺 o.刊 o.蝸 o.帥 o. o.脱 o.肺 1.OO

1ヨ o.80 o.削 o.古。 o.τ雪 o.別 o.舶 o.帥 o.帥 o.引 o,1 o、柵 o.帥 1,oo

1 o.眺 o.帥 o.冊 o.01 o、舳 o、帖 o.蝸 o・oヨ. o.白9 o.ヨ] o.舶 o、 o.門 1.oo

]ヨ o.明 o.帥 o、朋 o.帥 o、帖 o.7坦 o.舶 o.帥 o. o.胴 o.帥 O.帥 o.阯 o.舶 1.OO

〇一朋 o.眺 o.32 o、帥 o.肺 o、刊 o.舶 o.ヨ日 o.η o.日3 o,o o.帥 o.目1 o.坦3 o.o冒 1,oo

皿.日7 o.帥 o.舳 o、雪ミ o. o.冊 o.蝸 o.帥 o. 〇一目2 血.o o.日7 o.ヨ□ o.朋 o. o.舳 1−oo

lo o.師 o.舶 o.fヨ o、 o. o.刑 o.胴 o.餉 o. 皿〃 吐師 o.胱 o.7壇 血税 o.冊 αo; α冊 I.oo

1日 o. o、岬 皿.日量 o.9ミ o、眺 皿.冊 皿.帥 o.帥 o. o、一 o.舶 o.帥 o. o.舶 o. o.帥 o. o.帖 1,oo

,o o.舳 o. 〇一 o. o,9」 o.81 o.舳 o. o.冊 o.帥 〇一93 o.日3 o.7 o,90 o.9 o.舳 o.日3 o.田ヨ o.肥 I.o□

皿.03 o.日3 o. o. O.00 o.帖 o.朋 o.舶 o.70 o,80 O.93 o.o o.τ o.日9 o.日 o,03 o.コ1 o.脱 o、ヨコ o.oI I−oo

!… o.眺 o.帖 o、日。 o.93 o.舳 o. 〇一〇 o.日 o、冊 o.8 o.舳 o.阯 o.冊 o.91 o、冊 o.9ミ o.邊 o.阯 o.帖 o.明 o.日2 1,oo

o.oo O,91 o.冊 o.80 o.舶 o.〒 o,90 o.雪。 〇一句 o.冊 血.帥 o.90 o.冊 o.帥 o.oo o.目1 o.邊。 o.帥 皿」o o.帥 o.目8 o.ヨ9 1,oo o、舵 o.帥 o.冊 o.帥 o.日 〇一i o、宮日 o.ヨ9 o.帥 o.冊 o.oo o.邊邊 o,H o. o.冒垣 o.80 o.舶 o. o.帥 〇一 o.帥 o、朋 o.帥 1.oo

…5 o.舶 o.o o,7皇 o.帥 o.昌 o、一 o、舶 o.的 o.o日 o.〃 o.邊。 o.舶 o. o.帥 o、冊 o.oo o.鵬 o.一島 o.日2 o.肺 o、帥 o.帥 o.帥 o.冊 1.oo

表4 マトリクス表(値0193以上)

1 4 lo ll I2 H 15 lo 17 1o lo ,1 25

1 1

1

o o I

4 1 1 o

5 1 I

o o o o o o I

7 j o 1 o

1 1 o 1 1 o I 1

o o o o o o o 1

1□ o o o o o o o o o 1

11 o 1 o 1 1 o o 1

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(11)

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  2一 (閾値0.73)     2−2(閾値0.83)    2−3(閾値0.93)

  第2図行動レベルのモデル

問題への有意性を示している。ここで、「0」は結線を行わない。このような方法で0.0ユの間 隔で閾値O.71〜0.93までをマトリクス表示した。表4がマトリクス表である。

 この表からは問題聞の関連が明確とならないことから、第2図のように視覚的に明確化でき る方法で行えば一見できる。第2−1図と第2−2図を比較すると閾値を上げることにより問 題間の関連が断切される問題問もでてくる。それでも、なお、結線されていることはそれらの 問題間の関連が非常に強いといえる。

 そこで関連の強い番号間を捉えてみれば、次の2つのことが考えられる。例えば、①のよう な同一概念に属する問題のグループができる。それは、すなわち、「電気の用語」、 「電圧」、

「電流」、「抵抗」、「オームの法則」の5分類となる。

 ①同一概念に属するもの一(困→固),(囮→固),(固→固)

 ②異なる概念に関するもの一(四→囮),(囮→囮),(回→固)

4.理解の階層構造

 行うレベルであるスモールステップテストについての反応結果、知るレベルである学習ノー ト内容の反応結果と考えるレベルであるステートメントテストの反応結果を対応させて理解構 造モデルを作成している。この構造図を理解階層構造図と呼び、第3図に示す。この図から、

学習者は学習した内容をどう捉え、どのようなプロセスを経て理解したかを視覚的にっかむこ とができる。

 スモールステップ間題の固,固.團,囮,囮,囮に関しては結線がない。囮を誤った者は、

全体のユ7.6%、固に於ては20.5%、固は27.6%、囮はユ6.3%、囮は18,8%、囮はユ3.8%であ

一74一

(12)

る。固では電気を帯びていることを電荷と理解している者、圃では電位の大きさを点B<点A

<点Cと理解している者がいて、固,固,固と順を追って誤答者が増加している。固で誤り、

つづいて圃,固と誤っている学習者が非常に多い。これは、固で電気に関する基本用語が理解 できていないと考える。さらに、固で電位の意味を理解できないがために回の電圧についての 確認問題は解けないといえる。

 この誤った論理の一貫性を示した者を個別に呼び出し、当人の誤った論理を指適し、指導す ることにより、正しい論理に基づく学習者=理解者へと導くことができる。囮囮囮につい ては、明白な論理はっかめなかった。

 同じ授業を展開する場合、教室の雰囲気、学習者の能力、授業の進み具合などから、固,固.

固囮,囮,囮を組み込むかどうかにっいては、教授者の判断によるとして、授業設計へのフ ィードバックも可能となる。

      

行動のレベル は{一ルステッブテ対〕

1

知識のレベル

{学習ノート〕

△   1睡

△ .3座  必

概念のレベル はテIトメントテ朴〕

第3図 理解の階層構造図

V むす ぴ

 われわれはスモールステップテスト、学習ノート、ステートメントテストの反応分析をするこ とによって理解構造の抽出を行った。けれども、一般的な方法は概念から理解、そして問題解決

(13)

へとステップを踏むものである。そこで、われわれの行った方法(分析)は本来的な検証方法を 行ったということであり、3レベルを理解の階層構造図として表すことによって、誰に、何を、

どんな順序で、どこまで教え・指導し、どう評価するか、視覚的(フィードバックの短時間的・

確実的)におよび科学的に論義できる。特に、理解階層構造図は視覚的、科学的に指導者間で論 義できることで有用である。

 今後は、妥当性の高い問題を検討して、信頼性を高めるとともに、パソコン等の導入により、

反応分析の膨大な時間をより短縮できることから、次の授業展開における学習者の理解状態のレ ディネスに結びつける考えである。

 最後に、本研究を進めるにあたり、ご協力を賜った市立三笠中学校および教諭 和智正治先生 に深く謝意を表します。

引用・参考文献

十〕細谷俊夫:教育方法、岩波全書248、岩波書店

1)稲田 茂:技術家庭科電気実験教室、誠文堂新光社、ユ972 2)未武国弘外:OH Pの活用とT P製作の実際、学習研究社、1973 3)E,C,バークレイ:人工頭脳、みすず書房、1957

4)沼野一男:授業の設計入門、国土社、1976

5)仁保寛二外:スモール・ステップ・テストにおける論理の一貫性・信学技報・E T−79        −7

6)竹谷 誠外:I R Sグラフの作り方・使い方、信学技報・ET−79−8 7)新電気編集部:絵とき電気学入門早わかり、オーム社、ユ980

8)吉田武尚:教授・学習過程について、宗教大教研紀、N皿18.1982−3

9)吉田武間外:学習者の主観的意識と客観的データからの理解度について・産技教学会中国        支部第11発表、1982−5

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参照

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