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23  18 軍 景 東 全 妥 ハ ウ ア

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(1)

降 番号 1〜 E至 =コ )

第 1問  次 の文章 を読み,下 の問い (問 1〜 3)に 答えよ。 (酉己点  8)

我 に 目覚 め, 生 きる意味 を巡 って悩 み始 め る時期 で ある と言 われ た して' ④ l 肖んで いるのは青年だけなのだろうか。

期 にあた る親世代 について考 えてみよう。成人期 にお いて, 人 は家 活の うえで様々な役割 の変化 を経験 し, そ こで遭遇す る様々な問題 れる。そ して,   これ らの問題 に対 して, 時 に葛藤 を覚 え, ま た時 に る 自身の 自我 同一性 ( アイデ ンテ ィテ ィ) の危機 を感 じる こともあ

青年期が, 「自分 自身を見つめ,   自己 を確立 してい く」初めての時期 成 人期 は,   これ までの 自分 のあ り方 に危機 を感 じた ときに, い っ たん確 立 した 自己の問い直 し,再 確立が求め られ る時期である。

青 年期 は, 自 る。 しか し, 果 例 え ば, 成 人 庭 生活 や 職 業 生!

へ の対応 を迫 ら 現 在 確 立 して い

る。

この よ うに,

だとすれば, ⑤

このように考えると, ◎ だと言うこともできる。

人生 は,常 に 自分 と向き合 いなが ら,成 長 し続 け る旅

十‑ 40 ‑一 (2603‑‑40)

(2)

倫   理 問 1   下線部④に関して, 次 の図は 2 0 歳以上の男女を対象にした, 1 悩みや不安を

感 じる内容についての調査結果である。この図の説明として適当でないもの

を,下の0〜④のうちから一つ選べ。  1

図 性 ・年齢層別 にみた悩みや不安の内容 (複数回答)

家族 ・親族 間の 人間関係

勤務先での仕事や 人間関係

自分 の生活 ( 進学 ・就職 ・結婚)

家族 の生活 ( 進学 ・就職 ・結婚)

現在 の収入や 資産 の見通 し

今後 の収入や 資産 の見通 し

家族 の健康

自分 の健康

(%)8070605040302010 0 7080(%)

□20〜 29歳 圏30〜 39歳 賜40〜 49歳 田50〜 59歳 圏60〜 69歳 □70歳 以上 内閣府 『国民生活 に関す る世論調査』(平成 19年 )よ り作成。

①   「収入や資産 の見通 し」に関 しては, 男 女 を問わず, 現 在よ りも今後 に不安 や悩み を感 じている人の割合が高い。

②   「勤務先での仕事や人間関係」に関 しては, 男 性では 3 0 代 が, 女 性では 2 0 代が, 他 の年齢層 と比べて高い値 を示 している。

③   「自分 の生活 ( 進学 ・就職 。結婚)」に関 しては,男 女 を問わず,20代 で1尚 んでいる人の割合が, 他 の年齢層 と比べて高 い。

④   「健康」に関 しては, 男 女 を問わず,   自分 につ いて も家族 について も, 年 齢 層が高いほど, 悩 みや不安 をもつ人の割合が高い。

‑ 4 1 ‑

(2603‑―‑41)

(3)

倫  理

問 2   下線部⑤に関して, 自 我同一性を見失っている心理状態の例として最も適当

なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  2

0   定 年で, 仕 事 を辞め, 空 虚 さを感 じていた時 もあ りました。今,   これ まで の人生 を振 り返 って 自分史 を書き始めています。思 いのほか,た くさんの人 にお世話 になってきた 自分 を改めて感 じています。

②  結 婚 を前提 に特定 の人 と付 き合 っている友だちがお り, す ごく生活が充実 しているよ うにみえます。結婚 を焦 る気持ち も正直あ りますが, 今 , 仕 事が 充実 してお り,   しば らく仕事 をがんばろうかな と思 っています。

③  小 学生の子 どもがいます。学校 に行 った り行かなか った りで, 友 だち と ト ラブルがあったのではないか と心配です。 自分の会社での仕事 も忙 しく, 大 きな仕事 の責任者 となっています。 いろいろと考 える ことが多 いです。

④  子 どもも大学 に入 り, 家 を出ていきました。心の中にぽっか りと穴が空 い た感 じが続 いています。 自分の人生っていったい何だったのだろうか,   自分 の存在意義 って何なのだろ うか,い ろいろと思 い悩んでいます。

一‑ 42 ‑一

(2603‑‑42)

(4)

倫   理 問 3   下 線部⑥に関連して, エ リクソンは, 人 生を八つの発達段階に分けて, そ れ

ぞれの特徴について記述している。そのうち次の青年期以降の四つの発達段階 ア〜工 とそ の特徴 A 〜 D と の組合せ として最 も適 当な もの を, 下 の0 〜 ⑥ の う ちか ら一 つ選 べ。    3

ア 青 年期

イ プ レ成人期 (成人前期) ウ 成 人期 (成人中期) 工 老 年期 (成人後期)

A こ れ まで培 ってきた 自分 自身に対す る認識 を基盤 として,特 定 の人 との友 情,愛 ,性 的親密 さを得 る ことが求め られ る。

B 自 分は何者なのか,何 をなすべきなのか という自己 についてのゆれ を克服 し,自 己確立 についての確信 を得 ることが求 め られ る。

C い ろいろな ことがあった これ までの人生のすべて を, 自分の もの として, 受 け入れ る ことが求め られ る。

D 次 の世代 を支 えてい く子 どもたちを生み,育 ててい くことに対 し,積 極的 に関与す る ことが求め られ る。

O ア ーB   イ ーA   ウ ーD   エ ーC

② アーA   イ ーC   ウ ーB   エ ーD

③ アーA   イ ーB   ウ ーD   エ ーC

④ アーB   イ ーC   ウ ーD   エ ーA

⑤ アーA   イ ーB   ウ ーC   エ ーD

⑥ アーB   イ ーA   ウ ーC   エ ーD

‑ 4 3 ‑

(2603‑‑43)

(5)

倫   理

第 2問  次 の文章を読み,下 の問い(問1〜 8)に答えよ。(配点 24)

人間は喜怒哀楽の感情 をもつ動物である。ただ, 喜 びや楽 しみの感情 を分か ちあって平安を期待することはできるが, 怒 りや哀 しみの感情は他者への憎悪や怨 恨へ と変わ り, 時 に復 讐 心を生み, 復 讐の連鎖を引き起 こす ことさえある。そ し て,そ こには単に個人の問題ではすまされない現実がある。古来,人 間はこのよう な現実 といかに向き合ってきたのだろうか, 先 哲の思索を見てみよう。

古代社会では, 復 讐はある種の⑤ 正義と考えられた。例えば,⑥ 旧約聖書にも み られる「目には目を, 歯 には歯を」は, 制 限つきではあるが, 復 讐を認める考え方 として知 られる。 しか し, この言葉に対 して,イ エスは「だれかがあなたの右の類 を打つな ら,左 の頬 をも向けなさい」と教え,① クル アー ン(コー ラン)には,「そ の報復を控えて許すな らば,そ れは自分の罪の償いとなる」とある。いずれ も復讐 の抑止を説いてお り,そ こに寛容の心をみることができる。

ギ リシアでは, 「大切 にしなければな らないことは, た だ生きる ことではな く て,よ く生きることなのだ」という言葉で知 られる  4 が , 「不正をなす こと, 不正 をし返す こと, ………これ らはいずれ もいついかなる時 にも間違 っている」と 言っている。 また, イ ン ドでは, ◎ ブツダが' 「怨みは怨みによって鎮まることは な く,怨 みを捨てることによってのみ鎮まる」と言い,復 讐につながる怨みや1`曽し みを抱 くことの非を説いている。

中国にあっては, ① 老子は, 「怨みに報 いるに徳 を以てす」と, 怨 みのある者に 報復 したいと思っても, 人 間としての徳をもって対応 したいものだと言 う。また, 他者に対する思 いや りを   5   と 位置づけた孔子は, 「直 を以て怨みに報ゆ」と 言ったが,   これ もまた自分に怨みを抱 く者に対 しても公平無私な態度で対応すべき であると解釈することができる。いずれも,復 讐を肯定する当時の社会に警鐘を鳴

らしている。

このように,先 哲たちは憎悪や怨恨を乗 り越える方途を模索 し,人 間のうちにあ る寛容の心を喚起 しようとした。 しか し,復 讐は 21世紀の今 も消滅 していない。

私たちは現代社会のこの現実を深刻に受け止め, 一 人ひとりの心に芽生える復讐心 か ら目をそ らさずに根気強 く克服 していく努力が求められる。

―‑ 44 ‑一

(2603‑‑44)

(6)

倫   理 間 1 文 章中の  4   ・ 匡 5 : コに入れるのに最も適当なものを, 次 のそれぞれ

の0〜④のうちから一つずつ選べ。

□ 

問 2 下 線部④に関連して,エ ピクロスが提唱した生活信条として最も適当なもの

0   感 情 を乱す原因を避 けて隠れて生きる ことによってアタラクシアを求め, 安 らか に暮 らす。

②  極 端な感情 を避 けて適切 に選択できるメソテースの獲得 と保持を求めて暮 らす。

③  美 にあ こがれ るエ ロースの感情に突き動かされて,ひ たす ら美を求めて暮 らす。

④  欲 望 を抑えていかなる感情 にも心 を動揺 させ ることのないアパテイアを目 指 して暮 らす。

0 ク リトン

③ ソクラテス

① 敬

③ 仁

②  ゴルギアス

④  プロタゴラス

② 恕

④ 忠

を,次の0〜④のうちから一つ選べ。  6

‑ 4 5 ‑

(2603‑‑45)

(7)

倫  理

問 3   下線部⑤に関連して, ア リス トテレスの「調整的正義( 矯正的正義) 」の説明と

して最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。  7

0   各 人の業績 を精査 し, そ れぞれの成果 に応 じて報酬│ を配分す る こと

②  加 害者 を裁 いて罰 を与え, 被 害者 に補償 を与えて公平 にす る こと

③  知 性的徳 を備えた人が習性的徳 を備え, 完 全に正 しい人になる こと

④  法 的秩序 を保ち, 人 間 として正 しい行為 をす る状態 に市民を導 くこと

問 4   下 線部◎に関連して,次 の文章は旧約聖書の言葉「復讐するは我にありJ をパ ウロが解説したものである。これを読んで,パ ウロが理解したこの旧約聖書の 言 葉 の 意 味 と して 最 も適 当 な も の を, 下 の0 〜 ④ の う ち か ら一 つ 選 べ。

だれ に対 して も悪 に悪 を返 さず, す べての人の前で良 いことを行 うよ うに心 がけなさい。できれば, せ めてあなたがたは, す べての人 と平和 に暮 らしな さ い。 ……次 のよ うに書 いてあ ります。 「『復讐す るは我 にあ り。 ……』と主 は言 われ る」。 「む しろ, あ なたの敵が飢 えて いた ら食べ させ, 渇 いていた ら飲 ませ な さい。そ うすれ ば, 燃 える炭火 を彼 の頭 に積 む ことにな る」。悪 に負 けな い で, 善 をもって悪 に勝ちなさい。

( 新約聖書 「ローマ人への手紙」)

①  復 讐 して もよいのは, 正 当な理 由のある場合だけである。

② 復讐すれば,後で必ず自らも復讐される。

③   自 ら復讐す る ことも, 他 人に復讐 を依頼す る ことも禁 じられ る。

0 自 ら復警せず,神に任せなければならない。

―‑ 46 ‑一

(2603‑‑46)

(8)

倫  理 問 5   下線部①を聖典とするイスラームについての記述として適当でないものを,

次の①〜④のうちから一つ選べ。  9

0   ア ブラハム と同 じようにムハ ンマ ドもア ッラーか ら遣わ された。

②  ア ッラー とは全知全能で,子 をもたない唯一絶対の存在である。

③  財 産 に応 じて行 う喜捨は, 為 政者への献金 として重要である。

④  メッカヘの巡礼は, ムスリムたちがあこがれる務めである。

問 6   下 線部◎ に関して, ブ ッダの教えとして最も適当なものを, 次 の0 〜 ④のう ちか ら一つ選べ。    1 0

0  心 を入れ替 えて 自分 を低 くし,子 どものよ うに無垢 な心 とな って 天 の国 に 入 れ。

②  社 会 的規 範 と して の礼 儀 を身 につ け, 自 らを律 して道徳 的 人格 を完 成 させ よ。

③  不 殺 生 な どの道徳 的戒 め を守 り, 出 家 して 無所有 を徹底 し恒 常 不 変 の創 造 神 を直 観 せ よ。

④   無 常 ・無我 の真理 を悟 り, この世へ の執着 を捨てて心 の平静 を実現 して安 らえ。

‑ 4 7 ‑

(2603‑‑47)

(9)

倫  理

問 7   下線部①に関して, 老 子が説く「争いを避ける生き方」の説明として最も適当

なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  11

0   万 物 を利 し, 常 に人が嫌 う低 い地 に行 き, い かよ うにも対応す る ことので きる水 のよ うな生き方

②  絶 えず生滅変化 し, あ らゆるものを受 け入れ, 煩 悩 にまみれた ものを浄化 す る川のよ うな生き方

③  人 為をさしはさまず, 無 為 自然の世界 に遊び, 何 ものにも囚われない真人 にな らう生き方

④  四 季の循環 をつか さどり, す べての人にその努力に応 じた恵みをもた らす 天 の命 に従 う生き方

問 8   本 文 の趣 旨に合致す る記述 として最 も適 当な ものを, 次 の0〜 ④の うちか ら 一 つ選べ。  12

0 人 間が復讐心 を克服す るには個 人 の意志 だ けでは限界が ある。だか らこ そ,人 間の知恵の限界 を認め,寛 容な絶対的存在 に復讐 を委ねて平和 を実現 す る努 力が求 め られ る。

② 人 間は感情 に流 されやす い動物である。だか らこそ,い かな る不正 に対 し て も怒 りや憤 りを感 じることな く,寛 容な心 を発揮す る ことのできる社会 を 実現す る努力が求 め られ る。

③ 人 間の心 には復讐心が生 まれ ることがある。だか らこそ,た だ復讐 を非難 した り寛容 の心 を唱えた りす るだけではな く, 自分 自身の復讐心 と向き合 う 努 力が求 め られ る。

④ 人 間は復讐心 と寛容 の心 との葛藤 に1酋み続 け今 に至 って いる。だか らこ そ,葛 藤 して も意味がない ことを認識 し,復 讐心か寛容の心かのいずれか を 選 び取 る努 力が求 め られ る。

一‑ 48 十 一

(2603‑‑48)

(10)

倫   理

第 3問  次 の文章を読み,下 の問い(問1〜8)に答えよ。(配点 24)

人が死ぬ ことを他界す るという。 この世を去 って他 の世界へ移 る という意味であ る。 日本で他界は どのよ うに語 られてきたのだろうか。

古事記』によれ ば, 国 土 を生んだ伊邪那美 命 は火 の神 を生んで傷 つ き,   この 世 を去 る。    1 3   へ 妻 を追 った伊邪那岐 命 は, 妻 の変わ り果 てた姿 に驚 いて逃 げ 帰 り, そ こへ の道 を大岩で塞 いで しまう。伊邪那美命は岩 の向 こうか ら「人間 を一 日に千人殺 してや ろ う」と叫ぶ。つ ま りこれは, 神 だけではな く人間の死 につ いて の物語で もある。ただ し, 他 界は単なる死の国ではな く, 神 々の生々 しい力が生き て いる本源的な世界 ともみなされ る。その場合, 他 界か ら神 を招き, 幸 を授か ろう とする営みが祭祀である。折口信夫は, そ のように③幸をもたらす神や鬼をまれ

び とと呼 んだ。

仏教 では, 煩 1 酋の海 で ある この世 に対 して, 悟 りの 世界 を彼岸 と呼ぶ。平安時 代, 末 法 の世の到来 を間近に して, 源 信は『往生要集』という書物 を著 した。すなわ ち, 彼 岸たる浄土 に往 つて生まれ るための修行方法を説いたのである。

江戸幕府に仕えた   1 4   の 唱えた上下定分の理 という言葉からも分かるよう に, 当 時, 学 問の主流では, 現 世に関心がおかれていた。◎荻生徊徐の経世済民 も同様である。もっとも, 他 界の思想が消えたわけではない。今 日墓参の行事と考 え られているお彼岸は, 沈 む太陽 を拝み, 逮 かな極楽浄土 を想 い観 る修行が一つの 起源であった と言われ る。つま りお彼岸 の他界観は, 伝 統的な祖霊祭祀 と浄土思想 ① 習合 したものであると言える。例えば近世に成立 した◎古典落語からも, こ れと同じ他界観の習合が,   この時代に生きていたことを読み取ることができる。

明治 にな り, 文 明開化 の機運 が高 まる と, ① 啓蒙思想や 民権思想が盛 ん に議 論 された一方で, 他 界 に関す る思想は, 公 的な議論か らます ます閉め出された。 日本 の近代化 とは, こ の世の合理化 を意味 したか らである。

しか し, 今 日もお彼岸やお盆の行事は営 まれている。柳田国男 によれば, 祖 霊 は 里か ら遠 くな い山な どに とどまる と考 え られ た。それ な ら,   日本人 は多様 な他 界 を, 身 近な 自然のなかにそれ とな く意識 していることになろう。つ ま り, 他 界は単 なる死後 の世界ではな く,   自然は単なる自然ではない。両者は輝然 として, 我 々の 命や魂 の在 り方 と関わって, 今 もそ こか ら, 我 々の在 り方 を問 うているのである。

一‑ 50 ‑一

( 2 6 0 3 ‑ 5 0 )

(11)

倫   理 間 1   文 章中の   1 3   ・ 匡 1 4 ] に 入れるのに最も適当なものを, 次 のそれぞれ

のO〜④のうちから一つずつ選べ。

□□

狂言 『節分』は, 蓬 蒸 という他界か ら日本 に渡 ってきた鬼が, あ る屋敷の留守 居 の女性 に一 目惚れ して しまい, 言 われ るままに隠れ表や隠れ笠, 打 出の小槌 な どの宝 を渡 して しまう,   といった話である。 もらえる限 りの宝 を受 け取 った 女性 は, 「福 は内へ, 福 は内へ。鬼 は外へ」と囃 しなが ら豆 を投 げ, 鬼 を追 い 払 って しまう。 このように見 ると, 節 分 の行事 において, 「福は内」と叫ばれ る その福 とは   A   で あることが分かる。

①  他 界の鬼がそれ を目当て に訪れ る,   この世 にある豊かさ

②  贅 呈の鬼がそれ によって人間を誘惑す る, 見 せかけの宝

③  人 間が扮 した鬼が儀礼的 に人々に分 け与える村 の豊かさ

④  人 々か ら豆 を投 げつけ られ る鬼が他界か ら運んできた宝

0 常世国 0 新井白石

② 黄泉国

② 熊沢蕃山

③ 高天原

③ 林羅山

④ 章原中国

④ 山崎闇斎

問 2 下 線部④ に関 して,次 の文章 を読み,匡 玉コ に入れるのに最 も適 当な もの

を,下の0〜④のうちから一つ選べ。  15

‑ 5 1 ‑

( 2 6 0 3 ‑ 5 1 )

(12)

倫  理

問 3   下線部⑤に関して, 『往生要集』が重視した修行として最も適当なものを,

次の0〜④のうちから一つ選べ。  16

0 ‑切 の自力の修行を放棄 し,ひ たす ら阿弥陀仏の慈悲の力にすがる。

② 他 力にたよらず,ひ たす ら坐禅に打ち込む ことを通 して悟 りを得る。

③ 仏 や浄土の姿に心を集中させ,そ れをありあ りと思い浮かべる。

④ 他 の教えを排 し,妙 法蓮華経への帰依を意味する題 目を唱える。

問 4 下 線部⑥ に関 して,荻 生往徐についての説明として最 も適当なものを,次 の

①〜④のうちから一つ選べ。  17

0   聖 人の言葉 に直接触れ るために古代 中国の言語 を研究す る必要 を訴え, 後 の国学の方法論 にも影響 を与えた。

②  孔 子以来, 儒 教が重要視す る孝 を, 人 倫 のみな らず万物の存在根拠 とし, 近江聖人 と仰がれた。

③  実 践 を重ん じる立場か ら朱子学 を批判 し, 直 接孔子 に学ぶ ことを説 き,

聖教要録』を著 した。

④   『論語』『孟子』の原典 に立ち返 る ことを訴え, 真 実無偽 の心 として誠の重要 性 を主張 した。

―‑ 52 ‑一

( 2 6 0 3 ‑ 5 2 )

(13)

倫   理 問 5   下 線部③に関して, 神 仏習合の説明として適当でないものを, 次 の0 〜 ④の

うち か ら一 つ選べ。    1 8

0   神 道 と仏教が重な り合 うことを意味 し, そ れぞれの要素は変質 しつつ も消 滅 は しない。神社 に神宮寺がおかれるな どはその例である。

②  神 道 と仏教が重な り合 うことを意味 し, 神 道 または仏教 いずれかが支配的 に理解 され る こともある。本地垂述説な どはその例である。

③  神 道 と仏教が重な り合 うことを意味 し, 神 と仏が同体である とみな され る こともある。権現信仰な どはその例である。

④  神 道 と仏教が重な り合 うことを意味 し, そ の ことで両者は一つの教えへ と 昇華 され る。近代 の国家神道な どはその例である。

―‑ 53 ‑一

( 2 6 0 3 ‑ 5 3 )

(14)

倫   理

問 6   下線部◎に関して, 次 の引用はある古典落語の一部である。場面は,   とある

事情 か ら死地 に赴 く ことに同意 して しまったお 人好 しの金蔵 が, 世 話 にな って い る親 分 に対 して, 「田舎 へ旅 に出 る」と嘘 をつ きなが ら別 れ のあ いさつ を しよ う と して い る と ころで あ る。    B   に 入 れ る の に最 も適 当 な もの を, 下 の

0〜④のうちから一つ選べ。  19

親  分   「で, 田 舎 といって, ど っちへい くんだ ? 」 金  蔵   「ええ,     B   へ まい ります」

親  分   「目あてがあってい くんだろうが, い つ ごろ帰 るつ もりだ ? 」 金  蔵   「盆の十三 日には帰 ります」

親  分   「ふ―ん, そ んな に長 くかか るのか。す ると, だ いぶ遠 いな」

金  蔵   「ひ との うわさで, な んで も十万億土 とか……」

( 「品川心 中」興津要編 『古典落語 ( 続) 』所収)

① 束のほう

② 西のほう

③ 南のほう

④ 北のほう

‑ 5 4 ‑

(2603‑‑54)

(15)

倫  理 問 7   下線部①に関連して, 中 江兆民から唯物論的な思想を学んだ幸徳秋水につい

て の 説 明 と して 最 も適 当な もの を,次 の 0〜 ④ の うち か ら一 つ選 べ。  20

0 国 は人民によってできた ものであると平易に民権思想 を説き,主 権在民 を 謳 い抵抗権 を認める私擬憲法 を起草 した。

② 国 を支 える農業 と農民 を大切 に考 え,農 民が苦 しむ公害問題 を解決す る運 動 に身を投 じ,そ の解決の必要性 を説 いた。

③ 東 洋の学問を実生活 に役立たない虚学,西 洋の学問を実生活 に役立つ実学 と呼び,後 者 を学ぶ ことの必要性 を説いた。

④ 社 会 主義 の立場 か ら,当 時 の帝 国主 義 を,愛 国心 を 経 と し軍 国主 義 を 尋とす る 20世 紀の怪物 と呼び,批 判 した。

問 8 本 文の趣 旨に合致す る記述 として最 も適 当な ものを,次 の0〜 ④の うちか ら 一 つ選べ。  21

①  他 界 は, 死 後 の世界 として意識 され るだ けでな く, 命 の本源や神 との関 係, 魂 の行方ない しは死生観 に関す る種々の考 えが重層的に含 まれ る世界 と

して, 今 も身近な ところに存在 している。

②  他 界は, 死 後 の世界 として意識 され るだけでな く, 人 間 と人間を取 り巻 く 自然 との理想的な関係 として, ま たそれ に基づ く人間のあるべき未来 を映 し 出す鏡 として, 今 も大切な もの とみな されている。

③  他 界は, 死 後 の世界であるばか りでな く, 我 々の 目をこの世の現実か ら背 けさせ る力を実際にもつので, 祖 先への敬意は大事 に しつつ も,   この世の問 題 と区別 し, 日 常 には もち込 まない ことが大切である。

④  他 界は, 死 後の世界であるばか りでな く, 現 実 にこの世の出来事 を左右す る大 きな力をもっているので, 寺 社 に参詣 し, ま た, お 彼岸やお盆 を大切 に す る ことによって, 他 界か らの問いに正 しく答えることが必要である。

十‑ 55 ‑― ( 2 6 0 3 ‑ 5 5 )

(16)

倫   理

第 4 問   次 の文章を読み, 下 の問い( 問1 〜 8 ) に答えよ。 ( 酉己点  2 4 )

この世界における確実な ことを見通す困難さは,闇 に讐え られる。闇の中を生き ていくためには光が要る。西洋近代哲学はその光 を理性 に求め, そ れ によって 世界を隈な く照 らしだそ うとした。 ここでは, 西 洋近代における理性の歩みを振 り 返 り, 現 代における理性の意義を考えてみよう。

デカル トは, 確 信をもって人生を歩むために真偽 を識別する新 しい原理 を探求 し,哲 学 の第一原理 となるコギ ト(私は考える)」を探 り当てた。いわば闇を照 らす光である。 この光 としての理性の能力を吟味したカン トは, 現 実の人間がいか に欲望に流されやすくとも,⑥ 人間 の意志 は道徳法則 を義務 として受 け止め,か つそれ に従 いうるのであ り,そ こに理性的存在 としての人間の 自由があるとした。

これ に対 してヘーゲルは,カ ン トにおける理性 と自由との関係がなお  22 な のにとどまるとした。彼は歴史 を精神の 自己展開の過程 と把握 し,そ こで精神の本 質である 自由が実現 され ると考えたのである。 このよ うに,西 洋近代哲学 にお いて 理性は,世 界 を光 の王国 につ くりかえる自由の原理 と考え られたのである。

しか し,ガ ス灯や電灯で闇を追 い払った近代文明が様 々な問題 を抱えていたよ う に, 理 性による光の王国も多くの問題を卒んでいた。キルケゴールは, ① 倫理的

で あ ろ う とす る と絶望せ ざるを得 な い人間 の現 実 を直視 した。 そ こか らみれ ば, 理 性 を通 じた 自由の実現 という構想は, 人 間の現実 を無視 した空論 にす ぎない。 この よ うなキルケゴールの考 え方は, 後 の E23コ などに影響を与え,実 存主義の道 を 切 り開いた。他方, ヘ ーゲル哲学 を事実か ら切 り離 された空論 に陥っていると批判 したパースは,行 動に立ち返って思考 を明晰にす る方法を発展させ, プ ラグマ テ ィズムを提唱 した。両者は理性を人間の生の営みのなかに位置づけて世界 を捉え 直 し, そ れぞれの立場か ら現代における哲学の課題を明らかにしたのである。

戦争や環境破壊の危機に直面する現在, 近 代文明を推進 した理性の見直 しはます ます差 し迫った課題 となっている。現代では,光 としての理性の有する特権的な位 置づけは失われ, ① 人間理性は人々の日常の行為や言語の働きか ら理解 され るよ うになってきた。理性に対するこのような反省は,近 代理性の光の及ばぬ暗が りを 探 り出 し, 人 間社会のあ り方に対 して③型たな展望 を与えようとす る試み と言え よう。

‑ 56 ‑

(2603‑56)

(17)

倫   理 間 1   文 章中の  2 2   ・ 匡 2 3 ] に 入れるのに最も適当なものを, 次 のそれぞれ

の0〜④のうちから一つずつ選べ。

2 2     0   具 体 的 ()  チ由夕R白匂 ③ 客観的 ④ 主体的

23  18 軍 景 東 全 妥 ハ ウ ア

② ベルンシュタイン

④ フッサール

問 2   下 線部④に関連して,人 間の理性という光をもって世界を照らし出そうとし た西洋近代の思想を啓蒙思想という。フランス啓蒙思想家の説明として最も適

当なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。E王互コ

①  モ ンテスキ ューは,人 民の革命によって絶対王政を転覆すべきだ とした。

②   ヴ ォルテールは, ロックの経験論に学び宗教的な迷信や偏見 を批判 した。

③  デ ィ ドロは, 王 政の保護のもと, 宗 教 を擁護す る『百科全書』を編纂 した。

④  サ ン= シ モ ンは,資 本主義の科学的分析に基づいて理想社会を構想 した。

問 3 下 線部⑤に関して,デ カル トは「コギ ト」から出発して精神を理解した。精神

に関す るデ カル トの見解 と して最 も適 当な もの を, 次 の0〜 ④ の うちか ら一 つ 選 べ。    2 5

0 精 神は,人 間の根源 にある欲望 を統御す る良心であ り,教 育 を通 じて社 会 の規範が内面化 された ものである。

② 精 神は,誠 実なる神 によって人間に与え られた良識であ り,信 仰 に応 じて 各人に配分 されて いるものである。

③ 精 神は,思 考 を属性 とす る実体であ り,延 長 を属性 とす る物体である身体 か ら明確 に区別 され るものである。

④ 精 神は,客 観的な真理 を追究 しよ うとす る高通の心であ り,情 念 との関わ りをもたず に存在す るものである。

一‑ 57 ‑一

(2603‑57)

現実的

(18)

倫   理

問 4   下 線部⑥のように道徳を捉えたカントに対して,功 利主義者ベンサムは行為 の判断基準として行為の結果を重んじた。後者の考え方による発言として最も

適 当 な も の を , 次 の ① 〜 ④ の う ち か ら一 つ 選 べ 。 E 至 亘 コ

0   「 私 は, ど んな状況下で も聴 をつ くべきではない と考 えて いるので,   自分 に不利益が及ぶ として も, 正 直 に話 をす ることにしている。」

②   「私 の行動原則は, そ の時 々の 自分 の快楽 を最大 にす る ことだか ら, 将 来 を考 えて今 を我慢す るような ことは しないことに している。」

③   「社会 の幸福 の総和が増大す る として も, 不 平等が拡大す るのはよ くな い か ら, ま ずは個 々人の平等 を実現すべ きだ と, 私 は考 える。」

④   「自分 の行動が正 しいか どうか に不安 を覚 えるとき, 私 は, そ の行動 を と る ことによって人々の快楽の量が増えるか どうかを考 える。」

問 5   下線部①に関して, キ ルケゴールはどのように考えたか。その説明として最

も適 当 な も の を,次 のO〜 ④ の うち か ら一 つ選 べ。E 王 = コ

0 本 来 の 自己 を見失 って絶望す る人間は,理 性 によっては根拠づけ られ る こ とのない信仰への決断によって,本 来 の 自己 を回復できる。

② 現 世の悪 に絶望す るキ リス ト者は,神 か ら与え られた現世の務めに専心す る ことによって,人 間 としての本来のあ り方 を獲得できる。

③ 超 越的な神が もはや存在 しない現実 に絶望す る人間は, 自ら覚悟 をもって 価値創造 に挑む ことで,本 来の力を獲得す る ことができる。

④ 肉 体 を支配す る悪の原理 に絶望す るキ リス ト者は,信 仰 による決断を通 し て,魂 を肉体か ら解放 し,本 来の改郷 に帰 る ことができる。

一‑ 58 ‑―

( 2 6 0 3 ‑ 5 8 )

(19)

倫  理 問 6   下線部◎に関して, パ ースにおいて思考を明晰にするとは, 行 動を導く信念

の意 味内容 をは っき りと捉 え る ことで あ った。 これ に関す る次 の文 章 を読み, パ ー ス の考 え方 の説 明 と して最 も適 当な もの を, 下 の0〜 ④ の うちか ら一 つ選 べ。   2 8

信 念 の本 質 は,習 慣 を確 立す る とい う ことで あ る。 そ して,信 念 の違 いは, そ の信念 によ って 生み 出 され る行 動 の仕 方 の相 違 によって 区別 され る。 も しも 信念 が,行 動 の仕 方 とい う点 で異 な って いるのでな けれ ば……,そ れ らの信念 の意 識 の仕 方 が異 な って いて も,そ れ らを異な った信念 だ とす る ことはで きな い。 それ は,あ る曲 を異な った調で演奏 して も,異 な った曲 を演 奏 して いる こ とにはな らな いの と同 じことで あ る。 表現 の仕 方 で異な って いるだ けの信念 は しば しば異 な った もの とされ るが,そ の区別 は架 空 の ものな ので あ る。

( パー ス 「いか に してわれ われ の観念 を明晰 にす るか」)

0  思 考 を明晰 にす るた め には,同 じ習慣 的な行 動 で あ って も,異 な った信念 に導 かれ て いる ことに注意す べ きで あ る。

②  思 考 を明晰 にす るた め には,主 観 的 な信念 の違 いにで はな く,客 観 的 な行 動 を導 く意識 の違 い に注 意 す べ きで あ る。

③  思 考 を明晰 にす るた め には,信 念 の表現 の違 い にで はな く, 信 念 が 生み 出 す行 動 の仕 方 の違 いに注 目す べ きで あ る。

④   思 考 を明晰 にす るた め には, 人 間 の 内面 に隠れ て い る意 識 や 信 念 の相 違 を 言 い表す 表現 の違 い に注 目す べ きで あ る。

十‑ 59 ‑一 ( 2 6 0 3 ‑ 5 9 )

(20)

倫  理

問 7   下線部①のあり方を批判的に検討した現代の思想家フーコーについての記述

として最も適当なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  29

0   西 洋哲学 を成 り立たせて きた主体な どの概念が覆 い隠 してきた問題 を, 歴 史 のなかで新たに問 うために脱構築 を主張 し, 理 性の概念 を捉 え直 した。

②  理 性 と狂気 とが区別 され るようになってきた西洋の歴史 を分析 し, 確 固 と した理性 という考 えが歴史 の過程 の産物である ことを明 らかに した。

③  非 西洋 の未開社会 の実地調査 を通 して, 西 洋社会 とは異なる独 自の思考体 系 を見 いだ し, 西 洋の理性的思考 を特権化す るような考えを斥 けた。

④   自 己意識 のなか に取 りこめない他者性が現れ る場 を 「顔」という言葉で表現 し, そ のような他者 に向き合えない理性 の暴力性 に照明を当てた。

問 8   本文の趣旨に照らして, 下 線部③の「新たな展望」とはどのようなものである

と考 え られ るか 。 そ の 記 述 と して 最 も適 当な もの を, 次 の0〜 ④ の うち か ら つ 選 べ。    3 0

0 近 代理性は,具 体的な 日常のなかで生きるための知恵を提供できなか った ために,戦 争や環境破壊 を招 いた。今後は, 日常の知恵を教える権威 に従 っ て,知 恵 に基づいて生きる道 を模索すべきである。

② 近 代理性は,社 会的存在であることに伴 う義務 を軽視 してきたために,社 会 を不安定 に し,人 間疎外 を招 いた。今後 は,伝 統的な社会的規範の意義 を 見直 し,義 務 を自覚す る道 を模索すべきである。

③ 近 代理性は,未 開の間を克服 して光 の文明社会 を建設 しようとしたが,自 然破壊 な ど新 たな野蛮 に陥 った。今後 は,理 性 のみな らず感情 に も目を向 け,内 なる自然 に従 う道 を模索すべきである。

④ 近 代理性 は,自 由を実現す る主体 として優越 的な地位 を与 え られて きた が,様 々な問題 の源 ともなっている。今後は, 自由の主体 としての理性 を捉 え直 し,対 話 によって生きる道 を模索すべきである。

一‑ 60 ‑一

( 2 6 0 3 ‑ 6 0 )

(21)

倫   理

第 5問  次 の文章を読み,下 の問い(問1〜 7)に答えよ。(配点 20)

正 しい行 為 とは何か。 この問 いは, 誰 が, ど のよ うな状況で発す るのか によっ て, 答 えが変 わ り得 る問いで ある。だか らこそ, 先 哲 は現代 に至 るまで, ④ 誰 の 立場か ら見て も正 しいと思える行為の原理やルール を発見 しようとしてきた。

しか し, 既 存 のルールが本 当に正 しい行為 を命 じているのか どうか を反省す る こ とな く, た だルール に従 うことが正 しいと考 え られて しまった とき, 悲 1 参な事態が 生 じる ことがある。例 えば, ナ テス ・ドイツのファシズム体制のもとで, ユ ダヤ人 を強制収容所に送る任務についていたアイ ヒマンは,第 二次世界大戦後,⑤ 人道 に対する罪などが問われた裁判のなかで, 自分は法律に忠実に従い, 自分に課せ ら れた義務を果た しているということに疑いを抱かなかったと述べた。

大戦を経験 した後,⑥ 個人を平等に尊重する社会の構成原理 を見 いだそ うとす る従来の試みのなかか ら,新 たな傾向が現れた。それは,私 たち一人ひとりが具体 的な状況に目を向け,人 々が①現に感じている苦しみを和 らげるために何ができ るのかを考えようとするものである。心理学者のキャロル ・ギ リガンは,人 と人 と の間にすでに存在 している関係性のなかで他者を気遣 うことや,他 者 との間に新 し い関係を築 こうとすることの道徳的重要性 を説き,そ のような倫理観 をケアの 倫理 と呼んだ。

ケアの倫理は,① 家族における子 どもと親 といった,身 近な関係のみにふ さわ しい倫理 と考え られがちである。 しか し,私 たちは,そ うした関係を越え, 自分 と は異なる状況におかれている人々の存在を想像することができる。皆が正 しいと考 えるルールに従っているとしても,そ れだけでは,他 者か らの必要な配慮が得 られ ずに苦 しみ続ける人がいるかもしれない。そのように問い直す ことは,よ り広い社 会のなかで様々な状況におかれた私たち一人ひとりに目を向けることの大切さを気 づかせて くれる。だとすれば,EA]。

十‑ 62 ‑一 ( 2 6 0 3 ‑ 6 2 )

(22)

倫   理 問 1   下線部④に関して, こ のようなルールを確立しようとした第二次世界大戦後

の哲学者の一人にハーバーマスがいる。ハーバーマスの考え方についての説明

として最も適当なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  31

①  他 者の権利 を侵害 しない限 り, 私 たちの 自由は平等 に尊重 されるべきであ る。ただ し,   自由競争 によって生 じる不平等 については, 社 会 において恵 ま れない立場 にある者たちの生活 を改善す る限 りで許 され る。

②  人 は, 互 いに合意 に至 る ことを可能 にす るような理性 をもっている。 した が って, そ のような理性 を対等な立場が保障 された うえで使用す るな らば, 万人が同意す る ことができる社会 のルール を発見できる。

③  人 は, 互 いの 自由や財産 を権利 として尊重す るべきだ というルール を理解 できる理性 をもっている。そ して, 各 人の 自由や財産 をよ り確実 に保障す る ために, 合 意の もとに政府 を設立す る。

④   自 己利益だけでな く, 万 人に共通す る利益が第一に考え られるべきだ とい う一般意志が存在す る。そ して, そ れ を強制す るルール に基づ く社会 を築 け ば, 個 人の権利 と自由は保障 され る。

問 2   下 線部⑤に関連して, 第 二次世界大戦後, 国 家や軍の非人道的な行為を防ご うとする努力が重ね られている。そのような国際社会の試みに関する記述とし

て最も適当なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  32

0 1990年 代 に地雷禁止国際キ ャンペー ンが始 ま り,オ タワ条約が結ばれた が,軍 事大国のアメ リカ合衆国や ロシア連邦な どは批准 していない。

② 1990年 代 にル ワンダ内戦な どで犯 され た罪 を裁 くた め に,臨 時 の国際刑 事裁判所が設置 されたが,常 設の国際刑事裁判所はまだ設置 されて いない。

③ 非 人道的な兵器の使用 を防 く

ために国際社会は努力 しているが,化 学兵器 については同意が得 られず,国 際条約はまだ採択 されていない。

④ 束 西冷戦下では,核 を保有す る ことで戦争 を抑止できるとす る議論が盛ん であったが,現 在では保有国における核兵器製造は禁止 されて いる。

‑ 6 3 ‑

( 2 6 0 3 ‑ 6 3 )

(23)

倫   理

問 3   下線部⑥に関して, あ らゆる人びとが平等に尊重されるための取組の例とし

て適当でないものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  33

0 国 際連合教育科学文化機関憲章 (ユネス コ憲章)は,第 二次世界大戦にお い て被災 した子 どもを救援す る ことを目的 とし,児 童 と青年が個人 として生活 す るための十分な社会整備がなされ るべきだ と宣言 している。

② 世 界人権宣言は,第 二次 世界大戦後 に諸国民の友好関係の発展 を奨励 し, 世界のすべての人が,人 種,皮 膚の色,性 ,宗 教な どによって差別 を受 ける

ことな く,生 まれなが らに平等である ことを主張 して いる。

③ 児 童の権利 に関す る条約 (子どもの権利条約)は,子 どもたちの完全で調和 の とれた発達 を促すために特別な保護 を与える必要性 を認識 し,子 どもへの 差別 を禁 じ,そ の 自由と権利 を実現す ることを宣言 している。

④ 女 性 に対す るあ らゆる形態 の差別の撤廃 に関す る条約 (女子差別撤廃条約) は,社 会 と家庭 における伝統的な性別役割 を変更す る ことも,男 女の完全な 平等 を達成す るためには必要であると主張 している。

一‑ 64 ‑一 (2603‑‑64)

(24)

倫   理 間 4   下 線部①に関連 して, 世 界保健機関( W H O ) は, 次 のように緩和ケアを定義

した。その定義における苦痛については, 図 のような説明が考えられる。定義 と図を踏まえたうえで, 緩 和ケアの考え方として適当でないものを, 下 の0 〜

④のうちから一つ選べ。  34

定  義

緩和ケア とは, 生 命 を脅かす疾患 による問題 に直面 している患者 とその家族 に対 して, 疾 患の苦痛, 身 体的問題, 精 神的問題, 社 会的問題, ス ピリテ ュア ルな ( 霊的な, 魂 の) 問題 に関 して, 早 期か らきちん とした評価 を行 い, そ れが 障害 とな らないように予防 した り, 対 処 した りす る ことで, ク オ リテ ィー ・オ

ブ ・ライ フ ( 生活 の質, 生 命の質) を改善す るためのアプローチである。

( 世界保健機関 W e b ペ ー ジ)

社 会 的苦痛

仕事上の問題, 経 済的な問題, 家庭内の問題など

精 神 的 苦痛 不安,   うつ状態, 恐 れ, 孤独感, 怒 りなど

身体 的 苦痛 痛 み,治 療 の副 作 用,

日常生活の支障など

ス ピ リチ ュアル ・ベイ ン 人生の意味や苦 しみの意味に対する悩み, 死の恐怖など

0   緩 和 ケ アは, 末 期 治療 に限定 され る もので はな く, 治 療 の過程 に生 じる 様 々な苦痛 を和 らげよ うとす るアプローチである。

②  緩和ケアが改善しようとしているクオリティー・オブ・ライフには, 患者

本人だけでな く,患 者 をとりま く家族 の生活 の質 も含 まれ る。

③ 緩 和ケア という考え方は,患 者が感 じている苦痛 を分類 し,ケ ア・スタ ッ フが,患 者の身体的苦痛 に集 中 して治療できるようにす る。

④ 緩 和ケアという考え方は,治 療の間に変化す る患者のエーズにこたえるた めに医療従事者 と患者のコミュニケー シ ョンを重視 している。

全 人的苦痛 ( トータル ・ベイ ン)

‑65 ‑ ( 2 6 0 3 ‑ 6 5 )

(25)

倫  理

問 5   下線部◎に関して, 次 の文章は, ギ リガンがエイミー( 1 1 歳女) とジェイク ( 1 1 歳男) の二人 に行 ったイ ンタ ビュー を分析 した もので ある。そ の分析 のな かで, ギ リガンは, エ イ ミーの責任感 にケアの倫理が典型的に表れていると考 えた。次 の文章 も参考 にしつつ, ケ アの倫理の説明 として最 も適 当な ものを,

下の 0〜 ④のう ち から 一つ選べ。E35コ

ジェイ クにとっての責任は,他 の人の ことを考えて, 自分が したいことは我 慢す る ことを意味 しています。それ に対 して,エ イ ミーにとっての責任は,他 の人が彼女か らされたいと願 っていることをす る ことを意味 して います。二人 とも,人 を傷つける ことを避 けよ うとしているのですが,異 なる仕方で問題 を 見て いるのです。 ジェイ クは,攻 撃的な ところを見せ ると人は傷つ くと考える のですが,エ イ ミーは,応 答 されない ことで人は傷つ くと考 えるのです。

(キャロル ・ギ リガ ン『もうひ とつの声』)

0 ケ アの倫理 によれば,私 たちには他者 との関係性が大切なので,他 者に対 す る危害 を禁止す るような一般的なルールが存在す る。

② ケ アの倫理 によれば,人 は生きるためにお互 いに配慮 し合 うべ き存在であ るか ら,積 極的に他 の人々を気遣わなければな らない。

③ ケ アの倫理 によれば,私 たちは 自分 の行為が人を傷つけることがあ り得 る ことを認識 し,他 者 に干渉す ることは避 けなければな らない。

④ ケ アの倫理 によれば,私 たちが他者 を頼 りにす るのは当然であ り,そ の こ とによって他者が傷つ くか もしれないとまでは考えな くともよい。

―‑ 66 ‑一

( 2 6 0 3 ‑ 6 6 )

(26)

倫  理 間 6 下線部①に関連して,現 在の日本社会における家族のあり方に関する記述と

して最も適当なものを,次の0〜④のうちから一つ選べ。  36

0 ラ イ フスタイル に関す る考え方が多様化 し,家 族構成員同士が性別にとら われず世話 し合 う傾向が高 まったので,一 世帯あた りの家族構成員数は増加 傾 向にある。

②  「人は女 に生 まれない。女 になるのである」という言葉 に表れて いる意識が 広 く浸透 し反省 を促 したので,夫 も妻 と同 じように家事 ・育児 を担 うよ うに なっている。

③ 男 性 に比べ女性は,結 婚や育児を理 由に仕事 を辞める者の割合が依然高 い が,子 が成長す るにつれ て,パ ー トタイム労働者 として再就業す る者 が多

④  男 女共同参画社会基本法の施行以降, 女 性 の労l S J 者が増加 した結果, 夫 婦 どち らかの親 と同居 し, 親 に家事 な どを分担 して も らう傾 向が高 まって い る。

問 7   本 文の趣 旨を踏 まえて,     A   に 入れ る記述 として最 も適 当な ものを, 次

の0〜④のうちから一つ選べ。  37

0   正 しい とされて いる行為のルールは, 私 たちの身近な人間関係 を問い直す 機会 を与えて くれ, よ り公平な家族関係 を築 く可能性 をもっている

②  正 しい とされて いる行為のルールは,公 平な社会 という原理には問題があ る として, 社 会 をよ り親密な関係へ と作 り変 える可能性 をもっている

③  ケ アの倫理は, 私 たちが現在築 いている関係 には問題がある として, 人 と 人の密接な関係 を批判的に問い直す可能性 をもっている

④  ケ アの倫理は, 私 たちが正 しい行為のルールに従っているだけでは不十分 であるとして, 社 会 を批判的に問い直す可能性 をもっている

‑67 ‑一 (2603‑‑67)

参照

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