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点検・評価報告書(構成例)

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10−2 学部の社会貢献

(1)法学部

a. 現状の説明 大学の社会的な役割は,まず教育面では,教養課程において,リベラル・アーツ教育(例えば職 業教育といった特定の目的を持たず,知性の修練そのものと目的とした教育)を提供し,それに 加えて,法学・政治学的素養と専門知識を身に付けた学生を社会に送り出すことであろう。さらに, 以下の通り,法学部では,公開講座,シンポジウム,コロキアム,社会人教育,社会人大学院, 教員の学会活動,教員の社会活動を通して積極的に大学の社会的役割を果たしている。加えて, 法学部は自治体の政策形成への寄与の一環として,川崎市と提携し,川崎市から「科目等履修生」 を授業料免除で受け入れている。 ①公開講座 法学部の教員が関わる継続的な公開講座としては,大学院の「都市政策研究セミナー」があ り,2005 年秋期で第 30 回目となる。 ②シンポジウム 2004 年 7 月 10 日に法学部・法科大学院共催によって「法曹への招待−法科大学院と法律専門 職−」と題する講演会を開催した。当日は,100 名余りの参加者を得て,元最高裁判事の遠藤光 男弁護士の講演や現役女性裁判官による講演,および,本学法科大学院教授による模擬授業が 行われた。 2005 年 3 月 13 日には,2005 年度より新設される国際政治学科開設を記念して,法学部・ボ アソナード記念現代法研究所共催によるシンポジウム「地球共生社会の実現をめざして」が開 催されている。当日は,東ティモール国連事務総長特別代表の長谷川祐弘氏により「国連の平 和協力活動と日本の役割」と題する講演が,また,旧ユーゴ国際刑事裁判所元判事の多谷千香 子氏により「旧ユーゴ戦犯法廷と法の支配」と題する講演などのほか,パネルディスカッショ ンが行われた。また,この他にも,専任教員主催のコロキウムなどが行われている。 ③社会人教育 法学部においては,社会人を対象とした法学部自己推薦特別入試が用意されており,社会人 がその能力に応じて学習を継続できるように配慮されている。 ④社会人大学院 政治学科の教員がかかわる政治学専攻の大学院では,政策研究プログラムという夜間の社会 人向け修士課程を開設している。 ⑤教員の学会活動 教員の学会活動は,学会の総会,研究会などの開催や,学会事務局の引受などが中心となる。 法学部教員が関わる学会の総会・研究会は,ほぼ毎年のように法政大学で開催されている。ま た,学会事務局を引き受けている法学部教員もあり,積極的に学会活動を展開している。

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⑥教員の社会的活動 国のレベルでは,司法試験第 2 次試験考査委員,日露賢人会議メンバー,国土交通省大臣官 房官庁営繕部入札監視委員会委員,国家公務員採用試験専門委員などがおり,自治体レベルで は,新潟県行政経営会議委員,川崎市公文書公開運営審議会委員,町田市街づくり審査会委員 などがいる。また,教育・研究関係では,日本学術会議会員,大学評価・学位授与機構専門委 員,大学基準協会相互評価委員会法学系第 4 専門評価分科会主査,などがいる。さらに,2004 年ヨーク・アントワープ・ルールなどを制定するために 2004 年にカナダのバンクーバーで開催 された万国海法会(Comite Maritime International: CMI)総会への日本からの使節団の一員 となった教員も在籍している。 審議会等参加データ(2004∼2005) 名前 件名 期間 主催・団体 武藤 博己 新潟県行財政改革会議専門委員会 委員の就任 04,4,1∼06,3,31 新潟県 清正 寛 平成 16 年度相互評価委員会法学系 第 4 専門評価分科会主査の委嘱 04,4,20∼05,3,31 大学基準協会 下斗米 伸夫 大学入試センター適正試験実施方 法研究会会員の委嘱 04,6,1∼06,3,31 独立行政法人大学入試 センター 石川 壮一 国家公務員採用試験専門委員の委 嘱 04,10,8∼05,9,30 人事院 廣瀬 克哉 川崎市公文書公開運営審議会委員 の就任 04,10,18∼07,12,31 川崎市 下斗米 伸夫 日露賢人会議メンバーへの委嘱 05,2,10∼06,2,9 外務省 宮本 健蔵 国土交通省大臣官房官庁営繕部入 札監視委員会委員 05,4,1∼06,3,31 国土交通省 武藤 博己 新潟県行政経営会議委員の就任 05,4,1∼08,3,31 新潟県 下斗米 伸夫 独立行政法人大学評価・学位授与機 構学位審査会臨時専門委員の委嘱 05,4,1∼06,3,31 大学評価・学位授与機構 名和田 是彦 「町田市街づくり審査会」委員の就 任 05,7,26∼現在 町田市 名和田 是彦 港南区老人福祉センター指定管理 者選定委員の委嘱 05,7,26∼現在 横浜市 金子 征史 第三期東京地方労働審議会委員の 就任 05,11,1∼07,10,31 東京労働局長 鈴木 佑司 平成 18 年度月刊『留学交流』編集 に係る協力について 06,2,1∼07,1,31 独立行政法人日本学生 支援機構 廣瀬 克哉 独立行政法人大学評価・学位授与機 構学位審査会臨時専門委員の委嘱 04,6,15∼05,3,31 大学評価・学位授与機構 下斗米 伸夫 科学研究費委員会専門委員の委嘱 06,1,1∼06,12,31 独立行政法人日本学術 振興会 名和田 是彦 科学研究費委員会専門委員の委嘱 06,1,1∼06,12,31 独立行政法人日本学術 振興会 竹内 昭 (財)私立大学通信教育協会の理事 長 05,4,1∼07,3,31 私立大学通信教育協会

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浜川 清 公法学研究連絡委員会委員 03,7,22∼06,7,21 日本学術会議 浜川 清 法学政治学教育制度研究連絡委員 会委員 03,7,22∼06,7,21 日本学術会議 浜村 彰 社会法学研究連絡委員会委員 03,10,21∼06,10,20 日本学術会議 下斗米 伸夫 政治学研究連絡委員会委員 03,10,21∼06,10,20 日本学術会議 ⑦企業との提携 政治学科では「現代メディア論」を開講しており,これは朝日新聞の寄附講座である。現在, 3 年目に入っているが,マスコミ志望の学生を初めとして毎年受講生が多い。講義は,朝日新聞 の記者が一人 1∼2 回ずつ,テーマ別に行う方式である。受講生からの質問が多く,活発な双方 向的授業となっており,所期の成果を挙げている。 b. 点検・自己評価,長所と問題点 以上の通り,法学部では多岐にわたる社会貢献が展開されてきた。個別的に見ると,寄附講座 としての「現代メディア論」については,毎年,学科主任と朝日新聞担当者が綿密な連絡を取り, その結果を講義内容に反映させ,改善に努めている。受講生数に比べて教室の規模がやや不足し ている点が問題となっていることも指摘された。加えて講義内容と学生の関心とが十分に関連し ているか,という点も検討されている。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 政治学科教員は,全員で社会人大学院の「政策研究プログラム」に関わっている。このプログ ラムについては,2006 年度をもって大幅な再編成を行った。その成果を観察することにより,社 会人大学院に対する社会的なニーズの変容について把握し,それをカリキュラムに反映させる方 法について,学科単位でも検討を行い,学部と大学院の連携について検討する。

(2)文学部

<哲学科> a. 現状の説明 すでにのべたように,本学科の多くの教員(個人または学内外の研究者とのグループ)の研究 成果は一般社会人・読書人にも発信されている。公開講座・講演等の講師については教員個人の 例を除外すると,1993 年に東京都千代田区主催の哲学講座を学科として担当してから久しいが, 本年 2005 年 10 月,本学の「ドイツ年」にちなんだ公開講座を学科主催で開催する。「社会との文 化交流等を目的とした教育システム」は現在ない。学科としての社会貢献はやや低調といわざる をえないのが現状である。

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b. 点検・評価,長所と問題点 学科として公開講座を定期的に主催・開催するのは困難であり,現実的でない。文学部他学科 による例があるように,本学のエクステンション・カレッジでの開催は可能な選択肢である。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 現在,学科がおかれている条件下で具体的な方策を短期間に策定することは困難であるが検討 課題としたい。なお,「社会との文化交流等を目的とした教育システム」は,学科レベル(少なく とも哲学科という学科レベル)での検討にはやや不適切であると思われる。 <日本文学科> a. 現状の説明 日本文学科では日頃の教員の研究を社会に還元することを重視している。特に文学を学びたい という志向は中高年層に強く,2002 年度より日本文学科専任教員が中心となり,法政大学エクス テンション・カレッジにおいて「大人のための古典文学」という公開講座を実施している。本講 座は毎年 6∼7 回から成る連続講座で,日本の古典文学の魅力をわかりやすく講義するものである。 b. 点検・評価,長所と問題点 本講座は毎年 50 名程度の受講者を確保しており,一定の評価を得ているものと考えられる。各 回,法政大学の専任教員(日本文学科 5 名のほか,キャリアデザイン学部・能楽研究所より 1 名 ずつ参加)が講師を務めることにより,日頃の研究成果を社会に還元する上でも意義がある。毎 年の講座終了時に受講者に対するアンケートを実施し,次年度以降の講座の運営に生かしている。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 今後,法政大学エクステンション・カレッジで「近現代文学講座」「創作講座」などの開設を考 えていきたい。また,日本文学科に所属する教員の中には,地方自治体主催の講座を担当してい る者も多いので,そうした結びつきを今後さらに深めていきたい。 <英文学科> a. 現状の説明 英米文学について一般社会の関心が高いとは,あまり思えないが,関心のある層のための著書 (つまり,研究者向けではなく一般向けの書籍)の出版などは,個別の教員が行っている。一方, 1990 年代は,言語学と工学(計算機科学)との間の交流が密であったが,「科学としての言語学」 と「工学としての計算機科学」は,その後,多少乖離しており,言語学の成果を工学的に応用し て社会に還元するということが,現在ではあまり現実的ではなくなっている。 b. 点検・評価,長所と問題点 外国語・第二言語の習得についての研究を一層推進し,その成果を一般社会に還元するという 可能性はあるが,そのためには実験設備および環境の整備が必要となる。

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c. 将来の改善・改革に向けての方策 教員の研究環境の整備とも重なるが,外国語の習得・教育についての科学的方法の研究をより 推進してその成果を社会に還元することを視野に入れつつ,実験環境の改善を目指したい。 <史学科> a. 現状の説明 日本史関係の教員は,自治体史の編纂事業や自治体の文化活動・講演会活動などに参加する機 会が多く,個人の主体的研究を社会的な場に還元する努力も怠っていない。また大学院修士課程 では,博物館(学芸員)・図書館(司書)・教育委員会(学芸員)・高等学校(教員)に勤務する専門職 員の生涯教育の場としての社会人入学を認めており,実績も上がってきている。 b. 点検・評価,長所と問題点 大学自体の公開講座的なものとしては,エクステンション・カレッジも存在し,そこで古文書 の解読や茶の湯の歴史など,一般に関心の高い分野の講義を設置することも可能であるが,近年 の専任教員のあまりの多忙を理由に,現在の段階では史学科としては実施していない。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 文学部史学科として保有する知的財産をいかにして社会に還元していくか,この課題は,教員 の個人的参画を除くと,組織としては,いまだ充分とはいえない。しかし,これについては教員 の個人的努力では物理的にも時間的にも限界がある。学部を卒業した研究者,大学院修了生との 連携を図りながら改善・改革に向けた施策を検討していきたい。地域への貢献は社会的に重要な 課題となってきており,大学の知名度を高めるためにもさらに様々な機会を利用していくよう努 力していきたい。 <地理学科> a. 現状の説明 研究成果の社会への還元は教員が個別に行っているのが現状である。したがって,学科として の取り組みは行っていない。ただし一部教員は「まちづくり」あるいは地域の実態調査を通して 研究成果の社会還元をこころみている。公開講座等の予定は現状では存在しない。 b. 点検・評価,長所と問題点 「地域」を対象として研究していく地理学の立場からすれば,今後それら地域と積極的に関わ り,研究成果の社会還元を学科単位で検討していく必要はある。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 学問分野の相違によって,研究成果に対する社会的関心の高い学問分野と,社会的関心の低い 分野などがあるのが現実である。従来の地理学の研究分野は社会的関心が必ずしも高くない分野 に属し,したがって社会還元の実績が乏しいのが実態である。安易に社会還元をこころみるので

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はなく,現実的問題に関して社会還元できるよう検討していきたい。 実際に「まちづくり」あるいは「災害対策」等のテーマにおいては地理学が積極的に関与でき る分野も多く,それらテーマを中心に今後,研究成果の社会還元を検討していきたい。 <心理学科> a. 現状の説明 心理学は社会的貢献が期待されている学問である。本心理学科は,基礎的研究領域の充実を重 視していることから,健常者の心の理解と能力開発に重点を置いている。そのため,心的病の治 療を目的として自治体や病院などの医療施設との連携は行っていない。現時点では,授業内や土 曜日の午後などに,心理学にかかわる職業的・社会的活動を行っている専門家を講師に招き,年 間 10 件程度の特別授業を開講している。 b. 点検・評価,長所と問題点 医療施設との連携がおこなわれていないことには,学科開設以来の歴史が浅いことも関係して いるが,今後は,学校教育や発達臨床を中心に,社会的貢献に努めていく必要があると認識して いる。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 今後,特別授業をさらに充実させていき,そこから社会的貢献や学外組織との連携を育てる努 力を行っていきたい。聴講する学生にも自覚を持ってこのような方向性に参画してもらうため, 特別授業の内容の希望から講師との折衝,実施までの準備に積極的に取り組んでもらう運用方式 を確立していきたい。

(3)経済学部

(社会への貢献) a. 現状の説明 教員のボランティアでおこなわれている法政多摩ダンススクールは,一般市民も参加できるも ので,世界各国のダンスを学ぶことができる。この催しに経済学部からは 1 名の教員が参加して いる。大原社会問題研究所では,毎年「国際労働問題シンポジウム」を開催している。2004 年度 には,経済学部教員がパネリストとして報告している。このときのテーマは「グローバル経済化 と国際労働移動 ――移 民労働者のディーセント・ワーク」で,大原社研と ILO 駐日事務所との共 催,日本 ILO 協会が後援した。また,比較経済研究所では,2002 年度から毎年公開講演会をおこ なっており,学外者の参加も認めている。各年度 1∼2 名の教員が講演をおこなっている。さらに このほかに,毎年多摩シンポジウムというシリーズのシンポジウムが開催されている。地域の地 方自治体の担当者や地域 NGO などを発表者に招き,教員とのジョイントで行うシンポジウムであ る。様々なメディアを通じて参加を呼びかけるため,学生等も含め 200 人ほどの参加が見られる こともある。経済学部は 2006 年度に担当する予定である。

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また,地方自治体等への政策形成への寄与としては,公共経済学や環境経済学などの分野の研 究者を主体に多くが参画している。本学部教員が務めている委員の一部をあげると,財務省財政 制度審議会委員,東京都廃棄物審議委員,クリーン・ジャパン・センター副産物再生品電子取引 市場調査委員,東京都環境生成営業指導センター消費モニター等事業検討委員,板橋区資源環境 委員,内閣府男女共同参画会議専門委員,文科省学術審議会専門委員,日本学術会議会員,総務 省統計局統計審議会専門委員,財務省財政制度等審議会委員,千葉市大規模公共事業等事前評価 委員,JICA「貧困と人間の安全保障」委員,山梨県環境保全審議会専門委員,武蔵野市図書館委 員など。これらの寄与の状況はこのほかにも枚挙にいとまないほどである。 b. 点検・評価 長所と問題点 公開講演会の催しに関しては,比較経済研究所の来る者は拒まずといったものから,多摩シン ポジウムの地域や自治体からの参加を広く呼びかけるものまで様々な温度差があるようだ。呼び かけをどれほど行うかによって外部からの参加者の数は決まってくるようであるので,もう少し 外部へ情報を流すことに熱心であってもいいように思える。地方自治体の政策参加に関しては, 特に大学側から働きかけているわけではないが,先方から多くのアプローチがあり実現している。 今後ともできるだけこれらの形での社会貢献を継続することは重要であろう。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 シンポジウムや講演会の開催情報を外部に伝達するためのシステム作りが必要であろう。例え ばそれを主に行う広報的な部局があり,新聞や雑誌等をつうじて早くから呼びかけを行ってもら えるとよいが,なかなかそのような事務体制は組みにくいかもしれない。開催に際してのマニュ アルのようなものがあれば,主催者も気楽に広報活動に取り組めるのではあるまいか。公開講座 や講演会などの開催のために,八王子駅や町田駅などに会場を確保することも一案かもしれない。 (企業等との連携) a. 現状の説明 寄附講座は,2004 年度および 2005 年度に大和証券から「証券市場論」というテーマで本学部 での授業がおこなわれている。八王子市と地域の大学との連携でおこなわれている八王子学園都 市大学に 2005 年度には経済学部名誉教授 3 名が講師として参加している。なお過去には,現教員 が講師を務めたこともある。国立民族学博物館地域研究企画交流センターとは連携研究プロジェ クトを 2001 年まで行い,ここに教員 3 名が参加した。共同研究のために外部組織の客員研究員な どを務める例は数多い。一例を挙げると,経済産業研究所ファカルティフェロー,広島大学総合 地誌研究資料センター客員研究員,農水省水産政策研究所の客員研究員など。その他社団法人金 型工業会「金型製造業の技術力の内外比較の調査研究」委員など,民間の研究プロジェクトにも 参加している。 b. 点検・評価 長所と問題点 毎年ではないが,寄附講座はしばしば開催されており,今後もおこなわれると考えられる。八

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王子学園都市大学からは定期的に講師派遣などが求められるようになっているので,こちらも今 後良好な関係が継続するであろう。共同研究や受託研究の場合,幸いなことに有力な研究者を擁 しているためか,多くの需要が存在している。今後も継続しておこなうことが可能であろう。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 来年以降の寄附講座の計画は現在のところない。執行部が主体となって今後の可能性を探るべ きであろう。その他は自然の状態で十分継続が可能であると思われるが,できれば八王子学園都 市大学には,大学のカリキュラム創造の部分にも積極的な参加がおこなわれることが望ましい。

(4)工学部

(社会への貢献) a. 現状の説明 工学部では自治体の社会教育機関との連携を図る目的で,主に小金井市に在住する者や付属校 の高校生又は中学生を対象としたパソコン入門集中講座を開講している。また,地域の住民(中 学生以上)を対象に毎年 1 回スポーツ講座を開講している。 2003 年度には,エクステンション講座としてパソコン講座 第一回「パソコン入門講座」 2 日間 参加者 23 名,「パソコンを使った年賀状作成講習会」 参加者 15 名などを行っている。ス ポーツ教室としては,フットサル大会 参加者 130 名,バスケットボール大会 参加者 180 名な ど,多くの参加者でにぎわった。 また,毎年開催されている法政大学イオンビーム工学研究所シンポジウムは,2005 年度には, 24 回目を迎えるに至っている。 その他,2003 年から 2005 年度実施の公開講座・講演会は,以下のとおりである。 コンピュータ・シミュレーションによる混合物固−流体平衡の推算,Carol K.Hall(ノース カロライナ州立大学教授),2003 年 5 月 24 日 PE/FE どんな資格なのか,年光孝夫(ワオコーポレーション),2003 年 5 月 29 日 PE 資格取得の意義および PE ホルダーとしての人生訓,高柳武平(日本 PE・FE 試験協議会理 事),2003 年 5 月 29 日 イタリアにおけるアーバン・モルフォロジーの研究,ニコラ マルゾト(フェラーラ大学建 築学部講師,建築家),2003 年 10 月 6 日 宇宙・平和・女性,V.テリシコヴァ(ロシア連邦外務省付属ロシア国際文化科学協力センタ ー代表),2003 年 10 月 10 日 JABEE 受審の課題と対策,2003 年 11 月 12 日

Kinetic schemes based in viscid flow solvers,プラカシュ クルカーニ(インド科学大 学院大学助教授),2004 年 3 月 1 日

(分子シミュレーション講習会)分子動力学法入門−その原理と使用上の注意点−,片岡洋 右,2004 年 9 年 8 日

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大学院大学助教授),2004 年 11 月 13 日

エラスティコ:イタリアと韓国での建築活動−新世代のイタリア建築家集団の作品とその制 作姿勢−,シモーネ カレーナ(建築家,トリノ大学建築学部講師),2005 年 4 月 25 日 Bifurcations in Piecewise Smooth Maps and their applications in power electronic

circuits,ソミトロ バナジ−(インド工科大学教授),2005 年 5 月 27 日 さらに,2005 年 8 月には,工学部と情報科学部で「学びの支援フォーラム」に共同出展を行っ た。これは,小中高生を対象とした企画で,低学年の理工系の興味の喚起を目的に親子を含め, これら啓蒙活動は非常に重要であると考えている。 b. 点検・評価,長所(成果)と問題点 市民講座の受講生の募集には,小金井市報・ポスター掲示の他,一般報道機関により募集した こともあり,小金井市をはじめ東京都全体におよんでいる。当初は 50 歳以下の男子成人(サラリ ーマン)が 7 割を占めていたが,最近では女性(主として主婦の方々)も多数参加されている。 工学部という特色を生かした社会人に対する生涯教育と,大学と自治体の社会教育機関との連携 を図るという当初の目的は達成できている。公共団体の審議会等には十分貢献していると判断さ れる。教員の研究活動の一端として参加しているケースもあり,研究の活性化に寄与している面 もある。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 公開講座に関しては,市民のニーズに応えたより高度な生涯学習要求に対応した講座を実施す ることが重要である。また,パソコン入門講座に関しては情報科目の必修化により,入門講座で はなく,より専門的な内容を含めた応用講座を開講することが必要となる。社会に貢献すること は大学人の使命でもあり,教育・研究活動に支障がない限り公共団体の審議会等には貢献すべき と考えている。

(5)社会学部

(社会への貢献) a. 現状の説明 学部として社会との文化交流等を目的とした教育システムをもっているわけではないが,実習 科目授業や演習授業において,学生が大学外で活動する機会が増えており,結果として社会との 交流につながっている。実習科目の授業においては,社会調査実習や政策研究実習として,大学 外部で環境,まちづくり,産業振興などの特定のテーマに関する社会調査を行なう過程で,社会 との交流を深めている。また,演習授業についても,学外で調査や研究を実施するゼミ活動もあ る。 カリキュラムの上では,ボランティア等を教育システムに取り入れているわけではないが,ボ ランティア活動に参加して地域貢献する学生を大学が支援している。地元の町田市の学童クラブ にボランティアとして参加している社会学部の学生の活動は,法政大学多摩キャンパスの「キャ

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ンパス・サポート・プログラム」の対象ともなっている。 ゼミ活動や実習科目授業として,キャンパス外で積極的に調査研究を実施し,高度な内容の成 果を市民に還元している事例もみられる。 ・ 多摩地域の観光などをテーマに多摩に関するガイドブックを毎年作成しており,市販の出版物 として公刊しているゼミもあり,この活動は主要全国紙の多摩版で毎年のように紹介されてい る。 ・ 近隣自治体の環境政策策定への協力や環境に関する報告書づくりに貢献する活動しているゼ ミもある。 ・ 自治体や政府の外郭団体から受託して,杉並区におけるアニメ産業の調査を実施し報告書を発 表したゼミもある。 ・ 台東区の地域振興を目的に,地域資源を発掘する調査活動を実施しているゼミもある。 ・ ゼミ活動の一環として,当社会学部の公式ホームページ(SOC)作成に取り組んでおり,この ホームページは高い評価を受けている。 ・ 政策研究実習として,台東区の中小企業に対するコンサルティングに学生を参加して(現代 GP),企業の製品開発や経営活動に貢献している。 市民向けのシンポジウムや会議に関しては,多摩キャンパスにおいて 3 学部の回りもちで開催 している多摩シンポジウムや研究所・センターによる市民向け「公開講座」に本学部教員が積極 的に参加・運営している。毎年,地域も含めて,多数の市民が参加している。 地方自治体等の政策形成への寄与については,社会政策科学科の教員を中心に,地域研究セン ターなどと協力しながら進めている。町田市,八王子市,城山町など近隣自治体の審議会や委員 会の委員として参加している。近隣自治体ばかりでなく,全国の地方自治体において政策形成に 関わっている。 b. 点検・評価,長所と問題点 社会学部においては,ゼミ活動や実習科目授業の一環として,社会との交流や社会への貢献活 動が進められている。こうした活動は担当教員の研究フィールドに近いことや公的機関等の受託 や連携として実施されているため,研究成果の質が非常に高く,結果として高い教育効果をもつ という特徴がある。取り組みはゼミや教員が個別に進めているのが実情であり,学部全体の取り 組みとはなっていないことが課題である。 市民と様々なレベルにおいて交流を推進する教育の取り組み,そして公開講座や社会人教育等 による積極的な社会貢献は重要であり,そのための企業,自治体,NPO 等との組織的連携が必要 である。今後の学部教育はこうした視点を無視しては成り立たないし,社会からの評価も高まら ないであろう。このような認識の共有化と制度化が今後の課題である。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 社会学部という性格上,多様なルートで社会と交流して,社会貢献を進めていくことが望まし い。社会貢献は大学外の社会のためだけに実施するのではない。大学,そして学部の教員や学生 の研究教育にとってもさまざまな資産を形成するものであり,このことについてさらに認識を深

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めていくことが必要である。この認識を学部教員が十分に共有することから始める必要がある。 (企業等との連携) a. 現状の説明 大学外との教育研究上の連携としては,学生のインターンシップがある。本学部は企業,自治 体,NPO などと連携して,インターンシップを実施してきた。インターンシップの実施のために, 担当教員が企業・自治体・NPO などとの連携を進めてきた。 企業等との共同研究や受託研究は社会学部としては実施していないため,産学連携に伴う倫理 綱領は特に整備するにいたっていない。 b. 点検・評価,長所と問題点 本学部の教員は個人として企業等と連携して研究・教育を進めてきたが,それを正規のカリキ ュラムの中に取り組む組織的体制が不足してきた。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 学生や社会の多様で変化の激しいニーズに応えるためには,大学内だけで教育・研究すること には限界がある。企業・自治体,NPO などとの連携は,今後ますます必要になるだろう。それを 学部が組織的に進める必要があるだろう。

(6)経営学部

a. 現状の説明 本学部では市民を対象とした公開講座は開講していない。ただし,本学部教員は大学院や付属 研究所等で開催している各種の公開講座・シンポジウムに報告者,討論者,司会者として参画し ている。 また,毎年,経営学部同窓会との共催で学生を対象とした「企業トップ・マネジメントセミナ ー」を実施している。ここ 3 年間の講師は以下の通りである。 2002 年度 王子製紙株式会社会長 大国昌彦氏 参議院議員 椎名素夫氏 オリンパス工業株式会社会長 岸本正尋氏 2003 年度 ベネッセコーポレーション株式会社社長 森本昌義氏 衆議院議員 渡辺喜実氏 日本商工会議所名誉会頭 稲葉興作氏 2004 年度 日産自動車株式会社常務 渡邊邦幸氏 日本ゼオン株式会社会長 中野克彦氏 b. 点検・評価,長所と問題点 ここ数年間,イノベーション・マネジメント研究科,アカウティング・スクール等の専門職大

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学院の開設業務に忙殺され,公開講座を開催できなかった。専門職大学院がスタートした現在, 本学の「開かれた法政 21」の理念を実現し,各教員の研究成果を社会に還元するためにも,社会 との文化交流,市民参加を目的とする学部主催の公開講座を早急に開設すべきである。 「企業トップ・マネジメントセミナー」は,各界のエクセレント・カンパニーの経営者や産業 界に精通した政治家を講師に招いており,多くの参加者を集めている。学生にとって,実業界や 政界の内実を知る絶好の機会となっており,就職活動にも役立っている。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 公開講座の開講にあたっては,ありきたりのテーマではなく,本学部の独自色が出せるテーマ を選択することが肝要である。また,テーマにもよるが,他学部,大学院,研究所,あるいは学 外団体との共催も検討すべきである。 経営学部同窓会との共催による「企業トップ・マネジメントセミナー」は,必ずしも全学的な ものになっていない。開催にあたって,今後,各学部教授会・同窓会と連携を図る必要がある。

(7)国際文化学部

a. 現状の説明 公開講座としては 2000 年 6 月に本学部主催による「学部創設記念講演シンポジウム」を「国家 と言語 21 世紀への展望」のテーマのもとに行った他,多数の学部主催の学術活動を実施してい る。 その他,学部教員の主催,共催する催しについては,以下のように毎年数多く,本学部らしい 国際的なテーマで様々開催されている。 2003 年度 日付 タイトル 場所 担当教員 5 月 29 日 ベルリンの今-詩の朗読と対談の夕べ スカイホール 山根恵子 6 月 4 日 アイルランドの音楽とダンス スカイホール 鈴木晶 6 月 28 日 メディアアートと哲学の間に 0300 教室 森村修 7 月 31 日 白石かずこの世界 スカイホール 山根恵子 10 月 10 日 女性と宇宙と平和(テレシコワ女史を迎えて) スカイホール 吉田衆一 11 月 13 日 日印作家キャラバン 2003 スカイホール 島田雅彦 2004 年度 日付 タイトル 場所 担当教員 5 月 12 日 Senocak 氏が語る「多文化社会ドイツ」 スカイホール 山根恵子 5 月 15 日∼ 12 月 11 日 の 5 回 無数の「もうたくさんだ!」の声が聞こえる 0300 教室 今泉・藤岡 6 月 4 日 アレン・ネルソン氏を囲んで「戦争と平和を考え る」 B会議室他(3 キャン パスを結ぶ遠隔講義) 山根恵子 6 月 13 日 日本とフランスにおける探偵小説の考古学 スカイホール ジョルディ・岡村

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10 月 8 日 日独司書教育シンポジウム スカイホール 山根恵子 10 月 6 日∼ 11 月 17 日 の 3 回 検証「イスラム報道」 A会議室 中島成久 10 月 14 日 フランク・バイヤー監督来る スカイホール 山根恵子 11 月 19 日 現代ラテンアメリカ小説 0300 教室 大西亮 2005 年度 日付 タイトル 場所 担当教員 5 月 22 日 日独文学の出逢い スカイホール 山根恵子 7 月 2 日 日本国際文化学会全国大会 スカイホール 大沢暁 7 月 10 日 韓国文学と映画をめぐって スカイホール 川村湊 5 月 25 日∼ 7 月 13 日に 4 回 検証「イスラム報道」 A会議室 中島成久 9 月 17 日∼ 18 日 朝鮮人満州移民シンポジウム スカイホール 川村湊・高柳俊男 11 月 3 日∼ 4 日 出版メトロポール東京 スカイホール 山根恵子・島田雅彦 11 月 13 日 日本のドイツ人-ショートフィルムコンテスト スカイホール 山根恵子 以上の催しのいくつかについて説明しておく。2004 年 6 月 13 日に行われた「日本とフランス における探偵小説の考古学」は,本学部と東京日仏学院による「探偵小説の考古学から今日の探 偵小説家へ」の一翼をなすとともに,「法政におけるフランス年」参加イベントでもある。第一部 のジョルディ教授による「初期フランス探偵小説における犯罪の天使」と題した講演等の連続講 演に続き,第二部では,サイレント映画『ジゴマ』と『ファントマ』が弁士の活弁つきで上映さ れ,300 名以上の,一般市民も含んだ参加者を集めた。 2005 年 11 月 3 日∼4 日に行われた「出版メトロポール東京」は,「日本におけるドイツ 2005/ 2006」「法政におけるドイツ年」参加イベントで,日独の若手作家 18 名(ドイツからは Ingo Schulze, Marcel Beyer,Kathrin Röggla,Yoko Tawada ら 9 名,日本からは角田光代,平野啓一郎,高橋 源一郎,山田詠美ら 9 名)が一堂に会して,作品朗読やトークを行った。これも半数以上が一般 市民である,400 名近くの参加者を得て,盛会のうちに幕を閉じた。 b. 点検・評価,長所と問題点 研究者や学生をターゲットにした,学部主催や教員主催あるいは共催の催しだけでなく,本学 部では一般市民をターゲットにしているといえるような様々のイベントを多数企画し催している。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 専門家同士の情報交換や情報共有のための研究会やシンポジウムなどの必要性はここであらた めて説く必要はないと思うが,そのような専門的情報を地域や一般市民にも向けて公開し,学問 的レベルの高い企画に恒常的に大勢の参加者が集まる機会を,さらに多く提供していくことを本 学部の使命として,今後とも積極的に考えていく所存である。

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(8)人間環境学部

a. 現状の説明 大学の所在地に近い神楽坂地域やフィールドスタディを通じて交流するようになった地方自治 体や NGO・NPO とともに様々な地域活動を行っている。代表的な事例は次の通りである ① 東京都神楽坂地域 本学部のまちづくりに関する研究会からスタートし,神楽坂地域の活性 化のための教員と学生によるまちづくり企画への参加,商店街のイベント協力を行っている。 また,近接した飯田橋地域についても同様にまちづくり企画,商店街のイベント協力等を行 っている ② 新潟県吉川町 山里大学を現地で開催,また年間を通じて地域活動(雪下ろし,田植え,草 取り,稲刈り,露天風呂作り等)を実施している ③ 茨城県宍塚大池地域 年間を通じて里山保全活動に従事している また,本学部教員はさまざまな形で,政府,地方自治体等の審議会等の委員として活動してい る。それらの中で,ここでは当学部の特徴とも言える環境関連のものについて,いくつかの事例 を挙げると,環境省中央環境審議会専門委員,環境省南極地域活動計画確認検討委員会委員,北 九州市次期総合計画検討委員,千代田区「みらいくる会議」委員,同区新エネルギービジョン策 定委員,緑資源公団評価委員会委員など国から公団,地方公共団体など多方面にわたり活動して いる。 b. 点検・評価 長所と問題点 上記 a①の神楽坂地域の事例は,市ヶ谷キャンパスの学部を超えた学生グループの活動として 発展し,また,法政大学と地域の人々との「伝統芸能を鑑賞する集い」へと発展し,2005 年には 第 3 回を数えるに至っている。 ②の吉川町の事例は,法政大学と吉川町の相互協力協定に発展し,学生と地元住民が参加する山 里大学などが開催された。市町村合併に伴い,2005 年 8 月上越市との協定へと発展した。また, フィールドスタディの参加者などが OB・OG となったものも加わって雪下ろし等の地域活動にボラ ンティア参加し活動の広がりをみせている。 ③の茨城県の事例は,地元の NPO 法人「宍塚の自然と歴史の会」のほか,本学部社会人学生 OB を中心とした NPO 法人「人間環境ネット 21」の協力を得て実施している。 以上のように多様な地域活動を多様な手法で模索している段階である。 学部として独自の公開講座は実施していないが,学部の開設や大学院の環境マネジメント専攻 の開設など様々な機会に公開シンポジウムを開催し,又は参加協力している。2005 年 11 月に「奥 多摩を見つめ直して」というシンポジウムを開催した。 また,教員はさまざまな形で,国,自治体等の政策形成に寄与するとともに,最新の動き,現 場のかかえる問題をふまえた授業により教育内容の向上を図っている。地元である千代田区につ いては,委員就任を契機として交流が始まり,同区のポイ捨て禁止条例,ISO 認証取得などにも

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貢献するとともに,同区と共同して区の環境保全施策に関し研究を進めている。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 大学の社会との交流は,本学部においてはその理念である人間と環境との関係に関する諸問題 に対して行動する人間を形成するという点からも特に重要な課題と考えており,今後ともフィー ルドスタディや研究会などの場を利用しつつ,自治体,NGO・NPO との交流を広げたり,深めたり していく。

(9)現代福祉学部

a. 現状の説明 現在のところ専任教員が担当する地域系科目 14 科目(都市と環境,バリアフリー概論,ボラン タリー・アクション,地域文化政策,まちづくりの思想,地域経営,人と環境,地方自治論,非 営利組織の運営,文化環境創造論,居住福祉,地域創造入門)が「ショートプログラム」と題し て,通常の特別聴講生科目よりは安価に,火・木曜日の週 2 回(1 時限∼4 時限)市民に公開され ており,例年,数名の市民がこのプログラムを受講していたが,2005 年度はこれまでプログラム をコーディネイトしてきた教員が研究休暇で不在などの事情で一時募集停止とした。 社会福祉,地域づくり,臨床心理の各専門領域に関連する地域の関係機関や施設などでの実習 とも関連づけて,個人,グループあるいはゼミ単位でのボランティア活動が奨励されている。 また,地方自治体等の政策形成への寄与は,各種の審議会や委員会への参加を通して,個々の 教員レベルで行われている。 b. 点検・評価 長所と問題点 上記のショートプログラムは,いまのところ平日の日中に限られていることなどから,市民の 参加数はごく少数にとどまっている。 各専門領域の実習とも関連づけたボランティア活動は,本学部の教育上の成果の市民への還元 の一環とも位置づけられるが,一方では,学生自体の専門領域での実践力の強化,ひいては将来 地域社会で従事する専門領域での仕事への準備性の向上にも役立っている。 c. 将来の改善・改革に向けた方策 上記のようなショートプログラムを,今後は社会福祉系および臨床心理系の科目の一部につい ても拡大実施するとともに,それらの講座について市民が参加しやすい夜間や週末での開講を検 討する必要がある。しかし,本学部の限られた教職員のみで夜間や週末を中心としたショートプ ログラムを開講することは,現実にはかなり困難であり,積極的に展開するには,それに対応で きるだけの人的体制の整備がなされる必要がある。 また,実習とも関連づけて実施されている学生のボランティア活動を本学部の教育システムの なかにきちんと位置づけるとともに,その活動の成果を教育や研究にフィードバックするために は,将来的には,地域の住民を対象とした本学部の実習施設(たとえば,児童,高齢者および障

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害児・者などを対象とするデイセンター)の開設なども選択肢として,考えられるが,現在のと ころ,本学部内でそうした選択肢についてコンセンサスづくりは行われていない。したがって, それを具体化するには,今後教授会のなかで,コンセンサスづくりをすすめる必要がある。

(10)情報科学部

a. 現状の説明 社会との文化交流の一環として第一回のサイバーワールド国際会議を主催し,広く世界から論 文を集め,当学部の国際性を広めた。本会議が成功裏に終わったため,その後,継続的な国際会 議として独立しこれまで毎年各国持ち回りで開催されるようになった。本学部としてもオリジナ ル論文を投稿・発表し引き続き貢献している。 非定期的ではあるが専任教員による研究教育活動の公開講座を開催し広く一般の聴衆を対象に 本学部の活動紹介をおこなっている。2005 年度はコンパイラの歴史と本学部専任教員の研究教育 の取り組みの歴史について公開講義を行った。 また本学部では学外の非営利団体であるオープンソースファンデーションに加盟し,本学部で 研究開発したソフトウェアを無償で提供する活動を進めている。主に JAVA や Web ブラウザ,イン ターネット関連の共通基盤ソフトウェアの提供及びその普及に努めている。さらに,本学部の計 算機資源を提供し,先の団体の共用サーバとしての運用も始めている。 b. 点検・評価,長所(成果)と問題点 本学部は新設間もないので本学部の活動を広く一般に知らしめることからはじめる必要がある と考える。優れた学生の確保と言った入り口対策と呼応した良い出口戦略が重要となる。レベル の高い教育を施し高い技術を習得した学生を送り出すだけでなく,積極的に学生の起業を促進し, 社会に貢献し地域を活性化する努力が重要となる。そのための拠点として小金井キャンパス再開 発を進める。地域社会から広く認知される学部とするために,本キャンパスを情報発信基地とし て位置づける必要がある。 c. 将来の改善・改革に向けての方策 本学部の柱の一つである,CG・映像関連の技術では,小金井・三鷹地区のロケーションの特徴 を生かした学外との連携が今後期待されるとなる。既に,起業した学生との連携,支援などが始 まっており,益々,地域と密着した活動が活発になると予想される。 近隣にアニメ製作会社,や CG 関連の企業も多く,小金井地区のキャンパス再開発と共に,学生の 起業をさらに促進し,「開かれた法政」として本学部は小金井キャンパスを,小金井・三鷹地区の 拠点として社会との交流を深め産学に地域市民も巻き込んだ活動を展開して行く計画である。

(11)キャリアデザイン学部

本学部の理念は,これまでの大学の既存学部にはない新規性をもつことから,キャリアデザイ

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ンの考え方を社会普及すると共に,学外から経済・労働・教育・文化関係などの有識者から意見 を聴く機会を積極的に展開している。よって講演会やシンポジウムを学部の設立認可前から活動 を開始し,学部設立後は各地の自治体や教育関係団体などと共同した活動を継続的に実施してい る。以上の企画は,社会にキャリアデザインを普及する推進力の役割を果たしている。 以下,本学部が取り組んできたシンポジウムについて具体的に記す。 1:学部設立前 第 1 回 2002 年.10.4.シンポジウム『生涯学習社会とキャリアデザイン」(主催:法政大学)(会場: 法政大学ボアソナード・タワー・スカイホール)参加者 200 名 基調提案:桐村晋次(古河電気工業(株)顧問・日本経済団体連合会教育問題委員会委員)『経済仕 会の構造変化とキャリアデザイン∼新しい時代にどのような人材が求められる か」 尾木直樹(教育評論家・臨床教育研究所「虹」所長)『キャリアデザインと家族・学校・ コミュニティ∼新しい時代にはどのような教育が求められるか」 パネルディスカッション:桐村・尾木・清成忠男(法政大学総長) 司会:笹川孝一(法政大学教授) 第 2 回 2002.12.3.シンポジウム[豊かな職業生涯とキャリアデザイン∼これからの生涯学習と職 業能力開発のあり方を探る」(主催:雇用・能力開発機構生涯職業能力開発促進センター,法政大 学)(会場:アビリティガーデン) 基調提案:矢野弘典(日本経済団体連合会専務理事)「エンプロイヤビリティ形成に向けて」 村上忠行(日本労働組合総連合会副事務長)「いまこそ持続可能な能力開発を」 清成忠男(法政大学総長)「キャリアデザインと大学の役割」 草野隆彦(厚生労働省能力開発局総務課長)「キャリア形成の現状と支援政策の展開」 パネルディスカッション:矢野,村上清成,草野 司会:村木太郎(生涯職業能力開発促進センター所長) 第 3 回 2002.12.13 シンポジウム「キャリアデザインと大学の役割住催:法政大学)(会場:法政大 学ボアソナード・タワー・スカイホール)参加者 200 名 基調提案:寺脇研(文化庁文化部長)『生涯学習社会の構築とキャリアデザイン」 パネルディスカッション:寺脇研,寺下栄(河合塾大学事業本部事業開発部長) 清成忠男(法政大学総長),司会:笹川孝一(法政大学教授) 2:学部設立後(2003 年度) 第 1 回シンポジウム「キャリアデザインと生活文化」(主催:法政大学)(会場:法政大学ボアソナ ード・タワー・スカイホール)2003.4,25,参力者::200 名 基調提案:熊倉功夫(国立民族学博物館)「キャリアデザインと生活文化」 松岡正剛(編集工学研究所所長)「遊びと自己編集」

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パネルディスカッション:熊倉,松岡,平林千牧(法政大学常務理事) 司会:笹川孝一(法政大学教授) 第 2 回シンポジウム「キャリアデザインと進路指導」(主催:キャリアデザインと進路指導シンポ ジウム実行委員会,共催:法政大学キャリアデザイン学部,法政大学入試センター,法政大学キ ャリアデザイン学会,法友野球倶楽部)(会場:サン・ガーデンホテル柏) 2003.8,1,参加者 150 名 講演:金光興二(法政大学野球部監督)「スポーツとキャリアデザイン」 児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)「現代の若者のキャリア教育」 第 3 回シンポジウム『多文化共生社会とキャリアデザイン違いから学び自分らしく生きるために」 (主催:シンポジウム『多文化共生社会とキャリアデザイン』実行委員会共催:法政大学キャリア デザイン学部/法政大学キャリアデザイン学会) (会場:川崎市)2004.3.7. パネリスト チェ・カンイジャ(川崎市ふれあい館職員) 中村ノーマン(川崎市外国人市民代表者会議第 3 期委員長) 姜文江(弁護士) 風巻浩(神奈川県立麻生高校教諭) コメンテーター 山田貴夫(川崎の国際化を考える会) べ・ジュンド(川崎市ふれあい館館長) 趨宏偉(法政大学キャリアデザイン学部助教授) 小林文人(社会教育研究者) コーディネーター 山田泉(法政大学キャリアデザイン学部教授) (2004 年度) 第 1 回シンポジウム「起業とキャリアデザイン」(共催:法政大学キャリアデザイン学部・ニュー ビジネス協議会・日本ベンチャー学会)(会場:法政大学ボアソナード・タワー・スカイホール) 2004.9.3,参力者::200 名 オープニングスピーチ : 清成忠男(法政大学総長&日本ベンチャー学会会長) 『起業とキャリアデザインの時代』 基調講演 1 : 大竹美喜(アメリカンフ ァ ミ リ ー 生 命 保 険 会 社 創 業 者 , 最 高 顧 問 ) 『私のベンチャー教育論−起業は教育である−日米の人材教育を考える−』 飯塚哲哉((株)ザインエレクトロニクス 代表取締役,日本半導体ベンチー 協会会長)『私のベンチャーキャリア論−大組織からベンチャーへの途』 パネルディスカッション :「起業とキャリアデザイン」 コーディネーター : 小門裕幸(法政大学キャリアデザイン学部教授)

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コメンテーター : 外川洋子(法政大学キャリアデザイン学部教授) 児美川孝一郎(同助教授) パネリスト : 秋山 進(NPO インディペンデント・コントラクター協会理事長) 朝吹 誠((社)海外広報協会専務理事) 岩尾啓一((株)キャリア工学ラボ代表取締役) 白井達郎(産学共同システム研究所㈱代表取締役) 中島みどり((株)アリス・インスティテュート代表取締役) ここでは,新しい時代が求める人材像の一つである「起業家(アントレプレナー)」に焦点を当 て,具体的にどのような人材が求められているのか。どのように育てるのか,どのように学ぶの か,どのようにキャリアを重ねるのか。教育で「起業家」を育てることができるのか。キャリア デザインの視点から,構造改革の原点である教育にも関連し,日本の未来を担う起業家・起業家 精神について,『起業とキャリアデザイン』というテーマで,講演とパネルディスカッションを行 った。 第 2 回シンポジウム『地域活動とキャリアデザイン』(主催:法政大学キャリアデザイン学部)2005 年 3 月 12 日(土),参加者:150 名(法政大学市ケ谷キャンパス ボアソナード・タワー26 階ス カイホール 【プログラム】 第一部 仕事の話を聴く,街の記憶を記録する コーディネーター 児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授) (1)佐野眞一(ノンフィクション作家) ・・・「人生を観て,聴く」 (2)森まゆみ(作家・地域雑誌「谷根千」編集者・東京国際大学教授) ・・・・「地域の記憶を今に活かす」 第二部 神楽坂を語る 司会 梅崎 修(法政大学キャリアデザイン学部講師) (1)神楽坂で働く人たち(映像上映) 料亭幸本,本書き旅館「和可菜」,助六(下駄・履物)など (2)パネルディスカッション 平松 南(「不二家」飯田橋店 3 代目店主,神楽坂まちの手帖発行人・編集長) 山下 修(「山下漆器店」2 代目店主,神楽坂まちづくりの会会員) 石井 要吉(「助六」3 代目店主,神楽坂通り商店会副会長) 山本 歩 (料亭「幸本」若女将) コメンテーター 金山喜昭(法政大学キャリアデザイン学部助教授) 小林ふみ子(法政大学キャリアデザイン学部講師) さらに,2005 年秋,学部の主催する,以下に記す国際シンポジウム「生涯学習政策とキャリア デザイン」を成功裏に開催した。 1.期日: 2005 年 11 月 20 日(日)

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2.会場: 法政大学ボアソナードタワー26 階スカイホール 3.主旨:各セクターで推進している生涯学習政策の動向を理解するとともに,相互間での協力・ 連携の現状と今後の可能性を探ります。また,近隣諸国,欧米等の情報・意見交換を通じて, 各国の動向を知り,お互いの理解を深めること。 4.プログラム テーマ 「生涯学習政策とキャリアデザイン」 10:00∼10:15 平林千牧法政大学総長 挨拶 10:15∼13:00 シンポジウムⅠ 生涯学習政策とキャリアデザイン ∼キャリアデザインを支える生涯学習政策の協力関係はどこまで進んでいるか∼ 〔パネリスト〕 田中壮一郎 文部科学省生涯学習政策局長 草野隆彦 厚生労働省大臣官房審議官(職業能力開発・国際担当) 鈴木正人 日本経団連教育政策担当常務理事 朝倉征夫 日本社会教育学会前会長 〔コメンテーター〕 金信一(キム・シニル) ソウル大学教授,韓国教育学会会長 ゲイリー・コンフェッソリ ジョージワシントン大学教授 謝文安(チア・マンノン) シンガポール成人教育協会前会長 福井秀夫 国立政策研究大学院大学教授 〔コーディネーター〕 笹川孝一 法政大学キャリアデザイン学部学部長 13:00∼14:30 昼食懇親会 14:30∼17:00 シンポジウムⅡ 東アジアにおける生涯学習政策の現段階 〔パネリスト〕 崔云実 韓国,亜洲大学教授,韓国平生教育学会副会長 王政彦 台湾,台湾高雄師範大学教授 謝文安 シンガポール,シンガポール成人教育協会前会長 崔宝峰 マカオ,マカオ成人教育学会会長 〔コメンテーター〕 前平泰志 京都大学教授 他 ゲイリー・コンフェッソ(Confessore,Gary) ジョージワシントン大学教授 〔コーディネーター〕 村上博光 甲南女子大学教授 上杉孝寛 京都大学名誉教授 以上の取り組みは,関心を持ち参加する人も多く,また,多くの参加者茅人に好評を得ており, 今後の活動に期待を寄せられている。

参照

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