神戸市 の応急仮設住宅解 消期 におけ る住環境管理 の課題
高 橋 和 雄 *・藤 田 高 英 **
Ma na ge me nta ndSe r vi c eo fLi vi ngEnvi r o nme ntf o rVi c t i ms o fRo beCi t ya tLi q ui da t i o nSt a ge
by
Ka z u oTAKAHAS HI *a n dTa k a h i d eFUJ I TA**
Thi sr es e ar c hs t udi e spr o bl e msofl i vi nge nvi r onme nto fvi c t i msofRo be c i t ya f t e rGr e a tHa ns hi n‑
Awa j iEar t hqua ke.Count e m e a s ur e sofl i vi nge nvi r o nme nto ft e mpo r a r ydwe l l i ngsa tl i qui da t i ons t a ge madebyl oc a lgo ve r nme nt sar ei nve s t i gat e dbyne ws pape r sandi nt e r v ie ws . Thepr es e nts i t ua t i onsof vi c t i msandr e c ons t r uc t i onofl i vi nge nvi r o nme nta r es ho wna nds omes ugge s t i onsa r epr e s e nt e d.
1.まえがき
阪神 ・淡路大震災の被災地神戸市 において,行赦 は 平成
1
1年3
月を 目途 に応急仮設住宅の解 消を 目指 し, 恒久住宅への移転 ・促進 プログラムに沿 って,被災者 に対す る住宅の斡旋や災害復興住宅の建設 ,公営住宅, 民 間賃貸住 宅 の供 給 な どさまざまな対 策 を行 って いる。 その結果 ,平成
1
1年3
月末現在 で神戸市応急仮設 住宅入居 は約3, 6 0 0
世 帯 とな り, ピー ク時の約1 2%
と な ったが,長引 く不況の影響 もあ り,約3 2 0
世帯 の応 急仮設住宅入居者 は,移転先 が決 まっていない。そ こ で,本研究では,平成1
1年3
月末現在の応急仮設住宅 の現状 についての把握 と残 されてい る入居者 に対す る 住環境管理の課題 をヒア リング調査や神戸市提供資料 お よび新聞の報道記事 を も とに分析す る。2.
平成t
O年 における応急仮設住宅 を巡 る動 き 図‑ 1
は文献1
) に引 き続 き,平成1
0年 お よび平成1
1年3
月 までの応急仮設住宅 に関す る行政の対応 と生 活上 の問題 を神戸新聞の報道記事 を もとにま とめた も のであ る。1
月〜 6
月は応急仮設住宅入居者 に対 す る 災害復興住宅再募集や入居者の移転先の 目標設定 に加 え,災害復興公営住宅の建設 が相次 ぎ,応急仮設住宅 入居者 に対す る恒久住宅のあ っせんが進 んだ こ とな どか ら,移転先の 目処が立 った入居者 が増 加 した こと。
さ らに兵庫県が
5
月に実施 した 「一時入居」制度 によ って,移転先 に 目処のついた応急仮設住宅の入居者 に 紘,災害復興公営住宅の完成 を待たず に,民間賃貸住 宅な どに公営住宅 と同程度の家賃で一時入居す る とい う選択 が可能 にな った こ とか ら, とりあえず応急仮設f■入■暮.■t先★毛にElrtt CtL入朕への書斤示i由ヒ)
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図‑
1
平成10年および平成1
1年3月までの応急仮設 住宅に関する行政の対応 と生活上の間者 平成1
1年4
月2 3
日受理*社会開発工学科
( De pa r t me nto fCi vi lEng ine e r i ng)
**大学院修士課程社会開発工学専攻
( Gr adua t eSt ude nt ,De pa r t me ntofCi vi lEngi ne e r i ng)
2 9 0
高橋 和雄 ・藤 田 高英住宅か ら移転することがで きるようになった入居者が 増加 した こtとな どか ら,恒久住宅への移行が本格化 し, 応急仮設住宅の入居者はピーク時の平成7年11月に比 べ
5 0%
を切 る状況になってきた。7
月〜1 2
月には復興住宅の入居が進む一方,応急仮 設住宅入居者の約 2千世帯は 目途が立たないため,兵 庫県は応急仮設住宅入居期限を半年延長 し,車成11年3
月末 まで とす ると同時に災害復興・(賃貸)住宅特別 あっせん登録募集,持ち家再建待故老等支援制度や, 特別あっせん登録募集,神戸市営 ・県営住宅入居者募 集な どに加えて,被災者 自立支援金支給 を応急仮設住 宅入居者 に前倒 しす るな どの対策 を行 っている。こうした対策によ り,公営住宅の当選や 自宅の再建 による入居者の退去が進む一方で応急仮設住宅田地 に 高齢者な どが取 り残 され,過疎化,高齢化によるコミ
ュニティの崩壊が深刻な問題 になってきた。
平成11年 に入ってからは応急仮設住宅の入居者が 5 千世帯 を切 った ものの平成11年
3
月までに全ての応急 仮設住宅入居者の転出は困難 とされ,神戸市は応急仮 設住宅の入居期限を一律延長ではな く,個別に延長す ることとし,最終期限を平成11年6
月まで とした。3.
応急仮設住宅の入居状況平成
8
年5
月か らの神戸市内の応急仮設住宅の入居 世帯数を図‑2
に示す。応急仮設住宅の入居世帯数は 平成1 0
年3
月か らの減少が著 しく,平成11年3
月現在 での応急仮設住宅の入居世帯数 は約3, 6 00
世帯 とな っ てお り,ピー ク時である平成7
年1 2
月の約3
万1 , 0 00
世帯 と比べ,約1 2%
までに減少を示 している。また, 図の ように郊外の応急仮設住宅入居世帯の減少が 目立 つ。次に,平成
8
年1 0
月か ら平成1
0年1 0
月までの入居世 帯数 に占める高齢者世帯数の割合の推移を表‑
tに示 す。全体的に見 る と高齢者世帯の割合は平成
7
年度の国 勢調査による神戸市の平均1 3. 5 %
と比べて2
倍以上の3 0‑4 0%
台 となってお り,応急仮設住宅入居者における高齢者世帯の割合は増加の傾向にある といえる。
また,神戸市内の応急仮設住宅の入居率の推移 を図
‑3
に示す。応急仮設住宅の入居率は入居世帯数の場 合 とは逆 に,東灘〜須磨 旧市街地 ,その他市街地,そ の他郊外の順で高 く,順位は変わ らないが,その差は 月ご とに増加 してお り,平成8
年5
月時点では3
地区 ともに9 0%
近 くの入居率だったのに対 し,平成11
年1
月時点では,東灘〜須磨 旧市街地,その他市街地の入 居率,約2 0‑2 5 %
に比べ,その他郊外では入居率は的義‑1 入居世帯数 に占め る高齢者世帯数の推移 区
H 8
年1 0
月H 9
年1 0
月H1 0
年1 0
月 東 灘42. 6 % 4 5. 7% 4 6. 0%
#
41 . 4 41 . 6 3 7. 4
中 央2 9. 5 3 0. 4 3 3. 0
兵 庫4 0. 2 4 0. 8 4 3. 1
北2 0. 9 21 二 3 21. 5
須 磨
4 0. 1 4 0. 4 3 7. 8
垂 水31 . 9 32. 1 2 4. 6
西33. 8 3 7. 0 4 2. 5
*平成
7
年度 国勢調査に よる神戸市の高齢化率は1 3 . 5 %
世帯鼓(戸)
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2
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居 事
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.(n □雛 鋤 軸 ■80
70605
040
30 20 10 0
■ モ+ モ鵬 雛 は.棚 職 柑XL m t
ltIIILLllLnqロトCB.Oく▼〉ItI▼ヽ‑ .7‑tqr.'■Lr)tOト ■)OO.▼‑I一〇1‑01r)■寸LE7‑8トtOdC一〇lr tヽ亡り
軸 由 葦醜 さ 要望至喪 重要空重無 芸≡≡………≡≡≡皇e g;≡;
コ=;⊂コ亡
※ ポー トアイラン ド,六甲アイラン ド,北須磨,垂水区 図‑ 3 神戸市の応急仮設住宅入居率の推移
1 0%
と,その差 は2
倍近 くにな っている。 この こ とか ら,市街地の応急仮設住宅入居者の移転 が遅れてい る ことが示 され る。次 に,応急仮設住宅における単身世帯の割合 を図 ‑
4
に示す。平成7
年度の国勢調査 に よる神戸市の単身 世帯の平均2 6. 9 %
と比較 す る と,応急仮設住宅の入居 世帯 では,その2
倍程度 と元 々高 かったが, この割合 は増加 してい る。 この ような ことか ら,応急仮設住宅 か ら恒 久住宅へ移転 が加速 す るにつれて,単身世帯者 が取 り残 されている といえる。 また,高齢者の単身世 帯の場合はやや増加債 向にあ るが,大 きな変化はないといえる。
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50
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図
‑4
応急仮設住宅入居者 に占め る単身者世帯の 割合の推移4.
応急仮設住宅団地解消の現状平成11年3月末時点で神戸市の応急仮設住宅団地の うち
5 4
団地 ,約2, 5 7
2戸 ではで既 に団地単位 で撤去 さ れている。 これ らの団地は1‑ 3
棟 といった小規模 な 応急仮設住宅団地であ る。 これに対 し,3 0‑4 0
棟 の規 模の ものは表‑2
に示す ように東灘区 ・六 甲ア イラン ド第4,第 5応急仮設住宅団地および西区 ・西神工業 団地応急仮設住宅団地 といった民有地 に建設 された応 急仮設住宅団地 であ り,用地返還 が急 がれ るために入 居者 を別の応急仮設住宅団地 への転居 な どを行い,撤 去 が進 んでいる状況であ る。 ところで,今回,提供 さ れた応急仮設住宅の一部 にはハ ウスメー カーに よるも のや,輸入品の ものがあ り,それ らは基礎 の工事 を し っか りと行 えば,そのまま恒久住宅 としての利用が可 能 とされ るもの もあ った。 しか し,それ らを解体 し, 移設 す る際 には新 築 の7
割 もの コス トが かか る こ と や,海外 に運ぶ場合は運送費 が高 くつ くことな どか ら, 今回,提供 された応急仮設住宅の再利用は困難であ ると考 え られ る。
表
‑2
民間事業者等 か ら用地の提供 を受けている 応急仮設団地 とその戸数地 区 団 地 名 戸 数
東 灘 区 ●六 甲ア イラン ド第
4 2 8 6
●六 甲ア イラン ド第
5 2 6 0
灘 区 ◎灘南
1 5 8
中 央 区 ◎ポー トア イラン ド第
3 1 3 0
北 区 ●有野大谷
1 8
●北神戸第
8 1 6
●菖蒲が丘第
1 71
●藤原台第
6 21 0
☆北神戸第 1
2 61
☆北神戸第
2 1 6 0
☆北神戸第
3 7 5
☆北神戸第
4 2 5 9
☆北神戸第
5 41 6
☆北神戸第
6 3 7 0
☆北神戸第
7 1 3 9
☆千代が谷 (一部)
2 8 2
☆藤原台第
1 4 0
☆藤原台第
2 25 6
第 磨 区 ●友が丘
6 0
◎艦取
42
垂 水 区 ●旭 が丘
9 6
●塩屋 山手
1 6
☆学 園藤 が丘
1 0 0
☆新多聞第
1 21 1
☆新多聞第
2 1 31
☆新多聞第
3 2 7 8
☆学 が丘
1 2 3
西 区 ●西神工業団地
3 95
●西神南第
4 1 5 6
●室谷第
2 75 0
●室谷第
3 5 0 0
● :民間事業者所有地
◎ :日本国有鉄道清算事業団所有地
☆ :住宅 ・都市車備公団所有地
5.
恒久住宅移行期 における行政の支援策4)平成
1 0
年度中の応急仮設住宅の解消を 目指 して,秤 戸市 は従来 の恒 久住 宅確保 の ため支援 体制 を強化 し た。 これによ り,恒久住宅供給の量的 ・質的な 目標は はば達成 された。 しか し,震災前の居住地 に任みたい とい う被災者の強い要望や,家賃な どの経費の負担の 問題 が依然 として残 されてお り,応急仮設住宅の恒久 住宅化 を避けたい行政 は,大胆な移行 プログラムを作 成 して解消の 目途 を立 てた。具体的 には神戸市生活再 建本部 の仮設住宅担 当を地区担 当に再編 し,各区 との 連携 を強め,恒久住宅確保の支援 をす るため,地区担2 9 2
高橋 和雄 ・藤 田 高英当制を実施 した。 さらに,入居斡旋,相談枚能,恒久 住宅移行策の立案お よび調査壊能 を持ち,かつ各区 と も連携 してセン ターの機能 を果す入居促進センターを 設置 し, きめの細かい対策を実施 している。
神戸市生活再建本部の担当者 に よれば,被災者の住 みたい地区,建物の様式な どの要望はすべて満たす こ とは不可能であるが,情報の不足 と思い込みによる誤 解をしている入居者が多 く,情報の適切な提供 と相談 で打開で きる場合がある という。 したがって, より多 くの情報 の提供 と理解 を求め る体制 を図 った といえ る。
この ような支援体制の強化の下で,公営住宅応募支 援 として,募集説明および相談会の実施,戸別訪問に よる申込み指導,市営住宅バス見学会の実施,市外, 県外避難者への説明会な どに加えて,個別斡旋の徹底, また,郊外の公営住宅に暫定的に入居 し,将来市街地 への住み替 えが可能 になる制度 として民間賃貸住宅家 賃負担軽減の制度期間延長などの拡充 な どが検討 され
た 。
これまでの阪神 ・淡路大震災の住宅復旧で導入され た住 まいの復興プラン, 自宅再建支援策に加 えて,公 営住宅入居待横着支援事業,持ち家再建待枚者支援制 皮,な どの支援事業が導入された。
この うち,民間賃貸住宅負担軽減事業は被災市民の 家賃の初期負担を軽減す ることによって,その生活基 盤の早期再建 を図ることを 目的 としている。家賃軽減 対象者は,一定の基準 を満たす民間賃貸住宅等に入居 している低所得者であ り,復興基金の利子補給 を受け ていない者,県外避難所の場合には,県内に帰 る意志 があることな どの条件がある。 また,事業期間は平成
1 2
年度末まで としてお り,平成1 2
年度は補助対象期間 とな り,助成内容の変化がある。助成内容は家賃6
万 円以上の場合が3
万円 ×入居月数, 6
万円未満の場合 は家賃の1/ 2
×入居月数 (なお,補助対象期間では それぞれ半分の助成 とな る。) として お り2) 8),入 居者 に とって,かな りの負担軽減につながるもの と考 え られる。また,公営住宅入居待棟者支援事業は応急仮設住宅 入居者で公営住宅の完成待ちを している世帯の うち, 一時的な入居のための民間賃貸住宅を自ら確保で きな い者に対 して,兵庫県住宅公社が民間賃貸住宅を借 り 上げ,公営住宅 と同程度の家賃 となるよう,家賃の補 助を行 うものである。事業期間は災害復興公営住宅へ の入居が可能 になるまでの間で,最長,平成
1 2
年度末 まで としている。助成内容は兵庫県住宅供給公社 に入 居待枚月数 ×月額7
万円を補助するとともに,移転 に伴 う費用 として
, 6
万円 (平均)を支払 うとい うもの であ る2)。 これに よ り,家賃 に対 して不安 を持 って いる公営住宅完成待ちの入居世帯は,かな り円滑に移 行で きる状況になっている といえる。この ように,一般的な対策 から個 々の状態 に応 じた 支援事業制度が導入され 応急仮設住宅か らの移転を 促進す る制度が導入されている。 さらに,引 っ越 しボ ランテ ィアの活動,生活福祉資金 (転宅費)特別貸付 な ども行われている。
6.
恒久住宅移行期における応急仮設住宅入居者支援 恒久住宅への移行が本格化す るに伴い,応急仮設住 宅団地では過疎化が進み,また,単身者世帯や高齢者 世帯が残 される状況になっている。 コミュニテ ィを支 えた活力のある層が去 った後の過渡期 における,応急 仮設住宅 コミュニテ ィの横能の保持が必要 となる。 こ れに対 して,神戸市では,む しろ入居者 自身の 自立を 促す ことに力を入れてお り,生活支援ア ドバ イザーや 生活復興相談員な どの訪問活動 と,ボランテ ィア,ケー スワーカー,保健婦,生活相談員な どが横断的に, よ り的確 に支援 を行 う体制を取 った 4)。また,アルコー ル疾患を有するもの,心身障害者,痴呆性高齢者な ど の 自立困難者が応急仮設住宅に取 り残 されてお り, こ れ らに対する緊急対策 として,ケア施設の優先入所な どを行い,長期化対策 として,各種ケア施設の整備な どが必要である。 この ように高齢者 と低所得層,自立 困難者が災害弱者 として応急仮設住宅に多 く残 されて いる現状 をふまえ,今後の復興に際 し, これ らの人 々 を復興か ら取 り残 さないような支援が残 された課葛 と いえる。7
.応急仮設住宅か ら公営住宅へ移転後の支援策 恒久住宅移転後 も生活再建支援が福祉サービスおよ び健康づ くりの観点か ら必要である。神戸市では各区 役所に設置 された恒久住宅生活支援プロジ ェク トチー ムが個別,具体的 に支援す る体制 を作 っている。具体 的には,区役所 ご とに,区市民部,保健部,福祉部の 各課が連携 し, 自治会,保健婦,民生委員,ボランテ ィア,ケースワーカー,ホームヘルパーなどとともに チーム として被災者支援,問題解決に取 り組む体制で あ る4)。被 災者への支援 は,当面 は阪神 ・淡路大震 災か ら導入された支援制度で行われるが,期限 があ り, 期限後は神戸市や兵庫県の負担 となって くる。そのた め, これ らの制度 を維持す るために地域経済の活性化 が重要 になって くる。神戸市は港湾整備な どハー ド面 の復旧については 目標 を達成 したが,貨物な どのソフト面 の回復 は震 災前 の
7
割 か ら8
割程 度 とな った ままで あ る。大 阪港 な ど周辺 の港 に移 っ た貨物 は戻 って くる可能性 は少 な い と見 られ て い る。 コンベ ンシ ョンや観光 客誘致 な どの ソフ ト産業 を主体 として発 展 して きた神戸 市 としては,神戸空 港 の建設 に よる集約 的労働 の確保 や完 成後 の集客 を 目指 して い る。8.
応急仮設 住宅 入居者 の現 状平成11年3月末現在 で応 急仮設 住 宅 の入居 世 帯
3,548
世 帯 の 内訳 を調 べ る と,公 営 住 宅 入居 待 ち2,581世帯( 80. 4% )
,公営 住宅 未決 定 世 帯 [斡 旋 登 録 者 ]1 39
世 帯( 3.9% )
, 自 宅再 建 ・民 間賃 貸 そ の他558世 帯( 15. 7% )
とな って い る 4)。 公 営 住 宅 未 決 定 世 帯 は , 神戸市生 活再建 本部 に よる と,特定 の 団地 , 新 築, 3DK
な どの さまざ まな条件 を要 求 す るため に移転 先 が決 ま らない入居者 が含 まれ て い る とみ な されてい る。 また, 自宅再建 ・ 民 間賃貸 その他 の世 帯 の 内訳 は,過 去 の状 況 か らこの世帯 数 は さ らに,3
分 の 1ず つに分 類 す る こ とがで きる と神戸市 生活再建 本部 で はみて お り, それぞれ, 自宅再建 ・民 間賃貸 等 への移転世 帯 ,公営住 宅 の あ っせ ん登録 を して いな い世帯 ,それ と,既 に転 出 して い る に もかかわ らず応 急仮設 住 宅の鍵 を返却 して いな い,いわゆ る入居 実態 の な い世帯 であ る。この ため,実際 に恒 久住 宅 を確保 しなければ な らない世 帯数 は,平成11年
3
月末現在 でみ る と,公営住宅 の あ っせ ん登録 して い る公営 住 宅 未 決 定 世 帯 数139
世 帯 と, あ っせ ん登 錠 して いな い と予 想 され る自宅再建 ・民 間賃 貸 その 他 の世 帯 数 の うち ,1/ 3の324
世 帯 を 足 した496世 帯 とみ られ る。 また ,公 営 住 宅 階層 の未 登尊者 は公営住 宅 の家 賃 が支払 えな い低所 得者 層 で あ る とされて い る。神戸市 では応急仮設 住 宅 の使 用期限 を平 成 11年
3
月末 として い るが,公営住 宅 の完成 が 追 いつ かな いため ,使用 期 限後 も公営住 宅 入 居 待 ち世 帯 ,約3,400
世 帯 が残 る見通 しで あ る。 このため ,公営 住 宅 の完成 まで を移 行期 限 として平成11年6月末 までは個 々の事情 に 応 じて,応急仮設 住 宅 の一部 使用 許可 を出 し て い く方針 であ る。 こ う した状 況 の原 因 は, 応急 仮設 住 宅 か らの移転 が予 想 以上 に進 ん だ こ とが挙 げ られ , また,応急仮設 住宅 の解 消秦 ‑ 3
応急仮設 住 宅 入居者 に対 す るヒア リン グ調 査 の結果《平成
1 0
年 10月≫住 宅 名 協力者 内 容
西区西神第
7 6 0
代女性 ・景気が悪 く,仕事がうまくいかないの で休んでいるo(宝飾店をされていた 方 )‑
1 , 0 6 0
戸あった入居者は30 0
戸ほどにな つてしまったo・空 き室が目立つようになってきて,局 辺には雑草が生えてきたo
一般
2K
型 ・市街地まで往復2, 0 0 0
円ほどかかるの( 1 2 0
棟1 , 0 6 0
戸 で,あまり行かな くなった○を建設) ・自治会の催 し物 も参加者がだいぶ減 り,高齢者ばかりになってきたo
・収入が少ないので,公営住宅にしか移 れないo
・若い人たちは,家を再建 した り,公営 住宅に当選 した りして早 くから出てい つたo
北 区藤原台第
7
‑般
( 2 2
棟lK 1 9 2
型を建設)戸7 0
代女性 ・住民の多 くが,高齢者 と子 どもを持つ 女性o・昼間は若い人が働 きに市街地に行 くの で,仮設は高齢者ばかりになるo 一市街地までほ遠いので,出かけること
が少ない○
・自治会長が役所などによく行 くため, 不在なことが多 く,人手が足 りない○
そのため住民誰 もが自治会長になるO
・空 き屋が増え,雑草がかなり目立って きた。
・最近,近 くに住んでいた男性の孤独死 が起 きたo
・殺風景なので,自分の家の前に花を植
《平成11年
1
月≫住 宅 名 協力者 内 容
西区西神第
7 6 0
代女性 ・高齢者優先で復興住宅に入居できるの は,いまは良いが数10年後高齢化が進 む恐れがあ り,心配.年齢構成のバラ ソスが必要○6 0
代女性 ・既 に公営住宅に住んでいる入居者か一般
2K型
ら,自分達が自力で頑張ってきている( 1 2 0
棟1 , 0 6 0
戸 間,仮設住宅で楽をしてきて,今頃移 を建設) つて来るのか,といわれ,周囲 とうまくやっていけないという話を聞 く○
7 0
代女性 ー仮設住宅の敷地に廃車が放置されてい るのが目立ってきた○6 0
代女性 ・ふれあいセンタ‑が開銀されている仮 設住宅団地 もある。住民同士の交流の 場であるから,最後まで存続すべきo#区#南
一般
( 1 7
棟2K 1 5
型8
を建設)戸7 0
代男性 ・公営住宅に 1番で当たったのはみんな 金持ちで,貧乏人は5, 6
回応募 しても駄 目o
6 0
代男性 ・かかりつけの病院で透析を受けているから,その病院の近 くの公営住宅が当 るまで待ったo4 0
代女性 ・子供の学校の近 くの公営住宅に入居を2 9 4
高橋 和雄 ・藤 田 高英図
‑5
ヒア リング調査 を行 った応急仮設住宅田地 の位置(平成1
0
年10
月および平成11
年1
月)の 目途がついて きた状況 にある。 この ような公営住宅 未決定者の大幅な減少で,平成11年
4
月か ら6月まで の応急仮設住宅の個別延長以後,何世帯が残 るか不明 であるが,個別な相談 ・対応が可能な段階 となってい る といえる。9.
現地 ヒ7 リング調査の結果平成1
0
年10
月お よび平成11
年1
月に神戸市内の応急 仮設住宅団地を訪問 してヒア リング調査 を実施 した。ヒア リング調査の内容は,恒久住宅への移行について, 目処の有無や,現在の生活や恒久住宅に対する問葛 お よび応急仮設住宅の反省材料な どとした。図
‑5
にヒ ア リング調査 を実施 した応急仮設住宅の位置を示す。また,ヒア リング調査か ら得 られた結果 を
表‑3
に示 す。このヒア リング調査 によれば,応急仮設住宅か ら公 営住宅に移行で きない理 由 として次の ような ことが ら が挙げ られている。
(1) 経済的な間額
・家賃を支払 っていける目途が立たない。
・失業中や不景気のため商売が うま くいかない。
(2) 地理的な問穎
・子供の学校近 くの公営住宅に当た らない。
・かか りつけの病院近 くの公営住宅に当 らない。
(3) コミュニティの問題
・既 に公営住宅に入居 している自力再建の人達 との 交流 に自信がない。
公営住宅入居待ちの居住者 も,「住んでみない とわ か らない」 といった ものや,「災害復興住宅な どでは
高齢者 を優先的に入居 させているが,数10年後,高齢 者ばか りになるのが心配。あ る程度の年齢構成のバ ラ ンス も必要 と思 う。」 とい う声 が聞かれた。 また,応 急仮設住宅の コミュニテ ィの現状 については,平成1
0
年1 0
月に行 ったヒア リング調査 か らは,「若い人達は, 自宅再建や公営住宅に当選 した りして,早 くか ら応急 仮設住宅を出て行 った。最近では高齢者ばか りにな り,自治会の催 し物の参加者が減 り,淋 し くなった」な ど 過疎化,高齢化 を心配する声 も聞かれた。
平成1
1
年1
月では,西区 といった郊外の大規模な応 急仮設住宅団地では入居 している応急仮設住宅は1
棟 あた り0‑ 2
戸程度だが,応急仮設住宅の解体は本格 的 に始 まっていないこと。 また,応急仮設住宅団地内 に自動車の廃棄が 目立ち,ごみ置場にな っていること な ど,応急仮設住宅団地の管理状況が悪 くなっている ところが見受け られ, この ような状況に対す る苦情の 声 も聞かれた。1 0.
行政に対するヒア リング調査応急仮設住宅の解消期に,応急仮設住宅を管理する 神戸市生活再建本部の担当者 に応急仮設住宅の解消, 公営住宅への移行,今後のあ り方な どについてヒア リ ングを行い,以下の ような結果を得た。
(1) 応急仮設住宅の解消は復興のシンボルであるため に,早期解消を 目指 した施策 を導入 した。その結果, 応急仮設住宅入居者の移転先は,ほぼ 目途がつ きつ つあ り,個別の事情 を聞 きなが らの対応にな りつつ あ る。
(2)応急仮設住宅入居者分の公営住宅は十分確保 され ているが,立地 についての課額が残 されている。
(3)公営住宅の場所,家賃な どについて被災者の要求 とずれがあって,対応困難な状況が残 されている。
(4)応急仮設住宅の解体は,民有地で返却 を急 く・場所 にあ る団地では一部なされているが,まだ本格的な 解体は始まっていない。過疎化 した団地が多いが, 自主的な集約,住み替 えな どへの働 きは特に行 って いない。
(5)公園な どの公共の場に建設 されている応急仮設住 宅の撤去が急務 となっている占本来の使用がで きず 周辺住民か ら苦情がでている。
(6)被災者用の公営住宅の入居者は高齢者 ・低所得者 の割合が高いので,家賃低減化対策が導入 されてい るが,この制度の実施期間は
5
年間の期限がある。そのため,期限後 も継続 して行 うための財源をいか に確保す るかが大問題であ り,神戸市 としては神戸 空 港の建設な どによるコンベンシ ョンによる活性化
を 目指 している。
(7) 市街地 に応急仮設住宅を建設 す るこ とは無理 では ないが,かえって恒久住宅のための土地 が不足 し再 建 が遅 れ る。 また , 自力仮設住 宅 は,1戸 当た り
5 0 0
万円程度 かかるため,容易ではない し, 1, 2
年 で撤去 しな くてほな らない ものに,それだけ投資で きる とも思 えない。( 8 )
応急仮設住宅の恒久住宅化 お よび輸 出な どは,解 体費お よび輸送費 か ら実現す るのは困難であ る。( 9 )
大都市での大規模災害では生活の再建 には義援金 だけでは困難で,国の支援 が必要 であ る。( 1 0 )
個人の住宅再建 のためには,公的資金導入のため 土地区画整理事業の手法 を取 らざるを得ないので はないか。とい った こ とが聞かれ,都心部 におけ る震 災時の住 宅対策は今までの手法だけでは困難 であ ることがわか った。
ll.まとめ
本研究で明 らか となった神戸市の応急仮設住宅の現 状 と応急仮設住宅解消期 におけ る住環境管理 の課題 に ついてま とめ る と以下の ようになる。
(1) 神戸市では応急仮設住宅入居者 に対 し, さまざま な支援策を行 った結果,応急仮設住宅入居者はピー ク時の約
1 2 %
とな り,個別の対応 が可能 にな った。( 2 )
神戸市では応急仮設住宅の集約化な どは行 ってお らず,解消するこ とを最優先課題 としてい る。(3) 応急仮設住宅入居者の転 出の増加に伴い,応急仮 設住宅団地 では,単身者世帯や高齢者世帯 といった 弱者の 占め る割合が増加 してお り,恒久住宅の確保 とともに,恒久住宅で 自立 した生活 がで きる支援 が 必要 であ る。
(4) 生活再建 には義援金だけでは困難であるこ とや, 公営住宅の立地 に関す る問題な ど都市部 におけ る震 災時の住宅対策は従前の手法だけでは困難 であ るた め,今回導 入された住環境対策 は十分調査 してお く こ とが課題であ る。
最後 に本研究にあた り,資料の提供, ヒア リング調 査等 に協 力 して頂 いた神戸市職員 お よび仮設住宅入居 者 に感謝す る。
参 考 文 献
1
)中村百合 ・高橋和雄 :阪神 ・淡路大震災におけ る 応急 仮設 住 宅の長 期使用 に伴 う住環境 問題 につい て,第5 3
回土木学会年次学術講演会概要集,第 Ⅳ部,pp.1 0 8
‑1 0 9,1 9 9 8・ 1 0
2)高橋正幸 :応急仮設住宅の現状 と生活再建,都市 政策 ,第