4-2 専攻科目
(機械工学科)
機 械 工 学 科 履 修 案 内
(2014年度入学者から適用)
【機械工学の内容】
「機械工学」は, 『もの』を〈作り〉,〈動かす〉ための学問です。「機械工学」が取り扱う対象は,身近な家電製品・
自動車のほか,大きなものは航空機・船・製鉄所や化学プラント,小さいものはエンジンの中のバルブやバネなどの部 品,コンピュータ内部の半導体素子,などさまざまです。 「機械工学」は,あらゆる産業において中心的な役割を果たし ています。 「機械工学」を〈手法〉と〈技術〉の観点から見ると,機械の機能を実現したり向上させたりするための『要 素技術』,各要素を巧みに組み合わせる『設計』,具体的に機械を作り上げる材料と加工に関する技術,構成されたシス テムを適切に運転するための計測や制御の技術,そして保守の技術から成り立っていることが分かります。
これらを,自動車を例にとって,具体的に見てみましょう。自動車の『機能』を支えるのは, 「エンジン」と「変速機」
等の伝動装置,「ステアリング」や「サスペンション」のような操縦や乗り心地に関連する機器です。これらの機器は,
『要素技術』の結晶です。これを形にするためには,部品の形と材料を決め,それをいかに組み合わせるかといった『設 計』の段階を経て,製作図面を描きます。この図面をもとに材料を加工し,組み立てて製品に仕上げます。最近のエン ジンは,回転速度などを測定しながら,エンジン回転のちょうどいい時期に適量の燃料を噴射します。このように,現 在の状態を測定してそれを利用して何らかの操作を施す「制御」が,近年の機械では数多く見られるようになりました。
また,故障を起こさないように,保守や管理も必要です。
『要素技術』を支えるのは,基本法則やその上に積み上げられた比較的体系的な知識や手法で,いくつかの分野に分 けられます。それぞれ,機能を構成する要因に着目して,その特性を分析するものです。エンジンを動かしているのは シリンダ内の空気の圧力ですが,エンジンの中で空気がどのように変化して動力を生み出しているかは「工業熱力学」
が扱います。エンジンの内部には,ピストンの往復運動を出力軸の回転運動に変換する「機構」が使われています。ト ルクコンバータ(無段変速機)では油の圧力によって動力を伝達しますが,油や水のような流体がどのように流れ,ど のような圧力を示すかは「流体力学」が扱います。運動をする部分には力がかかりますが,このような力や振動の様子 を調べる方法は「工業力学」や「機械力学」の守備範囲です。前述の燃料噴射に見られるように,状況に応じた最適な 運転が要求される場合, 「自動制御」が役立ちます。これらの分野は,微分積分といった数学と力学を基礎に成り立って いて,底辺を流れる考え方は似通っています。
できあがった機械は,最初から設計通りに動作するとは限りませんし,時代とともに要求される性能も変化します。
壊れる,不快な振動や騒音を出す,機能や性能が不足している,機械にやらせようとしている仕事の時間的・人員的・
エネルギー的効率が悪いなど,問題が生じたときに,こういった不具合を改善していかなければなりません。そのため には,問題を抽出し,実験や数値解析を利用して原因を調べ,問題点を解決していきます。そこでは, 『要素技術』に関 連する分野を学ぶ際の,機能や要因に着目して分析した経験が生かされます。
一方,新たに『もの』を創り出す『設計』では,さまざまな知識やアイデアを総合する能力が要求されます。基礎能 力として要求されるのは,基本的な機械要素を強度設計にもとづいて利用するノウハウで,通常「要素設計」と呼ばれ ます。 「要素設計」の基礎は,部材に外から力が加わったときに内部にどのような力が発生して,どのように変形するか を扱う「材料力学」にあります。機械の多くは,鉄鋼を中心とする金属でできていますが,近年は,プラスチックなど 非金属の材料が使われることも多くなりました。このような材料の性質を扱っているのが「機械材料」で,これと「材 料力学」を組み合わせて,壊れない部品を設計することになります。
例えば鉄鋼材料で部品を作るとき,溶けた鉄を型に流し込む鋳造,板や棒材を型押しする鍛造,刃物で削る切削など のさまざまな成形工程と,加熱や冷却をコントロールして硬さやねばり強さを向上させる熱処理,こういったいくつか の工程を経て部品ができあがります。製造者に部品の形を伝えるのに図面が使われます。自分の意図を他人に正しく伝 えるにはルールに従って描く必要があります。さまざまな加工方法は,部品の形にも影響しますので, 「加工学」で学ぶ 加工方法と「機械製図」や「CAD/CAM」で学ぶ図面の描き方は,密接に関係します。
以上のように,機械工学はさまざまな分野から成り立っていますが,これを図式化すると概ね次のようになります。
図1 機械工学の構成
【優れた機械技術者になるための心構え】
上に説明したさまざまな知識や解析手法を使って,新しいものを開発したり,既存の製品の中から使うものを選んだ り,与えられたものを安全に,また機能を維持できるように使っていくのが機械技術者の仕事です。一言で言えば,問 題点を見つけて解決すること,要求に応じて『もの』を設計することが主な仕事の内容です。一人の人間ができること には限りがありますから,すべてに秀でた人間になるのは不可能です。しかし, 『要素技術』と『設計』の分野について,
それぞれが何を扱っているかを広く理解し,必要な知識をいつでも調べることができる能力が必要です。さらに, 『要素 技術』の最低1つの分野について,かなり深く掘り下げて分析した経験を持つこと, 『設計』に代表される総合化を経験 することが必要となります。
技術者は,新しいものを常に吸収できなくてはいけません。したがって,継続的に学習する力を大学の間に身につけ てください。継続的に学習する力として,情報を収集する力とその情報の良し悪しを判断する力が最も大切です。前者 は,書籍や技術系の雑誌によるものを含めて,探す場所を知っておくこと,そして絶えずそれを利用することが重要で す。後者は,機械工学の基本的な知識によるところが大です。
情報を収集する上で,2つの意味で英語の力が必要です。第一に,情報の多くは英語で発信されます。これを読めな いでは技術者として失格です。第二に,情報は単に書籍や雑誌など紙の媒体や,インターネットを通した電子媒体だけ ではありません。個人的なつながりを持っていると増殖的に情報を得ることができますが,そのような情報は他人が真 似できず,人間としての価値を高めてくれます。このような環境を作るには自ら情報を発信することも必要です。個人 的なつながりは国内だけでは不足しがちですから,英語を自在に操って,グローバルに活躍できる技術者を目指してく ださい。
『良い機械』を作るのが機械技術者の使命ですが,『良い』とは何を基準に考えればよいでしょうか。これまでは, 「燃 費が良い」「効率が良い」「性能のわりに安い」など,機能と経済性からの判断が優先されていました。しかし現在は,
環境や人間に対する優しさが強く望まれ,フロンや炭酸ガスの例にも見られるように,地球規模での是非の判断も必要 です。また,相手国の国情や貧富の差,民族・宗教の違いをも考慮して『良い』かどうか判断しなければならないこと も出てきます。 『良い機械』の判断が難しくなりました。包容力を持った豊かな人間性と柔軟で幅広く考えられる,知性 に裏打ちされた教養が必要です。
以上にあげた能力と経験を持つ人が,優れた技術者と言えます。
【教育の目的・目標】
機械工学科では,本学及び本学工学部の教育理念の下に,工学上のさまざまな基盤技術の中核を成す機械工学に関わる 研究を促進し,その過程や成果を通して幅広い教養と機械工学に関する深い専門知識を持ち,機械技術と人間,社会,環 境との調和に配慮した「ものづくり」を実践できる人材の育成を目的としています。
ディプロマ・ポリシーは,本学科の教育理念の下に定められたカリキュラムにおいて,卒業要件単位を修得した者は,
次に掲げる素養及び能力を有していると判定され,学士(工学)の学位が授与されます。
(1)社会・文化・自然等に関する教養と外国語の素養を身につけている。
(2)幅広い視野と教養を背景として,機械工学が社会や環境に及ぼす影響を理解する能力や技術者としての倫理観を有
機 械 加 工
計測・制御 設 計
材 料
要 素 力 学
運 転
管理・保守
機械工学科で学ぶ内容
している。
(3)機械の仕組みや動作原理を理解するための基礎的知識を身につけている。
(4)機械やシステムを製作するための基礎的知識や技術を身につけている。
(5)機械工学に関する体系的知識や手法で機械やシステムを解析し設計する実践的能力を身につけている。
(6)継続的に新しい知識や技術を修得する能力を身につけている。
(7)論理的な記述力・表現力,コミュニケーション能力を身につけている。
(8)英語でのコミュニケーションに必要な基礎能力を身につけている。
【目標を達成するための科目と学習の心構え】
大学で学修するためには,大きく次の二つの点が重要であることを認識してください。
(A)独習 = 学生ということを認識した学修
高校生までは生徒と呼ばれ,大学生からは学生と呼ばれます。「生徒」は徒(いたずら)に教えてもらう立場,「学生」
は自ら学ぶ・研究する立場です。したがって,自分が意識し,自分で学ぶこと,その方法を身につけることが重要となり ます。
(B)研究 = 新しいことを見出す学修
生徒と学生の違いを言い換えれば,生徒は既知のことを学ぶ立場,学生は新たなことを見出し確認する立場,とも言え ます。講義などで既存の事柄を教員から教わるだけでなく,どのようにその事柄が見出されてきたのかの過程を意識・考 えることが重要となります。
これら二つのことを意識し,その上で上記の目標を達成するために,以下に示した方針で教育課程を編成しています。
(1)「FYS(ファースト・イヤー・セミナー)」により大学生としての資質を身につけ,積極的に学修に取り組む姿勢 を育む。さらに入学年次から卒業年次までの教養系科目の学修により,幅広い視野と教養,機械技術者として必要 な倫理観を育成する。
(2)1年次に配置された数学・物理学の学修を通して,機械工学を学ぶために必要な計算力,考え方,知識等を育む。
また,機械の構成や設計・製作に関する基礎的な専攻科目を配置し,後に学修する専攻科目の位置づけについての 理解を高める。特に,1年次の「数学演習Ⅰ,Ⅱ」では,「独習」を強く意識し,学生が自分自身でやるしか身につ けられない数学の基礎及びその学修方法を,各自自身で獲得することを目指す。
(3)2年次以降に,材料・熱・流体・振動・制御・設計・加工等の機械工学の根幹についての専攻科目を配置し,体系 的知識や手法によって機械やシステムを解析し設計・製作する実践的能力を育成する。また,専攻科目として英語 科目を配置し,機械技術者に必要な基礎的英語コミュニケーション能力を育成する。
(4)3年次前学期には,成績上位者を対象としたプロジェクトベース科目「プロジェクトワーク」(選択科目)で,さ まざまな人や事柄について教員や先輩と共に触れながら,コミュニケーション能力,企画力,調査力,自己分析力 などさまざまな能力を養い,エンジニアとしての自己の将来設計を行う。
(5)3年次後学期の「機械工学輪講」(必修科目)では,研究室に所属し,指導教員と先輩の指導の下で,それまでに 修得してきた機械工学の知識・技術を意識しながら先端研究の調査などを通して,大学と社会,技術と人間などの 各種の関係を考える。
(6)4年次には,それまでに修得した機械工学の知識・技術を総合的に用い特定のテーマについて研究する卒業研究を 配置し、研究計画を立案し遂行・統括する能力,継続的に新しい知識や技術を修得する能力を育成する。また,卒業 論文及び同概要書の執筆や審査会での発表を通して論理的な記述力・表現力,コミュニケーション能力を育む。
(7)機械工学を修得する上で必要な数学・物理に関する専攻科目,機械技術者としての必要な基礎を学ぶための専攻科 目,英語コミュニケーション能力を育成するための専攻科目を特に重視し必修科目としている。また,機械工学の 根幹をなす重要な専攻科目であるが,各自の目標や興味による科目選択を可能とするものとして選択必修科目を設 けている。機械工学の修得に役立つ体験学習的な専攻科目や応用分野に関する専攻科目は選択科目としている。
以上のように,機械工学科での学修では,それぞれの目標や科目の性質に即した取り組みが大切です。これを意識し ながら学んで,卒業時には立派な技術者の卵になってもらいたいと願っています。入学試験に合格して入学してきた諸 君は,そうなれるだけの素質を持っています。きちんと考えて,この目標を達成してください。
なお,機械工学科では進級制度をとっています。毎学年,修得単位数と科目のハードルがあります。このハードルは,
「超えていないと次の学習に支障を来す」という意味で設定されているもので,目標としてはいけません。すなわち,
1年から2年へ進級するために必要な修得単位数は26単位ですが,26単位すれすれで2年に進んだ場合,2年次に40単
位修得しなくてはなりません。3年次から4年次への進級も,最悪の場合,やはり年間40単位を修得しなければなりま せん。学年を追うごとに高度な内容を学びますから,通常,1年次より2年次が,2年次より3年次が,単位を取りに くくなります。各学年,修得単位が38を下回らないようにしてください。
さらに,在学4年を超えても3年次への進級要件を満たさない場合,除籍となりますので十分注意してください。
機械工学科 教育課程体系図
2014 年以降度制定カリキュラムに基づく。 卒業要件単位数=126 単位
必修科目 選択科目 関連科目
ディプロマ・ポリシー 1 年次(導入と基礎の学習) 2 年次(工学基礎と専門基礎の学習) 3 年次(専門学習と応用力形成) 4 年次(デザイン能力養成) 第1 セメスタ- 第2 セメスタ- 第3 セメスタ- 第4 セメスタ- 第5 セメスタ- 第6 セメスタ- 第7 セメスタ- 第8 セメスタ-
1)
社会・文化・自然等に 関する教養と外国語 の素養を身につけて いる
2)
幅広い視野と教養を 背景として,機械工学 が社会や環境に及ぼ す影響を理解する能 力や技術者としての 倫理観を有している
3)
機械の仕組みや動作 原理を理解するため の基礎的知識を身に つけている
共 通 教 養 系 科 目 (32 単位)
ファーストイヤ ーセミナー
情報処理演習Ⅰ 工業概論 技術者倫理 知的財産権
M デザインA 機 械 解 剖
微分積分学A 微分積分学B
幾何学A 幾何学B
基礎化学Ⅱ 統計物理学Ⅱ※1 情報処理演習Ⅰ コンピュータ解析
M デザインB M デザインC
共 通 教 養 系 科 目 (32 単位) 英語コミュニケーション
(Listening/Speaking)Ⅰ・Ⅱ
実用英語Ⅰ・Ⅱ
卒 業 研 究 輪 講 機械工学輪講
実用英語Ⅲ・Ⅳ
輪 講 機械工学輪講
プロジェクトワーク 職業指導Ⅰ 職業指導Ⅱ
数学演習Ⅰ 数学演習Ⅱ
微分方程式Ⅰ 微分方程式Ⅱ
物理学A 物理学B 物理学Ⅲ 物理学Ⅳ
基礎化学Ⅰ 物理学実験A
工学解析
統計物理学Ⅰ 代数学Ⅰ 関数論Ⅰ
代数学Ⅰ 関数論Ⅰ 代数学概論
応用数学Ⅱ 確率・統計Ⅱ
量子物理学Ⅰ 量子物理学Ⅱ※1 確率・統計Ⅰ
応用数学Ⅰ
物理工学A※2
物理工学B※2
※1 2014~2015 年度入学者開講科目
※2 2016 年度以降入学者開講科目
4)
機械やシステムを製 作するための基礎的 知識や技術を身につ けている
5)
機械工学に関する体 系的知識や手法で機 械やシステムを解析 し設計する実践的能 力を身につけている
6)
継続的に新しい知識 や技術を修得する能 力を身につけている
7)
論理的な記述力・表現 力,コミュニケーショ ン能力を身につけて いる
8)
英語でのコミュニケ ーションに必要な基 礎能力を身につけて いる
機 械 解 剖 M デザインA
物理学実験A ファーストイヤ
ーセミナー
英語コミュニケーション
(Listening/Speaking)Ⅰ・Ⅱ
実用英語Ⅰ・Ⅱ
各 種 選 択 語 学 科 目
卒 業 研 究 輪 講 機械工学輪講
機 械 工 学 輪 講
実用英語Ⅲ・Ⅳ M デザインB M デザインC
プロジェクトワーク
卒 業 研 究 輪 講 機械実験
卒 業 研 究 輪 講 機 械 解 剖
M デザインA
物理学実験A ファーストイヤ
ーセミナー
機 械 工 学 輪 講 M デザインB M デザインC
プロジェクトワーク 機械実験 M デザインA 機 械 解 剖 M デザインB M デザインC
機械工学実習
機械要素
物理学実験A
機械材料
機械製図Ⅰ CAD/CAMⅠ 機械製図Ⅱ CAD/CAMⅡ
機械設計Ⅰ 機械設計Ⅱ
メカトロニクス
卒 業 研 究 輪 講 機械工学輪講
ディジタル工学 工作機械
基礎電気工学
加工学Ⅰ 加工学Ⅱ
ロボット工学
工業力学Ⅰ 工業力学Ⅱ
材料力学Ⅰ
工業熱力学Ⅰ 機械力学Ⅰ
自動制御Ⅰ エンジン工学
流体力学Ⅰ 材料力学Ⅱ 機械力学Ⅱ 自動制御Ⅱ
工業熱力学Ⅱ 流体力学Ⅱ
品質システム 信頼性工学
機 械 工 学 輪 講
卒 業 研 究
輪 講
4)
機械やシステムを製 作するための基礎的 知識や技術を身につ けている
5)
機械工学に関する体 系的知識や手法で機 械やシステムを解析 し設計する実践的能 力を身につけている
6)
継続的に新しい知識 や技術を修得する能 力を身につけている
7)
論理的な記述力・表現 力,コミュニケーショ ン能力を身につけて いる
8)
英語でのコミュニケ ーションに必要な基 礎能力を身につけて いる
機 械 解 剖 M デザインA
物理学実験A ファーストイヤ
ーセミナー
英語コミュニケーション
(Listening/Speaking)Ⅰ・Ⅱ
実用英語Ⅰ・Ⅱ
各 種 選 択 語 学 科 目
卒 業 研 究 輪 講 機械工学輪講
機 械 工 学 輪 講
実用英語Ⅲ・Ⅳ M デザインB M デザインC
プロジェクトワーク
卒 業 研 究 輪 講 機械実験
卒 業 研 究 輪 講 機 械 解 剖
M デザインA
物理学実験A ファーストイヤ
ーセミナー
機 械 工 学 輪 講 M デザインB M デザインC
プロジェクトワーク 機械実験 M デザインA 機 械 解 剖 M デザインB M デザインC
機械工学実習
機械要素
物理学実験A
機械材料
機械製図Ⅰ CAD/CAMⅠ 機械製図Ⅱ CAD/CAMⅡ
機械設計Ⅰ 機械設計Ⅱ
メカトロニクス
卒 業 研 究 輪 講 機械工学輪講
ディジタル工学 工作機械
基礎電気工学
加工学Ⅰ 加工学Ⅱ
ロボット工学
工業力学Ⅰ 工業力学Ⅱ
材料力学Ⅰ
工業熱力学Ⅰ 機械力学Ⅰ
自動制御Ⅰ エンジン工学
流体力学Ⅰ 材料力学Ⅱ 機械力学Ⅱ 自動制御Ⅱ
工業熱力学Ⅱ 流体力学Ⅱ
品質システム 信頼性工学
機 械 工 学 輪 講
卒 業 研 究
輪 講
単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位
4 幾何学A 2 2
1 物理学A 2
数学演習Ⅰ 1 数学演習Ⅱ 1 2 △物理学実験A 2
△物理学A 2
△微分積分学A 4 1
4 幾何学B 2 微分方程式Ⅱ 2 2 2
微分方程式Ⅰ 2 2 2
2
機械工学実習 1 機械解剖 1 機械製図Ⅰ 2 CAD/CAMⅠ 2 2 2
MデザインA 1 工業力学Ⅱ 2 機械力学Ⅰ 2 工業熱力学Ⅰ 2 2 2
2 自動制御Ⅰ 2 流体力学Ⅰ 2
工業力学Ⅰ 2 材料力学Ⅰ 2
コンピュータ解析 2 機械材料 2 機械力学Ⅱ 2 2 2
工学解析 2 エンジン工学 2 自動制御Ⅱ 2 2 2
MデザインB 2 加工学Ⅰ 2 2 2
ロボット工学 2 2 2
材料力学Ⅱ 2 2
MデザインC 2 2
2
工業概論 2 応用数学Ⅰ 2 代数学概論 2 信頼性工学 2 品質工学 2 量子物理学Ⅰ 2 物理工学B【休講】 2
確率・統計Ⅰ 2 2 代数学Ⅰ 2 代数学Ⅱ 2 システム工学 2
2 関数論Ⅰ 2 関数論Ⅱ 2
統計物理学Ⅰ 2 物理工学A【休講】 2
知的財産権 2
応用数学Ⅱ 2
確率・統計Ⅱ 2
2017年度 工学部機械工学科 教育課程表(2016年度入学者から適用)
(学年は標準年次を示す)※職業指導Ⅰ(工業)
流体力学Ⅱ
機械設計Ⅱ CAD/CAMⅡ
ディジタル工学
※職業指導Ⅱ(工業)
選 択 科 目
プロジェクトワーク
基礎電気工学
8 物理学B
物理学Ⅳ
機械工学輪講 8
専 門 基 礎 選 択 科 目
授業科目
△情報処理演習Ⅰ
専 門 必 修 科 専 目 攻 科 目
専 門 基 礎 必 修 科 目
微分積分学B
関 連 科 目
1年次 2年次 3年次 4年次
卒業要件
1セメスター 2セメスター 5セメスター 単位数
授業科目 8セメスター 微分積分学A
情報処理演習Ⅰ
7セメスター
授業科目 授業科目 授業科目
3セメスター 物理学実験A
6セメスター
授業科目 授業科目
物理学Ⅲ 4セメスター 授業科目
技術者倫理
輪講 (通年科目)
26 以 上 基礎化学Ⅱ
6 以 上( 関 連 科 目 含 む) 13
41 機械実験
卒業研究 (通年科目)
2
△幾何学A
基礎化学Ⅰ
機械要素
機械設計Ⅰ
工業熱力学Ⅱ
工作機械
メカトロニクス
加工学Ⅱ 機械製図Ⅱ 2017年度 工学部機械工学科 教育課程表(2016年度入学者から適用)
[備 考]
1 ※印は教職関連科目につき卒業要件単位には算入しない。
2 △印は再履修授業科目を示す。
[履修要件]
1 上位年次の授業科目を履修することはできない。ただし,関連科目においては,
2年次からこの制限を設けない。
2 工学部他学科で開講されている授業科目を履修する場合は,受講者数に制限があるので担任者の許可が必要である。
3 1年間に履修登録できる単位数は,
48単位を上限とし,かつ各セメスターに履修できる上限は
24単位とする。 (通年科目について は,その科目の単位数を二分割し,各セメスターの単位数として換算する。 )ただし,第二外国語科目,選択英語,卒業要件単位に算 入されない資格教育課程に関する科目については,この制限を適用しない。
[進級要件]
(1年次から2年次)
1
1年次終了までに,
26単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「
FYS」を修得し,かつ「機械工学実習」 , 「機械解剖」のうち1科目以上修得しなければならない。
(2年次から3年次)
1
2年次終了までに,
66単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「数学演習Ⅰ」 , 「数学演習Ⅱ」を修得しなければならない。
3「機械工学実習」 , 「機械解剖」 , 「物理学実験A」 , 「機械製図Ⅰ」のうち
3科目以上修得しなければならない。
(3年次から4年次)
1
3年次終了までに,
106単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「機械工学実習」 , 「機械解剖」 , 「物理学実験A」 , 「機械製図Ⅰ」 , 「
CAD/CAMⅠ」 , 「機械実験」のうち
5科目以上修得しなければな らない。
[学外単位認定制度]
学則第
13条及び第
13条の2に基づく次の単位は,本学における授業科目の履修とみなし,卒業要件単位に算入することができる。
なお,横浜市内大学間の単位互換科目を履修する場合は,各セメスターの履修制限単位数に含める。
1 本学が主催または推薦する「海外語学研修制度」所定のプログラムを修了して認定された単位。
2 文部科学大臣認定の技能審査及びこれに準じる知識及び技能に係る審査に合格した者で, 本学における所定の手続きにより認定され た単位。
3 横浜市内大学間の単位互換により修得した他大学の提供科目等で,本学の授業科目として認定された単位。
[卒業要件]
1 4年以上在学し,学則所定の次表の「卒業要件単位数」を修得しなければならない。
授業 科目
入学 年度
共 通 教 養 科 目 専 攻 科 目
合 計 共 通 基 盤 科 目 共通テーマ科目
共 通 教 養 科 目 合 計 専 門 基 礎 必 修 科 目 専 門 基 礎 選 択 科 目 専 門 必 修 科 目
選 択 科 目
関 連 科 目 専 攻 科 目 合 計
F Y S
外 国 語 科 目 人 文 の 分 野 社 会 の 分 野 自 然 の 分 野 人 間 形 成 の 分 野 グ ロ ー バ ル 経 済 を 学 ぶ 社 会 と 人 間 科 学 技 術 と 社 会 生 と 死 を 考 え る
公共の新しいかたちを求めて2016年度
以降入学 2 8 4 4 4 2
32 13 8 41 26
94 126
8 6
2 共通教養科目については「
FYS」
2単位,外国語科目
8単位,人文の分野,社会の分野,自然の分野から各
4単位,共通テーマ科目 から
2単位修得しなければならない。そのほかに
4分野及び共通テーマ科目から
8単位以上修得し,計
32単位以上修得しなければ ならない。なお,人間形成の分野「スポーツ文化Ⅰ~Ⅲ」は,
2単位まで卒業要件単位数に算入することができる。
3 外国語科目については,必修科目としての英語を
8単位修得しなければならない。ただし,外国人留学生及び外国高等学校在学経 験者(帰国生徒等)は申請により,1 年次の必修科目としての英語
4単位に換えて日本語科目
4単位とすることができる。
4 つぎの単位は,
6単位を上限として関連科目の単位に換算できる。
(1)
工学部他学科で開講されている専攻科目の修得単位。
(2)
同一言語同一名称の科目をⅠ・Ⅱのペアで修得した(必修以外)外国語科目。
(3)
専門基礎選択科目
8単位を超える修得単位。
5 資格教育課程に関する科目及び教職課程の「教職に関する科目」の単位数は,卒業要件単位に含めない。
6 総合工学プログラムから機械工学科に分属された学生は,総合工学プログラムの卒業要件に従って履修した専攻科目の修得単位を 機械工学科の専攻科目に置き換えることができる。
① 標準年次が実線( )で区切られている場合,上位年次の授業科目は履修できません。
② 標準年次が破線( )で区切られている場合,上位年次の授業科目は履修できますが, [履修要件]等にしたがっ て履修できない授業科目もありえますので注意してください。
教育課程における標準年次の区切線について
単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位
4 幾何学A 2 2
1 物理学A 2
数学演習Ⅰ 1 数学演習Ⅱ 1 2 △物理学実験A 2
△物理学A 2
△微分積分学A 4 1
4 幾何学B 2 微分方程式Ⅱ 2 2 2
微分方程式Ⅰ 2 2 2
2
機械工学実習 1 機械解剖 1 機械製図Ⅰ 2 CAD/CAMⅠ 2 2 2
MデザインA 1 工業力学Ⅱ 2 機械力学Ⅰ 2 工業熱力学Ⅰ 2 2 2
2 自動制御Ⅰ 2 流体力学Ⅰ 2
工業力学Ⅰ 2 材料力学Ⅰ 2
コンピュータ解析 2 機械材料 2 機械力学Ⅱ 2 2 2
工学解析 2 エンジン工学 2 自動制御Ⅱ 2 2 2
MデザインB 2 加工学Ⅰ 2 2 2
ロボット工学 2 2 2
材料力学Ⅱ 2 2
MデザインC 2 2
2
工業概論 2 応用数学Ⅰ 2 代数学概論 2 信頼性工学 2 品質工学 2 量子物理学Ⅰ 2 量子物理学Ⅱ 2
確率・統計Ⅰ 2 2 代数学Ⅰ 2 代数学Ⅱ 2 システム工学 2
2 関数論Ⅰ 2 関数論Ⅱ 2
統計物理学Ⅰ 2 統計物理学Ⅱ 2 知的財産権 2 応用数学Ⅱ 2 確率・統計Ⅱ 2
※職業指導Ⅱ(工業)
8 2 輪講 (通年科目)
工業熱力学Ⅱ
工作機械
メカトロニクス
加工学Ⅱ 機械製図Ⅱ 基礎化学Ⅰ
機械要素
機械設計Ⅰ 機械実験
卒業研究 (通年科目)
物理学B
物理学Ⅳ 物理学実験A
26 以 上 基礎化学Ⅱ
6 以 上( 関 連 科 目 含 む) 13
41
△幾何学A
授業科目
物理学Ⅲ 4セメスター 授業科目
技術者倫理 機械工学輪講 微分積分学A
情報処理演習Ⅰ
7セメスター
授業科目 授業科目 授業科目
3セメスター 6セメスター
授業科目
1年次 2年次 3年次 4年次 卒業
要件 単位数
1セメスター 2セメスター 5セメスター
授業科目 8セメスター
専 門 基 礎 選 択 科 目
授業科目
△情報処理演習Ⅰ
専 門 必 修 科 目 専 攻 科 目
専 門 基 礎 必 修 科 目
微分積分学B
関 連 科 目
※職業指導Ⅰ(工業)
選 択 科 目
プロジェクトワーク
基礎電気工学
ディジタル工学 流体力学Ⅱ
機械設計Ⅱ
2017年度 工学部機械工学科 教育課程表(2014年度から2015年度入学者に適用)
(学年は標準年次を示す)CAD/CAMⅡ
8
[備
考]1 ※印は教職関連科目につき卒業要件単位には算入しない。
2 △印は再履修授業科目を示す。
[履修要件]
1 上位年次の授業科目を履修することはできない。ただし,関連科目においては,2年次からこの制限を設けない。
2 工学部他学科で開講されている授業科目を履修する場合は,受講者数に制限があるので担任者の許可が必要である。
3 1年間に履修登録できる単位数は,52単位を上限とし,かつ各セメスターに履修できる上限は26単位とする。(通年科目について は,その科目の単位数を二分割し,各セメスターの単位数として換算する。)ただし,第二外国語科目,選択英語,卒業要件単位に算 入されない資格教育課程に関する科目については,この制限を適用しない。
[進級要件]
(1年次から2年次)
1 1年次終了までに,26単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「FYS」を修得し,かつ「機械工学実習」,「機械解剖」のうち1科目以上修得しなければならない。
(2年次から3年次)
1 2年次終了までに,66単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「数学演習Ⅰ」,「数学演習Ⅱ」を修得しなければならない。
3「機械工学実習」,「機械解剖」,「物理学実験A」,「機械製図Ⅰ」のうち3科目以上修得しなければならない。
(3年次から4年次)
1 3年次終了までに,106単位以上を修得しなければならない。なお,卒業要件単位に算入されない単位数は含めない。
2「機械工学実習」,「機械解剖」,「物理学実験A」,「機械製図Ⅰ」,「CAD/CAMⅠ」,「機械実験」のうち5科目以上修得しなければな らない。
[学外単位認定制度]
学則第13条及び第13条の2に基づく次の単位は,本学における授業科目の履修とみなし,卒業要件単位に算入することができる。
なお,横浜市内大学間の単位互換科目を履修する場合は,各セメスターの履修制限単位数に含める。
1 本学が主催または推薦する「海外語学研修制度」所定のプログラムを修了して認定された単位。
2 文部科学大臣認定の技能審査及びこれに準じる知識及び技能に係る審査に合格した者で,本学における所定の手続きにより認定され た単位。
3 横浜市内大学間の単位互換により修得した他大学の提供科目等で,本学の授業科目として認定された単位。
[卒業要件]
1 4年以上在学し,学則所定の次表の「卒業要件単位数」を修得しなければならない。
授業 科目
入学 年度
共 通 教 養 科 目 専 攻 科 目
合 計 共 通 基 盤科目 共通テーマ科目
共 通 教 養 科 目 合 計 専 門 基 礎 必 修 科 目 専 門 基 礎 選 択 科 目 専 門 必 修 科 目
選 択 科 目
関 連 科 目 専 攻 科 目 合 計
F Y S
外 国 語 科 目 人 文 の 分 野 社 会 の 分 野 自 然 の 分 野 人 間 形 成 の 分 野 グ ロ ー バ ル 経 済 を 学 ぶ 社 会 と 人 間 科 学 技 術 と 社 会 生 と 死 を 考 え る
公共の新しいかたちを求めて2014から 2015年度
入 学 2 8 4 4 4 2
32 13 8 41 26
94 126
8 6
2 共通教養科目については「FYS」2単位,外国語科目8単位,人文の分野,社会の分野,自然の分野から各4単位,共通テーマ科目 から2単位修得しなければならない。そのほかに4分野及び共通テーマ科目から8単位以上修得し,計32単位以上修得しなければな らない。なお,人間形成の分野「スポーツ文化Ⅰ~Ⅲ」は,2単位まで卒業要件単位数に算入することができる。
3 外国語科目については,必修科目としての英語を8単位修得しなければならない。ただし,外国人留学生及び外国高等学校在学経 験者(帰国生徒等)は申請により,1年次の必修科目としての英語4単位に換えて日本語科目4単位とすることができる。
4 つぎの単位は,6単位を上限として関連科目の単位に換算できる。
(1) 工学部他学科で開講されている専攻科目の修得単位。
(2) 同一言語同一名称の科目をⅠ・Ⅱのペアで修得した(必修以外)外国語科目。
(3) 専門基礎選択科目8単位を超える修得単位。
5 資格教育課程に関する科目及び教職課程の「教職に関する科目」の単位数は,卒業要件単位に含めない。
6 総合工学プログラムから機械工学科に分属された学生は,総合工学プログラムの卒業要件に従って履修した専攻科目の修得単位を 機械工学科の専攻科目に置き換えることができる。
① 標準年次が実線( )で区切られている場合,上位年次の授業科目は履修できません。
② 標準年次が破線( )で区切られている場合,上位年次の授業科目は履修できますが,[履修要件]等にしたがっ て履修できない授業科目もありえますので注意してください。
教育課程における標準年次の区切線について
機 械 工 学 科 履 修 案 内
(2006から2013年度入学者に適用)
【機械工学の内容】
「機械工学」は, 『もの』を〈作り〉 , 〈動かす〉ための学問です。 「機械工学」が取り扱う対象は,身近な家電製品・
自動車のほか,大きなものは航空機・船・製鉄所や化学プラント,小さいものはエンジンの中のバルブやバネなどの部 品,コンピュータ内部の半導体素子,などさまざまです。 「機械工学」は,あらゆる産業において中心的な役割を果たし ています。 「機械工学」を〈手法〉と〈技術〉の観点から見ると,機械の機能を実現したり向上させたりするための『要 素技術』,各要素を巧みに組み合わせる『設計』,具体的に機械を作り上げる材料と加工に関する技術,構成されたシス テムを適切に運転するための計測や制御の技術,そして保守の技術から成り立っていることが分かります。
これらを,自動車を例にとって,具体的に見てみましょう。自動車の『機能』を支えるのは, 「エンジン」と「変速機」
等の伝動装置,「ステアリング」や「サスペンション」のような操縦や乗り心地に関連する機器です。これらの機器は,
『要素技術』の結晶です。これを形にするためには,部品の形と材料を決め,それをいかに組み合わせるかといった『設 計』の段階を経て,製作図面を描きます。この図面をもとに材料を加工し,組み立てて製品に仕上げます。最近のエン ジンは,回転速度などを測定しながら,エンジン回転のちょうどいい時期に適量の燃料を噴射します。このように,現 在の状態を測定してそれを利用して何らかの操作を施す「制御」が,近年の機械では数多く見られるようになりました。
また,故障を起こさないように,保守や管理も必要です。
『要素技術』を支えるのは,基本法則やその上に積み上げられた比較的体系的な知識や手法で,いくつかの分野に分 けられます。それぞれ,機能を構成する要因に着目して,その特性を分析するものです。エンジンを動かしているのは シリンダ内の空気の圧力ですが,エンジンの中で空気がどのように変化して動力を生み出しているかは「工業熱力学」
が扱います。エンジンの内部には,ピストンの往復運動を出力軸の回転運動に変換する「機構」が使われています。ト ルクコンバータ(無段変速機)では油の圧力によって動力を伝達しますが,油や水のような流体がどのように流れ,ど のような圧力を示すかは「流体力学」が扱います。運動をする部分には力がかかりますが,このような力や振動のよう すを調べる方法は「工業力学」や「機械力学」の守備範囲です。前述の燃料噴射に見られるように,状況に応じた最適 な運転が要求される場合, 「自動制御」が役立ちます。これらの分野は,微分積分といった数学と力学を基礎に成り立っ ていて,底辺を流れる考え方は似通っています。
できあがった機械は,最初から設計通りに動作するとは限りませんし,時代とともに要求される性能も変化します。
壊れる,不快な振動や騒音を出す,機能や性能が不足している,機械にやらせようとしている仕事の時間的・人員的・
エネルギー的効率が悪いなど,問題が生じたときに,こういった不具合を改善していかなければなりません。そのため には,問題を抽出し,実験や数値解析を利用して原因を調べ,問題点を解決していきます。そこでは, 『要素技術』に関 連する分野を学ぶ際の,機能や要因に着目して分析した経験が生かされます。
一方,新たに『もの』を創り出す『設計』では,さまざまな知識やアイデアを総合する能力が要求されます。基礎能 力として要求されるのは,基本的な機械要素を強度設計にもとづいて利用するノウハウで,通常「要素設計」と呼ばれ ます。 「要素設計」の基礎は,部材に外から力が加わったときに内部にどのような力が発生して,どのように変形するか を扱う「材料力学」にあります。機械の多くは,鉄鋼を中心とする金属でできていますが,近年は,プラスチックなど 非金属の材料が使われることも多くなりました。このような材料の性質を扱っているのが「機械材料」で,これと「材 料力学」を組み合わせて,壊れない部品を設計することになります。
例えば鉄鋼材料で部品を作るとき,溶けた鉄を型に流し込む鋳造,板や棒材を型押しする鍛造,刃物で削る切削など のさまざまな成形工程と,加熱や冷却をコントロールして硬さやねばり強さを向上させる熱処理,こういったいくつか の工程を経て部品ができあがります。製造者に部品の形を伝えるのに図面が使われます。自分の意図を他人に正しく伝 えるにはルールに従って描く必要があります。さまざまな加工方法は,部品の形にも影響しますので, 「機械加工学」で 学ぶ加工方法と「機械製図」や「CAD/CAM 及び演習」で学ぶ図面の描き方は,密接に関係します。
以上のように,機械工学はさまざまな分野から成り立っていますが,これを図式化すると概ね次のようになります。
図1 機械工学の構成
【優れた機械技術者になるための心構え】
上に説明したさまざまな知識や解析手法を使って,新しいものを開発したり,既存の製品の中から使うものを選んだ り,与えられたものを安全に,また機能を維持できるように使っていくのが機械技術者の仕事です。一言で言えば,問 題点を見つけて解決すること,要求に応じて『もの』を設計することが主な仕事の内容です。一人の人間ができること には限りがありますから,すべてに秀でた人間になるのは不可能です。しかし, 『要素技術』と『設計』の分野について,
それぞれが何を扱っているかを広く理解し,必要な知識をいつでも調べることができる能力が必要です。さらに, 『要素 技術』の最低1つの分野について,かなり深く掘り下げて分析した経験を持つこと, 『設計』に代表される総合化を経験 することが必要となります。
技術者は,新しいものを常に吸収できなくてはいけません。したがって,継続的に学習する力を大学の間に身につけ てください。継続的に学習する力として,情報を収集する力とその情報の良し悪しを判断する力が最も大切です。前者 は,書籍や技術系の雑誌によるものを含めて,探す場所を知っておくこと,そして絶えずそれを利用することが重要で す。後者は,機械工学の基本的な知識によるところが大です。
情報を収集する上で,2つの意味で英語の力が必要です。第一に,情報の多くは英語で発信されます。これを読めな いでは技術者として失格です。第二に,情報は単に書籍や雑誌など紙の媒体や,インターネットを通した電子媒体だけ ではありません。個人的なつながりを持っていると増殖的に情報を得ることができますが,そのような情報は他人が真 似できず,人間としての価値を高めてくれます。このような環境を作るには自ら情報を発信することも必要です。個人 的なつながりは国内だけでは不足しがちですから,英語を自在に操って,グローバルに活躍できる技術者を目指してく ださい。
『良い機械』を作るのが機械技術者の使命ですが, 『良い』とは何を基準に考えればよいでしょうか。これまでは, 「燃 費が良い」「効率が良い」「性能のわりに安い」など,機能と経済性からの判断が優先されていました。しかし現在は,
環境や人間に対する優しさが強く望まれ,フロンや炭酸ガスの例にも見られるように,地球規模での是非の判断も必要 です。また,相手国の国情や貧富の差,民族・宗教の違いをも考慮して『良い』かどうか判断しなければならないこと も出てきます。 『良い機械』の判断が難しくなりました。包容力を持った豊かな人間性と柔軟で幅広く考えられる,知性 に裏打ちされた教養が必要です。
以上にあげた能力と経験を持つ人が,優れた技術者と言えます。
【教育の目的・目標】
機械工学科では,前項にあげた能力を持ち機械工学を支えることができる人材を育てること目指して,以下を目標に 教育しています。
(1)
幅広い視野と教養を育成します。また,技術が社会や自然に及ぼす影響を理解できることを目指します。
(2)
単純化された問題において,入力に対して出力が現れるメカニズムを理解する能力やこれらの関係を式などで表す 手法を身に付けます。
(3)
機械工学の基本的な知識を修得し, 『もの』を効率よく作るための知識やノウハウを身につけます。
機 械 加 工
計測・制御 設 計
材 料
要 素 力 学
運 転
管理・保守 機械工学科で学ぶ内容
(4)
複雑な系を単純化してそこで起こっていることの本質をとらえるための基本的な手法を身につけます。
(5)
計画を立案・遂行・総括するための基礎能力を育成します。
(6)
論理的な文章記述力とプレゼンテーション能力を身につけます。
(7)
常に第一線で活躍できるよう,継続的に学習できる力(必要な情報を収集する能力,国際共通語としての英語でコ ミュニケーションするための基礎能力)を育成します。
【目標を達成するための科目と学習の心構え】
前述の各目標に対応する科目と,目標を達成するための学習姿勢について説明します。
(1)
知性に裏打ちされた教養を培うのに「教養系科目」が重要な役割を果たします。自然の分野に偏ることなく,人文 の分野と社会の分野を含めた「教養系科目」を高い意識を持って履修して,多面的に物事を考える力,多様な価値 観を許容できる力,を身につけてください。さらに専攻科目によって技術の可能性を理解した上で「技術者倫理」
を学び,技術が社会や自然に大きな影響を与えていることを理解してください。
(2)
棒を引っ張ったとき棒がどの程度伸びるか(引張力が入力,伸びが出力)などが,入力に対して出力が現れる初歩 的な例です。実際の機械は複雑ですが,現象の多くは単純化することが可能で,単純化された現象に接することで,
原理や概念を学ぶことができます。「工業力学」「機械力学」「材料力学」「流体力学」「工業熱力学」「自動制御」を 学ぶことによって,機械工学が関わる物理現象がどのようなものか,どのような特徴を持っているかを理解し,そ の中で現れる解析手法を使えるようにしてください。
これらの専攻科目は,微分積分や線形代数(幾何学)といった数学,力や運動の原理である力学「物理学 I」を基 礎としていますので,1年次にはそれを学びます。
上記の専攻科目を理解する上で具体例に接することはきわめて重要です。そのため,問題演習を重視した授業運営 をします。結論として提示される式を単に覚えるのではなく,その式が何を意味するかを常に意識して,現象と対 応させながら理解してください。また授業時間中の演習だけでは不十分で,復習を中心とした自習をして十分な知 識や手法を身につけてください。
理解の助けになるものとして,数値計算の能力が挙げられます。 「情報処理演習 I 」と「コンピュータリテラシー」
でその基礎を学びます。上記の専攻科目や数学・物理学で関数などが出てきたときには,学んだことを利用してグ ラフを描いたり,その数値的な微分や積分を計算して,学んだ数値計算手法がいつでも使えるようにしておいてく ださい。数値的に調べることで新たに学んだ現象をより深く理解できるようになりますし,より高度な数値解析を する場合の基礎になります。
(3)
「機械製図」によって, 『もの』の形を表現し他人に伝えるためのルールを学びます。それを「CAD/CAM 及び演習」
で発展させ,わかりやすい図面を描く力を身につけてください。コンピュータを使った作図も体験します。
「機械材料」で材料に関する知識を, 「機械加工学」で加工方法を学びます。特徴を整理しながら,学んだことをい つでも引き出せるように,また,どんな文献や本を調べればよいか,後になっても振り返ることができるように学 びましょう。
「機械設計」では,先ず標準的な機械要素の強度計算法を学び,それを応用して機械を設計する流れを体験します。
強度計算の基礎は部材の内部に生じる力を解析する「材料力学」ですから,そこで学んだことを振り返りながら強 度計算法を身につけてください。
(4)
技術者として問題を解決しようとするとき,目の前にある複雑な現象を,個別の分野の単純化された問題に置き直 すという方法が通常とられます。エンジン内の空気や燃焼ガスの変化を,熱の出入りのない圧縮,体積一定での燃 焼による加熱,…というように単純化した変化で近似して表すのがその一例です。
先ず「工学問題の解析法」で,機械工学におけるモデル化の例を知り,その後各分野を学ぶ際にその位置づけが理 解できるような素地を作ります。項目(2)に示した専攻科目を学ぶ中で,単純化された現象に接し,単純化のあり方 について学びます。 「機械工学実験」で,複雑な現象の中から単純化された現象を抽出する手順に接します。最後に
「卒業研究」で各自のテーマに取り組みながら,現象や事象を整理して,それを単純化する能力や分析して問題を 解決する能力を養います。
(5)
技術者の仕事は,計画を立案・遂行することによってなされます。新製品の開発は言うまでもありませんが,仕様 が与えられた受注生産品について,いつまでに材料を取り寄せて,どのような工作機械をいつ使って(工程管理),
いつまでに製作するか(納期)の計画を立てて遂行することもあります。製品の不具合を減らしたり,振動などの 問題点を解決する場合も,何に着目して何を調べ,その結果をどのように生産などに反映させるかの計画を立て,
遂行していきます。特にこの場合,段階ごとに結果を吟味して,問題点を絞ったり,新たに分かった問題点に挑戦
することが必要になります。このような,計画を立案・遂行し総括する能力は,適切な助言を受けながら,最初は ひな形に従って,次第に自分の提案を加えながら,何回かやってみることで身についていきます。
機械工学科における学習では,先ず, 「機械解剖」 「機械工学実験」において,あらかじめ立てられた計画に沿って,
計画を遂行して総括する体験をします。「機械設計及び演習Ⅱ」と「CAD/CAM及び演習Ⅱ」では,『設計』と いう一連の作業を体験しながら, 『設計』における立案・遂行の流れを理解します。選択科目の「Mデザイン」では,
計画を立てる経験もできます。そして「卒業研究」で,特定のテーマについて計画の立案・遂行・総括を経験し,
立案・遂行・総括のループがどのようなものかを理解していきます。
(6)
社会で仕事をする場合,自分の考えを他人に伝える必要があります。書類のように書き言葉で表現する場合と映像 を使いながら口頭で説明(プレゼンテーション)する場合の2つがその代表的な手段です。
書き言葉で考えを伝えるためには,論理的な文章が書けるように訓練しておく必要があります。1年最初の「FY S」で最初の訓練をします。その後, 「機械工学実験」 「卒業研究」でその能力を高めます。
プレゼンテーションは,他人の良いところをまねすること,自分なりに工夫すること,そして何より経験すること が大切です。「FYS」でその基本を学び,また体験もします。「機械解剖」で経験を積みます。「卒業研究」では,
強いプレッシャーがかかる状況でプレゼンテーションする訓練もします。
(7)
情報源としてどのようなものがあるか,それぞれの情報源の特徴について,最初に「FYS」で,またさまざまな 科目で,そして「卒業研究」で学んでください。
国際共通語である英語によるコミュニケーション能力を身につけるために, 「外国語科目」の「英語」 , 「専攻科目」
の「実用英語」 ,4年次の少人数科目「輪講」を必修科目として用意しています。1年から4年まで継続して英語に 接することになりますので,高い意識で学べば,その能力を十分に高めることができます。
機械工学科での学習では,以上のような,それぞれの目標や科目の性質に即した取り組みが大切です。これを意識し ながら学んで,卒業時には立派な技術者の卵になってもらいたいと願っています。入学試験に合格して入学してきた諸 君は,そうなれるだけの素質を持っています。きちんと考えて,この目標を達成してください。
なお,機械工学科では進級制度をとっています。毎学年,修得単位数と科目のハードルがあります。このハードルは,
「超えていないと次の学習に支障を来す」という意味で設定されているもので,目標としてはいけません。すなわち,
1年から2年へ進級するために必要な修得単位数は26単位ですが,26単位すれすれで2年に進んだ場合,2年次に40単 位修得しなくてはなりません。3年次から4年次への進級も,最悪の場合,やはり年間40単位を修得しなければなりま せん。学年を追うごとに高度な内容を学びますから,通常,1年次より2年次が,2年次より3年次が,単位を取りに くくなります。各学年,修得単位が38を下回らないようにしてください。
さらに,在学4年を超えても3年次への進級要件を満たさない場合,除籍となりますので十分注意してください。
単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位 単位 微分積分学Ⅰ ○4 微分積分学Ⅱ ○4 微分積分学Ⅲ ○4
物理学概説 【休講】 ○4 幾何学Ⅰ ○4 物理学Ⅱ 【休講】 ○4 情報処理演習Ⅰ ○1 物理学Ⅰ 【休講】 ○4 物理学実験Ⅰ ○1
△物理学概説 ○4 △微分積分学Ⅱ ○4 △微分積分学Ⅲ ○4
△微分積分学Ⅰ ○4 △幾何学Ⅰ ○4 △物理学Ⅱ ○4
○1 △物理学Ⅰ ○4 △物理学実験Ⅰ ○1
△幾何学Ⅰ ○4
微分積分学入門 【休講】 4 化学実験 1 物理学Ⅲ 2 物理学Ⅳ 2 基礎化学Ⅱ 2
化学実験 1 基礎化学Ⅰ 2
幾何学Ⅱ 4
△微分積分学入門 4 △幾何学Ⅱ 4
機械工学実習 ○1 機械解剖 ○1 実用英語Ⅰ ○1 実用英語Ⅱ ○1 実用英語Ⅲ ○1 実用英語Ⅳ ○1 ○8
基礎機械要素 ○2 コンピュータリテラシー ○1 機械製図☆ ○2 工学問題の解析法☆ ○2 技術者倫理 ○2 機械工学実験 ○1 ○2
材料力学及び演習Ⅰ ○2 CAD/CAM及び演習Ⅰ☆ ○2
工業力学及び演習Ⅰ 2 工業力学及び演習Ⅱ 2
機械加工学Ⅰ 2 材料力学及び演習Ⅱ 2 流体力学及び演習Ⅱ 2 2
機械材料 2 流体力学及び演習Ⅰ 2 工業熱力学及び演習Ⅱ 2 2
工業熱力学及び演習Ⅰ 2 機械設計及び演習Ⅰ 2 自動制御及び演習Ⅱ 2 機械加工学Ⅱ 2 機械力学及び演習Ⅰ 2 CAD/CAM及び演習Ⅱ 2
自動制御及び演習Ⅰ 2
機械加工学Ⅲ 2
MデザインⅠ 2 MデザインⅡ 2
2 2
動力伝達工学 【休講】 2 メカトロニクス 2 エンジン工学 2 プログラミング【休講】 2 基礎電気工学 2 機構及びロボット工学☆ 2 ディジタル工学☆ 2
工業概論 2 微分方程式Ⅰ 2 微分方程式Ⅱ 2 信頼性工学 2 品質システム 2 量子物理学Ⅰ 2 量子物理学Ⅱ 2
応用数学Ⅰ 2 代数学概論 2 代数学Ⅰ 2 代数学Ⅱ 2 システム工学 2
確率・統計Ⅰ 2 ※職業指導Ⅱ 2 関数論Ⅰ 2 関数論Ⅱ 2
※職業指導Ⅰ 2 統計物理学Ⅰ 2 統計物理学Ⅱ 2
知的財産権 2
応用数学Ⅱ 2
確率・統計Ⅱ 2
6セメスター 5セメスター
授業科目 授業科目
選 択 科 目 B 群 選 択 科 目 A 群
授業科目 授業科目
専 門 基 礎 必 修 科 目
専 門 基 礎 選 択 科 目
△情報処理演習Ⅰ
30 1年次
2セメスター
2年次
3セメスター 4セメスター 1セメスター
授業科目 授業科目
3年次 4年次
7セメスター 8セメスター
卒業 要件 授業科目 単位数
授業科目
機械設計及び演習Ⅱ
※ 3年次,4年次対象開講科目
卒業研究 (通年科目)
26 輪講 (通年科目) 30
※ 3年次,4年次対象開講科目 工作機械
関 連 科 目 を 含 め 14 単 位 以 上 8 単 位 以 上
2017年度 工学部機械工学科 教育課程表(2006年度から2013年度入学者に適用) (学年は標準年次を示す)
専 攻 科 目
関 連 科 目
機械力学及び演習Ⅱ
機械工学輪講 専
門 必 修 科 目