• 検索結果がありません。

通院医療の実態を把握するための体制構築に関する研究   

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "通院医療の実態を把握するための体制構築に関する研究   "

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

‑ 83 ‑   

令和元年度厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業(精神障害分野) ) 

医療観察法の制度対象者の治療・支援体制の整備のための研究  分担研究報告書 

 

通院医療の実態を把握するための体制構築に関する研究   

研究分担者  大鶴  卓      国立病院機構琉球病院   

研究要旨: 

本研究は通院処遇の実態を安定的かつ継続的に把握・検証することで医療水準を向上させること を目的とした通院データベースシステム構築に関する提言を行うことを目指し研究を進めた。 

令和元年度は通院医療機関の医療状況調査と対象者の予後調査を開始した。その結果、医療状況 の実態を把握するための調査では、637 施設にアンケート調査を行い 459 施設から回収(回収率 72%)できた一方、対象者の予後調査の回収率は、現在推定される通院対象者数の 17%に止まっ た。今後予後調査の回収率を上げることが課題としてあげられ、そのために調査方法、調査内容を 再検討するとともに、被験者要因への対策、研究協力施設の絞り込みなどがあげられた。 

医療状況の実態としては、回収できた施設の中で対象者を受けたことがある施設は 392 施設

(85%)あり、そのうち 9 割の施設が平成 30 年 7 月 16 日から令和元年 7 月 15 日の期間内に対象者 を 1 名〜3 名受入れていることがわかった。また 226 施設が複雑事例「あり」と回答した。 

対象者の予後の実態としては、今回得られたサンプルの特徴として、予後が比較的安定している 群と考えられた。一方、複雑事例の実態は把握できていない。 

今後は本研究を継続しつつ、回収数を上げ、通院データベースシステム構築に向けて必要な課題 を抽出していく。 

 

研 究 協 力 者 ( 順 不 同 、 敬 称 略 )  

久 保 彩 子     国 立 病 院 機 構   琉 球 病 院   前 上 里 泰 史   同 上  

知 花 浩 也     同 上    

高 尾   碧     島 根 県 立 こ こ ろ の 医 療 セ ン タ ー    

野 木   渡     浜 寺 病 院   櫻 木 章 司     桜 木 病 院  

小 澤 篤 嗣     神 奈 川 県 立 精 神 医 療 セ ン   タ ー  

長 谷 川 直 実   大 通 公 園 メ ン タ ル ク リ ニ  

ッ ク  

  平 林 直 次     国 立 精 神 ・ 神 経 医 療 研 究 セ ン タ ー 病 院  

  竹 田 康 二     同 上  

  河 野 稔 明     国 立 精 神 ・ 神 経 医 療 研 究 セ ン タ ー 精 神 保 健 研 究 所    

A . 研 究 目 的  

医 療 観 察 法 が 施 行 さ れ 14 年 が 経 過 し 、医

療 観 察 法 医 療 の 実 態 を 安 定 的 か つ 定 期 的 に

実 態 把 握 す る た め に 、平 成 27 年 度 か ら 医 療

(2)

‑ 84 ‑  観 察 法 重 度 精 神 疾 患 標 準 的 治 療 法 確 立 事 業

( 入 院 デ ー タ ベ ー ス 事 業 ) が 始 ま り 、 全 国 の 指 定 入 院 医 療 機 関 の ネ ッ ト ワ ー ク を 通 じ て 収 集 さ れ た デ ー タ を 分 析 し 、 入 院 処 遇 の 実 態 把 握 が 可 能 と な っ た 。 し か し 、 通 院 処 遇 に お い て は 、 入 院 処 遇 の よ う な デ ー タ ベ ー ス 事 業 は 行 わ れ て お ら ず 、 研 究 班 に よ る 実 態 調 査 に 頼 っ て い る た め 、 通 院 医 療 の 実 態 が 継 続 的 に 把 握 で き ず 、 通 院 医 療 の 効 果 を 検 証 で き て い な い 課 題 が あ る 。  

本 研 究 は 通 院 医 療 の 実 態 を 安 定 的 か つ 継 続 的 に 把 握 ・ 検 証 す る こ と で 医 療 水 準 を 向 上 さ せ る 通 院 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム 構 築 に 関 す る 提 言 を 行 う こ と を 目 的 と す る 。  

平 成 30 年 度 は 大 鶴 分 担 班 会 議 等 で 通 院 医 療 に 携 わ る 各 種 医 療 関 係 の 団 体 や 協 会 の 関 係 者 か ら の 意 見 聴 取 を も と に 、 通 院 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム 案 を 作 成 し 、 通 院 医 療 の 実 態 を 把 握 す る た め の 調 査 内 容 ・ 項 目 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 収 集 項 目 は 必 要 か つ 最 低 限 に す る こ と 、 通 院 処 遇 で 使 用 し て い る 通 院 評 価 シ ー ト と 連 動 す る 、 の 2 点 に 集 約 さ れ た 。  

平 成 31 年 度 は 全 国 の 指 定 通 院 医 療 機 関 に 医 療 状 況 及 び 通 院 対 象 者 の 予 後 の 実 態 把 握 を 試 み る と と も に デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム 構 築 に 向 け た 課 題 を 抽 出 す る こ と を 目 的 と す る 。  

 

B . 研 究 方 法   1. 調 査 対 象  

  令 和 元 度 の 研 究 は 2 つ の 調 査 か ら 成 り 立 つ 。  

一 つ 目 の 調 査 は 通 院 医 療 状 況 調 査 ( 以 下 一 次 調 査 )、二 つ 目 の 調 査 は 、通 院 対 象 者 の 予 後 調 査 ( 以 下 二 次 調 査 ) で あ る 。  

一 次 調 査 は 、 平 成 31 年 4 月 1 日 時 点 で 通 院 指 定 を 受 け て い る 全 国 の 指 定 通 院 医 療 機 関 637 施 設 を 対 象 と し た 。  

二 次 調 査 は 、 一 次 調 査 に 回 答 し た 施 設 の 中 で 、 平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 期 間 内 に 通 院 対 象 者 が お り 、二 次 調 査 に 研 究 協 力 い た だ け る 施 設 か つ 対 象 者 の 研 究 同 意 が 得 ら れ た 者 を 調 査 対 象 と し た

( 図 1)。な お 、研 究 協 力 者 か ら 対 象 者 に 直 接 文 書 を 用 い て 趣 旨 を 説 明 し 、 本 人 か ら 文 書 に て 同 意 を 得 た 。  

 

2. デ ー タ 収 集 方 法  

一 次 調 査 は 、 通 院 医 療 状 況 に 関 す る ア ン ケ ー ト( 表 1)を 郵 送 で 配 布 し 、通 院 医 療 を 担 っ て い る 担 当 者 ( 主 に 精 神 保 健 福 祉 士 ) に 記 入 を 依 頼 し 、 郵 送 に て 回 収 す る 。  

二 次 調 査 は 、通 院 医 療 予 後 シ ー ト( 表 2)

を 郵 送 で 配 布 し 、 対 象 者 の 担 当 チ ー ム ス タ ッ フ に 記 入 を 依 頼 し た 。 な お 、 共 通 評 価 項 目 の 評 定 は 、 毎 月 作 成 し て い る 通 院 医 療 評 価 シ ー ト の 直 近 の 評 定 を 転 記 し た 。 ま た 、 対 象 者 が 特 定 さ れ な い よ う に 各 施 設 の 研 究 協 力 者 は 、 対 象 者 の 氏 名 を 削 除 し 、 匿 名 化 し た う え で 記 入 し た 予 後 調 査 シ ー ト を レ タ ー パ ッ ク

@

に よ っ て 回 収 し た 。  

 

3. 調 査 期 間  

  令 和 元 年 度 か ら 調 査 を 開 始 し 、 令 和 7 年 7 月 15 日 ま で と し 、年 に 1 回 調 査 対 象 施 設 へ ア ン ケ ー ト を 送 付 し 、 回 収 す る 。    

4. 調 査 内 容  

  一 次 調 査 で は 、 以 下 の 情 報 を 収 集 し た 。 

・ 通 院 指 定 を 受 け た 時 か ら 現 在 ま で の 対 象 者 受 入 れ の 有 無  

・ 平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 期 間 内 の 対 象 者 の 有 無  

・ 通 院 対 象 者 受 入 れ 上 限 の 有 無 、 人 数  

・ 業 務 の 負 担 、 内 容  

・ 複 雑 事 例 の 有 無 、 内 容  

・ 対 象 者 の 予 後 調 査 協 力 の 可 否  

(3)

‑ 85 ‑   

二 次 調 査 で は 、 平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 期 間 内 の 対 象 者 の 情 報 に つ い て 以 下 の 通 り 収 集 し た 。  

・ 性 別  

・ 年 齢  

・ 医 療 観 察 法 処 遇 回 数  

・ 通 院 処 遇 形 態  

・ 通 院 処 遇 開 始 年 月 日  

・ 対 象 行 為  

・主 診 断 、副 診 断( 国 際 疾 病 分 類 ICD‑10)  

・ 保 護 観 察 所  

・ 処 遇 状 況 ( 通 院 継 続 ・ 終 了 ・ 処 遇 終 了 年 月 日 ・ 処 遇 終 了 し た 理 由 ・ 処 遇 終 了 時 点 の 対 象 者 の 状 況 )  

・ 対 象 行 為 の 有 無 、 内 容  

・ 自 殺 企 図 の 有 無 、 内 容  

・ 問 題 行 動 の 有 無 、 内 容  

・ ク ロ ザ ピ ン 使 用 の 有 無  

・ 持 続 性 注 射 薬 使 用 の 有 無  

・ ア ル コ ー ル の 使 用 の 有 無 、 内 容  

・ 薬 物 等 の 問 題 使 用 の 有 無 、 内 容  

・ 精 神 保 健 福 祉 法 に よ る 入 院 の 有 無 、 期 間 、 入 院 形 態  

・ 就 労 の 有 無 、 雇 用 形 態  

・ 生 計  

・ 居 住 形 態  

・ 精 神 保 健 福 祉 サ ー ビ ス の 利 用 の 有 無  

・ 直 近 共 通 評 価 項 目 の 評 定  

・ 記 載 に 要 し た 時 間    

5 . 解 析 方 法   収 集 さ れ た デ ー タ の 集 計 値 を 提 示 す る 。  

 

6. 倫 理 的 配 慮  

本 研 究 は 、 琉 球 病 院 臨 床 研 究 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 認 お よ び 日 本 精 神 科 病 院 協 会 倫 理 会 議 審 査 の 承 認 を 得 た う え で 実 施 し た 。      

C . 研 究 結 果  

1. 一 次 調 査 ( 表 3)  

  637 施 設 に 一 次 調 査 ア ン ケ ー ト を 送 付 し 回 収 で き た の は 459 施 設( 72% )で あ っ た 。 そ の う ち 通 院 指 定 を 受 け て 現 在 ま で 対 象 者 を 受 入 れ た こ と の あ る 施 設 は 392 施 設 ( 病 院 355、診 療 所 37)、受 入 れ た こ と の な い 施 設 は 67 施 設 ( 病 院 60、 診 療 所 7) で あ っ た 。  

  平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 期 間 内 に 対 象 者 を 受 入 れ て い る 施 設 は 、 304 施 設 あ り 、 対 象 者 1 名 を 受 入 れ て い る 施 設 は 155 施 設 、 2 名 受 入 れ て い る 施 設 が 79 施 設 、 3 名 受 入 れ て い る 施 設 が 40 施 設 あ り 、 受 入 れ 人 数 が 3 名 以 下 の 施 設 が 9 割 で あ っ た 。  

  対 象 者 受 入 れ の 業 務 負 担 に 関 し て 、「( 負 担 だ と ) か な り 思 う 」 18% 、「 思 う 」 59% 、

「 ど ち ら で も な い 17% 」、 「 あ ま り 思 わ な い 」 5% 、 「 思 わ な い 」1% と な り 、 「 か な り 思 う 」 と「 思 う 」を 合 わ せ 77% と な っ た 。負 担 に な っ て い る 業 務 は 、「 毎 月 の 提 出 書 類 」 が 32% と 最 も 高 く 、 次 い で 「 ケ ア 会 議 参 加 」 18% 、「 対 象 者 受 入 れ 準 備 」 17% で あ っ た 。    処 遇 中 の 事 例 に 複 雑 事 例 の 有 無 に つ い て は 、「 あ り 」 が 226 施 設 、「 な し 」 が 163 施 設 あ っ た 。複 雑 事 例 の 内 容 に つ い て 、 「 病 状 が 安 定 し な い 」87 件 は 最 も 多 く 、次 い で「 医 療 へ の 不 順 守 」72 件 、 「 精 神 保 健 福 祉 法( 以 下 P 法 )入 院 を 繰 り 返 す 、ま た は 長 期 入 院 」 62 件 、 「 金 銭 管 理 の 問 題 」52 件 、 「 家 族 の 非 協 力 的 態 度 」49 件 な ど と な っ た 。ま た 、 「 重 大 な 他 害 行 為 」8 件 、 「 他 者 へ の 身 体 的 な 暴 力 」22 件 、 「 他 者 へ の 非 身 体 的 な 暴 力( 暴 言 的 言 動 、態 度 等 )」32 件 あ り 、再 他 害 行 為 お よ び そ れ に 類 す る 問 題 行 動 も 認 め ら れ た 。     二 次 調 査 協 力 に つ い て 、 協 力 の 意 向 を 示 し た 施 設 は 233 施 設 で あ っ た 。  

 

(4)

‑ 86 ‑  2. 二 次 調 査 結 果 ( 表 3、 表 4、 表 5)  

  二 次 調 査 の 協 力 の 意 向 を 示 し た 233 施 設 の う ち 、 平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 期 間 内 に 対 象 者 を 受 入 れ て い る 施 設 は 220 施 設 あ り 、 対 象 者 の 予 後 調 査 シ ー ト を 回 収 で き た サ ン プ ル 数 は 116 で あ っ た 。  

基 本 属 性 に つ い て 、性 別 は 男 性 89 名 、女 性 27 名 、平 均 年 齢 は 48 歳( ±11.6)、医 療 観 察 法 処 遇 形 態 は 、移 行 通 院( 入 院 → 通 院 ) 101 件 、直 接 通 院 14 件 で あ っ た 。対 象 行 為 は 、「 殺 人 ・ 殺 人 未 遂 」 33( 28% )、「 傷 害 」 46( 40% )、 「 放 火 」24 ( 21% )、 「 強 盗 」6 ( 5% )、

「 強 制 わ い せ つ 」 6( 5% )、「 強 制 性 交 等 」 0 で「 傷 害 」 「 放 火 」 「 殺 人・殺 人 未 遂 」の 3 種 類 で 9 割 を 占 め た 。診 断 名 で は 、 「 F2」92 名 、「 F3」 13 名 と 多 数 を 占 め 、「 F0」「 F1」

「 F5」「 F6」「 F8」 は 数 名 で あ っ た 。 令 和 元 年 7 月 15 日 で 処 遇 を 継 続 中 の 者 は 87 名

( 74% )、 処 遇 終 了 し た 者 は 29 名 ( 25% ) で あ っ た 。 処 遇 終 了 し た 者 の 処 遇 終 了 し た 理 由 は 、 「 期 間 満 期 終 了 」21 件 、 「 本 法 に よ る 医 療 が 不 要 」5 件 、 「 再 入 院 」1 件 、 「 そ の 他 」 1 件 で あ っ た 。 処 遇 終 了 し た 時 点 の 対 象 者 の 状 況 に つ い て 、 「 精 神 保 健 福 祉 法 入 院 」 3 件 、 「 精 神 保 健 福 祉 法 通 院 」24 件 で あ っ た 。    平 成 30 年 7 月 16 日 か ら 令 和 元 年 7 月 15 日 の 調 査 期 間 の 処 遇 状 況 に つ い て 、 「 再 他 害 行 為 」1 件( 傷 害 )、 「 自 殺 企 図 」3 件( す べ て 未 遂 )、 「 問 題 行 動 」13 件( 身 体 的 な 暴 力 2 件 、 非 身 体 的 な 暴 力 3 件 、 医 療 の 不 順 守 5 件 、 性 的 逸 脱 行 動 1 件 、 そ の 他 2 件 ) で あ り 、 サ ン プ ル の 約 1 割 に 問 題 行 動 を 認 め た 。 「 ク ロ ザ ピ ン 使 用 」18 件 、 「 持 続 性 注 射 薬 使 用 」 28 件 、「 ア ル コ ー ル の 使 用 」 19 件

( 一 時 使 用 17 件 、有 害 使 用 2 件 )、 「 薬 物 等 の 問 題 使 用 」 3 件 ( 有 害 使 用 3 件 ) で あ っ た 。 調 査 期 間 内 に 精 神 保 健 福 祉 法 入 院 を し た 者 は 26 名 お り 、 1 回 入 院 し た 者 は 26 名

( 医 療 保 護 14 名 、任 意 12 名 )、2 回 入 院 し た 者 は 7 名 ( 医 療 保 護 2 名 、 任 意 5 名 )、 3 回 入 院 し た 者 は 1 名 ( 任 意 入 院 、 4 回 入 院 し た 者 は 1 名 ( 任 意 1 名 ) で サ ン プ ル の 2 割 程 度 に 精 神 保 健 福 祉 法 入 院 が 認 め ら れ た 。 就 労 に つ い て 、 40 名 が 就 労 し 、「 福 祉 的 就 労 A 型 ・ B 型 」 が 30 名 と 最 も 多 く 、「 一 般 正 規 雇 用 」5 名 、 「 障 害 者 枠 正 規 雇 用 」3 名 、

「 パ ー ト 、ア ル バ イ ト 」2 名 で あ っ た 。収 入

( 複 数 回 答 可 )は 、 「 障 害 年 金 」52 件 、 「 生 活 保 護 」 43 件 、「 給 与 等 」 28 件 な ど で あ っ た 。住 居 に つ い て 、 「 単 身 生 活 」32 名 、 「 家 族 同 居 」 28 名 、「 グ ル ー プ ホ ー ム 」 23 名 の 順 に 多 く 、 全 体 の 7 割 を 占 め た 。 精 神 保 健 福 祉 サ ー ビ ス 等 の 利 用 に つ い て ( 複 数 回 答 可 )、「 あ り 」 が 102 名 お り 、 内 訳 は 「 訪 問 看 護 」86 件 、 「 デ イ ケ ア 」50 件 、 「 保 健 所 の 定 期 訪 問 」44 件 の 順 に 多 か っ た 。対 象 者 の ほ と ん ど が さ ま ざ ま な 精 神 保 健 福 祉 サ ー ビ ス を 利 用 し て い る こ と が わ か っ た 。     共 通 評 価 項 目 の 評 定 に つ い て 、 各 項 目 の 平 均 値 を み て み る と 、「 ス ト レ ス 」「 個 人 的 支 援 」 「 内 省・洞 察 」 「 治 療・ケ ア の 継 続 性 」 が 比 較 的 高 く 、 「 性 的 逸 脱 行 動 」 「 自 殺 企 図 」 は 低 か っ た 。 標 準 偏 差 は 「 治 療 ・ ケ ア の 継 続 性 」 「 現 実 的 計 画 」が 高 か っ た 。す べ て に お い て 平 均 値 が 1 点 を 超 え る 項 目 は み ら れ な か っ た 。  

最 後 に 予 後 調 査 シ ー ト の 記 入 時 間 に つ い て 、1 ケ ー ス に つ い て 平 均 17 分 程 度 で 記 載 で き た 一 方 、 問 題 行 動 や 詳 細 な 内 容 の 記 載 が 必 要 な 場 合 、 記 載 時 間 が 大 幅 に 長 く な る 様 子 が う か が わ れ た 。  

  そ の 他 、自 由 記 載 欄 に は 、 「 発 達 障 害 ケ ー

ス で 難 渋 し て い る 」、「 ク ロ ザ ピ ン の 対 象 者

は 特 定 の 医 療 機 関 に 集 中 し て し ま う 」、「 ス

タ ッ フ の 負 担 が 大 き い 。 対 象 者 1 人 に 割 く

時 間 と 労 力 が 大 き い 」、「 処 遇 終 了 後 ど う し

て い け ば い い か 悩 む 」、「 処 遇 終 了 し た 後 、

(5)

‑ 87 ‑  支 援 者 の 引 継 ぎ や 役 割 分 担 が 円 滑 に 行 わ れ ず 、 支 援 が 手 薄 。 病 院 に 丸 投 げ 」、「 入 院 → 通 院 → 処 遇 終 了 ま で シ ー ム レ ス な 移 行 が 行 わ れ て い な い 」、「 入 院 医 療 機 関 か ら の 情 報 と 通 院 開 始 し て か ら わ か り 実 態 が 大 き く 異 な る 。 連 携 の あ り 方 に 苦 慮 し て い る 」、「 医 療 観 察 法 医 療 に つ い て 学 ぶ 機 会 が ほ し い 。   評 価 シ ー ト 等 の 使 用 法 な ど わ か ら な い 」、

「 調 整 官 の 質 担 保 と ス キ ル 均 一 化 、 行 政 職 員 に は 主 体 性 と イ ニ シ ア チ ブ を 取 っ て ほ し い 」、「 9 年 間 対 象 者 受 入 れ の 打 診 が な い 」 な ど 、 多 く の 意 見 が 寄 せ ら れ た 。  

 

D . 考 察  

1. 対 象 調 査 数 及 び 回 収 数  

法 務 省 犯 罪 白 書 よ り 、平 成 26 年 か ら 平 成 30 年 の 5 年 間 の 精 神 保 健 観 察 の 平 均 件 数 は 、 毎 年 650 件 程 度 で 推 移 し て い る 。 こ れ ら を 参 考 に す る と 今 回 二 次 調 査 で 収 集 で き た サ ン プ ル は 、通 院 処 遇 対 象 者 の 17% 程 度 を 調 査 し て い る と 考 え ら れ る 。 一 次 調 査 で は 72% の 回 収 率 が あ っ た 一 方 、二 次 調 査 で は 17% 程 度 の 低 い 水 準 に 止 ま っ た 。ど ち ら も 紙 媒 体 で の ア ン ケ ー ト 調 査 で あ っ た が 、 回 収 率 に 大 き な が 差 が 生 じ た 要 因 と し て 、 調 査 方 法 、 調 査 項 目 数 の 違 い 、 被 験 者 へ の イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト ( 以 下 I.C) の 要 否 な ど が 考 え ら れ る 。 ま た 、 一 次 調 査 に お い て 、 対 象 者 を 受 入 れ た こ と の あ る 施 設 392 施 設 中 226 施 設 が 問 題 行 動 を 含 む 複 雑 事 例 「 あ り 」( 58% ) と 回 答 し て い る 一 方 、 二 次 調 査 で は 問 題 行 動 が 1 割 に し か 認 め ら れ な か っ た 。 こ の こ と か ら 二 次 調 査 で は 、 複 雑 事 例 や 問 題 行 動 の あ る ケ ー ス を 調 査 対 象 に で き な か っ た り 、 調 査 協 力 が 得 ら れ な か っ た こ と が 推 察 さ れ る 。  

今 後 は 二 次 調 査 の 回 収 率 を 上 げ て い く こ と が 課 題 と な る 。 そ の た め に 、 調 査 項 目 の 絞 り 込 み 、 イ ン フ ォ ー ム ド ・ コ ン セ ン ト に

つ い て 研 究 協 力 者 、 被 験 者 の 双 方 に 負 担 に な ら な い よ う な 工 夫 、 ア ン ケ ー ト 回 答 に つ い て 研 究 協 力 者 の 負 担 が で き る 限 り 軽 減 で き る 仕 組 み が 必 要 と 考 え る 。 一 次 調 査 の 回 答 に も あ る 通 り 、 「 毎 月 の 提 出 書 類 」に 3 割 が 負 担 感 を 感 じ て い る た め 、 す で に 行 っ て い る 記 録 作 業 を そ の ま ま 転 記 で き た り 、 自 動 的 に ア ッ プ ロ ー ド で き る よ う な 仕 組 み が あ る こ と が 望 ま し い 。  

ま た 、 600 を 超 え る 通 院 医 療 機 関 や 年 間 600 名 を 超 え る 通 院 処 遇 対 象 者 に 研 究 協 力 を 求 め 、 デ ー タ 回 収 し て い く こ と は 極 め て 困 難 と 思 わ れ 、 母 集 団 の 代 表 制 を 担 保 で き る 回 収 数 を 目 指 し て い く 検 討 も 必 要 と 考 え る 。 そ の 際 は 研 究 協 力 施 設 の 絞 り 込 み を 検 討 し て い く こ と も 必 要 と 思 わ れ る 。    

2. 一 次 調 査  

  通 院 医 療 機 関 の 医 療 状 況 の 実 態 に つ い

て 、平 成 29 年 に 実 施 し た 同 様 の 実 態 調 査 と

比 較 す る と 、 指 定 通 院 医 療 機 関 数 は 563 施

設 か ら 687 施 設 に 増 え た 。 対 象 者 を 受 入 れ

た こ と が な い 施 設 は 前 回 調 査 時 は 9% だ っ

た が 今 回 14% に 若 干 増 え た 。新 た に 通 院 指

定 を 受 け た 医 療 機 関 が 120 施 設 増 え て い る

こ と が 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。  

  対 象 者 受 入 れ 人 数 に つ い て も 、 5 名 以 下

が 最 も 多 く 、 6 名 以 上 受 入 れ て い る 施 設 は

全 体 の 数 % と な る 傾 向 も 前 回 の 調 査 と 同 様

で あ っ た 。 指 定 通 院 医 療 機 関 数 は 増 え て い

る 一 方 で 、 各 機 関 で の 通 院 処 遇 対 象 者 の 臨

床 経 験 の 蓄 積 は 進 ん で い な い と 考 え る 。  

  負 担 に な っ て い る 業 務 に つ い て 、 先 述 し

た 結 果 の 通 り で あ る が 、 自 由 記 載 で 「 通 常

の 他 の 業 務 を 変 わ り は な い 」、「 精 神 保 健 福

祉 士 の 連 携 業 務 と し て 当 然 」 と い う 意 見 も

あ っ た 。 対 象 者 の 受 入 れ に 慣 れ て い る 施 設

と 慣 れ て い な い 施 設 で 負 担 感 に 違 い が 生 じ

た と 考 え ら れ る 。  

(6)

‑ 88 ‑    複 雑 事 例 に つ い て 、 「 病 状 が 安 定 し な い 」、

「 医 療 へ の 不 順 守 」 が 高 か っ た 。 地 域 生 活 に 適 応 し て い く た め に 手 厚 い 介 入 が 継 続 的 に 求 め ら れ て い る と と も に 、 強 制 医 療 下 に お け る 対 象 者 と 医 療 者 の 関 係 構 築 が 課 題 と な っ て い る こ と が 要 因 と し て 考 え ら れ る 。 通 院 処 遇 に お け る 複 雑 事 例 の 実 態 を 把 握 す る と と も に 通 院 処 遇 に お け る 効 果 的 な 介 入 を 検 証 し て い く こ と も 課 題 で あ る 。    

3. 二 次 調 査  

  一 次 調 査 で 把 握 で き た 複 雑 事 例 の 問 題 行 動 件 数 に 比 べ 、 二 次 調 査 で 把 握 で き た 問 題 行 動 の 件 数 の 割 合 は 少 な か っ た こ と か ら 、 二 次 調 査 で 回 収 で き た サ ン プ ル の 特 徴 は 、 通 院 処 遇 中 の 予 後 が 比 較 的 安 定 し て い る 群 で あ る と 考 え ら れ る 。 複 雑 事 例 の 予 後 お よ び 実 態 は 今 回 の 調 査 か ら は 把 握 で き て い な い 。  

  直 接 通 院 事 例 の 予 後 に つ い て は 、 不 明 な 点 が 多 い こ と に 加 え 、 移 行 通 院 に 比 べ 事 例 が 少 な い 。 今 後 は 直 接 通 院 の 事 例 が 集 積 で き る 工 夫 が 求 め ら れ る 。  

  処 遇 状 況 に つ い て は 、 調 査 期 間 中 に 処 遇 終 了 し た 事 例 が 29 事 例 あ っ た 。自 由 記 載 に も あ る 通 り 、 処 遇 終 了 し た 後 の 予 後 で 難 渋 し た り 、 関 係 機 関 間 で コ ン セ ン サ ス を 得 る こ と が 難 し い 現 状 も 散 見 さ れ る 。 処 遇 終 了 し た 対 象 者 の 予 後 調 査 も 重 要 な 課 題 の ひ と つ で あ る 。  

 

E . 結 論  

  本 研 究 は 、 通 院 処 遇 の 実 態 を 安 定 的 か つ 継 続 的 に 把 握 ・ 検 証 す る こ と で 医 療 水 準 を 向 上 さ せ る こ と を 目 的 と し た 通 院 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム 構 築 に 関 す る 提 言 を 行 う こ と を 目 指 し 研 究 を 進 め た 。 平 成 31 年 度 は 通 院 医 療 機 関 の 医 療 状 況 調 査 と 対 象 者 の 予 後 調 査 を 開 始 し た 。 そ の 結 果 、 調 査 方 法 、 調

査 内 容 等 に よ っ て 回 収 率 に 影 響 が 生 じ た 。     今 後 は 回 収 率 を 上 げ る た め に 、 調 査 方 法 、 調 査 内 容 を 再 検 討 し 、 被 験 者 要 因 へ の 対 策 、 研 究 協 力 施 設 の 絞 り 込 み な ど が 課 題 と し て あ げ ら れ た 。  

 

F . 健 康 危 険 情 報     な し  

 

G . 研 究 発 表   1. 論 文 発 表    

な し    

2. 学 会 発 表  

1) 久 保 彩 子 ,  前 上 里 泰 史 ,  吉 田 和 史 ,  大 鶴   卓 ,  野 村 照 幸 ,  高 野 真 弘 ,  高 平 大 悟 :  指 定 通 院 医 療 の さ ら な る 発 展 を 目 指 し た 指 定 通 院 医 療 従 事 者 研 修 の 在 り 方 に つ い て の 検 討 と 考 察 .  第 15 回 日 本 司 法 精 神 医 学 会 大 会 ,  花 巻 ,  2019.6.6 

 

H . 知 的 財 産 権 の 出 願 ・ 登 録 状 況   1. 特 許 取 得  

な し    

2. 実 用 新 案 登 録   な し  

 

3. そ の 他   な し     I. 謝 辞  

本 調 査 に 先 立 ち 、 本 研 究 に 関 し て ご 協 力

を い た だ い た 公 益 社 団 法 人 日 本 精 神 科 病 院

協 会 お よ び 公 益 財 団 法 人 日 本 精 神 神 経 科 診

療 所 協 会 な ら び に 分 担 班 会 議 に て 多 大 な る

ご 助 言 い た だ い た 先 生 方 、 そ し て 調 査 に ご

協 力 い た だ い た 全 国 の 指 定 通 院 医 療 機 関 の

(7)

‑ 89 ‑  施 設 長 、 通 院 医 療 を 担 当 さ れ て い る 精 神 保 健 福 祉 士 の 皆 様 、 通 院 チ ー ム ス タ ッ フ の 皆 様 の ご 協 力 に 深 謝 致 し ま す 。  

 

参 考 文 献  

1) 厚 生 労 働 省:通 院 処 遇 ガ イ ド ラ イ ン 、地 域 処 遇 ガ イ ド ラ イ ン  

2) 厚 生 労 働 省 ホ ー ム ペ ー ジ   心 神 喪 失 者 等 医 療 観 察 法  

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakun itsuite/bunya/hukushi̲kaigo/shougai shahukushi/sinsin/index.html 

3) 平 成 30 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金

( 障 害 者 政 策 総 合 研 究 事 業( 精 神 障 害 分     野 )) 「 医 療 観 察 法 の 制 度 対 象 者 の 治 療・   

支 援 体 制 の 整 備 の た め の 研 究 ( 平 林 直 次 )」   分 担 研 究 報 告 書 「 指 定 通 院 医 療 機 関 退 院 後 の 予 後 に 影 響 を 与 え る 因 子 の 同 定 に 関 す る 研 究 」 竹 田 康 二  

4) 平 成 30 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金

( 障 害 者 政 策 総 合 研 究 事 業( 精 神 障 害 分 野 )). 「 医 療 観 察 法 の 制 度 対 象 者 の 治 療・

支 援 体 制 の 整 備 の た め の 研 究 ( 平 林 直 次 )」 分   担 研 究 報 告 書 「 指 定 入 院 医 療 機 関 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム を 活 用 し た 研 究 」 河 野 稔 明  

5) 平 成 29 年 度 国 立 研 究 開 発 法 人 日 本 医 療 研 究 開 発 機 構 委 託 研 究   長 寿・障 害 総 合 研 究 事 業   障 害 者 対 策 総 合 研 究 開 発 事 業 ( 精 神 障 害 分 野 )「 医 療 観 察 法 に お け る 、新 た な 治 療 介 入 法 や 、行 動 制 御 に 係 る 指 標 の 開 発 等 に 関 す る 研 究 ( 平 林 直 次 )」 研 究 開 発 分 担 報 告 書 「 指 定 通 院 医 療 機 関 の 機 能 分 化 に 関 す る 研 究 」大 鶴 卓   6) 法 務 省 ホ ー ム ペ ー ジ    

令 和 元 年 度 版 犯 罪 白 書  

http://www.moj.go.jp/housouken/hous o̲hakusho2.html 

 

   

(8)

‑ 90 ‑   

   

(9)

‑ 91 ‑   

   

(10)

‑ 92 ‑   

   

(11)

‑ 93 ‑   

   

   

(12)

‑ 94 ‑   

   

(13)

‑ 95 ‑ 

 

参照

関連したドキュメント

Key Words : CIM(Construction Information Modeling),River Project,Model Building Method, Construction Life Cycle Management.

The demand for kimonos has fallen with a more westernized lifestyle, and the industry requires a high value-added strategy and makes kimono more formal, expensive to survive.. But

医療保険制度では,医療の提供に関わる保険給

健学科の基礎を築いた。医療短大部の4年制 大学への昇格は文部省の方針により,医学部

これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア

物語などを読む際には、「構造と内容の把握」、「精査・解釈」に関する指導事項の系統を

Abstract:This research aims to clarify the local governmental restrictions on ball play in urban parks and identify management problems. We sent 399 questionnaires to top 8

本節では本研究で実際にスレッドのトレースを行うた めに用いた Linux ftrace 及び ftrace を利用する Android Systrace について説明する.. 2.1