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水鳥自動監視システムの可用性および計数精度の向上

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,202027

水鳥自動監視システムの可用性および計数精度の向上

環境資源学専攻 地域環境学講座 生態環境物理学 安部 晋吾

1.はじめに

マガン(Anser albifrons)は冬季に日本へ渡来する水鳥である。近年,その飛来数が急激に増加し,

中継・越冬地での湖沼の富栄養化や食害の問題が懸念されている。中継・越冬地では,継続的な個 体群動態監視が行われてきたが,人手不足やコストの問題により継続が危ぶまれている。これを補 うものとして,我々の研究グループでは,ネットワークカメラと画像処理を用いた水鳥自動監視シ ステムの開発を進めている。この試験運用の過程で,稼働の安定性と操作性,画像処理による個体 数計数の精度に問題があった。そこで,本研究では,そのシステムの可用性と計数精度の向上を目 的として,システム制御用プログラムと画像処理による計数法の改良を行った。

2.方法

システム制御用プログラムにカメラ動作信号の確認を追加し,稼働の安定性を高めた。加えて,

操作性や利便性向上のために,稼働状況のメール通知機能,複数の予約撮影機能を付加した。それ らの改良の有効性を確認するため,宮島沼(北海道)と内沼(宮城県)に既に設置されているシス テムを用いて試験を行った。計数法の精度向上を目的として,サポートベクターマシン(SVM)に よるマガン候補画像領域の判別を実施した。既に得られている画像群から判別対象の画像領域を切 り出し,データセットを作成した。使用する特徴量を変えた複数の判別器を作成した上で,交差検 証によりそれらの判別器の判別精度を評価した。これらのうち最も高い精度が得られた判別器を,

これまでの画像処理の計数ワークフローに組み込むこととした。その計数法を用いて,2秒間隔の 計数,観測日ごとの日総計数を求めた。その際,2017年から2018年の宮島沼と内沼でのシステム の試験運用時に得られている静止画像データを用いた。ポイントセンサスで得られている計数デー タを真値として,それらの精度を評価した。

3.結果と考察

制御用プログラムを改良した結果,稼働安定性,予約による連続撮影などの利便性を高めること に成功した。複数のSVM判別器の精度を比較した結果,対象画像領域と前フレーム同領域の輝度 情報,対象領域のグレースケール画像の局所勾配を特徴量として作成した判別器の精度が,89.5 と最も高い値を示し,これらの特徴量がマガン判別に有効であるとわかった。この判別器を組み込 んだ計数ワークフローを用いて,観測日ごとの日総計数を求めた。その結果,誤差は観測日でばら つき,10000 を超える日もあった。この原因を調べるために,2 秒間隔で得られた計数の時間変化 を調べ,あわせて目視により画像を確認した。その結果,マガンの上空旋回,湖沼からの飛び立ち によって計数結果が多くなっていることがわかった。このほか,照度の低い場合に,画像のマガン が不鮮明となることで過小評価されていることもわかった。

4.まとめ

制御用プログラムの改良により稼働性と利便性は向上した。SVM を用いることで画像領域単位 での判別精度は向上した。しかし,日総計数は,マガンの旋回や飛び立ちの影響を受けて,誤差が 生じた。今後は,その影響を取り除くアルゴリズムの検討が必要である。

参照

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