2018.11.15
中間選挙後の米国
【 緊急リポート 】
《 構 成 》
1.中間選挙の結果 P 4
2.中間選挙後の論点 P 9
米中間選挙は、事前の予想通り「ねじれ議会」の結果に
「ねじれ議会」では、議会運営が停滞する可能性が大きい。トランプ大統領と民主党が、
どこまで歩み寄れるかが焦点
一般論としては、党派対立が強まりやすい環境であり、歩み寄りは容易ではない。債務 上限の引き上げや予算審議等、財政運営の混乱には注意が必要
個別の政策課題では、インフラ投資や中間層減税等、総論で方向性が一致している分 野はあるが、薬価の引き下げを除けば、具体論における意見の相違は大きい。また、歩 み寄りがみられた場合には、財政赤字が拡大しやすい点にも注意が必要
議会運営停滞の反動で、「米国第一主義」の負の側面が強調されるリスクが高い。共和 党に保護主義への批判が広がっていない点も懸念材料。通商政策では、大統領と民主 党の「保護主義の共鳴」への警戒が必要
«要旨»
1.中間選挙の結果
【選挙結果】中間選挙の結果は、事前の予想通り「ねじれ議会」に
◯ 民主党の「青い波(Blue Wave)」は起きたが、トランプ大統領に決定的な打撃を与えるには至らず
‧ トランプ大統領に対する支持の、「低さ」と「底堅さ」の両面が反映された結果
‧ 下院では、トランプ大統領の支持率の低さが素直に反映され、共和党が多数党から陥落
‧ 上院では、トランプ大統領の固定的な支持者に支えられ、共和党が多数党を死守
‧ 全選挙区平均では、民主党の得票率が前回比10%増となったが、2010年の共和党大勝時(同19%増)には及ばず
(注)2018年11月14日現在。空欄は未定。
(資料)New York Times資料等より、みずほ総合研究所作成
【 中間選挙の結果 】 【 大統領支持率と下院の議席増減 】
(注)第二次大戦後に行われた一期目の中間選挙。
(資料)NBC News 資料等より、みずほ総合研究所作成
▲70
▲60
▲50
▲40
▲30
▲20
▲10 0 10 20
0 20 40 60 80
議席
支 持 率 (%)
トランプ
(2018年)
オバマ
(2010年)
0 50 100 150 200 250 300 350 400
改選後 改選前
共和党 民主党
下院
(議席)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
改選後 改選前
上院
【出口調査】トランプ大統領への信任投票となった中間選挙
◯ トランプ大統領への評価が、支持政党を問わず有権者の投票行動を左右
‧ 民主党支持者は高い割合で大統領の弾劾を支持。選挙後の党派対立の火種に
【 投票の意味合いと投票行動(出口調査) 】 【大統領弾劾に対する意見と投票行動(出口調査) 】
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
0 20 40 60 80 100
民主党に投票した人 共和党に投票した人
弾劾すべき 弾劾すべきでない
0 20 40 60 80 100 (%)
民主党に投票した人 共和党に投票した人
大統領への支持 関係ない 大統領への批判
(%)
【出口調査】有権者の問題意識の相違が、議会での超党派協力への潜在的な障害に
◯ 経済状況への評価や、重視する政策課題には、支持政党による大きな相違が存在
‧ 経済状況については、共和党支持者の9割が「良い」とする一方、民主党支持者では「悪い」との評価と拮抗
‧ 政策課題では、共和党支持者が「移民」を重視する一方、民主党支持者は「医療」を重視
【 経済状況に対する評価(出口調査) 】 【 もっとも重要な政策課題(出口調査) 】
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
0 20 40 60 80 100
民主党に投票した人 共和党に投票した人
良い状態 悪い状態
(%)
0 10 20 30 40 50 60 70
医療 移民 経済 銃規制
共和党に投票した人 民主党に投票した人 全体
(%)
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
【出口調査】「白人男性」「高齢者」の支持が共和党の政策を左右
◯ 共和党が、「反グローバリズム(貿易・移民)」「大きな政府」に傾斜しやすくなる可能性を示唆
‧ 白人であっても、とくに高学歴の女性は民主党支持が高い
【 人種による投票行動(出口調査) 】 【 年齢による投票行動(出口調査) 】
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
0 20 40 60 80 100
65歳以上 50~64歳 40~49歳 30~39歳 25~29歳 18~24歳
共和党に投票 民主党に投票 (%)
0 20 40 60 80 100
ヒスパニック アジア系 黒人 白人女性
(大卒以上)
白人女性 白人男性
共和党に投票 民主党に投票
(%)
2.中間選挙後の論点
【総論】米国第一主義の負の側面が際立つリスクが存在、「歩み寄り」の有無が焦点
◯ 議会運営の停滞は、米国第一主義が保護主義等の閉鎖的な政策に偏りやすくなるリスクを高める
‧ 米国第一主義は、減税等の「経済強化策」と、保護主義等の「閉鎖的な政策」の二本柱
‧ 議会運営が停滞すれば、追加減税等の経済強化策は難しく、大統領権限で進められる通商政策に傾斜する可能性が大
◯ トランプ大統領と議会民主党が、どのような分野において「歩み寄り」に成功できるかが、今後の焦点
‧ 選挙後の記者会見では、双方ともに「歩み寄り」の可能性を否定せず
(資料)みずほ総合研究所作成
米国第一主義
閉鎖的な政策 経済強化
【 ねじれ議会下での米国第一主義 】 【 選挙後の記者会見での発言 】
(資料)みずほ総合研究所作成
トランプ大統領
来年(の新議会で)は、われわれ全てが協力し、経済成長、
インフラストラクチャー、貿易、薬価の引き下げなどにおいて、
国民のために成果をあげられることを期待したい
民主党が減税のアイディアを提示できるのであれば、もちろ ん、自分も(減税の)実現を目指す。それが、(富裕層向け増 税や法人税増税等の)多少の調整を含むとしてもだ
ペロシ下院院内総務
トランプ大統領と、今後の協力関係について、電話で話し あった。話題にのぼったのがインフラストラクチャーであり、
その実現を期待している
わたしたちが協力できると期待しているもうひとつの課題が、
薬価の引き下げである。そのことについても、大統領と話し あった
【総論】共和党、民主党ともに、単独での政策運営には限界
◯ 民主党はアジェンダ設定への関与や、政権等に対して調査を進める力を得たが、単独での政策変更は不可能
‧ 共和党は、指名承認や弾劾阻止に必要な議席は維持したが、単独での政策実現は困難に
◯ 「歩み寄り」の有無には、2020年の大統領選挙に向けた思惑が影響
‧ 民主党は、選挙前にトランプ大統領に成果を挙げさせることを嫌う可能性
(資料)みずほ総合研究所作成
【 中間選挙による力関係の変化 】
共和党 民主党
立法
【喪失】
・下院におけるアジェンダ設定
・税制改革、社会保障制度改革における特別手 続きの利用(財政調整法)
【維持】
・上院での指名承認
・上院での弾劾阻止
【獲得】
・下院におけるアジェンダ設定
・下院における行政府等の調査(公聴会)
【維持】
・上院における議事進行妨害
【獲得できず】
・単独での立法
・上院での指名承認阻止
・大統領の弾劾
規制
【喪失】
・下院におけるアジェンダ設定
・規制廃止における特別手続きの利用
(Congressional Review Act)
【維持】
・行政権限
【獲得】
・下院におけるアジェンダ設定
・下院における行政府等の調査(公聴会)
・州を通じた対応の力が増大
【総論】民主党による政権の調査活動が、歩み寄りを阻害する要因に
◯ トランプ大統領は、民主党が政権を厳しく調査した場合には、政策面での協調に応じない意向を表明
‧ 民主党は、トランプ政権に対するチェック機能の重要性を強調、積極的な調査活動を行う方針を崩さず
‧ 「反トランプ」で盛り上がった支持者の手前もあり、民主党が政権批判を緩めるのは難しい状況
‧ 民主党による調査については、企業の活動が公聴会等の対象になる可能性がある点にも注意が必要
【 選挙後の記者会見での発言 】 【 民主党議会による調査対象案件(代表例) 】
(注)2017年に下院民主党が調査開始を提案した案件等より抜粋。
(資料)議会資料等より、みずほ総合研究所作成
トランプ政権関係者に関わる疑惑
トランプ大統領の納税記録の開示 トランプ財団と外国政府の関係
クシュナー上級顧問のビジネスにおける利益相反 2016年大統領選挙における外国政府との共謀疑惑
政策運営における不正・権限乱用 2020年国勢調査における移民に対する差別的な質問
オバマケアの意図的な施行妨害 ハリケーン対応の不備
トランプ大統領
(対立と協調を)同時に進めることはできない。もしも民主党 が対立を選ぶのであれば、(協調には)応じない。それだけは はっきりさせておく
(民主党がロシア疑惑や大統領の納税記録等の調査を進め れば)政府の活動は停止するだろう。そして、わたしは民主 党を批判するだろう。なぜなら、下院の多数党になった民主 党は、(政権批判ではなく)政策を提案すべきだからだ
(政権に対する調査と、国のための協力を)別問題として考 えることは不可能だ。(調査を進めれば)戦時であるかのよう に対応する
ペロシ下院院内総務
有権者は「チェック・アンド・バランス」の復活を求めている
(資料)みずほ総合研究所作成
【総論】トランプ政権の人事異動が、政権運営の先鋭化を招くおそれ
◯ 人事の出入りが激しく、トランプ大統領に振り回される傾向が顕著に
‧ 軌道修正を試みる人材は減少、むしろトランプ大統領の主張に相乗りしようとする勢力が増加しつつある状況
【 退任した閣僚の数 】 【 政権スタッフの離職率 】
(注)トランプ政権2年目は11月7日時点。
(資料)ブルッキングス研究所資料等により、みずほ総合研究所作成
0 2 4 6 8 10
クリントン ブッシュ(子)
オバマ トランプ
1年目 2年目 (人)
0 10 20 30 40 50 60 70
レーガン ブッシュ(父)
クリントン ブッシュ(子)
オバマ トランプ
1年目 2年目 (%)
(注)トランプ政権2年目は11月7日時点。
(資料)ブルッキングス研究所資料等により、みずほ総合研究所作成
【各論①:財政政策】対立が深刻な場合、財政運営の混乱が懸念材料に
◯ 2019年の夏から秋にかけて、債務上限・予算審議が「ねじれ議会」の課題に
‧ 法定債務上限は、2019年3月の適用再開後、2019年の夏から秋にかけて、引き上げが必要になる見込み
‧ 同時期に審議される2020年度予算(10月~)次第では、政府機関閉鎖のリスクも
‧ 2011~14年の「ねじれ議会」では、債務上限引き上げに伴う混乱等、財政運営の不透明性が高まり、株式市場等が混乱
(資料)財務省資料等より、みずほ総合研究所作成
【 債務残高と法定債務上限 】 【 政策不透明性指数 】
(資料)PolicyUncertainty.com資料より、みずほ総合研究所作成 5
7 9 11 13 15 17 19 21 23
2000 2005 2010 2015
債務残高 債務上限
(兆ドル)
(年)
適用免除
(18年2月~19年3月)
0 100 200 300 400 500 600
2011/1 2012/1 2013/1 2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1
財政政策 通商政策
(1985-2010=100)
(年/月)
ねじれ議会
【各論①:財政政策】2020年度には、意図せざる緊縮財政(「財政の崖」)の懸念も
◯ 2020年度予算で歳出上限が引き上げられなければ、一時的に緊縮財政に
‧ 金融危機後の財政再建の過程で、米国は各年度の裁量的経費に上限を設定
‧ 2019年度までは当初の上限を引き上げてきたが、さらなる引き上げがなければ、2020年度には当初の上限まで減額に
‧ 上限の引き上げがなければ、2020年度の財政赤字(GDP比)は前年度より減少
(注)歳出権限。歳出上限の対象となるベース予算(戦費、緊急費用等を除く)。
(資料)OMB、CBO資料より、みずほ総合研究所作成
【 歳出上限の推移 】 【 財政赤字(前年度比) 】
(注)GDP比。
(資料)CBO資料より、みずほ総合研究所作成 9,000
9,500 10,000 10,500 11,000 11,500 12,000 12,500 13,000
2011 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
2011年財政合意 2013年財政合意 2015年財政合意 2018年財政合意
(億ドル)
(年度)
▲ 3
▲ 2
▲ 1 0 1
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
(%pt)
(年度)
予測
【各論①:財政政策】但し、「財政の崖」の深刻度は、前回よりは軽微
◯ 歳出拡大の力点と、「国境の壁」予算の調整によっては、前年度並みの歳出確保での決着は可能
‧ 2012年の財政の崖は、財政赤字が半減するほどの規模、政策面でも所得再配分の問題など、党派対立が深刻
‧ 今回の場合には、歳出水準の引き上げ自体には、これまでも超党派で合意してきた経緯
‧ 国防費・非国防費のバランス、「国境の壁」予算の調整が進むかどうかが、「崖」回避の焦点
(注)GDP比。2012年は2012年1月予測、2020年は2018年1月予測。
(資料)CBO資料より、みずほ総合研究所作成
【 財政赤字の推移 】 【 トランプ政権による提案(2019年度予算) 】
(注)歳出上限の変更額。
(資料)CBO資料より、みずほ総合研究所作成 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
2011 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
2017 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
財政の崖(2012年) 財政の崖(2020年)
(%)
(年度)
▲4,000
▲3,500
▲3,000
▲2,500
▲2,000
▲1,500
▲1,000
▲500 0 500 1,000 1,500
2019 20 21 22 23 24 25 26 27 28
国防費 非国防費
(億ドル)
(年度)
【各論①:財政政策】歩み寄りの場合には、財政赤字は拡大する方向に
◯ 米国の財政規律は弛緩、赤字削減への政治的な機運は高まらず
‧ 近年の米国は、景気が好調であるにもかからず、拡張的な財政運営を選択
‧ 前回の財政再建の記憶が新しいうえに、財政赤字への問題意識の高まりは、赤字の拡大に遅れる傾向
(資料)BLS、CBO資料より、みずほ総合研究所作成
【 財政赤字と失業率 】 【 財政赤字と世論の問題意識 】
(資料)Pew Research Center、CBO資料より、みずほ総合研究所作成 0
2 4 6 8 10 12 14
▲4
▲2 0 2 4 6 8 10
1980 1990 2000 2010 2020
財政赤字(GDP比) 失業率(右目盛)
(%) (%)
(年/年度)
10 20 30 40 50 60 70 80
▲4
▲2 0 2 4 6 8 10
2000 02 04 06 08 10 12 14 16 18
財政赤字(GDP比) 財政赤字を重要課題とする割合(右目盛)
(%) (%)
(年/年度)
トランプ大統領 共和党 民主党
財政赤字拡大
インフラ投資 ○ △ ○
中間層減税 ○ △ ○
国防費増 △ ○ ×
医療保険拡充 × × ○
財政赤字削減
弱者保護削減 ○ ○ ×
富裕層増税・法人増税 △ × ○
【各論①:財政政策】意見の相違が大きいのは、財政赤字を削減する方策
◯ トランプ大統領と民主党は、インフラ投資のみならず、中間層減税についても、総論では方向性が一致
‧ 各論での意見の相違、政治的な環境といった障害はあるが、歩み寄るのであれば、財政赤字は拡大する方向
‧ 一方で、所得再配分に対する考え方の違いから、財政赤字を削減する方策では、意見の隔たりは大きい
(資料)みずほ総合研究所作成
【 今後の財政政策へのスタンス 】
【各論①:財政政策】財政赤字拡大観測が強まった場合には、金利上昇のリスクも
◯ 米国の財政運営は、景気とのバランスを勘案しながら、繊細なかじ取りが求められる局面
‧ 景気のモメンタムが失われてきた場合には、ある程度の拡張的な財政は妥当
‧ しかし、米国の債務残高は歴史的な高水準に近づいており、今後も増加基調が続く見込み
‧ 財政事情悪化の主因である医療費については、抜本的な改革に向けた議論が進展せず
(注)GDP比。
(資料)CBO資料より、みずほ総合研究所作成
【 債務残高(長期予測) 】 【 歳出の内訳(長期予測) 】
(注)GDP比。
(資料)CBO資料より、みずほ総合研究所作成 0
20 40 60 80 100 120 140 160
1940 50 60 70 80 90 2000 10 20 30 40 50
(%)
(年度)
予測
0 2 4 6 8 10 12 14 16
2000 05 10 15 20 25 30 35 40 45 50
医療費 年金 利払い費 その他
(%)
(年度)
予測
【各論②:インフラ投資】連邦政府の役割期待に相違、規制緩和が先行する可能性も
◯ 州・地方政府及び民間の資金を重視するトランプ政権に対し、民主党は連邦政府による財政負担を優先
‧ トランプ政権は、1兆5,000億ドルのインフラ投資拡大を主張、そのうち連邦政府の負担は2,000億ドル
‧ 一方、民主党は連邦政府による1兆ドル規模の財政負担を想定
‧ トランプ政権は、財政負担の行方にかかわらず、規制緩和等による投資促進を目指す見込み
‧ インフラ投資の実行に関しては、各州での準備状況、及び、労働者等の供給制約に注意が必要
(資料)White House(2018)より、みずほ総合研究所作成
【 インフラ投資に関する提案 】 【 トランプ政権の提案 】
(資料)White House(2018)より、みずほ総合研究所作成 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000
民主党案 トランプ政権案
連邦政府 州・地方政府/民間 (億ドル)
財政支援(2,000億ドル)
インセンティブ補助金(1,000億ドル)
・州・地方政府、民間部門による開発に支給(上限20%)
地方インフラ補助金(500億ドル)
・インフラ開発の遅れた地域に優先して支給 革新的プロジェクトへの支援(200億ドル)
・開発段階に応じ、最大80%の資金補助 既存資金調達制度の拡充(200億ドル)
・PABの適用拡大等
連邦資産購入基金(100億ドル)
・リース不動産の買取
関連規制の緩和 州間高速道路有料化に関する要件緩和等
認可手続きの改善 環境関連審査の一元化等
労働者対策 奨学金の対象拡大等
【各論③:減税】中間層減税に絞り切れるか否かが焦点
◯ 本来的には、税の累進性に関する考え方は、共和党と民主党の考え方が大きく異なる分野
‧ 共和党が構想してきた2017年減税(TCJA)の恒久化(所得税部分)は、富裕層にも恩恵
‧ 一方、ハリス上院議員の提案にあるように、民主党案の恩恵は中低所得層に集中
‧ 加えて、民主党には、富裕層・法人税増税を減税の財源とする考え方があり、共和党との調整が難航する可能性大
‧ なお、共和党案の影響は、2020年代半ば以降であり、2019年については、TCJAによる景気押し上げ効果が継続
(注)税引後所得の増加率。
共和党案は、TCJA恒久化(所得税部分)、民主党案は、ハリス上院議員案。
(資料)Tax Foundation資料より、みずほ総合研究所作成
【 所得階層別の減税規模 】 【 減税の規模 】
0 5 10 15 20 25
0~20 20~40 40~60 60~80 80~100
共和党案 民主党案
(%)
(%)
低 所得階層 高
▲1,000
▲500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
2018 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
TCJA 共和党案(TCJA所得税分恒久化等)
(億ドル)
(年度)
(注)共和党案は、2018年に下院で可決された内容(TCJA所得税部分恒久化、貯蓄・起業促進)。
(資料)CBO、JCT資料より、みずほ総合研究所作成
【各論④:医療】薬価の引き下げは、行政権限で進められる可能性も
◯ 薬価対策の必要性には異論なし
‧ 立法による薬価対策は煮詰まっていないが、トランプ政権による取り組みには、議会は異論をはさまない見込み
‧ むしろ、規制等の立案・施行段階において、どの程度、製薬業界への配慮が行われるかが焦点
◯ オバマケア、公的保険については、州政府による取り組みが重要に
‧ 中間選挙(州知事選挙、住民投票)の結果により、メディケイドの適用対象拡大(オバマケアの一環)が進展へ
‧ 既往症への保険適用、オピオイド対策等、超党派で進み得る論点も
(資料)みずほ総合研究所作成
【 医療に関する各党の立場 】 【 メディケイドの適用対象拡大状況 】
(資料)Avalere Health資料より、みずほ総合研究所作成
共和党 民主党
薬価引き下げ 外国価格参照制度
一部輸入解禁 政府による価格交渉
オバマケア 廃止 着実な実施
公的保険 就労要件の導入(メディ ケイド)
加入対象者拡大(メディ ケアへのバイ・イン等)
共通課題 既往症への保険適用確保 オピオイド対策
中間選挙の効果
0 10 20 30 40 50
拡大未済 住民投票で 拡大を決定 拡大未済州で 州知事が交代 拡大済み
(州)
【各論⑤:規制】規制緩和の方向性は変わらず、州政府による対応が焦点
◯ 民主党による抵抗には限界、トランプ政権による規制緩和のモメンタムは鈍ったとしても、方向性は変わらず
‧ 民主党は、公聴会等で規制の違法性を問うことはできるが、立法措置により規制緩和の方向性を変えることはできず
◯ むしろ、民主党の抵抗は、州政府による独自の規制や、連邦政府に対する訴訟が主戦場に
‧ 州知事、州司法長官の選挙では、民主党が躍進
(注)主要規則は、経済への影響が1億ドル以上の規則。
(資料)Raso(2018)より、みずほ総合研究所作成
【 新たな規制の件数 】 【 中間選挙の結果(州) 】
(注)2018年11月14日時点。空白は無所属、未定など。
(資料)New York Times資料等より、みずほ総合研究所作成 0
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000
ブッシュ(子)
(2001年)
オバマ
(2009年)
オバマ
(2016年)
トランプ
(2017年)
主要規則 その他
(件)
0 10 20 30 40 50
改選後 改選前
共和党 民主党
州司法長官
(州)
0 10 20 30 40 50
改選後 改選前
州知事
【各論⑥:司法】トランプ政権は、保守系判事の指名・承認を急ぐ見込み
◯ トランプ政権は、上院での多数党を維持したことで、判事承認の自由度を維持
‧ トランプ政権の政策運営にとって、司法の判断は最大の難所(移民、オバマケア等)
‧ 中間選挙の結果、州で民主党が力を増したこともあり、保守系判事の指名・承認が、これまで以上に重要に
‧ 2020年までには、連邦裁判事の過半数が、共和党指名となる可能性も
‧ ロシア疑惑の捜査を含め、司法の分野が党派対立の焦点となりやすい状況が継続
(注)就任2年目6月30日時点。最高裁、控訴裁、地方裁判事。
(資料)Ballotpedia資料等により、みずほ総合研究所作成
【 連邦裁判事の指名・承認状況 】 【 連邦裁判事指名時の大統領所属政党(予測) 】
(注)最高裁は高齢3名が交代となった場合。控訴裁、地方裁はWheeler(2016)による試算。
(資料)Wheeler(2016)等により、みずほ総合研究所作成
0% 25% 50% 75% 100%
2020年
(予測)
就任時 2020年
(予測)
就任時 2020年
(予測)
就任時
地方裁控訴裁最高裁
共和党指名 空席 民主党指名
0 20 40 60 80 100 120 140
レーガン ブッシュ(父)
クリントン ブッシュ(子)
オバマ トランプ
承認済 指名済・承認待ち (人)
【各論⑦:通商政策】トランプ大統領と民主党が保護主義で共鳴する懸念
◯ 保護主義ではトランプ大統領と民主党は一致、互いに強硬さの度合いを競い合う展開に
‧ 議会においては、共和党よりも民主党の方が保護主義に傾斜、トランプ大統領との親和性が高い
‧ 中国に対する態度も厳しく、民主党がトランプ大統領を攻撃する際には、その「手ぬるさ」を批判する方向へ
(注)下院でTPA、FTAに賛成票を投じた議員の割合。
(資料)Irwin(2017)、議会資料等より、みずほ総合研究所作成
【 自由貿易を支持する議員の割合(下院) 】 【 議会民主党指導部の対中姿勢 】
(資料)議会資料等より、みずほ総合研究所作成
ペロシ下院院内総務
(中国に対する通商法301条調査開始に関する声明)
長年にわたり、中国は恥知らずなまでの不公正な通商慣行 によって、米国の経済を弱め、米国の労働者を傷つけてきた 知的財産権問題についての調査開始は必要だが、米国の 労働者が必要とする包括的な取り組みには全く不十分だ 米国の労働者には、大統領による空虚な約束などではなく、
より良いディールが必要である(2017年8月14日)
シューマー上院院内総務
(対中政策に関する発言)
通商政策に関するトランプ大統領の姿勢は、民主党のオバ マ前大統領や、共和党のブッシュ元大統領の時よりも、自分 の考えに近い。なぜならば、われわれは中国に厳しい姿勢で 臨む必要があるからだ。
中国は米国の労働者や米国の富、そして米国の企業に、常 につけこんでくる。まさに強欲と呼ぶにふさわしい(2018年4 月22日)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
民主党 共和党
(%)
(年)
【各論⑦:通商政策】共和党支持者のあいだでも、保護主義批判は高まらず
◯ 中間選挙において、保護主義が明確に共和党の逆風になったとは言い切れず
‧ 中間選挙の出口調査では、共和党支持者はトランプ政権の通商政策を評価する割合が高い
‧ 下院では、通商政策によって共和党が敗北したとされる選挙区もある一方、上院では、農業州で共和党が議席を獲得
‧ むしろ、民主党支持者の自由貿易に肯定的な傾向が、今後の政治家の行動に反映されるか否かが注目される
(注)2018年中間選挙の出口調査。
(資料)CNN資料より、みずほ総合研究所作成
【 政権の通商政策が地元経済に与えた影響(出口調査) 】 【 FTAを好意的に評価する割合 】
(資料)Pew Research Center調査より、みずほ総合研究所作成 0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
好影響 影響なし 悪影響
共和党に投票した人 民主党に投票した人 全体
(%)
20 30 40 50 60 70
2009/1 2011/1 2013/1 2015/1 2017/1
共和党支持者 民主党支持者
(%)
(年/月)
【今後の日程】年末から2019年初めは通商政策、年央以降は財政政策が焦点に
◯ トランプ大統領の「ディール(取引)」志向と、ロシア疑惑の捜査が波乱要因
‧ 当面のヤマ場は、11月末の米中首脳会談。議会との関係では、USMCAの議会承認が民主党との距離感を測る試金石に
‧ 財政については、歩み寄りが想定外に早い場合、来年春までに債務上限の引き上げ等で合意される可能性も
(資料)みずほ総合研究所作成
【 今後の主要日程 】
通商政策 財政政策
2018年 11月~12月
G20/米中首脳会談(11月) 暫定予算期限(12月7日)
2019年 <新議会開始(1月3日)>
1月~3月
対中関税引き上げ(1月)
自動車関税報告書(~2月)
対日、対EU交渉本格化
一般教書演説(1月)
予算教書(1月末~2月初)
債務上限適用再開(3月)
4~6月
為替報告書(4月)
対英交渉本格化 G20大阪サミット(6月)
予算決議(4月)
7~9月
債務上限引き上げ期限 2020年度予算期限(9月末)
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