産業情報論集 Vol.13 (No.1・2) March 2017 pp.1-46 Journal of Industry and Information Science
産業情報論集 第13巻 第1・2号合併号
沖縄国際大学産業情報学部 2017年3月
南嶋民俗資料館の古布裂(紺地)の研究
A Study of Old clothes (Kon-ji) in Nanto Minzoku Shiryou Kan
又 吉 光 邦
Mitsukuni MATAYOSHI
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南嶋民俗資料館の古布裂(紺地)の研究
A Study of Old clothes (Kon-ji) in Nanto Minzoku Shiryou Kan
又吉光邦
Mitsukuni MATAYOSHI
【要 旨】
本論文では、南嶋民俗資料館に蒐集・保管されている古布 98 件の内、地を紺系の色で 着色した紺地布 48 件の詳細を報告する。調査の詳細には顕微鏡用いているが、繊維の同 定のため燃焼実験も先行研究(文献 [2])と同様に行った。その理由は、吉野高善氏によっ て南嶋民俗資料館に蒐集・保管されている八重山地方の古布裂は、200 倍の倍率の顕微鏡 で見てもその繊維の特定に至らないものがあるためである(文献 [1-3])。その結果、今回の 燃焼実験における調査で、経糸 10 件/ 48 件(20.8%)、緯糸 9 件/ 48 件(18.7%)に動物 性繊維の使用が確認された。
【Abstract】
48 kon-ji pieces of old 98 clothes in total which are kept in Nanto-minzoku- siryoukan (Private folk customs material pavilion) are analyzed by using combustion testing for the very tiny strings, and some considerations in similar manner in the previous study (see [2]) are also given in this study. In the results by only using microscope analysis, we couldn't identify what kind(s) of fiber(s) has been used in the old clothes (see [1-3]). In order to identify the fibers of strings using in old clothes, combustion experiment was adopted and executed. The results show that 20.8% for the warp and 18.7% for the woof are animal fiber in 48 kon-ji pieces.
【目 次】
はじめに
1.紺地の古布裂
1.1 南嶋民俗資料館の紺地の 古布裂
2.顕微鏡と燃焼実験による 繊維の同定
2.1 顕微鏡
2.2 燃焼実験による繊維の同定
3.古布裂の燃焼実験結果一覧 3.1 紺地
4.考察・課題 謝辞
産業情報論集 Vol.13 (No.1・2) March 2017 pp.1-46 Journal of Industry and Information Science
はじめに
本論文は、文献 [1]、および [2] で報告 された南嶋民俗資料館(現館長:崎原毅)
の古布裂の研究を補完する。文献 [1] では、
糸の素材、糸の作り方、経糸密度、緯糸密 度、大きさ、そして質感等を中心に報告し ていたが、糸の素材について判然としない ものが多数あったと報告されている。そこ で、繊維の同定をするため文献 [2] におい て 4 件の形付布、39 件の白地布、および 5 件の芭蕉布について、200 倍の顕微鏡写 真と僅かな糸片を用いた燃焼実験を行い、
糸の素材、すなわち繊維の素材について得 られた結果を報告した。しかしながらその 一方で、紙面の関係上、紺地布 48 件につ いては未発表となっていた。今回、本論文 では未発 表のままとなっている紺地布 48 件について先行研究の研究報告(文献 [2])
と同様に 200 倍の顕微鏡写真と燃焼実験 により得られた知見を報告する。特に植物 性繊維と動物性繊維の判別に力点を置い た点も前回の報告と同様である。
本論文の第1章では、紺地の古布裂の 由来について簡単に述べる。第2章では、
調査した古布裂の繊維の同定方法につい て述べる。第3章で燃焼実験と顕微鏡写 真のデータを載せる。そして、最後に総括 と今後の研究課題について述べる。
1.紺地の古布裂
1.1 南嶋民俗資料館の紺地の古布裂 南嶋民俗資料館には、吉よ し の野高こうぜん善(1898
年 5 月 15 日 -1965 年 11 月 4 日)によって 蒐集された紺地の古布裂が 48 件ある。そ れ以外にも紺地の琉装がいくつか収蔵され ているが、本論文では、おおよそ 20cm × 40cm の整理された紺地の古布裂を調査対 象としている。
2.顕微鏡と燃焼実験による繊維の同定
文献 [2] と同様の顕微鏡装置と燃焼実験 により、古布裂に使用されている糸の繊維 についての同定を行う。
2.1 顕微鏡
本研究で使用した顕微鏡は、MJ-302(画 像計測ソフト付きマイクロスコープ。佐藤 商事。参考文献 [5])である(文献 [2] と 同様)。倍率は可変式で 250 倍までできる が、今回は、60 倍と 200 倍に固定して使 用した。
2. 2 燃焼実験による繊維の同定 文献 [2] と同様に繊 維の燃焼実 験によ る同定では、南嶋民俗資料館の崎原毅館 長の許可を得て、5mm 程度の糸くずをそ れぞれの布から採取し、それを燃焼させ、
その匂いと燃焼後の繊維の状態を確認す ることで行われた。ここで、燃焼実験を取 り入れた理由は、文献 [4],[6] のカヤステ インQ等を用いた化学的同定(色による識 別)には、貴重な古布裂の大きな破壊(例 えば着色や脱色など)が避けられないが、
糸の燃焼実験では一本の 5mm 程度の糸く ずでそれが植物繊維なのか、絹などの動 物繊維なのかの判別が容易にできるからで ある。
琉球王朝時代から明治期まで沖縄の地 で布の繊 維として利用されていたものは、
(1)木綿、(2)苧麻、(3)芭蕉、(4)
1 八重山地方の民具や玩具を作ることができる八 重山民具制作の第一人者。居合道 6 段の腕前。
2 沖縄県八重山郡竹富町小浜島出身で、1927(昭 和 2)年、石垣島で医院を開業した。戦後、八 重山自治会の副会長、八重山支庁の衛生部長を 歴任し、南部琉球米国軍政府によって八重山民 政府の初代知事に任命される。
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絹の4種類である。これら繊維の内、(1)-(3)は、植物性の繊維で、燃焼させる といわゆる草や木(芭蕉の場合)を燃やし たような匂いのするのが特徴である。その 一方(4)絹の燃焼時の匂いは、髪の毛を 燃やしたときの匂いと同じで独特である。
ここで、南嶋民 俗資料館に保管されて いる古布裂の糸の繊維が苧麻/ラミーなの か、あるいは絹なのか目視で明確に区別 できない大きな理由は、両者ともほぼ真っ 直ぐした繊維であり、ともに光沢を持つこ とにある。白地でさえ 200 倍程度の顕微 鏡を用いた目視による判別は非常に困難で あった。今回の紺地の調査では、染色に より色が濃く付着しているものが多いため、
顕微鏡を使った目視だけでは絹糸と苧麻/
ラミーなのかの区別が困難であった。そこ で、燃焼実験による繊維の同定を行った。
糸くずの燃焼後の繊維の状態を確認す ると、木綿;苧麻;芭蕉は、白い灰が残る。
(図 2.2.1 参照)。それに比べて絹糸は、毛 髪の焼ける匂いとともに黒い塊ができる(図 2.2.2 参照)。
以後の顕微鏡による写真では、適宜ス ケールを添付することにする。
3.古布裂の燃焼実験結果一覧
本 章では、文献 [2] と同様に、南嶋民 俗資料館の崎原毅 館長より提供頂いた古 裂の顕微鏡写真と繊維の燃焼実験結果を 写真画像で示し、匂いなどに関する情報を それぞれの表に記す。
古布裂の顕微 鏡の写真は、光学 60 倍
(以下、単に 60 倍)と光学 200 倍(以下、
単に 200 倍)で示す。ただし、60 倍の顕 微鏡写真は、繊維の状態や染織状態によ り複数の写真画像を提示する場合がある。
ここで、古布裂の全体像の画像は文献 [1]
にあるので参照されたい。また、文献 [3]
にはいくつか顕微鏡写真もあるので、そち らも参照されたい。
古布裂からの取得する糸は、可能な限 り経 糸と緯糸の 2 種 類としているが、 実 際、経糸の取得は困難なものが複数あっ た。その理由は、それらの古布裂が左右 の耳を残した状態の良い端布となっていた ためである。また、文献 [1] において述べ たことだが、数例の古布裂には、その 1 枚 の布に複数の糸が使われているばあいもあ る。それは経糸に多く、上述の理由でそ れらの取得が困難な場合が多かった。
燃 焼実 験の凡例として、匂いの項目に
「木」とあるのは、草や木の焼ける際の匂 い。「火薬」は、花火のような匂い(適宜、
硝煙臭)。「毛髪」は、まさに髪や毛の焼 ける際の匂いを知覚したことを指す。
図 2.2.1 植物性糸の燃焼後の状態 ( 整理番号 2002、緯糸、200 倍)
図 2.2.2 動物性糸の燃焼後の状態 ( 整理番号 2003、緯糸、200 倍)
3.1 紺地
南嶋民俗資料館収蔵の 48 件の古布裂は 多分に紺の色を含むため、便宜上、紺地と 分類した。
以下に紺地の古布裂の燃焼実験結果、な らびに質的データを示す。
図 2001.3 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
図 2001.2 200 倍 図 2001.1 60 倍 整理番号 2001
図 2002.1 60 倍 整理番号 2002
番号 2001
匂い 経糸:-。緯糸:木。
経糸繊維 木綿?/絹?
緯糸繊維 苧麻 経糸密度 26.7 緯糸密度 20.0
その他 経糸白は木綿?。経糸は 2 本の撚 り糸。緯糸は苧麻で撚り無し。ゴ アゴアした肌触り。緯糸の燃焼実 験の結果は、木の焼ける匂いのみ で、白く灰化した。植物繊維である。
経糸のサンプルが摘出できなかっ たので、経糸の燃焼実験データは ない。経糸の繊維は木綿を想定し ているが、ねじれの少ない繊維で あることと艶があることなどから 絹である可能性も棄てきれない。
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図 2002.2 200 倍図 2002.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2003.2 200 倍 図 2002.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 図 2003.1 60 倍
整理番号 2003 番号 2002 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 28.3 緯糸密度 22.0
その他 経糸は 2 本の撚り糸。緯糸は強め の 4 本の撚り糸。若干ゴアゴアし た肌触り。経糸と緯糸の燃焼実験 の結果は、木の焼ける匂いのみで、
白く灰化した。植物繊維である。
図 2003.3 経糸(青) 燃焼実験後 200 倍 図 2004.1 60 倍
2004.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2004
図 2003.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2004.2 200 倍
番号 2003 匂い 経糸:毛髪
緯糸:毛髪 経糸繊維 絹 緯糸繊維 絹 経糸密度 25.0 緯糸密度 26.0
その他 文献 [1] で、経糸も緯糸もラミー(苧 麻 ?)としていたが、誤りである。
経糸および緯糸ともに絹糸である。
布の肌触りは、他の紺地布よりも かなりゴアゴアしている。おそら くは、精練前の絹糸を用いて制作 したのではないだろうか。図 2003.2 で経糸にねじれが少なく、かつ光 沢のあることに留意すれば、絹糸 の可能性をあらかじめ留保できる。
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図 2004.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2005.2 200 倍
図 2005.1 60 倍 整理番号 2005
図 2005.3 緯糸 燃焼実験後 200 倍 番号 2004
匂い 経糸:火薬 緯糸:火薬 経糸繊維 木綿?
緯糸繊維 絹 経糸密度 30.0 緯糸密度 24.0
その他 経糸も緯糸も燃焼実験での匂いは、
火薬の焼ける匂いで、それは染料 に起因するものであろうと思われ る。図 2004.3 を見ると燃焼後の先 端に黒い塊がある。経糸は、明らか に絹が用いられていると言えよう。
一方、図 2004.4 をみると、白く灰 化していることから、緯糸は植物 性繊維で、繊維が細いことから木 綿であろうと推定される。肌触り はゴアゴア感があるので、整理番 号 2003 と同様に経糸に精練前の絹 糸を用い、緯糸に木綿を用いて制
作した布と思われる。 番号 2005
匂い 経糸:-
緯糸:木+火薬 経糸繊維 木綿・絹?
緯糸繊維 苧麻 経糸密度 26.7 緯糸密度 16.0
その他 経糸は 2 本の撚り糸。図 2005.2 を みると緯糸は繊維が細く、かつ光沢 があるので絹糸の可能性を棄てき れない(文献 [1] では木綿としてい た)。緯糸の燃焼実験では、繊維の 形状を残したまま白い灰が残って いる。繊維が比較的太いので、緯 糸には植物繊維の苧麻が使用され ているといえよう。布はゴアゴア した、肌触りである。
図 2006.1 60 倍
図 2006.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2007.2 200 倍 整理番号 2006
図 2006.2 200 倍 図 2007.1 60 倍
整理番号 2007 番号 2006 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 30.0 緯糸密度 16.0
その他 経糸も緯糸も強い撚りの繊維でで 来た糸。経糸も緯糸も燃焼実験にお いて白い灰を残す(図 2006.3)。木 綿糸の燃焼後は、非常に細い海綿体 のような白い灰化を示す点である。
布の肌触りは、柔らかくソフト。
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図 2007.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2008.1 60 倍
図 2008.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2008
図 2007.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2008.2 200 倍
番号 2007 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 18.3 緯糸密度 26.0
その他 経糸と緯糸の燃焼実験時の匂いは、
木の焼ける匂いのみ。燃焼実験後 のの結果は、図 2007.3 と図 2007.4 を見ると経糸も緯糸もほぼ同じだ が、緯糸の燃焼実験結果の先端に玉 ができているのを確認できる。絹 糸の混入か、動物性物質の使用を 示唆するかも知れない。糸は強い 撚りの木綿糸。肌触りはソフトで、
厚手の布である。
図 2008.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2009.2 200 倍
図 2009.1 60 倍 図 2009.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2009
図 2009.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 番号 2008
匂い 経糸:木+火薬 緯糸:木+火薬 経糸繊維 苧麻/ラミー 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 25.0
緯糸密度 18.0
その他 図 2008.3 および図 2008.4 より、経 糸と緯糸の燃焼実験の結果はほぼ 同じと言える。燃焼実験時の匂い に火薬の匂いがあるのは、染料や 繊維を糸にする際に密着・固着さ せる物質などに起因するものと考 えられるが、定かではない。この 火薬の焼ける匂いは、他の紺地布 でもある。今後、さらに科学的な 分析が必要と思われる。
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図 2010.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
図 2010.2 200 倍
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図 2010.1 60 倍整理番号 2010
図 2010.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 番号 2009
匂い 経糸:木+毛髪 緯糸:木+毛髪 経糸繊維 木綿+絹 緯糸繊維 木綿+絹 経糸密度 25.0 緯糸密度 20.0
その他 一見したところ、経糸も緯糸も強い 撚りのある木綿糸のようであるが、
燃焼実験時の匂いは、木製の焼ける 匂いに混じって髪の毛の焼ける匂 いも確認できた。絹と木綿の混紡 であろう。図 2009.3-4 より、木綿糸 だけの燃焼実験結果と異なる事が 分かる ( 図 2006.3 参照)。特に、図 2009.4 は白い灰化を見ることができ ないばかりか、小さな黒い塊を見 て取れる。布の肌触りはソフト。
番号 2010
匂い 経糸:木+毛髪 緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.0 緯糸密度 16.0
その他 経糸も緯糸も強い撚りの糸で、木 綿と思われる。ただ、僅かに経糸 に毛髪の焼けた匂いが混ざってい るのを確認した。図2010.4を見ると、
焼けた繊維がすべて白く灰化する のではなく、一本一本の繊維が黒 く炭化している。黒の経糸は赤色 の上に別の色の染料を被せて黒く している。毛髪の焼ける匂いは染 料由来であろう。
図 2011.1 60 倍 図 2011.4 経糸 ( 赤 ) 燃焼実験後 200 倍
図 2011.3 経糸 ( 青 ) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2011
図 2011.2 200 倍 図 2011.5 緯糸(青) 燃焼実験後 200 倍
番号 2011
匂い 経糸青:木+毛髪、経糸赤:木+火薬 緯糸:木
経糸繊維 青糸は、木綿と絹の混紡 赤糸は、木綿の臙脂染め 緯糸繊維 苧麻/ラミー
経糸密度 25.0 緯糸密度 18.0
その他 経糸に 2 種類の繊維が用いられてい る。青糸は髪毛の焼けた匂いを伴う。
図 2011.3 に黒い玉を焼けた先端に見 ることができる。木綿と絹の混紡糸 であろう。赤糸は、図 2010.4 と同 様の木綿に臙脂と思われる。臙脂が 濃いのか、それとも木綿の混紡なの か、焼けの先端に玉を見ることがで きる。緯糸は、木の焼けるにおいで、
白い灰化現象を図 2011.5 にみること ができる。苧麻かラミーであろう。
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図 2012.3 経糸(白) 燃焼実験後 200 倍 図 2013.1 60 倍
図 2012.1 60 倍 図 2012.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2012
整理番号 2013 図 2012.2 200 倍
番号 2012 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 28.3
緯糸密度 18.0
その他 経糸は 2 本撚りの木綿糸であろう。
緯糸は苧麻/ラミーを用いた黒い 糸で、着色しすぎて染料が判然と しない。経 2012.4 を見ると青と赤 みが見える。経糸も緯糸も燃焼実 験の結果は、木の焼ける匂いを確 認した。経糸も緯糸も燃焼実験結 果は白い灰化現象が見える。植物 繊維であることが分かる。
図 2013.2 200 倍
図 2013.4 緯糸(青) 燃焼実験後 200 倍 図 2014.2 200 倍 図 2013.3 経糸(青) 燃焼実験後 200 倍 図 2014.1 60 倍
整理番号 2014 番号 2013 匂い 経糸:木
緯糸:木+火薬 経糸繊維 木綿
緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 18.0
その他 経糸も緯糸も強い撚り。肌触りは ソフト。燃焼実験結果後の経糸は、
白い灰を確認できる。緯糸の燃焼 実験結果には、微量の白い灰と硝 煙臭のような匂いがある。おそら くは染料の焼ける際の匂いであろ うと思われる(要確認)。経糸も緯 糸も繊維の太さや繊維のねじれ具 合から、木綿と推定される。
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図 2014.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2015.1 60 倍
図 2015.3 経糸(青) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2015
図 2014.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2015.2 200 倍
番号 2014 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 28.3
緯糸密度 16.0
その他 燃焼実験結果では、経糸も緯糸も 木の焼ける匂いのみ。図 2014.3、
図 2014.4 には白い繊維状の灰を確 認できる。経糸は木綿の 2 本撚り。
緯糸は苧麻/ラミーであろう。但 し、青色の経糸は、艶や光沢があ るので絹かも知れない。縦方向は折 りたためるが、横方向は硬くて折 りたたみができない。緯糸の苧麻
/ラミーの繊維が堅いことを示す。
肌触りはゴアゴア感がある。
図 2015.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2016.2 200 倍
図 2016.1 60 倍 図 2016.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2016
図 2016.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 番号 2015
匂い 経糸:木 緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 28.3 緯糸密度 24.0
その他 燃焼実験時の匂いは、経糸も緯糸 も木の焼ける匂いのみだが、緯糸 は、図 2015.4 を見る限りにおいて、
白い灰ではなく黒い塊がある。絹 との混紡で絹の割合が少ないのか も知れない。あるいは調整(シダシ)
や織る際にラードが使われたのか も知れない。経糸・緯糸とも太さ がかなり不均一だが、肌触りはソ フト。
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図 2017.3 経糸 燃焼実験後 200 倍
図 2017.2 200 倍 図 2017.1 60 倍 整理番号 2017
図 2017.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 番号 2016
匂い 経糸:木 緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 23.3 緯糸密度 22.0
その他 燃焼実験時の匂いは、木の焼ける 匂いのみ。燃焼実験後の灰は、植 物性繊維の特徴である白い灰が認 められる。繊維が細く、ねじれが 強いので木綿であろう。経糸・緯 糸とも太さが不均一。布の肌触り はソフト。
番号 2017 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 30.0
緯糸密度 20.0
その他 燃焼実験時の匂いは、木の焼ける 匂いのみで、図 2017.3 も図 2017.4 も植物性繊維の特徴である白い灰 を認められる。経糸は木綿。緯糸 は苧麻/ラミー。経方向は折りた たみやすいが、緯方向は繊維の影 響で折り畳めないほど硬い。布の 肌触りは、ゴアゴアしている。
図 2018.1 60 倍 図 2018.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
図 2018.3 経糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2019.1 60 倍 整理番号 2018
整理番号 2019 図 2018.2 200 倍
番号 2018 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.0 緯糸密度 22.0
その他 黒の経糸と緯糸それぞれの燃焼時 の匂いは木製の焼ける匂いのみ。図 2018.3、図 2018.4 には、植物性繊維 の焼けた後の白い灰が確認できる。
経糸も緯糸も強いねじれのある繊 維の糸なので木綿であろう。経糸・
緯糸とも太さがかなり不均一なの で、手紡ぎと推定できる。
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図 2019.2 200 倍 図 2020.1 60 倍
図 2020.3 経糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2020
図 2019.3 緯糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2020.2 200 倍
番号 2019 匂い 経糸:-
緯糸:木 経糸繊維 木綿? 絹?
緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.0 緯糸密度 22.0
その他 緯糸の燃焼時の匂いは木の焼ける 匂い。図 2019.3 には植物性繊維の 燃焼後の白い灰が確認できる。経糸 は採取不可であった。図 2019.2 よ り白の経糸は細い繊維の糸なので 木綿、あるいは艶や繊維のねじれ が少ないので絹かもしれない。再調 査が必要である。緯糸は強いねじ れのある繊維の糸なので木綿であ ろう。布の肌触りは、ソフトでヒ ンヤリしてるので白の経糸は、絹 の可能性がある。
図 2020.3 緯糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2021.2 200 倍
図 2021.1 60 倍 整理番号 2021
図 2021.3 経糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 番号 2020
匂い 経糸:木 緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.0 緯糸密度 24.0
その他 燃焼実験時の匂いは、経糸も緯糸も 木の焼ける匂いのみ。図 2020.3 に は繊維状の少し灰色の灰が見える ので若干絹の混紡を疑う必要があ る(経糸の燃焼実験では、白い灰の み)。糸の太さはかなり不均一。経 糸も緯糸も強いねじれのある繊維 で作られており、木綿と思われる。
布全体の肌触りはソフト。
番号 2021 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 22.0
その他 燃焼実験時の匂いは、経糸も緯糸 も木の焼ける匂いのみ。図 2021.3 には白い繊維状の灰が確認できる。
木綿の焼けた後の白い灰は、細く 繊維の形を良く残したままである。
経糸も緯糸も強いねじれのある繊 維なので、木綿と推定できる。糸 の太さはかなり不均一なので手紡 ぎであろう。布全体の肌触りはソ フト。
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図 2022.1 60 倍 図 2022.4 経糸 燃焼実験後 200 倍
図 2022.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2022
図 2022.2 200 倍 図 2022.5 緯糸 燃焼実験後 200 倍
番号 2022
匂い 経白糸:木製、
経黒糸:木製+火薬?
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 30.0 緯糸密度 22.0
その他 黒の経糸の燃焼実験時の匂いは木 の焼ける匂いに混じって硝煙臭も した。燃焼実験時の匂いは木の焼 ける匂いのみ。経糸も緯糸も強い 撚り。経糸も緯糸もねじれのある 繊維で作られているので木綿であ ろう。ただし、経糸は絹の混紡も 考える必要がある。糸の太さは不 均一。布全体の肌触りはソフト。
図 2023.1 60 倍 図 2023.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍
図 2023.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 図 2024.1 60 倍 整理番号 2023
整理番号 2024 図 2023.2 200 倍
番号 2023 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 22.0
その他 経糸も緯糸も燃焼実験時の匂いは 木の焼ける匂いのみなので植物繊 維で出来た糸。図 2023.3、図 2023.4 には白い繊維状の灰が確認できる。
経糸も緯糸も強いねじれのある繊 維なので、全体的に見て木綿であ ろうと推定できる。糸の太さは不 均一。肌触りはソフト。
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図 2024.2 200 倍図 2025.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2025.2 200 倍
図 2024.3 緯糸(白) 燃焼実験後 200 倍 番号 2024
匂い 経糸:-
緯糸:毛髪 経糸繊維 絹?
緯糸繊維 絹 経糸密度 31.4 緯糸密度 22.0
その他 経糸は採取不可であったので、燃焼 実験のデータはない。緯糸の燃焼 時の匂いは毛髪の焼ける匂い。図 2024.2 の顕微鏡で見ると糸の品質、
染めの質が高い。布の肌触りはソ フトで、ヒンヤリしているので緯 糸同様に経糸も絹であろう。文献 [1] では、経糸・緯糸とも木綿かラ ミーの植物繊維としていたが誤り であった。経糸は自然な撚り、緯 糸は無いか非常に緩い撚り。白の 経糸と緯糸は 2 本撚りの撚り糸。
図 2025.1 60 倍 整理番号 2025
図 2025.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2026.2 200 倍
図 2026.1 60 倍 整理番号 2026
図 2026.3 緯糸 燃焼実験後 200 倍 番号 2025
匂い 経糸:木 緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 28.6 緯糸密度 24.0
その他 経糸も緯糸も撚り 2 本の撚り。200 倍の見た目でも明らかなように細 い曲がりくねった繊維の集合で、
木綿の特徴を有している。燃焼実 験での匂いは、経糸は木の焼ける 匂いに混じって硝煙臭。硝煙臭は、
染料の燃焼時の匂いであろう。緯 糸は木の焼ける匂い。肌触りは、
非常に柔らかくヒンヤリしている。
上質な感じを受ける。
番号 2026 匂い 経糸:-
緯糸:木+火薬 経糸繊維 絹?
緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.0 緯糸密度 18.0
その他 経糸も緯糸も撚り 2 本の撚り。ねじ れた繊維の糸に近い図 2026.2 より、
青色の経糸は細いのに比べて黒色 の緯糸は太い。緯糸の燃焼実験で の匂いは、木の焼ける匂いに混じっ て硝煙臭。硝煙臭は、染料の燃焼 時の匂いであろうが、絹の混紡も考 えられる。経緯は採取できなかっ たので、判断を保留としているが、
艶や光沢を考えると絹とも思える。
肌触りはソフト。
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図 2027.4 経糸 燃焼実験後 200 倍
図 2027.2 200 倍
図 2027.3 200 倍
図 2027.5 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2027.1 60 倍
整理番号 2027
番号 2027 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿? 絹?
緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 18.0
その他 経糸も緯糸も撚り 2 本の撚り糸。経 糸も緯糸も真っ直ぐな繊維の糸に近 い。青の経糸の燃焼実験では、絹の ように黒い玉ができるが、焼いた時 の匂いそのものは木の焼けた匂いで あった。再調査が必要であろうと考 えている。緯糸は、明らかに植物繊 維の燃焼後と同じように白い灰が残 る。布の肌触りはゴアゴアしている ので、何らかの物質を糸に含ませて 制作している可能性もある。
図 2029.1 60 倍 図 2028.3 経糸 燃焼実験後 200 倍
整理番号 2029
図 2028.1 60 倍(絣部分) 図 2028.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2028
図 2028.2 200 倍(絣部分)
番号 2028 匂い 経糸:木
緯糸:木+硝煙臭 経糸繊維 木綿+α?
緯糸繊維 木綿 経糸密度 23.3 緯糸密度 18.0
その他 経糸も緯糸も強い撚りのある繊維 の糸。燃焼実験において、経糸は 木の焼ける匂い、緯糸は木の焼け る匂いに火薬の匂いが混ざる。染料 によるものであろう。図 2028.3 で は、燃焼後の経糸の先端に丸い玉が あるので、絹が混紡された経糸な のかも知れない。あるいは動物性 の脂の使用があるのかもしれない。
緯糸はあきらかに植物繊維の燃焼 後の状態を示している。
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図 2029.2 200 倍図 2029.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2030.2 200 倍 図 2029.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 図 2030.1 60 倍
整理番号 2030 番号 2029 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 18.0
その他 経糸も緯糸も強いねじれのある繊 維の糸。経糸、緯糸ともに燃焼実験 時の匂いは、木の焼ける匂いのみ。
図 2029.3,2029.4 の燃焼実験後の白 い灰も、植物性繊維であることを示 唆している。経糸も緯糸も強いね じれのある繊維で出来ているので、
燃焼時の匂いや白い灰を考慮すれ ば、それぞれ木綿であろうと推定 できる。
図 2030.3 経糸 ( 青 ) 燃焼実験後 200 倍
図 2030.5 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2031.2 200 倍 図 2030.4 経糸 ( 白黒 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2031.1 60 倍
整理番号 2031 番号 2030 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿+α 緯糸繊維 木綿 経糸密度 32.8 緯糸密度 20.0
その他 経糸も緯糸もねじれの強い繊維。白 と黒の経糸は 2 本撚りの撚り糸。経 糸も緯糸も木製の焼ける匂い。ただ し、図 2030.3 を見ると、糸の先端 に黒い玉が見える。そのため経糸は 絹糸の混紡も考えられる。青の経糸 は、整理番号 2026、2027、2030 と 同じ糸かも知れない。布の肌触り はソフトで、上質な感じを受ける。
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図 2031.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 図 2032.1 60 倍
図 2032.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2032
図 2031.4 緯糸 燃焼実験後 200 倍 図 2032.2 200 倍
番号 2031 匂い 経糸:木
緯糸:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 23.3 緯糸密度 16.0
その他 経糸は 2 本の撚り糸。経糸も緯糸 もねじれのある繊維の糸。燃焼実 験の写真を見ると、白い灰があり、
植物性繊維の特徴を示す。燃焼時の 匂いは、木の焼けた際の匂いのみ。
燃焼実験の結果とねじれの強い繊 維であることから経糸・緯糸ともに 木綿であろうと推定できる。肌触 りはソフトで上質な感じを受ける。
図 2032.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2033.1 60 倍
図 2033.3 経糸 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2033
図 2033.2 200 倍 番号 2032
匂い 経糸:毛髪 緯糸:毛髪
経糸繊維 黒糸:絹? 白糸:?
緯糸繊維 絹?
経糸密度 26.7 緯糸密度 22.0
その他 経糸、緯糸とも黒糸の燃焼実験の 燃焼臭と画像から絹糸と判断して おくものの、図 2032.4 の先端には 白色の固まった灰が見えることに 留意が必要(整理番号 2035 の糸と 同様の燃焼状態を示す)。先行研究 の文献 [1] では、白の経糸が真っ直 ぐで、かつ毛羽立ちがかなり少な いため化学分析の必要性が指摘さ れていたものの、黒く着色された 糸に関しては、顕微鏡写真とゴア ゴアした手触りから苧麻/ラミー と判断していた。経糸白の燃焼実 験の結果は得られていないが、黒 の経糸と緯糸は、白の経糸と同じ 材質と考えることもできる。生地 の肌触りが、かなりゴアゴアして いる理由として精練前の絹糸の特 徴だと考えることもできる。しか しながら、黒糸の繊維が密着され た状態を見ると染料の影響も考え なければいけない。その黒の染料 が粘着性の強い動物性物質であっ た場合、経糸と緯糸も絹以外であ る可能性も否定できない。白の経 糸の燃焼実験が必要である。
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図 2033.6 緯糸 ( 白 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2034.1 60 倍 整理番号 2034
図 2033.5 緯糸 ( 黒 ) 燃焼実験後 200 倍 図 2033.4 経糸 ( 白 ) 燃焼実験後 200 倍
番号 2033
匂い 経糸黒:木。経糸白:木 緯糸黒:木。緯糸白:木 緯糸青:木
経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 37.5 緯糸密度 18.0
その他 経糸の燃焼実験の結果は、白糸・黒 糸共に木の焼けるような匂い。ただ し、図 2033.4 には燃焼後の先端に 玉が見える。緯糸の燃焼実験の結果 はすべて木の焼けるような匂いで、
かつ 2033.5 - 6 に示されるように 白い灰を残し、植物性繊維を示す。
ただし、黒と白の糸は同種に見える が、青糸は異なるようにも見える。
青糸は繊維のねじれの強さを考慮 に入れると明らかに木綿
図 2034.2 200 倍 図 2034.5 緯糸(青) 燃焼実験後 200 倍
図 2034.4 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2034.3 200 倍
番号 2034
匂い 経糸黒:毛髪+硝煙臭 緯糸青:木
経糸繊維 木綿+α (絹との混紡?)
緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 18.0
その他 経糸は 2 本の撚り糸で、白黒と黒 のみがある。図 2034.3 の黒の糸の ほつれ状態をみると黒色は青色を 濃く染めた状態と推定できる。黒 の経糸の燃焼実験時の匂いは毛髪 の焼ける匂いに混じって硝煙臭も ある。図 2034.4 を見ると、黒っぽ い灰の先端に玉が見える。絹糸と の混紡によるものだろうか。一方、
青の緯糸の燃焼時の匂いは木の焼 ける匂いのみで、図 2034.5 に示さ れる白い灰からも植物繊維である ことがわかる。布全体の肌触りは ソフトなので、木綿を基調として 経糸に動物性繊維(絹)の混紡糸 が使われた古裂と言える。
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図 2035.1 60 倍 図 2035.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
図 2035.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2035.6 経糸(白・黒) 200 倍 整理番号 2035
図 2035.2 200 倍 図 2035.5 経糸(白・黒) 200 倍
図 2036.1 60 倍 図 2036.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2036.2 200 倍
整理番号 2036
図 2036.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 番号 2035
匂い 経糸黒:毛髪 緯糸黒:毛髪 経糸繊維 絹
緯糸繊維 絹 経糸密度 31.7 緯糸密度 18.0
その他 先行研究の文献 [1] では、経糸・緯糸 の両方とも木綿としていたが、燃焼 実験時の匂いは毛髪の焼ける匂い であった。また、図 2035.3,2035.4 には、動物性繊維の燃焼後における 状態の黒い墨の塊をみることがで きる。一方、白い塊もあるが、それ は灰の塊であろう。植物性繊維の 灰と異なり、全体が一つにまとまっ て凝固している。整理番号 2035 の 古裂は、絹糸で織られた布という ことになる。肌触りはソフトな上、
非常に上品な感じを受ける布で、絣 紋様もしっかりしている。絹糸を用 いた絣の上布が 1940 年代以前に存 在していたことを示す古布裂であ る。絣糸の状態は、図 2035.5 を参照。
_ 35 _
図 2037.3 経糸(青) 燃焼実験後 200 倍
図 2037.2 200 倍 図 2037.1 60 倍 整理番号 2037
図 2037.4 緯糸(白) 燃焼実験後 200 倍 番号 2036
匂い 経糸黒:毛髪 緯糸黒:毛髪 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 31.7 緯糸密度 20.0
その他 整理番号 2035 と同様に、先行研究 文献 [1] では、経糸、緯糸とも木綿 としてあったが、動物性繊維の誤 り。絹糸であろう。経糸も緯糸も 燃焼実験時の匂いは、毛髪の焼け る匂いと同一。肌触りはソフトで 非常に上品な感じを受ける。おそ らく整理番号 2035 の古布裂と同じ 布の裂であろう。
番号 2037 匂い 経糸青:木
緯糸白:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 25.8
緯糸密度 18.0
その他 燃焼実験時は木の焼ける匂いのみ で灰は散逸した。燃焼時の匂いと 繊維の太さやねじれ具合から木綿 と推定できる。白の緯糸の燃焼実験 時の匂いは木の焼ける匂いで、図 2037.4 から明らかなように植物繊維 特有の白い灰が残る。緯糸は真っ 直ぐとした繊維なので苧麻/ラミ ーと推定できる。布の肌触りは非 常にゴアゴアしている。
図 2038.1 60 倍
図 2038.3 緯糸(白) 燃焼実験後 200 倍 図 2039.2 200 倍 整理番号 2038
図 2038.2 200 倍 図 2039.1 60 倍
整理番号 2039 番号 2038 匂い 経糸:-
緯糸白:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 25.8 緯糸密度 16.0
その他 図 2038.2 より、緯糸、経糸ともに 強いねじれのある繊維の糸である ことがわかる。同一の繊維と考え られる。緯糸の燃焼実験時は木の焼 ける匂いを出し、図 2038.3 のよう に糸の先端に繊維の白い灰が残る。
植物性繊維であり、その灰の細さや ねじれぐあいから木綿と推定でき る。経糸が摘出できなかったので、
経糸の燃焼実験結果は得られてい ない。
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図 2039.3 緯糸(紺) 燃焼実験後 200 倍 図 2040.2 200 倍
図 2040.1 60 倍 図 2040.4 経糸(青) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2040
図 2040.3 経糸(白) 燃焼実験後 200 倍 番号 2039
匂い 経糸:-
緯糸白:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 26.7 緯糸密度 18.0
その他 整理番号 2038 と同様、緯糸、経糸 ともに強いねじれのある繊維の糸。
経糸も緯糸も同一の繊維と思われ る。緯糸の燃焼実験時は木の焼け る匂いを出して先端に繊維の白い 灰を残すので植物性繊維であろう。
それと繊維のねじれぐあいから木 綿と推定できる。経糸が得られな かったので経糸の燃焼実験結果は 無い。
図 2040.5 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2041.1 60 倍
図 2041.3 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2041
図 2041.2 200 倍 番号 2040
匂い 経糸白:木 緯糸黒:木 経糸青:木+硝煙臭 経糸繊維 木綿+α
緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 26.7
緯糸密度 18.0
その他 図 2040.2 より経糸と緯糸が異なる 事が分かる。経糸は白糸も黒糸も 2 本撚りの撚り糸。緯糸は繊維が接 着されたような糸。全体的にゴア ゴアした肌触りである。
白の経糸については図 2040.3 より 植物性繊維の灰と異なる事が分か る。燃焼時は木の焼けた匂いだけで あったが、絹の混紡も考えられる。
一方、青の経糸は硝煙臭を含んで いた。図 2040.4 の燃焼実験後の灰 は黒ずんでいる。おそらく染料の 焼けたときの匂いが硝煙臭となっ たのであろうと推測される。
黒い緯糸の燃焼時の匂いは木の焼 けた匂いのみであった。図 2040.5 では白い灰を確認できる。植物性 繊維であり、繊維にほとんどねじ れがないため苧麻、あるいはラミ ーと考えられる。
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図 2042.2 200 倍
図 2042.1 60 倍 図 2043.4 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 整理番号 2042
図 2042.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 番号 2041
匂い 経糸:-
緯糸白:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 苧麻/ラミー 経糸密度 25.8
緯糸密度 16.0
その他 経糸は採取できなかったので、燃 焼実験結果はないが、図 2041.2 よ り整理番号 2040 とほぼ同様の繊維 と考えられる。一方、緯糸の燃焼 結果は、木の焼ける匂いと共に白 い灰を残すので植物性繊維と言え、
さらに繊維が太くねじれが少ない ので苧麻かラミーと考えられる。先 行研究文献 [1] では芭蕉も考慮に入 れたものの図 2041.3 に写っている 繊維の中央部分に凹みがあるので、
苧麻/ラミーと考える方が無難で あろう。布全体は、ゴアゴアした 肌触りである。
図 2042.2 200 倍
図 2043.1 60 倍 整理番号 2043
図 2043.3 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 番号 2042
匂い 経糸:毛髪+硝煙臭 緯糸:毛髪+硝煙臭 経糸繊維 絹+木綿?
緯糸繊維 絹+木綿?
経糸密度 25.0 緯糸密度 16.0
その他 図 2043.2 より経糸も緯糸も強い撚 りがあるので木綿と思われるもの の、燃焼実験では毛髪の焼ける匂い と硝煙臭を確認した。図 2043.3 お よび図 2043.4 では灰の先端に黒い 玉をそれぞれ確認できる。すなわ ち動物性繊維の混入が認められる。
黒い玉にいたる灰そのものも黒い が、その黒さの原因は染料に起因 するものと考えられる。経緯糸と も太さにむらがあり、あきらかに 手紡ぎ。布の肌触りはソフトなの で絹のみか、絹と木綿の混紡と推 定できよう。先行研究の文献 [1] で は、経糸も緯糸も木綿としていた が誤りである。燃焼実験により動 物性繊維の存在が認められる。
番号 2043 匂い 経糸:-
緯糸:毛髪+硝煙臭 経糸繊維 絹
緯糸繊維 絹 経糸密度 28.3 緯糸密度 28.0
その他 先行研究の文献 [1] では、布の肌触 り感(非常にゴアゴア)や、200 倍 の顕微鏡写真より苧麻をベースに 考えていたが、それは誤り(ただし、
「繊維一本一本がなめらかで艶があ るように見えるため、絹糸の可能性 も捨てきれない」としていた)。緯 糸の燃焼実験では、図 2043.3 に示す
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その他 ように動物性繊維の特徴である黒い灰の塊がはっきり出ている。また 燃焼時の匂いは、毛髪の焼ける匂い に混じって、硝煙臭が知覚できた。
緯糸は絹と推定できよう。経糸の サンプルは得られなかったものの、
図 2043.2 を見ると緯糸も経糸も同 一の繊維と思われる。図 2043.3 中 の白の経糸は、艶から明らかに絹 と推定できる。
図 2044.3 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
図 2044.2 200 倍 図 2045.1 60 倍
整理番号 2045
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図 2044.1 60 倍整理番号 2044 番号 2044
匂い 経糸:-
緯糸:毛髪 経糸繊維 絹?
緯糸繊維 木綿 経糸密度 28.3 緯糸密度 24.0
その他 経糸のサンプルは得られなかった が、図 2044.2 をみると図 2043.2 と ほぼ同様に見えるので、経糸は絹 糸であろうと思われる。緯糸の燃 焼時の匂いは木の焼ける匂い。図 2044.3 は植物性繊維の焼けた白い灰 の状態を示しているので、繊維自体 のねじれ具合とあわせて考えると、
木綿と推定できる。布全体は肌触り はソフトで上品な感じの布である。
図 2045.2 200 倍
図 2045.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2046.1 60 倍 整理番号 2046
図 2045.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
番号 2045 匂い 経糸黒:毛髪
緯糸黒:毛髪 経糸繊維 絹+α 緯糸繊維 絹 経糸密度 30.0 緯糸密度 22.0
その他 黒色の経糸と緯糸の燃焼実験時の 匂いは、毛髪の焼ける匂いであっ た。図 2045.3 と図 2045.4 には、動 物性繊維が焼けたときに残る黒い 塊が見て取れる。両者とも絹であ ろうと推定できる。先行研究の文 献 [1] で は、 手 触 り か ら 苧 麻 か ラ ミーと思われるが、繊維一本一本 が細いため木綿としていた。ただ、
なめらかで艶があり絹を思わせる とも併記してあった。今回の実験 で、黒の経糸と緯糸は、ともに絹 糸と推定される。布のゴアゴア感 は、繊維を密着させている物質の せいであろう。その場合、精練前 の絹糸に染色したのだろうと思わ れる。精練前の絹はセリシンとい う物質が繊維を覆っており、お湯 で溶け出し粘着性を示し、乾くと 堅くなる性質を持つ。ただし、染 料自体が乾くと堅くなる物質なの かもしれない。一方、白の経糸はサ ンプルが採れなかったが、図 2045.2 を見る限りその糸の艶を考えると、
木綿とするよりも絹とするほうが 無難であろう。
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図 2046.2 200 倍図 2046.4 緯糸(黒) 燃焼実験後 200 倍 図 2047.1 60 倍 整理番号 2047
図 2046.3 経糸(黒) 燃焼実験後 200 倍
番号 2046
匂い 経糸黒:木+硝煙臭 緯糸黒:木 経糸繊維 木綿 緯糸繊維 木綿 経糸密度 23.3 緯糸密度 16.0
その他 黒の経糸の燃焼実験時の匂いは、
木の焼ける匂いに混じって、硝煙 臭があった。図 2046.3 を見ると燃 焼部の先端部分に黒い塊が見える。
植物性繊維独特の白い灰ではない。
経糸は、植物性繊維と動物性繊維 の混紡かもしれない。先行研究の 文献 [1] では、肌触りと繊維のねじ れ具合から木綿と判断していたが、
動物性繊維の混入も考慮に入れる 必要がある。一方、緯糸の燃焼実 験時の匂いは、木の焼ける匂いのみ であった。図 2046.4 では、焼けた 糸の先端に白い灰が見える。ただ、
灰の残り方が、図 2044.3 と異なっ ているように感じる。恐らく微量な がら絹などの動物性繊維が混じっ ているのだろうと思われる。ただ、
経糸も緯糸も豚の背脂などの物質 を付けて調整(シダシ)をしたのか も知れない。さらに詳細な科学的 分析が必要であろう。布は薄手で、
肌触りはソフト。上品な感じの布 である。