• 検索結果がありません。

幼稚園前半CS2.indd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "幼稚園前半CS2.indd"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第1節  教育課程編成の基本となる事項

第1 教育目標の設定

 各幼稚園の教育目標は、各年度毎の教育方針や努力目標と異なり、教育的価値が高く、継続的

な実践に耐え得る必要がある。しかも、評価の基準となり得るような具体性を有することも必要

である。したがって、第2章第2節第2に示す手順と留意事項を参照の上、各幼稚園での工夫を

生かして設定していくことが求められる。

 一例として、A~Dの4園の教育目標を示した。A園、B園では、一つの教育目標を設定し、

その後、より具体的な内容を含んだ目標を複数挙げている。C園では、より具体的な内容を含ん

だ目標を複数設定し、各目標の文末には括弧書きで標語的な文言を加えている。D園は、標語的

な3つを提示したのち、それに対応させる形でより具体的な内容を含んだ目標を示している。実

際には、ここに例示した以外にも様々な形が見られる。

第2 教育週数・教育時間の決定

1 教育週数

  各幼稚園において教育課程を編成し実施するに当たっては、学校教育法施行規則第 37 条で、

毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き 39 週を下ってはならないと示されている。

  特別な事情とは、台風、地震、豪雪などの非常変災、その他緊急の出来事や伝染病の流行な

[D園の場合]   あかるく・・明るくすなおで、自信をもって生き生きと自分の思うことを表現する子   なかよく・・よいきまりを身に付け、やさしい心で友達や身近な人々と適切にかかわる子   たくましく・・元気でのびのびと遊び、なにごとも自分の力で意欲的にやろうとする子 [C園の場合]  ○明るくのびのびと行動する中で、心と体の健全な発達を促す(丈夫な体)  ○自分の力で行動することの充実感を味わいながら自分で考え、自分で行動できる態度を身に付けさせる   (自立する心)  ○身近な事象に関心をもたせ、生命を大切にする気持ち、公共心、探究心などを養う(豊かな心) [A園の場合] ○幼児一人一人のよさを生かし、地域で伸び  る子の育成  ・生き生きのびのびした幼児を育てます  ・幼児の思いに寄り添い、よさを生かします  ・地域に開かれた幼稚園になります [B園の場合] 「豊かな心を育てる」 ⑴ 健康で生き生きした子 ⑵ 友達と仲よく遊べる子 ⑶ 感じたこと考えたことをのびのびと表現できる子 ⑷ 自然に親しみ進んで物事に取り組む子

(2)

   [教育週数の算出の仕方]

  ・1週を月曜日から金曜日までの5日間とする。

  ・月曜日から金曜日までの教育を行う週において、週の途中に休業日(祝日、開園記念日

   等)が入る場合であっても1週と数える。

  ・学期の始めと終わりが週の途中である場合については日数で数え、各学期の総数に週を換

算する。この場合の祝日等は、日数に加える。

    例えば、月曜日から金曜日まで教育を行う週が年間 37 週であり、学期の始めと終わり

を週数に換算すると2週と2日になった場合、37 週+2週と2日= 39 週と2日になる。

端数の2日は切り捨てずに教育を行う。

2 教育時間

  1日の教育時間については、幼稚園教育要領により、幼児の幼稚園における教育時間の妥当

性及び家庭や地域における生活の重要性を考慮して4時間を標準とすることと示されている。

  各幼稚園においては、幼児の年齢や教育経験などによる心身の発達の程度や季節などを踏ま

え適切な教育時間を定める必要がある。この場合、保育所の整備が進んでいない地域において

は、幼稚園の実態に応じて弾力的な対応を図ることが必要である。

  このように4時間を標準としてそれぞれの幼稚園において定められた教育時間については、

登園時刻から降園時刻までが、教育課程に基づく教育が行われる時間となる。

第3 ねらい・内容の組織

 教育目標の達成を目指し、幼稚園の教育年限における幼児の「発達の過程」を長期的な視野で

とらえることが必要である。さらに、発達の過程を踏まえ、具体的な「ねらい」「内容」を組織

することとなる。その際には、表記する形式の工夫も必要である。

1 「幼稚園や地域の実態」に即したねらい・内容の組織

  幼稚園教育要領解説では、幼稚園や地域の実態について次のように解説している。

  上記の諸条件は、幼稚園ごとに全て異なり、一様ではない。したがって、各園で編成される

教育課程も、創意工夫が生かされ特色あるものでなければならない。各幼稚園においては、地

域や幼稚園の実態及び幼児の心身の発達など、教育課程編成のための基礎資料を整理しておく

ことが必要である。

2 「幼稚園教育の基本」を踏まえたねらい・内容の組織

  幼稚園教育の基本、特に総合的な指導については、次のように示されている。

○ 幼稚園の実態とは:・幼稚園規模

       ・教職員の状況(特に、教職員の構成)

       ・施設設備の状況(特に、遊具や用具の整備状況)など

○ 地域の実態とは :・都市,農村,山村など生活条件や環境

       ・文化などの特色

       ・地域資源-社会教育施設(幼稚園・保育所・小学校、図書館など)

      -人材(幼稚園の教育活動に協力することのできる人)

○ 幼稚園において,地域や幼稚園の実態及び幼児の心身の発達を十分に踏まえ,創意工夫

を生かし特色あるものとすることが大切である。

[幼稚園教育要領解説:第1章第2節 : 1教育課程の基本⑵]

(3)

  幼稚園教育要領に示された「ねらい」や「内容」をそのまま教育課程における具体的な指導

のねらいや内容とすることは適切ではない。また、発達の時期にふさわしい具体的なねらい・

内容を組織する際には、各領域のねらい・内容のすべてを視野に入れるとともに、各領域のね

らいが総合的に達成されるよう領域相互の関連を考慮することが必要である。これらの点を十

分に理解して教育課程の編成に取り組むことが重要である。

  また、表す形式についても各園での工夫が必要である。

第2節   教育課程編成に当たって留意すべき事項

第1 幼稚園教育要領の改訂を踏まえた編成例

 第2章の「編成の手順」で示したように、各園で設定した教育目標を達成するために、幼児の

発達の過程を見通し、その発達の過程を基に具体的なねらい・内容を組織することになる。

 ここでは、幼稚園教育要領の改訂により、特に重点の置かれた項目について、具体的にどのよ

うに教育課程を編成していくか、編成の仕方を例示する。例示の見方は以下の通りである。

1 幼稚園教育要領及び解説の記述

  まず、幼稚園教育要領及び解説における関連の記述を資料として示す。第1章、第2章にお

いて、既に繰り返し述べたように、幼稚園の教育課程は、教育基本法、学校教育法及び同法施

行規則、幼稚園教育要領等の関連法令を踏まえなければならず、特に具体的なねらい・内容を

組織し編成するに当たっては、教育課程の基準とされている幼稚園教育要領を十分に理解して

おく必要がある。

2 幼児の具体的な姿とその読みとりの例

  次に、幼稚園教育要領及び解説の記述を踏まえながら、幼稚園生活の中でとらえた具体的な

幼児の姿と、その姿を教師がどのように読みとったかについて、一例を示す。このような姿の

読みとりの積み重ねが、発達の過程をとらえることにつながる。

3 教育課程の例

  発達の過程:具体的な姿を基に、(教育年限全体を見通した)長期的な視点でとらえた

        幼児の発達の節目や特性

  ねらい:発達の過程を基に、その時期にふさわしいととらえ、組織したねらい

  入園から修了までを見通して発達の過程をとらえ、ねらい・内容を組織することが教育課程

の編成であるが、ここでは例として、教育課程の一部分をそれぞれ示している。

 なお、例示した幼児の発達の過程や具体的なねらい等は、その時期の幼児の標準的な育ちを示

達成されるようにすること。

[幼稚園教育要領:総則]

○ 幼稚園教育要領に示されている「ねらい」や「内容」をそのまま教育課程における具体

的な指導のねらいや内容とするのではなく,幼児の発達の各時期に展開される生活に応じ

て適切に具体化したねらいや内容を設定する必要がある。 

[解説:第1章第2節 : 2教育課程の編成⑵]

○ 発達の各時期にふさわしい具体的なねらいや内容は,各領域に示された「ねらい」や「内容」

のすべてを視野に入れるとともに,幼児の生活の中で,それらがどう相互に関連している

かを十分に考慮して設定していくようにすることが大切である。   

[解説:第1章第2節 : 2⑷]

(4)

1 編成例①:「体を動かすこと」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 幼児が教師や他の幼児との温かい触

れ合いの中で自己の存在感や充実感を

味わうことなどを基盤として,しなや

かな心と体の発達を促すこと。特に,

十分に体を動かす気持ちよさを体験し,

自ら体を動かそうとする意欲が育つよ

うにすること。

[幼稚園教育要領「健康」内容の取扱い(1)]

      

○ 様々な環境に取り組んで活動を展開

することを通して,様々な場面に対応

できるしなやかな心の働きや体の動き

を体得していく。

○ 遊びを通じて体を思い切り動かす気

持ちよさを味わうことを繰り返し体験し,

次第にいろいろな場面で進んで体を動

かそうとする意欲が育つように,幼児

が自然に体を動かしたくなるような環

境の構成を工夫することが大切である。

[解説:第2章第2節「健康」内容の取扱い(1)] ●3歳児10月:滑り台を滑っていたAが「流しそうめ んしよう」と言い出し、自分自身がそうめんになっ て滑っている。上体を起こし手を上に上げ足をのば して滑ったり、身体をのばして寝ころんだ状態で滑 ったり、うつぶせになって滑ったりするなど、度ご とに滑り方を変えて試している。教師が滑り台の下 で「いただきます」「もぐもぐ」「ごちそうさま」と、 幼児をそうめんに見立てて食べる真似をすると、幼 児が集まってくる。「早く食べてね」「行くよ」2 人続けて滑ってきた時には「2杯食べちゃおう」と 応じる。 ●3歳児1月:節分にむけて鬼のお面をつくったところ、 喜んで遊びの中で使っている。A「鬼ごっこしよう」 Bは、鬼のお面をかぶり、Aを追いかけていく。C、 D「鬼が来た」「逃げろ」と同じ方向に走り出す。E、 F「鬼が来た」と戦うようなポーズをとりつつ、一 緒に走っている。 ●4歳児1月:買い物用ビニール袋にひもを付け、凧 揚げのようにして遊んでいる。A「走るとよく揚が るよ。みてみて」B「僕も、僕も」教師が「じゃあ、 一緒に走ろう」と応じて一緒に走る。他の幼児も加 わり、凧がより高く揚がるように園庭を駆け回る。 何度も後ろを振り返り、凧の高さを確かめながら走 っている。 ●5歳児10月:『エルマーの冒険』から、園庭を「オ レンジ島」に見立てて遊んでいる姿がある。A「ぴ ょんぴょこ岩を跳んでみたいね」B「この積木を並 べて岩にしよう」AとBは相談し、積木を並べて跳 び始めた。数名の幼児が集まってきて順番に跳び始 める。「本当にオレンジ島をつくりたい」というC の言葉を受け、教師がクラス全体に投げかけてみた。 固定遊具や巧技台を組み合わせ、動物などに見立て て場をつくり、地図を持って遊ぶことへと発展した。

(5)

3歳児 中頃 3歳児 後半 4歳児 後半 5歳児 中頃

発達の過程

ねらい

● 最初に「流しそうめん」と言い始めたAは、 過去に流しそうめんを見た経験があり、滑 り台の動きと結びついた。途中から参加し た幼児の中には、「流しそうめん」を知ら ない幼児も多いが、言葉の響きと「流れる」 「滑る」動き、友達との触れ合いが一体と なり楽しさを感じているようであった。  一見単純な体の動きや繰り返しの動きであ っても、そこに幼児なりのイメージが加わり、 教師が応じることにより、動くことの楽し さが確かなものとなっている。 ○行動範囲を広げ進ん で園庭に出て、教師 や友達と一緒に遊ぶ ようになる ○ 体 を 動 か し て 遊 ぶ楽しさを味わう ○先生や友達と追いか け合うことを喜んで、 繰り返ししようとす ○ 進 ん で 戸 外 へ 出 て先生や友達にま ざって遊ぶ ○先生や友達と競争し ながら走ることを楽 しむ ○ 全 身 を 思 い 切 り 使って遊ぶ ○遊具のいろいろな使 い方を工夫し、友達 と遊びを進める中で、 難しい動きにも挑戦 しようとする ○ 自 分 達 で 遊 び の 場をつくって使う ○ 大 勢 の 友 達 と と もに身体を動かす 遊びを楽しむ ● 「鬼ごっこ」には、ゲームとしての鬼遊 びとごっこ遊びの両面の要素があり、同じ 年齢の幼児であっても、興味のもち方には それぞれ差がある。お面をかぶって鬼にな ることから遊びへの興味が芽生え、友達と 触れ合う中で遊びの楽しさが伝わっている。 ● 走ると凧が高く揚がるということが走る 動機となり、走ることを楽しんでいる。   自分でつくった凧を使うことにより、寒 い季節にも進んで園庭に出て、走ることを 楽しんでいた。 ● 自分達で「オレンジ島」という遊びの場 をつくったことや地図を使ったことにより、 遊びへの意欲が高まった。学級で「エルマ ーのぼうけん」の物語を読み聞かせていた ことも、友達と遊びのイメージを共有し、 物語の世界に浸って遊ぶことにつながった。 それぞれがイメージを具体的な形にするこ とにより、体を動かすおもしろさを体感し ている。

(6)

2 編成例②:「食育」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 健康な心と体を育てるためには食育

を通じた望ましい食習慣の形成が大切

であることを踏まえ,幼児の食生活の

実情に配慮し,和やかな雰囲気の中で

教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさ

を味わったり,様々な食べ物への興味

や関心をもったりするなどし,進んで

食べようとする気持ちが育つようにす

ること。

[幼稚園教育要領「健康」内容の取扱い(4)]

○ 食べることは健康な心と体に欠くこ

とのできないものであり,生涯にわた

って健康な生活を送るためには望まし

い食習慣の形成が欠かせない。幼児期

には,食べる喜びや楽しさ,食べ物へ

の興味や関心を通じて,自ら進んで食

べようとする気持ちが育つようにする

ことが大切である。

○ 教師や友達と食べるとより一層楽し

くなることを感じるためには,和やか

な雰囲気づくりをすることが大切である。

(中略)また,(中略)様々な機会を

通して,幼児がみんなで食べるとおい

しいという体験を積み重ねていけるよ

うにすることが大切である。

○ 自ら進んで食べようとする気持ちが

育つようにするためには,食べ物への

興味や関心を高める活動も大切である。

例えば野菜などを育てる中で,親しみ

を感じ,日ごろ口にしようとしないも

のでもおいしそうだと感じたりする。

教師と共に簡単な料理をしたり,教師

の手伝いをしたりすることにより,そ

の食べ物を食べたいと思うこともある。

(中略)幼児の身近に食べ物があるこ

とにより,幼児は食べ物に親しみを感じ,

興味や関心をもち,食べてみたい物が

増え,進んで食べようとする気持ちが

育つ。

[解説:第2章第2節「健康」内容の取扱い(4)] ●3歳児3月:季候の良い日にテラスに机を並べて、 そこで食事をとれるようにした。A「テラスで食べ るんだって」と嬉しそうに友達に伝えている。B「バ ーベキューみたいだね」遠足での食事を思い出した のか、「シートで食べていい?」とCが言う。教師 が「どうぞ」と言うと、うれしそうに次々と、まま ごと用のござを出して敷き、最後には、机よりもご ざを使う幼児の方が多くなった。   3学期最後の弁当の日、テラスで食事をしようと 教師が提案する。B「今日もお天気だから?」教師「そ うだね」「じゃあ、シートを敷こう」とござを取り に行き、食事の場所をつくり始めた。 ●4歳児10月:教師も交え、鬼遊びをしたA、B、C、 D。A「先生に捕まらないように逃げたらね、たく さん汗、かいちゃった」教師「本当だ。ハンカチで 汗を拭いてね」B「なんだかお腹、すいてきちゃっ たね」教師「たくさん鬼ごっこして遊んだからかな」 C「キンコンカン、お昼の合図だね」教師「本当だね。 きれいに手を洗って食べようね」D「やったー、楽 しみだね。早く食べたいな。今日の給食は何だろう」 教師「何だろうね。」A「今日はBちゃんの隣で食 べよう」教師「お友達と一緒に食べるとおいしいよね」 A「早く食べたいな」B、C、Dも笑顔で頷く。 ●5歳児9月:学級の畑に、とうもろこしの種をまいた。 少し生長した頃に間引いて、希望する家庭に苗を配 った。A「せっかく大きくなったのに、かわいそう」 教師が「他の苗が育たないからね」と言うと、A「ぎ ゅうぎゅうだと、土の栄養をもらえないよね」と納 得する。学級で世話をし、一粒一粒を丁寧に扱いな がら、実を収穫した。教師が実をフライパンで炒め てポップコーンにすると、「こんなに大きくなるんだ」 と驚く。幼児も一緒に、食器の用意をしたりポップ コーンに塩をかけたりしてつくり、皆で食べた。

(7)

3歳児 後半 4歳児 前半 5歳児 中頃

発達の過程

ねらい

● 幼稚園においては、友達や先生と食べる 喜びや一緒に食べる楽しさを経験させ、進 んで食べようとする気持ちをもたせたい。   この時期は、毎日の食事の手順が身に付き、 幼児が準備などに戸惑うことはないと考え、 テラスでの食事を計画した。特別な食事と いう雰囲気ができ、生き生きとした表情や 会話があった。   3月は、友達との関係が安定し幼児の気 持ちが十分に落ち着いていること、また、 春に向かい気候がよいなどの理由から、場 所を変えるなどの変化が「楽しく食べる」 ことにつながりやすい時期である。 ○みんなで一緒に食べ る時間を楽しみにす るようになる ○ 食 べ る 喜 び や 楽 しさを味わう ○たくさん身体を動か して遊び、空腹を感 じ食事を楽しみにす るようになる ○ 教 師 や 友 達 と 一 緒においしさを味 わいながら食事を する ○野菜の生長に関心を もち、進んで世話を しようとする ○ 収 穫 し 、 調 理 し て食べることの喜 びを実感する ● 戸外での遊びが楽しくなり、幼児の活動 量が増す時期である。十分に身体を動かし て遊ぶことにより、空腹を感じ、それによ り食事をおいしく味わうことができるよう にしたい。また、クラスの友達と一緒に食 べることにより食事が楽しくなり、食事の 時間に期待がもてるようにしたい。 ● できあがったポップコーンを食べたこと はあっても、自分達で育て、収穫し、調理 によって形を変えるという、一連の過程を 経験することはほとんどない。ポップコー ンつくりは、種から口に入るまでのすべて の過程を幼児が経験することにより、食べ ることに関心をもつきっかけとなった。間 引いた苗を育て、ポップコーンとして食べ た家庭もあり、保護者に対しても食育を伝 える機会となった。

(8)

3 編成例③:「自信をもった行動」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 集団の生活の中で,幼児が自己を発

揮し,教師や他の幼児に認められる体

験をし,自信をもって行動できるよう

にすること。       

[幼稚園教育要領「人間関係」内容の取扱い(2)]

○ 教師が,その幼児なりに取り組んで

いる姿を認めたり,ときには一緒に行

動しながら励ましたりして,幼児が,

安心して自分らしい動き方ができるよ

うな状況をつくっていく必要がある。

ありのままの自分が認められていると

いう安心感や,日々の遊びや生活の中

でその幼児なりのよさをとらえる教師

のまなざしに支えられ,自分に力があ

ると信じて取り組み,自信をもって行

動することができるようになっていく

だろう。また,他の幼児からもその幼

児のよさを認められることにより,さ

らに幼児は活力を得て,自信を高めて

いく。この自信を基盤として,人とか

かわる力も育っていく。

○ 幼児は自分が認められることで友達

のよさも認められるようになっていく。

○ 一人一人を生かした集団を形成する

ための特別な方法があるわけではないが,

一人一人のよさが生かされる学級集団

の在り方を考えることが必要である。

[解説:第2章第2節「人間関係」内容の取扱い(2)] ●4歳児2月:Aは「僕、縄跳びはできないんだ」と 言い、挑戦しようとしない。仲の良いBが数回跳べ るようになり、Aはその様子を羨ましそうに見ている。 そんなAの様子を見て教師は、Aがどこでつまずい ているのかを考え、アドバイスをしたり、一緒に跳 んでみたりした。繰り返す中で、Aは一回跳ぶこと に成功する。教師は自分のことのように喜び、Aの 頑張りを認めた。その様子を見ていた幼児たちも「や ったね、すごいよ、頑張ったね」と声を掛けた。 ●5歳児11月:段ボール箱で遊ぶうち、動物園に遠足 に行った経験から動物づくりが始まった。A「ワニ、 つくろう」BCD「つくろう、つくろう」A「ワニ は長いから、長い箱がいいな」B「これなら大きな 口になるよ」C「いいね、それお腹にしよう」それ ぞれがワニをイメージして箱を集める。D「口が開 くようにしようよ」B「うん、口の中に入れるよう にしたらいいね」Cは、段ボールカッターを持って きて、切り始める。教師「口の中に入れるのってす ごいね」A「そうだ、口から入ってお腹の中通って、 しっぽから出てくればいいんじゃない」「うん、い いね」みんなが賛成する。 ●5歳児11月:Aは、「よく見てください。タネもし かけもありません」「ここに呪文をかけます」と、興 味を引く言葉を使いながら手品を始める。親指が一瞬 にして長くなったり消えたように見える手品、ハンカ チが見えない糸に引っ張られて動く手品、はさみで毛 糸を切るが開くと一本のままである手品などをやって 見せる。どの手品もとてもうまく見せており、見てい る幼児は「おお、すごい」と驚く。Bが「ちょっと、 タネがあるかもしれない」と言い、Aの手元を見るが 見付けられない。「すごいよ。本物だ」   Cも手品をする側として参加する。空き箱の下に置 いた紙をずらし、それが消えたように見せる。D「そ れ、箱動かしているからじゃない」E「今見えたよ、 ほら」C「だめかぁ、ばれたかー」と、さらに考える。

(9)

4歳児 後半 5歳児 後半

発達の過程

ねらい

● 苦手とする縄跳びができるようになった ことが、Aの自信へとつながった。Aの気 持ちに寄り添い、アドバイスをしながら根 気強く援助した教師の存在が大きい。   また、教師がAに関わる様子を他の幼児も 見ており、その影響により、温かくAを応 援する空気ができている。 ○試しながら繰り返し 遊ぶようになる ○ 意 欲 的 に 遊 び に 取り組む中で、達 成感を味わう ○自信をもち、自分の 考えを表すようにな っていく ○友達と互いのよさを 認め合い、じっくり と遊びに取り組む姿 が増えていく ○ 友 達 と 考 え や 感 じたことを出し合 いながら遊びを進 め、共に活動する 喜びや満足感を味 わう ○ 自 分 の 力 を 十 分 に出したり、友達 に認められたりし て満足感を味わう ● この時期になると、幼児は自分なりのイ メージをもって遊び、そのイメージを広げ たり、周りに伝えて一緒に遊びを進めたり するようになる。   教師は、一緒に活動しながら、遊びのヒン トを与えたり、周りの様子を知らせたり、 できたことを認めたりすることで、一人一 人が自信をもって自分の考えを表せるよう に援助している。 ● 手品をする幼児とそれを見る幼児が、か かわりながら遊びの面白さを共有している。 Bのように、仕掛けがどのようになってい るかを考える姿や、Cのように、自分で新 たな仕掛けを考えてやってみる姿もあった。   この時期は、手品の他にも、滑車やテコ など、仕掛けや仕組みなどに対する興味を 遊びに生かすことが増える。その中では、 うまくできたこと、それを友達に認めても らったことが、次の意欲につながっている。 また、Cのように、友達の言動に刺激を受 けながら、あきらめずに、考えたり試した りする姿も認め、満足感と自信につなげて いきたい。

(10)

4 編成例④:「協同して遊ぶこと」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 幼児が互いにかかわりを深め,協同

して遊ぶようになるため,自ら行動す

る力を育てるようにする とともに,

他の幼児と試行錯誤しながら活動を展

開する楽しさや共通の目的が実現する

喜びを味わうことができるようにする

こと。

[幼稚園教育要領「人間関係」内容の取扱い(3)]

○ 協同して遊ぶようになるためには,

まず一人一人がその子らしく遊ぶこと

ができるように,自発性を育てること

が基盤におかれなければならない。(中

略)幼児は,他の幼児とのかかわりの

中で自発性を獲得し,この自発性を基

盤として,より生き生きとした深みの

ある人間関係を繰り広げていく。

  幼児が互いにかかわりを深め,共に

活動する中で,みんなでやってみたい

目的が生まれ,工夫したり,協力した

りするようになっていく。

○ 幼児一人一人のよさを生かしながら

協同して遊ぶようになるためには,集

団の中のコミュニケーションを通じて

共通の目的が生まれてくる過程や,幼

児が試行錯誤しながらも一緒に実現に

向かおうとする過程,いざこざなどの

葛藤体験を乗り越えていく過程を大切

に受け止めていくことが重要である。

[解説:第2章第2節「人間関係」内容の取扱い(3)] ●3歳児11月:ABCDが引き出しから紅白帽子を出 してかぶり、自分で飾りを付けた紙袋製のかばんを 肩に掛ける。A「電話持っていこう」C「これ電話ね」 と木製のブロックをかばんに入れる。C「電話持った?」 とBやDに同じ形の物を入れているか確認する。メ ンバーが揃うと一緒に外へ出る。途中で、Cが「こ れも持っていこう」とフープを肩に掛ける。A「赤 にしよう」と、色も合わせて持とうとする。 ●4歳児2月:A、Bが、牛乳パックの椅子を見て構 造を調べながら、真似てつくろうとしている。   Aが、2つの牛乳パックを重ね合わせようとする が、固くて思うように作業できない。それを見て、 Bが「こうしたら?」と、片方の牛乳パックを机の 上に立て、下の部分を押さえて安定させる。うまく 入ると「やったー」と2人で顔を見合わせている。 同じ物を数個つくるうち、C、Dがやってきて一緒 に遊びに加わった。Cが「ぼく、ガムテープ切る係 やる」と言うと、D「ぼくは貼る係!」B「ぼくつ なげる係やる」とそれぞれが役割を申し出て分担し ていた。 ●5歳児6月:4人の幼児が切り紙をして遊ぶうち、 切った残りの部分から、キツネ、ネコ、おばけを連 想して遊んでいる。そこに、Dがペンで目や口を描き、 「先生、これ、人形劇にするから、棒みたいなのない?」 と言う。教師は、「こういうの、使えるかな」と、 竹ひごを出した。4人で、次に何が出てくるか、話 をつくり足しながら人形をつくる。   その後、Aがお客さんのいすを並べ、ハンドベル を鳴らして、「これ、始まりってことにした」と言う。   翌日も、朝から4人で人形劇の準備を始める。A はチラシをつくって配る。10人ほど集まってきた所 で演じ始める。観客になる幼児は、ポップコーンに 見立てた紙容器を手にしたり、折紙のカメラで撮る まねをしたりしながら劇を見ている。教師も観客の 一人として座って劇を見る。

(11)

3歳児 中頃 4歳児 後半 5歳児 前半

発達の過程

ねらい

● 気の合う友達と同じ物を持つことにより、 友達とのつながりを感じて遊んでいる。友 達が持つ物を目で見て揃えるだけでなく、 言葉でも確認していた。遊びの準備をして いるだけのようにも見えるが、3歳児は、 物を介して友達とのかかわりを築いていく ため、この時間が重要な意味をもっている。 ○友達を真似たり、一 緒に行動したりする ことを喜ぶ ○友達と同じ物を使 うなどしながら、 一緒に遊ぶ楽しさ を感味わう ○気の合う友達と一緒 に遊びを進めていく ようになる ○気の合う友達の中 で、自分の思いを 出して一緒に遊ぶ ○遊びや生活を通して いろいろな友達との つながりが深まって くる ○友達と目的を共有 し、思いや考えを 出し合いながら一 緒に活動する ● 保育室で使っている牛乳パックの椅子を 見本にして、同じ物をつくろうとしている 姿である。4名の幼児が一緒に取り組み、 つくる過程でしぜんに役割の分担ができる など、力を合わせてつくり上げようとして いた。   日ごろから一緒に遊び、意思の疎通がし やすいメンバーであったため、それぞれが 自分の思いを出して取り組むことができた。   また、目の前に出来上がった椅子がある ことから、目標が明確で具体的であった。 ● Aら4人の遊びを見てみると、切り紙を する、紙の形を見立てる、人形をつくる、 お話を考える、演じる場をつくる、客を集 める、演じる、というように少しずつ遊び が展開している。4人のうちの誰か1人が 次のことを発想すると、他の幼児がそれを 感じ取り、真似たり、次に必要なことを提 案したりしながら、遊びを進めていく。   友達の発想や考えを受け入れながら、人 形劇をして友達に見てもらうという共通の 目的を実現していくことが遊びの中心にな っている。

(12)

5 編成例⑤:「規範意識の芽生え」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 集団の生活を通して,幼児が人との

かかわりを深め,規範意識の芽生えが

培われることを考慮し,幼児が教師と

の信頼関係に支えられて自己を発揮す

る中で,互いに思いを主張し,折り合

いを付ける体験をし,きまりの必要性

などに気付き,自分の気持ちを調整す

る力が育つようにすること。

[幼稚園教育要領「人間関係」内容の取扱い(5)]

○ 社会のきまりを守ることは,初めか

らできるわけではなく,日々,繰り返

される生活や人とのかかわりを通して徐々

に規範意識が形成され,きまりを守る

ことができるようになっていく。特に,

幼児期では,教師や友達と共にする集

団の生活を通して,体験を重ねながら

規範意識の芽生えを培うことが重要で

ある。

○ 幼稚園では,幼児が教師との信頼関

係に支えられて自己を発揮するとともに,

友達とかかわりを深め,互いに思いを

主張し合う中で,自分の思いが受け入

れられないこともあり,相手と折り合

いを付けながら遊ぶ体験を重ねていく

ことが重要である。

○ これらの体験を通して,幼児が,き

まりを守ると友達と楽しく過ごせるこ

とに気付き,それを守ろうとして行動

する中で,規範意識の芽生えを培って

いくことが大切である。

[解説:第2章第2節「人間関係」内容の取扱い(5)] ●3歳児11月:AとBがままごとコーナーについたて を立て、その中で遊んでいる。そこへ、アニメのキ ャラクターになって戦いごっこをしている男児たち が入ろうとすると、Aが「ピンポンしないで入った」 と騒ぎ出す。男児たちは納得できない様子である。 教師「Aちゃん、ピンポンしたら入れるの?」A「う ん」教師が「ピンポンしたら入れるんだって」と男 児に伝えると、「あ、怖い人はだめ」と言う。E「僕、 怖くないよ」C「ピンポン鳴ってるよー。ピンポン、 ピンポン」とボタンを押すまねをしながら言う。A「C 君が来たー」とついたてを開ける。教師「優しい人は、 入れるって」F「僕、優しい人だよ」 ●4歳児4月:片付けの時にAが泣いているそばで、 Bが怒っている。教師「どうしたの?」B「僕がみ ていた本をとったんだ」教師「Aちゃん、B君が本 をとったって言ってるよ」A「お片付けだからしま ったんだ。そしたら、ぶった」   教師は、二人の話をきいて、BにはAの気持ちを 伝え、Aには一生懸命片付けたことを認めながら、「B 君に片付けだよってお話しすれば、B君もわかって 片付けてくれたね」と話した。 ●5歳児9月:ドッジボールを連日、行っている。B が外野からAを当てた。A「Bは線を踏んでいた。 だから僕はアウトではない」B「僕は絶対踏んでない」 二人は主張を曲げない。同じチームの幼児たちもそ れぞれAとBの味方になり話し合うが、だんだん言 い争いになってきた。その時、Cが「ケンカになる とドッジボールできないからジャンケンで決めるこ とにしよう」教師「ジャンケンってことは、それで 決まりってことだよ」二人は頷きジャンケンをする。 Aが負けた。D「しょうがないよドンマイ。次に当 てればまた中に入れるよ」その言葉にAは気を取り 直しゲームを再開した。

(13)

3歳児 後半 4歳児 当初 5歳児 中頃

発達の過程

ねらい

● A子の「怖い人はだめ」という言葉には、 仲良しのB子との遊びを続けたいという気 持ちや、戦いごっこをしている男児のグル ープと活動の場が重なることへの不安が読 みとれる。   それぞれが気持ちよく遊ぶためには互い の思いが分かることが必要であると考え、 教師が仲介することにした。双方の思いを 十分に受け止め、遊びの雰囲気を壊さない よう配慮しながら仲介している。 ○友達とのかかわりが 増える反面、衝突す る場面も多くなる ○ 気 の 合 う 友 達 に 自分なりの方法で 思いを伝えようと する ○新しい先生や友達と かかわりながら、幼 稚園生活の仕方がわ かっていく ○ 新 し い 先 生 や 友 達 に 親 し み を も ち、幼稚園での生 活に慣れる ○友達関係が深まり、 ルールを守ったり考 えたりして自分達の 遊びや生活を進める ようになる。 ○ 友 達 と 考 え を 出 し合いながら、自 分達で遊びを進め ● 2年保育と3年保育の混合学級である。 新入園児だけでなく、進級児も担任の先生 や友達、保育室など環境が変わり幼稚園で の生活に戸惑いを感じている。   トラブルは、幼児が生活する中で必要な ことを学級や園での生活のきまりとして共 通認識していける機会でもある。そのため、 幼児の思いを十分にきき、それを伝えてい くような仲介を心がけている。 ● 友達と同じ場で同じ遊びをする楽しさを 感じているが、その中にはぶつかり合いも ある。思いを出し合い、相手の気持ちは分 かっても、AとBはどちらも譲れない状況 にいた。そんな時、Cが提案した「ジャン ケン」はどうにもならないときの最後の解 決策となった。   教師は話し合いによる解決を想定してい たが、幼児が自分達で方法を考えトラブル を解決していく姿に、幼児達の成長を感じ て見守った。Aはジャンケンに負けても納 得した様子であった。

(14)

6 編成例⑥:「思考力の芽生え」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 遊びの中で周囲の環境とかかわり,

次第に周囲の世界に好奇心を抱き,そ

の意味や操作の仕方に関心をもち,物

事の法則性に気付き,自分なりに考え

ることができるようになる過程を大切

にすること。特に,他の幼児の考えな

どに触れ,新しい考えを生み出す喜び

や楽しさを味わい,自ら考えようとす

る気持ちが育つようにすること。

[幼稚園教育要領「環境」内容の取扱い(1)]

○ 遊びを通して周りの環境の一つ一つ

にかかわる。何か特定のことを分かろ

うとしてかかわるわけではなく,知り

たいとか,面白く遊びたいからかかわる。

ものの特性を生かし,環境から興味や

関心を引き出すことができるような状

況をつくらなければならない。

○ 周りにあるあらゆるものが好奇心の

対象となっていく。扱いやすい遊具や

用具,物を用意することだけでなく能

動性を引き出す自由な空間や物を配置し,

どうしてよいか分からないときなどに

援助することが大切になる。

○ 好奇心を抱いたものに対してより深

い興味を抱き,探究していく。さらに,

試行錯誤を行う中でその動きや働きに

ある規則性を見付けられるかもしれない。

同じようなものにも当てはまれば,法

則性と呼んでもよいものである。物事

の法則性に気付くことは科学的に正し

い法則を発見することを求めることで

はない。幼児なりに規則性を見いだそ

うとする態度を育てることが大切。

○ 自分とは違った考え方をする友達が

試行錯誤している姿を見たり,その考

えを聞いたり,友達と一緒に試したり

工夫したりする。その中で,友達の考

えに刺激を受け,自分だけでは発想し

なかったことに気付き,新しい考えを

生み出す。

[解説:第2章第2節「環境」内容の取扱い(1)] ●3歳児1月:Iが、ビニール袋にひもを付けただけ の「凧」を手にして園庭を走ると、F、Hがそれを 追いかけている。ぐるぐると園庭を走りながら、「あ がった!」と互いに凧の動きを見る姿もある。B、 Gは、凧が揚がることがうれしくて園庭に出る前か らテラスを走っている。   H、A、F、Eは凧を持ってジャングルジムの上 に登り、そこで凧をなびかせようとする。 ●4歳児10月:AとBが、自分でつくったミニカーを 手で押し、走らせている。ソフト積木でつくった坂 の上を走らせると、A「すごい!手で押さなくても 走るよ」B「本当だ。坂道はすごい」と、繰り返し ミニカーを走らせる。そのうち、Bが積木を高く積 み上げたことで、坂道の傾斜が急になった。B「こ っちの坂はすごいスピードだよ」A「ぼくにもやら せて」と試す。   翌日も二人が同じ遊びを続ける。その姿を見て、 遊びに加わる幼児がおり、メンバーが増えた。C「高 い所から車を走らせると速いね」D「こっちの坂道 はどうかな」と、いろいろな角度の坂を試している。 ●5歳児6月:砂場で10人程が川をつくっている。「早 く、水、水」「はい、水持ってきたよ」とバケツで 水を何度も汲んできては掘ったところに流し入れる。 「そこ、どんどん掘って」「もっとそっち低くしな いと」「パイプ持ってくる」塩ビ管と雨どいを取り に行く。傾斜をつくり、水を流す。「ここ押さえて おくから、そこにバケツ置いて」「そうじゃないよ」 「よし、わかった」「ここから曲がることにしよう」 「ほら、曲がってるやつ(塩ビ管)」口々に言いな がら、用具を組み合わせたり組み換えたりする。 翌朝、20人近くが崩れた部分を直し、さらに塩ビ管、 雨どいをつなげて延ばしていく。延びた先に水がた まると、そこにできるだけたくさんの水をためよう とする。うまく流れないところがあると、「だめだな」 「おかしいな」とまた次の方法を考えている。

(15)

3歳児 後半 4歳児 中頃 5歳児 前半

発達の過程

ねらい

● 凧をより高く揚げようとして、滑り台や ジャングルジムなどに登り高い場所で揚げ ようとしたり、園庭を広い範囲で走り回っ たりするなど、幼児なりに様々な工夫をす る姿が見られた。   また、友達の凧を追いかけたり、一緒に並 んで走り競争したりする姿に、友達とかか わりたい思いが感じられる。 ○友達と同じ物を使っ たり、同じ遊びをし ようとする ○ 遊 具 や 用 具 の い ろいろな使い方に 興味を持ち、使っ てみる ○ 気 の 合 う 友 達 と 一緒に遊ぶことを 喜ぶ ○繰り返し遊ぶ中で、 ものの性質に気付く ○気の合う友達とのか かわりの中で、自分 の思いや気付きを表 しながら遊ぶように なる ○ 気 付 い た こ と や 感じたことを遊び に生かそうとする ○気の合う友達とじっ くりと遊びをすすめ る中で、考えを出し 合うことが増える ○遊ぶ中で、ものの性 質や仕組みに気付く ○ 友 達 と 課 題 や 問 題を共有し、一緒 に考えていこうと する ○ も の の 性 質 や 仕 組みなどに関心を もち、それを遊び に生かそうとする ● 空き箱と既製のタイヤを組み合わせて、 自分でミニカーをつくって遊ぶ中での気付 きである。積木でつくった傾斜部分を走ら せたことにより、手を離すだけで車が動き 出すことに気付き、さらに、繰り返し遊ぶ 中で、傾斜が急であるほど速く走ることに 気付いた。このように、何度も繰り返し遊 んだり、試したりしながら、夢中になって 遊ぶ中で様々な気付きをしている。同時に、 気付いたことを友達に伝え、一緒に遊ぶ友 達と共有することにより、遊びが深まりを もっていく。 ● 砂場で水を流すために、いろいろな工夫 をしている。水をたくさん汲み入れる、砂 が水にしみ込まないように塩ビ管や雨どい などの道具を使う、幅・深さ・傾きを考え て掘る、などの姿があった。水がうまく流 れなかったり、砂が崩れたりするなど、失 敗する中で、水や砂の性質についての新た な気付きや工夫が生まれている。   そして、自分のこれまでの経験や新しい気 付きを友達と伝え合い、一緒に考えを出し 合いながら継続して遊ぶ中で、川のイメー ジがふくらみ、次々と構成が変化していった。

(16)

7 編成例⑦:「言葉による伝え合い」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 幼児が自分の思いを言葉で伝えると

ともに,教師や他の幼児などの話を興

味をもって注意して聞くことを通して

次第に話を理解するようになっていき,

言葉による伝え合いができるようにす

ること。

[幼稚園教育要領「言葉」内容の取扱い(2)]

○ 幼児は,相手に自分の思いが伝わり,

その思いが共感できることで喜びを感

じたり,自分の言ったことが相手に通

じず,言葉で伝えることの難しさやも

どかしさを体験したりする。また,相

手に自分の思いを伝えるだけでなく,

教師や友達の話を聞く中で,その思い

に共感したり,自分のこととして受け

止めたりしながら,熱心に聞くように

もなっていく。(中略)このような体

験を繰り返す中で,自分の話や思いが

相手に伝わり,また,相手の話や思い

が分かる楽しさや喜びを感じ,次第に

伝え合うことができるようになっていく。

○ 教師が心を傾けて幼児の話やその背

後にある思いを聞きとり,友達同士で

自由に話せる環境を構成したり,幼児

同士の心の交流が図られるように工夫

したりすることで,幼児の伝えたいと

いう思いや相手の話を理解したいとい

う気持ちを育てることが大切である。

また,言葉が伝わらないときや分から

ないときに,(中略)話が伝わり合う

よう援助をすることも必要である。

○ 幼児が集中して聞けるようになって

いくためには,話し手や話の内容に興

味や関心をもつことができるように,

落ち着いた場を設定し,話の内容,伝

え合うための工夫や援助を行い,教師

も幼児と共に聞くことを楽しむという

姿勢をもつことが大切である。

[解説:第2章第2節「言葉」内容の取扱い(2)] ●3歳児11月:A、木片に砂を乗せて弁当に見立てて いる。A「Bちゃんのお弁当ね、これ。どこに置いて おこうかな」「Bちゃんの椅子のところに置いておこ う」と、Bがさっきまで座っていた、すのこ椅子の上 に置く。ここまでの言葉に、Bは気付いていない。し ばらくしてから、Aが「Bちゃん、ここ、お弁当置い ておいた」とBに向かって言う。Bは気付いていない 様子だが、Aはそれ以上言うことはなかった。 ●4歳児2月:プ*キュアごっこをする女児数名は、皆、 自分が悪者の役をすることを嫌がり、「そうだ、先生 になってもらおうよ」と教師の所にやってくる。「ど んな悪者になったらいいかなあ?」と応じると、オオ カミがいいということになり、お面をつくり追いかけ たり暴れてみせたりする。   しばらくして、「先生もプ*キュアになりたいな。 だれかオオカミになって」と声をかけると、「順番に やろうか」「そうだね」と言うが、Dは「私やめる」 と言い出す。「Dちゃんずるいよ。いつもやめるって 言うんだから」「そうだよ順番にやろうって決めたの に」と言われる。D「じゃ、やめない」と小声で言う。 教師「Dちゃん一緒にやろう。でもDちゃんもみんな も先生も、本当のこわいオオカミじゃないんだからや さしく戦ってね」Dはほっとした顔をする。 ●5歳児9月:運動会に向けて学級でバルーンの演技 の練習をしているが、高く上げることができない。 B「みんなで声をかければいいんじゃない」C「思 いきり引っ張ってみようか」などと言う。教師は、「皆 にそのことを伝えてまたやってみようよ」と話す。   翌日、D「みんな同じくらいの力でバルーン動か してさ」E「あんまりずらさないように、真ん中の ままの方がいいよ」F「そうだよいっぱい力を入れ る人と、そうじゃない人がいないようにすればいい んだ」と、自分の意見を伝えている。   その翌日、高く上げることができた。A「今日は うまく上がったね。今日みたいにやればいいんだ」

(17)

3歳児 後半 4歳児 5歳児 中頃

発達の過程

ねらい

● これまで自分の気持ちを友達に伝えるこ とが少なかったAが、Bに対して一緒に遊 びたいという気持ちを伝えようとしている 姿を大切にしたい。  Bにはうまく伝わらなかったものの、お弁 当をつくることで、かかわりをもとうとし ている姿を、自分の気持ちを伝えようとす る育ちととらえたい。 ○生活に慣れ、次第に 友達にも関心が向い ていき、気になる友 達と話そうとする ○ 友 達 に か か わ り たい気持ちを自分 なりの言葉で表そ うとする ○友達や教師の言葉を 聞いたり、考えを受 け止めたりしながら、 遊びを進めるように なる ○ 仲 の 良 い 友 達 に 思ったことや感じ たことを言葉で伝 える ○友達関係が深まり、 自分たちの考えを出 し合いながら遊びを 進めるようになる ○ 友 達 と 共 通 の 目 的をもち、相談し たり分担したりし て遊びを進める ● 友達の存在を意識し、友達と遊ぶ面白さ を感じるようになってくる時期である。思 いや感じたことを伝え合うようになり、自 分の思いを受け止めてもらう嬉しさを味わ うだけでなく、逆に、思いがうまく伝わら ずに困ったことも幼児なりに解決していこ うとする姿がみられる。   状況に応じて教師が代弁したり、言葉を 補ったりしながら、言葉で伝える大切さに 気付かせたい。 ● 5歳児中頃には、幼児同士が考えを伝え 合い、一緒に課題を解決していこうとする ようになる。この場面でも、自分の思いを 率直に話し、友達の考えにも耳を傾ける姿 が見られた。何とかしてバルーンを高く上 げたいという共通の思いがあったためであ ろう。   友達と話し合うことにより問題を解決し、 自分達で考えてやり遂げていく経験をして いる。

(18)

8 編成例⑧:「表現する過程」を視点として

【幼児の具体的な姿 と

【幼稚園教育要領及び解説の記述】

○ 自ら様々な表現を楽しみ,表現する

意欲を十分に発揮させることができる

ように,遊具や用具などを整えたり,

他の幼児の表現に触れられるよう配慮

したりし,表現する過程を大切にして

自己表現を楽しめるように工夫すること。

[幼稚園教育要領:表現:内容の取扱い(3)]

○ 幼児の表現する楽しみや意欲を十分

に発揮させるためには,特定の表現活

動に偏るのではなく,幼児が幼稚園生

活の中で喜んで表現する場面をとらえ,

表現を豊かにする環境としての遊具や

用具などを指導の見通しをもって準備

したり,他の幼児の表現に触れられる

よう配慮することが大切である。

○ 幼児が心に感じていることは,それ

を表現する姿を通して他の幼児にも伝

わり,他の幼児の心に響き,幼児同士

の中で広がっていく。このように,幼

児同士の表現が影響し合い,幼児の表

現は一層豊かなものとなっていく。教

師は,幼児がお互いの活動を見たり聞

いたりして相手の表現を感じ取れるよ

うに,場や物の配置に配慮したり,教

師も一緒にやってみたりして,相互に

響き合う環境を工夫することが大切で

ある。

○ 教師は,幼児が表現する過程を楽しみ,

それを重ねていき,その幼児なりの自

己表現が豊かになっていくように,幼

児の心に寄り添いながら適切な援助を

することが大切である。

[解説:第2章第2節「表現」内容の取扱い(3)] ●3歳児10月:Aは、CDデッキの前に座り、音楽が かかると、床上積み木をマイクに見立てて歌っている。 Bは一緒に歌い出す。Eが、皆が知っているリズム の曲のCDに変えて踊ると、Fも一緒に踊り出す。 離れた砂場で遊んでいたGとHも踊っている。   数日後、リズムの曲が流れると、10人近くの幼児 が集まって自然と輪になり、互いの動きを見ながら 踊っている。 ●4歳児2月:数名の男児が、大型ブロックをギター のように抱えて弾くまねをする。Aは「レンジャー はギターを弾くんだよ」と言う。教師が「そのギタ ーで、歌が歌えるといいね」と言うと、「本当のギ ターにするの?」「そうだ、つくればいいよ」と、 相談しながら、ギターをつくった。スチロールの皿 に輪ゴムを付けたもの、紙皿にトイレットペーパー の芯や画用紙を丸めたものなどで、「うん、これな ら音がする」と満足している。   その姿をまねて、女児数名が同じようにギターを つくる。「音楽会をしようよ」「お庭でやろう」「お 庭の方が気持ちいいもんね」とコンテナボックスを 運び並べてステージをつくり、カセットテープで音 楽を流してギターを弾きながら歌う。 ●5歳児12月:Aは絵を描く時、画用紙の周りを腕で 覆い隠すようにする。「失敗した」とせっかく描い た絵を塗りつぶしてしまうこともある。教師は、A は絵を上手に描きたい、失敗するのが嫌だと感じて いるのではないか、自由な発想で絵を描くことがで きる環境が必要と考えた。そこで、窓ガラスを使い 思い思いに描いたり、貼り付けたりできる場をつく った。絵の具は、垂れないように濃くした。「タオ ルやスポンジで拭くと消えて、新しい絵が描けるよ」 と、教師がAの前でやってみせると、その様子を見 てAは笑顔になり、絵を描くことに取り組んだ。

(19)

3歳児 後半 4歳児 後半 5歳児 後半

発達の過程

ねらい

● 他の遊びをしている幼児や、少し離れた ところにいる幼児も、自然に体が動き出し、 あちこちで楽しそうに踊ったり歌ったりす る姿があった。このとき、音楽に合わせる だけではなく、友達の動きやリズムを見て、 合わせようとしている。自然に輪になる姿 からは、友達と一緒に動くことに心地よさ を感じて表現していることが読み取れる。 ○何かになりきって遊 んだり、音楽に合わ せて体を動かしたり することを喜ぶ ○ 思 い の ま ま に 全 身を使って表現す ることを楽しむ ○いろいろな材料や用 具を使い、遊びに必 要な物をつくるよう になる ○ 素 材 を 選 ん で つ くったり、つくっ た物を使ったりし て、自分なりに表 現する ○感じたこと、想像し たことを人に伝わる ように表現したい気 持ちが出てくる ○ 自 分 の 思 い や 感 じたことを様々な 方法で表現する楽 しさを味わう ● 遊びや生活の中で自分なりのイメージを 広げ、遊びに使う物をつくり出して使って いる。幼児がイメージしたことを実現し、 表現を楽しむことができるよう、教師が一 緒に遊びながらヒントを与えたり、材料や 素材を選んで使えるように用意するなどの 援助が必要である。   また、友達とかかわって遊ぶ楽しさを感 じるようになるこの時期には、幼児同士の 表現が影響し合って遊びが広まっていくこ とに留意したい。つくった物や演じる姿を 友達に見てもらいたいという思いが強くなり、 相手を意識して表現するようになってくる ので、その気持ちを受け止めて援助するこ とも必要である。 ● この時期には、友達の得意なことに気付 き友達のよさが分かるとともに、自分の力 を客観的にとらえる意識が芽生えてくる。 それに伴い、絵を描くことなどの表現につ いても自分の満足度だけでなく、友達と比 較して出来具合を気にするようになる。   Aの姿をこのような成長の過程と受け止め、 多様な方法で表現したり、やり直したりで きる環境構成が必要である。作品として扱 うだけでなく、幼児なりの表現を認めてい くことが表現意欲につながる。

参照

関連したドキュメント

また上流でヴァルサーライン川と合流しているのがパイ ラー川(Peilerbach)であり,合流付近には木橋が,その 上流には Peilerbachbrücke

グローバル化がさらに加速する昨今、英語教育は大きな転換期を迎えています。2020 年度 より、小学校 3

節の構造を取ると主張している。 ( 14b )は T-ing 構文、 ( 14e )は TP 構文である が、 T-en 構文の例はあがっていない。 ( 14a

「文字詞」の定義というわけにはゆかないとこ ろがあるわけである。いま,仮りに上記の如く

この映画は沼田家に家庭教師がやって来るところから始まり、その家庭教師が去って行くところで閉じる物語であるが、その立ち去り際がなかなか派手で刺激的である。なごやかな雰囲気で始まった茂之の合格パ

*ホバークラフト 記念祭で,幼稚 園児や小学生を乗 せられるものを作 ろうということで 始めた。右写真の 上は人は乗れない

市場を拡大していくことを求めているはずであ るので、1だけではなく、2、3、4の戦略も

 手術前に夫は妻に対し、自分が死亡するようなことがあっても再婚しない