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長時間の立体映像視聴における座位姿勢についての基礎的検討

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Academic year: 2021

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長時間の立体映像視聴における座位姿勢についての基礎的検討

Evaluation of sitting posture to watch long 3D movies

1W070087-4 大上 明徳 指導教員 河合 隆史 教授

OHKAMI Akinori Prof. KAWAI Takashi

概要: 2010年が「3D元年」と称されるように、近年では 3D映像に対する関心が高まっている。従来の3D 映像の視聴方法としては映画館での視聴が主流であったが、2010年から 3DTVを発売する企業が増え、日常生 活においても3D映像を観察することが可能となり、3D映像の一般家庭への普及が期待されている。3D映像は 奥行き情報が得られ、高い臨場感を得ることができる。一方で眼鏡の装着や調節と輻輳の不一致による身体的負 担という問題も生じてくる。これらの違いは家庭における視聴形態に影響するかはいまのところ分かっていない が、現在の2DTVの視聴では、異なる点が多いと予想される。そこで、本研究では、体圧分布測定器を用いて視 聴時の姿勢という点で2DTV3DTVの視聴形態の比較、検討を行った。

キーワード:座位姿勢、体圧分布、3DTV、視聴環境

Keywords: Sittiung Posture, Body Pressure Distribution, 3DTV,Viewing Environment

1. はじめに

本研究では2DTV3DTVでの視聴形態の差異を 検討することを目的とし、体圧分布測定器を用いて、

2D映像と3D映像を呈示した際の視聴者の姿勢変動 を比較することによって立体感の有無が視聴形態に 与える影響を調査した。

2. 評価指標

3D コンテンツ観察中の体圧分布測定器を用いて 座面の接触面積、平均体圧値、重心の移動距離を計 測した。また、主観指標として、映像による不快感 や疲労感に関する自覚症状の調査票と、特定の作業 動作や作業姿勢によって生じる疲労感に関する自覚 症状の調査票を用いた。立体感が得られることによ って視聴する映像に対する興味・関心や集中度が異 なるか調査するためにアンケートも同時にとった。

3. 実験 3.1 実験手順

椅子を被験者の身体に調節し、コンフォライトを 用いて実験刺激呈示中の被験者の体圧分布を測定し た。映像刺激呈示前後 2分間を安静期間とし、この 間も体圧分布を記録した。また、被験者は刺激呈示 前後に質問用紙に記入した。

3.2 実験条件

実験条件は、実験刺激2種類(Ice Age3、Cloudy with a chance of meat balls[以下meat balls])と呈 示方法(2D、3D)、視聴距離(近条件:195cm、遠 条件:260cm)を組み合わせた全8条件とした。同 一の映像を2回以上視聴させることを避けるため、

被験者を4つの群に分け、被験者1名につき異なる2 つの条件で実験を行った。被験者は男性22名とした。

3.3 実験環境

立体映像の呈示にあたり、3Dディスプレイでは左 目/右目用の映像を画面上に交互に表示するフレーム シーケンシャル方式(時分割方式)を用いた。暗室 内において、被験者に所定の距離の位置に座らせ、

足を組まないよう注意を促し、自然な体勢で視聴し てもらうよう椅子の調節等の指示をした。外部の音 が気にならないよう、ヘッドホンを通して音声呈示 を行った。

4. 結果

4.1 接触面積、平均圧力値

客観評価については、立体条件以外が統一された ものを比較した。接触面積の結果の一例を図に示し

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2 た。その結果、接触面積、平均体圧値ともに 4条件 中3条件が3Dの方が前半高い値をとり、時間がた つにつれ逆転している結果になった。また、接触面 積に関してF検定を行ったところ、2つの条件間で 有意差が得られた。(Meat balls 近、遠条件<.05)

図 1 Meat balls 遠条件の接触面積

4.2 重心移動距離

立体条件のみ異なる条件間で総移動距離を平均し たノンパラメトリック検定を行った。Meat ball の 遠条件のみ有意差が確認された(p=0.045<0.05 )。

4.3 疲労部位調査票

立体条件ごとに刺激呈示前後で負担を感じる部位 に差があるかを調べるためにマクマネー検定を行っ た結果、2D、3D 両条件とも側頭部、首、肩に有意 差があった。3D条件では腰部にもあった。

4.4 眼精疲労

立体条件(2水準)を要因としたT検定の結果、「肩 が凝る」に有意差が認められた(p=0.040, p<.05)。

4.5 アンケート結果

立体条件別に調査した臨場感、興味関心、集中度 を答えたもらい、項目ごとにT検定を行ったが、有 意差は見られなかった。

5. 考察

体圧分布の結果から、3D映像を見ているときは時 間がたつにつれ椅子の奥深くでアップライト姿勢も しくは前傾姿勢をとった状態から椅子の手前で後傾

姿勢をとった仙骨座りをとった状態へと移行してい るということになる。つまり、立体感の有無によっ て視聴者は異なる視聴姿勢をとっていると考えられ る。主観評価の結果、2D、3D 両条件とも映像視聴 後に側頭部と首、肩に負担を訴えていたが、インタ ビューをしたところ、グラスをかけたままヘッドホ ンを装着したことと、長時間ある一定の姿勢で頭を 支えておかなければならないことにより、首や首を 支えている肩周りなどの筋肉に負荷がかかり、この ような症状が引き起こされたと考えられる。腰部に 関しては 2D条件では有意傾向が1つあったのに対 し、3D条件では有意差が2つあった。これは、3D 映像を視聴しているときは画面を覗き込む姿勢をと っているのではないかと考えられる。また、刺激呈 示後のアンケートの結果、視聴者は立体感よりも、

映像の内容に興味関心、集中力が引き起こされると 考えられる。

6. まとめ

本論文では、椅子に座って TV を視聴している際 の座面にかかる圧力を、体圧分布測定器を用いて測 定し、2DTVと3DTVの視聴形態の比較、検討を行 った。その結果、姿勢の変化は3D映像視聴時の方が 多く、また、視聴全体を通して、2D映像と比べ3D 映像視聴時は、前半は椅子の奥まで座った前傾姿勢、

もしくはアップライト姿勢を、後半は座面の手前に 座った後傾姿勢(仙骨座り)をとる傾向が見られた。

これらの視聴形態の違いは、長時間映像視聴におい ての負担、特に腰部において影響があった。今回の 結果は2D映像と3D映像の視聴時における姿勢の変 化を調べたが、今後は3Dのなかでも異なる特徴を持 った映像間でも検討する必要がある。また観察によ る評価など、体圧分布以外での測定の検討も必要が あるといえるだろう。

注:

*1 大野さちこ,鵜飼一彦:Head Mounted Display を ゲームに使用して生じる動揺病の自覚評価,映像情 報メディア学会誌,Vol.54,No.6,pp.887-891(2000)

参照

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