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アメリカ女性 と高齢化

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訳 出にあた って

本稿 は、次 の著 書 の第 一 章 「高齢化 の最 前線 」 につ いて 訳 出 した もの で あ る.Jessie Allen and Alan Pifer,Women on the front li五 es,Inceting the challenge of an aging」 merica,The Urban lnstitute Press,1993,pp.1‑270 and i―xv.本 書 は、 序 文 の ほ lo章か らな り、 13人 の執筆 者 によ る共 同研 究 の 成 果 で あ る。 サ ウ ス ポ ー ト政 策 分 析 研 究 所 (SIPA)の助成 を得 て着 手 され た 「女性 と人 口の 高齢化 プ ロジェク ト」 (89年 開始)の成果 で ある。

本書 は、女性 こそ高齢化 の影 響 をも っ とも強 く 受 け る とい う基 本 的 な 理 解 か ら出発 す る。 女 性 は、高齢者 と りわ け後期高齢者のなかで多 いだ け ではな い。貧困基準 に抵触す る所得 しか もたない 高齢者 の過半 は、女性 で あ る。 ナー シングホーム に入 る高齢者 と一 人暮 しの高齢者の多 くも、女性 で あ る。 高齢化 の影 響 を ことの他 強 く受 けるの は、高齢女性 にとどまるわ けではな い。介護 を主 に担 うのは、施設であれ家族 にお いてで あれ高齢 女性 を含 むすべて の年齢 階層 の女性 で ある。 こう して女性 は、アメ リカ にお ける人 口の高齢化 の文 字通 り最前線 に立 た され る。

本書 は、アメ リカの保健 、医療 、労働 、家族な どに係わる政策が両性 に中立的 に編成 されて いる わ けで はな い と批判 し、高齢化 の最前線 にたつ女 性 につ いての包括 的な分析 をもとに改革 にむ けた 提言 をお こな って いる。

高齢化 問題 が女性 問題 で あ り、そ うした理解 に そ って政策的な吟味 をお こな う立場 は、本書 のほ か に もア メ リカ国 内は もとよ リイギ リスや わが国 で も近年広 い支持 を得 は じめて いるよ うに思われ (1).

本稿 を通 して私 たち は、高齢化 の最 前線 に立つ アメ リカ女性 の状態 と改革 にむ けた提言 につ いて

学び取 りなが ら、わが国 にお ける同種 の問題 を考 えるに当って の示唆 を得 る ことがで きるので はな いか、 と思われ る。

(1)わ が国の文献 と して は、マーサON・ オザ ワ

/木村 尚二郎/伊部英男編『 女性 の ライ フサ イ クルー 所 得 保 障 の 日米 比 較一 』(東大 出版 会 、 89年)の第 一部第五 章、 フォー ラム女性 の生活

と展望編『 図表 でみ る女 の現在』(ミネル ヴ ァ 書房、94年)の第八章 を参照 された い。イギ リ ス につ いて は、次 の文献 の うち特 に第 一部 と第 四 部 が 議 論 の動 向 をつ か む 上 で有 益 で あ る。

Sally]Baldwin and Jane Falkingham,Social secu―

rity and social change,new challenges to the Beveridge model,Harvester Wheatsheaf,1994.

あわせて ア メ リカの最近 の文献 と して次 の もの が 興 味 深 い 。 Nancy R.Hooyman and Judith Gonyea,Feminist perspectives on fanlily care, policies fbr gender fustice,Sage Publicatiolls,1995.

アメ リカの代表 的な新 聞が、人 口の高齢化 に関 係す る記事 を載せ な い 日は、おそ らくな いで あろ う。 一連 の社 会 的 な 変 化 、 た とえ ば高齢 者 の増 加、 ごく普通 の ライ フコー ス としての高齢期 とそ の延長、労働 力の高齢化、家族が要介護高齢者 を 介護す る可能性 の広 が りは、 ます ます 明 らか にな りつつ ある。 これ らの問題 は、すべて よ く知 られ た 高 齢 化 の す う勢 に根 ざす 。 同時 に諸 問題 は 、 もっ とも直接的 にかつ深 く女性 の生活 に影響 を与 える とい う別 の傾 向 とも結 びつ く。

女性 は、高齢 化 社会 の最 前線 に立 たさ

'け

ている。

その主な理 由を三つあげる ことができる。第一 に、

彼女たちは高齢者 の過 半 を超す。第二 に、彼女た ちは、要介護高齢者の介護 の主力である。第二 に、

彼女たちは、高齢期 に経済的 に恵 まれな い境遇 に 直面す る。高齢化 のす う勢 の うちで もっ とも劇的

アメ リカ女性 と高齢化

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な人 口学 上 の諸結果 は、ベ ビー ブーム世代 が21 世紀 の20‑30年代 に老齢退職期 を迎 え る まで起 きな いか も しれな い。 しか し、女性 の置かれた立 場 を見す える と、諸 問題 はその姿 をすで に現わ し つつ ある。対応策 を近 々の うちにとる ことが、迫 られて いる。

ベ ビー ブーム世代が老齢退職期 にかか るよ りも 前に、 と りわ け後期 高齢者の数 にお いて重要な変 化 に直 面 す るで あ ろ う。85歳以 上 の 高 齢 者 は 、 199o年 か ら 2010年 にか けて倍化 す るで あ ろ う。

この年齢階層 は、慢性 的な疾患や 障害 のた め に、

主 として女性 に担われ る介護 をもっとも必要 にす る人々で ある。他方η女性の平均年齢 は、伸び続 ける。50歳以 上の女性 は、199o年 に21歳以 上 の 全成 人女 性 の39%を占め る。2010年 に は、全 成 人女性 のお よそ半分 にあた る48%が50歳以 上 の女性 によって 占め られ るであろう。

ベ ビー ブー ム世代 が 高齢 者 の仲 間入 りをす る 2010年 以降 にな る と、65歳以 上 の人 口 も急 速 に 膨 らむで あ ろ う。65歳以 上 の人 口は、 199o年 に およそ 3,200万 人、総 人 口中の比率 に して13%で ある.その数は、2020年 には5,300万人 にの ぼる。

2030年 には、5人1人 のアメ リカ人が65歳以上 の高齢者である。 この うちの 800万 人以上 は、ほ とん ど女性 か らな る85歳以 上 の後 期 高齢 者 で あ (連邦統 計局、1989年)。

本書 は、一人で暮 らす高齢者の中での貧困化率 の高 さ、在宅介護 と有給 の仕事 とを同時 に担 う上 での中年女性 の直面す る格 闘、メデ ィケイ ド基金 の財政問題、増え続 ける保健・ 医療職 にお ける女 性 の位置 、評価 の分れ る予防医療 の費用節減効果 お よび労働 力 にお ける女性 の地位 な どの女 性 に とつて見落すわ けにいかな い一連 の問題 を扱 う。

人 口の高齢 化 は、 これ らの問題 にす べ て波 及す る。対応する政策は、その効果をあげるために高 齢化のす う勢に注意を払 うことになろう。アメリ カ合衆国の労働力、保健および家族による介護に 関 して効果的な社会政策を組み立てようとするな らば、アメリカ人女性への人口高齢化の影響を見 落すわけにいかない。

女性 と高齢化

高齢化のす う勢が女性にとりわけ大きな意味を

もっという時、そのもっとも明白な理由は、最大 多数の高齢者が女性であることである。女性は、

彼女たちの相対的に長い寿命か らして高齢者の多 数を占める。85歳 以上の女性は、同 じ年齢階層の 男性よ りも三倍多い。実際に、 この後期高齢者の 急速な増加は、長命を記録する女性のかってない ほどの数に主として起因する。 しか し、生活が人 口の高齢化によって影響されるのは、なにも高齢 女性だけではない。

第二に重要なことは、女性が、今 日では有給の 労働力の半分近 くを占めるにもかかわ らず、無給 の介護労働のほとんどを背負い込む ことである。

体が弱 り障害をもつ高齢者とその増加は、すべて の年齢階層の女性にとって主要な生活問題のひと つになるとともに、女性の将来にわたる経済的な 地位 と労働力としての生産性にも陰を落す。女性 の長命 と介護者 としての終生の役割一労働、保 健、老齢退職に関する基準と政策は、これ らの事 情 を見落す社会にあって一は、高齢女性の経済的 に不利な境遇の一因である。

第二に重要な ことは、多 くの高齢女性が経済的 にゆとりのある生活を営むほどの資力を持ちあわ せないことである。65歳 以上の女性のおよそ 3人

に 1人 は、貧困基準の150%を下 まわる所得 しか もたない。女性は、このために高齢貧困者のおよ 4分3を占める。

以下に続 く各章は、女性、広 くいえば社会全体 に もた らされ る高齢化 の諸結果 を扱 う。 どの章 も、女性、家族問題、保健および高齢女性の社会 的経済的な地位 にかかわる公的な らびに私的部門 の政策上の刷新の必要性を説いている。

執筆者の考 えは、 この本の多 くの論点 につい て、一致 している。 しかし、高齢化のすう勢とそ の政策上の意味について、完全に合意されている か といえば、そ うではない。た とえば、第二章 は、女性の年金加入率の将来的な上昇について強 調する。他方、第七章は、老齢年金所得の性別格 差の持続について力説する。二つの予測 ともはず れるかもしれないし、的を得るかもしれない。二 つ ともに、将来の社会保障と年金政策の信頼 しう る分析 にあたって、考慮に入れなければな らな い。解釈や力点の置き方のちがいを残 したのは、

編集者の判断による。読者は、 これによって問題 についての多彩な見通 しに接することができよう。

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中心 に なる四 つの テーマ

将来 の見通 しにつ いての判断の ちが いや一連 の 広 い課題 を扱 うとはいって も、数少な い重要な考 え方が、 さまざまな文脈の中で くり返 し述べ られ る。特 に、四つの中心的なテーマ につ いて指摘 し てお きた い。高齢者人 口にお ける差異 とこの差異 の政策的な意味、高齢者介護 の需要 をまかな うに 必要 な社会 の変化 、女性の介護役割 を社会 として 認 め る方法 と介護 になん ら価値 を認めな いや り方 との対立、最後 に、世代 を超えて現われ る女性 の 問題 、 これ らで ある。

テ ーマ高齢 者 の間の差異 本書 の全体 を通 した主要なテーマのひ とつは、増 え続 ける高齢人 口にお け る差 異 を政策 の うえで認 め る ことで あ る。高齢男性 と高齢女性 との差異 は、政策決定 の うえで と りわ け重要である。両性 に中立的である と見倣 され る諸政策 は、実の ところ女性 に差別的 で ある。第六章では、社会保障政策が高齢男性の 仕 事 と婚 姻 経 験 を特 別 視 す る傾 向 を もつ ことか ら、高齢女性の貧困化 に与 して いる ことについて 述べ る。 同 じよ うに、人種 と民族 、年齢お よび家 族状態 のよ うな諸要 因にかかわ る高齢女性間の差 異 も、認めな けれ ばな らな い。

高齢者 を均一 の集 団 と見 る傾 向 は、高齢女性 に とって特 に有害である。彼女たちは、高齢化の ご く普通 のパ ター ンと考 え られ組立て られた政策 の 枠外 に しば しば放 り出 され る。た とえば、高齢 の ア メ リカ人の多 くが結婚 し、貧困基準 を上 まわ る 所得 を得 て いる ことは、た しかで ある。 しか し、

すべての高齢者が、 これ にあては まるわ けではな く、殊 に女性 に とってそ のよ うにいえな い こと は、 た しか で ある。高齢 の既婚女性 (65歳 以上)

は、第二章の人 口学的な概観 に述べ るよ うに同 じ 高齢 の既婚 男性 よ りもは るか に少 な い。 前者 は、

後者 の77%に対 して42%である (199o年)。 両者 の格差 は、年齢階層 の上昇 とともに広 がる。75歳 以 上の高齢女性 のわずか に26%が既婚 で あるの に 対 して 同 じ年齢 階 層 の男 性 とな る と70%であ る

(1990年)。

い くつかの章では、高齢女性 の直面す る経済問 題 の原 因 と将来的な変化 の見通 しにつ いて検 討す

る。経 済 上 のか な りの差異 が 、 同 じ高齢 女性 と いって も人種や民族 に応 じて存在す る ことも、述 べ られ る。黒 人の高齢女性 が貧 困 に陥 る比率 は、

第七章 に示 され るよ うに自人の高齢女性 の三倍 に のぼる。高齢期の貧困は、既婚状態 とも密接 につ なが りを もつ。一人暮 らしの黒 人 の高齢女性 の60

%は、第七章における動か しがたい数値 に示 され るよ うに貧困に陥っている。 この数値 は、 自人の 夫 婦 世帯 の貧 困比率で あ る4%と対 照 的 で あ る。

同 じ高齢者 とはいって も、性 、年齢 、民族および 生活 上の地位 によって実 に様々な経済状態が現わ れ る。

女性 は、加齢 につれて夫 と一緒 に生活す る比率 も低下す る。女性の相対的 に長 い寿命、典型的な 結婚年齢 のパ ター ン、高 い離婚率、 これ らすべて が、高齢女性の一人暮 らしとな って現われ る。 さ らに、老齢退職 と年金政策 は、既婚者 と高齢の男 性 によ り有利な諸条件 を用意す る。 高齢女性 が一 人 と り残 されて貧困 に陥 った時で さえ、社会 は、

彼女 を悲劇的で はあるが単な る事故 の当事者 とし て扱 い続 ける。高齢女性の貧困化 は、 ことばの上 で は両性 に中立的であ りなが ら、実 の ところ男性 の典型的な生活パ ター ンをもとに設計 され、 この ため女性 を不利 にす る一連の労働、老齢退職 、保 健および家庭での介護 の基準や政策 か ら生 まれ る べ くして うまれた結果である。

高齢者 の性 と生活上の地位 による経済的な差異 は、意義深 い改革のな されな いかぎ り引き続 き存 在す るばか りか、将来的 には さ らに広 が りさえす るで あろ う。 あ る研 究 は、次 の ことばで結 ばれ る。「一 人暮 らしの高齢女性 と他 のすべての高齢 者 との隔た りは、将来的 に これ といった手 さえ打 たれ な い とな る と、次 の30年間 に広 が るで あ ろ .高齢 のアメ リカ人の中での貧 困は、2020年 ま で に主 と して一人暮 らしの女性 に限 られ るであろ う」(連邦基金委員会 、1987年)。

高齢者の中での健康状態 の差異 も、重要である。

高齢 のアメ リカ人の中での健康 状態 の差異 は、第 四 章 にお いて 「死 の直 前 まで健康 で あ り続 ける 人 々が増 える とともに、長期 にわた って重度 の機 能障害 を抱える人々 も増 えるで あろ う」 と分析 さ れ るよ うに、 ます ます はっき りと言明 され る。 こ の差異は、第五章 にお いて強調 され るよ うに高齢 化社会 の効果的な保健政策 を立案す る上 に決定的

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とも言 えるほ ど重要である。予防保健計画が、健 康 に生活す る年数 の延長 として効果 的 に実 を結ぶ ため には、第五章の筆者が述べ るよ うに障害の高 い危険 を抱 えた利用者の多 くを計画の対象外 に取 り残す よ うであ って はな らな い。機能障害 を抱え るか ど うか の確 率 上 の差 異 は、社 会経 済 的 な地 位 、性 、人種 と民族お よび年齢 な どの要 因 としば

しば符合す る。

ここでの実際上の政策問題 は、危険度の大 きい 人 々の参 加 を認 めて金 銭 の支 出 を行 な う ことに よって、予防計画 の費用効果 を取 り戻 し、 さらに 高め る ことにある。 しか し、高齢女性 の中での差 異 は、保健政策 にお いて しば しば無視 され る。65

‑74歳層 の黒 人 女 性 の心 臓 疾 患 によ る死 亡 は 、 第五章の筆者 の指摘す る ところによ る と同一年齢 階層 にあ る 自人女性 の ほぼ三 倍 で あ る。 しか し、

黒 人女性 を、心臓疾患 の危険度 の特 に高 い集 団 と 同一視す るわ けにいかな い。65歳 以 上の女性 の心 臓疾患 の危 険 因子 を減 らすための効果 的な予防法 につ いて、 これ といった研究 はな い。心臓疾患 の 予防研究は、わずかな例外を除 くともっぱ ら若い 男性に焦点をあてたものである。

テーマ高齢者介護 について高 まる需要 と諸 結果、本書で くり返 し扱 う二つ 目のテーマは、そ の多 くが障害を持つゆえに介護を必要 とする後期 高齢者の増加 と、 これにともなう社会的な変化の 広が りである。高齢者介護の高まる要因は、職場 と公共政策に変更のないかぎり、女性の労働力率 と抵触 して、女性の経済的地位の向上を遅 らせる とともに、多 くの女性 とその家族の生活をさらに むずか しくする。高齢者介護への需要は、女性ヘ の影響を通 して保健の利用 と財政、労働力の生産 性および児童の福祉にも波及する。高齢者介護ヘ の高まる需要は、高齢女性に続 く世代の経済的な 悲惨 さにもつ らなる。中年女性は、障害をもつ高 齢の親戚の介護をひとたび引き受けると所得、健 康保険お よび年金の権利 を犠牲 にせ ざるをえな い。第二章の執筆者たちが、これ らの問題を立ち 入って分析する。 しか し、高齢者介護への需要の 高まりとその影響は、あまりに広い範囲に亘るこ とか ら、本書のすべての章が、 この大きな社会的 なす う勢の諸側面を扱 う。

テーマ介護 と社会的な価値 論 じられはじ めたテーマのひとつは、女性の担 う介護や養育を 社会的に認知する立場 と、そ うした接近方法を認 めない見地 との衝突である。介護は、第3章で指 摘 され るよ うに軽侮 を以 つて とらえ られ、経済 的にはこれ といった価値 をもたないと考え続けら れている。介護の価値を社会的に認知するかどう かは、介護労働の有償労働と無償労働 とへの配分 とは別の問題であ り、女性のお こなう選択 と就業 期に直面する障害に影響する。

高齢化社会に高い生活水準を維持するうえでの 焦点のひとつは、多 くの章において示唆するよう に「介護の道義」の再評価 とこれにそう支援の拡 大であろう。 この道義は、第六章の筆者たちによ る高齢女性へのイ ンタビューでの観察 によると、

諸個人の交わ りと相互依存の感知か ら生まれる。

しか し、20世 紀に女性の手にした社会的政治的な 進歩は、広 くいえば彼女たちの自律性の拡大の認 知をもとにする。養育に対するわれわれの社会の 相対立する態度についていうと、高齢女性の社会 的な役割 を拡 げようとするな らば、第8章の筆者 が主張するように彼女たちの伝統的な養育役割の もつ重要な貢献を認めなければな らない。われわ れは、介護を生産的な労働 と見るのであろうか。

女性を伝統的な役割か ら自由にする道は、新 しい 役割の付加あるいは古 くか らの伝統的な役割の再 評価 もしくはその両者によるのであろうか。社会 の認める優先順位は、この問題についてどのよう であろうか。

高齢化社会は、性による平等と介護の道義の双 方を促進する方策 を見つけなければな らない。問 題は、どんな風に進めるかである。いくつかの接 近方法が、以下の各章において提案され示唆され る。それ らは、少年と成人男性における養育的な 態度の育成および相互依存関係の自覚、家族によ る介護に寛容な企業風土への転換、有償でおこな われる介護労働の条件の改善、介護の両性への平 等な再分配、無償の介護労働に対する経済的な補 償 とその引上げ、これ らを含む。

これ らは、いずれも解決の容易でない大きな問 題である。本書の各章では、それ らの接近方法が 女性への高齢化の影響と社会的な諸結果 によって

どのように左右されるかについて、指摘する。

(5)

テ ーマ世代 を超 える問題 本 書で く り返 し 扱 われ る第4のテーマ は、女性 の独 自の位 置 、す なわち女性が世代 にまたがる問題 を抱 える一家族 の介護者 として個人的 に、 また生涯 におよぶ経済 問題 に直面す る集 団 と して社会的 に一位 置 にある ことで ある。高齢化社会 における女性の状態 につ いて検討す る場合、 いつ とはな しに忘れ去 られが ちな ことが ある。それ は、二世代以上 にわた る争 い こそ資源 をめ ぐる衝突の最たる ものである、 と い う考 えである。体 の弱 い高齢者 と子供の双方 の 主な介護者 は、なん といって も女子である。高齢 の独身女性 と若 い未婚 の母親が、貧困者の中で不 つ りあ いな ほ ど多 い こと も、 これ また事 実 で あ る。子供 と高齢者への関心 は、家族 による介護 を 支援 し女 性 の経 済 的 な地 位 を改 善 す るた め の労 働 、教育お よび保健政策 にお いて重 な りあ う。 さ らに、子 供 の不 遇 な 状態 は、 高齢 者 へ の所 得 と サー ビスの不 当な までの移転の結果 だ とい う見方 もあ る。 この見方 は、高齢者 を豊か もしくは少な くとも安定 した人 口層だ とする一般的な受 け止め 方 を、 ある程度 よ りどころにす る。高齢女性 の経 済的な障害 は、 と りわ け一人暮 しの高齢女性 と有 色 の高齢女性 の場合 に これ まで と同 じく避 けて通 るわ けにいかな い。高齢者 を豊かな人 口層 とす る さきの見方 は、 このよ うに考 える と支持す るわ け にいかな い。

高齢化社会の女性のための政策上の優先性

人口の高齢化は、高齢者の直面する諸問題や介 護者への関心を高めるとともに、高齢者のための 政策の具体化の可能性を広げつつある。危惧 され るのは、諸々の改革が第八章の筆者によって指摘 されるように断片的で、問題のうわっつ らをなで た程度のものであ り、また、短い間に放棄 される 類のものに終始 して、結局のところ基本的な問題 が解決されないままになるのではないか、という ことである。

しか し、多 くの章で提案される大胆で基本的な 政策上の変更は、成 しとげにくいこともた しかで ある。諸改革のうちのいくつかには、相当の政治 的な対立 もある。他の改革 も、費用をだれが負担 するかについて激 しいや り取 りがある。本書の主 な 目的は、高齢化が女性にもたらす複雑多岐な諸

結果 を包括 的 に分析す る とともに、幅広 い政策 上 の改革 を促す視角か ら諸結果 を定義づ けることで ある。本書 のめざす ところは、過去 に暗示 された 諸改革 に新 しい考 えを盛 り込 む とともに、古 くか らの問題 に新 しい視角か ら迫 る ことによって、創 造 的な解 決 を提言す る ことにある。

本書 の挑戦 は、高齢女性 の差別 を ともなわな い 高齢化社会へ の統合、職場 に働 く女性 のための真 の平等、老齢退職制度 の拡充 と公平性 の確保 、効 果 的で十分な ロングタームケアの提供、高齢 人 口 の もつか けがえのな い能力の活用、 これ らを内容 にす る新 しい政策的な こころみ を示す ことになろ う。 このため には、次 の ことを しっか りと記憶 し ておかな けれ ばな らな いであろう。すなわち、高 齢化 のす う勢 は、女性 の変化 しつつ ある役割 と交 差す る ことで ある。 これ は、家族休暇 と医療休暇 の法制化 をは じめ従業員老齢退職計画 の立案 、国 民健康保 険計画 の検 討、年金 と老齢退職計画 の決 定 にまたが る多方面 の政策決定 に意味 を もつ.

高齢化 のす う勢 に関す る多 くの見通 しは、高齢 化 の長期 にお よぶ動向 につ いて強調 し、高齢化 の ピー クを21世紀 の 中葉 に迎 え る と推 測 す る。 こ の見通 しは、政策的な対応 の緊急性 を説 く議論 に 水 をさす き らいが ある。 しか し、女性へ の影響 に つ いて分析す る本書は、人 口の高齢化 の諸結果が 今 日す で に広 く現 われ 、 しか も、今後 のlo‑20

年 間 にいよ いよ広 が るであろ うことにつ いて強調 す る。

高齢者介護 に対す る需要 の増大 は、特 に殆 どの 女 性 が有 給 の労 働 力 と して就 業 して い る時 代 に あって、介護 の社会的な扱 いにひそ む矛盾 を露呈 させ るで あろ う。女性が介護の役割 を期待 され る 一方で、 ほかな らぬ介護の価値 を貶 しめる経済制 度 の中で不利 な立場 に置かれ るのは、彼女たちに とって 明 らか に不公 平で あ る。 しか し、 これ と いった改善 さえ も、最近 まで この矛盾 を正すため にな されなか った ことか ら、広 い範囲の社会問題 を生 ん で い る。 本書 か ら発せ られ る主要 な メ ッ セー ジにつ いて いえば、扶養家族 による介護 を過 度 に追 い求 め る ことは、それが有償 で あれ無償 の 仕事で あれ 自己矛盾で あ り、不公平で効果 に も乏 しいとい う考 え方である。女性 と家族、労働生産 性への有害な影響 は、すで に現われて いる。 これ らの影響 は、高齢化のす う勢が進み、 しかるべき

(6)

対応 もな され な いな らば、間 を置かず にひ どくな る。

本書 の章別 の構成

本書 の第 一章は、高齢化 に向けアメ リカ合衆国 の女性 につ いて 、そ の人 口学 上 の概 観 をお こな う。介護政策 の中心 問題 につ いての章である。

2章は、統計的な資料 を提供 して、のちの諸 章 にお け る多彩 な議論 のための素材 を用意す る。

この章の 目的 は、増加す る高齢人 口とりわ け高齢 女性 の特徴 とその変化 につ いて吟味す る ことであ る。介護 の需要 に影響 をお よぼす身体 な どの障害 や依存 の動向 につ いて議論す るとともに、若 い女 性 の教育お よび就業の動 き一 人 口の高齢化が彼女 たちの生活 に及 ぼす影 響 をある程度決める一 につ いて も検討す る。高齢化社会 の多様性 とその増大 につ いて、一貫 して強調す る。

3章は、障害 をもつ高齢者の増加 をきっかけ にす る扶養家族 の介護危機 につ いて検討す る。 こ れ は、本書の主要なテー マであ り、 さまざまな文 脈 の中で く り返 し取 り上 げ られ る。 この章は、介 護問題 につ いて広 く全国民的な視野か らの接近 を 試みなが ら、今 日的な政策 の もつ基本的な性格 を 描 き出す。基本的な政策 目標が提示 され、吟味 さ れ る。

続 く2つの章は、保健 と女性 の健康 につ いて扱 う。第4章は、ア メ リカ にお いて もっとも緊急 を 要す る保健政策 問題 の い くつか につ いて、新 しい 視角か ら検 討す る。筆者たちは、メデ ィケアの費 用 をは じめ保健分野 の労働 力不足、民間保険 に加 入 しな い人 々へ の健康 保 険 の適 用 お よび ロ ング タームケアの メデ ィケイ ドか らの除外な どの問題 を検討 しなが ら、保健 の消費者であ り、かつ また 提供者で もある女性 の二重の役割 について分析す る。

5章は、高齢女性 むけの予防サー ビスの発展 に影響す る経済な らびに保健政策 につ いて分析す .この章 は、高齢人 口の増 え続 ける中で、よ り 大 きな予防上の努 力に金銭 をさかな い場合 を想定 して、高齢女性 と社会 にもた らされ るであろ う諸 結果 につ いて分析す る。

続 く3つの章は、高齢女性 の社会的経済的な地 位―就業 と老齢退職 の経験 、人種 による差異、彼

女たちの社会 的な役割 を拡張す る必要― につ いて 扱 う。第6章は、女性 の労働 力率の上昇 と人 口の 高齢化 に焦点 を絞 って分析す る。対象 に した集 団 につ いての調査は、 これ までほとん ど手つかずで あった少数民族 の高齢女性の労働 力化 につ いての 見取 り図を提供す る。高齢女性 の次の世代のため の就業 と老齢退職 の改善 にむけた政策が、提示 さ れ る。

7章は、少数民族 に属す る高齢女性の経済的 な地位 につ いて詳 しく検討す る。 この章は、有色 の高齢女性 にお ける経済的な格差 を生活の地位 と 年齢別 に分析 し、あわせて少数民族の女性の収入 源 と彼女 たち に多 い貧困 との関連 につ いて研 究 し なが ら、将来的 に変化 の期待 され る領域 につ いて 検討す る。

8章は、高齢女性 の社会的な排除をもた らす 多 くの要 因につ いて分析す る。 この章は、社会的 な変化 につ いて実際的な研究方法 を取 り、 これ ま で多 くの高齢女性 に ごくわずか しか認め られて こ なか った役割 を拡げるための具体的な提案 を示す。

最後 の2つの章 は、8章までの議論 の哲学的か つ政策的な意味 につ いて扱 う。第9章は、高齢者 介護への高 まる需要 につ いて取 り上 げ、 これ まで の と ころ女性 にもっぱ ら負わ されてきた介護 を男 性 に も分担 させ るな らば―政策上の改革 に組み込 まれての ことであるが一両性の平等 を確保す る こ とになろ う、 と述べ る。

第 lo章 は、高齢化 の女性へ の影 響 と この影響 を通 して の人的資本問題への波及 につ いて扱 い、

一連 の政策上の前提 を描 き出す。

参考文献

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1018.Washington,D.C.:U.S.Government

Printing Ofrlce.

参照

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21 いかと推測する。

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