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貨幣的変化の移転効果と富効果

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(1)

貨幣的変化の移転効果と富効果

児玉元平

1

近代マクロ経済学における富効果の再認識について,バーバラーほ,つぎ のような言葉をあたえている。「ケインズ効果,ピグー効果,或いはもっと 一般的に富貯蓄関係の理論は,われわれの分析道具の内容を豊富にしたこと は疑問のないことである。これは,主として「一般理論」によってあたえら れた刺激によるものである。ケインズは古典派経済学者達をして,彼等の理 論を再考せしめ,再論述せしめ,洗練せしめたのである。」通常,富効果に

(1)

ついては二つの側面が区別される。価格誘発的富効果と利子誘発的富効果で ある0前者について,再びバーバラーの説明をあたえよう。「これらの貨幣 退蔵の大きさは増加するであらう0それは,物価の下落によって,実質購買 力で測ってますます早く増加するであろう。これらの退蔵は実質的富のみな らず,実質所得に関連して増大でるであろう。流動的な資産が富のかなり大 きな比率にまで達した後には,流動性欲求は終局的にみたされ,ひとびと は,その退蔵の増加をやめるであろう。つぎの二つのうち一つか或いは両方 がおこるであろうOより多くの貨幣が資本市場に貸出され,その結果利子は 低下するであろう。或いはまた,ひとびとはより少なく貯蓄するであろう。

 ̄ケインズ氏の用語でいえば,消費性向は流動性迂好の低下に加えて上昇 するであろう0そして,消費財にたいす需要の減少がやむか,または上昇す るかもしれない。」バーバラーの指摘したことは,消費性向は,所得水準の

(2)

みならず貨幣を含む雷の所有にも依存するということであった。

利子誘発的雷効果についてはメッツラーはつぎのように説明する。「所与 の普通株−メッツラーでは全ての実質的富は普通株の責で測られる−の 実質価値は,現行利子率と逆の関係をもっている,ということができる。利

(2)

子率が高ければ高いほど,普通株保有量の実質価値は低くなり,反対に利子 率が低いほど実質価値は日くなるoJ価格誘発的宮効果一実質残高効果と

(3) 

よばれるものはこれに相当でるO ーをもって,ケインズ的な過少雇用均衡 の可能性を排除しようとしたのはピグーであった。もっとも,ピグー自身は その実際的困難については十分認識していた。彼はつぎのように述べてい r前章でわれわれが考察したパズルはアカデミックな演習であって,思 考を明確にするにはおそらくわづかに役立つであろうが,現実生活のチェッ カー盤に永久にのせられるという機会はきわめて少ないであろうoJヒック

(4)  スもその効果についてピグーと同じような志見をもっている r硬貨がある J見合の所有効果は,最近ピグー教授が,ケインズ理論の批判のうちで主張し たのと同じ論点であるように見えるO わたくし自身は,この論点が実際lこは 大して主要だとは考えることはできないが,それは理論的には正当であり,

原理的には考慮さるべきであることには疑問をもっていない。 Jところで,

(5) 

この富効果についてケインズ自身はどのように考えていたであろうか。同じ ケイジアンの中にも見解の相呉が存在するD 一部の論者は,ケインズは宮効 果を無視したG しかし,それは正当な根拠に立つものであったという。たと えばチャンパノーンはいう r彼(ケインズ)が述べるに値しないものと考 えた一つの理論的に可能な効果は,その価格が貨幣できめられる資産や残高 の購買力の増大より生ずる消費性向の上昇の効果であった。この効果は実際 的にはなんらの重要性をもたないものとして無祝したケインズのよき判断に 疑問をもつに十分な証拠はないように思はれるoJまた,他の論者は,ケイ

(6) 

ンズは富効果を考えていたけれども,現在の価格と賃金の硬直性を考慮すれ ば,この効果は実際的重要性をもたないものであるという結論に達した後 に,この効果を分析から取り除いたのであるというD ラーナーはつぎのよう に述べている rケインズは短気な人であって不可能な程度の伸縮性につい て,アカデミックな思索することをきらっていた。私は,彼が富効果を述べ ていない理由は,この短気な性格によるものであって,理論的可能性を考察 することに失敗したことではないと信じているoJわれわれはことでケイン

(7) 

ズと富効果との関係について詳細に吟味する志企はないが,ピセック=セー

(3)

ピングのつぎのような結論は主要な注目に値する一つの見方と考えてよい。

「富効果の歴史は経済学において最も皮肉な歴史の一つである。ケインズは 宮効果の二つの測面を述べており,その重要性を強調したが,それを彼の分 析に組入れることに失敗することによって,宮は彼の指からすべり落ちてし まった。彼の批判者達は一つの効果を再発見したが, G.ハーパラーを除い て,その経験的意味を過少に評価した。彼の支持者達は,ケインズはそれを 考察しなかったことを認めたが,ケインズは,それは重要でないと考えたか らだと論ずることによって,ケインズの申立てた失敗を容赦した。一般的 に,二つの立場‑もここ十年以上の間宮効果に関連した問題を無視した。

「一般理論」の出現後12年自にケインズの記念論文集が出版された。そして 全巻にわたって宮効果を述べているのは唯一句あるのみで,そのー句も宮効 果を直に排除している。 、貨幣呈のみに不当に没頭する最近の傾向は,古い 方法と同じく支持できない、」パテインキンは価格誘発的富効果を無視する

(8) 

経済学者の名前のリストをあたえているが,パテインキン自身利子誘発的宮

(9) 

効果を無視しているo巨視的経済理論において宮効果を重視する傾向につい て批判的な見解のーっとして,われわれはカノレパートソンをあげてみるo によれば,価格誘発的宮効果の中心的な班点は,それは価格変化の宮にあた える制限的な影響のみを取扱い,明にそれにおとらず主要で反対の方向にう ごく他の変化を無視しているということである。 キ{也の条件不変であれば、

ということは,これを正当化するものではない。そこで,価格変化が官所有 にあたえる総効果についてはっきりとした結論がえられるまでは,この主題 について確定的なことは何にもいえないのであるo そして,宮調整の役割に ついて明確な記述をあたえる理論と, 13の価値を確定的l乙測定する概念とデ ータを欠いている今日ではむしろ経験的研究では, Kel1yの常数としての役

;刊を仮定する方がのぞましい。」

( 1 0)

マクロ的経済学における宮効果分析の主要性については,いまだ定着的な 結論に注し・ていないのが現状であるD この傾向の中で,ホーピッチは,スト

ックーフロー関係の分析を伎用して貨幣的経済休系を考察し,乙の体系の不 均衡調程メカニズムとして百効果のほかに移転効果の概念を導入しているo

(4)

その分析手法は一般均衡論的であるo理論の展開過程はきわめて精徹lこして (11) 

随所に独創的な分析が示されている。しかし,そのわりに,今日の文献であ まり引用されていなし」おそらく,ホーピッチの分析手法が論議され吸収さ

U l2

れるには今後相当長い月日を必要とするであらうと思われる。その過程の中 で富効果の重要性が再吟味されるであろうO われわれは,この小論で,ホー ピッチによって提示された移転効果と宮効果による貨幣的不均衡の調整泊程 を吟味するD そのことはまたいままで述べてきたマクロ的経済学における官 効果の意味を理解するに役立つであらうD

まず,分析構造の素描をあたえようD 設定される経済は三つの市場と二つ の基礎的部門から成立つ。市場は,既存資産市場,生産物市場と生産要素市 場であるD 部門は家計部門と企業部門である口既存資産は貨幣と有価証券の 形態をとる蓄積された宮 (Wealth)から成立つ。生産物市場では,生産さ れた消費財と投資財とが貨幣と交換されるO 生産要素市場では労働と資本ス トックが需要され生産に投入される。家計部門は既存資産市場の富の全てを 所有し,且つ労働を要素市場に供給して,有価証券と労働から所得を獲得 し,これを消費し貯蓄する。企業は資本を保有し(所有せず)労働と結合し て生産物を生産するO そして賃金と利潤の形で家計に所得を支払うD 亦企業 は家計の供給する資金によって(有価証券の発行を通じて)新資本に投資す o企業は富を所有せず,また所得を獲得せず,消費も貯蓄もしない。即 ち,企業は純然たる生産の単位で所有の単位でないと仮定するO さらにこの 分析では完全雇用を仮定することによって生産物は一定とされ,労働市場は 分析体系から除外され,単一生産物の仮定により生産物は消資財にも投資財 にも使用できる。以上の単純化された経済の構造の下でまず既存資産市場に おける供給と需要の二つの経済変数聞の関係を考察しようO

貨幣の総供給はM で示し, これは,取引に使用される活動的貨幣M1 資産の一部として価値の貯蔵手段として使用される遊休的貨幣Mzとに分た れる。

(5)

M=M1+M (2.1)  生産物の価格をPで示すと遊休貨幣の実質価値は,

m

当竿ι ο 

既存有{価甜証券(乙こでは株式のみと仮定する。)の実質価値をSv。で示す (

l 3} と,家計の所有する富の実質価値W は

W=SVO+m2  (2.3)  一単位の資本は純収益Xkを永久的に生ずると仮定すると,その実質価値は,

ρ Xk  (2.4) 

有価証券の量をS。で示すと,総資本の収益はxkKであるから証券1単位 あたりの収益は,

X. X~_~

S

証券l単位あたりの収益の実質価値は,

(2.5) 

X.  xkK  PkK 

= ‑ Lp ‑ pSo ‑ Sー ← 一 一 一 一 一 (2.6)  つぎに証券の価格をZで示すと,その実質価値は,

p π  (2.7)

これは,証券と生産物との交換比率を示している。この株式体系で市場利子 率は,

r"M π   =~s ‑ ‑ この式の分母と分子をPで割ると,

X. 

ru  ̲一 一 一 一 一 ‑̲̲E  ~~

7r: 

この式で証券の実質価値はさらに, (2.6)より =~.~=_~K 一 一 一 一

rM ~ rMS そこで,総証券の実質価値は,

(2.8) 

(2.9) 

(2.10) 

Svo= pSo  (2.11) 

pは既述のごとく証券と生産物との交換比率を示するから、 Sv。は生産物で 測られた価値であるQ いま生産物単位をもで示すと,総証券の価値とP

の関係は第l図でえがかれる。直線の勾配は総券ms。を示し, s。の桔1大は

(6)

Svo{ So) 

1

S~>S()

qc 

直線の右シフトで示される。と乙ろで ,P. を一定とすれば P と r~l とは反対 の方向にうごくから,第l図の縦軸は利子率におきかえて第2図のごとく示 すこともできるロ一つの直線は人と S。とを一定としてえがかれる。 S。を 一定としてんの上昇は直線を右にシフトせしめる。第3図 は 縦 軸lrM

rM  vo (ρ.SJ 2

~ )ρ5 

Pとを同時に示す仕方である。 P.を一定とすれば '/rMの植に対応してP 値がきまるO縦軸で '/rMのスケーノレを一定とすればρsの上昇はpのスケー ノレを変化せしめるo Sv 0直線は右にローテンシヨンせしめるo (2.3)の式

(7)

P

3

qc 

は第4図のごとく示される。 Wh の函数であるoW=W (rM) つぎに,需要の側面を考えようo各価格と利子率の水準に対応して家計は 既存の資産を証券と貨幣とに配分しようと決意するoいま,証券需要の実質

Svo 

m

価値をDv0' 実質遊休残高需要を L2で示すと資産需要方程式は (2.12)  Dvo+L2 =W 

この式ではつぎの条件が含まれている。

( 14) 

dL

‑"L:‑<0

U

11 '/ 2 1

礼 一 七

一 ︐

d

4

(2.13) 

(8)

(2.3) (2.13)より

(2.14) 

Dvo‑SVo=m2‑L2 

即ち,証券の実質超過需要~li は実質遊休貨幣の超過供給にひとしい。そ乙で 均衡で貨幣市場の均衡は証券市場の均衡を合芯しているD 以下の分析を単純 にするために.L2Dv。はともに 1/r11Pの一次函数であり,既存資産市 L2のシフトはすべては瞬間的に生

(2.15)  ずると仮定しようO 証券の市要丑は,

D 0 4 3 ‑

既存資産市場の方程式体系をつぎのごとくまとめておこう。

場への新貯苔の導入と結付かないDvo.

(ρ PkK 

So 

K = K  

(2.23)  (2.16) 

W=Svo+mz 

m2 予ニM? 

M2=M‑M

(2.24)  (2.25)  (2.26)  (2.27) 

L2 =L2 (r) L?= M一 一

2 ‑

Dvo=W‑L2  Do=

, 号

0ー

(2.17)  (2.18)  (2.19)  M = M  

(2.20) 

Svo= pSo 

(2.28)  (2.20 

o s

M

S Pr 一 一 一

S P

  (2.22) 

生産物市場にうつろう。活動的貨幣需要L1は貨幣所得の函数として,

(2.29) 

Lj=kjY 

活動的貨幣をM1とすると,活動的貨幣の需給均衡は,

(2.30) 

Lj =kj =Mj 

それは,消賀と貯 貨幣支出は,貨幣所得,産出物の貨幣,価値にひとしく,

苔の和にひとしい口均衡においては貯苔と投資は相ひとしい。これらの関係 は実質量(生産物単位で測って)で示して,

(2.31) 

y=c+S 

(2.32) 

(2.33)  貯蓄は証券需要と遊休貨幣需要の二つの形態でなされるとすると,

=SsSm Y=C+I 

(9)

投資はその資金調達の側面からみて,証券の発行と遊休貨幣の利用によって 遂行されるとすると,

=I. +Im  (2.34)  しかし,われわれは既に遊休貨幣残高は家計のみが保有すると仮定したか ら,乙乙では,

Sm=Im=  (2.35)  としようo即ち,すべての貯蓄は証券需要であり,技資はすべて新証券の発 行によって調達されると仮定しようD

=S. =DVN  (2.36)  =I. =SvN  (2.37)  ここで注意すべきことは,貯苔は必ずしも新証券に対する需要を芯味するわ けではないことであるo貯苔は証券に対する新な需要である口それは今期の 所得より生ずる需要であるo既存証券需要は既存の宮より生ずるD いずれの 需要も情況によって新証券,旧証券のいづれにもあてられる O 貯苔は r~! ,

Y,の函数として,

θS  θS  θS 

> 0一て~~--:--<0, ---~-~--> 0,  (2.38) 

vrq,[ ... ‑'  V , ̲ ~.L_ I ¥"' , 

r

現実l乙貯苔函数にはWが入るであらう。しかし,ここではさしあたり ,W 変化はSに影響をあたえないと仮定しようD 資 本 収 益 ん は 投 資 の 減 少 図 数

と仮定すれば,投資はrMの減少函数となるO

出)

dI dt~[--< ,  (2.39) 

SIとは実質価値で示された証券にたいする需要と供給であるから,これ を証券の呈で表示すると,

S̲ = SvN 

(2.40) 

DN=-_D:.~=~ N= 一一 (2.41)  SVNDVNとが白線で示される場合を第5図で示さうo Iは上昇的, Sは下 降的な直線となり点線は証券呈 (qs)で示された投資と貯苔で SNSVN は零mと価格lのと乙ろで一致し,同総なことはD"とD刊についても成立す

(10)

1.00 

¥ N ( 

る。また SVN=DvN 成立する l/rM. p'の水 準で SN=DNが 成 立 す D 生産物市場の方程式 体系をつぎのごとくまと

めておこうO

fM'p 

SN 

rN, 

5

DN

D¥'N(S) 

(2.42)  =S8  (2.49)  (2.43)  ρk=Pk (1)  (2.50)  (2.44)  rM.=pk  (2.51)  (2.45)  =18  (2.52)  (2.46)  = 1  (2.53)  (2.47)  DN=~- (2.54)  (2.48)  SN=一 一 (2.55) 

L1=k1

k1=kl 

v u  

py

一 一 一 Y y   L1= M

y=c+S 

(y, rM) 

ここで,われわれは二つの市場体系における均衡成立の過程を考察してみよ o既存資産市場ではストック量の関係が規定せられており,生産物市場で はフロー量の関係が規定されているo まず生産物市場で (2.45)によって完 全雇用が仮定されyは所与であるO 子を (2.45) に代入するo (2.50) (2.51)より投資函数として1(r ~I) が求められ, (2.53)の貯蓄投資均等 式により,

Cy, rM) (rM)  (2.56)  をうるo この式で自然利子率r Nが求められるD 同時に S1がきまる。

( 1) 6

y, S, 1がきまると, (2.47)より C (2.52)より 18 (2.49)より S8がきまるo二つの市場体系の関係、によってPがきまると(2.54)(2.55)

より DNSNがきまる。ここで, 既存資産市場に転じよう口既に自然利子

(11)

率は,貯蓄と投資とによって決定されているO ホーピッチはここでつぎのよ うに述べているo r価格水準の決定,資産水準の変動,資本の成長(産出量 は一定と仮定されている)を合すところの,休系においてつづいておこるど のようなことも,実質貯蓄表,実質投資表,それらの均衡を変化せしめるこ とはできない。かくて,既存資産需要表があたえられるならば,既存資産の 量は,さきにきまった自然利子率で需要と供給がノイランスするように調節さ れねばならない口」貨幣的要因の実物的要因への影響ノレートが切断されてい

( 1

るという意味で,このホーピッチの分析手法ほ所謂二分法的である。乙の点 に関する限り,彼の展開は新古典派的と考えてよい。

投資のための新証券の発行は50を増加せしめる口 しかし,きわめて短期 間をとってS。を一定する。 M2M1の変化に応じて変化するo (2.25) 左辺に (2.26)を代入し, rMの代りにrnを入れる。またM2は扇‑M1と取 りかえる。生産物市場の (2.46)の左辺に (2.42) を代入し, 乙の式のl

には (2.43)を代入, Yには pyでもってかえると,

_~~M1 k1Y  をうる。そこで, (2.25)

(‑ M1) k, 

L(rn) 一 一 M

1

(2.57) 

(2.58)  この式より,

M. =‑1 = ~tk1 ご 了 一 (2.59)  L2 (rN) +k 1Y 

そこで自然利子率があたえられると所与の貨幣丑MM1M2との配分が きまり,それから Pの水準がきまるo Pの方程式は,

M 一 山

)  

L

(2.60) 

玩のの増加は比例的なPの上昇を生ぜしめる口均衡利子率は変化しなし、乙 のような結果は,完全雇用の仮定と二分法的な分析より必然的に生ずるもの であるD

証券の実質価値はつぎのようにして求められる。 (2.22) (2.23)を代 入 し , ん を れ に 50Sol KTとにかえるoPがきまると, (2.20) 

(2.21)により 5v0がきまり, M2Pの決定は (2.17)m2 (2.16) 

(12)

Wをきめる。 W L2の水準は(2.27)Dv。をきめるO そして, (2.28)  Dv Pの水準はD。をきめるoまた pの水準は (2.54) (2.55) によってDNとSl'iとをきめる。均衡では,

(2.61)  の関係が成立する口

以上の分析ではWの変化のL2にあたえる影響は考応されていなし"0 しか し,いまつぎのような仮定をおいてみよう。

w=Dvo+L2 (2.62)  の 式 で ムw>oで あ る と ムDvo>0,ムL2>Oであり, w<Oである と ムDv0< ,ムL2<Oであるとするoさらに, 各需要表はそれぞれの資 産の価値の純資産にたいする比率にひとしい変化率でシフトすると仮定す

Dvo=w(

寺)

, ムL2=w(守)(2.63) 

かくて富変化の性質は一般的家計の反応にとって重要でないが,需要感応の 大きさは Sv。と ffi2の事後的な大きさに依ー存するO そこで L2がシフトす るとする。総貨幣呈を M1と M2とに任志に配分してみる P と M2/P,

及び総宮函数L2函数がきまる。もし ,M2/Pが自然利子率より低い利子率 の水準で、L2と一致するならば,均衡が成立するためにはM2から M1への 移転が生じなければならぬ。そこでM2/PM2の減少,Pの上昇によっ M2/Pは低落する。しかし,宮函数を左にシフトし, L2もこれに対応し てシフトするo (2.63)の仮定によって L2M2/Pのシフト程シフトしな

Kyj 

(r")  rM 

6

l ︼

c /1 

r..I 

(13)

い。均衡への移行はおくれる。しかし,完全に妨げられるわけではないC

M2!P =L2 (rN) の均衡は M2!PW1L2が同時的に決定されて成立する。

二つの体系の均衡は第6図で示されるo貯蓄函数と投資函数とは左図で示さ れ る ロ 縦 軸 で ん と 日 を 測 るO二つの函数の交点で自然利子率r'NO A にひとしい貯苔と投資がきまるor'Nがきまると p'=p' .!r' Nの均衡価格が きまるO 左図では既存資産市場のうち遊休残高市場のみが示されているo

rr Nの決定は MI2!Pl=L2 (rN) の均衡是を決めるo活動的貨11?と 遊 休 的 貨幣の両者にとって需要と供給の均衡が成立している。

以上の考察は貯苔投資の既存資産市場への影響が無視されるきわめて短期 的な均衡についてであった。新証券の発行は Soを増加せしめるO そこでフ ロー呈がストック呈にあたえる影響を考察する必要がある。新証券の発行l

( 1 8) よりて総証券は,実質価値で,

Svt=SVO+SVN  (2.64)  証券にたいする需要は,

Dv=Dvo+DvN (2.65)  証券を呈で示すと,

St = S。十SN (2.66)  Dt=Do+DN  (2.67)  いま任志の1UJtについて第7図で説明しよう。 SNDNは企業の発行す

;F13

I

., 

D

?

117 る新証券呈と家計貯

So  {~

蓄によって需要され る証券立である。 S は期首「における既存 iJt Doは証券 需要量である。 St S。と SNの 水 平 的

q7

(14)

DtDoDNとの水平的和を示しているC こ れ ら は こ のt期間の 証券供給と需要表を示しており,期未で均衡価格p', 利子率rrNを決定す op'の価格でO A量の証券が既存証券呈に付加される。

S' O=SO+SN (r'N)  (2.68)  乙の式では SN (r' N)  =DN (r' N)であるD この量が次期の期首における証 券量であるop'の水準で新しい既存証券需要はD'o=DtでこれはS'o=St  にひとしい。 p'以外の水準では, D'。は新しい富予算によって決定されるO

点線D'。で示される需要表は乙の新しい宮予算によって誘導されるo そ乙 で,われわれは実質価値で示された証券と全既存資産との関係、を第8図で示

ιP 

~

p'

r

Dvr; 

1

一 川

Svr; 

してみよう SVN=pSN DVN=pDN,  Sv =pSo, Dv =pD。であるo S...t Dvパまそれぞれの水平的和であるo宮函 HS 8

数は w=svom2である。全ての証券 価値曲線は p'I/r' Nの 水 準 で 交 叉 す仰)

oS'vo=pS' 。線は原価より Sv色と Dvtの交文点を通る直線としてえがかれ

O 新しい富函は,

qC~ w'=S'vom2 (2.69) 

'11" 

rn  q

(15)

p'の水準で, D' vo=Dvt =Svt =S' VoであるO D' 0線は W'との関連で えがかれるoL2函数は一定と仮定しているO そこで,

D'vo=Dvo+ (Wノ ‑W) = + (S/ v 0 ‑ 0 )   (2.70)  さらに,

D' D~~o_ = D i=S' v 0ー も PDo+PS'ι ι

そこで,

D' o=Do+ (S' o‑So)  (2.71)  かくて毎期の貯蓄投資による新証券の増加が既存証券に付加されるならば,

S。と DoStDtは平行的に同じ距離だけ右にシフトするであろうo£芽亨百可

要の基礎である予算制限は家計の証券需要が現実的に証券所有の増加となる ごとに変イじするo DNは総所得によって制限されるが, D。は総資産によっ て決定せられるD 実現される以外の DN線上と Dt線上の量は D。になんら の影響をあたえない。もっとも,新証券の発行によって S。と Sv。が増加す るにつれて, これに対応的に資本ストックKも増加するであろうo しかし,

われわれは以下の分析ではさしあたりKは瓦で一定であると仮定してんは 新旧証券にとって同一であるとしよう。

以上われわれはホーピッチ分析の構造による静学的均衡と勤学的均衡(ス トック, フロー均衡)を要約に説明した。労働市場の考察は完全雇用が仮定 され産出量は一定とされることによって分析から排除された。既存証券市場 と生産物市場からなるこの体系を比較静学的に眺めると,扇の増加はPの比 例的な上昇を結果した。実物的変数はそれによって影響を受けず,零次の同 次的な関係が示された。均衡利子率,即ち自然利子率は貯蓄函数と投資函数 の交点できまり,既存資産市場は受動的にこの水準に調節するo静学的均衡 と勤学的均衡の一つの条件は,活動的残高と遊休的残高にたいする需要と供 給の均等化であるo しかし,均衡に達する勤学的なプロセスでは,貯蓄と投 資との問の不均衡を通じて, D。にたいする S。の均衡化的変化が生じるO

この変化は貨幣的変化を導入して新しい均衡に向う調節プロセスをたどるこ とによって考察することができるoそ乙で,われわれは,以下において貨幣 的変化ーホーピッチでは公開市場操作によって生ずるo ー に よ っ て 均 衡

(16)

が涜乱された場合,不均衡を均衡に回復せしめる過程を考察しようo ところ で,ホーピッチは,この均衡調整機構として,移動効果を重視している。そ

こでわれわれもこの二つの効果に考察の焦点を合せるであろう。

ここで,移転効果 (transfer  eff ect)とは, 家計の遊休貨幣が企業の活 動貨幣へと移転することによって生ずる効果である。即ち,ストック丑とフ

ロー量との関係で示されるO 官効果 (wealth effect)は価格と利子率の変 化によって生ずる調控効果であるO 前者の効果から取上げよう。いま,新し い均衡成立に必要な期間をtで示し, これをさらにより短い期間 tt t2,  h…に分割しよう口例えばtを数ヶ月,一年の四分の一等とすると,しは一 時間,一日等を示す。乙のようなi易合証券価格,利子等のt1期間の勤きは相 対的に微小である。そこで,すべての取引は単一価格で行われると仮定する ことができるD 9図ではt1期間中の証券市坊を示しているO 貯苔と投資 は時間を迫じてコンスタントとすると ,S'ND'Nはしと同じ長さの前期 から変化しないものとしてえがくことができるO 総証券は

S"t=S"O+S'N  D"=D九十D'N (3.1)  総証券の需要供給の均衡は p'"価格で成立する D"t=S"tであるから,

D" o‑S" o==S'ND'r;  (3.2)  即ち p" 水準では既存証券にたいする超過需要は新証券の超過供給にひと

しい。われわれはこの一時的均衡のプロセスを吟味したい。いま,公開市坊 操作によって既存証券が買上げられたとする。家計の保有量が S"I乙減少 し,実質遊休貨幣はm九に増加したとするo証券価格はp"の水準,利子率 の水準は r"M=p"S/Pf になったとする。 t1期 の 初 め で 〆 で は 貯 蓄 者 の 証 券需要は D'N(p=AB,企業の証券発行(投資) はS'N(p") =AC  であるD この差B Cは新証券超過供給のフロー丑であるo ~証券の超過供給 は証券価格低下の傾向を生ぜしめる。 SNの減少と DNの増加は超過供給を B C  以下に減少せしめるo同時にPの低落によって D九綜の移動が生ずる。

即ち pの低落と rMの上昇によって m2の減少と既存証券への超過需要が

(17)

l

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一 川

F N  

~" S~

9

w n

QS/t

S s~

誘発されるD 乙のプロセスは t1期間の一時的均衡p/"I乙達するまでつづ D 全ての取引は均衡価格で有効と仮定しているから,期間中に実現した証 券呈は

5'ND'N=EF=D"o‑5九 = (3.3)  この点でD=5ヘである。 EFは新証券の超過供給で,既存証券にたいす

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る超過需要 G Hにひとしい。新証券の需要は DE=HI DE+GH  (==E F)は新証券の発行DFで充足される。t1期末の証券去は5.0となるo

参照

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