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丸紅ワシントン報告 年 10 月 27 日 丸紅米国会社ワシントン事務所長今村卓 米国中間選挙 1 選挙戦終盤の情勢と獲得議席予想 11 月 2 日の米国中間選挙まで あと 1 週間を切った 今回

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丸紅 丸 紅ワ ワ シン シ ン ト ト ン報 ン 報 告 告

丸紅米国会社ワシントン事務所長 今村 卓

+1-202-331-1167 [email protected] 2010-10 20101027

米国中間選挙 1 選挙戦終盤の情勢と獲得議席予想

11月2日の米国中間選挙まで、あと1週間を切った。今回から選挙直前まで、複数回に分けて、

選挙の展望とその要因、中間選挙後の米国政治の展望等を報告していくことにしたい。今回は選挙 戦終盤の情勢と予測である。

1. 選挙戦の現状:共和党優勢、民主党の巻き返しは一時的にとどまる

11月2日の中間選挙まで、あと6日。選挙戦は民主党の敗北が確実になりつつある。選挙戦全般 の状況を表す下院の政党支持率(Generic Congressional Vote)でみれば、10月25日現在、共和党

48.9%に対して民主党42.0%。両党の差は6.9%である。今回の中間選挙は、選挙戦が本格化した9

月上旬から中旬にかけては、あまりに遅い景気回復と深刻な雇用情勢がオバマ政権と民主党に対す る強烈な逆風となり、共和党の攻勢と民主党の支援者の選挙への熱意の低迷が重なる形で、支持率

の差は8%近くまで開いた。その後9月下旬には、危機感を強めた民主党が巻き返し、差は一時3.5%

まで縮小したが、10 月に入ると再び共和党の攻勢が強まる一方で民主党は失速という展開となり、

下旬まで支持率の差も再拡大した。

図表 1 議会下院の政党支持率*

2. 予想獲得議席数:下院は共和党が過半数を奪還、上院は民主党が過半数維持へ (1) 連邦議会下院:共和党が50議席前後の上積みへ

下院は、共和党が4年ぶりに過半数を奪還するとの見方が大勢である。各種世論調査の平均的な 情勢を示しているReal Clear Politics(RCP)によれば、10月25日現在、共和党が優勢の選挙区は 過半数を超える223 に達している。互角(Tossup)とみられる 34 選挙区が文字通り五分に近い結 果になれば、共和党は現有の178議席に60議席程度を上積みした240弱の議席を獲得可能な勢い である。

もっとも、こうした平均的な予測は、足元の民主党の巻き返しを過小評価しているという見方も ある。実際、不在者投票の得票では民主党が共和党を上回っているとの報道がある。週単位で政党

-10 0 10 20 30 40 50

38 40 42 44 46 48 50

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

(注)2010年10月25日現在。* 政党支持率は、有権者に今日が連邦議会下院選挙の投票日である場 合、どの党の候補者に投票するかという問いに対する回答率。(資料)Real Clear Politics

差(右目盛) 民主党(左目盛) 共和党(左目盛)

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2 支持率を計測しているギャラップ社の世論調査も、最新の支持率の差は1週間前よりも縮小してい る。しかも民主党は人気の高いクリントン元大統領が激戦区のてこ入れを集中的に行っている。民 主党支持者の間でオバマ大統領よりも集票力があると定評のある元大統領は、投票日まで100回以 上のイベントに参加予定である。オバマ大統領も、10月中旬からは人気の高いミシェル夫人ととも に大統領選並みのペースで遊説を展開している。遊説が始まる前は支持率の低迷が続く大統領の応 援の効果を疑問視する声もあったが、2 週間余りが経過した今では議会よりも支持率が高い現職大 統領の集票力を再評価する声が強まっている。また、残り1週間近くに使用できる選挙資金の額も、

民主党全国委員会が共和党同委員会を上回っているとの評価もある。選挙戦終盤の激戦区に投入で きる資金額で民主党が共和党を上回るとすれば、これまでの党外団体の選挙支出において共和党系 が民主党系を上回ってきたことからの効果もかなり相殺される可能性がある。

以上の民主党の最後の巻き返しの効果を勘案すると、共和党の上積みは前述の60議席前後から目 減りがあると思われる。我々は、上積みが過半数確保に必要な39議席を下回ることはないとみるが、

50議席前後に落ち着くとみている。

(2) 連邦議会上院:民主党が辛うじて過半数維持の見通し

上院は、民主党が辛うじて過半数を確保するとの見方が大勢である。共和党が過半数を得るには 28議席の獲得が必要であり、民主党の獲得議席を9議席以下に抑える必要がある。だが、現時点で 民主党の優勢は9議席に達している。Real Clear Politicsによれば互角の6州のうち、ウエストバー ジニアとワシントンの 2州は民主党候補が共和党候補にそれぞれ 2%以上リードしているため、民 主党の獲得議席は11議席に届く可能性が高い。共和党や同党を支持する団体は、過半数獲得を目指 して残された激戦区に多額の選挙資金を投入しているが、民主党も下院同様にクリントン元大統領 とオバマ大統領の激戦区でのてこ入れなど攻勢を強めている。この2州で共和党が逆転することは 難しく、標準シナリオは民主党の51議席獲得であると考えられる。逆転の可能性では、上記2州よ りも、現時点で共和党候補が若干リードしているネバダ、ペンシルバニア、イリノイ、コロラドの 4州の方が高い。サブ・シナリオは標準シナリオに比べた民主党の1~2議席の上積みであろう。

図表 2 連邦議会上下両院の中間選挙における予想獲得議席数

現在 改選議席 非改選議席 上院予想勢力図

定数 100 民主党* 59 民主党 9 民主党* 40 民主党* 49 51 -8

過半数 51 接戦 6+ 接戦 6

安定多数 60 共和党 41 共和党 22 共和党 23 共和党 45 49 +8

下院予想勢力図

民主党 255 民主党 178 205±10 -50

定数 435 接戦 34

過半数 218 共和党 178 共和党 223 230±10 +52

欠員 2

(注)* 無所属(民主党系)2名含む. (資料)RealClearPolitics.com, Election 2010.

上院

現有議席

下院

中間選挙展望

2010/10/26

接戦なし 接戦なし

(3) 州知事選:共和党が30州近くを押さえる公算

今回の中間選挙では全米50州のうち47州の知事が改選対象となる。州知事選でも共和党優勢の 構図は同様であり、RCPは現時点で同党が改選対象を3州上回る21州で優勢になっていると評価し

(3)

3 ている。互角は 8 州、候補者の支持率の差から勘案すると、共和党の上積みは 6 州に拡大して 30 州の知事ポストを押さえる可能性が高いだろう。

州知事は大統領選と密接に結びつく重要なポストである。大統領選における各州知事の影響力が 大きいことだけでなく、実績を上げ、人気を高めた州知事が有力な大統領候補になることが多いか らである。実際、カーター大統領からオバマ大統領までの6人の大統領のうち5人が知事出身であ る。共和党が5分の3の州で知事ポストを押さえれば、それだけ将来の大統領候補の養成において、

民主党よりも有利な立場を確保することになる。また、来年の州知事には10年に一度の連邦議会下 院の選挙区割りの再編への影響力も事実上与えられる1

図表 3 州知事選の中間選挙における予想獲得議席数

民主党 26 民主党 8 民主党 7 民主党 15 20 -6

接戦 8 接戦 8 接戦なし

共和党 24 共和党 21 共和党 6 共和党 27 30 +6

(資料)RealClearPolitics.com, Election 2010.

現状

改選 非改選

知事選

中間選挙展望

予想勢力図

3. 総合評価:オバマ政権と民主党に厳しい審判、共和党も勝ちきれず選挙後の党運営が難題に 以上を総合すれば、オバマ政権と民主党にとっては、今回の中間選挙は敗北だが、大敗ではない という結果に収まりそうである。94年のクリントン政権のように、上下両院を共和党に押さえられ て議会運営の主導権を完全に奪われるという最悪の展開になる可能性は低い。共和党が目指してい る医療保険制度改革法の廃案など、オバマ政権がこれまで達成した改革の巻き戻しは困難だろう。

しかし、オバマ政権にとって下院で共和党に過半数を押さえられることのダメージは大きい。共 和党から選出されることになる下院議長(Speaker of the House)は、各委員会の委員の任命権限と 審議する政策課題を制御する権限を持つからである。委員会は本会議に提出する議案を決める「番 人」であり、特に下院議事規則委員会には法案審議の日程を組む権限がある。来年1月からの議会 では、オバマ政権と民主党が成立を目指す重要法案が、共和党の理解を得られず下院で門前払いさ れるという展開も十分に起こりうる。もちろん、共和党の下院指導部も2012年の次の大統領選・議 会選に向けて実績を問われる立場に入れ替わるため、これまでのようにオバマ政権に対して拒否を 続けるわけにはいかない。一方で今後のオバマ政権と民主党は、医療保険制度改革や金融制度改革 のように共和党の反対を押し切って歴史的な改革を実現する力を失う。今後は必然的にオバマ政権、

民主党と共和党が協議する場面は過去2年間よりも大幅に増えるだろう。

今後のオバマ政権と民主党は、今回の中間選挙の最大の敗因になる停滞気味の景気と深刻な雇用 情勢の改善を最優先課題にして、2012 年の大統領選の再選と議会選での挽回を目指すことになる。

ただ、共和党が下院を押さえる議会構成の下では、オバマ政権が最近訴えているインフラ投資の拡 充など財政による景気刺激の可能性は封印される可能性が高い。経済自体は、家計部門の債務調整 など構造課題を抱えて雇用回復には時間を要するとの見方が大勢であるだけに、その家計の債務負 担の軽減など調整を加速させる政策が適切に講じられるかどうかが、今後の注目点になろう。その 面で成果が出てくれば、今回の中間選挙の結果にかかわらず、再選の可能性は高まってくる。82年 のレーガン大統領や94年のクリントン大統領がそれぞれ中間選挙に敗北しながら、2年後に圧倒的

1 今年の国勢調査(10年ごとに実施)の結果に基づいて来年2011年には各州で連邦下院選挙区の新たな区割 りが決められる。州知事には州議会が決める区割り案に対する拒否権や、区割りの原案策定者の人選などを通 じて、区割りに対する影響力を持っているといわれる。

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4 な支持を得て再選を果たした実績もある。

ただ、2年後の大統領選に向けて30近くの州知事ポストを共和党が獲得することの影響は小さく ない。選挙ごとに民主・共和両党の得票数が入れ替わる激戦州(Swing State)の多くを共和党が押 さえることになれば、再選を目指すオバマ大統領にとっては不利な材料になるし、それを吹き飛ば すだけの実績を経済面で上げる必要が強まることになる。

一方で共和党にとっては、予想される中間選挙の結果は完全勝利には程遠いものだろう。これだ けオバマ政権と民主党に逆風が吹き荒れるという有利な環境でありながら、上院で尐数派にとどま る見通しであるなど、敵失に乗じることができず勝ち切れなかった選挙という評価になりそうであ る。共和党にとっての問題は、むしろ選挙後の党運営である。2012年の大統領選の有力候補の不在 という大問題は、今回の中間選挙では解決できなかった。さらに選挙後の同党指導部には、選挙の 台風の目となった草の根保守派のティーパーティー運動との対話という難題も控えている。

共和党は、今回の選挙戦では当初予想されたティーパーティー運動との内部対立を回避すること ができた。ティーパーティー運動も第三党の立場を目指すことなく、共和党内部での自らの主張の 実現を目指した。その結果、党指導部はティーパーティー運動を逆に選挙運動のエンジンとして前 面に押し出し、同運動とその推薦候補者に共和党支援団体の用意した多額の選挙資金を供給するこ とで、共和党支持者の選挙運動への熱意を高めて維持することもできた。08年の大統領戦後の党再 生も危ぶまれた情勢と比べれば、今回はブッシュ前政権の負のイメージも払拭し、党指導部は大き な成功を収めつつあるといえるだろう。

一方で、今回の中間選挙によって共和党の上下両院は、ティーパーティー系の議員が一定数を占 めることになる。ティーパーティー運動の参加者に対する各種世論調査によれば、運動参加者が現 在の党指導部の主張を受け入れているわけではない。むしろ、中間選挙の結果に同運動が自信を得 て、これから共和党全体を同運動の主張に近づけさせようという意欲を高めているのが実態である。

しかし各種世論調査によれば、ティーパーティー運動に理解を示す有権者は一定数いるが、多数に は到底届かない。共和党がティーパーティー運動の目指す方向にシフトしていけば、今回のデラウ ェア州の上院選のように同党穏健派や無党派層の支持を失い、自滅に向かう恐れは十分にある。

共和党指導部は、議会上院と政権は民主党に押さえられているという制約の下で、2012年の政権 奪回に向けて議会下院を基盤にして、有権者に政権交代を訴えられる実績を上げていく必要がある。

そのためにはオバマ政権と民主党との協調も必要だが、ティーパーティー運動が同党指導部の妥協 を果たして許すか。ティーパーティー運動が、中間選挙では第三党指向など自滅につながる純化指 向に傾くことなく、共和党内部での活動という現実指向、柔軟性をみせたことは確かだが、その活 動の起源を踏まえれば、目の前の選挙という最大の求心力がなくなった後にも妥協のできる政治集 団に変貌するとは考えにくい。さらに次の大統領選の候補者選びにおいて、同党穏健派や無党派層 の支持を集められる穏健派の候補の擁立にティーパーティー運動が我慢できるかどうか。本来の穏 健派候補がティーパーティー運動に接近して無党派層の支持を失うリスクも含めて、共和党の大統 領候補選びは、経済の実績を上げる必要のあるオバマ大統領とは異なる意味で難題であろう。

選挙まで残り1週間。以上のように選挙の先に広がるあまりに不透明な視界が、これから投票日 までの間に尐しは開ける可能性はある。引き続き選挙戦の展開を見守り、重要な変化があれば速や かに伝えていくことにしたい。なお次回は今回の中間選挙において、共和党と民主党の優务を分け ている要因、選挙の台風の目となったティーパーティー運動について解説するとともに、選挙戦に 変化があれば伝えることにしたい。

以 上/上原・今村

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