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SFS 法によるマイクロ製品の形状評価システム

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Academic year: 2021

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SFS 法によるマイクロ製品の形状評価システム

1. はじめに

 近年,3D-CAD と光造形技術の急速 な発展により,マイクロ部品やマイク ロ機械などのマイクロ製品を容易に,

しかも高速に製造することが可能に なってきた.いっぽう,製造されたマ イクロ製品の形状評価技術はまだ確立 されておらず,その技術開発が急務と されている.本稿では,マイクロラピッ ド造形技術等で作成された 3D マイク ロ製品をコンピュータビジョン技術に 基づいてポリゴンモデルとして復元 し,復元されたモデルと CAD モデル との形状を比較するシステムについて 紹介する.この形状評価技術は,デジ タルマイクロスコープをすでに保有し ているのであれば,新たに PC とター ンテーブルを購入するだけで済むた め,非常に安価な形状評価システムを 構築することが可能である.

2. 多視点画像からの三次元形状

 現在開発中のマイクロ製品形状評価

復元

システムは,デジタルマイクロスコー プ,ステッピングモータで制御された ターンテーブルと PC で構成されてい る(図 1).測定対象物をターンテー ブル上に載せ,一定角度ごとに回転さ せながら,デジタルマイクロスコープ で対象物体を多視点から撮影し,画像 データとして PC に取り込む.三次元 空間上の点とカメラ画像上の点は,焦 点距離などのカメラ固有の内部パラ メータと,カメラの位置・姿勢などの 外部パラメータをキャリブレーション 操作により求め,対応させることがで きる.

 次に得られた複数の画像から「視体 積 交 差 法 」(Shape From Silhouette, 以下,SFS 法)(1)(2)により三次元形状 を復元する方法を採用した.SFS 法 とは,それぞれの画像に撮影された対 象物体のシルエットを抽出し,シル エットとカメラの射影中心が形成する 錐体(Visual Cone)の内側に対象物 体が含まれるといった性質を利用して 三次元形状を復元する手法である.そ れぞれの画像間の Visual Cone を交差 させ,交差する共通部分の体積 (Vi- sual Hull)を 8 分木(Octree)による ボクセル(小立方体)表現を適用する ことにより三次元形状を復元する.

Octree 法とは,ボクセルを再帰的に 8 分割し,形状をより詳細に表現して

いく手法である.各ボクセルを各シル エット画像に投影し,すべての画像に おいてボクセルがシルエットに含まれ る場合は「内部」と判定し,ボクセル が一つでもシルエットの外部にある場 合は「外部」と判定し,それ以外のボ クセルは「不明瞭りょう」として八つに分割 する.これらの操作をすべてのボクセ ルが内部か外部になるまで,あるいは,

ボクセルの長さがあらかじめ決められ た最小の長さになるまで再帰的に八つ に分割するアルゴリズムである.

3. ボクセルモデルのポリゴンモ

 SFS 法によって復元されたボクセ

デル化

ルモデルは,一般に市販されている三 次元 CAD ソフトで直接扱うことがで きない,また表面が階段状になってい るため,滑らかな曲面が得られない等 の問題点がある.そこで,すべてのボ クセルを最小のボクセルのサイズに変 換 し,Marching Cubes 法( 以 下,

MC 法)を用いてポリゴンモデルに変 換する.一般に MC 法を適用させた 三角形メッシュモデルには凹凸があ り,実用的な三角形ポリゴンモデルで はない.そこでシルエット画像を利用 して精度を確保しながら平滑化処理を 施すことによって,高品質な三角形 メッシュモデルを生成する(1)(2).ポリ ゴンの平滑化には,対象となる頂点に 隣接する頂点座標を平均することに よって求める高速で簡単な Laplacian Smoothing(以下,LS 法)があるが,

この操作を繰り返すとモデルが収縮し てしまうという欠点がある.幸いなこ とに MC 法により生成された三角形 メッシュモデルは,対象物より若干大 きいため,LS 法の収縮する特性を生 かした新しい高精度な平滑化方法が提 案されている(2).まず,三角形メッシュ モデルの各頂点に対し,LS 法を実施 し,頂点の移動量を求める.この移動 量にポリゴンの頂点を各シルエット画 像に投影した際にシルエットの内部に 存在する画像の数に基づいて 0~1 の 重みをかけ,新たな移動量を計算する.

シルエットの内部に存在する画像の数 が少ないほど重みは 1 に近く,また逆 に内部に存在する画像の数が多いほど 重みは 0 に近い値をとるようになって いる.

4. おわりに

 図 2(a)に示す M2 × 3.5mm のさ

ら精密ねじ(図 2(b)は CAD モデル)

をターンテーブル上に置き,18 度ご と回転させ 1 600 × 1 200 画素からな る 20 の多視点画像を取得した.図 3(a)

に復元されたポリゴンモデルを,そし て図 3(b)には CAD モデルとの誤 差マップを示す.

 このように多視点画像から SFS 法 に基づきマイクロオーダの物体を三角 形 メ ッ シ ュ モ デ ル に よ る 3D-CAD データとして復元し精度を評価するこ とができた.今後はシルエットに現れ ない凹形状部のさらなる精度の向上と システムの自動化を図りたい.

(原稿受付 2009 年 3 月 31 日)

〔横浜国立大学 前川 卓〕

●文 献

( 1 )Mercier, B. and Meneveaux, D., Shape from Silhouette: Image Pixels for March- ing Cubes, WSCG 2005, 13(2005), 112- 118.

( 2 )船山裕輔・平野大輔・前川 卓,視体積交 差法を用いた 3D-CAD モデルの作成,日本 機械学会第 18 回設計工学・システム部門 講演会 CD-ROM 論文集,No.08-2,(2008- 9).

(a)M2 × 3.5mm

さら精密ねじ (b)CAD モデル 図 2 マイクロ製品の例 図 1  デジタルマイクロスコープによる形

状評価装置

ステッピングモータ

ターンテーブル 対物レンズ

ステッピングモータ

ターンテーブル 対物レンズ

(a)復元された M2 × 3.5mm さら精密ねじ ポリゴンモデル

(b)誤差分布

図 3 復元されたマイクロ製品 日本機械学会誌 2009. 9 Vol. 112 No.1090

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